JPH0772068A - 光散乱測定用のサンプル・セル及びそのサンプル・セル・モニタ - Google Patents

光散乱測定用のサンプル・セル及びそのサンプル・セル・モニタ

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JPH0772068A
JPH0772068A JP6030593A JP3059394A JPH0772068A JP H0772068 A JPH0772068 A JP H0772068A JP 6030593 A JP6030593 A JP 6030593A JP 3059394 A JP3059394 A JP 3059394A JP H0772068 A JPH0772068 A JP H0772068A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種の分析、殊に定量分析に供する懸濁液に
光ビームを通過させ、光散乱特性を測定した結果、入射
光ビームの強さに対する検知散乱光の強さを測定して、
適切且つ正確な分析結果を得ることを目的とする。 【構成】 透明な真円形筒体に直径方向に沿う透孔を設
ける。この透孔をサンプル懸濁液を満たすチャンネルと
する。この透孔の内径より小さな外径の光ビームを入射
させる。透孔を通過する光の強度と、入射前の光源光の
強度と、照射された懸濁液中の粒子により生ずる散乱光
を特定の散乱角度で測定した総ての散乱光の強さとを測
定するようにしたサンプル・セル及びこれら測定値を再
確認するモニタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の光散乱測定に広
く利用される新しいタイプの光散乱セル及びそのモニタ
に係わる。
【0002】
【従来の技術】光散乱測定の主なものとしては、本願明
細書のセル及びそれを用いた測定法に関係する出願人の
下記出願明細書に詳しく記載されている。
【0003】名 称:ワイン特性の測定方法 発明者:フィリップ・J. ワイアット 出願日:1981年 6月 4日 分 類: 527 米国特許出願第 390,980号 名 称:微粒子を同定する方法及び装置 発明者:フィリップ・J. ワイアット及びグレゴリ.
M. クイスト 出願日:1982年 6月22日 分 類: 255 米国特許出願第 403,340号 名 称:微粒子を同定し、環境に対する微粒子のレスポ
ンスを測定する方法及び装置 発明者:フィリップ・J. ワイアット 出願日:1982年 7月20日 分 類: 255 米国特許出願第 668,711号 名 称:微粒子の光散乱特性を測定する方法及び装置 発明者:フィリップ・J. ワイアット及びスチーブン・
D. フィリップス 出願日:1984年11月 5日 “光”とは単色または比較的広い周波数範囲の、偏光の
ない、または偏光のある電磁波を意味する。
【0004】“サイズ・パラメータ”ρは、ρ=2πa
/λを意味する。但し、aは平均粒子半径、λは粒子の
測定が行われる媒質への入射電磁波の波長である。
【0005】“粒子”とは、分子レベルの大きさの粒子
を含んでいるものを云う。
【0006】“極めて小さい粒子”とは、そのサイズ・
パラメータが1以下である粒子を意味する。
【0007】“小さい粒子”とは、そのサイズ・パラメ
ータが6以下である粒子を意味する。
【0008】“大きい粒子”とは、そのサイズ・パラメ
ータが6以上である粒子を意味する。
【0009】“ビーム”とは、平行または略平行な方向
に伝播する光を意味する。
【0010】レーザーのようなガウス強さプロフィルを
有する入射光源の“ビーム直径”とは、強さがビームの
中心における強さの 1/e 2 となる点の間で測定される
ビーム直径を意味する。
【0011】“順散乱方向”とは、入射ビームの方向に
対して90°以下の角度で伝播する総ての光線、即ち、有
向線分を意味する。
【0012】“逆散乱方向”とは、入射ビームの方向に
対して90°以上の角度で伝播する総ての光線、即ち、有
向線分を意味する。
【0013】平面偏光については、波の電場方向と直交
する平面をV平面と呼称し、前記平面偏光は前記直交平
面に対して垂直に偏光される。対応するH平面はV平面
と直交し、入射波の電場を含む。
【0014】“バックグラウンド効果”及び“バックグ
ラウンド作用”とは、サンプルからの光の散乱による影
響とは無関係な計器によって検知される光源を意味す
る。
【0015】ここではサンプル・セル及び関連装置と入
射ビームとの相互作用から生ずる“バックグラウンド効
果”だけを取上げる。なお、純粋に溶媒そのものから散
乱する光によって起こる“バックグラウンド効果”は無
視できるものと仮定する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】重要な実験プログラム
や工業プログラムには、多くの場合、光散乱法による懸
濁微粒子の測定を伴なう。その主なものとして、各種溶
媒中に懸濁している未知の溶質の分子量を測定する光散
乱測定がある。多くの文献、例えばKerker の“The
Scattering of Light and Other Electromagnet
ic Radiation”誌に記載されているこの方法の詳細に
は触れないが、測定に際しては未知物質の懸濁液を調製
した後、これに単色の平行光束ビームを照射するのが普
通である。次いで、懸濁液による散乱光の強さを角度及
び溶質濃度の関数として測定する。溶液を含むサンプル
・セルまたはキュベットの散乱特性がこの測定を妨げる
惧れがあるから、いわゆる“バックグラウンド効果”が
極めて小さく、測定に対する影響が最少限であるような
セルを使用しなければならない。理想としては、低濃度
の溶質粒子または分子の散乱特性を測定できるセルであ
ることが望ましい。
【0017】ワイアットが上記2つの出願明細書及びチ
ャラランバウス氏 (Charalambous)編集の“Analysis
of Foods and Beverages”という著書中の該当する
章に説明しているような各種の定量法及び生物定量法で
は、水性懸濁液の調製を伴なう。これに続く光散乱手段
による懸濁液の測定に際しては、溶液の光散乱特性測定
値における極めて小さい変化を検知する。多くの場合、
測定結果の精度は、自体の散乱性による“バックグラウ
ンド効果”の影響を受ける。例えばボッシュアンド ロ
ム(Bausch and Lomb )社製の分光光度計によって行
われる極めて簡単な透過率または光学濃度の測定さえ
も、液体を含むセルの“バックグラウンド効果”によっ
て重大な影響を受ける。また、液体クロマトグラフィで
分離されるような化合物は、これを含むセル自体も極め
て少容量、典型的にはマイクロリットル又はそれ以下で
なければならない程極めて微量しか得られない。従っ
て、サンプル・セルの液体/空気界面が検知システムの
視野に近接しているから、“バックグラウンド効果”は
ますます顕著になる。
【0018】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、極めて
少量の液体サンプルに対して光散乱測定を行うための新
しいタイプのセルを開示する。本発明の好ましい実施例
は、直径方向に透孔からなるチャンネルを設けた真円筒
体から成る。これらの円筒体及びチャンネルとなる透孔
は、光学的に磨かれており、円筒体は、透光を含む平面
内に底と平行に配置された検知器群で囲まれている。粒
子を含むサンプル流体を導入及び排出する手段を設け
る。この手段によって透孔へ導入されるサンプルに、透
孔の直径よりも遥かに小さい直径を有する平行光束ビー
ムを照射する。このビームは透孔で構成されるチャンネ
ルを直接的に通過し、セルの外側に設けた特殊な窓を通
ってセルに入出する。流体とこれを囲むガラス・セルの
屈折率には僅かな差があるから、極めて小さい散乱角度
ではあるが、微量の散乱またはバックグラウンド光が検
知器に入射する。本発明では、従来の光散乱測定装置に
おける検知器飽和の原因である微小角散乱光を減衰させ
る手段をも設ける。入射ビームの強さに対して検知散乱
光の強さを正規化する新規方法と共にその他のセル構造
をも開示する。
【0019】
【作用】以上に述べた本発明によれば、如何に少量であ
っても、サンプルを含むセル自体からの顕著な“バック
グラウンド効果”を導入することなく、極めて少量のサ
ンプル液体の殆んどあらゆる角度の光散乱に基づく測定
を可能にする。このセル構造はまた、多くの光散乱測定
において屡々重要な条件となる試験サンプルへの実入射
光束の測定をも可能にする。
【0020】
【実施例】以下本発明の実施例を添付の図面に基づいて
詳述する。
【0021】典型的な検知システムを図1乃至図5に示
した。通常、レーザによって形成されるような単色の光
ビーム1である入射光がサンプル・セルを通過する。こ
のセル3を囲んで円周方向に順次間隔を保つ一群の不連
続な検知器2を図3に示した。夫々検知器2は、その視
野がセル3の中心部における極めて小さい容積だけを含
むように視準する。
【0022】図1は、本発明の好ましい実施例の散乱セ
ルを示す斜視図である。この散乱セルは、サンプルを含
む溶媒の屈折率に近い屈折率を有するガラスなど透明な
材料で形成した真円筒体のセル3から成る。円筒体の直
径に沿って、検知器2群の平面内に位置するように円筒
体にチャンネルとなる透孔4を穿孔する。円筒体の外面
及び透孔4の内面を光学的に研磨して表面凹凸をなくす
る。円筒体の各開口部に、セル3に対するサンプルの入
出を行うための、光学窓6及び孔7を含む取付け具5を
取付ける。
【0023】図2は取付け具5の詳細を示し、本発明の
好ましい実施例においては、この取付け具5はサンプル
液をセル3の透孔4に入出させるための管8を含む。な
お、セル3を通過する光ビーム1は本発明の好ましい実
施例の場合、透孔4よりも断面積が小さくなければなら
ない。典型的なセル3は透孔4の直径が 2.0mmであり、
例えばメルエス グリオット(Melles Griot)社製の
特殊なHe ‐Ne (ヘリウム・ネオン)レーザーから発
せられる直径 0.4mmのレーザー・ビームが照射される。
【0024】図1〜図3から明らかなように、円筒体の
屈折率がセル3を通過する液体の屈折率と同じなら、図
1に示すような曲率半径の大きい構造になるが、本発明
のセル3を通過する光ビーム1はどの検知素子の視野内
の面にも衝突しない。図2から明らかなように、光ビー
ム1が入出する光学窓6はセル3の中心から遠く離れて
いるから、空気/ガラス/液体界面を通過するビームの
場合に起こる“バックグラウンド効果”は回避される。
また、このセル3内に収納されるサンプルの容積は、曲
率半径の大きい従来のセルにおいて必要とされる容積に
比較して極めて小さい。サンプルの実際の容積は、円筒
体に穿孔された透孔4の口径によって決定される。この
小さい容積からの散乱光は、ガラス・セル領域を通って
検知素子に入射する過程で著しく減衰することはない。
また、粒子濃度の比較的大きいサンプルでも、同サイズ
の公知散乱セル、即ち、本発明のガラス域が余分のサン
プル液によって占有されるようなセルの場合に、介在す
る粒子によって起こる多重散乱劣化を伴なわずに分析す
ることができる。
【0025】透孔4を通過する溶媒流体の屈折率とこれ
を囲むガラス製円筒セル3の屈折率との差から本発明の
他の重要な特徴が得られる。既に述べたように、両者の
屈折率は極めて近似している。両者の間に差がある限
り、詳しくは後述するように、“バックグラウンド効
果”を無視できるほどの光度に調整し、光源によって照
射される粒子または分子から極めて小さい角度で散乱す
る光を測定することができる。
【0026】典型的には、液体の屈折率n 1 は水の屈折
率の 4/3 であり、ガラスの屈折率n 2 はその約 3/2
である。スネルの法則(図4)を応用し、角度θで水/
ガラスの臨界面9に入射する光ビーム1の屈折を求める
と、下記の結果が得られる。
【0027】 n 1 sin (π/2 −θ)= n 2 sin (π/2 −θ′) (1) ただし、入射角がπ/2 −θ、屈折角がπ/2 −θ′で
ある。
【0028】式(1) 中の正弦関数を展開し、両項をまと
めると、 n 2 cos θ′=n 1 cos θ (2) となる。
【0029】本発明の好ましい実施例としての散乱セル
では、点10が前方に、即ち、セル3の中心11よりも左
に、且つ界面に位置する。
【0030】散乱角度θが極めて小さくなると、即ち、
屈折光線が角度θ′で検知される散乱事象源12がセル10
の中心11の右側へ移動する。θ=0の限界では、θ′=
cos -1( 8/9 )=27.27 °である。即ち、散乱角度θ
が如何に小さくても、屈折光線は前記検知手段が入射す
る光ビーム1からの直接的影響を回避できるように、総
ての界面から充分遠い角度θ′で検知される。
【0031】図4の散乱角度θは、光散乱測定の最も重
要な独立変数である。従って、本発明の好ましい実施例
では、図3の検知器2を、実験的に選択された1組の角
度θの夫々と対応するように配置しなければならない。
多くの場合に使用される1組の角度θは、sin θ/2 の
等間隔となるように選択されている。この選択は、屈折
率が周囲の媒質の屈折率に極めて近い微粒子に関する測
定や、分子量測定などに特に便利である。ガラス・セル
を囲む検知手段をθ′またはsin θ′/2 の等間隔に配
列すれば、物理的に重要な散乱角度θに関連して検知さ
れたデータを解釈するのに、各測定ごとに式(1) の複雑
な換算が必要となる。
【0032】ところが、本発明の好ましい実施例では、
選択された1組の散乱角度θに対応する角度θ′でセル
3の周りに検知手段を配列する。例えば、散乱測定にお
いて屡々見られる、 0.2≦sin θ/2 ≦ 0.9 (3) の範囲設定の下にsin θ/2 等間隔で配列した場合に
は、sin θ/2 に基づいて式(2) からθ′を求めればよ
い。即ち、 n 2 cos θ′=n 1 cos θ=n 1 ( 1−2sin2 θ/2 ) (4) 従って、 θ′=cos -1[(n 1 /n 2 )( 1−2sin2 θ/2 )] (5) セルが屈折率 3/2 の光学ガラスであり、サンプルが屈
折率 4/3 の液体である典型的な場合、角度θ′の検知
素子群を下記変換表に従って配置することになる。
【0033】
【表1】
【0034】順方向に極めて小さい散乱角度で測定を行
うには、屈折のためθ′値の狭い範囲が0°に近いθ値
の広い範囲に対応するから、検知手段を極めて正確に配
置、視準しなければならない。
【0035】θ= 5.73 °で測定する場合、検知手段を
限界θ=0°値から30′(分)を差引いた27.82 °に配
置しなければならない。ただし、θ′=27.27 °であ
る。それでも、検知手段を正しく設定することで、この
方向に散乱する光を正確に捕捉することができる。
【0036】平均粒度パラメータρが大きくなるのに従
い、逆方向散乱光に対する順方向散乱光の相対強さは著
しく大きくなる。小さい角度の散乱光を測定する計器で
は、順方向散乱が優勢であり、順方向散乱事象をモニタ
ーする検知手段を飽和させる惧れがあるため、これが厄
介な問題になる場合が多い。然し、本発明では独自の態
様でこのような順方向散乱光を減衰することができるか
ら、上記問題は起こらない。θが0に近づくにつれて、
散乱光のうち、角度θ′に屈折する成分が次第に少なく
なり、θ=0においてゼロになる。図4において、入射
角θとして、水/ガラス界面9で反射する散乱光部分
は、例えばR. W. デッチバルン(Ditchburn)氏のテ
キストブック“Light”に記載されているフレネル方程
式で求めることができる。垂直偏光入射光の場合、液体
からガラスへの反射分ρw は式 ρw =sin 2 (θ′−θ)/sin 2 (θ′+θ) (6) で与えられる。但し、θは式(2) で与えられる。
【0037】θが0に近づくに従って、ρw は1に近づ
く。即ち、光の大部分が反射し、僅かな部分1−ρw だ
けが微小角検知手段に入射する。垂直入射の場合、θ=
θ′=π/2 となるこの限界ケースに関してスネルの法
則を応用すると、 ρw90 °=(n 1 −n 2 2 /(n 1 +n 2 2 =( 1/6 )2 /(17/6 )2 = 0.34 % (7) 即ち、溶液中の粒子測定の常道として、散乱セルの屈折
率よりも小さい屈折率の媒質中に散乱粒子を分散させる
ことにより、本発明では微小角検知手段を飽和させるこ
となく、微小角度で散乱する光を検知することができ
る。
【0038】以上、好ましい円筒状セルの実施例に基づ
いて本発明の要点を説明したが、散乱光測定の当業者な
ら容易に理解できるように、本発明はその他の幾何学的
条件及びセル構造をもつものにも応用できる。このこと
は上記ワット及びフィリップス(Wyatt and Phillip
s )の出願明細書に開示されているエアロゾル粒子アナ
ライザにおける単一粒子のヒドロゾル当量測定との関係
で特に重要である。極めて不規則な粒子は極線角θ及び
方位角φの双方の複関数として光を散乱させる。これに
対して、球形対称粒子の場合、一定θにおいてφの変化
に伴なう強さの変化は cos2 φ及びsin 2 φの単関数で
ある。構造が複雑な粒子の検出、分類及び測定には同一
平面内に存在しない複数の(θ,φ)位置における測定
が必要である。もし入射光が球/空気界面の大円に沿っ
て配列された検知素子群に対して垂直に平面偏光される
なら、これと直交する別の大円が存在し、これに対して
入射光が水平に偏光される。検出の幾何的条件に関して
は、上記Wyatt及びPhillips の出願明細書に更に詳細
な説明が記載されている。球体は光の散乱測定に際して
順応性の点で最も優れているが、本発明を応用できる立
体構造は球体だけではない。利用できる他の立体構造と
しては、立方体の他、種々の規則的な、及び不規則な多
面体が考えられる。
【0039】本発明の円筒体セルの実施例に関して、上
述した変換検知手段の配置は、球形セルにも応用でき
る。散乱光線の入射角度は、スネルの法則の応用に関す
る限りθだけに依存し、φとは無関係である。Wyatt及
びPhillips の特許明細書に記載されているように、夫
々が大きい円上に位置する別々の組の検知手段を限定す
るように方位角φを選択することになる。
【0040】セルに形成する透孔4は、例えばセル中心
部の小さい球形空洞のような別の構造を含むことができ
る。この空洞は、セル中心部からの散乱光が半径方向の
線に沿ってセルから検知手段へ進むことを可能にする。
このように構成すれば、液体/ガラス界面における散乱
光線の非垂直性に起因する前記界面における屈折の問題
が解消される。従って、視野が透孔4によって妨げられ
るものを除く総ての検知手段が同時に空洞中心を走査す
ることになる。このような構成は、例えば、複数の検知
手段が同時に同一場所の同一粒子を走査しなければなら
ない単一粒子走査において重要である。球形セル内の球
形空洞は、例えばレンズ研磨機で研磨した2つの半球体
から球形セルを組立てることで容易に形成することがで
きる。即ち、各半球体にサンプル導入路を形成し、各半
球体に半球形中心空洞を形成した後、両半球体及び空洞
を研磨し、球体と同じ屈折率のセメントで相互に接合す
る。
【0041】図5は取付け具を装備し、多数の検知手段
2で囲まれた組立て後のセルを示す平面図である。ここ
でビーム・モニタ13について考察する。これは、サンプ
ルを通過したビームの強さをモニタするものである。
【0042】nを粒子数/ml、σを各粒子の平均散乱断
面積とすると、長さXの光路において光源はベールの法
則に従って下記のように減衰する。
【0043】 I=I0 exp - (n σX) (8) ただし、I0 は入射光の強さである。各種の測定におい
て、多くの場合、検知された散乱の強さを散乱粒子への
入射光度に対して正規化しなければならない。この正規
化は、分子量の測定や臨界成長のモニタに際して特に重
要である。入射ビームを分割し、その一部をこの正規化
係数I0 として利用する測定装置がある。然し、このよ
うにして得られる値は、サンプルにおける実際の強さを
正しく反映しない。何故なら、セル界面における介在サ
ンプル及び反射による減衰が考慮されないからである。
また、この減衰はサンプルによってそれぞれ異なる。図
5に示すようなビーム・モニタを導入すれば、以下に述
べるように、正規化された散乱の強さを極めて正確に算
定することができる。
【0044】セルの透孔4を通るサンプル通路の全長を
2Xとし、図5のビームが入射する光学窓6から距離X
の位置に相当する透孔中心部11のごく小さい容積だけを
走査するように検知器2が視準されていると仮定する。
入射窓における入射光の強さに対するビーム・モニタ13
における強さは、各空気/ガラス界面にフレネル反射分
f を、各ガラス/液体界面にフレネル反射分g を組込ん
でベールの法則を応用することにより与えられる。即
ち、総反射量F=f +g −fgであり、従って、 I2 =I0 (1−F)2 exp - (2n σX) (9) である。
【0045】これに対して、サンプルI1 の中心におけ
る強さは、 I1 =I0 (1−F)exp - (n σX) (10) である。
【0046】散乱の強さをI0 によって正規化するので
なく、式(10)の係数I1 によって正規化しなければなら
ない。ただし、正規化係数は N≡I1 =I0 (1−F)exp - (n σX)=(I0 1/2 (I2 1/2 (11) また、Nに比例する正規化係数なら、すべて正規化係数
として適正である。ここでは濁り度の差でサンプルごと
に異なり、光源の強さの変化で経時的に異なるセル中心
における相対的な強さだけが問題である。
【0047】I3 =KI0 O<K<1 として N2 =(I3 1/2 (I2 1/2 (12) である。
【0048】従って、入射光源強さの小部分Kをモニタ
すると共にビーム・モニタ13におけるI2 をモニタする
ことにより、式(12)から、N2 が得られる。N2 は相対
的な正規化係数であるから、K値は未知でもよい。
【0049】従って、ビーム・モニタ13及び外部モニタ
における相対強さの積の平方根として得られる最終正規
化は、常にサンプルにおけるリアルタイム値に比例する
から、最適の正規化定数を表わす。
【0050】以上、0°に近い散乱角度をも含む広範囲
の散乱角度に亘って、溶液中の微粒子及び分子からの散
乱光の強さを測定する散乱セル及び散乱光の測定法に関
連して本発明の好ましい実施態様を説明したが、光散乱
の分野の専門家ならば容易に理解できるように、本発明
の思想及び範囲を逸脱することなく、上記実施態様に多
くの変更、改良を加えることができる。従って、これら
の変更、改良はすべて本発明に含まれるものと理解すべ
きである。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のセルによれば、サンプル自体によって光散乱された照
射光の成分を測定することができる。また、本発明のセ
ルを用いた測定方法によれば、入射光束自体の影響を受
けずに、極く小さな散乱角度の測定を可能にする。即
ち、如何に少量であっても、サンプルを含むセル自体か
らの顕著な“バックグラウンド効果”を導入することな
く、極めて少量のサンプル液体の殆んどあらゆる角度の
光散乱に基づく測定を可能にする。このセル構造はま
た、多くの光散乱測定において屡々重要な条件となる試
験サンプルへの実入射光束の測定をも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例である照射光源、流路、セ
ル窓、及びサンプル導入手段を示した斜視図である。
【図2】サンプル液を導入、排出するため円筒状サンプ
ル・セルに取付けた手段を示す斜視図である。
【図3】視準された検知器に囲まれ、平行光束ビームを
参照される円筒状散乱セルの平面図である。
【図4】2つの媒質間の界面におけるスネルの法則の応
用を示す説明図である。
【図5】サンプル・セル、正規化ビーム・モニタ、数個
の典型的な検知手段、及び照射光源を示す好ましい実施
例の平面図である。
【符号の説明】
1 光ビーム 2 検知器 3 セル 4 透孔 5 取付け具 6 光学窓 7 孔 8 管 9 臨界面 10 点 11 セルの中心 12 散乱事象源 13 ビーム・モニタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スティーブン ディー.フイリップス アメリカ合衆国,93117 カリフォルニア 州,ゴレタ,エルカス ウォーク 730 ナンバー 204 (72)発明者 ジェフリー エム.リース アメリカ合衆国,93108 カリフォルニア 州,サンタ バーバラ,ケルハム ウェイ 735

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)液体サンプルとしての懸濁粒子を光ビ
    ームと実質的に平行な方向へ搬送してサンプル・セル内
    を通過させる光学的に研磨されたチャンネル手段と、 b)前記チャンネル手段に対して密封され、前記サンプ
    ル・セル内の通過中に光ビームが前記チャンネル手段の
    壁と接触しないでこれに入出する窓が設けてある光ビー
    ム入出手段と、 c)前記液体サンプルを包囲し、該液体サンプルよりも
    大きい屈折率を有し、前記液体サンプル内の粒子で散乱
    された光が入る散乱光伝達/屈折手段と、 d)前記屈折手段を包囲する光学的に研磨された外表面
    と、前記懸濁粒子の液で散乱され且つ前記屈折手段で屈
    折された光が前記外表面から射出され、前記外表面の検
    知位置を通過し且つ前記外表面に対して実質的に直交す
    る方向へ通過する光を受容するように視準された外部検
    知手段で検知された信号を出す手段と、 e)前記液体サンプルを導入したり除去したりする前記
    照射チャンネルの外側にあるチャンネルからなる液体搬
    送手段と、からなり、光ビームで照射された粒子懸濁液
    の光散乱特性を種々の散乱角度で測定することを特徴と
    する光散乱測定用のサンプル・セル。
  2. 【請求項2】 前記外表面が真円筒体であることを特徴
    とする請求項1記載の光散乱測定用のサンプル・セル。
  3. 【請求項3】 前記外表面が球体であることを特徴とす
    る請求項1記載の光散乱測定用のサンプル・セル。
  4. 【請求項4】 前記外表面が多面体であることを特徴と
    する請求項1記載の光散乱測定用のサンプル・セル。
  5. 【請求項5】 複数の角度で測定した散乱光の強度値の
    各測定強度を正規化因子で除算するための正規化因子を
    発生するモニタであって、サンプル・セルが、入出窓を
    介してサンプル・セルを逸脱しないで通過する視準光ビ
    ームで照射される溶媒中に懸濁された粒子を収容してお
    り、 a)前記光ビームが前記サンプル・セルに入る前に入射
    光ビーム強度に比例する値を測定する検知手段と、 b)前記サンプル・セルを逸脱せずに通過する光ビーム
    の強度に比例する値を測定する検知手段と、 c)前記入射光ビーム検知手段及び前記非逸脱光ビーム
    検知手段からの値の積に比例する値を形成する乗算手段
    と、 d)前記c)段階の積値の平方根に比例する正規化因子
    を形成する正規化発生手段と、 e)前記散乱光強度値を前記正規化因子で除算する除算
    手段と、からなることを特徴とするサンプル・セル・モ
    ニタ。
  6. 【請求項6】 前記平行な光ビームがレーザーであるこ
    とを特徴とする請求項5記載のサンプル・セル・モニ
    タ。
  7. 【請求項7】 前記入射光ビームが前記サンプル・セル
    に入る前にビームスプリッタで分けられ、その分けられ
    た成分を前記a)段階の検知手段で測定することを特徴
    とする請求項5記載のサンプル・セル・モニタ。
  8. 【請求項8】 前記レーザーからの光が偏光されている
    ことを特徴とする請求項6記載のサンプル・セル・モニ
    タ。
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