JPH0770760B2 - 積層形圧電アクチュエ−タ素子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、X,Y,Z3方向の微小移動に用いる積層形圧電ア
クチュエータ素子に関するもので、例えば走査型トンネ
ル顕微鏡（以下STMと称す）における金属探針の微小移
動に用いるものである。

従来、STMによる三次元的な微動機構には、少なくとも
３個の圧電素子をX,Y,Z軸に組合せたトライポット機構
が用いられているが、従来の方法では、複数の圧電素子
の使用によりコストが高くなり、又、組立工数がかかる
等の問題点があった。

本発明は、これらの欠点を除去するためなされたもの
で、積層形圧電素子の内部電極構造を変えることによ
り、一個の圧電素子で三次元的な微動が出来、しかも低
電圧で大きな変位が得られる積層形圧電アクチュエータ
を構成することを目的とする。

本発明は、一枚の圧電シートの面内で二分割された二つ
の内部電極を構成し、それぞれの端部で外部電極と接続
するようにし、二つの内部電極が形成された圧電シート
は、一層毎に90度づつ回転しながら積層した構造とする
ことを特徴とする積層形圧電アクチュエータ素子であ
る。

本発明を図により詳細に説明する。

第１図に於て、圧電材料のグリーンシート１の上に等面
積で二分割した内部電極2,3が設けられ、それぞれの内
部電極の端部14,15は相対する両端で、焼結後に形成す
る外部電極と接続するように形成する。なお、ここで相
対する両端で外部電極と接続する構成としたのは、絶縁
性を保ち易い構造上の理由からあって、必ずしも相対す
る両端としないで同方向の端部であってもよい。圧電材
料グリーンシート１は、その面に形成された電極が、第
１図（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）（ｅ）に示す様に一層毎
に90度づつ回転して積層される。

一層毎に90度づつ回転して複数枚積層したグリーンシー
トは、圧接された後所定の温度で焼結し、外部電極を取
り付け、本発明の積層形圧電アクチュエータ素子とす
る。

圧電アクチュエータに用いられる材料は、チタン酸ジル
コン酸鉛の組成を持つ圧電材料で、所謂圧電ｄ常数の大
きい、又、誘電率εが大きく、ヤング率Ｅの値が小さい
材料である。此の材料は電極に電圧が印加された時は圧
電縦効果によって変位するが、電圧を取り除くと分極は
消減し、従って、使用毎に電極に加わる電圧の極性を変
えても使える。

第２図に於て、外部電極21と22との間に電圧を印加する
と、ハッチングされたＡ部が圧電的に活性化され、圧電
縦効果によりＡ部では図面の紙面に対し垂直方向に微小
変位する。

同様に、端子21と24の間に電圧を印加した時はＤが、外
部電極24と23の間に電圧を印加した時はＣが、外部電極
23と22の間に電圧を印加する時はＢが活性化し、ハッチ
ングA,B,C,Dは夫々独立して微小変位することが可能で
ある。

したがって、金属探針31（第３図参照）を積層形圧電ア
クチュエータの上面中央部に垂直に設置することによ
り、金属探針先端を三次元的に微小移動させることが出
来る。

第３図に、本発明による積層形圧電アクチュエータ素子
を用いた場合の金属探針31の先端の動きを示す。

例えば、第２図に於て、電極端子ａと、電極端子b,dと
の間に電圧を印加し、電極のハッチング域Ａ及びＤを伸
長すると、第２図に示す電極A,Dの部分は第３図（ａ）
の32の如く変位し、金属探針31は、その先端部で33に示
す微小変位が得られる。

又、第２図の電極端子a,cに正電圧を印加し、b,dをアー
スする時は電極のハッチング域A,B,C,Dはすべて伸長
し、第３図（ｂ）に示す34の如く変形し、金属探針31
は、その先端部で35の微小変位が得られる。

以下、本発明を実施例により詳細に説明する。

積層形圧電アクチュエータの寸法は、表面寸法が5mm×5
mmで長さは18mmであり、内部の構造は積層方向に115μ
ｍ間隔で内部電極層があり、内部電極層が114層積層さ
れ一体焼成されている。

又、積層体の４側面で外部電極が内部電極を並列に接続
する様に構成し、外部電極21,22,23および24を形成して
いる。ここで、２分割した内部電極を各々を独立して、
同方向のみで外部電極と接続する構成とした場合は、積
層体の２側面に外部電極があればよい。但し、外部電極
数は４個必要であることは同じである。金属探針は長さ
10mmである。

本積層形圧電アクチュエータに100Vの電圧を印加した時
の変位量を第１表に示す。

Ｘ方向：電極22は正電圧、21,23はアースとした場合。

Ｙ方向：電極21は正電圧、22,23はアースとした場合。

Ｚ方向：電極22,24は正電圧、21,23はアースとした場
合。

但し、上記の電極と印加電圧との組合せは他の組合せも
可能である。

第１表より明らかな様に、本発明の積層形圧電アクチュ
エータを用いることにより、一個の圧電素子でX,Y,Z3方
向の微小変位を得ることが可能である。

以上の説明の様に、本発明は一枚のグリーンシート面上
に二分割した内部電極を作り、各々の内部電極の端部は
独立した外部電極と接続できるようにし、此のシートを
90度づつ回転して順次積層し、焼結した後、各内部電極
端の露出する積層体の側面には外部電極を設け、外部電
源に接続するための電極端子を設け、各電極に加える電
圧を組合せることにより、三次元に微動する機構を提供
出来る様になった。

又、本発明による三次元の微動機構は走査型トンネル顕
微鏡における金属探針のX,Y,Z3方向の微小移動機構にも
用いることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、積層体の内部電極の構成を示す斜視図。１は
グリーンシート、2,3は内部電極をそれぞれ示す。 第２図は、積層体を上方から見た模式図で、21,22,23,2
4は外部電極、a,b,c,dは電極端子を示し、A,B,C,Dは電
圧印加によって個々に圧電的に活性化される部分をそれ
ぞれ示す。 第３図は、第２図のＡ−Ａ断面によって、本積層形圧電
アクチュエータ上の金属探針の微小変位を説明する図
で、（ａ）は領域A,Dが変位した場合で変位を33,（ｂ）
は領域A,B,C,Dが同時に変位した場合で変位を35にそれ
ぞれ示す。 １……グリーンシート（圧電材料）。 2,3……内部電極。 14,15……内部電極の端部。 21,22,23,24……外部電極。 a,b,c,d……電極端子。 31……金属探針。32,33,34,35……変位。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧電セラミック層と内部電極層とを積層し
   て構成された圧電セラミック積層体と、この積層体の側
   面に設けられた外部電極とからなる積層形アクチュエー
   タ素子において、一端を前記積層体の側面に露出するよ
   うに形成した２種類の内部電極に分割された前記内部電
   極層が、一層ごとに前記分割方向を90度づつ回転して積
   層配列され、同一分割方向であって積層方向に重なる同
   種類の内部電極同士が、前記積層体の側面に露出する端
   部で前記外部電極に接続された構造で、かつ前記積層体
   上部表面に探針を突設したことを特徴とする積層形圧電
   アクチュエータ素子。