JPH0770334A - ポリオレフィン樹脂成形体 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂成形体

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JPH0770334A
JPH0770334A JP24399293A JP24399293A JPH0770334A JP H0770334 A JPH0770334 A JP H0770334A JP 24399293 A JP24399293 A JP 24399293A JP 24399293 A JP24399293 A JP 24399293A JP H0770334 A JPH0770334 A JP H0770334A
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JP
Japan
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phase
molded body
polyolefin resin
polypropylene
molded product
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Pending
Application number
JP24399293A
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English (en)
Inventor
Hideaki Tanaka
秀明 田中
Takesumi Nishio
武純 西尾
Takao Nomura
孝夫 野村
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Mitsubishi Chemical Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特殊な高次構造を形成することにより、高剛性
と高衝撃性を同時に有するポリオレフィン樹脂成形体を
提供する。 【構成】主としてポリプロピレンとエチレン−プロピレ
ン共重合体とから成るポリオレフィン樹脂成形体であっ
て、ポリプロピレン相は結晶ラメラと非晶領域とから構
成され、該結晶ラメラは一辺が100〜155Åの方形
の断面を有する角柱状の形状を有し、且つ、該角柱状の
結晶ラメラは成形体表面に対し略垂直方向に配向してい
るポリオレフィン樹脂成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン樹脂成
形体に関するものであり、詳しくは、主としてポリプロ
ピレンとエチレン−プロピレン共重合体とから成るポリ
オレフィン樹脂成形体であって、その高次構造の制御に
より、高剛性、高耐衝撃性を実現し、射出成形される自
動車部品などの構造材として好適なポリオレフィン樹脂
成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン樹脂は、その易成形性と
軽量性の特徴を活かし、自動車、電気機器、機械などの
様々な分野において多量に利用されている。しかしなが
ら、高剛性と高耐衝撃性とが同時に要求される構造材用
途については、従来の他の樹脂材料に比較して必ずしも
十分とは言えないために制限されてきた。
【0003】ポリオレフィン樹脂の中でも、特に、ポリ
プロピレンは、機械的強度と成形加工性に優れ、幅広い
分野にて利用されているが、工業用部品用途には耐衝撃
性が不十分である。耐衝撃性を向上させる手法として、
ゴム的性質を有するポリマー、特に、エチレン−プロピ
レン共重合体をポリプロピレンに添加する方法が採用さ
れ、その添加方法としては、混練機により機械的に混合
する方法、ポリプロピレンの重合時にエチレン−プロピ
レン共重合体を形成させる方法、これらを併用する方法
などが一般的に採用されている。
【0004】しかしながら、上記の方法による場合、ポ
リプロピレン中のゴム成分量の増大により、組成物の耐
衝撃性は向上するものの、それに伴ない組成物の剛性が
低下するという欠点がある。従って、必要な剛性の確保
という点から、ゴム成分の使用による耐衝撃性の改善に
も限界がある。
【0005】そこで、剛性を維持しつつ耐衝撃性を改善
する方法として、ガラスファイバー、タルク等のフィラ
ーの利用が進められてきた。そして、実際、フィラーの
最適化により、更なる性能向上が図られている。例え
ば、ガラスファイバーを表面処理して使用する方法(特
開平2−6545号公報)、タルク等の粒子径を制御す
る方法(特開平1−165643号公報)、無機フィラ
ーをゴム相に選択的に分散させる方法(特公昭57−2
3642号公報)等は有効な方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フィラーを利
用する方法の場合、ポリプロピレン中のフィラー量が多
くなるに従い、組成物が脆弱性を示すようになり、ま
た、密度が増大する結果として樹脂材料の使用による軽
量化効果が損なわれる問題がある。これらの問題を解決
のためには、フィラーを除く樹脂部分の剛性・耐衝撃性
向上を実現し、それによりフィラーの使用量を減少させ
て軽量化を図る必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情
に鑑み、樹脂成形体の高次構造に着目し、高次構造の制
御、最適化による剛性と耐衝撃性の向上を目指して鋭意
検討した結果、高次構造の制御により、樹脂成形体の高
剛性と高耐衝撃性の両立が可能であることを見い出し、
本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、ポリプロピレンとエ
チレン−プロピレン共重合体とから成るポリオレフィン
樹脂成形体において、特殊な高次構造を形成することに
より、高剛性と高衝撃性を同時に有するポリオレフィン
樹脂成形体の提供を目的としたものであり、その要旨
は、主としてポリプロピレンとエチレン−プロピレン共
重合体とから成るポリオレフィン樹脂成形体であって、
ポリプロピレン相は結晶ラメラと非晶領域とから構成さ
れ、該結晶ラメラは一辺が100〜155Åの方形の断
面を有する角柱状の形状を有し、且つ、該角柱状の結晶
ラメラは成形体表面に対し略垂直方向に配向しているこ
とを特徴とするポリオレフィン樹脂成形体に存する。
【0009】そして、本発明の好ましい一の態様におい
ては、ポリプロピレン相中の非晶領域の厚さの平均値t
が、ポリプロピレン単独成形体の非晶領域の厚さの平均
値t0 に対し、t0 <tの関係にあり、また、他の好ま
しい態様においては、エチレン−プロピレン共重合体相
が、疑楕円平板状の形態を有し、しかも、その平面が、
成形体表面に平行に配向され且つ成形時の流動方向に対
して平行方向に存在し、更に他の好ましい態様において
は、エチレン−プロピレン共重合体相が、網目状の連続
相を形成している。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、第1成分であるポリプロピレン(以下、「P
P」と言うことがある。)は、一般的に、三塩化チタン
又はTi化合物をMgCl2 等に担持した固体触媒成分
とを組み合わせて成る触媒系(所謂チーグラー・ナッタ
触媒)を使用した通常の方法によって製造されるものが
使用できる。
【0011】具体的には、プロピレン単独重合体、プロ
ピレンと少量のエチレン等の他のα−オレフィンとの共
重合体、または、第一工程でプロピレンを単独重合した
後、第二工程でプロピレンとエチレン等の他のα−オレ
フィンとの共重合を行うことによって得られるポリプロ
ピレンブロック共重合体などが使用できる。特に優れた
剛性と耐衝撃強度とがバランスした成形体を得るには、
立体規則性の高い結晶性ポリプロピレンが好ましい。
【0012】本発明において、第2成分であるエチレン
−プロピレン共重合体(以下、「EPR」と言うことが
ある。)は、通常、不活性炭化水素溶媒に可溶な3〜5
価のバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との組
み合わせから成る溶媒系によって製造される共重合体が
使用される。
【0013】また、上記のチーグラー・ナッタ触媒によ
るプロピレンの重合工程とそれに続くプロピレン−エチ
レン共重合工程とから成る多段の重合工程から得られる
プロピレンブロック共重合体中のエチレン−プロピレン
共重合体も十分使用できる。更に、これらを併用するこ
とも出来る。特に優れた耐衝撃強度の成形体を得るに
は、プロピレンブロック共重合体にバナジウム系触媒で
得られるEPRを更に外添して使用するのが好ましい。
【0014】本発明の成形体において、物性バランスの
向上のため、エチレンとプロピレン以外のα−オレフィ
ンとの共重合体および/またはエチレン重合体の併用も
好ましい実施態様として採用される。
【0015】本発明の成形体において、第1成分である
PPと第2成分であるEPRとの割合は、用途や目的に
応じて任意に設定できるが、高剛性と高耐衝撃性とを同
時に実現するためには、PPとEPRの合計量に対する
PPの割合は40〜85重量%、EPRの割合は15〜
60重量%とするのが好ましい。そして、PPとEPR
以外の他の重合体を併用する場合、重合体全量に対する
PPとEPRの合計量は、通常70重量%以上、好まし
くは80重量%以上とされる。
【0016】また、本発明の成形体においては、一般的
に使用される結晶核剤やタルク等の無機フィラーを含有
することが出来る。そして、無機フィラーとしては、分
散性を向上させるために各種シランカップリング剤や界
面活性剤によって一般的な表面処理を施した無機フィラ
ー又は無処理の無機フィラーの何れであってもよい。
【0017】本発明の成形体を構成する組成物は、一軸
押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロールな
どの混練機により、上記の各成分を混練処理することに
よって製造することが出来る。そして、得られた組成物
は、射出成形によって成形体とされるが、特殊な高次構
造を有する本発明の成形体を得るためには、後述の実施
例において詳述する通り、斯かる高次構造が達成される
様に、特に、成形温度の厳密な制御が必要である。
【0018】本発明の成形体は、従来の成形体とは著し
く相違する高次構造に基づき、優れた物性を発揮する。
すなわち、本発明の成形体は、PPとEPRとから成る
ポリオレフィン樹脂成形体であって、PP相は結晶ラメ
ラと非晶領域とから構成され、そして、PP相の結晶ラ
メラは、次の2つの要件を同時に満足することが必要で
ある。
【0019】(1)PP相の結晶ラメラは一辺が100
〜155Å、好ましくは120〜150Åの方形の断面
を有する角柱状の形状を有していること。ここで、方形
の断面とは、4つの辺の中、最も短い辺の長さをa、最
も長い辺の長さをbとした際に、1≦b/a≦1.55
の関係を満足し、且つ、4つの角が何れも80〜100
°の範囲である様な四角形状の断面を意味する。(2)
角柱状の結晶ラメラは、成形体表面に対して略垂直方向
に配向していること。そして、これらの特徴的な構造
は、下記の方法により観察または解析することが出来
る。
【0020】(A)結晶ラメラの配向構造:透過型電子
顕微鏡にて解析することが出来る。具体的には、(1)
成形体の形成時の樹脂流動方向に平行で且つ成形体表面
に垂直な平面、(2)成形時の樹脂の流動方向に垂直な
平面、(3)成形体表面に平行な平面にそれぞれ沿った
3種の超薄切片を切り出し、ルテニウム酸(RuO4
蒸気中に静置してEPRとPPの非晶領域を染色する。
3種の超薄切片は、ミクロトームにより、厚さ800Å
以下の超薄切片として切り出す。
【0021】そして、透過型電子顕微鏡にて観察し、染
色されずに残った結晶ラメラの長さ方向と成形体表面に
垂直に方向とを比較して配向を確認する。そして、3種
の超薄切片による観察は、互いに直交する3方向からの
構造観察となるため、3次元構造、すなわち、結晶ラメ
ラの形態を把握することが出来る。
【0022】(B)結晶ラメラのサイズ(厚さ等):小
角X線散乱測定にて解析することが出来る。具体的に
は、銅を陰極とする回転陰極型X線発生装置をX線源と
し、グラファイト結晶を使用したX線単色化装置によ
り、CuKα線のみを抽出して測定試料への入射X線と
して使用する。測定試料への入射に際しては、20cm
以上の間隔で設置した2つのX線用スリット(内径0.
5mm以下)によりX線ビームの形状を絞る。
【0023】試料位置から1m以上離れた場所に設置し
たX線用比例計数管により、散乱角度0〜3°までの散
乱X線を測定し、散乱強度分布図を得る。この散乱強度
分布データーから、試料無しの状態で測定した散乱強度
分布データー(通常エアー散乱強度と呼ばれる)にX線
透過率をかけたデーターを引き算する。ここで、X線透
過率とは、入射したX線の強度に対する、入射したX線
の中で散乱せずに試料を透過して来たX線の強度の割合
である。
【0024】更に、散乱強度分布データーから熱散漫散
乱によるバックグラウンド強度を引き算する。ここで、
バックグラウンド強度の評価は、散乱角度2°以上に認
められる散乱強度の最小値を与える散乱角度s1よりも
広角側の散乱強度に対し、次式のカーブフィティングを
行うことにより決定する。
【0025】
【数1】(バックグラウンド強度)=a+b×S 2 a,b:カーブフィティングで最適化される変数 s:波数ベクトル s=2×sin(θ)÷1.54 2×θ:散乱角度
【0026】こうして得られた処理済みデーターの散乱
ピーク位置に基づき、長周期、すなわち、結晶ラメラ間
の距離を評価する。更に、Strobl等の方法(G.
R.Strobl,M.Schneider,J.Po
lym.Sci.,Polym.Phys.Ed.,1
8,1343(1980)に記載されている方法)に従
い、処理済みデーターをフーリエ変換し、結晶ラメラの
厚さ、および、結晶ラメラの他の辺の長さを評価する。
【0027】本発明の好ましい成形体においては、PP
相中の非晶領域の厚さの平均値tが、本発明の成形体の
製造に使用した成形機と同一成形機により、同一成形条
件で製造したPP単独成形体の非晶領域の厚さの平均値
0 に対し、t0 <tの関係を満足する。
【0028】上記において、非晶領域の厚さとは、隣り
合う結晶ラメラに挟まれた領域の厚さを意味する。そし
て、非晶領域の厚さの平均値とは、先の小角X線散乱測
定による結晶ラメラの厚さ評価の際に得られる、結晶ラ
メラの厚さ及び長周期の値に基づき、次式に従って定義
される値を意味する。
【0029】
【数2】(非晶領域の厚さの平均値)=(長周期)−
(結晶ラメラの厚さ)
【0030】本発明の好ましい成形体においては、EP
R相が、疑楕円平板状の形態を有し、しかも、その平面
が、成形体表面に平行に配向され且つ成形時の流動方向
に対して平行方向に存在している。また、本発明の好ま
しい成形体においては、EPR相が網目状の連続相を形
成し、特に好ましい成形体においては、EPR相がPP
の角柱状の結晶ラメラ間のPP非晶領域に進入した様な
網目状の連続相を形成している。
【0031】上記において、疑楕円平板状とは、EPR
相の形態が楕円形状に相似しているが、その楕円に相当
する部分の外周の形状は、真の楕円の様に外に向かって
凸の単調な曲線ではなく、凹凸を有していることを意味
する。
【0032】そして、EPR相の分散構造の評価は、先
の透過型電子顕微鏡による結晶ラメラの配向構造の観察
と同様な手法により行うことが出来る。すなわち、
(1)成形体の形成時の樹脂流動方向に平行で且つ成形
体表面に垂直な平面、(2)成形時の樹脂の流動方向に
垂直な平面、(3)成形体表面に平行な平面にそれぞれ
沿った3種の超薄切片を切り出し、ルテニウム酸(Ru
4 )蒸気中に静置してEPR相を染色する。3種の超
薄切片は、ミクロトームにより、厚さ800Å以下の超
薄切片として切り出す。これらの3種の超薄切片による
観察は、互いに直行する3方向からの構造観察となるた
め、3次元構造が把握できる。そして、透過型電子顕微
鏡にて観察し、EPR相の形態と異方性を評価する。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の例におい
て、物性測定は、次の方法によって行った。
【0034】(1)メルトフローレイショ(MFR:g
/10分)は、ASTM−D1238に準拠し、2.1
6Kg荷重、230℃の条件で測定した。 (2)アイソタクチックペンタッド分率(%)は、13
−NMRにより、「Macromolecule,8,
687(1975)」中に記載の方法に基づいて測定し
た。
【0035】(3)曲げ弾性率(FM:Kgf/c
2 )は、ASTM−D790に準拠し、曲げ速度2m
m/分、23℃の条件で測定した。 (4)耐衝撃性(Izod:Kg・cm/cm)は、A
STM−D785に準拠し、−30℃のアイゾット値で
評価した。
【0036】(5)引っ張り伸び特性(TE:%)は、
ASTM−D638に準拠し、引っ張り速度10mm/
分、23℃の条件で測定した。 (6)熱変形温度(HDT:℃)は、ASTM−D64
8に準拠し、4.6Kg荷重の条件で測定した。
【0037】実施例1〜3及び比較例1 <樹脂成形体の製造>東芝機械社製の「TEM35B」
型二軸混練機を使用し、表1に記載のPP、EPR及び
タルクを表2に示す割合で混練してペレットを得た。
【0038】
【表1】 ──────────────────────────────────── PP-1 PP-2 EPR-1 EPR-2 MFR(g/10分、230 ℃) 39 41 0.8 0.4 エチレン含有量(重量%) 6.1 8.4 78 85 EPR中のエチレン含有量(重量%) 30 50 − − アイソタクチックペンタッド分率(%) 98 94 − − ──────────────────────────────────── (注)PP:ポリプロピレンブロック共重合体(エチレ
ン含有量約50重量%のEPRとホモPPの混合物)、
EPR:エチレン−プロピレンランダム共重合体
【0039】
【表2】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 比 較 例 1 2 3 1 PP(重量%) PP-1(65) PP-1(62) PP-1(65) PP-2(65) EPR(重量%) EPR-1(15) EPR-1(18) EPR-2(15) EPR-1(15) タルク(重量%) (20) (20) (20) (20) ──────────────────────────────────── (注)タルク:平均粒径3.1μm
【0040】型締め圧80トンの射出成形機を使用し、
表3に示す成形条件を採用し、実施例1〜3及び比較例
1の各ペレットから、後述の物性測定の項に記載した測
定法に準拠した試験片を作成した。試験片の物性策定の
結果を表4に示す。
【0041】
【表3】 ──────────────────────────────────── 実施例1〜3 比較例1 樹脂温度(℃) 210 210 樹脂温度調整範囲(℃) ±4 精密調整せず 金型設定温度(℃) 30 30 金型平均温度(℃) 30 40 金型温度調整範囲(℃) ±3 ±10 冷却時間(秒) 20 20 ────────────────────────────────────
【0042】
【表4】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 比 較 例 1 2 3 1 MFR 14 13 12 13 FM 26400 25900 26200 18500 Izod 18 21 14 21 TE 300< 200 300< 300 < HDT(℃) 130 129 131 123 ────────────────────────────────────
【0043】<成形体の構造解析> (I)実施例1〜3及び比較例1で得られた成形体のP
P相の長周期、PP相の結晶ラメラの厚さ及び非晶領域
の厚さの平均値(t)を表5に示す。なお、実施例と同
一条件で得られたポリプロピレン単独重合体(PP−
1)の非晶領域の厚さの平均値(t0 )等のデータも表
5に示す。
【0044】
【表5】 ──────────────────────────────────── 実 施 例 比較例 PP-1 1 2 3 1 長周期(Å) 154 148 159 130 130 結晶ラメラの厚さ(Å) 125 115 132 104 104 結晶ラメラの厚さ方向の辺と 測定 測定 略直交する他の辺の長さ(Å) 128 115 134 不可 不可 非晶領域の厚さの平均値(Å) 29 33 27 26 26 ────────────────────────────────────
【0045】上記の表5中、「結晶ラメラの厚さ方向の
辺と略直交する他の辺」とは、方形の断面を有する角柱
状の結晶ラメラの当該断面において、その断面の一辺の
長さ(結晶ラメラの厚さ)と略直交する他の一辺の長さ
を意味する。また、「測定不可」は、結晶性ポリマーか
らなる従来の成形体の場合は、データがランダムに分散
しているために測定出来ないことを意味する。
【0046】(II)PP相の結晶ラメラと非晶領域につ
いて:図1〜6に実施例1で得られた成形体の構造の電
子顕微鏡写真を示す。図中の黒い領域は、染色剤によっ
て染まった領域であり、EPR相またはPP非晶領域に
相当する。図中の白い領域は、染色剤によって染まって
いない領域であり、PP相の結晶ラメラに相当する。
【0047】(III) 結晶ラメラの配向構造について:
図1は、成形体表面に平行な平面を観察した写真(倍率
400,000倍)であり、図中の黒い領域は、全てP
P非晶領域に相当する。図1から、成形体の表面方向か
ら観察した場合、結晶ラメラの断面が方形であることが
分かる。
【0048】図2は、成形体の形成時の樹脂流動方向に
平行で且つ成形体表面に垂直な平面を観察した写真(倍
率150,000倍)であり、図3は、成形時の樹脂の
流動方向に垂直な平面を観察した写真(倍率150,0
00倍)である。図中の黒い大きな領域は、EPR相に
相当する。互いに直交する2方向からの観察により、結
晶ラメラが帯状であることが分かる。従って、上記の図
1〜3の結果を総合することにより、結晶ラメラは、そ
の断面が方形の角柱状構造であることが確認される。
【0049】(IV) EPR相の形状について:図4は、
成形体表面に平行な平面を観察した写真(倍率15,0
00倍)、図5は、成形体の形成時の樹脂流動方向に平
行で且つ成形体表面に垂直な平面を観察した写真(倍率
15,000倍)、図6は、成形時の樹脂の流動方向に
垂直な平面を観察した写真(倍率15,000倍)であ
る。
【0050】図4〜6中の黒い領域はEPR相であり、
白または灰色の領域は、PP相に相当する。なお、図
中、試料に重なって見える網目状の組織は、超薄切片を
電子顕微鏡用試料台(銅メッシュ)に支持するために使
用したコロジオン多孔質膜である。成形体の表面方向か
ら観察した場合、EPR相の形態が疑楕円状であること
が図4から分かる。そして、成形体表面に平行に直交す
る2方向から観察した場合、厚さ方向に潰れた板状であ
ることが図6から分かる。従って、上記の図4〜6の結
果を総合することにより、EPR相が疑楕円平板状の形
態を有し、しかも、その平面が、成形体表面に平行に配
向され且つ成形時の流動方向に対して平行方向に存在し
ていることが確認される。
【0051】(V) 図7に比較例1で得られた成形体の
結晶ラメラの構造の電子顕微鏡写真(倍率150,00
0倍)を示す。比較例1で得られた成形体は、通常に実
施されている成形温度の制御を行って得られたものであ
るが、本発明の成形体の様な特殊な構造は観察されなか
って。すなわち、図7から分かる様に、結晶ラメラは、
全く配向していない。しかも、(1)成形体の形成時の
樹脂流動方向に平行で且つ成形体表面に垂直な平面、
(2)成形時の樹脂の流動方向に垂直な平面、(3)成
形体表面に平行な平面の3つの平面の観察によっても図
1に示す様な格子状の構造は観察されなかった。そし
て、その結果、比較例1で得られた成形体の物性は、表
4に示す様に、本発明の成形体に比べて劣っている。
【0052】
【発明の効果】以上説明した本発明のポリオレフィン樹
脂成形体によれば、樹脂本来の軽量性を維持し、高剛性
と高耐衝撃性とを両立させた優れた性質を有する。よっ
て、本発明の成形体は、射出成形される自動車部品など
の構造材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた成形体について、成形体表
面に平行な平面を観察した電子顕微鏡写真(倍率40
0,000倍)である。
【図2】実施例1で得られた成形体について、成形体の
形成時の樹脂流動方向に平行で且つ成形体表面に垂直な
平面を観察した電子顕微鏡写真(倍率150,000
倍)である。
【図3】実施例1で得られた成形体について、成形時の
樹脂の流動方向に垂直な平面を観察した電子顕微鏡写真
(倍率150,000倍)である。
【図4】実施例1で得られた成形体について、成形体表
面に平行な平面を観察した電子顕微鏡写真(倍率15,
000倍)である。
【図5】実施例1で得られた成形体について、成形体の
形成時の樹脂流動方向に平行で且つ成形体表面に垂直な
平面を観察した電子顕微鏡写真(倍率15,000倍)
である。
【図6】実施例1で得られた成形体について、成形時の
樹脂の流動方向に垂直な平面を観察した電子顕微鏡写真
(倍率15,000倍)である。
【図7】比較例1で得られた成形体の結晶ラメラの構造
の電子顕微鏡写真(倍率150,000倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 孝夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主としてポリプロピレンとエチレン−プ
    ロピレン共重合体とから成るポリオレフィン樹脂成形体
    であって、ポリプロピレン相は結晶ラメラと非晶領域と
    から構成され、該結晶ラメラは一辺が100〜155Å
    の方形の断面を有する角柱状の形状を有し、且つ、該角
    柱状の結晶ラメラは成形体表面に対し略垂直方向に配向
    していることを特徴とするポリオレフィン樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン相中の非晶領域の厚さの
    平均値tが、ポリプロピレン単独成形体の非晶領域の厚
    さの平均値t0 に対し、t0 <tの関係にある請求項1
    に記載のポリオレフィン樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 エチレン−プロピレン共重合体相が、疑
    楕円平板状の形態を有し、しかも、その平面が、成形体
    表面に平行に配向され且つ成形時の流動方向に対して平
    行方向に存在している請求項1に記載のポリオレフィン
    樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 エチレン−プロピレン共重合体相が、網
    目状の連続相を形成している請求項1に記載のポリオレ
    フィン樹脂成形体。
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