JPH0770302A - 全芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリエステルの製造方法

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JPH0770302A
JPH0770302A JP21743893A JP21743893A JPH0770302A JP H0770302 A JPH0770302 A JP H0770302A JP 21743893 A JP21743893 A JP 21743893A JP 21743893 A JP21743893 A JP 21743893A JP H0770302 A JPH0770302 A JP H0770302A
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JP
Japan
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aromatic
acid
ester
dicarboxylic acid
wholly aromatic
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Application number
JP21743893A
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English (en)
Inventor
Hiroka Tanizake
広香 谷酒
Koji Yamamoto
山本  幸司
Takeo Hayashi
武夫 林
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステ
ルをジカルボン酸原料成分として使用し、耐熱性に優れ
た高分子量の全芳香族ポリエステルの製造方法を提供す
ることにある。 【構成】 (A)少なくとも1種以上の芳香族ジカルボ
ン酸の低級ジアルキルエステルと、(B)1種以上の芳
香族ジヒドロキシ化合物の低級脂肪族モノカルボン酸ジ
エステルとを反応させて全芳香族ポリエステルを得るに
際し、周期律表3族〜15族〔IUPAC無機化学命名
法改訂版(1989)による〕から選ばれる1種以上の
金属化合物を芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエス
テルの合計モル数に対して金属として0.1〜1.5モ
ル%存在させ、280℃以上まで加熱することを特徴と
する全芳香族ポリエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は芳香族ジカルボン酸の低
級ジアルキルエステルをジカルボン酸原料成分もしくは
ジカルボン酸原料成分の一部とする耐熱性に優れた高分
子量の全芳香族ポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジヒド
ロキシ化合物成分、場合によってはさらに芳香族ヒドロ
キシ酸成分を使用して全芳香族ポリエステルを製造する
方法の一つとして、従来より芳香族ジカルボン酸と芳香
族ジヒドロキシ化合物の低級脂肪族モノカルボン酸ジエ
ステルおよび芳香族ヒドロキシ酸の低級脂肪族モノカル
ボン酸エステルとを反応させ、生成する低級脂肪族モノ
カルボン酸、多くの場合は酢酸を系外に留去することに
より全芳香族ポリエステルを製造する方法が採用されて
きた。この方法は無触媒でも反応が進行するため高品質
の製品が得られやすい等の利点がある反面、酢酸が留出
するため耐酸性の材料を製造装置に使用しなければなら
ず、その結果、製造装置の建設費が高価となる欠点があ
った。
【0003】一方、芳香族ジカルボン酸は一般にアルキ
ル体、アシル体、アルデヒド体等の目的とする芳香族ジ
カルボン酸に対応する芳香族化合物を気相酸化あるいは
液相酸化することにより製造されるが、酸化触媒の残渣
等の不純物を含有している。そのため不純物を除去して
高純度の芳香族ジカルボン酸とする必要があるが、芳香
族ジカルボン酸は一般に溶媒に対する溶解性に乏しいた
め再結晶による精製が困難である。また、実質的に融点
を示さない場合が多く、蒸留や昇華による精製も困難で
ある。これらの理由から、高純度の芳香族ジカルボン酸
を得るために、ジメチルエステル等の低級ジアルキルエ
ステルとして蒸留や再結晶等の精製を施すことが多い。
しかし、従来の技術では上述した芳香族ジヒドロキシ化
合物等の低級脂肪族モノカルボン酸エステルとの反応に
よる全芳香族ポリエステルの製造の場合、芳香族ジカル
ボン酸の低級ジアルキルエステルのままでは反応させが
たいため、ジカルボン酸に戻す必要があった。芳香族ジ
カルボン酸の低級ジアルキルエステルを酸に戻す方法と
しては、アルカリによる加水分解が一般的であるが、こ
の方法にはアルカリ金属が混入しやすいうえに析出した
芳香族ジカルボン酸の粒子が非常に細かく濾過が困難で
あるため、製造費用が高価になる欠点がある。
【0004】芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエス
テルと芳香族ジヒドロキシ化合物等の低級脂肪族モノカ
ルボン酸エステルとを反応させて全芳香族ポリエステル
を得る試みはいくつかなされてはいるが未だ充分な分子
量の全芳香族ポリエステルが得られてはいない。例え
ば、ビール(G.Bier)は、ポリマー(POLYM
ER)誌、第15巻、527〜535頁(1974年)
の論文において、ポリアリレートを得る反応の一つとし
て、2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパン
とテレフタル酸ジメチルとからの脱酢酸メチル反応を例
示はしているが、同じ論文においてこの方法ではオリゴ
マーしか得られなかったと報告している。
【0005】また、オオイシ(T.Oishi)らは、
ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・パートA
(Journal of Polymer Scien
ce、PartA)、第30巻、83〜89頁(199
2年)の論文において、テレフタル酸ジメチルおよびイ
ソフタル酸ジメチルと2,2−ビス(4−アセトキシフ
ェニル)プロパンとをジブチル錫オキサイドの存在下に
反応させてポリアリレートを得たと報告している。しか
し、テレフタル酸ジメチルおよびイソフタル酸ジメチル
の合計量と2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プ
ロパンとのモル比を1とした場合、ジブチル錫オキサイ
ドをテレフタル酸ジメチルおよびイソフタル酸ジメチル
の合計量に対して5モル%添加して得られたポリマーの
固有粘度はわずか0.21に過ぎず、高分子量のポリマ
ーが得られたとは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のごとく従来技術
では芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルをジ
カルボン酸原料成分として高分子量の全芳香族ポリエス
テルを製造することができなかった。本発明の目的は、
前記従来技術では達成し得なかった芳香族ジカルボン酸
の低級ジアルキルエステルをジカルボン酸原料成分もし
くはジカルボン酸原料成分の一部として耐熱性に優れた
高分子量の全芳香族ポリエステルを製造する方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明らは、上記課題を
解決するために、ジカルボン酸成分として主に芳香族ジ
カルボン酸の低級ジアルキルエステルを使用し、芳香族
ジヒドロキシ化合物、(および、必要により1種以上の
芳香族ヒドロキシ酸)とを反応させて全芳香族ポリエス
テルを得るに際し、周期律表3族〜15族[IUPAC
無機化学命名法改訂版(1989)による]から選ばれ
る1種以上の金属化合物を触媒として使用することによ
り上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成
させた。
【0008】すなわち、本発明は、(A)少なくとも1
種以上の芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステル
と、(B)1種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物の低級
脂肪族モノカルボン酸ジエステルとを反応させて全芳香
族ポリエステルを得るに際し、周期律表3族〜15族
〔IUPAC無機化学命名法改訂版(1989)によ
る〕から選ばれる1種以上の金属化合物を芳香族ジカル
ボン酸の低級ジアルキルエステルの合計モル数に対して
金属として0.1〜1.5モル%存在させ、280℃以
上まで加熱することを特徴とする全芳香族ポリエステル
の製造方法に関する発明である。以下にさらに詳細に本
発明を説明する。
【0009】本発明の全芳香族ポリエステルとは、分子
鎖中の大部分のエステル基が芳香環に直接結合している
ポリエステルを指し、芳香環相互の間の結合基としてエ
ステル基以外にイミド基、アミド基、エーテル基、アル
キル基等を含んでも良い。また、全芳香族ポリエステル
としての性能を大幅に損なわない限り、一部には脂肪族
基に結合したエステル基を含んでも良い。芳香環の水素
原子の一部がアルキル、アリール、ハロゲン等で置換さ
れていても当然本発明でいう全芳香族ポリエステルの範
疇に含まれる。
【0010】本発明に用いる芳香族ジカルボン酸の低級
ジアルキルエステルに使用する芳香族ジカルボン酸の種
類に特に制限はなく、すべての芳香族ジカルボン酸を用
いることができる。具体的には、テレフタル酸、イソフ
タル酸、オルソフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボ
ン酸、2、7−ナフタレンジカルボン酸、1、6−ナフ
タレンジカルボン酸、4,4’−オキシビス安息香酸、
4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,3’−ビフェ
ニルジカルボン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン
酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ベ
ンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメ
タン−4,4’−ジカルボン酸、2,2−ジフェニルプ
ロパン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン
−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−(エチレンジオ
キシ)ビス安息香酸、 4,4’−(エチレンジオキ
シ)ビス−2−クロロ安息香酸、4,4’−(1,6−
ヘキサメチレンジオキシ)ビス安息香酸、N,N’−
(4,4’−ジフェニルエーテル)−ビス−3,4−ジ
カルボキシミド安息香酸、N,N’−(4,4’−ジフ
ェニルエーテル)−ビス−3,4−ジカルボキシミド安
息香酸等の低級ジアルキルエステルであるが、これらに
限定されるものではない。
【0011】又、本発明において、芳香族ジカルボン酸
成分として上記芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエ
ステル以外に、エステル化されていない芳香族ジカルボ
ン酸が芳香族ジカルボン酸成分全体の95モル%以下の
範囲で含まれていてもよい。この場合、エステル化され
ていない芳香族ジカルボン酸の種類は、低級ジアルキル
エステルとして用いられる芳香族ジカルボン酸の種類と
同一であってもまた異種であってもい。更に、分子量調
節のための少量の芳香族モノカルボン酸低級アルキルエ
ステル、芳香族モノカルボン酸が加えられていてもよ
い。
【0012】本発明に用いられる芳香族ジカルボン酸の
低級ジアルキルエステルとしては、芳香族ジカルボン酸
のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエス
テル、イソプロピルエステル等であるが、特に好ましく
はメチルエステルである。
【0013】本発明に用いられる特に好ましい芳香族ジ
カルボン酸の低級ジアルキルエステルは2、6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチルエステルおよび4,4−ビフ
ェニルジカルボン酸ジメチルエステルから選ばれる1種
以上である。
【0014】本発明において用いられる芳香族ジヒドロ
キシ化合物低級脂肪族モノカルボン酸ジエステルの種類
に特に制限はなく、具体的にはヒドロキノン、レゾルシ
ン、フェニルヒドロキノン、クロロヒドロキノン、メチ
ルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、フェノールフタレイン等の低級脂肪族モノカル
ボン酸エステルであるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0015】低級脂肪族モノカルボン酸エステルとして
用いられる芳香族ヒドロキシカルボン酸の種類に特に制
限はなく、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸、m−
ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸等が
挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0016】低級脂肪族モノカルボン酸エステルとして
は、蟻酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステ
ル等が用いられるが、特に好ましくは酢酸エステルであ
る。
【0017】本発明においては、芳香族ジヒドロキシ成
分および必要に応じて使用する芳香族ヒドロキシ酸成分
として以下に示す2通りの出発原料を用いる方法をとる
ことができる。 1)芳香族ジヒドロキシ化合物の低級脂肪族モノカルボ
ン酸エステル 芳香族ヒドロキシ酸の脂肪族モノカルボン酸エステル 2)芳香族ジヒドロキシ化合物 芳香族ヒドロキシ酸 芳香族ジヒドロキシ化合物および芳香族ヒドロキシ酸の
フェノール性水酸基の合計量に対して等モル以上の低級
脂肪族モノカルボン酸無水物 本発明においては、1)あるいは2)の出発原料だけを
用いてもよいし、また1)および2)の出発原料を併用
してもよい。
【0018】芳香族ジカルボン酸成分と、芳香族ジヒド
ロキシ化合物とのモル比は実質的に0.9〜1.1の範
囲内にあるのが望ましく、この範囲外であると高分子量
の全芳香族ポリエステルを得るのが困難である。
【0019】本発明に用いる金属化合物は、周期律表3
族〜15族[IUPAC無機化学命名法改訂版(198
9)による]から選ばれる1種以上の金属化合物であ
る。これら以外の金属では、触媒活性が低く本発明の目
的を達成することができない。さらに好ましくは、T
i、Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、N
i、Pd、Cu、Zn、Cd,Ge、Sn、Pb、S
b、Biから選ばれる1種以上の金属化合物である。金
属化合物の形態としては、酸化物や、塩化物、硫酸塩、
硝酸塩、燐酸塩などの鉱酸塩、酢酸塩などの脂肪族カル
ボン酸塩、ナフトエ酸塩などの芳香族カルボン酸塩、有
機金属化合物などが好ましく用いられる。
【0020】金属化合物の添加量は、芳香族ジカルボン
酸の低級ジアルキルエステルの合計量に対して0.1〜
1.5モル%である。金属化合物の添加量が、芳香族ジ
カルボン酸の低級ジアルキルエステルの合計量に対して
0.1モル%に満たないと反応速度が遅く、本発明の目
的である高分子量の全芳香族ポリエステルが得られな
い。金属化合物の添加量が、芳香族ジカルボン酸の低級
ジアルキルエステルの合計量に対して1.5モル%を越
えると、得られた全芳香族ポリエステルの耐熱性が悪
く、本発明の目的を達成できない。耐熱性は熱重量分析
計による熱分解開始温度により評価することができる。
金属化合物の添加量が多いと、熱分解開始温度が低下す
るのは金属により全芳香族ポリエステルの熱分解が促進
されるためと考えられる。
【0021】本発明の全芳香族ポリエステルの製造は、
少なくとも1種以上の芳香族ジカルボン酸の低級ジアル
キルエステル、および必要があれば芳香族ジカルボン酸
と、上記1)または上記2)の原料とを特定量の特定金
属化合物存在下に、常圧下、あるいは加圧下に撹拌しな
がら生成する低級脂肪族モノカルボン酸低級アルキルエ
ステルおよび低級脂肪族モノカルボン酸、あるいは低級
脂肪族モノカルボン酸低級アルキルエステルを系外に留
去しつつ280℃以上まで加熱することにより行われ
る。反応温度が280℃に満たないと低級脂肪族モノカ
ルボン酸低級アルキルエステルを生成する反応が遅く、
経済的な製造方法とはなり得ない。さらに望ましい反応
温度は300℃以上である。反応の後期に系内を真空と
するのも、高分子量の全芳香族ポリエステルを得るのに
好適な手段である。
【0022】反応温度の上限は、目的とする全芳香族ポ
リエステルの構成単位の組み合わせにより異なるが、お
おむね目的とする全芳香族ポリエステルの融点もしくは
軟化温度より1〜50℃上回る温度が適当である。
【0023】一般に芳香族ジカルボン酸は、融点が高い
か、あるいは融点を示さないものが多いため、芳香族ジ
カルボン酸のみをジカルボン酸成分とする全芳香族ポリ
エステルの製造においては反応初期は不均一系でスラリ
ー状を呈しているのに対し、本発明の製造方法において
は融点の比較的低い芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキ
ルエステルをジカルボン酸成分のすべてあるいは一部と
しているため、均一系あるいはスラリー粘度が低く、撹
拌動力が小さくてすむのも本発明の利点の一つである。
【0024】本発明の製造方法を実施するにあたり、従
来公知の酸化防止剤、熱安定剤等を添加してもよい。
【0025】本発明により、従来技術では達成し得なか
った芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエステルをジ
カルボン酸原料成分もしくはジカルボン酸原料成分の一
部として耐熱性に優れた高分子量の全芳香族ポリエステ
ルを製造することが可能となる。本発明により得られる
全芳香族ポリエステルは、射出成形品、フィルム、繊
維、パルプとして有用である。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。ポリマーの分析は以下の方法によった。
【0027】(1)対数粘度 対数粘度[(lnηrel )/c]は、濃度(c)0.1
6g/dlのペンタフルオロフェノール溶液を60℃に
おいてキャノンマニング−セミミクロ粘度計を使用して
測定した。
【0028】(2)熱分解開始温度 熱重量分析計(セイコー電子製、型式:SSC−500
0型)を使用し、試料約4mgを乾燥空気気流(300
ml/分)中、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0029】(3)ガラス転移温度、および融点 ポリマーのガラス転移温度および融点(溶融により吸熱
を示す温度)は、示差走査熱量計(セイコー電子製、型
式:DSC−200型)を使用し、試料約10mgをア
ルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流(30m
l/分)中、昇温速度20℃/分で測定した。
【0030】(4)留出液の分析 ガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−9A型)
により分析した。
【0031】参考例1 撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入管、凝縮器に連
結した蒸留ヘッドを装着した50ml反応管に、 2,6−ナフタレンジカルボン酸 7.10g、 N,N’−(4,4’−ジフェニルエーテル)−ビス−
3,4−ジカルボキシミド安息香酸
2.58g、 ヒドロキノン 4.13g p−ヒドロキシ安息香酸 15.57g 無水酢酸 21.9g を仕込み、窒素で3回パージした後、ゆるやかに撹拌し
ながら反応缶内に少量の窒素を流しつつ145℃まで昇
温した。 反応缶内の温度が145℃に到達後、撹拌速
度を上げ、この温度に1.5時間保った後、240℃ま
で昇温した。この時点での留出液は13.3gであり、
成分は酢酸および無水酢酸であった。さらに240℃で
1時間保った後、段階的に昇温し、260℃で1時間、
280℃で1時間、300℃で1時間、310℃で1時
間、320℃で2時間反応させた。
【0032】この間の留出液は9.8gであった。留出
液を分析したところ、酢酸は90%を占めていた。33
0℃に昇温するとともに系内を減圧とし、330℃にて
1時間、340℃にて1時間減圧下で反応させた後、ポ
リマーを取り出した。得られたポリマーの分析値は、対
数粘度3.7dl/g、融点311℃、熱分解開始温度
502℃であった。
【0033】実施例1 参考例1と同様の50ml反応管に、 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル 8.02g N,N’−(4,4’−ジフェニルエーテル)−ビス−3,4−ジカルボキシ ミド安息香酸 2.58g ヒドロキノン 4.13g p−ヒドロキシ安息香酸 15.57g 無水酢酸 21.9g 三酸化アンチモン 0.048g (2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに対してS
bとして1モル%)を仕込み、窒素で3回パージした
後、ゆるやかに撹拌しながら反応缶内に少量の窒素を流
しつつ145℃まで昇温した。 反応缶内の温度が14
5℃に到達後、撹拌速度を上げ、この温度に1.5時間
保った後、240℃まで昇温した。この時点での留出液
は12.8gであった。さらに240℃で1時間保った
後、段階的に昇温し、260℃で1時間、280℃で1
時間、300℃で1時間、310℃で1時間、320℃
で2時間反応させた。この間の留出液は11.8gであ
った。(留出液を分析したところ、酢酸59重量%、酢
酸メチル36重量%であり、このときの2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチルの反応率は87%)。
【0034】更に、330℃に昇温するとともに系内を
減圧とし、330℃にて30分、340℃にて1時間減
圧下で反応させた後、ポリマーを取り出した。得られた
ポリマーの分析値は、対数粘度3.3dl/g、融点3
07℃、熱分解開始温度451℃であった。
【0035】実施例2 三酸化アンチモンを0.024g(2,6−ナフタレン
ジカルボン酸ジメチルに対してSbとして0.5モル
%)用いた以外は実施例1と同様にして反応させた。得
られたポリマーの分析値は、対数粘度3.3dl/g、
融点307℃、熱分解開始温度472℃であった。
【0036】実施例3 三酸化アンチモンを0.012g(2,6−ナフタレン
ジカルボン酸ジメチルに対してSbとして0.25モル
%)用いた以外は実施例1と同様にして反応させた。得
られたポリマーの分析値は、対数粘度3.1dl/g、
融点304℃、熱分解開始温度479℃であった。
【0037】比較例1 三酸化アンチモンを用いない以外は実施例1と途中まで
は同様にして反応させた。実施例1と同様に320℃ま
で昇温後、320℃にて4時間反応させた。反応温度2
40℃〜320℃の間の留出液は8.3gで、その内訳
は酢酸80%、酢酸メチル12%であった。(2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチルの反応率は20%)そ
の後、実施例1と同様に減圧としたが、ポリマーが得ら
れなかった。
【0038】比較例2 三酸化アンチモンを0.096g(2,6−ナフタレン
ジカルボン酸ジメチルに対してSbとして2モル%)用
いた以外は実施例1と同様にして反応させた。得られた
ポリマーの分析値は、対数粘度1.7dl/g、融点3
01℃、熱分解開始温度436℃であった。
【0039】実施例4 参考例1と同様の50ml反応管に、 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル 8.02g イソフタル酸 0.78g ヒドロキノン 4.13g p−ヒドロキシ安息香酸 15.57g 無水酢酸 21.9g 酢酸鉛・3水和物 0.12g (2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに対してP
bとして1モル%)を仕込み、実施例1と同様に反応さ
せた。反応温度240℃〜320℃の間の留出液は1
1.3gで、その内訳は酢酸63%、酢酸メチル35%
であった(このときの2,6−ナフタレンジカルボン酸
ジメチルの反応率は81%)。得られたポリマーの分析
値は、対数粘度3.1dl/g、融点305℃、熱分解
開始温度455℃であった。
【0040】実施例5 触媒として、酢酸マンガン・4水和物 0.081g
(2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに対してM
nとして1ル%)用いた以外は実施例4と同様にして反
応させた。得られたポリマーの分析値は、対数粘度2.
9dl/g、融点304℃、熱分解開始温度459℃で
あった。
【0041】実施例6 参考例1と同様の50ml反応管に、 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル 14.55g 2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパン 18.61g 三酸化アンチモン 0.043g (2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに対してS
bとして0.5モル%)を仕込み、窒素で3回パージし
た後、ゆるやかに撹拌しながら反応缶内に少量の窒素を
流しつつ240℃まで昇温した。 反応缶内の温度が2
40℃に到達後、撹拌速度を上げ、0.5時間保った
後、段階的に昇温し、260℃で0.5時間、280℃
で0.5時間、300℃で0.5時間、310℃で1時
間、320℃で1時間反応、330℃で1時間反応させ
た。この間の留出液は6.8gであった。留出液を分析
したところ、酢酸メチルが98%であった。(2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチルの反応率は93%)3
30℃に昇温するとともに系内を減圧とし、330℃に
て0.5時間保った後、400℃まで昇温しながら1時
間減圧下で反応させた。得られたポリマーの分析値は、
対数粘度1.3dl/g、ガラス転移温度212℃であ
った。
【0042】比較例3 実施例4と同様の仕込みで、240℃にて0.5時間、
260℃で5時間反応させたが、留出した酢酸メチルは
0.3gであった(このときの2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルの反応率は4%)。
【0043】
【発明の効果】本発明の全芳香族ポリエステルの製造方
法により、従来技術では達成し得なかった芳香族ジカル
ボン酸の低級ジアルキルエステルをジカルボン酸原料成
分もしくはジカルボン酸原料成分の一部として耐熱性に
優れた高分子量の全芳香族ポリエステルを製造すること
が可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 林 武夫 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社プラスチックスセンタ ー内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)少なくとも1種以上の芳香族ジカ
    ルボン酸の低級ジアルキルエステルと、(B)1種以上
    の芳香族ジヒドロキシ化合物の低級脂肪族モノカルボン
    酸ジエステルとを反応させて全芳香族ポリエステルを得
    るに際し、周期律表3族〜15族〔IUPAC無機化学
    命名法改訂版(1989)による〕から選ばれる1種以
    上の金属化合物を芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキル
    エステルの合計モル数に対して金属として0.1〜1.
    5モル%存在させ、280℃以上まで加熱することを特
    徴とする全芳香族ポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 (A)少なくとも1種以上の芳香族ジカ
    ルボン酸の低級ジアルキルエステル、(B)1種以上の
    芳香族ジヒドロキシ化合物の低級脂肪族モノカルボン酸
    ジエステル、及び、(C)1種以上の芳香族ヒドロキシ
    酸の脂肪族低級モノカルボン酸エステルとを反応させて
    全芳香族ポリエステルを得るに際し、周期律表3族〜1
    5族〔IUPAC無機化学命名法改訂版(1989)に
    よる〕から選ばれる1種以上の金属化合物を芳香族ジカ
    ルボン酸の低級ジアルキルエステルの合計モル数に対し
    て金属として0.1〜1.5モル%存在させ、280℃
    以上まで加熱することを特徴とする全芳香族ポリエステ
    ルの製造方法。
  3. 【請求項3】 (A)少なくとも1種以上の芳香族ジカ
    ルボン酸の低級ジアルキルエステル、(B)1種以上の
    芳香族ジヒドロキシ化合物の低級脂肪族モノカルボン酸
    ジエステル(b)、若しくは芳香族ジヒドロキシ化合物
    の低級脂肪族モノカルボン酸ジエステルと芳香族ジヒド
    ロキシ化合物(b' )、(C)1種以上の芳香族ヒドロ
    キシ酸の脂肪族低級モノカルボン酸エステル(c)、若
    しくは芳香族ヒドロキシ酸の脂肪族低級モノカルボン酸
    エステルと芳香族ヒドロキシ酸(c' )、及び(D)低
    級脂肪族モノカルボン酸無水物、とを反応させて全芳香
    族ポリエステルを得るに際し、芳香族ジヒドロキシ化合
    物および芳香族ヒドロキシ酸のフェノール性水酸基の合
    計料に対して等モル以上の低級脂肪族モノカルボン酸無
    水物を存在させ、且つ、周期律表3族〜15族〔IUP
    AC無機化学命名法改訂版(1989)による〕から選
    ばれる1種以上の金属化合物を芳香族ジカルボン酸の低
    級ジアルキルエステルの合計モル数に対して金属として
    0.1〜1.5モル%存在させ、280℃以上まで加熱
    することを特徴とする全芳香族ポリエステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 金属化合物が、Ti、Zr、V、Cr、
    Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Cu、Z
    n、Cd,Ge、Sn、Pb、Sb、Biから選ばれる
    1種以上の金属化合物である請求項1〜3のいずれかに
    記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 低級脂肪族モノカルボン無水物が無水酢
    酸である請求項3に記載の全芳香族ポリエステルの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 芳香族ジカルボン酸の低級ジアルキルエ
    ステルが、2、6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエ
    ステルおよび4,4−ビフェニルジカルボン酸ジメチル
    エステルから選ばれる1種以上である請求項1〜3のい
    ずれかに記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998014501A1 (en) * 1996-09-30 1998-04-09 Hoechst Celanese Corporation Process for the preparation of thermotropic aromatic polyesters directly from dialkyl aromatic esters

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