JPH0770132A - 無水ピロメリット酸の製造方法 - Google Patents

無水ピロメリット酸の製造方法

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JPH0770132A
JPH0770132A JP5217315A JP21731593A JPH0770132A JP H0770132 A JPH0770132 A JP H0770132A JP 5217315 A JP5217315 A JP 5217315A JP 21731593 A JP21731593 A JP 21731593A JP H0770132 A JPH0770132 A JP H0770132A
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Yasushi Kiyooka
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、接触気相酸化反応による無水ピロ
メリット酸の製造方法において、反応に用いる熱交換型
反応器の熱媒温度が250℃以上であって、該熱媒に接
触する反応管壁内部のガス入口部空間での原料ガスの滞
留時間が標準状態のガスとして2秒以下であること、又
は反応管ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管部の
温度が270℃を超え320℃未満の範囲であって、該
配管部での反応ガスの滞留時間が標準状態のガスとして
5秒未満であること、若しくは反応管ガス出口部から捕
集器入口部にいたる配管部の温度が270℃以下である
ことを満足する製造方法である。 【効果】 反応管の空間部での、原料である1,2,
4,5−テトラアルキルベンゼンの無触媒反応又は生成
した無水ピロメリット酸の燃焼等を抑制でき、高収率で
かつ高純度に無水ピロメリット酸を製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1,2,4,5−テト
ラアルキルベンゼンからの接触気相酸化による無水ピロ
メリット酸の製造方法に関するものである。より詳しく
は、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンを原料と
し、触媒を充填した反応管を設けてなる熱交換型反応器
を用いて、分子状酸素含有ガスによる接触気相酸化反応
により、高収率でかつ高純度に、無水ピロメリット酸を
製造する方法に関するものである。無水ピロメリット酸
は、耐熱性樹脂や可塑剤、エポキシ樹脂硬化剤など広範
囲に使用されてきており、工業原料としての重要性も近
年ますます高まってきている。
【0002】
【従来の技術】従来の無水ピロメリット酸の製造方法と
しては、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンの接
触気相酸化法として、特公昭49−9451号公報、特
公昭43−13617号公報、特公平4−15020号
公報等に種々提案され、また1,2,4,5−テトラア
ルキルベンゼンの液相酸化法(特開昭61−27942
号公報等)、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド
の液相酸化法(特開昭57−38745号公報等)、そ
の他アントラセンからの接触気相酸化法(特開昭56−
8388号公報等)等が種々提案されている。なかで
も、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンの接触気
相酸化法は、従来高価であった原料の1,2,4,5−
テトラアルキルベンゼンが、最近ゼオライト系の触媒の
使用により、大量かつ安価に入手できる可能性が開けた
ことにより、無水ピロメリット酸を安価に大量に製造し
うるプロセスとして注目されている。
【0003】しかしながら、1,2,4,5−テトラア
ルキルベンゼンの接触気相酸化法による従来の無水ピロ
メリット酸の製造条件では、無水ピロメリット酸の収率
は低く必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンの接触気
相酸化法による無水ピロメリット酸の製造方法における
無水ピロメリット酸の収率低下の原因について鋭意検討
した結果、原料である1,2,4,5−テトラアルキル
ベンゼンが反応管の空間部で短時間ながら高温にさらさ
れるため、原料の燃焼が生じたり、副生成物が多く生成
する等の問題が生じること、それにより単に無水ピロメ
リット酸の収率が低下するのみならず、副生成物が燃焼
することにより触媒層の温度が上昇し、無水ピロメリッ
ト酸の収率がさらに低下するとともに触媒寿命にも悪影
響を与えること、生成した無水ピロメリット酸が分解、
燃焼する等の原因があることを見出した。
【0005】また、1,2,4,5−テトラアルキルベ
ンゼンの接触気相酸化による無水ピロメリット酸の製造
において、それらの問題を解決すべき反応条件、装置の
設計に関する報告は今までなかった。
【0006】そこで、本発明の目的は、以上のごとき従
来の技術の問題点を解決することにある。すなわち、触
媒を充填した反応管を設けてなる熱交換型反応器に、
1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンを分子状酸素
含有ガスとともに導入して接触気相酸化反応を行わせる
ことにより無水ピロメリット酸を製造する方法におい
て、反応管内部のごとき高温条件下での、原料である
1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンの無触媒下で
の副反応を抑制すること又は生成した無水ピロメリット
酸の反応管ガス出口部から捕集器にいたる配管部での分
解、燃焼等を抑制することにより、高収率で高純度に無
水ピロメリット酸を製造する方法を提供することにあ
る。特に、本発明は、1,2,4,5−テトラメチルベ
ンゼンを出発原料として無水ピロメリット酸の製造する
場合に、有用に用いられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、第一に、
原料として用いる1,2,4,5−テトラアルキルベン
ゼンの熱安定性について検討した結果、熱媒に接触する
反応管壁内部のガス入口部空間において驚くほど無触媒
下での反応が起っており、これを防ぐことにより無水ピ
ロメリット酸の収率を著しく向上させ得ることを見出し
た。具体的には、熱媒に接触する反応管壁内部の反応管
のガス入口部空間では、原料である1,2,4,5−テ
トラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸への生成
反応以外の副反応が生じることがわかり、これを抑制す
ることにより、無水ピロメリット酸の収率を著しく向上
させ得ることを見出した。
【0008】本発明者らは、第二に、反応管のガス出口
部から捕集器にいたる配管部で、反応生成ガス中の無水
ピロメリット酸の分解、燃焼等が無触媒下で生じること
がわかり、これを抑制することにより、無水ピロメリッ
ト酸の収率を著しく向上させ得ることを見出した。
【0009】また、このような反応管内の空間部及び反
応管のガス出口部から捕集器にいたる配管部は実際の製
造設備においては、しばしば存在するがこれまでは特に
注意を払われていなかった。
【0010】以上の状況に鑑み、本発明者らは、このよ
うな反応管のガス入口部空間での1,2,4,5−テト
ラアルキルベンゼンの副反応及び反応管出口部から捕集
器にいたる配管部での無水ピロメリット酸の分解、燃焼
等を抑制する方法について鋭意検討を行った結果、第一
に、反応管ガス入口部に空間が生じないように反応装置
および触媒充填法を含めた反応条件を定めることが重要
であり、第二に、反応管のガス出口部から捕集器にいた
る配管部での温度条件及び滞留時間の制御を行うことが
重要であることがわかった。すなわち第一に、触媒を充
填した反応管を設けてなる熱交換型反応器に、1,2,
4,5−テトラアルキルベンゼンを分子状酸素含有ガス
とともに導入して接触気相酸化反応を行わせることによ
り無水ピロメリット酸を製造する方法において、反応器
の熱媒温度が250℃以上であって、該熱媒に接触する
反応管壁内部のガス入口部空間での原料ガスの滞留時間
が、標準状態のガスとして2秒以下にする方法、さらに
反応管の空間部の発生が防げない場合については、前記
反応管のガス入口部空間に、不活性担体を充填する方法
により、反応管内の空間での副反応等を効率良く抑制す
ることが出来ることを見出し、本発明を完成させた。第
二に、触媒を充填した反応管を設けてなる熱交換型反応
器に、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンを分子
状酸素含有ガスとともに導入して接触気相酸化反応を行
わせることにより無水ピロメリット酸を製造する方法に
おいて、前記反応器の熱媒温度が250℃以上であっ
て、下記(1)又は(2)の条件を満足する方法、 (1)反応器ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管
部の温度が270℃を超え320℃未満の範囲であっ
て、該配管部での反応ガスの滞留時間が標準状態のガス
として5秒未満であること (2)反応器ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管
部の温度が270℃以下であること 加えて、反応管のガス出口部空間に不活性担体を充填す
る方法により、反応生成ガス中の無水ピロメリット酸の
分解、燃焼等が効率よく抑制することが出来ることを見
い出し、本発明を完成させた。
【0011】以下に本発明を具体的に説明する。
【0012】一般的な1,2,4,5−テトラアルキル
ベンゼンの接触気相酸化における反応装置は、原料であ
る1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンを気化器に
より蒸発させ、これを例えば空気のような酸素含有ガス
と混合し反応器に導き、反応器で生成した無水ピロメリ
ット酸を補集器により補集するものである。気化器から
反応器までの配管は、1,2,4,5−テトラアルキル
ベンゼンが再凝縮しない温度以上に保たれる。また反応
器出口部から捕集器入口部までの配管は、生成した無水
ピロメリット酸が析出しない温度以上に保たれる。
【0013】反応器は、触媒を充填した反応管を設けて
なり、該反応管を、例えば溶融塩のごとき熱媒中に設置
した熱交換型反応器が通常用いられている。本発明で言
う反応管とは、ステンレス若しくは鉄等の金属製又はガ
ラス製の管の内部に触媒を充填した触媒充填層を有する
ものであり、本発明で言う反応器とは、この反応管1本
以上を溶融塩等の熱媒を満たした熱媒槽中に設置した熱
交換型反応器であり、該熱媒槽に熱媒の攪拌装置を備え
ており、反応管は上端から下端に至るまで均一に加熱、
除熱されるような構造となっている。
【0014】なお、本発明で言う反応管の空間のうち、
単管式の場合、反応管のガス入口部空間とは、反応管の
ガス入口部から触媒充填層までの空間を言い、反応管の
ガス出口部空間とは、反応管のガス出口部から触媒充填
層までの空間を言う。反応器から捕集器にいたる配管部
とは、熱媒に浸漬されていない反応管内部の空間のう
ち、反応管のガス出口部から触媒充填層までの空間と、
反応管出口部より捕集器に至る配管部を言う。尚、本発
明の参考例、実施例及び比較例で使用したU字型反応管
は、一本の反応管すなわち単管をU字状に曲げたもので
ある。
【0015】反応器の設定条件としては、反応器熱媒の
温度は240〜460℃、反応管径は15〜40mmの
ものが使用される。原料ガスとしては、分子状酸素含有
ガスに1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンを10
〜60g/Nm3を混合したものである。
【0016】使用する触媒の組成は、通常用いられるも
の、例えばバナジウムを含むものが使われるが、特に、
バナジウム−チタンを主成分とするものが好ましい。
【0017】触媒は、これら成分化合物の単独、又はこ
れら成分化合物を炭化珪素、アルミナ等の不活性担体に
担持させたもの若しくは含浸させたものが使用できる。
【0018】しかしながら、以上のような反応器の設定
条件下においては、配管部および反応管内の空間部にお
いて熱による無触媒反応が進行する可能性が有るため、
本発明者らは、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼ
ンから接触気相酸化して無水ピロメリット酸を生成させ
る方法における反応管内の空間部での反応について鋭意
検討した。その結果、参考例5、6に示したように、触
媒を全く充填していない反応管に20g/Nm3の1,
2,4,5−テトラメチルベンゼンを含む原料ガスを通
過せしめ、反応器の熱媒温度が380℃、原料ガスの滞
留時間が2.5秒時、既に36%近くの1,2,4,5
−テトラメチルベンゼンが消費されていること、また、
同じ温度で、滞留時間が50秒では、既にほとんどの
1,2,4,5−テトラメチルベンゼンが消費されてお
り、COxの発生率も60%を越えていることから、反
応管空間部で1,2,4,5−テトラアルキルベンゼン
が予測の範囲をはるかに越えるほど、速やかに反応、燃
焼することわかった。
【0019】さらに、実際に触媒を充填した反応管にお
いて、熱媒に接触する反応管壁内部のガス入口部空間の
体積を変え、原料ガスの滞留時間を変化させて上記の反
応における無水ピロメリット酸の収率を測定したとこ
ろ、実施例1と比較例1に示したように、熱媒に接触す
る反応管壁内部のガス入口部空間での滞留時間をほぼ無
視できる場合と、滞留時間が2.2秒の場合とで、無水
ピロメリット酸の収率で3.5mol%もの収率差が有
ることがわかり、空間部での反応の抑制が極めて重要で
あることが明らかとなった。
【0020】また、無水ピロメリット酸を含む反応ガス
が高温にさらされることにより無水ピロメリット酸がさ
らに燃焼、分解等をおこすことも明らかとなり、例えば
380℃以上の反応器を出たガスが、320℃以上に保
温された配管を通過するときに、配管部での滞留時間が
5.4秒の条件で、3mol%の無水ピロメリット酸の
収率低下が生じることがわかった。
【0021】またそのとき、反応管ガス出口部で、反応
生成ガスを速やかに320℃未満に冷却することは、無
水ピロメリット酸の収率低下を防ぐ上で極めて有効であ
ることがわかった。すなわち、反応管ガス出口部になる
べく近い位置、好ましくは反応器と直結する形で強制冷
却器等を設置し、反応生成ガスを速やかに320℃未満
に冷却させることは、無水ピロメリット酸の捕集収率を
向上させられる点で効果があることが判明した。強制冷
却の方法等については特に規定することはないが、いわ
ゆる熱交換器、例えば多管式反応器と同様の形状で、熱
媒としてオイルを循環させるような形式の冷却器を使用
することが可能である。そのときの反応器出口部から捕
集器までの配管部でのガス温度は320℃未満の温度で
なるべく低いことが望ましいが、反応生成ガス中の無水
ピロメリット酸が析出しない温度以上にする必要がある
ことは言うまでもない。反応生成ガス中の無水ピロメリ
ット酸が析出しない温度は、無水ピロメリット酸のガス
濃度によって決まるものであり、ガス濃度が低いほど低
くすることができるが、捕集効率が低下するため、一般
に200℃以上が好ましい。
【0022】かかる知見に基づき本発明は、第一に無水
ピロメリット酸の気相酸化反応における反応装置の設計
ならびに触媒充填条件を定めるものである。すなわち、
反応器の熱媒温度が250℃以上であって、該熱媒に接
触する反応管壁内部のガス入口部空間での原料ガスの滞
留時間が、標準状態のガスとして2秒以下にすることに
より、無水ピロメリット酸の収率が著しく向上すること
が明らかとなった。特に、反応器の熱媒温度が380℃
以上であって、該熱媒に接触する反応管壁内部のガス入
口部空間での原料ガスの滞留時間が、標準状態のガスと
して2秒以下である条件にすることが好ましく、さらに
好ましくは、反応器の熱媒温度が380℃以上であっ
て、該熱媒に接触する反応管壁内部のガス入口部空間で
の原料ガスの滞留時間が、標準状態のガスとして1秒以
下である条件にすることである。
【0023】さらに反応管のガス入口部空間に、不活性
担体を充填することは、原料である1,2,4,5−テ
トラアルキルベンゼンの副反応が効率よく抑制でき無水
ピロメリット酸の収率を向上させる点で、さらに好まし
いものである。
【0024】第二に、無水ピロメリット酸の気相酸化反
応における反応装置の設計ならびに反応管のガス出口部
から捕集器にいたる配管部での温度条件及び滞留時間を
定めるものである。すなわち、次の(1)又は(2)の
条件を満足することにより、無水ピロメリット酸の収率
が著しく向上することが明らかとなった。
【0025】(1) 反応器の熱媒温度が250℃以上
であって、反応器から捕集器にいたる配管部の温度が2
70℃を超え320℃未満でかつ反応ガスの滞留時間が
標準状態のガスとして5秒以下にすること (2)反応器の熱媒温度が250℃以上であって、反応
器から捕集器にいたる配管部の温度を270℃以下にす
ること これらの方法は、反応器の熱媒温度が300℃以上であ
る場合に特に有効である。
【0026】また反応管のガス出口部空間に、不活性担
体を充填することは、反応生成ガス中の無水ピロメリッ
ト酸の分解、燃焼等が効率よく抑制でき無水ピロメリッ
ト酸の捕集収率を向上させる点で、さらに好ましいもの
である。
【0027】加えて、反応器ガス出口部のなるべく近い
位置、好ましくは反応器ガス出口部に直結する形で強制
冷却器を設置することは、速やかに反応ガスを冷却で
き、捕集器までの配管温度を320℃未満、好ましくは
200〜300℃に保持できる点で、さらに好ましいも
のである。
【0028】なお、本発明で言う滞留時間とは、以下の
定義によるものである。
【0029】
【数1】
【0030】さらに本研究者等は、反応装置の転用等に
おける装置的制約、あるいは触媒の変更等による反応条
件の変更等により、反応管内に空間部が生じることを防
げない場合のことを考慮し、空間部での反応の影響を抑
える方法についても検討した結果、反応管の空間部に不
活性担体を充填することにより、空間部での反応を著し
く減じることができることを見出した。上記の場合と同
様にして反応管のガス入口部の空間に、滞留時間2秒相
当の空間部が存在する条件でその空間部に不活性担体を
充填した場合について検討した結果、参考例8〜13に
示したように、不活性担体を充填することによって、空
間部が存在しない場合とほぼ同等の無水ピロメリット酸
の収率を得ることが出来た。
【0031】本発明における不活性担体の形状は、円筒
状、球状、半円筒状等を用いることができるが、実際に
用いる場合は、圧力損失を勘案し、送風機等装置全体の
バランスを考えて、形状、大きさを決める必要がある。
特に球状のものが滞留時間の短縮には効果的であり、ま
た表面積は小さいものが好ましい。
【0032】反応管ガス入口部空間及び/又は反応管ガ
ス出口部空間への不活性担体の充填率は、反応条件、装
置条件により適宜選択されるが、反応収率の低下を防ぐ
ため、充填率を上げることが好ましく、少なくとも50
%以上、より好ましくは、80%以上に充填することが
好ましく、さらに好ましくは、100%に充填するのが
好ましい。
【0033】なお、本発明で言う充填率とは、以下の定
義によるものである。
【0034】
【数2】
【0035】充填する不活性担体としては、従来このよ
うな熱的酸化を抑える働きがあると言われているもので
よく、SUS等の金属製充填物、及びSiC、アルミ
ナ、シリカ、ジルコニア、磁器、これらの複合物等のセ
ラミック製充填物が挙げられる。特に、アルミナ−シリ
カを主成分とする不活性担体が好ましく用いられ、これ
らの不活性担体による反応の抑制は、単に反応管空間部
の滞留時間の短縮によるものではなく、担体の表面での
何らかの作用を含んでいるためと思われる。
【0036】本発明は、熱交換型多管式反応器等の工業
的な製造装置においても、同様に適用できる。一般的な
熱交換型多管式反応器は、前記触媒を充填した反応管を
多数平行に並べてなる管束部が筒状のシェル内に設けら
れ、このシェルの一端には前記管束部への原料ガスの導
入部となる前帽が、他端には生成した無水ピロメリット
酸を含む反応ガスの導出部となる後帽がそれぞれ設けら
れているとともに、前記シェル内には前記触媒を加熱及
び除熱するための熱媒が循環されるようになっている。
この場合各反応管の長さは、触媒の充填状態により各反
応管で異なる圧力損失を近づけるため圧力損失調整のた
めに充填物を詰めるための余分の層長を設けてある。ま
た実際はさらに、触媒や製造条件の変更に備えてより長
い層長に設定されていることが多い。多管式の場合も、
単管式の場合と同様の反応条件、装置条件で行うことで
効果を示す。
【0037】すなわちまず第一に、反応器の熱媒温度が
250℃以上であって、該熱媒に接触する反応管壁内部
のガス入口部空間での原料ガスの滞留時間が、標準状態
のガスとして2秒以下にする。特に、反応器の熱媒温度
が380℃以上であって、該熱媒に接触する反応管壁内
部の反応管のガス入口部空間での原料ガスの滞留時間
が、標準状態のガスとして2秒以下である条件にするこ
とが好ましいものである。第二に、反応器から捕集器に
いたる配管部の温度が270℃を超え320℃未満でか
つ反応ガスの滞留時間が標準状態のガスとして5秒以下
にすること、又は該配管部の温度を270℃以下にする
ことは好ましいものであり、この方法は、反応器の熱媒
温度が300℃以上である場合に特に有効である。加え
て、反応器ガス出口部のなるべく近い位置、好ましくは
反応器ガス出口部に直結する形で強制冷却器を設置する
ことは、速やかに反応ガスを冷却でき、捕集器までの配
管温度を320℃未満、好ましくは200℃〜300℃
に保持できる点で、さらに好ましいものである。
【0038】多管式熱交換型反応器の場合、反応管全体
が熱媒中にあるのが一般的であるため、反応管のガス入
口部空間とは、反応管のガス入口部から触媒充填層まで
の空間を言い、反応管のガス出口部空間とは、反応管の
ガス出口部から触媒充填層までの空間を言う。また、反
応器から捕集器にいたる配管部とは、後帽部及び後帽か
ら捕集器までの配管を言う。
【0039】また、多管式熱交換型反応器に前記強制冷
却器を設ける場合、前記反応管束部と後帽の間に設置す
るのが好ましく、強制冷却器の端面を反応器の端面と同
一形状としフランジにより直接接続するようにするのが
よい。実際には反応器自体と同径の円筒状の熱媒槽に直
管を並列に設置した多管式熱交換器や、反応器そのもの
の長さを冷却器部分も含んだものとし熱媒槽を管軸に垂
直な面で2つに区切り、触媒を充填する部分と冷却器と
して使用する部分の熱媒及び熱媒温度を変えるようにし
た反応器等が例示できる。
【0040】強制冷却器部分の長さは、反応ガス風量及
び冷却器の熱交換効率によって決まるものであり、単純
には特定しがたいが、熱交換効率を上げることによりな
るべく短い長さで冷却器出口部での反応ガスの温度が3
20℃未満でありかつ無水ピロメリット酸が析出しない
温度以上でなるべく低い温度まで下げられるようにする
ことが好ましい。熱交換率を上げる方法としては冷却器
の内部の直管内に反応ガスの流れを乱すような、例えば
ステンレス製のリング等を設置する等の方法が有効に使
用できる。
【0041】冷却器の後部には上記の後帽が接続され反
応ガスが集められた後、配管を通じて捕集器に送られ
る。この配管部の温度は、無水ピロメリット酸が析出す
る温度より高く設定する必要があるが、320℃未満に
抑えることにより配管部での無水ピロメリット酸の分解
を防ぎ捕集収率ならびに製品品質を向上させられる。
【0042】また反応器ガス出口部から捕集器までの配
管部の長さは短ければ短い方が好ましく、より好ましく
は配管部は無いのが良く、反応器と冷却器と捕集器を直
結したり、場合によっては、反応器と捕集器を直結する
ことも考えられる。
【0043】強制冷却器を設けた多管式熱交換型反応器
の場合の反応管のガス出口部空間とは、反応管のガス出
口側の端から触媒充填層までの空間を言い、反応器から
捕集器にいたる配管部とは、後帽部及び後帽から捕集器
までの配管部を言う。
【0044】次に、多管式熱交換型反応器に原料ガスを
上部から下部に流通する場合の触媒充填方法について以
下に説明する。触媒を反応器の底部に金網を張ったり、
あるいは反応管内に触媒止めを設置することにより、触
媒の落下を防いである反応管の底部から所定の層長で前
記触媒を充填する。反応管ガス出口部に前記不活性担体
を充填する場合は、まず前記不活性担体を充填した後、
前記触媒を充填する。反応管ガス入口部に前記不活性担
体を充填する場合は、触媒を充填した後、不活性充填物
を充填し、各反応管の圧力損失の差を補正する。このと
き、なるべく少ない量を用いて補正を行うのが、通常の
方法であるが、本発明では、原料である1,2,4,5
−テトラアルキルベンゼンの反応管内の空間部での副反
応による反応収率の低下等を防ぐため、本発明において
は可能な限り反応管上端まで充填する。反応ガスを下部
から上部に通じる場合は基本的には逆に充填を行えばよ
い。
【0045】以上のように設定された反応装置を用いる
ことにより、原料である1,2,4,5−テトラアルキ
ルベンゼンの反応管内の空間部での副反応による反応収
率の低下及び生成した無水ピロメリット酸の反応管出口
部から捕集管までの配管部での再酸化を抑制することに
より高い収率で無水ピロメリット酸を得ることが可能と
なった。
【0046】
【実施例】以下、参考例、実施例及び比較例を用いて、
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに
より何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較
例中の無水ピロメリット酸の収率は、最適化された溶融
塩温度(反応器の熱媒温度)で求めたものである。実施
例で使用したU字型反応管は、U字の上端から10cm
まで攪拌装置の付いた溶融塩浴槽に浸して使用し反応器
とし、U字管ガス出口部から電熱線により250℃以上
に保温された長さ10cm、内径7.5mmのステンレ
ス製チューブを通じて捕集器に導くようにして使用し
た。また溶融塩浴中の反応管の長さは熱媒に浸された部
分の管中心を軸の長さを示している。
【0047】参考例1〜6 溶融塩浴中に浸された内径20mm、溶融塩浴中の長さ
80cmのステンレスのU字型反応管の片側より140
℃に余熱された1,2,4,5−テトラメチルベンゼン
/空気の割合が20g/Nm3である原料ガスを通じ、
反応管出口部でガスを採取しガスクロマトグラフにより
1,2,4,5−テトラメチルベンゼン量を測定した。
また比較のために反応管入口でも原料ガスを採取し同様
に1,2,4,5−テトラメチルベンゼン量を測定し
た。ガス流量を0.3,6,7.5,50NL/min
(標準状態のガス体積)、溶融塩温度を250,30
0,380として高温無触媒反応を測定した。以上のよ
うにして測定した結果を表1に示した。なお、滞留時間
は、熱媒中にある反応管部分の内部体積のうち不活性担
体の体積を除いた体積を標準状態での原料ガスの流量で
割って算出した。
【0048】
【表1】
【0049】参考例7〜15 溶融塩浴中に浸された内径20mm、溶融塩浴中の長さ
80cmのステンレスのU字型反応管に、SiO2/A
23=86/12の平均直径8mmφの球状担体(ア
ルミナシリカ担体1、)、SiO2/Al23=56/
38の平均直径6mmφの球状担体(アルミナシリカ担
体2)、SiC担体A(低表面積型 表面積<0.5/
g)、SiC担体B(高表面積型 表面積>1/g)、
平均直径約6mmφのガラス玉又は外径6mm、長さ6
mmの円筒状ラシヒリング(SUS316製)を各々全
層充填し、140℃に余熱された1,2,4,5−テト
ラメチルベンゼン/空気の割合が20g/Nm3である
原料ガスを通じ、ガス流量を7.5,0.3NL/min(標
準状態のガス体積)、溶融塩温度を400℃として反応
管出口部でガスを採取しガスクロマトグラフにより1,
2,4,5−テトラメチルベンゼン量を測定した。以上
のようにして測定した結果を表2に示した。なお、滞留
時間は、熱媒中にある反応管部分の内部体積のうち不活
性担体の体積を除いた体積を標準状態での原料ガスの流
量で割って算出した。
【0050】
【表2】
【0051】実施例1 溶融塩浴中に浸された内径20mm、溶融塩浴中の長さ
25cmのステンレス製のU字型反応管にV25、Ti
2を主成分とする球状触媒(平均外径4mmφ)を原
料ガス入口側より2.5cm〜22.5cmの間に20
cm充填し、140℃に余熱された1,2,4,5−テ
トラメチルベンゼン/空気の割合が20g/Nm3であ
る原料ガスを通じ、空間速度5000/HRで反応を行
った。反応ガスは反応管ガス出口部から、電熱線により
270℃に保温された長さ10cm、内径7.5mmの
ステンレス製チューブを通じて、空冷式結晶管およびそ
の後部に水を入れた洗気瓶を通じる事によって捕集し
た。無水ピロメリット酸の収率は、溶融塩温度400℃
のとき、66.5mol%であった。このときの熱媒に
接触する反応管壁内部のガス入口部空間での原料ガスの
滞留時間は、標準状態のガスとして、0.09秒であっ
た。
【0052】実施例2 溶融塩浴中に浸された内径20mm、溶融塩浴中の長さ
85cmのステンレス製のU字型反応管にV25、Ti
2を主成分とする球状触媒(平均外径4mmφ)を原
料ガス入口側より5cm〜25cmの間に20cm充填
し、140℃に余熱された1,2,4,5−テトラメチ
ルベンゼン/空気の割合が20g/Nm3である原料ガ
スを通じ、空間速度5000/HRで反応を行った。反
応ガスは反応管ガス出口部から、電熱線により270℃
に保温された長さ10cm、内径7.5mmのステンレ
ス製チューブを通じて、空冷式結晶管およびその後部に
水を入れた洗気瓶を通じる事によって捕集した。無水ピ
ロメリット酸の収率は、溶融塩温度390℃のとき、6
4.5mol%の収率であった。このときの熱媒に接触
する反応管壁内部のガス入口部空間での原料ガスの滞留
時間は、標準状態のガスとして、0.2秒であった。ま
たこのときの熱媒に接触する反応管壁内部のガス出口部
空間での原料ガスの滞留時間は、標準状態のガスとし
て、2.2秒であった。
【0053】実施例3 溶融塩浴中に浸された内径20mm、溶融塩浴中の長さ
65cmのステンレス製の反応管にV25、TiO2
主成分とする球状触媒(平均外径4mmφ)を原料ガス
出口側から3cm〜23cmの間に20cm充填し、実
施例1と同様に反応を行った。無水ピロメリット酸の収
率は、溶融塩温度400℃のとき、63.5mol%で
あった。このときの反応管のガス入口部空間での原料ガ
スの滞留時間は、標準状態のガスとして、1.5秒であ
った。
【0054】比較例1 長さ85cmのステンレス製のU字型反応管を用い、触
媒を反応ガス出口側より5cm〜25cmの間に20c
m充填した以外は、実施例1と同様にして、反応、捕集
を行い、溶融塩温度390℃の時、63mol%の収率
で無水ピロメリット酸を得た。このときの熱媒に接触す
る反応管壁内部のガス入口部空間での原料ガスの滞留時
間は、標準状態のガスとして、2.2秒であった。
【0055】実施例4 比較例1で用いた反応管のガス入口部空間60cmのう
ちの触媒充填層側35cmに参考例8で用いたアルミナ
シリカ担体2を充填し同様に反応を行ったところ、溶融
塩温度390℃の時、64mol%の収率で無水ピロメ
リット酸を得た。このときの熱媒に接触する反応管壁内
部のガス入口部空間での原料ガスの滞留時間は、標準状
態のガスとして、1.8秒であった。
【0056】実施例5 比較例1で用いた反応管のガス入口部空間60cmの全
空間部にアルミナシリカ担体2を充填し、他は比較例1
と同様に反応を行ったところ、溶融塩温度400℃の
時、66mol%の収率で無水ピロメリット酸を得た。
このときの熱媒に接触する反応管壁内部のガス入口部空
間での原料ガスの滞留時間は、標準状態のガスとして、
1.5秒であった。この結果は、熱媒に接触する反応管
壁内部のガス入口部空間での原料ガスの滞留時間は同じ
で、不活性担体を充填していない実施例3の結果と比べ
て、無水ピロメリット酸の収率が2.5mol%向上し
ており、反応管のガス入口部空間への不活性担体の充填
が、滞留時間の短縮のためだけの効果でないことがわか
る。
【0057】実施例6 比較例1で用いた反応管のガス入口部空間60cmの全
空間部に参考例10で用いたSiC担体Aを充填し、他
は実施例3と同様に反応を行ったところ、溶融塩温度3
90℃の時、64mol%の収率で無水ピロメリット酸
を得た。このときの反応管のガス入口側触媒未充填部空
間での原料ガスの滞留時間は、標準状態のガスとして、
1.6秒であった。
【0058】実施例7 実施例2の反応管のガス出口部空間60cmの全空間部
にアルミナシリカ担体2を充填し、他は実施例2と同様
に反応を行ったところ、溶融塩温度400℃の時、6
5.5mol%の収率で無水ピロメリット酸を得た。こ
のときの反応管のガス入口部空間での原料ガスの滞留時
間は、標準状態のガスとして、0.18秒であった。ま
た反応管のガス出口部空間での滞留時間は、標準状態の
ガスとして、1.5秒であった。
【0059】比較例2 溶融塩浴中に浸された内径25mm、溶融塩浴中の長さ
3mのステンレス製の反応管にV25、TiO2を主成
分とするリング状触媒(平均外径7mmφ)を反応ガス
出口側から5cm〜105cmの間に1m充填し、上部
空間1.95mの全空間部にアルミナシリカ担体2を充
填し、140℃に余熱された1,2,4,5−テトラメ
チルベンゼン/空気の割合が20g/Nm3である原料
ガスを空間速度3000/hrで通じた。このときの反
応管のガス入口部空間での原料ガスの滞留時間は、標準
状態のガスとして、1.7秒であった。反応管出口部か
らは電熱線及び保温材によって配管温度約320℃に保
温された内径20mmφのステンレス製配管によって反
応ガスを導き出し、反応管出口より1mおよび7mの位
置から反応ガスを取り出した。取り出した反応ガスは反
応管出口部に空冷式結晶管およびその後部に水を入れた
洗気瓶を通じる事によって捕集した。溶融塩の温度39
0℃のとき、反応管出口部より1mの位置で取り出した
反応ガスより求めた無水ピロメリット酸の収率は64m
ol%であった。このとき反応管の出口部より1mの位
置での原料ガスの滞留時間は、標準状態のガスとして、
0.8秒であった。また反応管出口部より7mの位置よ
り取り出した反応ガスより求めた無水ピロメリット酸の
収率は63mol%であった。また反応管のガス出口部
より7mの位置での原料ガスの滞留時間は、標準状態の
ガスとして、5.4秒であった。
【0060】実施例8 比較例2と同様の反応管の出口部に油冷式の熱交換器
(配管部長さ1m)を設置し熱交換器出口のガス温度が
270℃になるように設定した。以下比較例2と同様の
反応条件で原料ガスを通じ、熱交換出口部からは電熱線
及び保温材によって配管温度約270℃に保温された内
径20mmφのステンレス製配管によって反応ガスを導
き出し、熱交換器出口部、熱交換器出口部より6mの位
置から反応ガスを取り出した。溶融塩の温度390℃の
とき、熱交換器出口部で取り出した反応ガスより求めた
無水ピロメリット酸の収率は66mol%であり、熱交
換器出口より6mの位置より取り出した反応ガスより求
めた無水ピロメリット酸の収率は66mol%であっ
た。また反応管のガス出口部及び6mの位置での原料ガ
スの滞留時間は、標準状態のガスとして、それぞれ0.
8秒及び5.4秒であった。
【0061】実施例9 比較例2と同様の反応管の出口部に油冷式の熱交換器を
設置し熱交換器出口のガス温度が300℃になるように
設定した。以下比較例2と同様の反応条件で原料ガスを
通じ、熱交換出口部からは電熱線及び保温材によって配
管温度300℃に保温された内径20mmφのステンレ
ス製配管によって反応ガスを導き出し、熱交換器出口
部、熱交換器出口部より4mの位置から反応ガスを取り
出した。溶融塩の温度390℃のとき、熱交換器出口部
で取り出した反応ガスより求めた無水ピロメリット酸の
収率は65mol%であり、熱交換器出口より4mの位
置より取り出した反応ガスより求めた無水ピロメリット
酸の収率は65mol%であった。また反応管のガス出
口部及び4mの位置での反応ガスの滞留時間は、標準状
態のガスとして、それぞれ0.8秒及び3.8秒であっ
た。
【0062】比較例3 実施例9と同様の反応条件で原料ガスを通じ、熱交換出
口部からは電熱線及び保温材によって配管温度300℃
に保温された内径20mmφのステンレス製配管によっ
て反応ガスを導き出し、熱交換器出口部、熱交換器出口
部より6mの位置から反応ガスを取り出した。溶融塩の
温度390℃のとき、熱交換器出口より6mの位置より
取り出した反応ガスより求めた無水ピロメリット酸の収
率は64.5mol%であり、実施例9の場合の収率よ
り低下した。反応管のガス出口部より6mの位置での反
応ガスの滞留時間は、標準状態のガスとして、5.4秒
であった。
【0063】
【発明の効果】触媒を充填した反応管を設けてなる熱交
換型反応器に、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼ
ンを分子状酸素含有ガスとともに導入して接触気相酸化
反応を行わせることにより無水ピロメリット酸を製造す
る方法において、本発明の方法を用いることにより、原
料である1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンの反
応管入口部空間における無触媒下での副反応を抑制する
こと又は生成した無水ピロメリット酸の反応管ガス出口
部から捕集器にいたる配管部での分解、燃焼等を抑制す
ることができ、それによって、高収率で高純度に無水ピ
ロメリット酸を製造することができ、工業的に有利な条
件で、無水ピロメリット酸製造の連続運転が可能とな
る。
【0064】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江本 泰久 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒触媒研究所内 (72)発明者 清岡 靖 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒触媒研究所内 (72)発明者 植田 健次 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒触媒研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒を充填した反応管を設けてなる熱交
    換型反応器に、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼ
    ンを分子状酸素含有ガスとともに導入して接触気相酸化
    反応を行わせることにより無水ピロメリット酸を製造す
    る方法において、該反応器の熱媒温度が250℃以上で
    あって、該熱媒に接触する反応管壁内部のガス入口部空
    間での原料ガスの滞留時間が、標準状態のガスとして2
    秒以下であることを特徴とする無水ピロメリット酸の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 反応管のガス入口部空間に、不活性担体
    を充填することを特徴とする請求項1記載の無水ピロメ
    リット酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒を充填した反応管を設けてなる熱交
    換型反応器に、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼ
    ンを分子状酸素含有ガスとともに導入して接触気相酸化
    反応を行わせることにより無水ピロメリット酸を製造す
    る方法において、下記(1)又は(2)の条件を満足す
    ることを特徴とする無水ピロメリット酸の製造方法。 (1)反応器の熱媒温度が250℃以上であって、反応
    管ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管部の温度が
    270℃を超え320℃未満の範囲であって、該配管部
    での反応ガスの滞留時間が標準状態のガスとして5秒未
    満であること (2)反応器の熱媒温度が250℃以上であって、反応
    管ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管部の温度が
    270℃以下であること
  4. 【請求項4】 反応管のガス出口部空間に、不活性担体
    を充填することを特徴とする請求項3記載の無水ピロメ
    リット酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 触媒を充填した反応管を設けてなる熱交
    換型反応器に、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼ
    ンを分子状酸素含有ガスとともに導入して接触気相酸化
    反応を行わせることにより無水ピロメリット酸を製造す
    る方法において、該反応器の熱媒温度が250℃以上で
    あって、該熱媒に接触する反応管壁内部のガス入口部空
    間での原料ガスの滞留時間が、標準状態のガスとして2
    秒以下であって、下記(1)又は(2)の条件を満足す
    ることを特徴とする無水ピロメリット酸の製造方法。 (1)反応器の熱媒温度が250℃以上であって、反応
    管ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管部の温度が
    270℃を超え320℃未満の範囲であって、該配管部
    での反応ガスの滞留時間が標準状態のガスとして5秒未
    満であること (2)反応器の熱媒温度が250℃以上であって、反応
    管ガス出口部から捕集器入口部にいたる配管部の温度が
    270℃以下であること
  6. 【請求項6】 反応管のガス入口部空間及び/又は反応
    管のガス出口部空間に、不活性担体を充填することを特
    徴とする請求項5記載の無水ピロメリット酸の製造方
    法。
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