JPH076903A - 感熱樹脂材料及び感熱発熱体 - Google Patents

感熱樹脂材料及び感熱発熱体

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JPH076903A
JPH076903A JP14314193A JP14314193A JPH076903A JP H076903 A JPH076903 A JP H076903A JP 14314193 A JP14314193 A JP 14314193A JP 14314193 A JP14314193 A JP 14314193A JP H076903 A JPH076903 A JP H076903A
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JP
Japan
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heat
plasticizer
polyvinyl chloride
resin material
temperature
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JP14314193A
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Michiharu Kamikawa
道治 上川
Katsuhiko Kuroyama
勝彦 黒山
Tomoyasu Hirano
友康 平野
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 感熱樹脂材料のサーミスタ特性を高感度化
し、またインピーダンス変化を小さくして安定化する。 【構成】 ポリ塩化ビニル系樹脂に、耐熱性可塑剤と、
珪酸鉛系の熱安定剤と、イオン性添加剤として無機の過
塩素酸塩を添加して感熱樹脂材料を調製する。耐熱性可
塑剤は高温でブリードアウトし難く、珪酸鉛系の熱安定
剤は可塑剤を加水分解させるおそれがないと共に熱安定
性が高く、無機の過塩素酸塩は耐熱性に優れると共に吸
湿し難い。また無機の過塩素酸塩はイオン半径が小さく
伝導が容易であって温度に対するインピーダンスの変化
を大きくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気カーペット等に用
いられる感熱樹脂材料及び感熱発熱体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電気カーペット等の広面積暖房器具に
は、従来よりポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする感熱樹
脂材料をサーミスタとして用いた面状の感熱発熱体やコ
ード状の感熱体あるいは感熱発熱体が使用されている。
そして近年の電気カーペットにあっては、カーペット地
からなる表面材や、電気カーペットに被せて使用するカ
バー材として、本物志向や高級志向から分厚いものが好
まれる傾向にあり、発熱体の温度を従来よりも高くする
必要が生じてきている。
【0003】しかし、発熱体の温度を従来よりも高温に
すると、部分的に断熱状態になるときに生じる部分断熱
高温部の温度が非常に高くなり、従来のポリ塩化ビニル
樹脂を主成分とする感熱樹脂材料では高温での熱老化の
ために温度センサーとしての固有インピーダンス(|Z
|)と温度との関係の特性が経時変化し、|Z|の変化
によって感知する温度が危険な高温になってしまうおそ
れがあった。この現象は、ポリ塩化ビニル樹脂中の可
塑剤が高温の作用でブリードアウトしてポリ塩化ビニル
樹脂のガラス転移点が高温側にシフトしてしまう、ポ
リ塩化ビニル樹脂が高温にさらされると脱塩素反応を起
こして熱老化してしまう、等が原因になっていると考え
られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで従来より種々の
改良提案がなされており、例えばの対策として、分子
量の大きい耐熱性可塑剤を使用したり、可塑剤がブリー
ドアウトしないように可塑剤を透過しないフィルムで覆
ったりすることが提案されている。またの対策として
は、脱塩素反応を防止して急激な劣化を防ぐために熱安
定剤を改良したり、イオン性添加剤を耐熱性の高い方向
に改良したりすることが提案されている。しかし、この
ような改良をした代表的な組成、すなわち、トリメリッ
ト酸エステル以上の高分子量の耐熱性可塑剤と、熱安定
剤としての三塩基性硫酸鉛と、耐熱性のイオン性添加剤
としての有機の過塩素酸塩(特に第4級アンモニウム
塩)をポリ塩化ビニル樹脂中に添加した感熱樹脂材料に
おいては、次のような問題があり、使用上限温度をあま
り高くすることができないものであった。 イ)温度−インピーダンス特性は、ポリ塩化ビニル樹脂
に対する可塑剤の添加量とイオン性添加剤の配合量によ
って決まるので、部分断熱高温部の検出感度の設計と高
温で使用される感熱樹脂材料の加熱変形強度を両立させ
るのが困難である。 ロ)熱安定剤の三塩基性硫酸鉛は塩基性が強く、可塑剤
のエステル基を加水分解しやすいために、多量添加した
場合にポリ塩化ビニル樹脂の脱塩素反応に対しては効果
はあるが可塑剤が経時変化することになって、インピー
ダンス|Z|の安定性が良くない。 ハ)第4級アンモニウム塩など有機の過塩素酸塩はアル
キル基の耐熱性が低く、熱劣化によってインピーダンス
|Z|の安定性が無くなる。 ニ)有機の過塩素酸塩は吸湿し易く、ポリ塩化ビニル樹
脂に添加した状態でも吸湿によるインピーダンス変動が
あり、特性の品質管理が困難である。 ホ)有機の過塩素酸塩の耐熱性を高めるにはアルキル基
の分子量が大きいものを使用する必要があるが、このも
のはその分イオン半径も大きくなって伝導しにくくなる
ので、温度−インピーダンス特性(サーミスタ特性)を
高感度化しにくい。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、サーミスタ特性を高感度化することができると共
にインピーダンス変化を小さくして安定化することがで
きる感熱樹脂材料を提供することを目的とし、さらに従
来よりも高い温度で使用することが可能になる感熱発熱
体を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る感熱樹脂材
料は、ポリ塩化ビニル系樹脂に、耐熱性可塑剤と、珪酸
鉛系の熱安定剤と、イオン性添加剤として無機の過塩素
酸塩を添加して成ることを特徴とするものである。また
本発明に係る感熱発熱体は、上記感熱樹脂材料を介して
一対の電極を配置すると共に一対の電極の少なくとも一
方を発熱抵抗体とし、これらを絶縁体で覆って成ること
を特徴とするものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。基材とな
るポリ塩化ビニル系樹脂に配合される可塑剤として、本
発明ではトリメリット酸エステルやピロメリット酸エス
テルなどの耐熱性可塑剤を用いるものである。本発明に
係る感熱樹脂材料ではサーミスタ特性の発現はイオン性
添加剤のイオン伝導性によるものであり、イオンが溶解
しているポリ塩化ビニル系樹脂のマトリクスポリマーの
ガラス転移温度にサーミスタ特性は依存することにな
り、可塑剤の種類や添加量が大きく関係してくることに
なる。すなわち、高温が感熱樹脂材料に作用して可塑剤
がブリードアウトして抜けてしまうと、ポリ塩化ビニル
系樹脂のガラス転移温度が変化し、|Z|も変動してし
まうことになる。このために本発明では、高温が作用し
てもブリードアウトしない耐熱性可塑剤を用いるもので
あり、インピーダンス変動を小さくしてサーミスタ特性
を安定化させるようにしてある。
【0008】耐熱性可塑剤の配合量は、ポリ塩化ビニル
系樹脂100重量部に対して20〜100重量部の範囲
が好ましい。耐熱性可塑剤の配合量が少な過ぎると、他
の配合剤との均一分散性や押出成形性、耐寒性、屈曲性
等に問題が発生するおそれがあり、逆に多過ぎると、耐
熱性可塑剤とはいえ高温の作用でブリードアウトし易く
なると共に、ポリ塩化ビニル系樹脂のガラス転移温度が
低くなり過ぎて、|Z|の値が温度に対して急激に変化
する高感度領域が低温側にシフトしてしまうことにな
る。このために耐熱性可塑剤の配合量の上限と下限は上
記のように設定されるものであり、特に35〜60重量
部の範囲が適するものである。
【0009】また、ポリ塩化ビニル系樹脂に配合する熱
安定剤として、本発明では酸化鉛(PbO)と二酸化珪
素(SiO2 )からなる珪酸鉛を主成分とする熱安定剤
を用いる。ポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定剤として従来
から用いられている三塩基性硫酸鉛は既述のように塩基
性であるので可塑剤を分解してしまうおそれがあるが、
珪酸鉛は可塑剤を分解するようなおそれがなく、上記の
ような耐熱性可塑剤を用いることが可能になるものであ
り、また珪酸鉛は分子中の鉛成分がリッチであるために
高い熱安定性を得ることができるものである。
【0010】珪酸鉛の配合量は、ポリ塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して5〜20重量部の範囲が好まし
い。珪酸鉛の配合量が少な過ぎると感熱樹脂材料の熱安
定性が不足することになり、また珪酸鉛は粉体状である
ために多量のものを均一に安定して配合することは難し
い。このために珪酸鉛の配合量は上限と下限を上記のよ
うに設定されるものあり、特に10〜20重量部の範囲
が適するものである。
【0011】さらに本発明ではポリ塩化ビニル系樹脂に
配合するイオン性添加剤として、過塩素酸リチウム〔L
+ ・ClO4 - 〕などの無機の過塩素酸塩を用いるも
のである。無機の過塩素酸塩は第4級アンモニウム塩な
ど有機系の過塩素酸塩と比べて耐熱性が優れていると共
に吸湿が小さく、熱劣化によって|Z|が不安定になっ
たり吸湿によって|Z|が変動したりすることを防ぐこ
とができるものであり、また無機の過塩素酸塩は第4級
アンモニウム塩など有機系の過塩素酸塩と比べてイオン
半径が小さく、そのぶん移動度が大きくなってサーミス
タ特性を高感度にすることができるものである。
【0012】過塩素酸リチウムなどの無機の過塩素酸塩
をポリ塩化ビニル系樹脂に配合するにあたっては、ポリ
エチレンオキサイド(PEO)やポリプロピレンオキサ
イド(PPO)、もしくは両者の共重合樹脂(PEO・
PPO)のような有機高分子材料に無機の過塩素酸塩を
溶解し、これをイオン性添加剤としてポリ塩化ビニル系
樹脂に添加するようにするのが好ましく、このようにす
ることによって、温度上昇に伴ってイオン伝導によりイ
ンピーダンス低下を大きく引き起こさせ、インピーダン
ス−温度特性の変化率を大きくすることによってサーミ
スタ特性を高め、温度検知の精度を高めることができる
ものである。このように無機の過塩素酸塩をPEOやP
POに溶解してポリ塩化ビニル系樹脂に配合すると、無
機の過塩素酸塩はPEOやPPO中で支配的に伝導し、
しかもPEOやPPOはポリ塩化ビニル系樹脂に対する
溶解度が低く添加量も多くできないために、イオン伝導
はポリ塩化ビニル系樹脂中のPEOやPPO中で支配的
に発現することになり、直流印加による移動量が少なく
なって直流分極しにくくなるものである。
【0013】また、ポリエチレンオキサイドとポリプロ
ピレンオキサイドの共重合樹脂(PEO・PPO)に過
塩素酸リチウムなどの無機の過塩素酸塩を溶解して用い
る場合、イオン伝導は無機の過塩素酸塩を溶解している
PEO・PPOよりなるマトリクスポリマー中で支配的
に発現することになるので、PEO・PPOの共重合比
率や平均分子量等によってインピーダンス−温度特性を
自由に設計することが可能になるものである。この場合
のPEO・PPOの共重合比率は無機の過塩素酸塩の溶
解性やポリ塩化ビニル系樹脂への分散性から、1:9〜
8:2程度の範囲から選択することができる。また分子
量は500〜10000程度の範囲で選択することがで
きるが、耐熱性や無機の過塩素酸塩の溶解性、ポリ塩化
ビニル系樹脂への分散性の点から1500〜5000程
度が好ましい。PEO・PPOマトリックスポリマーに
対する無機の過塩素酸塩の添加量は3〜15重量%の範
囲から選択することができるが、取扱いの安定性、溶解
性を考慮すると5〜10重量%が好ましい。ポリ塩化ビ
ニル系樹脂に対するPEO・PPOの添加量は、イオン
伝導をPEO・PPO中で支配的に発生させるために
は、ポリ塩化ビニル系樹脂と耐熱性可塑剤を含めた樹脂
分100重量部に対して0.5〜5重量部の範囲から選
択することができるが、分散性や、|Z|特性が可塑剤
に大きく影響されないようにするなどのために1〜3重
量部程度が好ましい。
【0014】上記のようにポリ塩化ビニル系樹脂に、耐
熱性可塑剤と、珪酸鉛系の熱安定剤と、イオン性添加剤
として無機の過塩素酸塩を添加して調製される感熱樹脂
材料をサーミスタとして用いることによって、図1に示
すようなコード状の感熱発熱体Aを製造することができ
る。図1の感熱発熱体Aは、絶縁性の芯糸6に金属線を
スパイラル状に巻いて内巻きの電極2とし、感熱樹脂材
料1を例えば押出成形して内巻電極2の外側に被覆し、
その外側に金属線を巻いて外巻の電極3と、さらにその
外側に添加剤のブリードアウトを防止するために樹脂フ
ィルムを巻いて分離層5を形成し、そしてその外側に樹
脂を被覆して絶縁体4を設けると共に場合によってはさ
らに接着層7を被覆することによって、作成するように
してある。このように作成される感熱発熱体Aは、内巻
電極2と外巻電極3の少なくとも一方を発熱抵抗体とし
て通電することによって発熱させることができるもので
あり、感熱樹脂材料1は温度上昇に伴って|Z|が低下
するインピーダンス−温度特性を有するので、電極2,
3間に温度上昇に相当する電位差が検出されることによ
って、発熱温度を検知することができるものである。
【0015】図2(a)(b)は上記のように作成され
るコード状の感熱発熱体Aを用いて製造した電気カーペ
ットBを示すものであり、ポリエステル繊維等で形成し
た厚み7mm程度の裏面布8と厚み9μm程度の均熱ア
ルミニウム箔10との間に挟んでジグザグ状に配置し、
そして均熱アルミニウム箔10の上にポリエステル繊維
等で形成した厚み4mm程度の表面布9を積層すること
によって作成してある。図2(a)において11は電源
コード、12は温度コントローラである。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに説明す
る。 (実施例)平均重合度が1300のポリ塩化ビニル樹脂
100重量部に耐熱性可塑剤として式(1)に示すピロ
メリット酸オクチルエステル(TOPM)を45重量
部、熱安定剤として式(2)に示す珪酸鉛を15重量
部、イオン性添加剤としてPEO・PPO共重合樹脂
(平均分子量3500)に過塩素酸リチウム〔Li+
ClO4 - 〕を10重量%添加したものを2重量部(ポ
リ塩化ビニルと可塑剤の合計量100重量部に対して
1.38重量部)配合し、さらに抗酸化剤や滑剤を少量
配合して感熱樹脂材料を調製した。
【0017】(比較例1)平均重合度が1300のポリ
塩化ビニル樹脂100重量部に耐熱性可塑剤としてピロ
メリット酸オクチルエステル(TOPM)を45重量
部、熱安定剤として式(3)に示す三塩基性硫酸鉛を1
5重量部、イオン性添加剤として式(4)に示す過塩素
酸よりなる第4級アンモニウム塩を3重量部配合し、さ
らに抗酸化剤や滑剤を少量配合して感熱樹脂材料を調製
した。
【0018】(比較例2)平均重合度が1300のポリ
塩化ビニル樹脂100重量部に耐熱性可塑剤としてピロ
メリット酸オクチルエステル(TOPM)を45重量
部、熱安定剤として式(3)に示す三塩基性硫酸鉛を1
5重量部、イオン性添加剤としてPEO・PPO共重合
樹脂(平均分子量3500)に過塩素酸リチウム〔Li
+ ・ClO4 - 〕を10重量%添加したものを2重量部
配合し、さらに抗酸化剤や滑剤を少量配合して感熱樹脂
材料を調製した。
【0019】(比較例3)平均重合度が1300のポリ
塩化ビニル樹脂100重量部に耐熱性可塑剤としてピロ
メリット酸オクチルエステル(TOPM)を45重量
部、熱安定剤として式(2)に示す珪酸鉛を15重量
部、イオン性添加剤として式(4)に示す過塩素酸より
なる第4級アンモニウム塩を3重量部配合し、さらに抗
酸化剤や滑剤を少量配合して感熱樹脂材料を調製した。
【0020】
【化1】
【0021】 PbO・PbSiO3 (PbO:85%) …式(2) 3PbO・PbSO4 ・H2 O …式(3) 上記実施例及び比較例1乃至3で得た感熱樹脂材料につ
いて、200℃で加熱して劣化促進テストをおこない、
脱塩酸による分解が急激に発生するまでの時間を測定し
て熱安定性を調べた。またこの感熱樹脂材料を0.5m
m厚のシート状に成形した試料を136℃で168時間
(7日間)ギヤオーブン中で加熱し、揮発減量と80℃
での|Z|の変化量を測定した。さらに、乾燥状態と4
0℃×90%RHの湿度雰囲気中での40℃の|Z|の
吸湿による変化、乾燥時の80℃と100℃の間のサー
ミスタ特性(B定数)を調べた。B定数は|Z|と温度
の関係を図3のようにすると、次式で算出することがで
きる。
【0022】 B=(ln|Z|−ln|Za|)/(1/T−1/Ta) さらに、感熱樹脂材料のシートの両面に金属箔の電極を
貼って80℃の雰囲気中で5Vの直流を168時間連続
して印加した場合の|Z|の変化についても調べた。結
果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1中の実施例と比較例1とを比較する
と、実施例のものでは、熱安定性が高まり、また揮発減
量が小さくなると共に|Z|の変化も小さくなることが
確認される。さらにB定数の高感度化が高く、吸湿によ
る|Z|の変化も小さくなっていることが確認される。
一方、比較例2はイオン性添加剤として無機の過塩素酸
塩を用いているが、熱安定剤として三塩基性硫酸鉛を使
用しているので、熱安定性や熱老化性が実施例に比べて
低くなっている。さらに比較例3は熱安定剤として珪酸
鉛を用いているが、イオン性添加剤として有機の過塩素
酸塩を使用しているので、サーミスタ特性、耐湿性、耐
直流電圧等は比較例1と同じであり、改善されていな
い。
【0025】また、実施例及び比較例1で作成した感熱
樹脂材料を用いて図1のワイヤー状の感熱発熱体Aを作
成した。すなわち、全芳香族ポリエステル樹脂系100
0デニール繊維で形成した芯糸6の外周に、銅合金より
なる0.12mmφの3本の金属線をピッチ1.25m
mでスパイラル状に巻いて内巻電極2とし、その外側に
感熱樹脂材料1を押出成形して被覆し、その外側にNi
メッキした幅0.4mm、厚み0.05mmの金属線を
ピッチ2.0mmでスパイラル状に巻いて外巻電極3と
し、さらにその外側に厚み12μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを巻いて分離層5を形成した後に、
厚み0.4mmの耐熱ポリ塩化ビニル樹脂の絶縁体4で
絶縁被覆することによって、内巻電極2を発熱抵抗体と
して用いる感熱発熱体Aを作成した。
【0026】このように作成される感熱発熱体の感熱樹
脂材料について、|Z|−温度特性を周波数60Hz、
感熱発熱体の長さ36mの条件で測定した。結果を図4
に示す。図4にみられるように、|Z|の変化率を示す
B定数が大きい実施例のほうが感熱特性が高感度になっ
ていることが確認される。すなわち、80℃〜100℃
におけるB定数が比較例1では9700であるのに対し
て、実施例では12100であり、さらに可塑剤の使用
量が同じである場合に低温域の|Z|は両者ほぼ同等の
値を示しており、実施例のものでは|Z|−温度特性を
高感度化してサーミスタ特性が改良されているものであ
る。
【0027】また、感熱発熱体を40℃×90%RHの
雰囲気中に2日間放置した後の|Z|が低下する変化を
測定し、図4に追加した。図4にみられるように比較例
1のものでは25%強の|Z|低下がみられたが、実施
例のものではほとんど変化がみられなかった。また、感
熱発熱体について、感熱樹脂材料の初期の|Z|−温度
特性と、110℃の雰囲気中に2000時間放置して熱
老化処理した後の|Z|−温度特性をそれぞれ測定し
た。結果を図5に示す。図5にみられるように、実施例
のものは比較例1のものに比べて熱老化が進行しないた
めに、|Z|の変化が小さくなることが確認される。
尚、80℃での|Z|の変化は表1の値と同じような傾
向を示すものであった。
【0028】次に、可塑剤の量と|Z|の関係を調べる
ために、実施例及び比較例1においてTOPMの配合量
を45重量から40重量部に変更してそれぞれ感熱樹脂
材料を調製し、80℃での|Z|値を測定し、TOPM
の配合量を45重量から40重量部に変更したときの8
0℃での|Z|値の変化を求めた。結果を表2に示すよ
うに、実施例のものでは可塑剤の量の変化に対して|Z
|値の変化が小さく、インピーダンス特性の可塑剤量に
対する依存量が低いこと、すなわち可塑剤量のばらつき
による特性ばらつきを小さく抑えることができることが
確認される。これは過塩素酸リチウムは直接可塑剤中を
移動するのではなく、PEO・PPOに溶解した状態で
イオン伝導するためである。
【0029】
【表2】
【0030】さらに、PEO・PPOの分子量と|Z|
の関係を調べるために、実施例において用いた平均分子
量3500のPEO・PPOを平均分子量1500のも
のに変更し、周波数100Hzの条件で80℃の|Z|
を測定した。結果を表3に示すように、PEO・PPO
の分子量の変化に伴って|Z|も変化し、過塩素酸リチ
ウムはPEO・PPOの分子量に依存していることが確
認される。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】上記のように本発明は、ポリ塩化ビニル
系樹脂に、耐熱性可塑剤と、珪酸鉛系の熱安定剤と、イ
オン性添加剤として無機の過塩素酸塩を添加して感熱樹
脂材料を調製するようにしたので、耐熱性可塑剤を用い
ることによって高温で可塑剤がブリードアウトすること
を防止することができ、また珪酸鉛系の熱安定剤は可塑
剤を加水分解させるおそれがないと共に熱安定性が高
く、さらに無機の過塩素酸塩は耐熱性に優れると共に吸
湿しにくいものであって、これらによってインピーダン
ス変化を小さくして安定化することができるものであ
り、しかも無機の過塩素酸塩はイオン半径が小さく伝導
が容易であって温度に対するインピーダンスの変化を大
きくすることができ、サーミスタ特性を高感度化するこ
とができるものである。
【0033】また本発明に係る感熱発熱体は、上記の感
熱樹脂材料を用いているので、部分断熱高温部の検出感
度や耐熱老化性が向上し、従来よりも高い温度で使用す
ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱発熱体の一実施例の正面図であ
る。
【図2】同上の感熱発熱体を用いた電気カーペットを示
すものであり、(a)は斜視図、(b)は一部の拡大し
た断面図である。
【図3】定数Bを説明するための固有インピーダンス−
温度曲線のグラフである。
【図4】実施例及び比較例1の感熱樹脂材料の固有イン
ピーダンス−温度曲線のグラフである。
【図5】実施例及び比較例1の感熱樹脂材料の熱老化試
験の前と後の固有インピーダンス−温度曲線のグラフで
ある。
【符号の説明】
1 感熱樹脂材料 2 電極 3 電極 4 絶縁体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】さらに本発明ではポリ塩化ビニル系樹脂に
配合するイオン性添加剤として、過塩素酸リチウム〔L
+ ・ClO4 - 〕などの無機の過塩素酸塩を用いるも
のである。無機の過塩素酸塩は第4級アンモニウム塩な
ど有機系の過塩素酸塩と比べて耐熱性が優れていると共
に吸湿が小さく、熱劣化によって|Z|が不安定になっ
たり吸湿によって|Z|が変動したりすることを防ぐこ
とができるものであり、また無機の過塩素酸塩は第4級
アンモニウム塩など有機系の過塩素酸塩と比べてイオン
半径が小さく、そのぶん移動度が大きくなってサーミス
タ特性を高感度にすることができるものである。無機の
過塩素酸塩としては、上記LiClO4の他に、NaC
lO4 ,KClO4 ,AlClO4 ,Mg(ClO4
2 ,Ca(ClO4 2 ,Ba(ClO4 2 ,NH4
ClO4 ,NaClO4 などを用いることもできる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ塩化ビニル系樹脂に、耐熱性可塑剤
    と、珪酸鉛系の熱安定剤と、イオン性添加剤として無機
    の過塩素酸塩を添加して成ることを特徴とする感熱樹脂
    材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の感熱樹脂材料を介して
    一対の電極を配置すると共に一対の電極の少なくとも一
    方を発熱抵抗体とし、これらを絶縁体で覆って成ること
    を特徴とする感熱発熱体。
JP14314193A 1993-06-15 1993-06-15 感熱樹脂材料及び感熱発熱体 Pending JPH076903A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010132815A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Daiso Co Ltd 高分子感温体用組成物及び高分子感温体

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