JPH0768676A - ハニカムコアの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 第１に、ギヤやラック等の成形型へ、基材に
付着，含浸せしめられていた樹脂が付着することは防止
され、第２に、しかもこれらは確実に実現されると共
に、削れ，磨耗等による粉末のプリプレグシートへの付
着の問題が生じることなく実現され、もって、製造され
たハニカムコアの材質面，寸法面，その他の品質が向上
する、ハニカムコアの製造方法を提案する。 【構成】 この製造方法では、まず、基材に樹脂が付
着，含浸せしめられたプリプレグシート１を、非粘着性
で離型性を備えた離型シート４で挟んだ後、ギヤ２やラ
ック３等の成形型にて折曲加工して、波板５を成形す
る。そして次に、離型シート４を剥がした後、複数枚の
波板５を、頂部や谷部に接着剤を介裝して重積し接着す
ることにより、中空柱状のセルの平面的集合体であるハ
ニカムコアが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハニカムコアの製造方
法に関する。すなわち、プリプレグシートを折曲加工し
て波板とし、これを重積，接着してハニカムコアを得
る、ハニカムコアの製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３は、この種従来例のハニカムコアの
製造方法の説明に供する正面説明図である。この種のハ
ニカムコアの製造方法では、基材に樹脂が付着，含浸せ
しめられた、例えば繊維強化プラスチックシート（ＦＲ
Ｐシート）等のプリプレグシート１を、図３に示すよう
に、ギヤ２やラック３にて折曲加工し波板とした後、つ
まり、加圧，加熱，冷却等により波板に型成形した後、
成形された複数枚の波板を重積して接着することによ
り、ハニカムコアを得ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。まず第
１に、プリプレグシート１は、加熱により更に常温でも
粘性・タックが生じやすいが、ギヤ２やラック３による
折曲加工に際し加圧されると、プリプレグシート１に付
着，含浸せしめられていた樹脂が、外に染み出し・フロ
ーして、ギヤ２やラック３の表面に付着しやすいという
難点があった。すなわち、成形型であるギヤ２やラック
３についても、その表面に、このようにプリプレグシー
ト１から染み出し・フローした樹脂が付着するので、付
着した部分の表面厚がより厚くなる等、その型寸法が設
計時の所期のものとは相違し狂ってしまい、もって波板
そして製造されたハニカムコアについて、寸法面で品質
に問題を生じていた。

【０００４】第２に、そこで従来、このようなプリプレ
グシート１からの樹脂の染み出し・フロー、そしてギヤ
２やラック３への付着の問題に対処すべく、ギヤ２やラ
ック３の表面に、フッ素樹脂その他の離型剤や非粘着剤
等を、付着，コーティング加工処理することも行われて
いた。しかしながら、このような付着，コーティング加
工処理を施しても、プリプレグシート１の折曲加工に伴
い、次第に削られ，磨耗し，劣化してしまい離型性が低
下しやすく、結局、効果の持続性そして確実性に問題が
あった。更に、このように削られ，磨耗した離型剤や非
粘着剤等の粉末が、折曲加工されるプリプレグシート１
側に付着してしまい、このような付着に起因して、プリ
プレグシート１の特に基材が損傷しやすいと共に、事後
の接着剤の塗布や樹脂の付着，含浸やその他の後処理
に、悪影響を及ぼし支障を来すこともあった。もって、
これらの面からも波板そしてハニカムコアについて、品
質に問題が生じていた。

【０００５】本発明は、このような実情に鑑み、上記従
来例の問題点を解決すべくなされたものであって、プリ
プレグシートを離型シートで挟んで折曲加工するように
したことにより、第１に、プリプレグシートの樹脂の染
み出し・フローによるギヤやラックへの樹脂の付着を防
止でき、第２に、しかもこれらが確実に実現されると共
に、削れ，磨耗等による粉末のプリプレグシートへの付
着の問題も生じない、ハニカムコアの製造方法を提案す
ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発
明の技術的手段は、次のとおりである。すなわち、この
ハニカムコアの製造方法では、基材に樹脂が付着，含浸
せしめられたプリプレグシートを、非粘着性で離型性を
備えた離型シートで挟んだ後、ギヤやラック等の成形型
にて折曲加工して波板とし、次に、該離型シートを剥が
した後、複数枚の該波板を頂部や谷部に接着剤を介裝し
て重積し接着することにより、中空柱状のセルの平面的
集合体であるハニカムコアが得られる。

【０００７】

【作用】本発明は、このような手段よりなるので、次の
ように作用する。この製造方法では、まず、基材に樹脂
が付着，含浸せしめられたプリプレグシートを、離型シ
ートで挟んだ後、ギヤやラック等の成形型にて折曲加工
することにより、波板が成形される。それから離型シー
トを剥がした後、波板を重積，接着することにより、ハ
ニカムコアが製造される。

【０００８】そこで第１に、プリプレグシートは、離型
シートで挟まれ両面が覆われた状態で、加圧され折曲加
工されるので、基材に付着，含浸せしめられていた樹脂
がギヤやラック等の成形型に付着することが防止され
る。第２に、しかもこれは、プリプレグシートを離型シ
ートで挟むことにより実現され、プリプレグシート毎に
新たな離型シートが用いられるので、その削れ，磨耗，
劣化，離型性の低下等のおそれはない。勿論、削れ，磨
耗等による粉末がプリプレグシート側に付着してしま
う、という問題も生じない。

【０００９】

【実施例】以下本発明を、図面に示すその実施例に基づ
いて、詳細に説明する。図１は、本発明の実施例の説明
に供する正面説明図であり、（１）図はプリプレグシー
ト１をギヤ２とラック３間に配した工程を、（２）図は
折曲加工する工程を、（３）図は離型シート４を剥がす
工程を示す。図２も同実施例の説明に供し、（１）図は
波板５を重積，接着した工程の正面説明図、（２）図は
製造されたハニカムコア６の要部の斜視図である。

【００１０】この製造方法では、まず、基材に樹脂が付
着，含浸せしめられたプリプレグシート１が、母材シー
トとして準備される。すなわち、ガラス繊維，ケブラー
繊維，カーボン繊維等の基材に、フェノール樹脂，エポ
キシ樹脂，ポリイミド樹脂等を、付着，含浸せしめた繊
維強化プラスチックシート（ＦＲＰシート）、更に、そ
の他のハイブリッド繊維，合成繊維等の基材に、各種の
樹脂を付着，含浸せしめた繊維強化プラスチックシート
等が、予め準備される。そしてこれらは、加熱されて軟
化した半硬化のプリプレグ状態であると共に極薄で帯状
のシートをなす、プリプレグシート１として準備され
る。なお基材としては、織布は勿論のこと不織布も用い
られる。

【００１１】次に、このように準備されたプリプレグシ
ート１は、図１の（１）図に示すように、成形型である
ギヤ２とラック３間に配される。図示例にあっては、成
形型としてギヤ２とラック３を組み合わせたものが示さ
れているが、勿論、図示例によらず２個のギヤ２を用い
たものや、２個のラック３を用いたものも可能である。
いずれにしても１対の成形型の表面には、図示例の台形
状を始め三角形状，その他の形状の凹凸が、所定の型寸
法つまり所定ピッチと高さで、平行かつ連続的に形成さ
れている。

【００１２】さて、このように例えばギヤ２とラック３
よりなる成形型間に配されたプリプレグシート１は、非
粘着性で離型性を備えた離型シート４で挟まれた状態と
なっている。離型シート４としては、離型紙、例えば
フッ素樹脂シート，ポリエステル樹脂シート，ポリエチ
レンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂シート，その他
のペーパーや、メタルシート、例えば弾性金属箔や、
合成フィルム、例えばポリエステル樹脂シートの両面
にシリコンを焼き付け等により貼り合わせてなる合成フ
ィルム、等が用いられる。

【００１３】そしてプリプレグシート１は、図１の
（２）図に示したように、このような２枚の離型シート
４で上下両面を挟まれた状態で、ギヤ２やラック３等の
成形型にて折曲加工され、波板５とされる。すなわちプ
リプレグシート１は、離型シート４を介しつつギヤ２や
ラック３にてコルゲート成形され、加圧，加熱、冷却等
により例えば台形状等、ギヤ２やラック３に見合った形
状の凹凸が所定ピッチと高さで連続的に型成形され、波
板５とされる。しかる後、図１の（３）図に示したよう
に、このように成形された波板５から離型シート４が剥
がされ、離型シート４は破棄される。それから波板材５
は、その頂部や谷部に接着剤７が条線状に塗布され、接
着剤７が乾燥された後、一定長さ毎に切断される。しか
る後、図２の（１）図に示したように、このように切断
された各波板５は、上下で各谷部と頂部とをそれぞれ合
わせつつ、接着剤７を介し多数枚が積層ブロック状に重
積され、炉中等で接着剤７の融点温度にて加熱加圧され
ることにより、接着剤７が溶融硬化し、重積された波板
５間が接着される。

【００１４】このような各工程を辿ることにより、例え
ば図２の（２）図に示したように、中空柱状のセル８の
平面的集合体であるハニカムコア６が製造される。すな
わちハニカムコア６は、重積，接着された波板５にて形
成されたセル壁９により、各々独立空間に区画された中
空柱状の多数のセル８の平面的集合体よりなり、セル壁
９そしてセル８の断面形状は、図示の正六角形のものの
ほか、三角形，四角形，台形，その他各種形状のものが
考えられる。そしてハニカムコア６は、重量比強度に優
れ、軽量性と共に高い剛性・強度を備え、又、整流効
果，平面精度，保温性，遮音性にも優れ、単位容積当り
の表面積が大であり成形も容易である、等々の特性が知
られ、広く各種用途に使用されている。なお図示例で
は、波板５のみを複数枚重積，接着したものが示されて
いるが、このような各波板５間に、波板５への折曲加工
が行われないプリプレグシート１よりなる平板を介裝し
て重積，接着した、ダブルコアとも称されるハニカムコ
ア６も可能である。更に図示例のハニカムコア６は、波
板５を重積，接着して製造されていたが、このような重
積，接着後に更に展張を実施することにより、セル８を
特殊形状に変形させたハニカムコア６も考えられる。

【００１５】本発明は、以上説明したようになってい
る。そこで以下のようになる。このハニカムコア６の製
造方法では、まず、基材に樹脂が付着，含浸せしめられ
た母材シートたるプリプレグシート１について、その両
面を離型シート４で挟んだ後、ギヤ２やラック３等の成
形型にて折曲加工することにより、つまり加圧，加熱，
冷却等により波板５が型成形される（図１の（１）図，
（２）図参照）。それから離型シート４を剥がした後
（図１の（３）図参照）、波板５を重積，接着すること
により、ハニカムコア６が製造される（図２の（１）
図，（２）図参照）。そこでこの製造方法によると、次
の第１，第２のようになる。

【００１６】第１に、この製造方法においてプリプレグ
シート１は、離型シート４で挟まれ両面が覆われた状態
で、折曲加工される。従ってプリプレグシート１は、加
熱により更に常温でも粘性・タックが生じやすいもの
の、折曲加工に際しギヤ２やラック３にて加圧された
際、付着，含浸せしめられていた樹脂が外へ染み出し・
フローしても、これがギヤ２やラック３側に至るような
ことは、介在する離型シート４にて確実に阻止され抑え
られる。そこで勿論、前述したこの種従来例のように染
み出し・フローした樹脂が、成形型であるギヤ２やラッ
ク３に付着することも防止される。

【００１７】第２に、上述の第１の点は、この製造方法
ではプリプレグシート１を離型シート４で挟む方式にて
実現され、前述したこの種従来例のように、ギヤ２やラ
ック３等の成形型の表面に離型剤や非粘着剤等を、付
着，コーティング，加工処理する方式にて実現されるの
ではない。すなわちこの製造方法では、プリプレグシー
ト１毎に新たな離型シート４が用いられるので、この種
従来例のような削れ，磨耗，劣化，離型性の低下等のお
それはなく、上述したプリプレグシート１からの樹脂の
外への染み出し・フローによるギヤ２やラック３等への
付着等は、確実に抑えられ防止される。このように削
れ，磨耗等のおそれがないので、この製造方法では、こ
の種従来例のように削れ，磨耗等による粉末がプリプレ
グシート１側に付着してしまう、という問題も生じな
い。

【００１８】

【発明の効果】本発明に係るハニカムコアの製造方法
は、プリプレグシートを離型シートで挟んで折曲加工す
るようにしたことにより、次の効果を発揮する。

【００１９】第１に、染み出し・フローしたプリプレグ
シートの樹脂が、ギヤやラック等の成形型へ付着するこ
とは、確実に防止される。もって、波板そして製造され
たハニカムコアは、材質面が安定しその品質が向上す
る。これと共に、成形型であるギヤやラックも、その型
寸法が所期の通りで変化し狂ってしまうことがなく、も
って、波板そして製造されたハニカムコアは、寸法面が
安定しこの面からも品質が向上する。

【００２０】第２に、しかもこれらは確実に実現される
と共に、削れ，磨耗等による粉末のプリプレグシートへ
の付着の問題を生じることなく実現される。すなわち、
離型シートを用いるので、その削れ，磨耗，劣化，離型
性の低下等のおそれがなく、もって上述した第１の点
が、効果の持続性にも不安がなく確実に実現される。こ
れと共に粉末の付着が回避されるので、プリプレグシー
トの損傷や、事後の接着剤の塗布や樹脂の付着，含浸や
その他の後処理に、悪影響を及ぼし支障を来すこともな
い。もってこれらの面からも、波板そしてハニカムコア
の品質が向上する。このように、この種従来例に存した
問題点が一掃される等、本発明の発揮する効果は、顕著
にして大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るハニカムコアの製造方法の実施例
の説明に供する正面説明図であり、（１）図は、プリプ
レグシートをギヤとラック間に配した工程を、（２）図
は、折曲加工する工程を、（３）図は、離型シートを剥
がす工程を示す。

【図２】同実施例の説明に供し、（１）図は、波板を重
積，接着した工程の正面説明図、（２）図は、製造され
たハニカムコアの要部の斜視図である。

【図３】この種従来例のハニカムコアの製造方法の説明
に供し、プリプレグシートをギヤとラック間に配した工
程の正面説明図である。

【符号の説明】

１ プリプレグシート ２ ギヤ ３ ラック ４ 離型シート ５ 波板 ６ ハニカムコア ７ 接着剤 ８ セル ９ セル壁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材に樹脂が付着，含浸せしめられたプ
   リプレグシートを、非粘着性で離型性を備えた離型シー
   トで挟んだ後、ギヤやラック等の成形型にて折曲加工し
   て波板とし、 次に、該離型シートを剥がした後、複数枚の該波板を頂
   部や谷部に接着剤を介裝して重積し接着することによ
   り、中空柱状のセルの平面的集合体であるハニカムコア
   を得ること、を特徴とするハニカムコアの製造方法。