JP5976453B2 - 繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法 - Google Patents
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Description
ハニカムコアは、セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体よりなり、重量比強度,平面精度(特に、ハニカムサンドイッチパネルとして使用した場合),その他に優れる、という特性を備えている。
そして、繊維強化プラスチック製のハニカムコアは、軽量性や耐食性に一段と優れており、そのセル壁は、繊維基材に熱硬化性樹脂を付着,含浸させたものが代表的であり、セルは、断面形状が正六角形のものが代表的である。
又、このような繊維強化プラスチック製のハニカムコアは、他のハニカムコアと同様、いわゆるコルゲート方式や展張方式にて製造される。本発明は、コルゲート方式の製造方法に関する。
コルゲート方式では、繊維強化プラスチック製の波板を重積,接着することにより、ハニカムコアを製造していた。このような従来のコルゲート方式の製造方法について、図5,図6,図7を参照して説明する。
まず、図5の(1)図に示したように、シート状のプリプレグ1がコルゲート成形装置2に供給されて、コルゲート成形される。
すなわち、繊維基材3に熱硬化性樹脂4を付着,含浸させた粘性状態Bのプリプレグ1が、コルゲート成形装置2の上下一対のコルゲートギア5とコルゲートラック6間に、挿入されて加圧され、もって、シート状から波形状にコルゲート成形される。なおコルゲート成形装置2としては、上下一対のギアを用いたもの等もある。
それから、コルゲート成形されたプリプレグ1は、図5の(2)図に示したように、コルゲートラック6,7間に挟持され形状保持されつつ、ホットプレス等の加熱加圧装置Hに供給され、図6の(1)図に示したように、熱硬化性樹脂2が完全硬化状態Cとされて、コルゲート板8となる。
接着剤10が塗布されたコルゲート板8は、オーブン等に供給されて加熱,乾燥され、接着剤10中の余分な溶剤が蒸発,除去される。それから、複数枚のコルゲート板9が、波形が半ピッチ分ずれ頂部と底部が対応する位置関係で、重積される。
そして、図6の(3)図に示したように、オーブン等の加熱加圧装置Hに供給されて、塗布されていた接着剤10が溶融,硬化し、もって完全硬化状態Cとなった接着剤10にて、重積されたコルゲート板8間が接着される。
従来のコルゲート方式の製造方法では、このような工程を辿ることにより、図7に示したように、コルゲート板8をセル壁13とし、セル14の断面形状が正六角形の繊維強化プラスチック製のハニカムコア15を製造していた。
ところで、このような従来のコルゲート方式に係る繊維強化プラスチック製のハニカムコア15の製造方法については、次の課題が指摘されていた。
《第1の問題点》
第1に、コスト面に問題が指摘されていた。すなわち、従来のコルゲート方式の製造方法は、まず、高価なコルゲート成形装置2が必須的に使用されており、ハニカムコア15の製造コスト上昇を招いていた。
すなわち、コルゲート成形装置2の例えばコルゲートギア5とコルゲートラック6や、上下一対のギア等は、プリプレグ1を連続的にコルゲート成形するための型として、精緻で正確な寸法設定,噛み合わせ構造,位置合わせ等を要し、製作コストが嵩み高価となっていた。
又、従来の製造方法は、接着剤10を使用するので、その分だけ材料コストが嵩んでいた。更に、接着剤10の塗布工程,乾燥工程,加熱硬化工程、等の各工程の追加実施が必須的であり、各工程の分だけ手間がかかり、これらの面からも製造コスト上昇を招いていた。
第2に、異形ハニカムコアの製造が困難である、という問題が指摘されていた。すなわちハニカムコア15は、セル壁13が直線的でセル14形状が正六角形等のものが、代表的であるが(図7を参照)、セル壁13がわん曲しセル14形状が特殊な異形ハニカムコアも、開発,使用されている(後述する図4を参照)。
しかしながら、従来のコルゲート方式の製造方法では、この異形ハニカムコアは、製造困難とされていた。
すなわち、プリプレグ1の連続的コルゲート成形用の型として、コルゲートギア5とコルゲートラック6や、上下一対のギア等を使用する、従来のコルゲート成形装置2では、製造可能なハニカムコア15が限られていた。セル壁13が直線的でセル14が正六角形等のものに限定され、セル壁13がわん曲し、セル14形状が特殊な繊維強化プラスチック製の異形ハニカムコアは、製造困難とされていた。
第3に、製造されたハニカムコア15について、熱歪が発生し易い、という問題が指摘されていた。
すなわち、従来の製造方法では、プリプレグ1を完全硬化状態Cのコルゲート板8とする工程、および、塗布されていた接着剤10を完全硬化状態Cとする工程等において、それぞれ加熱硬化が行われる。そこで、繊維強化プラスチック製のセル壁13、つまり完全硬化したプリプレグ1製のコルゲート板8について、加熱硬化の累積による熱履歴に基づき、熱歪が発生し易かった。
又、ハニカムコア15が異なる2つの材料で構成されており、セル壁13つまりコルゲート板8部分と、接着剤10部分とで、熱変形量,熱伸縮量が異なっており、この面からも熱歪が発生し易かった。
第4に、製造されたハニカムコア15について、重量が嵩むという問題も指摘されていた。
すなわち、従来の製造方法で製造された繊維強化プラスチック製のハニカムコア15は、セル壁13を形成するコルゲート板8間が、接着剤10にて接着されていたので、接着剤10の分だけ重量が増加し、軽量性が損なわれるという指摘があった。
本発明の繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、コスト面に優れ、第2に、異形ハニカムコアも製造可能であり、第3に、熱歪が発生せず、第4に、重量も軽減される、コルゲート方式の繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法を、提案することを目的とする。
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
そして、次の準備工程,重積セット工程,コルゲート工程,加熱,加圧工程,最終工程等を、有してなる。
準備工程では、繊維基材に熱硬化性樹脂を付着,含浸させた粘性状態の複数枚のプリプレグと、該セルに見合った形状よりなる多数のコマ部材とを、準備する。
重積セット工程では、一群の該コマ部材群を横に並べてから、該コマ部材群の上に、他の一群の該コマ部材群を順次重積して行く。
コルゲート工程では、該重積セット工程に際し、該プリプレグを、重積される該コマ部材群間に順次載せて介装し、もって各該プリプレグが、波形の凹凸が連続的に形成されたコルゲート状に折曲される。
加熱,加圧工程では、それから全体を加熱,加圧することにより、該熱硬化性樹脂そして各該プリプレグを完全硬化させると共に、コルゲート状をなす各該プリプレグの対応接触する頂部と底部間を、接合する。
最終工程では、各該コマ部材群のコマ部材を、全て抜き出し除去することにより、完全硬化した該プリプレグにて繊維強化プラスチック製の該セル壁が形成された、該ハニカムコアを得る。
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)本発明の製造方法は、準備,重積セット,コルゲート,加熱,加圧,最終、等の各工程を辿ることにより、繊維強化プラスチック製のハニカムコアを製造する。
(2)すなわち、まずプリプレグをシート状の粘性状態で準備すると共に、セルに見合った形状のコマ部材を準備する。
(3)そして、コマ部材群を重積すると共に、重積されるコマ部材群間に、プリプレグがそれぞれ載せられ介装されて、コルゲート状に折曲される。
ところで重積に際し、コマ部材そしてコマ部材群は予め加熱されている。すなわち、介装される粘性状態のプリプレグが、コルゲートに必要な柔軟性・屈曲性・変形性を備えるように、つまりコルゲート状に折曲され得るように、コマ部材そしてコマ部材群は、必要な熱量をプリプレグに伝達すべく、このような熱伝達に必要十分な程度に暖められ加熱されて、使用に供される。
(4)それから加熱,加圧により、プリプレグが完全硬化されると共に、コルゲート成形されてプリプレグの対応接触する頂部と底部間が、接合される。
(5)しかる後、各コマ部材群が、全て抜き出し除去される。
(6)このような工程を辿ることにより、繊維強化プラスチック製のハニカムコアが製造される。
(7)本発明の製造方法は、このようになっているので、次のようになる。まず、コルゲート成形にコマ部材を使用し、ギアやラック等の高価なコルゲート成形装置は使用しない。又、接着剤を使用しないので、材料コストが低減されると共に、接着剤の塗布,乾燥,加熱硬化等の工程も不要化される。
(8)更に、セルに見合った形状のコマ部材を使用して、プリプレグをコルゲート成形し、ハニカムコアを製造する。従って、セル壁がわん曲しセル形状が特殊な異形ハニカムコアも、製造可能である。
(9)加熱,加圧工程にて1回だけ加熱硬化されるに過ぎず、プリプレグ製つまり繊維強化プラスチック製のセル壁について、加熱硬化の熱履歴が均一である。又、接着剤を使用しないので、セル壁はプリプレグつまり繊維強化プラスチックの単一材料製よりなり、部分的に熱変形量が異なることもない。これらにより、製造されたハニカムコアについて熱歪は発生しない。
(10)プリプレグの完全硬化を利用して、プリプレグ間つまりセル壁間を接合し、接着剤を使用しないので、その分、製造されたハニカムコアの重量が軽減される。
(11)さてそこで、本発明の製造方法は、次の効果を発揮する。
第1に、コスト面に優れている。本発明の繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法では、コマ部材を使用し、コマ部材群をプリプレグを介装しつつ重積して行くことにより、プリプレグをコルゲート成形する。
すなわち、前述したこの種従来技術のように、連続成形用の型としてギアやラック等を組み合わせた高価なコルゲート成形装置を使用しないので、コルゲート方式による繊維強化プラスチック製のハニカムコアの製造コストが、大幅に低減される。
又、前述したこの種従来技術のように、接着剤を使用しないので、その分、材料コストが低減される。更に、接着剤使用に伴う諸工程の追加実施が不要となり、その分製造工程が簡略化され、もって、この面からも製造コストが低減される。
第2に、異形ハニカムコアも製造可能である。本発明の繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法は、コマ部材を使用してハニカムコアを製造する。そこで、セル壁がわん曲しセル形状が特殊な、繊維強化プラスチック製の異形ハニカムコアも、コルゲート方式により容易に製造可能となる。
すなわち、前述したこの種従来技術のように、連続成形用の型としてギアやラックを組み合わせたコルゲート成形装置を使用しないので、セル壁が直線的でセルが正六角形等のハニカムコアに限定されることなく、異形ハニカムコアも製造可能である。
第3に、熱歪も発生しない。本発明の繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法では、加熱硬化が1回しか行われず、プリプレグつまりセル壁について、加熱硬化の熱履歴が均一である。もって、製造されたハニカムコアについて、熱歪は発生しない。
又、繊維強化プラスチックのプリプレグのみを用いて、ハニカムコアを製造し、前述したこの種従来技術のように接着剤は使用されておらず、全てが同一材料で構成されているので、部分的に熱変形量が異なることもない。もって、この面からも熱歪は発生しない。
第4に、ハニカムコアの重量が、軽減される。本発明の繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法では、コマ部材群間に介装された各プリプレグを、加熱,加圧により、完全硬化させると共に相互間を接合する。
すなわち、前述したこの種従来技術のように接着剤を使用しないので、その分、製造されたハニカムコアの重量が軽減される。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
《本発明の概要について》
まず、本発明の概要について、図1〜図3を参照して、説明する。
本発明の繊維強化プラスチック製ハニカムコア16の製造方法は、ハニカムコア16のセル形状に見合った多数のコマ部材17を、使用する。
そしてコマ部材群18を、プリプレグ19を介装しつつ重積してから、加熱,加圧により、介装された各プリプレグ19を、完全硬化させると共に相互間を接合した後、各コマ部材群18のコマ部材17を除去することにより、ハニカムコア16を得る。
すなわち、セル壁20にて区画形成された中空柱状の多数のセル21の平面的集合体よりなる、繊維強化プラスチック製のハニカムコア16を製造する。そこで本発明は、準備工程,重積セット工程とコルゲート工程,加熱,加圧工程,最終工程等を、順次辿ることを特徴とする。
以下、これらの各工程について、説明する。
まず、準備工程について、図1の(1)図,(2)図を参照して、説明する。
この製造方法では、準備工程において、繊維基材3に熱硬化性樹脂4を付着,含浸させた粘性状態Bの複数枚のプリプレグ19と、ハニカムコア16のセル21に見合った形状よりなる多数のコマ部材17とが、準備される。
このような準備工程について、更に詳述する。
熱硬化性樹脂4としては、シアネート系の樹脂,エポキシ系の樹脂,ポリイミド系の樹脂,フェノール系の樹脂,その他の熱硬化性の樹脂が、選択使用される。
そして、このような繊維基材3に粘性状態Bの熱硬化性樹脂4を、付着,含浸,混入等により組み合わせ複合した、プリプレグ19が粘性状態Bで準備される。プリプレグ19は、極薄で平坦なフィルム状,シート状をなすと共に、熱硬化性樹脂4が、タック性・ベトツキ性を備え柔軟性・屈曲性・変形性を備えた腰のある粘性状態B、いわゆるBステージの状態で準備される。
なお第1に、1枚のプリプレグ19は一般的には、1枚の繊維基材3に、熱硬化性樹脂4を付着,含浸,混入させてなるが、複数枚の繊維基材3を用いることも可能である。すなわち1枚のプリプレグ19が、2枚等複数枚の繊維基材3に、熱硬化性樹脂4を付着,含浸,混入させたものよりなることも、可能である。
なお第2に、プリプレグ19は、繊維基材3に熱硬化性樹脂4を、付着,含浸,混入させたものが代表的であるが、これによらず、繊維基材3に例えばスルホン系樹脂,その他の熱可塑性樹脂を、付着,含浸,混入させたものも可能である。この場合は、加熱後の自然冷却等によって、完全硬化することになる。
コマ部材17の形状は、製造されるハニカムコア16のセル21に見合った、各種形状よりなる。図示例では代表例として、断面形状が正六角形のコマ部材17が使用されている。なお図示例では、重積される最下位のコマ部材群181や最上位のコマ部材群18として、後述するように、断面半六角形のコマ部材17も使用されている。
コマ部材17の外表面には、離型処理が施されるが、コマ部材17自体が離型性材料で製作される場合もある。このコマ部材17の離型処理,離型性は、粘性状態Bのプリプレグ19に対しては張り付き、離型効果を発揮しないが、完全硬化状態Cとなったプリプレグ19に対しては、離型効果を発揮する。
このようなコマ部材17が、多数準備される。例えば、正六角形のセル21のサイズが3/8インチ(9.5mm)で、縦横15cmのハニカムコア16を製造する場合、250本程度のコマ部材17が準備される。
準備工程については、以上のとおり。
次に、重積セット工程について、図1の(2)図,(3)図,図2の(1)図,(2)図等を参照して、説明する。
この製造方法の重積セット工程では、上述した準備工程で準備された多数のコマ部材17について、まず、一群のコマ部材群181を、横に並べてから、このコマ部材群181の上に、他の一群のコマ部材群182を重積する。そして、重積されたコマ部材群182の上に、更に、他の一群のコマ部材群183を重積し、事後は同様に順次、コマ部材群18を重積して行く。
そして、このように介装されるプリプレグ19が、必要な柔軟性・屈曲性・変形性を備えるように、つまりコルゲート状に折曲され得るように、予め加熱されていたコマ部材17から、必要な熱量がプリプレグ19に伝達されるようになっている。もってコマ部材17は、このような熱伝達に必要十分な程度に暖められて、使用に供される。
図示例では、このような最下位のコマ部材群181として、(更には最上位のコマ部材群18についても同様、)断面正六角形のコマ部材17と、断面半六角形のコマ部材17とが、交互に横に密に並ぶ位置関係で並べられる。なお、最下位(や最上位)のコマ部材群18については、このような図示例によらず、次の第1,第2,第3の構成も可能である。
第1に、断面半六角形のコマ部材17のみを、一定ピッチ間隔を存するように位置決めしつつ、水平面上に同じ高さレベルで横に並べるようにしてもよい。
第2に、断面正六角形のコマ部材17のみを、相互間で交互に高さレベルが異なり、一定ピッチの上下段差,凹凸が生じるように位置決めしつつ、横に密に並べるようにしてもよい。
第3に、このようなコマ部材群18に代え、コルゲートラックを使用することも可能である。すなわち、コマ部材17に代え、コルゲートラックを用いるようにしてもよく、このように使用されるコルゲートラックは、断面半六角形の波形の凹凸が連続的に形成されたコルゲート面を備えている。
すなわち、次のコルゲート工程において図1の(3)図等に基づき説明するように、最下位のコマ部材群181の上には、まずプリプレグ19が載せられ、このプリプレグ19の上に、次の他の一群のコマ部材群182が重積される。
そして、この次の他の一群のコマ部材群182の重積は、図2の(1)図に示したように、最下位のコマ部材群181にて形成された各凹上に、コマ部材群182を形成する各コマ部材17が、プリプレグ19を介し密に載るように、実施される。これに対し、最下位のコマ部材群181にて形成された各凸上には、コマ部材群182を形成するコマ部材17は載せられない。
もって、コマ部材群182を形成する各コマ部材17間には、それぞれ横方向に一定ピッチの隙間が形成される。
そして事後も、このような重積ステップを繰り返すことにより、図2の(2)図に示したように、それぞれプリプレグ19を介しつつ、コマ部材群181,182,183,184,185,・・・・・が積み重ねられて行き、もって最上位のコマ部材群18に至る。
重積セット工程については、以上のとおり。
コルゲート工程について、図1の(3)図,図2の(1)図,(2)図を参照して、説明する。
この製造方法のコルゲート工程は、上述した重積セット工程に際し、同時並行的に実施される。そしてプリプレグ19を、重積されるコマ部材群18間に順次載せて介装し、もって介装された各プリプレグ19が、波形の凹凸が連続的に形成されたコルゲート状に折曲されて、コルゲート成形される。
つまり、この製造方法において、重積セット工程とコルゲート工程とは、順次交互に実施され、コマ部材群18の重積毎に、プリプレグ19が載せられて介装される。
このように載せられ介装されるプリプレグ19の枚数は、図示のように1枚よりなることが多いが、図示によらず、2枚等複数枚とすることも可能である。すなわち、各コマ部材群18間に、それぞれ複数枚のプリプレグ19を、載せて介装することも考えられる。
又、プリプレグ19は、上下両面にビニールシート等の離型シートが付けられているが、このようなに載せられ介装される際、離型シートは取り除かれる。
すなわち、図2の(1)図,(2)図に示したように、粘性状態Bの各プリプレグ19は、それぞれ、波形の凹凸が連続的に所定ピッチと高さで形成されたコルゲート状に折曲される。プリプレグ19は、上下のコマ部材群18間に挟み込まれて、押し込まれ押し付けられることにより、コルゲート成形される。
そして、このようにコルゲート成形された各プリプレグ19は、上下間でそれぞれの頂部と底部とが対応接触する位置関係となる。
コルゲート工程については、以上のとおり。
次に、加熱,加圧工程について、図2の(3)図を参照して、説明する。
この製造方法の加熱,加圧工程では、上述した重積セット工程およびコルゲート工程の後、全体を加熱,加圧することにより、粘性状態の熱硬化性樹脂4そしてプリプレグ19を、完全硬化させると共に、コルゲート状をなす各プリプレグ19の対応接触する頂部と底部間を、接合する。
加熱加圧装置Hは、ホットプレス,熱風オーブン,誘導加熱炉等よりなり、ある程度の上下圧力をかけブロック体22のプリプレグ19を均一にプレスしながら、熱硬化性樹脂4の硬化程度で高温加熱する。
これにより、Bステージの粘性状態Bであったプリプレグ19の熱硬化性樹脂4が、Cステージの完全硬化状態Cへと、完全キュアされて固化される。そして、このような完全硬化に際し、熱硬化性樹脂4の溶融硬化を利用して、各プリプレグ19間について、対応して重なり接触していた頂部と底部間が、確りと接合される。
すなわちブロック体22について、コマ部材群18を除いて観察すると、前述によりコルゲート成形された上下の各プリプレグ19は、波形が半ピッチ分ずつ左右に順次ずれ、もって頂部(山部)と底部(谷部)とが、上下で対応する位置関係で接触している。
そこで、このようなプリプレグ19の頂部と底部間が、加熱,加圧により、それぞれ接合される。
加熱,加圧工程については、以上のとおり。
次に、最終工程について、図3の(1)図,(2)図等を参照して、説明する。
この製造方法の最終工程では、上述した加熱,加圧工程の後、各コマ部材群18を全て抜き出し除去することにより、完全硬化したプリプレグ19にて繊維強化プラスチック製のセル壁20が形成された、ハニカムコア16が得られる。
すなわちブロック体22から、つまり、各コマ部材群18とコルゲート成形されると共に完全硬化したプリプレグ19との集合体であるブロック体22から、各コマ部材群18を形成するコマ部材17が、全て抜き出されて、除去される。
もって図3に示したように、残ったプリプレグ19にてハニカムコア16が得られる。コルゲート成形された完全硬化状態Cのプリプレグ19をセル壁20とし、繊維強化プラスチック製のセル壁20にて各々区画形成された、中空柱状の多数のセル21の平面的集合体よりなる、ハニカムコア16が製造される。
最終工程については、以上のとおり。
このような準備工程,重積セット工程,コルゲート工程,加熱,加圧工程,最終工程の各工程を辿ることにより、図3に示した、繊維強化プラスチック製のハニカムコア16が製造される。
ハニカムコア16のセル壁20そしてセル21の断面形状は、図示の正六角形のものが代表的であるが、これによらず、略三角形,略四角形,その他各種形状のものも可能である。例えば、次に述べる異形ハニカムコア16も可能である。
そして、この繊維強化プラスチック製のハニカムコア16は、一般のハニカムコアと同様、重量比強度(セル軸方向の圧縮強度)に優れ、軽量であると共に高い強度や剛性を備えている。
又、平面精度(特に、両開口端面に表面板が接合されたハニカムサンドイッチパネルとして使用した場合),整流効果,保温性等にも優れ、単位容積当りの表面積が大である、等々の特性が知られている。更に、耐食性にも優れている。もって、広く各種の構造材として使用される。
なお、製造された繊維強化プラスチック製のハニカムコア16について、更なる剛性や強度が要求される場合は、後処理として、セル壁20に補強用樹脂が、追加的に付着,含浸せしめられる。
補強用樹脂としては、前述した熱硬化性樹脂4に準じた樹脂が使用され、補強用樹脂が貯溜された浴槽中に、ハニカムコア16を浸漬した後、取り出して乾燥させてから、付着,含浸した補強用樹脂をオーブン等で加熱硬化する。もって、ハニカムコア16が補強される。
繊維強化プラスチック製のハニカムコア16については、以上のとおり。
ここで、異形ハニカムコア16について、図4の(1)図,(2)図等を参照して、説明しておく。
ハニカムコア16は、セル壁20が直線状をなし、セル21の断面形状が例えば正六角形等をなすものが、代表的である(図3の(1)図,(2)図等を参照)。これに対し、セル壁20が直線状をなさずわん曲し、セル21の断面形状が特殊な異形ハニカムコア16も、ニーズに応じ開発,使用されている。
すなわち、一般的な平坦プレート状の使用ニーズではなく、曲面使用のニーズに応えるべく、平坦なプレート状から2次曲面,3次曲面へのねじれ変形,曲面加工が容易な、異形ハニカムコア16が開発,使用されている。
この異形ハニカムコア16は、セル21の断面形状が、丸味を帯びた特殊な略凸字状をなしている。そして、図4の(1)図のものは、フレキシブルコアと称され、セル壁20が途中1箇所で凹又は凸にわん曲している。図4の(2)図のものは、ダブルフレキシブルコアと称され、セル壁20が途中で凹および凸に内外にわん曲している。
そして、このような異形ハニカムコア16も、本発明の製造方法により、容易に製造可能である。すなわち、製造対象となる異形ハニカムコア16のセル21形状に見合ったコマ部材17を、予め製作,準備することにより、そして事後は、前述した各工程を辿って行くことにより、異形ハニカムコア16が製造される。
異形ハニカムコア16については、以上のとおり。
本発明の製造方法は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
(1)本発明の製造方法は、準備工程,重積セット工程とコルゲート工程,加熱,加圧工程,最終工程等を、順次辿ることにより、繊維強化プラスチック製のハニカムコア16を製造する。
これと共に、製造すべきハニカムコア16のセル21に見合った形状のコマ部材17が、多数準備される(図1の(2)図を参照)。
そして、載せられ介装されたプリプレグ19は、コルゲート状に折曲される(図2の(1)図,(2)図等を参照)。
ところで、重積セット工程での使用に際し、コマ部材群18の各コマ部材17は、予め加熱されている。すなわち、介装される腰のある粘性状態のプリプレグ19が、コルゲート工程で必要な柔軟性・屈曲性・変形性を備えるように、つまりコルゲート状に折曲され得るように、各コマ部材群18の各コマ部材17は、必要な熱量をプリプレグ19に伝達すべく、このような熱伝達に必要十分な程度に暖められ加熱されて、使用に供される。
もって、セル壁20にて区画形成されたセル21の平面的集合体よりなる、繊維強化プラスチック製のハニカムコア16が、製造される(図3の(1)図,(2)図を参照)。
まず、本発明の製造方法は、多数のコマ部材17を使用し、コマ部材群18をプリプレグ19を介装しつつ重積して行くことにより、プリプレグ19をコルゲート成形する(図2の(1)図,(2)図等を参照)。
ギアやラック等を組み合せた高価なコルゲート成形装置2を使用して、プリプレグ19をコルゲート成形する訳ではない(図5の(1)図,(2)図,図6の(1)図等の従来技術を参照)。もって本発明の製造方法は、製造コストが低減される。
又、本発明の製造方法では、コルゲート成形されたプリプレグ19間を、接着剤10を使用して、接着するのではなく(図6の(2)図,(3)図,図7等の従来技術を参照)、プリプレグ19自体の完全硬化状態C化を利用して、接合する(図2の(3)図を参照)。
このように接着剤10を使用しないので、接着剤10の塗布工程(図6の(2)図の従来技術を参照)、塗布した接着剤10の乾燥工程、乾燥させた接着剤10の加熱,硬化工程(図6の(3)図の従来技術を参照)等、手間がかかる諸工程の追加実施,付加実施が、不要化される。
もって、本発明の製造方法は、工程が簡単であり、この面からも製造コストが低減される。又、接着剤10を使用しないので、材料コストも低減される。
そこで、製造対象となるハニカムコア16のセル21に見合った形状のコマ部材17を、予め製作,準備することにより、各種形状のものに対応可能である。もって、セル壁20がわん曲し、セルが特殊な断面形状をなす異形ハニカムコア16も、容易に製造可能である。
もって、プリプレグ19そしてセル壁20について、加熱硬化の熱履歴が均一であり、その物性の変化はない。従って、本発明の製造方法で製造されたハニカムコア16について、熱歪は発生しない。
又、前述したように接着剤10を使用しないので、製造されたハニカムコア16は、全体的に同一材料で構成されている。全てが繊維強化プラスチックの単一材料製よりなり、異材料となる接着剤10は使用されていない(図3の本発明のハニカムコア16と、図7の従来技術のハニカムコア15とを、比較対照)。
本発明の製造方法で製造されたハニカムコア16は、このようにセル壁20が単一材料よりなるので、部分的に熱変形量が異なるようなこともなく、全体的に同一量で伸び縮みし、この面からも熱歪は発生しない。
プリプレグ19自体の完全硬化状態C化を利用して、コルゲート成形されたプリプレグ19の対応する頂部と底部間を、接合する。接着剤10を使用して、接着する訳ではない(図3の本発明のハニカムコア16と、図7の従来技術のハニカムコア15とを、比較対照)。
もって、本発明の製造方法で製造されたハニカムコア16は、接着剤10を使用しない分だけ、重量が軽減される。
作用等については、以上のとおり。
2 コルゲート成形装置
3 繊維基材
4 熱硬化性樹脂
5 コルゲートギア
6 コルゲートラック
7 コルゲートラック
8 コルゲート板
9 プリントロール
10 接着剤
11 トレー
12 ピックアップロール
13 セル壁(従来例)
14 セル(従来例)
15 ハニカムコア(従来例)
16 ハニカムコア(本発明)
17 コマ部材
18 コマ部材群
181,182,183,,184,185
コマ部材群
19 プリプレグ(本発明)
20 セル壁(本発明)
21 セル(本発明)
22 ブロック体
B 粘性状態
C 完全硬化状態
H 加熱加圧装置
Claims (1)
- セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体よりなる、繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法であって、
繊維基材に熱硬化性樹脂を付着,含浸させた粘性状態の複数枚のプリプレグと、該セルに見合った形状よりなる多数のコマ部材とを、準備する準備工程と、
一群の該コマ部材群を横に並べてから、該コマ部材群の上に、他の一群の該コマ部材群を順次重積して行く重積セット工程と、
該重積セット工程に際し、該プリプレグを、重積される該コマ部材群間に順次載せて介装し、もって各該プリプレグが、波形の凹凸が連続的に形成されたコルゲート状に折曲されるコルゲート工程と、
それから、全体を加熱,加圧することにより、該熱硬化性樹脂そして各該プリプレグを完全硬化させると共に、コルゲート状をなす各該プリプレグの対応接触する頂部と底部間を、接合する加熱,加圧工程と、
各該コマ部材群のコマ部材を、全て抜き出し除去することにより、完全硬化した該プリプレグにて繊維強化プラスチック製の該セル壁が形成された、該ハニカムコアを得る最終工程と、を有してなり、
上記重積セット工程での使用に際し、該コマ部材そして該コマ部材群は予め加熱されており、介装される腰のある粘性状態の該プリプレグが、上記コルゲート工程で必要な柔軟性・屈曲性・変形性を備えるように、つまりコルゲート状に折曲され得るように、該コマ部材そして該コマ部材群は、必要な熱量を該プリプレグに伝達すべく、このような熱伝達に必要十分な程度に暖められ加熱されて、使用に供されること、を特徴とする、繊維強化プラスチック製ハニカムコアの製造方法。
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