JPH0768141A - 中空糸膜及び該膜による加湿方法 - Google Patents

中空糸膜及び該膜による加湿方法

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JPH0768141A
JPH0768141A JP21873093A JP21873093A JPH0768141A JP H0768141 A JPH0768141 A JP H0768141A JP 21873093 A JP21873093 A JP 21873093A JP 21873093 A JP21873093 A JP 21873093A JP H0768141 A JPH0768141 A JP H0768141A
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JP
Japan
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hollow fiber
fiber membrane
hydrogel
membrane
temperature
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JP21873093A
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English (en)
Inventor
Norifumi Hirota
憲史 廣田
Jun Kamo
純 加茂
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 温度により相転移を起こすハイドロゲルを多孔質膜の細
孔中に保持した中空糸膜及び該膜を用いて加湿を行う方
法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な中空糸膜および該
膜による加湿方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、快適な生活環境への関心の高まり
から、加湿、除湿の技術が注目されている。ハイドロゲ
ルは高吸水性樹脂に代表されるように吸湿力、保水力が
大きいため様々な分野への応用が可能である。
【0003】ハイドロゲルは機械的強度が弱いため通常
単独の成形品として用いられず、支持体に担持した状態
で用いられることが多い。例えば、多孔質ガラスプレー
トの細孔中にハイドロゲルを充填した膜等が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ハイドロゲルを担持し
た多孔質ガラスプレート等は、透湿性には優れている。
然し乍ら形状が平膜状である為膜面積が小さく、これを
加湿に用いる場合には効率的な加湿が行えなかった。又
前述のようにハイドロゲル単独では機械的強度が弱い為
膜面積を大きくするような成形品を作製することができ
なかった。
【0005】本発明の目的は、効率的に加湿を行うこと
ができる中空糸膜を提供することにあり、該膜を用いて
効率的に加湿を行う方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の要旨は、温
度により相転移を起こすハイドロゲルを多孔質膜の細孔
中に保持してなる中空糸膜にあり、該膜を用いて加湿を
行う方法にある。
【0007】本発明の中空糸膜を構成する素材として
は、例えばエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペ
ンテン、および3−メチル−1−ブテンからなる群から
選ばれる一種以上の単量体を主成分(80wt%以上)
とする重合体又は共重合体或はこれらのフッ素化物等か
らなるポリオレフィン系素材:ポリスルホン、ポリアリ
ルスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン系
素材:ポリビニルアルコール系素材:セルロース、セル
ロースアセテート等のセルロース系素材が挙げられる。
【0008】これらの中で特に好ましいのは安価で化学
的にも安定な素材であるポリオレフィン系多孔質中空糸
膜である。本発明の中空糸膜の細孔構造としては種々の
ものがあるが、その中でも空孔率が大きいという点から
延伸法によって得られるポリオレフィン多孔質中空糸膜
が好ましく用いられる。
【0009】延伸法による多孔質中空糸膜は、ミクロフ
ィブリルと結節部とによって形成されるスリット状の微
小空間(空孔)が3次元的に相互に連通した細孔構造を
有する多孔質膜であり、たとえば特公昭56−5212
3号公報、特開昭57−42919号公報等に記載され
た方法によって製造することができる。
【0010】多孔質中空糸膜の孔径はハイドロゲルが安
定に保持されるのに十分な大きさならよく、エタノール
で測定したバブルポイントが0.5kg/cm2 以上で
あるのが好ましい。
【0011】本発明の中空糸膜に於てハイドロゲルが保
持される細孔とは、細孔の一部或は全部をいい、通常使
用される圧力に於て中空糸膜の内部から外部(又は外部
から内部)に水や気体が漏れない程度に細孔中にハイド
ロゲルが保持されていればよく、必ずしも細孔の全空間
がハイドロゲルで充填されている必要はない。又多孔質
中空糸膜の内表面、外表面にはハイドロゲルが保持され
ていてもいなくてもよい。
【0012】保持させてなるとは保存中や使用中に容易
に脱離しない程度にハイドロゲルが該細孔中に強固に結
合乃至密着されていることをいい、ハイドロゲルが該細
孔表面に化学結合していてもよく、ハイドロゲルが微細
孔部分にアンカー効果によって密着されていてもよく、
又スリット状の細孔を形成するミクロフィブリルや結節
部等を包むようにしてハイドロゲルが密着架橋されてい
てもよく、これらの保持状態が混在していてもよい。
【0013】このように多孔質中空糸膜の細孔中へのハ
イドロゲルの保持状態としては任意の状態をとりうる
が、ハイドロゲルを化学結合させることなくアンカー効
果や密着架橋等の如く物理的に該細孔中に保持させた本
発明の中空糸膜は、基材の多孔質中空糸膜と比較して機
械的強度の劣化や細孔構造の変化が殆どないので特に好
ましいものである。
【0014】本発明に於ては、多孔質中空糸膜の細孔中
に温度により相転移を起こすハイドロゲルを保持させる
が、該ハイドロゲルが温度により相転移を起こすとは、
温度を変化させることによりハイドロゲルの親水性−疎
水性、膨潤度、密度、体積等が変化することをいう。
【0015】これらの中でも温度の変化によりゲルの親
水性−疎水性が変化して相転移を起こし、ゲルの網目の
サイズが変化して透湿性(水蒸気透過速度)が変化する
ハイドロゲルが好ましい。
【0016】ハイドロゲルとしては、例えば、N−イソ
プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルア
ミド等のN−置換アクリルアミドを含むモノマーからな
る重合体のハイドロゲル、ヒドロキシプロピルセルロー
スおよびその誘導体のハイドロゲル等が挙げられる。
【0017】特にN−置換アクリルアミドからなる重合
体のハイドロゲルは親水性−疎水性の相転移を起こし、
ゲルの網目のサイズが変化して透湿性が変化するため好
ましい。
【0018】又N−置換アクリルアミド単独の重合体の
ハイドロゲルだけでなく、相転移を妨げない程度共重合
したハイドロゲルでも差支えない。N−置換アクリルア
ミドと共重合可能なモノマーとしては、N−置換アクリ
ルアミドと共重合可能なモノマーならよく、共重合モノ
マーとして架橋性モノマーを用い、架橋しているもので
もよい。
【0019】架橋性モノマーとしては、N−置換アクリ
ルアミドと共重合可能なビニル結合やアリル結合等の重
合性不飽和結合を2個以上有するモノマー或は前記重合
性不飽和結合を1個有し且つ縮合反応等によって化学結
合を生成可能な官能基を少なくとも1個有するモノマー
であってN−置換アクリルアミドと共通の良溶媒を有す
るモノマーを挙げることができる。
【0020】その例として、N,N′−メチレンビスア
クリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、
N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、トリアリルシ
アヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベ
ンゼン、2,2−ビス(4−メクタリロイロキシポリエ
トキシフェニル)プロパン、エチレンジ(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、
1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリ
アジン等を挙げることができる。
【0021】重合体を生成するN−置換アクリルアミド
と共重合可能な他のモノマー、架橋性モノマーの組成比
としては、N−置換アクリルアミド100重量部に対
し、共重合可能な他のモノマーが0〜100重量部、架
橋性モノマーが0〜100重量部程度であることが好ま
しい。
【0022】本発明の中空糸膜の細孔中に保持してなる
ハイドロゲルの量は、多孔質中空糸膜の空孔率や細孔径
にも依存するが、多孔質中空糸膜の重量に対して凡そ1
〜400重量%程度であることが好ましい。
【0023】ハイドロゲルの保持量がこの範囲より少な
いと水や気体の漏れが起り易く、この範囲を越えると水
蒸気の透過速度が小さくなるため、加湿に適さなくな
る。
【0024】以下、本発明の中空糸膜の製造方法につい
て説明する。本発明に於て温度により相転移を起こすハ
イドロゲルを多孔質中空糸膜に保持させる方法としては
種々の方法を採用することができる。
【0025】例えば、有機溶剤または水等の適当な溶媒
にN−置換アクリルアミド及び前述の共重合性モノマー
(以下これらを「モノマー類」という)や重合開始剤を
溶解させた溶液を調製し、多孔質中空糸膜をその溶液中
に浸漬する方法、あるいは多孔質中空糸膜で加湿用モジ
ュールを製作した後この溶液を多孔質中空糸膜内に圧入
する方法等により該溶液を多孔質中空糸膜に含浸させた
後、溶媒を揮発除去させる方法が採用できる。
【0026】溶媒で希釈したモノマー類の溶液を用いる
ことによって多孔質膜の細孔中にモノマー類を付着させ
ることができる。又モノマー類の濃度や含浸時間を変化
させることにより付着量が調整できる。
【0027】このようにして多孔質中空糸膜の細孔中に
モノマー類を保持させた状態で溶媒を除去し、重合さ
せ、水中に浸漬又は水蒸気により重合体を膨潤させるこ
とにより細孔中に温度により相転移を起こすハイドロゲ
ルを保持させることができる。
【0028】前記の溶液を調製する場合の溶媒として
は、モノマー類よりも沸点が低く、且つモノマー類を溶
解することが可能な水又は有機溶剤が用いられるが、重
合開始剤を添加する場合は重合開始剤をも溶解できる溶
媒を用いることが好ましい。
【0029】このような有機溶媒としてはメタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアル
コール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル類、酢酸エチル等を挙げることがで
きる。
【0030】有機溶媒の沸点は特に限定されないが、重
合工程前の溶媒除去が容易であることを考慮すると凡そ
100℃以下であることが好ましく、凡そ80℃以下で
あることがより好ましい。重合開始剤の要否は重合方法
に依存し、熱重合法や光重合法の場合は重合開始剤が用
いられるが、放射線重合法の場合は重合開始剤を必要と
しない。
【0031】熱重合法の場合はラジカル重合開始剤とし
て知られている種々の過酸化物、アゾ系化合物、レドッ
クス系開始剤を用いることができる。その例として、
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−ア
ゾビスシクロプロピルプロピオニトリル、2,2′−ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−
アゾビス−2,3,3−トリメチルブチロニトリル等の
アゾ系化合物、アセチルパーオキサイド、プロピオニル
パーオキサイド、ブチリルパーオキサイド、イソブチリ
ルパーオキサイド、サクシニルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、ベンゾイルイソブチリルパーオキ
サイド、β−アリロキシプロピオニルパーオキサイド、
ヘキサノイルパーオキサイド、3−ブロモベンゾイルパ
ーオキサイド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシ
ル)パーオキシジカーボネート等の過酸化物、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等を挙げるこ
とが出来る。
【0032】溶媒に水を用いた場合には水溶性の重合開
始剤例えばアゾビスイソブチラミジン、4,4′−アゾ
ビス−4−シアノペンタノイックアシド、光重合法の場
合の重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイン
メチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、フルオレ
ノン、4−ブロモベンゾフェノン、4−クロロベンゾフ
ェノン、メチルo−ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイ
ルパーオキサイド、アントラキノン、ビアセチル、硝酸
ウラニル等を挙げることができる。またこれらを適当に
組合わせて使用することも可能である。
【0033】溶液中におけるモノマー類と溶媒との組成
は溶媒の種類や目標とする重合体の保持量等を考慮して
適宜選択すればよく、モノマー類100重量部に対して
溶媒は10〜2000重量部程度であればよく50〜1
000重量部程度であることがより好ましい。
【0034】モノマー類中のN−置換アクリルアミドと
共重合性モノマーとの組成比は、共重合性モノマーの親
水性の程度や目標とする共重合比や架橋密度等を考慮し
て適宜選択すればよく、N−置換アクリルアミド100
重量部に対して共重合性モノマーは0.5〜100重量
部程度であればよく、1〜90重量部程度であることが
より好ましい。
【0035】重合開始剤はモノマー類100重量部に対
して0.001〜100重量部程度であればよく、0.
01〜30重量部程度であることがより好ましく、0.
1〜20重量部程度であることが特に好ましい。
【0036】モノマー類に対して溶媒の量が前記範囲を
越えると多孔質中空糸膜の細孔中に保持されるモノマー
類の量が少なすぎて充分な量のハイドロゲルを保持させ
ることができず、また前記範囲より少ないと、ハイドロ
ゲルの保持量のコントロールが難しく、過剰に保持して
しまう為好ましくない。
【0037】これらの溶液を用いて多孔質中空糸膜に対
して浸漬処理または圧入処理する際の浸漬時間又は圧入
時間は凡そ0.5秒〜30分間程度であり、多孔質中空
糸膜に対する濡れ特性が良好な溶液を用いた場合程、よ
り短時間で実施することができる。
【0038】このようにしてモノマー類又は更に重合開
始剤を細孔中に保持された多孔質中空糸膜は周囲の余分
な液を除去され、更に必要に応じて細孔中の溶媒を蒸発
除去された後、次の重合工程に移される。
【0039】本発明においては熱重合法、光重合法、放
射線重合法、プラズマ重合法等の重合方法を採用するこ
とができる。
【0040】熱重合法の場合、重合温度は前記重合触媒
の分解温度以上であり、また多孔質中空糸膜の膜構造を
変化させることなく且つ膜基質を損傷しない程度以下の
温度とすることが望ましく、通常は30〜100℃程度
の温度を採用することができる。
【0041】加熱時間は重合開始剤の種類と加熱温度に
依存するがバッチ法では通常は1分間〜5時間程度より
好ましくは15分間〜3時間程度である。又、連続法で
は熱伝達効率が高いためにより短時間で重合でき、加熱
時間は通常10秒間〜60分間程度より好ましくは20
秒間〜10分間程度である。
【0042】光重合法の場合、光照射の光源としては紫
外線や可視光線を用いることができ、紫外線源としては
低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノン灯、アーク灯等を用
いることができる。
【0043】光照射条件は、例えば水銀灯を光源として
用いる場合は入力を10〜300W/cm程度とし10
〜50cm程度の距離から0.5〜300秒間程度照射
することによって0.001〜10 joule/cm
2 程度より好ましくは0.05〜1 joule/cm
2 程度のエネルギーを照射する条件が採用される。
【0044】低照射強度では十分な重合体を生成するこ
とが困難であり、又高照射強度では多孔質中空糸膜の損
傷が大きいので膜厚等を考慮して適当な光照射条件を慎
重に選定することが好ましい。
【0045】放射線重合の場合は例えば電子線照射装置
を用い、120℃以下より好ましくは100℃以下の温
度にて電子線を10〜50M rad程度照射すること
によって実施することができる。
【0046】尚これらの重合の際、雰囲気内に酸素が存
在すると重合反応が著しく阻害されるので窒素雰囲気等
の不活性ガス雰囲気、或は真空等の実質的に酸素が存在
しない状態にて重合させることが望ましい。架橋性モノ
マーを用いて架橋重合体を生成させる場合、架橋反応は
重合反応と同時に行なわせてもよく、一旦共重合体を生
成させた後に架橋させてもよい。又縮合による架橋反応
は、重合反応熱を利用して行なってもよく、加熱によっ
て行なってもよい。
【0047】特に縮合による架橋反応を利用する場合
は、予じめ調製したN−置換アクリルアミドと架橋性モ
ノマーとの未架橋の共重合体を溶液に溶解し次いで多孔
質中空糸膜の細孔中に保持させ、その状態で架橋反応さ
せる方法を用いてもよい。
【0048】この場合未架橋の共重合体の分子量は凡そ
1〜50万程度であることが好ましく分子量が大きすぎ
ると該共重合体を多孔質中空糸膜の細孔中に侵入させる
ことが困難であり好ましくない。分子量は5〜30万程
度であることがより好ましい。
【0049】中空糸膜の細孔中に該重合体が生成された
後は、適当な溶媒を用い浸漬法等により未反応モノマー
や遊離したポリマー等の不要成分を除去することが望ま
しい。
【0050】これらの操作の後、細孔中に重合体が保持
された中空糸膜を水中に浸漬して該重合体を膨潤させる
か、水蒸気を含む雰囲気中で処理することにより膨潤さ
せる等して、細孔中に温度で相転移を起こすハイドロゲ
ルが保持された中空糸膜を得ることができる。以上、本
発明の中空糸膜の製造方法の例について説明したが、上
述の各工程を連続的に行なうこともできる。
【0051】次に本発明の中空糸膜を用いて加湿を行う
方法について説明する。本発明の中空糸膜は温度により
相転移を起こすハイドロゲルを細孔中に保持しているた
め、相転移温度を境に水蒸気の透過性が大幅に変化する
という性質を有している。この性質を利用して効率的に
加湿を行う方法について説明する。
【0052】例えば、本発明の中空糸膜を集束して円筒
容器に充填し、中空糸端部の開口状態を保持するように
樹脂で両端を固定して図1に示すようなモジュールを作
製し、端部導管3から温度を制御した水を流し、側部導
管4から空気を流してやり、中空糸膜内部を流れる水の
温度を変化させることによりハイドロゲルを通しての中
空糸膜内部から外部への水蒸気の透過量を大幅に変化さ
せ、側部導管4′から効率的な加湿を行う方法が挙げら
れる。
【0053】この場合、例えばハイドロゲルの相転移温
度以上で透湿性が上昇し、相転移温度より低い温度で透
湿性が大幅に低下する場合、急速に加湿を行いたい時に
は、相転移温度以上の水温の水をモジュールに流してや
ればハイドロゲルを通して空気中に透過する水蒸気量が
増加するため、急速に加湿することができる。
【0054】湿度が高くて殆ど加湿する必要のない場合
は相転移温度より低い温度の水を流してやれば、透過す
る水蒸気量が大幅に減少するため非常にゆっくりした加
湿を行うことができる。
【0055】ハイドロゲルの水蒸気透過性が上記の反対
の場合は、反対の操作を行うことにより同様の効果を得
ることができる。又空気を流すかわりに他の気体を用い
たり、減圧にして加湿操作を行ってもよい。
【0056】本発明の中空糸膜を用いる加湿方法は僅か
な水温の変化により大幅に透過量が変化して効率的な加
湿が行える為実用上の意義は極めて大きい方法である。
【0057】モジュールの形状、大きさ、膜面積等は加
湿する空間の大きさ、加湿速度等に応じて適宜決めれば
よく、特に限定されるものではない。温度制御された水
の流量、空気の流量、圧力等も条件に応じて適宜決めれ
ばよい。図1において空気を3から流し、温度制御され
た水を4から流す方法でもよい。
【0058】効率的且つ適切な加湿を行うために湿度セ
ンサーや気温のセンサーと、モジュールを流す水の温度
制御装置を連動するようにして加湿することは快適な環
境を得るため特に好ましい。
【0059】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例に於ては、いずれも延伸法によって得られる
ミクロフィブリルと結節部とで形成されるスリット状の
空間(空孔)が3次元的に連通したポリオレフィン多孔
質中空糸膜を用い、該多孔質膜の孔径は該スリット状空
間の幅の平均値と長さの平均値とで表現した。
【0060】実施例1 スリット状細孔の幅0.4μm、長さ1.8μm、空孔
率63%、膜厚70μm、内径270μm、結節強度3
94g/fil、透水圧11kg/cm2 、アルコール
親水化法による水透過率が1.1リットル/m2 ・hr
・mmHgであるポリエチレン多孔質中空糸膜をN−イ
ソプロピルアクリルアミド100部、ヘキサンジオール
ジアクリレート3部、ベンゾイルパーオキサイド1部及
びアセトン400部からなる処理溶液に1分間浸漬した
後、窒素中にとり出し5分間風乾した。
【0061】続いてこの多孔質膜を窒素雰囲気中におい
て80℃で10分間加熱処理し、次いで水/エタノール
=50/50(部)混合溶媒に10分間浸漬し不要成分
を洗浄除去した。次に風乾により溶媒を除去し、20℃
の水中に24時間浸漬してハイドロゲルが細孔中に保持
された中空糸膜を得た。ハイドロゲルの保持量は285
重量%であった(20℃)。
【0062】該中空糸膜を集束して、ポリカーボネート
製円筒容器に充填し中空糸端部の開口状態を保持するよ
うにウレタン樹脂で両端を固定して図1のようなモジュ
ールを作成した(膜面積約1.0m2 )。
【0063】このモジュールの温度による透湿性の変化
を調べる為に図2のような装置を作製し、モジュールの
端部導管3から一定温度の水を循環させ、側部導管4′
を封印して4から真空ポンプで引き、透過した水蒸気を
液体窒素で冷却したトラップに集めて透湿量を測定し
た。
【0064】測定結果を表1に示す。相転移温度(この
サンプルの場合約30℃)をはさんで数℃の温度変化に
より大幅(2〜3桁)に透湿性が変化していることが明
らかである。
【0065】
【表1】
【0066】実施例2 実施例1で作製したモジュールを用いて加湿試験を行っ
た。端部導管3から一定温度の水を循環させ、側部導管
4から加湿する室内の空気をポンプで送り込んで循環さ
せ(流量約200リットル/min)、図3に示すよう
な装置で一定容積(約10m3 )の室内の加湿を行っ
た。
【0067】各測定に於ける室内の温度の変化を表2に
示す。表2に示すように加湿する室内の湿度に応じて、
循環させる水の温度を数度変化させるだけで大幅に加湿
速度を変化させて効率的な加湿が行えることがわかる。
【0068】
【表2】
【0069】比較例1 実施例1と同様にして、但しモノマー溶液に組成を表3
のように変えて温度により相転移を起こさないハイドロ
ゲルを細孔中に保持した中空糸膜を得た(保持量218
%)。
【0070】次に、実施例1と同様にしてモジュールを
作製し、温度による透湿性の変化を測定した。結果を表
4に示す。温度変化による透湿性の変化は数倍程度で、
水温を数度C変化させただけでは加湿速度を大幅に変化
させることは不可能であることがわかった。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【発明の効果】本発明の中空糸膜は、温度により相転移
を起こすハイドロゲルを多孔質中空糸膜の細孔中に保持
しているため、ハイドロゲル単独の場合に比べて機械的
強度が強く、中空糸状であるため膜面積を大きくとるこ
とができ、又僅かな温度変化により透湿性が大幅に変化
するため効率的な加湿を行うことができる。
【0074】本発明の中空糸膜を用いて加湿を行う方法
を用いることにより、目的に応じて効率的な加湿を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モジュールの一例を示す模式断面図である。
【図2】モジュールを用いた透湿性の測定装置の図であ
る。
【図3】モジュールを用いた加湿試験装置を示した図で
ある。
【符号の説明】
1 容器本体 2 多孔質中空糸膜 3 端部導管 4 側部導管 5 恒温水循環装置 6 真空ポンプ 7 トラップ 8 液体窒素 9 送気ポンプ 10 加湿器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度により相転移を起こすハイドロゲル
    を多孔質膜の細孔中に保持してなる中空糸膜。
  2. 【請求項2】 ハイドロゲルがN−置換アクリルアミド
    を含むモノマーと架橋性モノマーからなる架橋重合体の
    ハイドロゲルであることを特徴とする請求項1記載の中
    空糸膜。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の中空糸膜を用いる加湿方
    法。
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