JPH0764739B2

JPH0764739B2 - 骨成分改善組成物

Info

Publication number: JPH0764739B2
Application number: JP4040977A
Authority: JP
Inventors: 博堀河; 英二本澤
Original assignee: 伊藤忠飼料株式会社
Priority date: 1992-02-27
Filing date: 1992-02-27
Publication date: 1995-07-12
Anticipated expiration: 2010-07-12
Also published as: JPH06100456A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、骨成分改善組成物に関
し、より詳しくは、骨中に於ける各種成分（特にカルシ
ウム分）の不足を補い骨成分組成を改善し、骨折や骨粗
鬆症等を予防し得る骨成分改善組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビタミンＤ₃が欠乏すると、骨の石炭化
が正常に行われず、クル病になることが古くから知られ
ている。これは、ビタミンＤ₃は腸管からのカルシウム
（Ｃa）の吸収に必要なビタミンであり、これが不足す
るとＣa吸収能が低下し、骨の石灰化が阻害されるから
である。すなわち、カルシウムをいくら多く摂取しても
ビタミンＤが不足すると摂取したＣaが無駄に排泄され
てしまい、Ｃa不足を引き起こす。

【０００３】なお、ビタミンＤには、代表的なものとし
てＤ₂及びＤ₃の２種類が存在し、Ｄ ₃は哺乳類、鳥類と
もＣa吸収効果を有するが、Ｄ₂は鳥類にこの効果を与え
ない。

【０００４】ビタミンＤは含まれている食品が一部に偏
っており、動物性食品では魚肉類、鶏卵の卵黄、牛乳等
に含まれており、植物性食品では椎茸に含まれている。
しかし、これらの食品以外には殆ど含まれていない。我
が国は水産国であったことから、魚肉の摂取量が多く、
過去にはビタミンＤの欠乏の問題は殆ど認められなかっ
た。しかし、近年の食生活の変化により、若者の魚離れ
が著しく、ビタミンＤの摂取量が著しく減少している。
最近の研究によれば、日本人はアメリカ及びヨーロッパ
の人と比べ、ビタミンＤ摂取量が明らかに少なく問題で
あることが指摘されている。

【０００５】また、皮膚には日光の紫外線照射によって
ビタミンＤ₃に転換するビタミンＤ₃前駆体が含まれてい
る。しかし、近年の生活習慣の変化により、屋内での生
活時間が増加し、特に、日照時間に恵まれない地方に住
んでいる人や、屋内生活が多い高齢者にはビタミンＤ₃
の補強が不可欠である。

【０００６】さらに、近年、幼児及び青少年の骨折が増
加しており、骨の発育過程にある乳幼児にビタミンＤを
充分に摂取させる必要性が強くなってきた。

【０００７】さらにまた、近年の高齢化社会を迎え、老
人、特に、閉経以後の女性に多く見られる骨が脆く骨折
し易くなる骨粗鬆症は、西暦2000年に60〜64歳の女性の
約35％、65歳以上の女性の50％に達すると言われてお
り、我が国の国民病的存在として重要な問題になろうと
している。

【０００８】以上のようにビタミンＤは、人体に対し極
めて重要な役割を果たしており、現在、我が国に於ける
ビタミンＤ所要量は、乳幼児（５歳以下）が１日当たり
400ＩＵ、青少年（６歳以上）及び成人が100ＩＵ、妊婦
及び授乳婦が400ＩＵとなっている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、乳幼児、妊
婦、及び授乳婦に必要とされる400ＩＵのビタミンＤを
食品から摂取することは困難である。即ち、卵であれば
１日14個程度、牛乳であれば３リットル程度摂取しなけ
ればならず、通常の食事で摂取できるものではなかっ
た。

【００１０】したがって、現在は、総合ビタミン剤のよ
うな薬剤からビタミンＤを補給する以外有効な摂取方法
がないのが現状であった。

【００１１】なお、アメリカ及びカナダでは、市販の牛
乳に１パック（１ｌ）当たり400ＩＵ程度のビタミンＤ₃
を強化し（添加）し、ビタミンＤの不足を補おうとする
ものがあった。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明らは、上記目的を
達成するために鋭意研究し、ビタミンＤ₃を高含有する
卵が特に有効なことを見出し本発明を完成させた。

【００１３】すなわち、本発明の骨成分改善組成物は、
ビタミンＤ₃を高含有する卵を有効成分として構成され
ている。

【００１４】本発明の組成物の有効成分であるビタミン
Ｄ₃高含有卵は、ビタミンＤ₃が１個当たり約170ＩＵ含
まれており、例えば、ビタミンＤ₃と胆汁酸とを給餌す
ることにより鳥類より生産される。このビタミンＤ₃と
しては、ビタミンＤ₃それ自身及びビタミンＤ₃高含有原
料等があり、このビタミンＤ₃高含有原料としては、例
えば魚粉等がある。また、ビタミンＤ₃の給餌量は、１
日当たり400ＩＵ以上が好ましく、特に700〜1000ＩＵが
好ましい。

【００１５】上記胆汁酸は、ビタミンＤ₃の過剰摂取に
よる弊害を防止するためのもので、その給餌量は、１日
当たり0.05〜1.00ｇが好ましく、特に0.1〜0.5ｇが好ま
しい。

【００１６】以上のようなビタミンＤ₃高含有卵を骨成
分改善組成物に用いる形態としては、卵そのまま状態で
用いたり、卵に通常の加熱、乾燥、濃縮、粉末化、顆粒
化等の処理を施した状態で用いたりする。

【００１７】また、本発明の骨成分改善組成物は、ビタ
ミンＤ₃高含有卵のみで構成されていても、他の成分が
含まれていてもよい。この他の成分としては、例えば、
賦形剤及び結合剤がある。骨成分改善組成物にビタミン
Ｄ₃以外の成分が含まれている場合、ビタミンＤ₃高含有
卵の含有量は、10〜60重量％が好ましく、特に20〜30重
量％が好ましい。

【００１８】本発明の骨成分改善組成物の形態は特に限
定されず、例えば、錠剤、粉剤及び液剤がある。また、
骨成分改善組成物の使用態様としては、例えば、骨成分
改善組成物自体を服用したり、食品の添加物として食し
たりする。

【００１９】本発明の骨成分改善組成物の摂取量は、ビ
タミンＤ₃高含有卵のみで構成した場合、乳幼児、妊婦
及び授乳婦であれば、１日当たり２個のビタミンＤ₃高
含有卵に相当する量であれば、ほぼ１日の必要量を満足
するこができる。

【００２０】

【作用】本発明に於いては、合成ビタミンＤ₃それ自体
ではなく一旦鳥類を経由したビタミンＤ₃を、使用す
る。このようなビタミンＤ₃は、合成ビタミンＤ₃に比し
骨成分改善効果に優れるものと考えられる。

【００２１】

【実施例】

実施例１； (1) 予備飼育離乳直後（３週齢）のＩＣＲ系雌マウス６匹を、表１の
比較例１に示す飼料を用いて２週間飼育した。 (2) 試験飼育予備飼育後、表１の実施例１に示す飼料を用いて２週間
飼育した。この飼料は、本発明の骨成分改善組成物とし
てのビタミンＤ₃高含有凍結卵が配合されている。この
ビタミンＤ₃高含有凍結卵の主成分組成を表２に示す。

【００２２】このビタミンＤ₃高含有凍結卵は、市販の
家禽用飼料にビタミンＤ₃及び胆汁酸を加え、主成分組
成がビタミンＤ₃8000ＩＵ/kg重量、胆汁酸0.1重量％、
粗蛋白19重量％、及び粗脂肪５重量％の飼料を調製し、
この飼料を、産卵鶏１羽当たり１日につき110〜120ｇの
割合で毎日給餌し続け、60日目よりビタミンＤ₃高含有
卵を得、この卵を通常の方法で凍結乾燥したものであ
る。

【００２３】比較例１； (1) 予備飼育実施例１を同一である。 (2) 試験飼育表１の比較例１に示す飼料を用いた他は、実施例１と同
一である。この飼料には、ビタミンＤ₃高含有凍結卵の
替わりに、通常の凍結卵が配合されている。この通常の
凍結卵の主成分組成を表２に示す。

【００２４】比較例２； (1) 予備飼育実施例１を同一である。 (2) 試験飼育表１の比較例２に示す飼料を用いた他は、実施例１と同
一である。この飼料には、ビタミンＤ₃高含有凍結卵及
び通常の凍結卵のどちらも配合されていない。

【００２５】

【表１】

【００２６】

【表２】

【００２７】試験方法；試験飼育の前後における体重、
大腿骨重量、並びに大腿骨の灰分、カルシウム、及びリ
ンの重量％の変化を測定した。

【００２８】試験結果；結果を表３に示す。

【００２９】

【表３】

【００３０】表３の結果より、マウスの体重及び大腿骨
重量については実施例と比較例間に有意な差異は認めら
れない。しかし、大腿骨の各成分については、実施例１
が比較例１及び２より明らかに増加している。

【００３１】

【発明の効果】本発明の骨成分改善組成物は、無害であ
り、かつカルシウムの骨化を促進する。したがって、こ
の組成物を摂取することにより、骨の発育を増進して丈
夫にし、骨折や骨粗鬆症等を予防することが出来る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ビタミンＤ₃を高含有する卵を有効成分
とする骨成分改善組成物。
【請求項２】ビタミンＤ₃を高含有する卵が、鳥類に
ビタミンＤ₃を給餌して卵中にビタミンＤ₃を移行せしめ
た卵であることを特徴とする請求項１記載の骨成分改善
組成物。