JPH1056978A - ビタミン類強化鶏卵および骨粗鬆症予防治療用食品 - Google Patents
ビタミン類強化鶏卵および骨粗鬆症予防治療用食品Info
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- JPH1056978A JPH1056978A JP8260212A JP26021296A JPH1056978A JP H1056978 A JPH1056978 A JP H1056978A JP 8260212 A JP8260212 A JP 8260212A JP 26021296 A JP26021296 A JP 26021296A JP H1056978 A JPH1056978 A JP H1056978A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 ビタミン類強化鶏卵又はその加工物からなる
骨粗鬆症予防治療用食品を提供する。 【解決手段】 ビタミンD類とビタミンK類が同時に強
化されたことを特徴とするビタミンD及びK高含有鶏卵
又はその加工物からなる骨粗鬆症予防治療用食品。該鶏
卵は、採卵用家禽飼料にビタミンD類とビタミンK類と
を同時に強化して産卵鶏を飼育し、採卵することによ
り、製造される。上記製造方法は、採卵用家禽飼料に強
化したビタミンD類の量が飼料1kgあたり800〜2
0000IUであり、採卵用家禽飼料に強化したビタミ
ンK類の量が飼料1kgあたり1〜200mgであるこ
とを好ましい態様とする。 【効果】 一つの食品でビタミンDとビタミンKの両方
を必要量摂取でき、かつ誤用による過剰摂取の恐れもな
く安全かつ便宜に骨粗鬆症予防効果を享受することを可
能とする、従来には無かった新規食品と、その便宜性を
提供することができる。
骨粗鬆症予防治療用食品を提供する。 【解決手段】 ビタミンD類とビタミンK類が同時に強
化されたことを特徴とするビタミンD及びK高含有鶏卵
又はその加工物からなる骨粗鬆症予防治療用食品。該鶏
卵は、採卵用家禽飼料にビタミンD類とビタミンK類と
を同時に強化して産卵鶏を飼育し、採卵することによ
り、製造される。上記製造方法は、採卵用家禽飼料に強
化したビタミンD類の量が飼料1kgあたり800〜2
0000IUであり、採卵用家禽飼料に強化したビタミ
ンK類の量が飼料1kgあたり1〜200mgであるこ
とを好ましい態様とする。 【効果】 一つの食品でビタミンDとビタミンKの両方
を必要量摂取でき、かつ誤用による過剰摂取の恐れもな
く安全かつ便宜に骨粗鬆症予防効果を享受することを可
能とする、従来には無かった新規食品と、その便宜性を
提供することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨粗鬆症予防治療
用食品として有用なビタミンD及びK同時強化鶏卵及び
その製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、本
発明は、骨粗鬆症を予防あるいは治療することを目的と
して、ビタミンKとビタミンDの両方を高濃度に含む家
禽卵を提供し、そのまま生食、あるいは加工して食品・
医療食分野で利用することができる新しい骨粗鬆症予防
治療用食品を提供するものである。
用食品として有用なビタミンD及びK同時強化鶏卵及び
その製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、本
発明は、骨粗鬆症を予防あるいは治療することを目的と
して、ビタミンKとビタミンDの両方を高濃度に含む家
禽卵を提供し、そのまま生食、あるいは加工して食品・
医療食分野で利用することができる新しい骨粗鬆症予防
治療用食品を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来も各種ビタミンを飼料に添加し、動
物の正常な発育・動物個体の健康と生産性の維持が研究
実施されてきたばかりでなく、より積極的にその生産物
にビタミンを移行させてヒトがその摂取の利益を享受で
きることを企図した例も多々あった。
物の正常な発育・動物個体の健康と生産性の維持が研究
実施されてきたばかりでなく、より積極的にその生産物
にビタミンを移行させてヒトがその摂取の利益を享受で
きることを企図した例も多々あった。
【0003】例えば、特公平3−29372では、ビタ
ミンD3 、特に1α−ヒドロキシビタミンD3 が家禽の
健康維持と軟質殻卵の低減のために良いことを報告して
いる。
ミンD3 、特に1α−ヒドロキシビタミンD3 が家禽の
健康維持と軟質殻卵の低減のために良いことを報告して
いる。
【0004】一方、特開平6−62764では、ビタミ
ンD3 は家禽体内で利用されるため卵への移行の効率が
悪いことから、鶏の体内での利用率が1〜2%しかない
ビタミンD2 を飼料に1,000IU(国際単位)以上
混じると、給与三日目より該ビタミンが家禽卵中に徐々
に移行することを述べている(ビタミンD=40IU/
μg)。
ンD3 は家禽体内で利用されるため卵への移行の効率が
悪いことから、鶏の体内での利用率が1〜2%しかない
ビタミンD2 を飼料に1,000IU(国際単位)以上
混じると、給与三日目より該ビタミンが家禽卵中に徐々
に移行することを述べている(ビタミンD=40IU/
μg)。
【0005】一方、ビタミンKを飼料中に上記と同様の
目的で添加した報告は非常に少ないが、一例をあげる
と、例えば、特開昭62−269649では、光合成細
菌によるビタミン強化鶏卵の生産法が開示されている。
しかしながら、該生産法では光合成細菌の種類や成分組
成が不明であり、また、ビタミンKに関しては給与量の
少ない方がビタミンK含量が約2倍も増えていて、投与
量と生産物との因果関係も定かではないうえ、投与物も
光合成細菌に限定されているものである。
目的で添加した報告は非常に少ないが、一例をあげる
と、例えば、特開昭62−269649では、光合成細
菌によるビタミン強化鶏卵の生産法が開示されている。
しかしながら、該生産法では光合成細菌の種類や成分組
成が不明であり、また、ビタミンKに関しては給与量の
少ない方がビタミンK含量が約2倍も増えていて、投与
量と生産物との因果関係も定かではないうえ、投与物も
光合成細菌に限定されているものである。
【0006】また、特開昭63−248354では、ビ
タミンK1 、ビタミンK3 を10ppm以上含有する飼
料で鶏を飼育してビタミンK高含有卵を製造している。
該方法ではビタミンK3 を投与すると家禽体内でビタミ
ンK2 に変化して家禽卵中に移行し、またビタミン
K1 、も一部はビタミンK2 に変化するものの大部分は
そのまま家禽卵中に移行することを認め上記発明を完成
させている。
タミンK1 、ビタミンK3 を10ppm以上含有する飼
料で鶏を飼育してビタミンK高含有卵を製造している。
該方法ではビタミンK3 を投与すると家禽体内でビタミ
ンK2 に変化して家禽卵中に移行し、またビタミン
K1 、も一部はビタミンK2 に変化するものの大部分は
そのまま家禽卵中に移行することを認め上記発明を完成
させている。
【0007】さらに、特開平7−67583では、ビタ
ミンD2 とビタミンEを飼料1kg当たりそれぞれ5,
000IU以上と500mg以上添加して両ビタミンの
卵への移行を示し、特に濃厚卵白が盛り上がって面積も
小さい(ハウ・ユニットが高い)卵を生産できることを
報告している。
ミンD2 とビタミンEを飼料1kg当たりそれぞれ5,
000IU以上と500mg以上添加して両ビタミンの
卵への移行を示し、特に濃厚卵白が盛り上がって面積も
小さい(ハウ・ユニットが高い)卵を生産できることを
報告している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】高齢化社会の到来、あ
るいは過度の加工食品の氾濫に伴い、骨粗鬆症患者ある
いはその予備群も次第に増加しつつある。骨粗鬆症は6
5歳以上の老齢人口の2/3が罹り、大腿骨骨折、脊椎
の変形の場合には寝たきりとなり、生命への大きな脅威
となる。
るいは過度の加工食品の氾濫に伴い、骨粗鬆症患者ある
いはその予備群も次第に増加しつつある。骨粗鬆症は6
5歳以上の老齢人口の2/3が罹り、大腿骨骨折、脊椎
の変形の場合には寝たきりとなり、生命への大きな脅威
となる。
【0009】骨粗鬆症を予防することを目的にカルシウ
ムの摂取が叫ばれ、Ca強化あるいは補助食品がブーム
となっている。
ムの摂取が叫ばれ、Ca強化あるいは補助食品がブーム
となっている。
【0010】また、ビタミンDもくる病を予防するため
古くから栄養補助食品として使用されており、最近は骨
を強くする積極的な意味合いで種々の食品にビタミンD
が強化されている。この場合、食品添加物として人が直
接利用できるビタミンD3 が採用されている例が殆ど
で、ビタミンD2 の使用例は少ない。
古くから栄養補助食品として使用されており、最近は骨
を強くする積極的な意味合いで種々の食品にビタミンD
が強化されている。この場合、食品添加物として人が直
接利用できるビタミンD3 が採用されている例が殆ど
で、ビタミンD2 の使用例は少ない。
【0011】一方、ビタミンKは母乳に不足するビタミ
ンとして新生児の頭蓋内出血を防ぐ目的で育児用調整粉
乳に添加されたり新生児に筋注されたりして抗凝血因子
として古くから利用されてきた。
ンとして新生児の頭蓋内出血を防ぐ目的で育児用調整粉
乳に添加されたり新生児に筋注されたりして抗凝血因子
として古くから利用されてきた。
【0012】ビタミンKの骨粗鬆症への関与が言われ始
めたのは比較的最近で、ビタミンKの薬理効果として
は、オステオカルシン(分子量約6000、別名Bon
e Gla Protein、Caの骨への沈着を調節
している)の3残基のGla(γ−カルボキシグルタミ
ン酸)を修飾する役割を持ち、腎臓でのGla蛋白KG
Pを上昇させて腎臓でのCa排泄抑制に関与する可能性
などが言われている。
めたのは比較的最近で、ビタミンKの薬理効果として
は、オステオカルシン(分子量約6000、別名Bon
e Gla Protein、Caの骨への沈着を調節
している)の3残基のGla(γ−カルボキシグルタミ
ン酸)を修飾する役割を持ち、腎臓でのGla蛋白KG
Pを上昇させて腎臓でのCa排泄抑制に関与する可能性
などが言われている。
【0013】また、骨粗鬆症例でビタミンKの血中濃度
が低下していること(Hart JP,et al.,
J.Clin.Endocrinal Metab.,
60,p1268,1985)、さらに健常人では血清
中のビタミンK濃度は376±64pg/mLであるが
骨粗鬆症患者では4〜2分の1に減少していること(白
木正孝、ビタミンK機能セミナープロシーディング、
5、p97−109、1990)も報告されていること
等から、ビタミンKが骨粗鬆症を予防ないしは治療する
ことが期待され始めている。
が低下していること(Hart JP,et al.,
J.Clin.Endocrinal Metab.,
60,p1268,1985)、さらに健常人では血清
中のビタミンK濃度は376±64pg/mLであるが
骨粗鬆症患者では4〜2分の1に減少していること(白
木正孝、ビタミンK機能セミナープロシーディング、
5、p97−109、1990)も報告されていること
等から、ビタミンKが骨粗鬆症を予防ないしは治療する
ことが期待され始めている。
【0014】さらに、臨床試験としては合成のメナキノ
ン−4を用いた報告(折茂ら、Clin.Eval.,
20,p45−100,1992,Jun.)があり、
一日45mgの投与で骨量の改善を見ている。また、も
っと少ない一日1mgの2週間の投与で尿中のCaの排
泄量が減少することが観察されている(Knapen
M.H.J.,et al.,Ann.Interna
t.Med.,111,p1001−05,198
9)。
ン−4を用いた報告(折茂ら、Clin.Eval.,
20,p45−100,1992,Jun.)があり、
一日45mgの投与で骨量の改善を見ている。また、も
っと少ない一日1mgの2週間の投与で尿中のCaの排
泄量が減少することが観察されている(Knapen
M.H.J.,et al.,Ann.Interna
t.Med.,111,p1001−05,198
9)。
【0015】一方、ビタミンKをビタミンDと同時に卵
巣摘除ラットに投与すると、骨密度及び骨幹部ミネラル
密度の減少が抑制されることが報告されている(原ら、
日薬理誌、vol.104,p101−9,199
4)。また、正常ヒト骨芽細胞培養系で、石灰化はビタ
ミンK2 単独でも促進されるが、ビタミンD3 と同時に
添加すると相乗的に促進されることが報告されている
(Kosihara Y.,et al.,Bioch
em.Biophys.Res.Comm.,145,
p651,1987)。
巣摘除ラットに投与すると、骨密度及び骨幹部ミネラル
密度の減少が抑制されることが報告されている(原ら、
日薬理誌、vol.104,p101−9,199
4)。また、正常ヒト骨芽細胞培養系で、石灰化はビタ
ミンK2 単独でも促進されるが、ビタミンD3 と同時に
添加すると相乗的に促進されることが報告されている
(Kosihara Y.,et al.,Bioch
em.Biophys.Res.Comm.,145,
p651,1987)。
【0016】この様に、細胞レベルでの研究報告とし
て、骨密度の減少抑制等に期待できるビタミンとしてビ
タミンKとビタミンDが好適であること、さらに両ビタ
ミンを同時に投与すると上述のような効果が期待される
ことは知られていたものの、それらが実際食品との関連
において有効かどうかについて検討された例はこれまで
見当たらず、これら両脂溶性ビタミンを所望量都合良く
含んでいる食品は殆ど知られておらず、またそれを工業
的に生産する手だても知られていなかった。
て、骨密度の減少抑制等に期待できるビタミンとしてビ
タミンKとビタミンDが好適であること、さらに両ビタ
ミンを同時に投与すると上述のような効果が期待される
ことは知られていたものの、それらが実際食品との関連
において有効かどうかについて検討された例はこれまで
見当たらず、これら両脂溶性ビタミンを所望量都合良く
含んでいる食品は殆ど知られておらず、またそれを工業
的に生産する手だても知られていなかった。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術を鑑みて、上述のような問題点を解決するために、
実際食品における有効性を実証することを目標として、
家禽の飼料にビタミンDとビタミンKを同時に添加強化
してやれば、得られる家禽卵にこれら両ビタミンの所望
量が同時に含まれるのではないかと着想し、鋭意研究を
重ねた結果、実験によりこれを確認して本発明を完成す
るに至った。
技術を鑑みて、上述のような問題点を解決するために、
実際食品における有効性を実証することを目標として、
家禽の飼料にビタミンDとビタミンKを同時に添加強化
してやれば、得られる家禽卵にこれら両ビタミンの所望
量が同時に含まれるのではないかと着想し、鋭意研究を
重ねた結果、実験によりこれを確認して本発明を完成す
るに至った。
【0018】即ち、例えばビタミンD源として食添用の
ビタミンD3 を、一方、ビタミンKとしては合成ビタミ
ンK1 (フィトナジオン:エーザイ(株))を飼料に添
加強化し産卵鶏を飼育すると、数日以内に鶏卵中に強化
した両ビタミンの移行が検出され、その後、移行量は漸
増し、数週間を経ると次第にプラトーに達することが判
った。
ビタミンD3 を、一方、ビタミンKとしては合成ビタミ
ンK1 (フィトナジオン:エーザイ(株))を飼料に添
加強化し産卵鶏を飼育すると、数日以内に鶏卵中に強化
した両ビタミンの移行が検出され、その後、移行量は漸
増し、数週間を経ると次第にプラトーに達することが判
った。
【0019】ビタミンKとDを強化することによる鶏卵
の他の変化について、品質試験を行った結果、例えば官
能的品質が低下するとか、卵殻がざらついたり割れやす
くなったりすると言うことは全く観察されなかった。逆
に、ビタミンKとDを強化した鶏卵では、そうでないも
のと比べて卵殻中のCa量が数%〜10%増加すること
が観察された。卵殻中のCa量が増加すると、卵殻の強
度も増加するので、ビタミンKとDを強化した鶏卵は、
強度の点でも優れたものであることが判った。また、ビ
タミンDを強化すると鶏卵の新鮮度を表すハウ・ユニッ
トが向上するとの報告もあり(前述の公開特許)、本発
明の処理により鶏卵の品質が低下することはないと推測
される。
の他の変化について、品質試験を行った結果、例えば官
能的品質が低下するとか、卵殻がざらついたり割れやす
くなったりすると言うことは全く観察されなかった。逆
に、ビタミンKとDを強化した鶏卵では、そうでないも
のと比べて卵殻中のCa量が数%〜10%増加すること
が観察された。卵殻中のCa量が増加すると、卵殻の強
度も増加するので、ビタミンKとDを強化した鶏卵は、
強度の点でも優れたものであることが判った。また、ビ
タミンDを強化すると鶏卵の新鮮度を表すハウ・ユニッ
トが向上するとの報告もあり(前述の公開特許)、本発
明の処理により鶏卵の品質が低下することはないと推測
される。
【0020】以上の観察結果から、骨組織を強化し骨粗
鬆症を予防するのに必要なビタミンDとビタミンKを、
飼料中の添加量を制御することにより所望量同時に含む
鶏卵を製造することが可能になることが分かった。
鬆症を予防するのに必要なビタミンDとビタミンKを、
飼料中の添加量を制御することにより所望量同時に含む
鶏卵を製造することが可能になることが分かった。
【0021】本発明において、強化するビタミンDとし
ては、食品に最も多く使用されているビタミンD3 の他
に、ビタミンD2 やその誘導体の1α−ヒドロキシビタ
ミンD3 、あるいはビタミンD2 を豊富に含む椎茸など
を用いることができる。通常の産卵鶏用飼料にビタミン
D3 はプレミックスとして添加されているが、その量は
飼料1kg当たり800IU位が普通で、これは産卵鶏
の健康状態を維持するには十分であるものの本発明の目
的には不十分な添加量である。
ては、食品に最も多く使用されているビタミンD3 の他
に、ビタミンD2 やその誘導体の1α−ヒドロキシビタ
ミンD3 、あるいはビタミンD2 を豊富に含む椎茸など
を用いることができる。通常の産卵鶏用飼料にビタミン
D3 はプレミックスとして添加されているが、その量は
飼料1kg当たり800IU位が普通で、これは産卵鶏
の健康状態を維持するには十分であるものの本発明の目
的には不十分な添加量である。
【0022】鶏卵に強化すべきビタミンD量の算出根拠
を「日本人の栄養所要量:第五次改定」に依れば、ビタ
ミンDの所要量は7才未満の幼児は400IU、7才以
上では100IU、また妊婦や授乳婦は400IUとさ
れている。従って、鶏卵を一日に1〜2個摂取する場
合、脂溶性ビタミンの過剰症が起き難く、かつ骨粗鬆症
の予防効果が期待されるような鶏卵一個中のビタミン含
量の範囲は10〜400IU、好ましくは10〜100
IUと考えられる。
を「日本人の栄養所要量:第五次改定」に依れば、ビタ
ミンDの所要量は7才未満の幼児は400IU、7才以
上では100IU、また妊婦や授乳婦は400IUとさ
れている。従って、鶏卵を一日に1〜2個摂取する場
合、脂溶性ビタミンの過剰症が起き難く、かつ骨粗鬆症
の予防効果が期待されるような鶏卵一個中のビタミン含
量の範囲は10〜400IU、好ましくは10〜100
IUと考えられる。
【0023】しかしながら、日照を受けることの少ない
人や、化粧品を常用して有害紫外線を遮断している人、
皮膚でのビタミンD3 生合成能が低下している高齢者、
さらに肝臓や腎臓の機能が低下していてビタミンDを活
性型に変換する機能の低下している人等は、通常より多
くのビタミンDを食事から補給しなければならない。
人や、化粧品を常用して有害紫外線を遮断している人、
皮膚でのビタミンD3 生合成能が低下している高齢者、
さらに肝臓や腎臓の機能が低下していてビタミンDを活
性型に変換する機能の低下している人等は、通常より多
くのビタミンDを食事から補給しなければならない。
【0024】以上の事柄から鶏卵一個中のビタミンD量
としては、十数〜数百IU、より好ましくは15〜10
0IUの範囲が良いと考えられる。数IUの含量では卵
黄中のビタミンDの増量は目的とする量には少なすぎる
し、300IU以上の含量では、骨粗鬆症の治療を目的
とする用途や乳幼児あるいは妊婦・授乳婦の場合には良
いものの、一般人の骨粗鬆症の予防を目的とする場合に
は鶏卵を食べ過ぎての蓄積性のビタミンD過剰症の恐れ
が生じる。また、産卵鶏のビタミンD過剰症も発現する
事が予想されるので長期間の飼育には障害となる上、い
たずらにコスト高を招くことにもなる。
としては、十数〜数百IU、より好ましくは15〜10
0IUの範囲が良いと考えられる。数IUの含量では卵
黄中のビタミンDの増量は目的とする量には少なすぎる
し、300IU以上の含量では、骨粗鬆症の治療を目的
とする用途や乳幼児あるいは妊婦・授乳婦の場合には良
いものの、一般人の骨粗鬆症の予防を目的とする場合に
は鶏卵を食べ過ぎての蓄積性のビタミンD過剰症の恐れ
が生じる。また、産卵鶏のビタミンD過剰症も発現する
事が予想されるので長期間の飼育には障害となる上、い
たずらにコスト高を招くことにもなる。
【0025】一方、強化するビタミンKとしては、植物
に最も多く含まれるフィロキノン、即ちビタミンK1 の
合成品か、あるいは植物体(鶏が食べる緑葉植物全般、
人参葉、茶、セロリ、クロレラ、スピルリナ等)をその
ままか又は乾燥したり脂溶性画分を抽出したりして用い
ることができる。ビタミンK1 は主に緑色植物に含まれ
ているため(普通は湿重量1g当たり数μg)、ヴェジ
タリアンであれば数百μgを毎日摂取していることにな
る。ビタミンK1 は食経験、コスト、安全性、代謝、鶏
卵への移行蓄積量等から本発明の目的には最も好ましい
材料である。
に最も多く含まれるフィロキノン、即ちビタミンK1 の
合成品か、あるいは植物体(鶏が食べる緑葉植物全般、
人参葉、茶、セロリ、クロレラ、スピルリナ等)をその
ままか又は乾燥したり脂溶性画分を抽出したりして用い
ることができる。ビタミンK1 は主に緑色植物に含まれ
ているため(普通は湿重量1g当たり数μg)、ヴェジ
タリアンであれば数百μgを毎日摂取していることにな
る。ビタミンK1 は食経験、コスト、安全性、代謝、鶏
卵への移行蓄積量等から本発明の目的には最も好ましい
材料である。
【0026】添加したビタミンK1 はそのまま鶏卵に移
行して過剰量蓄積されるため本発明の目的からは好都合
である。また、ビタミンK1 の一部は鶏の体内でビタミ
ンK2 (メナキノン−4)に変換されて鶏卵に移行する
(過剰蓄積はせず卵黄100g当たり約200μg以
下)。
行して過剰量蓄積されるため本発明の目的からは好都合
である。また、ビタミンK1 の一部は鶏の体内でビタミ
ンK2 (メナキノン−4)に変換されて鶏卵に移行する
(過剰蓄積はせず卵黄100g当たり約200μg以
下)。
【0027】さらに、本発明においては、ビタミン
K2 、K3 等も用いることができる。ビタミンK2 は化
学合成品かあるいはビタミンK含有微生物の菌体やそれ
らの発酵製品(例:納豆)を用いても良い。また、ビタ
ミンK3 も化学合成品を用いることができる。ビタミン
K3 は通常の養鶏飼料にプレミックスとして添加されて
いるが、その量は1kg当たり500〜1000μg位
が普通で、この程度の添加量ではビタミンK3 は家禽体
内で消費されて鶏卵中へはビタミンK2 として10μg
/卵以下位しか移行せず、本発明の目的とする量からは
少なすぎる添加量と言える。また、冬期間は、ビタミン
Kを飼料に添加しない場合も多く、ビタミンK2 は0.
5μg/卵以下と、ほとんど卵中に検出されない場合が
多い。
K2 、K3 等も用いることができる。ビタミンK2 は化
学合成品かあるいはビタミンK含有微生物の菌体やそれ
らの発酵製品(例:納豆)を用いても良い。また、ビタ
ミンK3 も化学合成品を用いることができる。ビタミン
K3 は通常の養鶏飼料にプレミックスとして添加されて
いるが、その量は1kg当たり500〜1000μg位
が普通で、この程度の添加量ではビタミンK3 は家禽体
内で消費されて鶏卵中へはビタミンK2 として10μg
/卵以下位しか移行せず、本発明の目的とする量からは
少なすぎる添加量と言える。また、冬期間は、ビタミン
Kを飼料に添加しない場合も多く、ビタミンK2 は0.
5μg/卵以下と、ほとんど卵中に検出されない場合が
多い。
【0028】鶏卵に強化すべきビタミンK量の算出根拠
を「日本人の栄養所要量:第五次改訂」に依れば、母乳
栄養児ではしばしば欠乏が見られるものの、離乳期以降
では腸内細菌の合成により一日当たり1〜1.5mgが
供給されるのでビタミンKの欠乏症は殆ど見られないと
されている。必要な量としては体重1kgあたり1μg
とされている。
を「日本人の栄養所要量:第五次改訂」に依れば、母乳
栄養児ではしばしば欠乏が見られるものの、離乳期以降
では腸内細菌の合成により一日当たり1〜1.5mgが
供給されるのでビタミンKの欠乏症は殆ど見られないと
されている。必要な量としては体重1kgあたり1μg
とされている。
【0029】しかしながら、「五訂」では、骨粗鬆症、
特に骨折と血清中のビタミンK濃度との相関には触れて
おらず、また、腸内菌叢からのビタミンKの供給量の出
典も記載していない。さらに、腸内菌が生合成するビタ
ミンKはメナキノン−4とは限らずむしろメナキノン−
5以上が多く、血液凝固能を別にすれば人での利用効率
は殆ど知られていないものである。大腸からのビタミン
Kの吸収を疑問とする報告もあり(駒井,Bifidu
s,10,Sep.,1996)、「五訂」でいう程の
大量のビタミンKの供給については、科学的検証が必要
である。
特に骨折と血清中のビタミンK濃度との相関には触れて
おらず、また、腸内菌叢からのビタミンKの供給量の出
典も記載していない。さらに、腸内菌が生合成するビタ
ミンKはメナキノン−4とは限らずむしろメナキノン−
5以上が多く、血液凝固能を別にすれば人での利用効率
は殆ど知られていないものである。大腸からのビタミン
Kの吸収を疑問とする報告もあり(駒井,Bifidu
s,10,Sep.,1996)、「五訂」でいう程の
大量のビタミンKの供給については、科学的検証が必要
である。
【0030】また、ビタミンKが関与する生理作用は多
岐に渡っており、例えば、オステオカルシンのGla化
(マトリックスベシクルの結晶核として、又はベシクル
の成熟化)、骨吸収促進物質(PGE2、IL−1α、
PTH)の産生抑制、単核細胞の破骨細胞への分化の抑
制(内山明好、CLINICAL CALCIUM,
3、No.10、81−86,1993)、石灰化の促
進等の他、生理的意義不明なものも多く、出血だけを目
安としてビタミンK欠乏症がないと断定するのは早計で
あろう。
岐に渡っており、例えば、オステオカルシンのGla化
(マトリックスベシクルの結晶核として、又はベシクル
の成熟化)、骨吸収促進物質(PGE2、IL−1α、
PTH)の産生抑制、単核細胞の破骨細胞への分化の抑
制(内山明好、CLINICAL CALCIUM,
3、No.10、81−86,1993)、石灰化の促
進等の他、生理的意義不明なものも多く、出血だけを目
安としてビタミンK欠乏症がないと断定するのは早計で
あろう。
【0031】実際、骨粗鬆症患者の、特に骨折患者の場
合には非骨折患者の半分以下にまで血清ビタミンK濃度
が低下している(東大医学部老年学教室の金木ら)。ま
た、透析患者の例でも0.8nmole/L血清を境に
骨折が起きている(ノースカロライナ大学のKohlm
eier助教授,1995)。さらに、高齢女性にビタ
ミンKを投与して骨量の増加を見ている日本の研究があ
る(折茂肇他、新薬と臨床、41、p1249、199
2;15mg/日では無効だったが、45mg以上の投
与で半年後に橈骨の骨量増加)。また、Knapenら
は閉経後女性にフィロキノン1mgを毎日投与し、尿中
ヒドロキシプロリンの増加やオステオカルシンのGla
化を報告している(Knapen,M.H.,et a
l.,Annals of Intern Med.,
111,1001−1005,1989)。
合には非骨折患者の半分以下にまで血清ビタミンK濃度
が低下している(東大医学部老年学教室の金木ら)。ま
た、透析患者の例でも0.8nmole/L血清を境に
骨折が起きている(ノースカロライナ大学のKohlm
eier助教授,1995)。さらに、高齢女性にビタ
ミンKを投与して骨量の増加を見ている日本の研究があ
る(折茂肇他、新薬と臨床、41、p1249、199
2;15mg/日では無効だったが、45mg以上の投
与で半年後に橈骨の骨量増加)。また、Knapenら
は閉経後女性にフィロキノン1mgを毎日投与し、尿中
ヒドロキシプロリンの増加やオステオカルシンのGla
化を報告している(Knapen,M.H.,et a
l.,Annals of Intern Med.,
111,1001−1005,1989)。
【0032】以上の事柄から、鶏卵一個中のビタミンK
量としては、数〜数百μg、より好ましくは10〜15
0μgの範囲が良いと考えられる。数μgより少ない含
量では卵黄中のビタミンKの増量は目的とする量には少
なすぎるし、600μg以上の含量では、骨粗鬆症の治
療を目的とする用途の場合には良いものの、一般人の骨
粗鬆症の予防を目的とする場合には鶏卵を食べ過ぎての
蓄積性のビタミンK過剰症の恐れが生じる。また、産卵
鶏のビタミンK過剰症も発現する事が予想されるので長
期間の飼育には障害となる上、いたずらにコスト高を招
くことにもなる。
量としては、数〜数百μg、より好ましくは10〜15
0μgの範囲が良いと考えられる。数μgより少ない含
量では卵黄中のビタミンKの増量は目的とする量には少
なすぎるし、600μg以上の含量では、骨粗鬆症の治
療を目的とする用途の場合には良いものの、一般人の骨
粗鬆症の予防を目的とする場合には鶏卵を食べ過ぎての
蓄積性のビタミンK過剰症の恐れが生じる。また、産卵
鶏のビタミンK過剰症も発現する事が予想されるので長
期間の飼育には障害となる上、いたずらにコスト高を招
くことにもなる。
【0033】従って、一個の鶏卵に同時にビタミンKと
ビタミンDを所望量含有させるためには、後述の鶏卵へ
のビタミン移行試験成績から得た一次回帰式により(図
3と図4)、飼料1kg当たりの添加量が、ビタミンD
の場合にはプレミックス中の300IUを含め飼料1k
g当たり800IU〜20000IUの添加が好まし
く、より好ましくは1,000〜5,000IU、一方
ビタミンKの場合にはプレミックス中の0.5mgの他
に1〜200mgが好ましく、より好ましくは3〜50
mgとなる。
ビタミンDを所望量含有させるためには、後述の鶏卵へ
のビタミン移行試験成績から得た一次回帰式により(図
3と図4)、飼料1kg当たりの添加量が、ビタミンD
の場合にはプレミックス中の300IUを含め飼料1k
g当たり800IU〜20000IUの添加が好まし
く、より好ましくは1,000〜5,000IU、一方
ビタミンKの場合にはプレミックス中の0.5mgの他
に1〜200mgが好ましく、より好ましくは3〜50
mgとなる。
【0034】この範囲のビタミンDとビタミンKを産卵
鶏用飼料に同時に添加すると、それぞれのビタミンを所
望量同時に含む鶏卵を得ることができる。
鶏用飼料に同時に添加すると、それぞれのビタミンを所
望量同時に含む鶏卵を得ることができる。
【0035】卵中のビタミンKとビタミンDの分析は卵
黄の脂溶性画分を抽出後、高速液体クロマトグラフィー
により行った。
黄の脂溶性画分を抽出後、高速液体クロマトグラフィー
により行った。
【0036】また、本発明のビタミンD、Kを同時に強
化した鶏卵は、同様の手法、即ち、さらにビタミンAや
Eなどの脂溶性のビタミン類を飼料に添加することによ
り、ビタミンAやEなどをも同時に、強化することも可
能であり、このことは本発明の効果をさまたげるもので
はない。
化した鶏卵は、同様の手法、即ち、さらにビタミンAや
Eなどの脂溶性のビタミン類を飼料に添加することによ
り、ビタミンAやEなどをも同時に、強化することも可
能であり、このことは本発明の効果をさまたげるもので
はない。
【0037】
【実施例】以下に、参考例及び実施例に基づいて本発明
を説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定さ
れるものではない。 参考例1 表1に示したような産卵鶏用基礎飼料1kgに、食品添
加物用のビタミンD3の1000あるいは4000IU
(国際単位)、またはビタミンK1 の5あるいは20m
gを、大豆油に溶かしてそれぞれ単独又は混合添加して
各種試験飼料を調製した(表2)。
を説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定さ
れるものではない。 参考例1 表1に示したような産卵鶏用基礎飼料1kgに、食品添
加物用のビタミンD3の1000あるいは4000IU
(国際単位)、またはビタミンK1 の5あるいは20m
gを、大豆油に溶かしてそれぞれ単独又は混合添加して
各種試験飼料を調製した(表2)。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】実施例1 12羽の産卵鶏を基礎飼料で1週間予備飼育後、各3羽
4群に分け、ビタミンKとDを含む表2のような試験飼
料1〜4(試験区番号1〜4にそれぞれ対応)で4週間
飼育し、得られた鶏卵中のビタミン含量を測定した。
4群に分け、ビタミンKとDを含む表2のような試験飼
料1〜4(試験区番号1〜4にそれぞれ対応)で4週間
飼育し、得られた鶏卵中のビタミン含量を測定した。
【0041】その結果、表3に示したようなビタミンK
とビタミンD強化鶏卵が得られた。
とビタミンD強化鶏卵が得られた。
【0042】
【表3】
【0043】ビタミンKの結果を図1に、ビタミンDの
結果を図2にそれぞれ示した。
結果を図2にそれぞれ示した。
【0044】また、これらの鶏卵へのビタミン移行試験
成績から飼料中に添加強化したビタミンDとビタミンK
の卵黄への移行量を一次回帰式により求め、その結果を
図3と図4に示した。
成績から飼料中に添加強化したビタミンDとビタミンK
の卵黄への移行量を一次回帰式により求め、その結果を
図3と図4に示した。
【0045】一個の鶏卵に同時にビタミンKとビタミン
Dを所望量含有させるために飼料1kg当たりに添加す
る量をそれらの回帰式から計算した。 (ビタミンD及びビタミンKの移行率)試験期間(25
日間)中の各試験区の鶏1羽当たりの平均摂餌量は2.
5kgであり、産卵数は22.5個であった。また、例
えば試験区4の場合、卵黄100g当たりのビタミンD
の含量は試験期間後半420IUでほぼ一定に達したと
考えられる(図2)。これらの結果から、ビタミンD3
の鶏卵への移行率は、以下のようになる。 100 * (420-90) * (16/100) * (22.5/25) / (4000 * 100/1000) = 11.88% 卵黄100gの 卵黄一個 一日の 一日当たりのVD 移行率 VD増加分 の重量分 産卵数分 摂取量IU 同様に試験区2と3の場合は、以下のようになる。 100 * (200-90) * (16/100) * (22.5/25) / (1000 * 100/1000) = 15.84% 卵黄100gの 卵黄一個 一日の 一日当たりのVD 移行率 VD増加分 の重量分 産卵数分 摂取量IU このビタミンDの移行率から、所望のビタミンD濃度の
鶏卵一個を得るための飼料添加量が推算できる(図
3)。また、同様の計算をビタミンKについても行った
結果、ビタミンKの移行率は5ppm添加の場合約4.
29%で、20ppm添加の場合は約2.84%であっ
た。このビタミンKの移行率から、所望のビタミンK濃
度の鶏卵一個を得るための飼料添加量が推算できる(図
4)。
Dを所望量含有させるために飼料1kg当たりに添加す
る量をそれらの回帰式から計算した。 (ビタミンD及びビタミンKの移行率)試験期間(25
日間)中の各試験区の鶏1羽当たりの平均摂餌量は2.
5kgであり、産卵数は22.5個であった。また、例
えば試験区4の場合、卵黄100g当たりのビタミンD
の含量は試験期間後半420IUでほぼ一定に達したと
考えられる(図2)。これらの結果から、ビタミンD3
の鶏卵への移行率は、以下のようになる。 100 * (420-90) * (16/100) * (22.5/25) / (4000 * 100/1000) = 11.88% 卵黄100gの 卵黄一個 一日の 一日当たりのVD 移行率 VD増加分 の重量分 産卵数分 摂取量IU 同様に試験区2と3の場合は、以下のようになる。 100 * (200-90) * (16/100) * (22.5/25) / (1000 * 100/1000) = 15.84% 卵黄100gの 卵黄一個 一日の 一日当たりのVD 移行率 VD増加分 の重量分 産卵数分 摂取量IU このビタミンDの移行率から、所望のビタミンD濃度の
鶏卵一個を得るための飼料添加量が推算できる(図
3)。また、同様の計算をビタミンKについても行った
結果、ビタミンKの移行率は5ppm添加の場合約4.
29%で、20ppm添加の場合は約2.84%であっ
た。このビタミンKの移行率から、所望のビタミンK濃
度の鶏卵一個を得るための飼料添加量が推算できる(図
4)。
【0046】ビタミンDの場合にはプレミックス中の8
00IUを含め、飼料1kg当たり800IU〜20,
000IUの添加が好ましく(鶏卵一個当たり21〜2
53IU)、より好ましくは1,000〜5,000I
U(鶏卵一個当たり24〜72IU)の範囲である。
00IUを含め、飼料1kg当たり800IU〜20,
000IUの添加が好ましく(鶏卵一個当たり21〜2
53IU)、より好ましくは1,000〜5,000I
U(鶏卵一個当たり24〜72IU)の範囲である。
【0047】
【表4】
【0048】一方ビタミンKの場合には、プレミックス
中の0.5mgの他に、飼料1kg当たり1〜200m
gが好ましく(鶏卵一個当たり6〜573μg)、より
好ましくは3〜50mg(鶏卵一個当たり12〜146
μg)となる。
中の0.5mgの他に、飼料1kg当たり1〜200m
gが好ましく(鶏卵一個当たり6〜573μg)、より
好ましくは3〜50mg(鶏卵一個当たり12〜146
μg)となる。
【0049】
【表5】
【0050】次に、ビタミンD、Kを添加した飼料を与
えて飼育したときの鶏卵の卵殻中のCa含量の変化を測
定した。結果を表6に示す。これによると、飼育日数が
1週間を越えるころから、添加群において、Ca量の増
加が観察された。少々ばらつきがあるが、増加量は、非
添加時に比べて、数%から10%であった。
えて飼育したときの鶏卵の卵殻中のCa含量の変化を測
定した。結果を表6に示す。これによると、飼育日数が
1週間を越えるころから、添加群において、Ca量の増
加が観察された。少々ばらつきがあるが、増加量は、非
添加時に比べて、数%から10%であった。
【0051】
【表6】
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、ビタミ
ンD類とビタミンK類が同時に強化されたことを特徴と
するビタミンD及びK高含有鶏卵又はその加工物からな
る骨粗鬆症予防治療用食品に係るものであり、本発明に
よれば、鶏卵に適当量のビタミンKとDを同時に含ませ
ることが可能であり、これにより、一つの食品でビタミ
ンDとビタミンKの両方を必要量摂取でき、かつ誤用に
よる過剰摂取の恐れもなく安全かつ便宜に骨粗鬆症予防
効果を享受することを可能とする、従来には無かった新
規食品と、その便宜性を提供することができる。また、
鶏卵のまま流通させる場合にはビタミンの酸化の防止
や、卵殻強度が強まることが期待される。また、ビタミ
ンD類とK類を同時に強化した鶏卵は、卵殻中のCa量
も増加することから、卵殻強度も増加し、流通上も優れ
ていることが判った。
ンD類とビタミンK類が同時に強化されたことを特徴と
するビタミンD及びK高含有鶏卵又はその加工物からな
る骨粗鬆症予防治療用食品に係るものであり、本発明に
よれば、鶏卵に適当量のビタミンKとDを同時に含ませ
ることが可能であり、これにより、一つの食品でビタミ
ンDとビタミンKの両方を必要量摂取でき、かつ誤用に
よる過剰摂取の恐れもなく安全かつ便宜に骨粗鬆症予防
効果を享受することを可能とする、従来には無かった新
規食品と、その便宜性を提供することができる。また、
鶏卵のまま流通させる場合にはビタミンの酸化の防止
や、卵殻強度が強まることが期待される。また、ビタミ
ンD類とK類を同時に強化した鶏卵は、卵殻中のCa量
も増加することから、卵殻強度も増加し、流通上も優れ
ていることが判った。
【図1】鶏卵へのビタミンK1 の移行の説明図を示す。
【図2】鶏卵へのビタミンD3 の移行の説明図を示す。
【図3】ビタミンD3 の卵黄への移行;0.08038
5x+78.577(1DKと4DKの回帰)の説明図
を示す。
5x+78.577(1DKと4DKの回帰)の説明図
を示す。
【図4】ビタミンKの卵黄への移行;19.8805X
(1DKと4DKの15、21、27日の回帰)の説明
図を示す。
(1DKと4DKの15、21、27日の回帰)の説明
図を示す。
フロントページの続き (72)発明者 長南 治 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 高橋 理恵 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内
Claims (4)
- 【請求項1】 ビタミンD類とビタミンK類が同時に強
化されたことを特徴とするビタミン類強化鶏卵。 - 【請求項2】 採卵用家禽飼料にビタミンD類とビタミ
ンK類とを同時に強化して産卵鶏を飼育し、採卵するこ
とを特徴とする、請求項1記載の鶏卵の製造方法。 - 【請求項3】 採卵用家禽飼料に強化したビタミンD類
の量が飼料1kgあたり800〜20000IUであ
り、採卵用家禽飼料に強化したビタミンK類の量が飼料
1kgあたり1〜200mgであることを特徴とする、
請求項2記載の鶏卵の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1記載のビタミン類強化鶏卵又は
その加工物からなる骨粗鬆症予防治療用食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8260212A JPH1056978A (ja) | 1996-06-13 | 1996-09-09 | ビタミン類強化鶏卵および骨粗鬆症予防治療用食品 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-174117 | 1996-06-13 | ||
JP17411796 | 1996-06-13 | ||
JP8260212A JPH1056978A (ja) | 1996-06-13 | 1996-09-09 | ビタミン類強化鶏卵および骨粗鬆症予防治療用食品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1056978A true JPH1056978A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=26495834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8260212A Pending JPH1056978A (ja) | 1996-06-13 | 1996-09-09 | ビタミン類強化鶏卵および骨粗鬆症予防治療用食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1056978A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999000135A1 (en) * | 1997-06-28 | 1999-01-07 | The Boots Company Plc | Composition comprising vitamin k and vitamin d, for treating or preventing osteoporosis |
JP2000125781A (ja) * | 1998-10-22 | 2000-05-09 | Nisshin Flour Milling Co Ltd | ビタミンk2高含有白色系鶏卵の生産方法 |
GB2370503A (en) * | 2000-12-27 | 2002-07-03 | Novartis Nutrition Ag | Compositions comprising vitamin K |
JP2005224157A (ja) * | 2004-02-12 | 2005-08-25 | Pharma Foods International Co Ltd | 葉酸強化卵、その製造に用いる家禽用飼料、及び該葉酸強化卵の製造方法 |
JP2009027941A (ja) * | 2007-07-25 | 2009-02-12 | Marubeni Nisshin Feed Co Ltd | ビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料 |
JP2009254241A (ja) * | 2008-04-14 | 2009-11-05 | Yodorinon Kenkyusho:Kk | 養鶏飼料並びに飼料添加物及び産卵方法と卵 |
JP2010259447A (ja) * | 2010-08-10 | 2010-11-18 | Pharma Foods International Co Ltd | 葉酸強化卵 |
JP2012205505A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Marubeni Nisshin Feed Co Ltd | 栄養強化鶏卵及びその製造方法 |
JP2013081469A (ja) * | 2012-12-17 | 2013-05-09 | Marubeni Nisshin Feed Co Ltd | ビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料 |
JP2015037418A (ja) * | 2014-10-15 | 2015-02-26 | 日清丸紅飼料株式会社 | ビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料 |
JP2015077150A (ja) * | 2015-01-28 | 2015-04-23 | 日清丸紅飼料株式会社 | 栄養強化鶏卵及びその製造方法 |
WO2020021734A1 (ja) | 2018-07-26 | 2020-01-30 | オリジンバイオテクノロジー株式会社 | 機能性鶏卵及びその生産方法 |
-
1996
- 1996-09-09 JP JP8260212A patent/JPH1056978A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP4651285B2 (ja) * | 2004-02-12 | 2011-03-16 | 株式会社ファーマフーズ | 葉酸強化卵、その製造に用いる家禽用飼料、及び該葉酸強化卵の製造方法 |
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JP4684360B2 (ja) * | 2010-08-10 | 2011-05-18 | 株式会社ファーマフーズ | 葉酸強化卵 |
JP2012205505A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Marubeni Nisshin Feed Co Ltd | 栄養強化鶏卵及びその製造方法 |
JP2013081469A (ja) * | 2012-12-17 | 2013-05-09 | Marubeni Nisshin Feed Co Ltd | ビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料 |
JP2015037418A (ja) * | 2014-10-15 | 2015-02-26 | 日清丸紅飼料株式会社 | ビタミン類を富化した鶏卵およびその鶏卵の生産方法並びにその鶏卵を生産するために用いる飼料 |
JP2015077150A (ja) * | 2015-01-28 | 2015-04-23 | 日清丸紅飼料株式会社 | 栄養強化鶏卵及びその製造方法 |
WO2020021734A1 (ja) | 2018-07-26 | 2020-01-30 | オリジンバイオテクノロジー株式会社 | 機能性鶏卵及びその生産方法 |
KR20200128750A (ko) | 2018-07-26 | 2020-11-16 | 오리진 바이오테크놀로지 가부시키가이샤 | 기능성 계란 및 그 생산 방법 |
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