JPH0148248B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は血中の中性脂肪を正常にコントロール
する組成物、更に詳細にいえば、ヨウ素を含有す
る特殊の卵を有効成分とする組成物に関するもの
である。 現在、死亡原因の主要なものとしては脳卒中、
心筋硬塞などの成人病があり、これら疾患は高血
圧と血液中のコレステロール、中性脂肪が高まつ
ている高脂血症とがからみあつて誘発されるとい
われている。特に最近ではコレステロールよりも
中性脂肪の方がこれら疾病には大きな影響がある
とされており、さらに他の疾病例えば糖尿病、肥
満症等にも関係するといわれている。これら中性
脂肪の血中濃度に関与する因子としては食事の内
容が大きく影響し、その予防法としては糖質、脂
質の摂取量制限が必要とされ、特に脂質に関して
は飽和脂肪酸の摂取について注意する必要がある
とされている。 このような状況下、本発明者らは飼料に添加し
た微量成分の卵成分に及ぼす影響並びに卵成分の
脂質代謝に及ぼす影響等について研究中、ヨウ素
を高含有させてなる卵に血中の中性脂肪を低下さ
せる作用のあることを見い出し本発明を完成し
た。 本発明者らの調査においては、ヨウ素ならびに
ヨウ素を高含有する食品あるいは組成物中に、血
中の中性脂肪を低下させる作用があるとの報告は
全くなく、本発明は先駆的な発明であるといえ
る。 本発明に係る組成物の有効成分となるヨウ素を
高含有する卵は通常次のようにして得る。 すなわち、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸カリ
ウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨードカリ、ヨウ化
カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化銅、ヨウ化
チモール、カルシウムヨードビヘメイト、ジヨー
ドサリチル酸、過ヨウ素酸カルシウムなどのヨウ
素化合物、あるいはコンブ、ワカメなどヨウ素を
多く含有する海藻類、あるいはその処理物など一
定量以上飼料に混合し、これを鳥類に投与して卵
中のヨウ素含量を増加させるのである。この際ヨ
ウ素化合物としてはヨウ素酸カルシウムを使用す
ることが鳥の健康、ヨウ素の卵への移行率等より
好ましく、またコンブなどの海藻類を併用すると
さらに好ましい。また鳥類に投与するヨウ素量と
しては、鳥類の種類、例えば鶏、鶉などにより異
なるが、通常、飼料中50〜2500ppm望ましくは50
〜150ppmのヨウ素が配合されるようにして、給
与すればよい。 このようにして、ヨウ素化合物あるいはヨウ素
を多く含有する物質を鳥類に投与すると、約１週
間後には、目的とするヨウ素を多く含有する卵が
産出される。例えば産卵鶏の場合、飼料中50ppm
程度のヨウ素を含有する飼料を投与すると卵１個
あたり約300μｇのヨウ素を含有する卵が産出さ
れ、また飼料中100ppm程度のヨウ素を含有する
飼料を投与した場合、卵１個あたり約600〜800μ
ｇ程度のヨウ素を含有する卵が産出されるもので
ある。通常、産卵鶏におけるヨウ素の要求量は飼
料Kg当り0.3〜0.35mg（NRC）であり、実際の市
販飼料中のヨウ素量も0.3〜2.0mg/Kgになつてい
るが、この市販飼料で飼育された鶏より産出され
た普通の卵のヨウ素量は１個当り約6μｇ程度で
多くとも１個当り30μｇ程度のものとなる。この
普通の卵に比し、上記のようにして得た卵は格段
とヨウ素を高含有しているものである。 このようにして得たヨウ素を高含有する卵はそ
のままの形で、本発明組成物として用いることが
できるが、また、卵黄部分を分離し、卵黄部分の
みを有効成分として用いることもでき、特に卵黄
部分はその効率が大きい。またこれらヨウ素を高
含有する卵および卵黄部分などは乾燥、濃縮、粉
末化、顆粒化などの加工を施してもよく、さらに
各種の賦形剤、結合剤などと混合して、錠剤、粉
剤等の形にして使用することもできる。 本発明のヨウ素を高含有する卵は鳥類の体が生
体フイルターの役割を果たすので安全性について
は問題ない。そして本発明の組成物を服用ないし
は摂取する場合、ヨウ素含量で１日300〜1000μ
ｇ程度となるよう服用ないしは摂取すればよい。
このように本発明の組成物を継続して服用ないし
摂取すると、高中性脂肪血症における中性脂肪値
を低下させることができるものであり、また正常
人における若干の燃質ないしは脂質の取り過ぎに
も、血中の中性脂肪を高めることがない。これ
は、血中の乳酸生成量が低く、血中トリグリセラ
イド及び遊離脂肪酸が筋肉その他組織へ取り込ま
れ、利用されることによるものである。 本組成物の血中の中性脂肪を低下させる作用な
いし高中性脂肪血症を予防する作用に関する動物
試験と臨床試験を行つた結果は次の通りである。 実験例 １ 体重約80〜90ｇのWistar系雄ラツトを１群７
匹として２区設け、温度22±1゜、湿度50〜60％の
条件で飼育し、本実験区のラツトには市販ラツト
飼料に実施例２と同様な方法にて得たヨウ素を高
含有する卵粉を１％加えて固形飼料としたものを
与え、一方、対照区のラツトには市販ラツト飼料
に普通卵粉１％を加えて固形飼料としたものを与
え、43日間飼育した。その飼育したラツトの中性
脂肪値は第１表の通りで、中性脂肪値の低下が認
められた。

【表】 実験例 ２ 市販馬用飼料に実施例２と同様な方法にて得た
ヨウ素を高含有する卵粉を１％添加し、この飼料
をアラブ３才馬３頭に２ヶ月間給与し、血中の乳
酸、トリグリセライドを測定した。尚、卵粉を添
加しない市販馬用飼料を給与したものを対照区と
し、同様に乳酸、トリグリセライドを測定した。
その結果は第２表の通りで、本発明の組成物を与
えた区は対照区に比し中性脂肪は増えず、乳酸生
成量の低下が認められた。

【表】

【表】 ＊ 測定値は３頭の平均値
実験例 ３ 中性脂肪値の高い人及び正常な人を含め、５人
に普通の卵を１日３個づつ２週間食べさせた後、
引き続き実施例１により得たヨウ素を高含有する
卵を１日３個づつ２週間食べさせ、血中の中性脂
肪値を測定した。なお、測定は朝の食事前とし、
また他の食事は通常の食事とした。その結果は第
２表の通りで、本発明のヨウ素を高含有する卵に
は血中の中性脂肪を低下させる作用ないしは高中
性脂肪血症を予防する作用が見られた。

【表】 実験例 ３ 高中性脂肪血症の患者７名に実施例１により得
たヨウ素を高含有する卵を１日11個づつ２ヶ月半
食べさせ、血中の中性脂肪値を測定した。なお、
測定は朝の食事前とし、食事は通常の食事とし
た。その結果は第３表の通りで、本発明のヨウ素
を高含有する卵に高中性脂肪血症の治療効果が認
められた。

【表】 実施例 １ 市販の成鶏用飼料にヨウ素酸カルシウムをヨウ
素含量として100ppmになるよう添加し、この飼
料を産卵し始めてから４ヶ月後の鶏に給与し飼育
した。その７日過ぎより、平均550μｇ／個のヨ
ウ素を含有する卵を得た。 実施例 ２ 市販の成鶏用飼料にヨウ素酸カルシウムをヨウ
素量として2000ppmになるように添加し、さらに
海藻粉末を１％添加し、この飼料を産卵し始めて
から５ケ月後の鶏100羽に給与し飼育した。上記
飼育により得られた卵のうち150Kgをスプレード
ライヤーにて乾燥し、32Kgの本発明の組成物を得
た。本卵粉組成物のヨウ素含量は390mg/Kgであつ
た。 実施例 ３ 市販の成鶏用飼料にヨウ化ナトリウムをヨウ素
量が150ppmとなるように添加し、実施例１と同
様な方法で平均1300μｇ／個のヨウ素を含有する
卵を得た。そしてこれらの卵を割卵し卵黄と卵白
を分離して、その卵黄部分50Kgに10Kgのデキスト
リンを加えよく撹拌後、スプレードライヤーにて
噴霧乾燥し、本発明の組成物31Kgの本発明組成物
を得た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ヨウ素を高含有する卵を有効成分とする高中
   性脂肪血症の治療用組成物。 ２ ヨウ素を高含有する卵が、鳥類にヨウ素化合
   物および／または海藻類を一定量以上投与して、
   卵中にヨウ素を移行せしめた卵であることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の組成物。