JPH0761986B2 - 置換3.5‐ジクロロ‐2,4‐ジフルオロベンゼンの製造方法 - Google Patents

置換3.5‐ジクロロ‐2,4‐ジフルオロベンゼンの製造方法

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JPH0761986B2
JPH0761986B2 JP62306036A JP30603687A JPH0761986B2 JP H0761986 B2 JPH0761986 B2 JP H0761986B2 JP 62306036 A JP62306036 A JP 62306036A JP 30603687 A JP30603687 A JP 30603687A JP H0761986 B2 JPH0761986 B2 JP H0761986B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、2,3,5,6−テトラクロロニトロベンゼンおよ
び/または2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼンを含
有する粗2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼンを使用
し、置換3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロベンゼンをニ
トロ段階において、またはニトロ基を還元したのちのア
ミノ段階において、または還元し、アミノ基をホスゲン
化したのちのイソシアネート(isocyanate)段階の反応
混合物により単離することを特徴とする、2,3,4,5−テ
トラクロロニトロベンゼンを最初にアルカリ金属フツ化
物と高温、極性非プロトン溶媒中で反応させることによ
る式 式中、 Rはニトロ、アミノ(対応するアンモニウム塩を含む)
またはイソシアナト(isocyanato)を表す の置換3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロベンゼンの製造
方法に関するものである。
式(I)の物質は寄生生物に対して活性を有する化合物
を製造するための中間体である(US3,294,629;EP52,83
3)。
2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼンとフッ化カリウ
ムとより3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼ
ンを形成する、ある種の極性非プロトン溶媒中での反応
は、収率がしばしば不満足ではあるが、既に記述されて
いる。この反応は、たとえばUS3,294,629においてはジ
メチルスルホキシド(DMSO)中で、EP52,833および群馬
自由芸術科学雑誌(Gunma Journal of Liberal Arts an
d Sciences(群馬大学)18(1984)、55−66においては
ジメチルホルムアミド(DMF)中で、また研究報告(Res
earch Disclosure)RD25,517においてはジメチルスルホ
ン(DMSO2)中で実施された。
上記の方法は全て、異性体として純粋な2,3,4,5−テト
ラクロロニトロベンゼンより出発しているが、工業的に
製造した粗テトラクロロニトロベンゼンより純粋な2,3,
4,5−テトラクロロニトロベンゼンへの異性化は、不純
物が化学的に類似の物質であって分離に多大の努力を必
要とするので経費がかかり、損失も多い。
したがって、工業的に製造した粗2,3,4,5−テトラクロ
ロニトロベンゼンを使用し、3,5−ジクロロ−2,4−ジフ
ルオロベンゼンをその後の用途に適する意図した純度で
得ることは極めて望ましい。
粗テトラクロロニトロベンゼンはベンベンもしくは部分
的に塩素置換したベンゼンをテトラクロロベンゼンを段
階に塩素化し、続いて、ニトロ化酸を用いてテトラクロ
ロベンゼン分画をニトロ化することにより、またはニト
ロベンゼンもしくは不完全に塩素置換したニトロベンゼ
ンをテトラクロロニトロベンゼン段階に塩素化すること
により得られる。したがって、出発物質は:さらに塩素
化し、ニトロ化するためのベンゼン、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン各異性体およびトリクロロベンゼン各
異性体;ニトロ化するための粗1,2,3,4−テトラクロロ
ベンゼン;ならびに、さらに塩素化するためのニトロベ
ンゼン、クロロニトロベンゼン各異性体、ジクロロニト
ロベンゼン各異性体およびトリクロロニトロベンゼン各
異性体が可能である。ニトロ基の両方のオイル位がいず
れも置換されているジクロロ−およびトリクロロニトロ
ベンゼンの使用は除外される。しかし、この種の望まし
くない異性体が工業的異性体混合物の工程中で製造され
ることは考慮に入れなければならない。同様のことが、
望ましくないポリクロロベンゼン異性体についても言え
る。
したがって、粗2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼン
は、とりわけ、2,3,5,6−テトラクロロニトロベンゼン
および/または2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼン
を含有するものに特定される。したがって、これらの不
純物またはその反応生成物は、本発明記載の方法中の望
ましくない副生物として考慮に入れなければならない。
これれは一般式 式中、 R′はRの意味を有し、加えてフッ素をも表し得る により表すことができる。
式(2)の望ましくない副生物が上記2種の製造経路に
より得られる粗テトラクロロニトロベンゼンを用いて製
造されるのに対して、式(3)の副生物は主としてニト
ロベンゼンまたは不完全に塩素置換したニトロベンゼン
の塩素化により得られる粗テトラクロロニトロベンゼン
を用いて製造される。加えて、不完全に反応した前駆体
も、粗テトラクロロニトロベンゼン中に存在すると予想
される。
テトラクロロベンゼン段階を経た粗テトラクロロニトロ
ベンゼンおよびその反応生成物は、下式に関連する例と
考えることができる。
テトラクロロベンゼン分画は、所望の1,2,3,4−テトラ
クロロベンゼン(XII)以外に種々の量の、ただし干渉
する量の1,2,4,5−テトラクロロベンゼン(XIV)、およ
びより少量の1,2,3,5−テトラクロロベンゼン(XIII)
をも含有している。1,2,4,5−テトラクロロベンゼン(X
IV)の量は粗テトラクロロベンゼン全量の2ないし40重
量%の間で変化する。テトラクロロベンゼン分画はさら
に少量のペンタンクロロベンゼンおよびヘキサクロロベ
ンベンをも含有し、恐らくは、痕跡量のトリクロロベン
ゼンをも含有している。
上記の不純物はニトロ段階で現れる。上記との関連で、
ここでは、主として所望の2,3,4,5−テトラクロロニト
ロベンゼン(I)と主要な不純物の2,3,5,6−テトラク
ロロニトロベンゼン(VIII)とが予想される。
アルカリ金属フッ化物を用いる親核置換反応において
は、ニトロ化段階において化合物(I)および(VIII)
より所望の3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロベンゼン
(II)、不完全にフッ素化した化合物3,4,5−トリクロ
ロ−2−フルオロニトロベンゼン(IV)および2,3,5−
トリクロロ−4−フルオロニトロベンゼン(V)、望ま
しくないフッ素置換により形成された2,3,4,5−テトラ
クロロフルオロベンゼン(III)、(VIII)より生じた
2,3,5,6−テトラクロロフルオロベンゼン、ならびに未
変化の(I)および(VIII)の混合物が得られる。
この種の混合物の分離は、もはや経済的に効率のよい手
法では実施することができない。比較的長期の熱付加に
よる蒸留分離の場合には、上記のような高度に置換され
た物質では、かなりの分解も予想される。
本発明記載の方法は、以下の幾つかの驚くべき発見に基
礎を置いている。
a) 所望の(II)は、最高収率を達成するのに必要な
ものより長い熱処理を受けると分解する。この分解中に
起こる過程は詳細に分かっていないが、恐らくは自動触
媒過程が存在するであろう。
b) (I)より(II)への転化と同時に、粗テトラク
ロロニトロベンゼン中の望ましくない成分2,3,5,6−お
よび2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼン((VIII)
およびその、同様にニトロ基の両方のオルト位に2個の
塩素置換基を有する位置異性体)も親核NO2−F置換を
受けて2,3,5,6−および2,3,4,6−テトラクロロフルオロ
ベンゼン((IX)およびその位置異性体)を形成する。
このNO2−F置換(上記のニトロベンゼンの“沸騰脱離
(boiling off)”)過程は、基本的には、所望の
(I)より(II)への転化よりも緩慢に進行する。
c) しかし、驚くべきことにはa)に記載した熱分解
は最初に緩慢に出発して比較的長時間の加熱後にはじめ
て加速されるので、上記の望ましくない2,3,5,6−また
は2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼンによる汚染を
許容し得るレベルに減少させるために、(II)の収率の
余りに高度な損失を同時に受ける必要なしに、b)に記
載した“沸騰脱離”を実施することができる。
d)粗テトラクロロニトロベンゼンの場合に経済的に効
率よくは可能でなかったことが、親核フッ素化ののちに
は、すなわち、主としてNO2非含有フルオロベンゼンの
形状の不純物を物理的に除去したのちには可能になるの
である。
e) 以下に、より詳細に記述する本発明記載の方法の
その他の具体例において、物理的方法による除去はニト
ロ基のアミノ段階(VI)への還元ののちにも、還元とイ
ソシアン酸エステル段階(VII)へのホスゲン化とのの
ちにも実施することができ、成果を挙げ得るが、“沸騰
脱離”と物理的分離との組み合わせは続く各段階の一つ
においてのみ可能であることが見いだされた。たどるべ
き経路は、いずれの場合にも粗テトラクロロニトロベン
ゼンの汚染度および(II)または(VI)または(VII)
中の所望の残留汚染度により異なる。
a)ないしd)で述べた発見を確認して本発明記載の方
法を実施するためには、通常の分析方法、たとえばガス
クロマトグラフィーを用いる。ここでは、(II)の最高
収率を達成されるときには上記の望ましくないテトラク
ロロニトロベンゼンの含有量が既に十分に減少している
こと、および物理的除去が所望の結果を導いていること
が明らかになる。他の場合に、反応バッチの加熱時間を
延長、中断し、意図する分析的に検出可能な不純物の還
元が達成されるときには、ニトロ段階において既に残留
不純物の除去が十分である場合もあり得る。
もちろん、本発明記載の方法を規則的に実施する場合に
は、反応バッチの分析的観察が、ここ以外の化学技術で
も通常であるように、工程パラメータを標準化すること
につながる。
本件親核フッ素化はアルカリ金属フッ化物、好ましくは
重アルカリ金属のフッ化物、たとえばフッ化カリウム、
フッ化ルビジウムまたはフッ化セシウム、特に好ましく
はフッ化カリウムを用いて実施する。それ自体は公知の
添加物、たとえばアルカリ金属フッ化物の量に対して0.
5−20重量%のアルカリ金属塩化物をアルカリ金属フッ
化物に添加することも可能である。好ましい態様におい
ては、本件方法はこの種の添加なしに実施する。
本発明記載の方法においては、1種または2種以上の相
間移動触媒、たとえば臭化テトラブチルアンモニウム、
塩化トリメチルフェニルアンモニウム、塩化トリエチル
ベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモ
ニウム、臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウムおよ
び、とりわけ、クラウンエーテル類(18−クラウン−
6)を、反応させるテトラクロロニトロベンゼンに対し
てたとえば0.3−30重量%の量、さらに添加することも
できる。
適当な極正非プロトン溶媒はたとえば:ジメチルスルホ
キシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホン(DMSO2)、テトラメチルスルホン(TMS
O2)(スルホラン)、アセトニトリル、ベンゾニトリ
ル、ニトロベンゼン、ジメチルアセタミド、N−メチル
ピロリドン(NMP)、N−メチル−ε−カプロラクタ
ム、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミ
ド、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライ
ム)および当業者には公知の他の化合物である。
これらの溶媒は混合物の形状で使用することもできる。
さらに、溶倍の全量に対して50重量%以内の他の不活性
溶媒、たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンまたはテトラク
ロロベンゼンを添加することもできる。
好ましい態様においては、本件方法はDMSO、DMFまたはD
MSO2中で、特に好ましい態様においてはDMSO中で実施す
る。
上記の他の不活性溶媒の大気圧における沸点が意図した
反応温度よりも低いならば、工程を加圧下で、たとえば
1.5−10バールで実施することもできる。減圧下で作業
することにより、対応する沸騰平衡を調節して(“蒸発
冷却(evaporative cooling)”)、極めて良好に温度
を制御することができる。しかし、多くの場合には工程
を大気圧で実施して十分である。
本発明記載の方法は60−160℃の、好ましくは80−140℃
の、特に好ましくは95−125℃の温度で実施する。反応
時間は20−0.2時間であり、低めの温度に設定する場合
には長めの反応時間を予想しなければならず、逆の場合
には逆にする。上記の(II)を形成形成するための最適
の温度/時間関係は特定した溶媒により若干異なるが、
当業者により、簡単な予備実験を通して決定され得る。
たとえばDMSO溶媒に関しては、温度と時間とはT(℃)
=A−33log t(h)の関係で結合されており、Aには1
00−137、好ましくは110−135、特に好ましくは115−13
0の値が仮定されている。本発明記載の方法に関するこ
の最短時間は所望の残留汚染度に応じて延長することが
できる。
特に、(II)の形成にあらかじめ特定した温度で最適時
間を超えて反応バッチを分析的に追跡することにより、
(VIII)による残留汚染の程度を測定し、本件方法の反
復実施する場合に標準化した工程パラメータ、特に温度
および時間で作業し得るようにする。
本発明記載の方法において、テトラクロロニトロベンゼ
ン:アルカリ金属フッ化物:極性非プロトン溶媒のモル
比は一般に1:2:1ないし1:6:30の、好ましくは、1:2.3:
2.4ないし1:4.0:10の範囲に広がるDMSOを用いる場合に
は、この値はこの範囲の低い部分、すなわち、1:2.2:2.
0ないし1:5:24、好ましくは1:2.3:2.4ないし1:4.0:10、
特に好ましくは1:2.4:2.8ないし1:3.2:4.6の範囲に保つ
ことができる。これらの好ましい値は、DMSO中のけん濁
液の攪拌可能性の減少により、そのけん濁液の固体含量
の比較的高い方向で制限されているに過ぎない。このよ
うな高い固体含有量により時空収率(space/time yiel
d)がかなり増加し、エネルギーのかなりの節約が達成
される。
使用するアルカリ金属フッ化物および極性非プロトン溶
媒は無水形状で使用する。この目的には、アルカリ金属
フッ化物をスプレー乾燥で前処理するか、または600℃
以内で若干時間乾燥することができる。溶媒は五酸化リ
ンまたは他の公知の乾燥剤を用いて公知の形態で乾燥す
る。可能ならば、溶媒は単純な蒸留により水を除去して
もよく、さらに、トルエンまたは他の共沸混合物形成剤
を添加し、蒸留により水を共沸混合物として除去する可
能性も含まれる。
極性非プロトン溶媒としてDMSOを用いる特に好ましい場
合には、特に好ましい態様において極めて劇的な乾燥方
法は不必要である。たとえば200℃/200mmHgの乾燥炉で
乾燥したアルカリ金属フッ化物を用いることができ、市
販の乾燥アルカリ金属フッ化物を用いることさえも可能
なのである。
一般には、極性非プロトン溶媒またはこの種の溶媒を含
有する混合物およびアルカリ金属フッ化物を取り出し、
必要ならば共沸蒸留により乾燥する。意図した反応温度
は多くの場合、この工程間に既に達成される。ついで、
アルカリ金属フッ化物を極性非プロトン溶媒にけん濁さ
せたけん濁液に粗2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼ
ンを添加する。この添加は反応温度に達したのちでも、
加熱段階の前またはその途中でも行うことができる。反
応バッチを分析的に追跡する前に、選択した反応温度に
おいて(II)の形成に最適化された反応時間が経過した
ならば、反応時間は反応温度に達したときに始まる。工
業的新規での比較的大量のバッチの場合には、出発物質
を少量ずつ添加することが望ましいであろう。いずれに
しても、比較的大量の出発物質を添加するには、化学的
工程技術に熟達した人々には公知の、適当な処理時間が
必要である。このような場合には、反応時間の開始は添
加の終了時に定める。
親核フッ素化が終了したのち、生成した反応混合物を種
々の様式で後処理することができる。たとえば無機塩
(アルカリ金属フッ化物/塩化物)は、一般には反応混
合物を冷却したのちに、まず、たとえば別または遠心
により分離する。ついで、その後の溶媒と反応生成物と
の分離は蒸留、抽出または他の物理的分離方法、たとえ
ばカラムクロマトグラフィーにより実施することができ
る。さらに、フッ素化反応生成物が極性非プロトン溶媒
に溶解している溶液に水を添加することができ、沈澱し
たフッ素化反応生成物は分離してその後の付加的精製処
理に供給することができる。
特に有利な態様においては、フッ素化反応生成物が極性
非プロトン溶媒に溶解している溶液を回分的に、または
連続的に、好ましい態様では連続的に、1種または2種
以上の、少なくとも30℃の沸点を有する直鎖の、もしく
は枝分かれのある開鎖の、または環状の脂肪族炭化水素
を用いて抽出することができる。フッ素化反応生成物は
この抽出中に脂肪族炭化水素相を移動し、そこから、脂
肪族炭化水素を少なくとも部分的に蒸発させることによ
り得られ、かつ、適宜にその後の精製に供給することが
できる。抽出によりフッ素化反応生成物を取り出した後
の極性非プロトン溶媒は、さらに処理することなく、そ
のままで本発明記載の方法の次の反応バッチに供給する
ことができる。この特定の方法態様に適した抽出装置、
たとえばルートビヒ(Ludwig)の低密度抽出剤用抽出器
(DE−AS(西ドイツ公開明細書)2,221,554)は当業者
には公知である。この方法態様用の脂肪族炭化水素は、
たとえばペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデ
カン、ヘキサドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、メチルシクロペンタン、イソオクタンおよび
これらの脂肪族炭化水素の混合物、ならびに30−50℃、
約40℃、40−60℃、60−70℃および40−80℃の沸点範囲
を有する各種石油エーテル、軽質油(60−95℃)、リグ
ロイン(80−110℃)、結合ベンジン(soldering benz
ine)(60−140℃)、石油ベンジン(100−140℃)等の
脂肪族蒸留留分である。
フッ素化反応生成物は、極性非プロトン溶媒を除去した
のちに、物理的に分離することができる。この物理的方
法とは、適宜に減圧下の蒸留、分別結晶化およびカラム
クロマトグラフィーである。特に最後の方法によりニト
ロ基を持たない物質、たとえば(III)および(IX)を
ニトロ生成物より除去することが可能である。所望の
(II)は通常の方法、たとえば蒸留により望ましくない
テトラクロロニトロベンゼンから、実質的に分離するこ
とができる。
(II)より寄生生物に対して活性を有する化合物を与え
るその後の工程は、ニトロ化合物より誘導されるアミノ
化合物(VI)を経て行われる。この目的には、たとえば
抽出工程より得た脂肪族炭化水素に溶解している溶液中
の、または他の(II)の単離工程後の、アルコールまた
は他の当業者には公知の適当な溶媒中の(II)を、貴金
属触媒、ラネー金属または他の水素化触媒で接触的に水
素化する。たとえば鉄/酸を用いるニトロ基のアミノ基
への還元も、原理的には可能である。水素化混合物中に
存在するニトロ基を持たない化合物、たとえば(III)
および(IX)は、この水素化中、不活性なものとして挙
動する。水素化が完了したところで、許容し得る量の残
留テトラクロロアニリン不純物を有するアミノ化合物
(VI)を、鉱酸、たとえば硫酸、リン酸またはハロゲン
化水素、好ましくはハロゲン化水素の添加により塩とし
て沈澱させて、アミノ基を持たない化合物、たとえば
(III)および(IX)より分離することができる。この
ようにして、ニトロ化合物(II)との関連で記述したカ
ラムクロマトグラフィーは不要となり、さらにまた経費
節減がなされる。
このようにして製造した(VI)とテトラクロロアニリン
との混合物は上記の物理的方法により、たとえば、適宜
に塩を遊離のアニリン化合物に戻して真空蒸留すること
により、さらに微少精製(micropurify)することがで
きる。この種の僅かに残留するのみの化合物の、たとえ
ば蒸留による分離は、多くの化合物の混合物の存在する
前段の一つで物理的方法を用いるものよりも、基本的に
は成功し易く見え、したがって、より経費がかからない
ように見える。この種の精密蒸留は、本発明に従って生
ずる2,3,5,6−または2,3,4,6−トテラクロロニトロベン
ゼンの対応するテトラクロロフルオロベンゼンへの転化
と組み合わせることができ、これが、これらのテトラク
ロロニトロベンゼンの一部のみを“沸騰脱離(boiling
off)”によりテトラクロロフルオロベンゼンに変え、
他の部分はアニリン段階での蒸留により除去する本発明
記載の方法の興味深い具体例を表す。特に、大量の2,3,
5,6−または、2,3,4,6−トテラクロロニトロベンゼンを
除去する場合には、これらの少部分のみを“沸騰脱離”
により除去し、大部分はアニリン段階またはその後に続
く上記の諸段階の一つにおいて蒸留により除去するのが
好ましく、一方、比較的少量の2,3,5,6−または、2,3,
4,6−トテラクロロニトロベンゼンの場合には上記の
“沸騰脱離”のみにより、これらを許容し得る水準にま
で減少させるのが好ましい。これにより残留不純物の所
望の許容含有量は、粗テトラクロロニトロベンゼンの汚
染度に応じて、(II)の大量の分解したがって収率の減
少を受け入れる必然性なしに達成することができる。
アニリン(VI)および(X)の塩形状を経由する除去の
工程で残存したテトラクロロフルオロベンゼン(III)
および(IX)は個別に得ることができ、それぞれの用途
に供給することができる。
極めて類似した態様で、除去したアニリニウム塩の混合
物を、原理的には当業者に公知の様式でホスゲン化する
ことができる。ついで、ここで得られるイソシアン酸エ
ステル(VII)とイソシアン酸トテラクロロフェニルと
の混合物を、上記の物理的方法を用いて、たとえば蒸留
により、前段以上の高純度を有する上記のイソシアン酸
エステルに分けることができる。この態様においても、
意図した残留汚染度は“沸騰脱離に”により部分的に達
成され、それ以上の残留不純物の減少はたとえばイソシ
アン酸エステル段階での残留により達成される。
実施例 1 全ての説明的具体例において、ローマ数字を付した列記
の化合物は上記の反応式に対応する。
78.0%の(I)と9.2%(VIII)とを含有する粗テトラ
クロロニトロベンゼンを用いた。残余は基本的にはテト
ラクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼンおよびヘキサ
クロロベンゼンよりなる。この粗テトラクロロニトロベ
ンゼン26.1gを、特に前処理していない市販のフッ化カ
リウム15.1gおよび39gのDMSOとともに120℃に加熱し、
表に与えた時間間隔で取り出した試料の組成をガスクロ
マトグラフィーで分析することにより、反応を分析的に
追跡した。
100重量%に足りない部分を埋める成分はテトラクロロ
ベンゼン、ペンタクロロベンゼンおよびヘキサクロロベ
ンゼンの間に分布し、比較的短い反応時間では部分的に
反応した(IV)および(V)の間のみに、さらに、長い
反応時間では未知の分解生成物の間に分布する。比較的
長い反応時間で分解が増加するために、(III)の量お
よび(VIII)と(IX)との合計量が相対的に増加するこ
とになり、(II)の量および反応生成物の全量は絶対値
としては小さくなる。
上記の実験を反復する間で、8時間の作動時間後に反応
を中断し、この反応で得られた反応生成物を、特に軽質
の溶媒を用いる液/液抽出用の300mlのルートビヒ回転
ハーフォレーター(Ludwig rotation perforator)中
で、冷ヘキサンを用いて抽出した(DE−AS(西ドイツ公
告明細書)2,221,554,ノルマーク(Normag))。得られ
たヘキサン相を100mlの水で1回洗浄したのち、ラネー
ニッケル/鉄2gを水素化触媒として添加した。続いて、
50℃、H2圧10バールで、水素の吸収が止むまで水素化を
実行した。水素化触媒を別したのち、ヘキサン相に気
体HClを通じて(VI)を塩酸塩として結晶形状で沈積さ
せる。過し、冷n−ヘキサンで洗浄して純度99%の
(VI.HCl)17.7gを得た。
実施例 2 82重量%の(I)を含有する粗テトラクロロニトロベン
ゼン(100%の残余は8.9重量%の(VIII)およびその他
の基本的にはテトラ−、ペンタ−およびヘキサクロロベ
ンゼンであるものよりなる)を使用した。この粗テトラ
クロロニトロベンゼン130を75.5gのKFとともに、150gの
DMSOにけん濁させ、この混合物を120℃で4時間加温し
た。室温に冷却したのち、KF/KCl固体混合物を吸引過
器で別し、30mlずつのDMSOで2回洗浄した。続いて、
得られたDMSO溶液を実施例1に記載した様式で、n−ヘ
キサンを用いて抽出した。ガスクロマトグラフィーでの
分析によれば、この反応混合物は (II) 71.0% (III) 5.5% (IX) 6.3% ペンタクロロベンゼン 1.4% (VIII) 2.8% (I) 0.5% を含有していた。
実施例 3 実施例2に使用した粗テトラクロロニトロベンゼン130g
を75.5gのKFとともに、200gのDMSO2中で16時間、135℃
に加温した。続いて、この混合物を120℃に冷却し、250
mlのトルエンを徐々に添加した。この添加の間に温度が
さらに低下し、DMSO2が晶出した。さらに1時間、10℃
に冷却したのち、固体(DMSO2、KFおよびKCl)を吸引
別し、0℃で、100mlずつの冷トルエンで2回洗浄し
た。フィルターケーキを100mlずつの0.1N HCl(約3.7
重量%)で2回、100mlずつの3%強度のソーダ水溶液
で2回洗浄した。トルエン相を真空中で乾燥状態にまで
濃縮した。94.8gの油状物が組生成物として得られた。
ガスクロマトグラフィーによる分析は、以下の含有量を
与えた。
(II) 73.1% (III) 3.6% (IX) 8.2% ペンタクロロベンゼン 1.6% (VIII) 1.2% (XIV) 3.2% (XII) 2.1% 実施例 4 反応時間の2時間のみとして実施例2の反復した。ガス
クロマトグラフィーによる分析は、以下の反応混合物含
有量を与えた。
(II) 60.0% (III) 4.7% (IX) 5.1% (XIV) 2.5% (XII) 2.9% ペンタクロロベンゼン 1.3% (VIII) 5.6% (I) 2.5% 実施例 5 圧力を100ミリバールに調節した以外は実施例2を反復
した。この結果、内部温度は120℃となり、これは蒸発
冷却により制御し得た。ガスクロマトグラフィーによる
反応混合物の分析は、以下の含有量を与えた。
(II) 69.2% (III) 5.8% (IX) 5.6% (XIV) 2.4% (XII) 3.1% ペンタクロロベンゼン 1.2% (VIII) 3.9% (I) 0.7% 実施例 6 実施例2と同様の工程を、ただ、反応時間を3時間のみ
として実施した。KFを特に前処理することなく使用し
た。ガスクロマトグラフィーによる反応混合物の分析
は、以下の含有量を与えた。
(II) 61.5% (III) 5.2% (IX) 5.1% (XIV) 2.6% (XII) 3.3% ペンタクロロベンゼン 1.4% (VIII) 5.7% (I) 2.2% 後の方に記載した実施例は、反応パラメータを変えるこ
とにより種々の純度の(II)が得られることを示してい
る。
実施例 7 実施例5の反復した。実施例1の記載と同様にして、DM
SO溶液から反応生成物をn−ヘキサンで抽出した。上に
記載したものと同様にして、反応混合物をn−ヘキサン
中で接触的に水素化し、続いて、形成された置換アニリ
ンを塩酸塩として沈澱させた。このアニリン塩酸塩を残
留溶液から分離し、ホスゲンを用いて対応するイソシア
ン酸エステルに転化させた。この目的には、95.0重量%
(0.37モル)の(VI)と4.9重量%(0.02モル)の
(X)とを含有するアニリン塩酸塩混合物90gを400mlの
トルエンにけん濁させ、室温で60g(0.6モル)のホスゲ
ンを通じ、この混合物を100℃まで徐々に加熱し、この
温度に5時間保った。N2気流を用いてホスゲンを追い出
したのち、蒸留によりトルエンを除去し、このようにし
て得られたイソシアン酸エステルを蒸留により分離し
た。(VII)は24ミリバール、112℃における蒸留で得ら
れた。蒸留残査を冷却したのち、圧力をさらに1ミリバ
ールに下げ、50℃で穏やかな昇華の開始を観察した。つ
いで、120℃/1ミリバールでの昇華による満足すべき様
式で、(XI)を得ることが可能であった。
上記各実施例の生成物についての同定資料を一括して示
せば、次のとおりである。
化合物(VII)−沸点112℃/24ミリバール 化合物(VI)−沸点119℃/19ミリバール(塩酸塩はn−
ヘキサンに不溶で70℃までで分解する) 化合物(II)−沸点121℃/20ミリバール 化合物(VIII)−沸点124℃/1ミリバール;融点101℃ 化合物(I)−沸点123℃/0.1ミリバール;融点64℃ 化合物(XIV)−沸点246℃;融点140℃ 化合物(XII)−沸点254℃;融点47℃ 化合物(III)−沸点142℃/46ミリバール;融点64℃ 化合物(IX)−融点72℃ 化合物(XI)−昇華点105℃/1ミリバール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 265/12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼンを
    最初にアルカリ金属フツ化物と高められた温度で、極性
    非プロトン溶媒中で反応させることによる式 [式中、 Rはニトロ、アミノ(対応するアンモニウム塩を含む)
    またはイソシアナトを表す] の置換3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロベンゼンの製造
    方法であつて、2,3,5,6−テトラクロロニトロベンゼン
    および/または2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼン
    を含有する粗2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼンを
    使用し、且つ、反応化合物より置換された3,5−ジクロ
    ロ−2,4−ジフルオロベンゼンをニトロ段階において、
    またはアミノ段階においてはニトロ基を還元したのち、
    またはイソシアネート段階においては還元及びアミノ基
    のホスゲン化をしたのち、単離することから成り、最初
    に実施する反応を60−160℃の温度で、かつ、20−0.2時
    間の反応時間で、望ましくない2,3,5,6−テトラクロロ
    ニトロベンゼンを2,3,5,6−テトラクロロフルオロベン
    ゼンに変え、かつ/または望ましくない2,3,4,6−テト
    ラクロロニトロベンゼンを2,3,4,6−テトラクロロフル
    オロベンゼンに変えて残留不純物を望ましい程度に抑え
    るような態度で実施し、反応混合物を冷却し、アルカリ
    金属フツ化物/塩化物、溶媒、および反応生成物に分離
    し、ついで、反応生成物をニトロ段階、アミノ段階、ま
    たはイソシアネート段階で、2,3,5,6−テトラクロロニ
    トロベンゼンおよび/または2,3,4,6−テトラクロロニ
    トロベンゼンの変化生成物より物理的に分離することを
    特徴とする方法。
  2. 【請求項2】使用する極性非プロトン溶媒がジメチルス
    ルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)ま
    たはジメチルスルホン(DMSO2)であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】使用する極性非プロトン溶媒がDMSOである
    ことを特徴とする特徴請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】使用するアルカリ金属フツ化物がフツ化カ
    リウムであることを特徴とする特徴請求の範囲第1項な
    いし第3項の何れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】使用する極性非プロトン溶媒がDMSOであ
    り、工程を60ないし160℃の温度、20−0.2時間の最短反
    応時間で実施し、上記温度反応とが T(℃)=A−33log t(h) の関係で結合されており、Aが100−137の値とされてい
    ることを特徴とする、特許請求の範囲第1項ないし第4
    項の何れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】反応混合物を分離するために、アルカリ金
    属フツ化物/塩化物を除去し、ついで、反応生成物を1
    種または2種以上の、少なくとも30℃の沸点を有する直
    鎖の、もしくは枝分かれのある開鎖の、または環状の脂
    肪族炭化水素を用いて上記の極性非プロトン溶媒より抽
    出することを特徴とする特徴請求の範囲第1項ないし第
    5項の何れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】2,3,5,6−テトラクロロニトロベンゼンを
    2,3,5,6−テトラクロロフルオロベンゼンに転化し、か
    つ/または2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼンを2,
    3,4,6−テトラクロロフルオロベンゼンに転化し、反応
    生成物をアニリン段階に還元し、このアニリンを塩形成
    により沈澱させて取り出し、この塩を遊離のアニリンの
    戻したのち、蒸留によりテトラクロロアニリン類と分離
    して3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロアニリンを得るこ
    とにより残留不純物の望ましい程度を部分的にのみ達成
    することを特徴とする特徴請求の範囲第1項ないし第6
    項の何れかに記載の方法。
  8. 【請求項8】2,3,5,6−テトラクロロニトロベンゼンを
    2,3,5,6−テトラクロロフルオロベンゼンに転化し、か
    つ/または2,3,4,6−テトラクロロニトロベンゼンを2,
    3,4,6−テトラクロロフルオロベンゼンに転化し、反応
    生成物を還元してアニリン段階とし、このアニリンを塩
    形成により沈澱させて取り出し、このアニリン塩をその
    まま、またこの塩を遊離のアニリンの戻したのちにホス
    ゲン化してイソシアネート段階とし、蒸留によりテトラ
    クロロフエニル・イソシアネート類と分離して3,5−ジ
    クロロ−2,4−ジフルオロフエニル・イソシアネートを
    得ることにより残留不純物の望ましい程度を部分的にの
    み達成することを特徴とする特徴請求の範囲第1項ない
    し第6項の何れかに記載の方法。
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