JPH0761973A - メルカプトピラゾール類の製造法 - Google Patents

メルカプトピラゾール類の製造法

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JPH0761973A
JPH0761973A JP5207969A JP20796993A JPH0761973A JP H0761973 A JPH0761973 A JP H0761973A JP 5207969 A JP5207969 A JP 5207969A JP 20796993 A JP20796993 A JP 20796993A JP H0761973 A JPH0761973 A JP H0761973A
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秀明 新宅
Kenji Suzuki
謙二 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 5−ハロゲノピラゾール類から硫化剤で5−
メルカプトピラゾール類を製造する方法において、炭酸
化合物を共存させることを特徴とする方法。 【効果】 硫化剤の使用量を削減できるうえ、副生物お
よび副反応を抑制することができ、容易に高収率で5−
メルカプトピラゾール類を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬および農薬等の中
間体して有用なメルカプトピラゾール類の製造方法に関
するものである。特に本発明は、水稲用除草剤(特開昭
59−122488号公報記載)およびトウモロコシ用
除草剤(特開昭60−208977号公報記載)の中間
体として有用な5−メルカプトピラゾール−4−カルボ
ン酸エチルエステルおよび3−クロロ−5−メルカプト
ピラゾール−4−カルボン酸メチルエステルの製造方法
として有効である。
【0002】
【従来の技術】5−ハロゲノピラゾール類から、5−メ
ルカプトピラゾール類を製造する方法としては、リービ
ッヒス・アナーレン・デル・セミー (Liebigs Annalen
der Chemie) ,338巻 183頁(1905年)に、
エタノール中過剰量の硫化ナトリウムを用いて製造する
例がある。また、特開昭62−4272号公報に、N,
N−ジメチルホルムアミド中水硫化ナトリウムを用いる
例がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】硫化剤として硫化ナト
リウムを使用する方法では、原料に対して当量から若干
過剰量で反応は進行するが、硫化ナトリウムが強アルカ
リ性のため、原料がエステル等の加水分解を受けやすい
置換基を有している場合、収率低下を引き起こす。一
方、硫化剤として水硫化ナトリウムを使用する方法で
は、上記のような加水分解の心配はないが、水硫化ナト
リウムが原料に対して2当量以上必要であり、経済的に
不利であるうえ、副生する硫化水素の処理などの問題が
ある。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、5−メル
カプトピラゾール類を収率良く得る方法について鋭意検
討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
は、5−ハロゲノピラゾール類から硫化剤で5−メルカ
プトピラゾール類を製造する方法において、炭酸化合物
を共存させることを特徴とする方法(以下、本発明の方
法という。)に関するものである。
【0005】5−ハロゲノピラゾール類としては、例え
ば、式(1)
【0006】
【化2】
【0007】〔式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜
6のアルキル基、炭素原子数1〜7のシクロアルキル
基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基
を有していてもよい芳香族複素環を表し、R2 は水素原
子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6
のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルコキシカルボ
ニル基、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していて
もよいフェニル基または置換基を有していてもよい芳香
族複素環を表し、R3 は炭素原子数1〜6のアルコキシ
カルボニル基、炭素原子数1〜6のアルキルスルホニル
基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、X
は、ハロゲン原子を表す。〕があげられる。
【0008】より具体的には、式(1)中、R1 がメチ
ル基を表し、R2 が水素原子または塩素原子を表し、R
3 がメトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基
を表し、Xが塩素原子を表す5−ハロゲノピラゾール類
があげられる。硫化剤としては、硫化ナトリウム、水硫
化ナトリウム等があげられる。硫化剤の使用量は、ハロ
ゲノピラゾール類に対して通常1.0〜1.6モル倍、
好ましくは1.0〜1.2モル倍である。
【0009】炭酸化合物としては、炭酸塩または炭酸が
あげられ、炭酸塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アル
カリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ
土類金属重炭酸塩等があげられる。具体的には、炭酸水
素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭
酸水素バリウム、炭酸バリウム、固体もしくは気体状の
二酸化炭素、さらにそれらの水溶液があげられ、好まし
くは炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カ
リウム、炭酸カリウム、固体もしくは気体状の二酸化炭
素があげられる。
【0010】炭酸化合物の使用量は、ハロゲノピラゾー
ル類に対して通常0.1〜2.0モル倍、好ましくは
0.2〜1.1モル倍である。使用される溶媒は、反応
に不活性なものであれば特に制限はないが、例えば、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリド
ン、ピリジン等の極性溶媒類およびメタノール、エタノ
ール等のアルコール類、水等があげられる。
【0011】反応温度は、通常0〜200℃、好ましく
は10〜100℃である。特に、最初は低温で反応後、
さらに高温で反応させると好結果を与える。反応時間
は、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜10時間
である。溶媒の沸点により反応温度が上げられない場合
や、反応中発生する硫化水素や炭酸ガスの逃げを防ぐた
めに、オートクレーブ中加圧下に反応を行なうことがで
きる。
【0012】本発明の方法は、硫化ナトリウム、水硫化
ナトリウムおよび反応中生成する硫化水素の反応性に着
目し、炭酸化合物を共存させることにより硫化剤を有効
に利用するものである。硫化剤として硫化ナトリウムを
使用する場合、炭酸化合物を共存させることにより、硫
化ナトリウムから水硫化ナトリウムの生成させる。硫化
反応の反応性は、硫化ナトリウムより水硫化ナトリウム
の方が高く、溶媒に対する溶解度も水硫化ナトリウムの
方が大きいため、水硫化ナトリウムが5−ハロゲノピラ
ゾール類と反応し、副生する硫化水素は硫化ナトリウム
と反応し、水硫化ナトリウムを再生する。したがって、
水硫化ナトリウムを実際の反応剤として使用するため、
加水分解等の副反応を抑制することができるうえ、水硫
化ナトリウムを反応剤として使用する際に問題となる副
生硫化水素をリサイクルすることができる。
【0013】一方、硫化剤として水硫化ナトリウムを使
用する場合、炭酸塩を共存させることにより、5−ハロ
ゲノピラゾール類と反応して副生する硫化水素から水硫
化ナトリウムを再生することができる。結果として、水
硫化ナトリウムを有効に利用することができる。
【0014】
【発明の効果】本発明の方法に従えば、硫化剤の使用量
を削減できるうえ、副生物および副反応を抑制すること
ができ、5−ハロゲノピラゾール類から容易に高収率で
5−メルカプトピラゾール類を得ることができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例をあげ、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 〔実施例1〕3,5−ジクロロ−1−メチルピラゾール
−4−カルボン酸メチルエステル20.9g(0.10
モル)をN,N−ジメチルホルムアミド62.7gに溶
解し、室温撹拌下60%硫化ナトリウム14.3g
(0.11モル)および無水炭酸カリウム 8.3g
(0.06モル)を加え、40℃で3時間反応させた
後、さらに70℃で3時間反応させた。反応終了後、
N,N−ジメチルホルムアミドを留去し、水を加えて溶
解した。35%塩酸を加えると白色結晶が析出したが、
これを1,2−ジクロロエタンで溶解抽出した。この
1,2−ジクロロエタン層のHPLCによる内標分析に
より20.6g(収率99.8%)の3−クロロ−5−
メルカプト−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸メ
チルエステルを確認した。
【0016】〔実施例2〕3,5−ジクロロ−1−メチ
ルピラゾール−4−カルボン酸メチルエステル20.9
g(0.10モル)をN,N−ジメチルホルムアミド6
2.7gに溶解し、室温撹拌下60%硫化ナトリウム1
4.3g(0.11モル)および炭酸ガス(固体)0.
9g(0.02モル)を加え、40℃で3時間反応させ
た後、さらに70℃で3時間反応させた。反応終了後、
実施例1と同様な後処理を経て、HPLCによる内標分
析により20.2g(収率98.0%)の3−クロロ−
5−メルカプト−1−メチルピラゾール−4−カルボン
酸メチルエステルを確認した。
【0017】〔実施例3〕3,5−ジクロロ−1−メチ
ルピラゾール−4−カルボン酸メチルエステル20.9
g(0.10モル)をN,N−ジメチルホルムアミド6
2.7gに溶解し、室温撹拌下60%硫化ナトリウム1
4.3g(0.11モル)、無水炭酸カリウム2.8g
(0.02モル)および炭酸ガス(気体)0.9g
(0.02モル)を加え、40℃で3時間反応させた
後、さらに70℃で3時間反応させた。反応終了後、実
施例1と同様な後処理を経て、HPLCによる内標分析
により20.3g(収率98.5%)の3−クロロ−5
−メルカプト−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸
メチルエステルを確認した。
【0018】〔実施例4〕5−クロロ−1−メチルピラ
ゾール−4−カルボン酸エチルエステル18.9g
(0.10モル)をN,N−ジメチルホルムアミド95
gに溶解し、室温撹拌下70%水硫化ナトリウム9.6
g(0.12モル)および無水炭酸カリウム16.6g
(0.12モル)を加えて、95℃で8時間反応させ
た。反応終了後、実施例1と同様な後処理を経て、HP
LCによる内標分析により18.0g(収率96.8
%)の5−メルカプト−1−メチルピラゾール−4−カ
ルボン酸エチルエステルを確認した。
【0019】〔実施例5〕5−クロロ−1−メチルピラ
ゾール−4−カルボン酸エチルエステル18.9g
(0.10モル)をN,N−ジメチルホルムアミド95
gに溶解し、室温撹拌下70%水硫化ナトリウム 9.
6g(0.12モル)および無水炭酸ナトリウム12.
7g(0.12モル)を加えて、95℃で9時間反応さ
せた。反応終了後、実施例1と同様な後処理を経て、H
PLCによる内標分析により18.1g(収率97.0
%)の5−メルカプト−1−メチルピラゾール−4−カ
ルボン酸エチルエステルを確認した。
【0020】〔参考例〕5−クロロ−1−メチルピラゾ
ール−4−カルボン酸エチルエステル18.9g(0.
10モル)をN,N−ジメチルホルムアミド95gに溶
解し、室温撹拌下60%硫化ナトリウム14.3g
(0.11モル)を加え、65℃で3時間反応させた
後、さらに90℃で3時間反応させた。反応終了後、実
施例1と同様な後処理を経て、HPLCによる内標分析
により15.9g(収率85.7%)の5−メルカプト
−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸エチルエステ
ルを確認した。このとき、加水分解物の5−メルカプト
−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸が13%副生
していた。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5−ハロゲノピラゾール類から硫化剤で
    5−メルカプトピラゾール類を製造する方法において、
    炭酸化合物を共存させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 5−ハロゲノピラゾール類が式(1) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル
    基、炭素原子数1〜7のシクロアルキル基、置換基を有
    していてもよいフェニル基または置換基を有していても
    よい芳香族複素環を表し、 R2 は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素
    原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアル
    コキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基、置換基
    を有していてもよいフェニル基または置換基を有してい
    てもよい芳香族複素環を表し、 R3 は炭素原子数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭
    素原子数1〜6のアルキルスルホニル基、ニトロ基、ハ
    ロゲン原子またはシアノ基を表し、 Xはハロゲン原子を表す。〕で表される請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 R1 がメチル基を表し、R2 が水素原子
    または塩素原子を表し、R3 がメトキシカルボニル基ま
    たはエトキシカルボニル基を表し、Xが塩素原子を表す
    請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 硫化剤が硫化ナトリウムまたは水硫化ナ
    トリウムである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 硫化剤が硫化ナトリウムである請求項1
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 硫化剤が水硫化ナトリウムである請求項
    1記載の方法。
  7. 【請求項7】 炭酸化合物が炭酸塩または炭酸である請
    求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 炭酸塩がアルカリ金属炭酸塩、アルカリ
    土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類
    金属重炭酸塩または炭酸である請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナト
    リウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カ
    ルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸バ
    リウム、固体もしくは気体状の二酸化炭素である請求項
    7記載の方法。
  10. 【請求項10】 炭酸塩が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナ
    トリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムまたは固体
    もしくは気体状の二酸化炭素である請求項7記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 硫化剤が硫化ナトリウムであり、炭酸
    化合物が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水
    素カリウム、炭酸カリウムまたは固体もしくは気体状の
    二酸化炭素である請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 硫化剤が水硫化ナトリウムであり、炭
    酸化合物が炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
    水素カリウムまたは炭酸カリウムである請求項1記載の
    方法。
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