JPH0760276A - 廃水処理用保存菌体、及び保存菌体による廃水処理方法 - Google Patents

廃水処理用保存菌体、及び保存菌体による廃水処理方法

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JPH0760276A
JPH0760276A JP5214022A JP21402293A JPH0760276A JP H0760276 A JPH0760276 A JP H0760276A JP 5214022 A JP5214022 A JP 5214022A JP 21402293 A JP21402293 A JP 21402293A JP H0760276 A JPH0760276 A JP H0760276A
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wastewater
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Shinsuke Sugio
伸弼 杉尾
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Sankyo Co Ltd
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Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は廃水処理用保存菌体、及び保存菌体
を使用した廃水処理方法に関し、コストのかかる特別の
装置を必要とすることなく、簡単、かつ容易に保存菌体
を作り、この保存菌体を用いて有機性廃水を効率良く処
理できるようにすることを目的とする。 【構成】 曝気槽1内に、有機性廃水、或いはこれに微
生物源を加えた処理液5を入れ、送気パイプ4を介して
空気を送る。この空気は、ボールフィルタ3から出て、
処理液5に旋回流を発生させる。この状態を保持するこ
とにより、有機性廃水中の微生物、或いは添加した微生
物源による自己凝集能によって、粒状菌体を生じさせ
る。この粒状菌体を、例えば、凍結乾燥し、保存菌体と
して保存しておく、また、この保存菌体を有機性廃水中
に入れ、廃水の処理を行うように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下水、産業廃水、し尿
などの有機性廃水を、好気的条件下で生物学的に処理す
る廃水処理用保存菌体、及び該保存菌体を使用した有機
性廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、都市下水等、有機性廃水の生物学
的処理法の主流は、浮遊性微生物を用いる活性汚泥処理
方法であった。
【0003】しかし、活性汚泥法の欠点である浮遊性微
生物と、処理液の固液分離の困難性や、反応槽中の浮遊
性微生物濃度を均一にするための返送汚泥の問題を解消
するために、砂や、プラスチック等を菌付着の担体とす
る微生物膜法が脚光を浴びている。
【0004】この微生物膜法は、菌体と処理液の固液分
離の問題は低減するが、逆に、砂や、プラスチックとい
った担体を必要とする。これは、廃水処理の経済上の大
きな負担となる。
【0005】この問題を解決するため、検討がなされ、
微生物の自己凝集能を利用し、微生物の凝集体を用い
る、いわゆる好気性上向流式汚泥床法(以下「AUSB
法」という)や、多段反転式バイオリアクター(以下
「MRB法」という)が開発されている。
【0006】しかし、AUSB法(例えば特開平1−1
23696号公報参照)は、凝集体に、直接通気しない
で、一旦、被処理液に酸素を溶解させた後、凝集体で廃
水を処理するのが特徴である。
【0007】従って、BOD高負荷処理を行うために
は、空気のみでは、酸素の供給が不十分となり、必然的
に、加圧設備や、純酸素、又は酸素富化ガス等が必要と
なる欠点がある。
【0008】他方、MRB法(例えば、特開昭63−2
42394号公報参照)も、AUSB法と同様、水が下
降する際に酸素を溶解させ、反転して上向流式反応部で
出来た自己造粒汚泥で処理する方式であるが、AUSB
法と異なり、特に酸素富化ガス等を必要としていない。
【0009】従って、当然、水中の酸素濃度には限界が
あるため、上向流式反応部の自己造粒汚泥は、好気性菌
と嫌気性菌の混ざりとなり、丁度AUSB法と、嫌気性
上向流式汚泥床法(通常UASB法といわれている)の
中間的な存在となる。
【0010】このため、省エネルギー的ではあっても、
処理速度は好気性処理には及ばず、処理を完結するため
には、槽が幾段も必要となる。また、嫌気性発酵によ
り、メタンガスが発生すれば、開放型の装置のため、大
気を汚染し、オゾン層の破壊の一端を担うことにもなり
かねない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のも
のにおいては、次のような課題があった。 (1) AUSB法では、加圧設備や、純酸素又は酸素富化
ガス等が必要となる。このため、廃水処理のコストが高
くなる。
【0012】更に、酸素溶解槽では、廃水中に酸素を吹
き込むため、必然的に溶解槽に菌体が増殖し、その定期
的排除を必要とする、従って手間がかかる。 (2) MRB法では、酸素富化ガス等を必要としないた
め、省エネルギー的である。しかし、処理速度が遅く、
処理槽が幾段にも必要となり、設備が大きくコスト高と
なる。
【0013】本発明は、このような従来の課題を解決
し、コストのかかる特別の装置を必要とすることなく、
簡単な方法で廃水処理用保存菌体を作ると共に、この保
存菌体を用いて、有機性廃水を効率良く処理できるよう
にすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するため、次のように構成した。 :有機性廃水に、直接空気を吹き込み、且つ旋回流を
与えることにより造粒した粒状菌体を、保存して保存菌
体とした廃水処理用保存菌体。
【0015】:構成において、粒状菌体の保存が、
凍結乾燥による保存である廃水処理用保存菌体。 :有機性廃水に、直接空気を吹き込み、且つ旋回流を
与えることにより造粒した粒状菌体を、保存して保存菌
体とし、この保存菌体を用いて有機性廃水の処理を行う
保存菌体による廃水処理方法。
【0016】前記有機性廃水としては、家庭下水、屎
尿、都市下水、食品工業廃水、醗酵工業廃水、製薬工業
廃水等有機性物質を含有する廃水なら、処理可能である
が、特に糖類を含有する廃水の処理に適している。
【0017】また、造粒に使用できる微生物としては、
通常活性汚泥中に認められる微生物であれば使用でき
る。例えば、細菌類としては、シュードモナス属(Pseu
domonas )、ヅーグレア(Zoogloea )、スフェロティ
ルス(Sphaerotilus)、レプトスリクス(Leptothri
x)、アルカリゲネス(Alcaligenes )、アクロモバク
ター(Achromobacter )、フラボバクテリウム(Flavob
acterium)、エシェリヒア(Escherichia )、アエロバ
クター(Aerobacter)、クレブジィーラ(Klebsiell
a)、パラコロバクテリウム(Paracolobacterium )、
ミクロコッカス(Micrococcus )、サルシナ(Sarcina
)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネ
バクテリウム(Corynebacterium )、バシルス(Bacill
us)、ノカルディア(Nocardia)、リネオーラ(Lineol
a )、ベギアトーア(Beggiatoa )、チオスリックス
Thiothrix)、リュウコスリックス(Leucothrix)、
ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロソコッカス
Nitrosococcus )、ニトロバクター(Nitrobacter
があげられる。
【0018】真菌類としては、ムコール(Mucor )、リ
ゾプス(Rhizopus)、レミスポーラ(Remispora )、グ
ノモニア(Gnomonia)、アブシディア(Absidia )、ケ
トミウム(Chaetomium)、エメリセロプシス(Emericel
lopsis)、タラロマイセス(Talaromyces )、アスペル
ギルス(Aspergillus )、セファロスポリウム(Cephal
osporium)、ゲオトリカム(Geotrichum)、ペシロマイ
セス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium
)、トリコデルマ(Trichoderma )、コロラスポーラ
Corollospora)、バリコスポリーナ(Varicosporina
)、フィコメレイナ(Phycomelaina)、ペテルセニア
Petersenia)、マクロスポリウム(Macrosporium)、
ヒメノサイプス(Hymenoscyphus )、モリシア(Mollis
ia)、ネクトリア(Nectria )、ツレマトスフェリア
Trematosphaeria )、インゴルディーラ(Ingoldiell
a )、アラトスポーラ(Alatospore)、アンギロスポー
ラ(Anguillospora )、アーティキュロスポーラ(Arti
culospora )、カンポスポリウム(Camposporium)、カ
ンフィロスポーラ(Campylospora)、セラトスフォレー
ラ(Ceratosphorella )、クラバリオプシス(Clavario
psis)、フラゲロスポーラ(Flagellospora )、インゴ
ルディア(Ingoldia)、ヘリスカス(Heliscus)、レモ
ニエーラ(Lemonniera)、テトラクラディウム(Tetrac
ladium)、テトラケタム(Tetrachaetum)、トリクロデ
ィウム(Tricladium)、トリポスペルナム(Triposperm
um)、バリコスポリウム(Valicosporium )、レプトミ
タス(Leptomitus)、アクレモニウム(Acremonium)、
オーレオバシディウム(Aureobasidium)、フザリウム
Fusarium)、グリオクラディウム(Gliocladium )、
フィアロフォーラ(Phialophora )、フォーマ(Phoma
)、アポダクーヤ(Apodachlya)、クラドスポリウム
Cladosporium)、マルガリノマイセス(Margarinomyc
es)、ミロテシュウム(Myrothecium )、ズーファガス
Zoophagus )、アルスロボトリス(Arthrobotrys)、
スティサヌス(Stysanus)、デバリオミセス(Debaryom
yces)、ハンゼヌーラ(Hansenula )、ナドソニア(Na
dsonia)、ピチア(Pichia)、サッカロマイセス(Sacc
haromyces )、サッカロマイコデス(Saccharomycodes
)、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)、
ビッケルファミア(Wickerhamia )、ウイゲア(Wigea
)、エンドミコプシス(Endomycopsis)、スポロボロ
マイセス(Sporobolomyces)、キャンディダ(Candida
)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クロッケラ
Kloeckera )、ロドトルラ(Rhodotorula )、トルロ
プシス(Torulopsis)、トリコスポロン(Trichosporo
n)、トリゴノプシス(Trigonopsis )等があげられる
が、フザリウム(Fusarium)が最も適している。
【0019】
【作用】上記構成に基づく本発明の作用を説明する。微
生物の存在する有機性廃水を曝気槽内に入れ、この処理
液に曝気を行って酸素を効率よく供給する。この場合、
曝気槽内の処理液に旋回流を与えることによって、この
旋回流に適応できる菌が、旋回流という物理的作用と、
菌の自己造粒能という、生物本来の力により、造粒菌体
を形成する。
【0020】一旦、造粒体が形成されると、これが核と
なり、以後、この造粒菌体が増殖し、自己凝集微生物塊
となって造粒を行う。このようにして造粒した粒状菌体
を凍結乾燥等により保存して保存菌体とする。また、こ
の保存菌体を用いて、有機性廃水の処理を行う。
【0021】このようにすれば、コストのかかる特別な
装置を用いなくとも、簡単な装置で、且つ容易に菌体の
造粒及び保存ができる。また、菌体造粒時の処理液に
は、空気を送るだけなので、運転時のコストも安くて済
む。
【0022】更に、上記のようにして造粒、かつ保存さ
れた保存菌体を、有機性廃水に添加し、好気的生物処理
を行うことにより、極めて効率良く有機性廃水の処理を
行うことが可能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。 §1:実施例の基本的な説明 本実施例では、先ず、菌体を造粒し、その後、造粒した
粒状菌体を凍結乾燥して保存菌体とする。また、この保
存菌体を用いて有機性廃水の処理を行う。この場合、次
の3点を基本的な特徴点としている。
【0024】(1) :微生物を含む廃水に対し、直接的に
曝気を行い、酸素を効率良く供給する。(なお、この点
は、例えば特開平1−123697号公報、特開昭63
−242394号公報に記載されたものとは異なる) (2) :種菌には、出来るだけ、活性汚泥のような菌の凝
集体を極力避ける。強制的に活性汚泥等を接種する場合
は、接種する菌体量が所定量(曝気槽内濃度として約1
00ppm)を超えないようにすることが肝要である。
即ち、曝気槽中の菌体濃度を所定値以下とする必要があ
る。
【0025】(なお、前記の点は、酸素の供給に、必ず
しも純酸素ガスを必要としないことと併せて、例えば
「上原義昭編「新しい汚水処理技術−上向流式酸素活性
汚泥法」産業用水調査会発行、1980年」に記載され
た上向流式酸素活性汚泥法とは全く異なる方法である) (3) :処理対象の有機性廃水を旋回流させる。前記旋回
流させることにより、この旋回流に適応出来る菌が、旋
回流という物理的作用と、自己造粒能という生物本来の
力によって、造粒菌体を形成する。
【0026】一旦、造粒菌体が形成されると、これが、
核となり、以後この造粒菌体の形態で増殖していく。た
だし、廃水の性質が変わったり、旋回流の流れ、強度の
変化、溶存酸素量等の変化で、粒状の形態も変わること
がある。
【0027】以上の3点を基本的な特徴として、有機性
廃水の好気的生物処理による造粒、及び有機性廃水の好
気的生物処理を行う。前記処理を行うには、対象廃水に
菌を人為的に接種した液、又は人為的に接種することな
く、廃液そのままに、直接空気を吹き込み、且つ好気性
を保ちながら廃液の流れを旋回流にする。
【0028】このようにすると、微生物の自己凝集能を
有効に活用し、沈降性の優れた粒状の微生物塊を形成す
る。この場合の固液分離は、従来の活性汚泥に比し、飛
躍的に容易となる。
【0029】また、有機性廃水への直接曝気を行う際の
酸素の供給源として、純酸素又は酸素富化ガスを用いる
ことも出来るが、通常は空気のみで十分である。有機性
廃水への種菌の供給は、特に、人為的に接種することな
く、廃液中に自然に増殖することを待ってもよいが、も
ちろん、その廃液中のBOD物質を除去する有用な特定
の菌を加えたり、活性汚泥処理液や、活性汚泥そのもの
を加える等、人為的に供給することもできる。
【0030】特に、活性汚泥や、活性汚泥処理液中に
は、多種の微生物が存在する上に、未だ同定されていな
い、又は性状の十分知られていない優れた自己造粒能を
有する菌が存在する可能性がある。
【0031】従って、活性汚泥や、活性汚泥処理液は、
有用な接種用の種菌源である。人為的に種菌を供給する
方法としては、一時的でも、数次に亘ってもよく、また
連続的に供給してもよい。ただし、供給した菌量が、そ
の曝気槽中の菌体量として、所定値(約100ppm)
を超えてはならない。
【0032】前記所定値を超えて供給すると、凝集塊は
形成せず、活性汚泥のような浮遊菌体状となる。また、
出来るだけ、フロックを入れないように、活性汚泥懸濁
液の遠心分離液や、静置後の上澄液を使用したり、濾紙
や濾布等で濾過した液を使うことが好ましい。
【0033】更に、廃液中の菌を保持する為、通常、流
動層の生物膜処理に、菌体保持用担体として用いられて
いる砂や、活性炭(例えば粉末活性炭)等を投入して
も、造粒及び廃水処理に影響はない。
【0034】液の流れを旋回流にする方法としては、次
のような方法がある。 通気によるエアリフト効果を利用した、片側、又は両
側旋回方式による方法。
【0035】ポンプで循環し、旋回流を起こさせる方
法。 全面曝気による方法。 以上の外、振盪培養機による方法等、各種の方法がある
が、いずれにしても、液が旋回流を起こすような方法で
あればよい。粒状菌体を作る有機廃水のBOD 5 負荷量
は高い程好ましく、0.1Kg/m3 /日でも粒状菌体
は出来るが、時間を要する上に、出来た菌体の強度が弱
く崩れやすい。
【0036】従って、上記BOD5 負荷量は、実用的に
は、0.5Kg/m3 /日以上、好ましくは、1.0K
g/m3 /日〜10Kg/m3 /日の範囲とする。以
下、各実施例について具体的に説明する。
【0037】§2:実施例1(菌体造粒の実施例)の説
明 実施例1は、菌体を造粒する際の実施例であり、以下、
具体的に説明する。図1〜図5は実施例1(菌体造粒の
実施例)を示した図であり、図1は処理装置の説明図、
図2は処理説明図(その1)、図3は処理説明図(その
2)、図4は処理データ(その1)、図5は処理データ
(その2)である。
【0038】図中、1は曝気槽、2は仕切板、3はボー
ルフィルタ、4は送気パイプ、5は処理液(曝気槽1内
の液)、6は給液パイプ、7は排水口を示す。実施例1
では、図1に示した処理装置(実験装置)を用いて、有
機性廃水の処理を行った。
【0039】この処理装置は、曝気槽1内に、仕切板2
とボールフィルタ3を設け、該ボールフィルタ3に送気
パイプ4を接続して、送気できるようにしたものであ
る。また、曝気槽1には、排水口7を設けると共に、曝
気槽1の上部には、給液パイプ6を設けて、廃水等を曝
気槽1内に連続的に供給し、且つオーバーフローした処
理液5を排水口7から排出できるようにした。
【0040】また、曝気槽1内の処理液5を、一定の温
度に保つために、温度調節装置(ヒータ等)が設けてあ
る(この装置は図示省略してある)。前記曝気槽1内に
処理液5を入れた状態で、送気パイプ4を介して送気す
ると、ボールフィルタ3から空気が排出され、図の点線
で示したような旋回流が発生する。この旋回流は、仕切
板2を適切な位置に設けることで、効率良く発生させる
ことができる。
【0041】このような処理装置を用いて、各種の廃水
につき、処理を行った。以下その結果を図2〜図5に基
づいて説明する。先ず、図2、図3の処理説明図に基づ
いて説明する。図2には、各処理No毎に、仕込液と、
接種(あるいは植種)する液と、造粒までの日数が示し
てあり、図3にその経緯が示してある。
【0042】図2の仕込液は、有機性廃水(人工廃水)
に相当し、接種液(植種液)は種菌(微生物源)に相当
する。造粒までの日数は、微生物の自己凝集能によって
造粒(顆粒状の自己凝集微生物塊となった状態)される
までの日数を示す。
【0043】また、処理液5の温度は、処理中、20°
C一定に保っており、曝気槽1の容量は、処理No1が
500mlで、その他は2.4lとした。なお、図のG
はグルコース(glucose )、Gtはグルタミン酸ナトリ
ウム(glutamic acid Na)、ASは活性汚泥を示す。
【0044】:処理例1(処理No1)・・・図2、
図3参照 この処理では、仕込液の基質組成として、グルコース
(G)とグルタミン酸ナトリウム(Gt)を、G/Gt
=1/1の割合で用い、これにK、Na、N、P、M
g、Ca、Feを含む無機栄養源を少し入れ、水道水で
薄めたものを用いた。
【0045】また仕込液の生物学的酸素要求量(BO
D:Biological Oxygen Demand)は、2000g/m3
で、BOD5 容積負荷は10Kg/m3 /日である。更
に、接種液(種菌)は、A工場(製薬工場)の活性汚泥
を、遠心分離機で処理した上澄液を用いた。
【0046】処理時には、500ml容量の曝気槽1内
に、接種液80mlを入れ、これに仕込液を添加して処
理液5とした。この処理液5を20°Cに保ちながら、
送気パイプ4を介して空気を送り続け、旋回流を発生さ
せる。
【0047】このような状態でスタートし、7日目に
は、約0.5mmφ(直径約0.5mm)の白い粒体
(顆粒)が生じた。その後、11日目には、約2〜3m
mφ(直径約2〜3mm)の白い粒体に成長した。な
お、これらの粒体(顆粒)は、微生物の自己凝集能によ
ってできた微生物塊であり、外側は白いが、その内部は
黄色であった。
【0048】:処理例2(処理No2) この例では仕込液の基質組成はNo1と同じで、BOD
5 =1000g/m3、BOD5 容積負荷=4.5Kg
/m3 /日の仕込液を用いた。
【0049】接種液としては、A工場(製薬工場)の活
性汚泥を、濾紙で濾過した液を用いた。処理時には、
2.4l容量の曝気槽1内に、50mlの接種液を入
れ、これに仕込液を添加した。この処理液5を20°C
に保ちながら空気を送って旋回流を発生させスタートし
た。
【0050】スタート後、3日目で更に接種液を80m
l添加した。そして、7日目には小さな粒体(顆粒)が
生じ、13日目には、2mmφのピンク色の粒体(顆
粒)が生じたのを観測できた。なお、前記粒体は、表面
はピンク色であるが、中心部には黄色の芯があった。
【0051】:処理例3(処理No3) この例では、仕込液の基質組成として、グルコースと、
無機質のK、Na、N、P、Mg、Ca、Feを含む無
機塩を用い、これに水道水を加えた(グルタミン酸Na
は用いない)。
【0052】また、仕込液のBOD5 =300g/m3
で、BOD5 容積負荷=4.1Kg/m3 /日である。
スタート前、接種液として、A工場(製薬工場)の活性
汚泥の上澄液(活性汚泥菌体濃度約80ppm)で、曝
気槽1を満たした。
【0053】この場合にも、スタートしてから6日目に
小さな粒体(顆粒)が確認され、11日目には約2〜4
mmφの赤い粒体が生じた。なお、前記粒体は、表面は
赤いが、内部には黄色の芯があった。
【0054】:処理例4(処理No4) この例では、仕込液の基質組成は処理No1と同じもの
とし、BOD5 =100g/m3 、BOD5 容積負荷=
1.0Kg/m3 /日である。
【0055】また、接種液としては、A工場(製薬工
場)の活性汚泥の上澄液(活性汚泥菌体濃度約40pp
m)を用い、スタート前にこの液で曝気槽1を満たし
た。スタート後、7日目に約2〜4mmφの白い粒体
(内部は黄色)が生じた。
【0056】:処理例5(処理No5) この例では、仕込液の基質組成を処理No1と同じに
し、BOD5 =1400g/m3 、BOD5 容積負荷=
3.4Kg/m3 /日である。
【0057】また、接種液としては、B工場(醗酵工
場)の活性汚泥を静置し、その上澄液(活性汚泥菌体濃
度約5ppm)を用い、スタート前にこの液で曝気槽1
を満たした。
【0058】スタートしてから13日目に、約1〜3m
mφの白い粒体(内部は黄色)が生じた。 :処理例6(処理No6) この例では、仕込液の基質組成が処理No1と同じであ
り、BOD5 =1000〜2000g/m3 で、BOD
5 容積負荷=1.0〜4.0Kg/m3 /日と変化させ
た。
【0059】接種液としては、G/Gt及び無機塩でな
る人工廃水で数年馴致した活性汚泥処理液のろ液(ろ
紙:東洋ろ紙No2)を用いた。実験開始に当たり、先
ず、曝気槽1内に、この液を2.4l(2.4リット
ル)入れた。次に空気を送って旋回流を生じさせなが
ら、これにBOD5 約1000ppmの仕込液を、BO
5 容積負荷が約1.0Kg/m3 /日になるように連
続的に添加した。8〜9日目に仕込液の添加速度を倍に
上げ、BOD5 負荷を2Kg/m3 /日とした。次に9
日目には、仕込液BOD5 濃度を2000ppmに上
げ、添加速度をもとにもどした。10日目からは、仕込
液BOD5 濃度を2000ppmのままにし、添加速度
を倍に上げて、BOD5 負荷を4Kg/m 3 /日とし
た。以後この条件で処理を続けた。水温は20°Cに保
った。
【0060】この場合、スタートから9日目には約2〜
3mmφの白い粒体が少し生じた。その後13日目に
は、約3〜5mmφの白い粒体が槽一杯に増殖した。こ
の場合も、粒体芯部は黄色だった。
【0061】なお、処理液のpHは、約7.2で一定値
を保っていた。以上のように、各処理例において、スタ
ートから一週間程度で粒体(顆粒)が生じ造粒効果が確
認された。また、この造粒時には、同時に有機性廃水
(この例では人工廃水)の処理も行われていることが確
認された。
【0062】上記処理例の内、処理例6の経日の詳細な
データを図4、図5に示す。図4は、処理液5の温度を
20°Cに保って処理した場合の仕込液のBOD5〔g
/m3 〕、及びBOD5 の容積負荷〔Kg/m3 /日〕
と、処理液のpHのデータである。
【0063】図5は、処理液のBOD5 除去率(%)を
示している。処理を開始してから1日目後からBOD5
除去率が上昇し、9日目には、顆粒が生じてBOD5
去率が80%近くにも達している。
【0064】その後、BOD5 除去率は徐々に上昇し、
13日目頃には曝気槽1内が顆粒で一杯になった。そし
て、15日目頃には、BOD5 除去率が100%に達し
た。これにより、造粒できることと、廃水処理ができる
ことを十分確認できた。
【0065】§3:実施例2(菌体造粒の実施例)の説
明 実施例2は、菌体を造粒する際の実施例であり、以下、
具体的に説明する。図6〜図9は、実施例2(菌体造粒
の実施例)を示した図であり、図6は処理装置の説明
図、図7は曝気槽の詳細な構成図、図8は処理データ
(その1)、図9は処理データ(その2)である。図
中、図1と同符号は同一のものを示す。
【0066】実施例2では、図6、図7に示した処理装
置を用いて処理(実験)を行った。この処理装置は、曝
気槽を第1段と第2段の2つを用いた装置である。この
2つの曝気槽はほぼ同じ構造の曝気槽である。
【0067】各曝気槽1には、2つの仕切板2−1、2
−2と、ボールフィルタ3が設けてあり、ボールフィル
タ3には送気パイプ4が接続されている。また、曝気槽
1の一部には、オーバーフローした処理液5を排出する
ための排水口7が設けてあり、更に、第1段目の曝気槽
1の上方には、人工廃水等を供給するための給液パイプ
6が設けてある。
【0068】このような曝気槽の各部の寸法は、図7に
示してあり、この装置を用いて、処理を行った。この例
では、曝気槽の高さが490mm、幅が165mmで、
奥行きが45mmである。
【0069】また、仕切板2−1、2−2の高さは30
0mmで、その間隔は37mm、且つ曝気槽の底部から
40mmの位置に設置した。以下、実施例2の処理を詳
細に説明する。
【0070】この処理では、仕込液(人工廃水)の基質
組成として、1l(1リットル)中に、グルコース75
0mg、グルタミン酸ナトリウム750mg(G/Gt
=1/1)、無機塩(K2 HPO4 65mg、KH2
4 26mg、Na2 HPO 4 ・12H2 O134m
g、NH4 Cl5mg、MgSO4 ・7H2 O23m
g、CaCl2 28mg、FeCl3 ・6H2 O0.3
mg、(NH4 2 SO4200mg)、を入れ、残り
を水道水とした。
【0071】前記組成はスタート日から40日経過まで
とし、40日目以降からは、グルタミン酸ナトリウムを
除いて、1l中に、グルコース1500mgと、前記の
無機塩を入れ、残りを水道水として処理を行った。
【0072】処理のスタート時には、図6、図7に示し
た曝気槽の内、第1段目の曝気槽1のみを用い、途中か
ら第1段目の曝気槽の後に、第2段目の曝気槽を接続し
て処理を行った。
【0073】先ず、スタート時には、2.4l(2.4
リットル)容量の第1段目の曝気槽1内に、粉末活性炭
(菌を付着しやすくするもの)120mlを入れ、これ
に、A工場(製薬工場)の活性汚泥処理液の静置上澄液
を加え、2.4lとした。
【0074】そして、活性炭が十分流動する程度の通気
を行う中に、上記のグルコース、グルタミン酸ナトリウ
ム、及びNa、K、N、P、Mg、Fe、Caを含む無
機栄養源(上記の無機塩)に、水道水を加えて、調整し
た混合液を、滞留時間が約3時間になるような速度で添
加した。
【0075】この場合、送気パイプ4から空気を送り、
ボールフィルタ3から空気を出して、処理液5に、旋回
流を発生させると共に、処理液5は、15〜27°C
(室温)に保った。
【0076】経日と共に、徐々にBOD5 濃度を上げて
いき、途中(35日経過後)より、第2段目の曝気槽1
を接続し、2段の曝気槽による処理を行った。この場
合、1段目の曝気槽からオーバーフローした処理液5が
2段目の曝気槽に流れ込むようにしている。
【0077】また、溶存酸素濃度は、常に0.1ppm
以上(通常0.5ppm〜5ppm)となるように、通
気量を調整した。その結果、図8、図9に示したような
データを得た。即ち、約1ヵ月後には、約7〜8mmφ
の白色の顆粒菌体(粒体)が曝気槽一杯に増殖した。
【0078】40日目からは、仕込液の内、グルタミン
酸ナトリウムを除いたところ、pHは著しく低下した。
また、初期段階のみ、1段目の曝気槽のBOD5 除去率
は若干低下したが、2段目の曝気槽では、常に80%以
上の除去率が得られた。
【0079】1段目の曝気槽のpHは、スタート日から
48日目までは、7.3〜7.5であり、49日目から
急激に低下し始め、53日目には、約3.5となった。
以後、94日目までpHは3.0〜3.6の範囲で変動
した。
【0080】図8、図9のデータから明らかなように、
この例でも十分な造粒が行われていることを確認でき
た。また、この造粒時には廃水の処理も同時に行われて
おり、1段目及び2段目のBOD5 除去率は極めて高率
を維持している。
【0081】即ち、効率の良い造粒作用と、廃水の処理
とが同時に行われていることが十分確認できた。 §4:実施例3(菌体造粒の実施例)の説明 実施例3は、菌体を造粒する際の実施例であり、以下、
具体的に説明する。図10は、実施例3(菌体造粒の実
施例)の処理データを示した図である。
【0082】実施例3では、実施例2(菌体造粒の実施
例)の処理によって出来た顆粒状菌体5mlを取り(6
8日目の1段目の曝気槽から取る)、これを図6に示し
た曝気槽と同じ構造の曝気槽(容量2.4l)に入れて
処理を行ったものである。
【0083】この場合、グルコースと、第2実施例で用
いた無機塩で作った人工廃水を用い、滞留時間約3時間
の速さで添加し、その増殖の状況を観察した。この場
合、溶存酸素は3ppm前後に保った。その結果、図1
0に示したように、顆粒状菌体のpHは約7.5だった
が、経日と共に低下し、曝気開始3日目には、約3近く
にまで下がって一定となった。
【0084】顆粒は徐々に増加し、4日目には2〜3m
mφの顆粒が多数発生した。この例のように、一度出来
た粒体(顆粒)を用いて処理を行うと、造粒作用と廃水
の処理の効率が、極めて短時間で高効率に達する。即
ち、造粒と廃水の処理が、高速且つ高効率でできること
が確認できた。
【0085】§5:実施例4(菌体造粒の実施例)の説
明 実施例4は、菌体を造粒する際の実施例であり、以下、
具体的に説明する。実施例4では、実施例2(菌体造粒
の実施例)の処理によって出来た、顆粒状菌体50ml
をとり(43日目の1段目の曝気槽)、これを図1の仕
切板を除いた形のアクリル製の実容積500mlの曝気
槽へ入れた。
【0086】これにN、P等菌体生育に必要な無機塩を
含むBOD5 として約3000ppmのグルコース水溶
液500mlを加え、1分間に約500mlの空気を送
り、曝気攪拌を行った。22時間後、通気を止め10分
間静置後、上澄液を除き、再度、トータル液量が500
mlになるように、上記と同じ仕込液を加え、以後上記
同様22時間曝気攪拌した(バッチ処理)。
【0087】この操作を5日間繰り返したところ、粒状
菌体は曝気槽の約半分にまで増殖した。この時の処理液
のpHは約3だった。引き続き、グルコースとグルタミ
ン酸ナトリウム各々1:1の割合で水にとかした高濃度
の液を作り、これをBOD5が約3000ppmになる
ように先の曝気槽に添加した。
【0088】更に、N、P等、菌体の生育に必要な無機
塩を添加した後、苛性ソーダー及び硫酸でpHを約7.
0に調整して上記同様、22時間、曝気攪拌し、通気停
止して10分間静置し、上澄液を除いた後、同様な操作
を繰り返した。5日目のBOD5 除去率は約95%で、
その時の処理液のpHは8.8だった。
【0089】次に、実験開始より12日目から仕込液の
pHを苛性ソーダーでpH10にして、以後、同様の操
作を行った。17日目の処理液のpHは9.5だった。
BOD5 除去率は90%。
【0090】更に続いて、NaOHの替わりに仕込液に
粉末Na2 CO3 5gを添加し、以後、同様の操作を行
った。この時の処理液槽のpHは10.75−9.8の
間にあった。粒状菌体は少しずつピンクに色づき形も徐
々に球形から扁平形に変わっていった。27日目のBO
5 の除去率は約90%、菌体の沈降性は非常に良好
で、上澄液は澄明だった。
【0091】§6:実施例5(菌体保存、及び保存菌体
による廃水処理の実施例)の説明 実施例5は、前記実施例1(:処理例6、及び図2、
図3の処理No6参照)において造粒した粒状菌体を用
いて菌体の保存を行い、かつ、保存菌体により廃水処理
を行なった実施例であり、以下、具体的に説明する。
【0092】前記実施例1(:処理例6、及び図2、
図3の処理No6参照)で得られた造粒菌体(白色、粒
状)を2本の遠沈管に、それぞれ50mlづつ採取し、
1700×g(g:重力)で10分間遠心分離後、上層
液を捨て下層の菌体に水を加えて50mlとした。
【0093】これをスパーテルで軽く掻き回して、底部
の菌体をほぐし、よく水を交ぜ合わせた後、再び170
0×gで10分間遠心分離した。上層液を捨て十分水気
を切った後、遠沈管のままメタノールにドライアイスを
入れた液中に漬け、凍結させた。
【0094】次に、凍結した粒状菌の入った遠沈管のま
ま真空乾燥機に入れ、約20°C、真空度約1mmHg
で2日間乾燥した。この凍結菌体の重量はいずれも約1
gだった。2本の内、1本はシリカゲルデシケータに入
れ、8か月間この中で保存した。
【0095】他の1本の方は、凍結菌体を500mlの
アクリル製の曝気槽に入れ、これにN、P等菌体の生育
に必要な無機塩を含むBOD5 として、約4000pp
mのグルコースと、グルタミン酸ナトリウムを1対1の
割合で加えた混合水を約500ml加え、1分間に約5
00mlの空気を送って曝気攪拌を行った。
【0096】22時間後通気を止め、10分間静置後処
理水を除き、再度全液量が500mlになるように、前
記と同じ仕込み水を加え、前記と同様に、22時間曝気
攪拌した(バッチ処理)。この操作を5日間繰り返し
た。
【0097】曝気1日目の処理水を顕鏡すると、多数の
菌体が生息しているのが観察された。曝気初日は発泡
し、液は白く濁った。発泡は日に日に減少し、液の澄明
度も日が経つにつれ増してきた。粒状菌体も徐々に増殖
し、15日目には曝気槽一杯になった。
【0098】15日目の22時間曝気でのBOD5 除去
率は約95%で、液は澄明、処理水のpHは8.5だっ
た。次に、8か月間デシケータ中に保存していた凍結菌
体について、前記と同様に実験を行った。
【0099】初日は曝気と共に、激しく発泡し菌体の半
分近くが上に浮いた。液は白濁した。処理水を顕鏡する
と、多数の菌体が生息しているのが観察された。発泡は
日に日に減少し、粒状菌体も増殖した。曝気開始後15
日目には、粒状菌体は曝気槽の約8割を占めた。
【0100】25日目の22時間曝気でのBOD5 除去
率は約95%で、液は澄明、処理水のpHは約8.3で
あった。 §7:実施例6(菌体保存、及び保存菌体による廃水処
理の実施例)の説明 実施例6は、前記実施例1(:処理例6、及び図2、
図3の処理No6参照)において造粒した粒状菌体を用
いて、菌体の保存を行い、かつ、保存菌体により廃水処
理を行なった実施例であり、以下、具体的に説明する。
【0101】前記実施例1(:処理例6、及び図2、
図3の処理No6参照)で得られた粒状菌体(白色、粒
状)を、2本の遠沈管にそれぞれ50mlづつ採取し、
1700×gで10分間遠心分離後、上層液を捨て下層
の菌体に水を加えて50mlとした。
【0102】これをスパーテルで軽く掻き回して底部の
菌体をほぐした後、再び1700×gで10分間遠心分
離し、上層液を捨て十分水気を切った後、遠沈管のまま
メタノールにドライアイスを入れた中に漬け凍結させ
た。
【0103】次に、凍結した粒状菌体の入った遠沈管の
まま真空乾燥器に入れ、常温、真空度約1mmHgで2
日間乾燥した。この凍結菌体の重量はいずれも約0.8
gだった。
【0104】2本の内、1本はシリカゲルデシケータに
入れ、8か月間この中で保存した。他の1本の方は、凍
結菌体を500mlのアクリル製の曝気槽に入れ、これ
にN、P等の菌体の生育に必要な無機塩を含むBOD5
として、約4000ppmのグルコース、蔗糖、及びグ
ルタミン酸ナトリウムを等量づつ混ぜた混合液を加え、
1分間に約500mlの空気を送って曝気攪拌を行っ
た。
【0105】2時間後通気を止め、10分間静置後処理
水を除き、再度全液量が500mlになるように、前記
と同じ仕込み液を加え、以後前記同様、22時間曝気攪
拌した(バッチ処理)。
【0106】この操作を5日間繰り返した。曝気1日目
の処理水を顕鏡すると、多数の菌体が生息しているのが
観察された。曝気初日は発泡し、液は白く濁り、淡黄緑
色の蛍光を帯びていた。発泡は日に日に減少し、液の澄
明度も増した。粒状菌体は徐々に増加した。
【0107】6日目から仕込み水中のグルコースを除
き、蔗糖とグルタミン酸ナトリウムの等量混合液に切り
替え、BOD5 濃度は約4000ppmとした。なお、
無機物の濃度は変更しなかった。
【0108】6日目以降粒状菌体は日に日に増加し、実
験開始後15日目には曝気槽一杯になった。この時の2
2時間でのBOD5 除去率は約95%で、液は澄明、処
理水のpHは9だつた。
【0109】次に、8か月間デシケータ中に保存してい
た凍結菌体について、前記と同様に実験を行った。そし
て、初日は、曝気と共に激しく発泡し菌体の半分近くが
浮上した。液は白く濁り、黄緑色の蛍光を帯びていた。
処理水を顕鏡すると、多数の菌体が生息しているのが観
察された。
【0110】発泡は5日間続いたが、徐々に減少した。
菌体も日に日に増殖し、5日目には曝気槽の約1/5量
になった。6日目以降も粒状菌体は日に日に増加し、実
験開始後15日目には、曝気槽の7割近くを占め、22
時間でのBOD5 除去率も約95%で、菌体の沈降性は
良好、処理水は澄明だった。なお、処理水のpHは9だ
った。
【0111】§8:実施例7(菌体保存、及び保存菌体
による廃水処理の実施例)の説明 実施例7は、前記実施例4において造粒した粒状菌体を
用いて菌体の保存を行い、かつ、保存菌体により廃水処
理を行なった実施例であり、以下、具体的に説明する。
【0112】実施例4の処理により、pH約10に馴化
した粒状菌体(ピンク色、偏平形)を2本の遠沈管にそ
れぞれ50mlづつ採取し、1700×gで10分間遠
心分離後、上層液を捨て下層の菌体に水を加え、全量を
50mlとした。
【0113】これをスパーテルで軽く回し、底部の菌体
を十分水と交ぜ合わせた後、再び1700×gで10分
間遠心分離後、上層液を捨て十分水気を切った後、遠沈
管のままメタノールにドライアイスを入れた液に漬け、
凍結させた。
【0114】次に、凍結した粒状菌体の入った遠沈管の
まま真空乾燥器に入れ、約20°C、真空度1mmHg
で2日間乾燥した。この凍結菌体の重量はいずれも約
1.7gだった。2本の内、1本はシリカゲルデシケー
タに入れ、8か月間この中で保存した。
【0115】他の1本は、凍結菌体を500mlのアク
リル製の曝気槽に入れ、これにN、P等菌体の生育に必
要な無機塩を含むBOD5 として、約4000ppmの
グルコースとグルタミン酸ナトリウムを等量混合した混
合水を加え、更に、炭酸ナトリウム150mgを加え
て、1分間に約500mlの空気を送って曝気攪拌を行
った。
【0116】22時間後通気を止め、10分間静置後、
処理水を除き、再度全液量が500mlになるように、
前記と同じ仕込み液及び炭酸ナトリウムを加え、以後、
前記同様、22時間曝気攪拌した(バッチ処理)。
【0117】この操作を5日間繰り返した。初日は発泡
が激しく液は白濁したが、顕鏡すると、多数の菌体の生
息が観察された。発泡は徐々に減少し、5日目には曝気
開始時のみ発泡し、その後は殆ど発泡がなくなった。
【0118】粒状菌体は日に日に増殖し、5日間で曝気
槽の1/3量にまで増殖した。6日目から炭酸ナトリウ
ムの添加量を150mgから3gに増加した。15日目
の22時間曝気でのBOD5 除去率は約90%だった。
【0119】粒状菌体は曝気槽の略8割を占め、菌体の
沈降性は良好で処理水は澄明だった。また、処理水のp
Hは10だった。次に、8か月間デシケータ中に保存し
ていた凍結菌体について、前記と同様の実験を行った。
初日は発泡が激しく、粒状菌体の半分近くが液面に浮
き、液は白濁した。しかし、処理水を顕鏡したところ、
多数の菌体が生息していることが確認された。
【0120】発泡は、5日間続いたが徐々に減少した。
粒状菌体も日に日に増殖した。6日目から炭酸ナトリウ
ムの添加を150mgから3gに変えたが、曝気開始時
のみは激しく発泡したものの、経時と共に発泡はおさま
った。
【0121】15日目の22時間曝気でのBOD5 除去
率は、約90%で、粒状菌体も曝気槽の7割を占め、菌
体の沈降性は良く処理水も澄明だった。 (他の実施例)以上実施例について説明したが、本発明
は次のようにしても実施可能である。
【0122】(1) :接種液(植種液)としては、上記A
工場(製薬工場)、B工場(醗酵工場)の活性汚泥から
取り出した液(上澄液)に限らず、他のどのような活性
汚泥から取り出した液でも処理可能である(ただし、微
生物が存在する液に限る)。
【0123】(2) :種菌を接種することなく、有機性廃
水(微生物の存在する廃水)のみを曝気槽に入れ、これ
に直接空気を吹き込んで旋回流を与えるだけでも、粒状
菌体の造粒、及び廃水の処理を行うことは可能である。
【0124】ただし、この場合は、種菌を接種した場合
よりも処理速度は遅くなる。 (3) :処理装置としては、従来から使用されている片側
旋回流、両側旋回流、又は全面曝気方式の活性汚泥処理
装置等がそのまま使用可能である。
【0125】(4) :造粒菌体を保存する場合、前記実施
例の「凍結乾燥保存」に限らず、「凍結保存」、「真空
乾燥保存」など、他の保存手段を使用しても同様に実施
可能である。
【0126】前記「凍結保存」は、造粒菌体を乾燥させ
ることなく、そのまま凍結させて保存するものである。
また、「真空乾燥保存」は、造粒菌体を真空下で乾燥さ
せて保存するものである。なお、これらの保存手段、及
び保存方法は、従来から使用されているので詳細な説明
は省略する。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
の効果がある。 (1) :コストのかかる特別な装置を用いなくても、有機
性廃水の好気的処理を行って、造粒及び廃水の処理が簡
単にできる。
【0128】(2) :純酸素や酸素富化ガス等を使用しな
くて済むので、処理装置が簡単で安価なだけでなく、運
用コストも低減できる。 (3) :従来のようなプラスチック等の担体や、包括のた
めの固定化剤を使用することなく、沈降性の良い粒状菌
体を作ることができる。従って、処理コストが安価にな
る。
【0129】(4) :一度出来た顆粒状の菌体を用いて、
有機性廃水の処理を行えば、処理速度が速くなり、極め
て効率の良い処理が可能となる。また、この場合、槽内
pHを塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸あるいは炭酸ナト
リウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ物質で徐々
にpHを変化させ廃水のpHに馴致させれば、pH2.
5−pH11までの液性の廃水をpH調整することなく
処理することが可能となる。
【0130】(5) :活性汚泥処理と異なり、返送汚泥が
不要なため、その分管理が容易である。 (6) :BOD(生物学的酸素要求量)負荷を高くとれる
ので、曝気槽の敷地面積は、従来の活性汚泥処理装置の
場合と比べて大幅に縮小することができる。従って、都
市部等、敷地の入手の困難な所での利用には有用であ
る。
【0131】(7) :菌体が顆粒状の上、沈降性が良好な
ので、廃水処理液から自己造粒菌体を分離するのは容易
である。従って、従来例に比べて、分離装置が小型化可
能である。
【0132】(8) :本発明の菌体は、pH2.5〜11
の範囲の廃液に適用可能であるため、従来例に比べて、
その適用範囲は大幅に広がる。 (9) :造粒した粒状菌体は、凍結乾燥等により保存菌体
とする。従って、固形物として菌体を取り扱うことがで
きるので、移送が容易になる。また、新しい廃水処理装
置のスタートアップ、或いは既に運転中で、菌体が不足
した場合の補給が短期間で可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の処理装置説明図である。
【図2】実施例1の処理説明図(その1)である。
【図3】実施例1の処理説明図(その2)である。
【図4】実施例1の処理データ(その1)である。
【図5】実施例1の処理データ(その2)である。
【図6】実施例2の処理装置の説明図である。
【図7】実施例2の曝気槽の詳細な構成図である。
【図8】実施例2の処理データ(その1)である。
【図9】実施例2の処理データ(その2)である。
【図10】実施例3の処理データである。
【符号の説明】
1 曝気槽 2、2−1、2−2 仕切板 3 ボールフィルタ 4 送気パイプ 5 処理液 6 給液パイプ 7 排水口

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性廃水に、直接空気を吹き込み、且
    つ旋回流を与えることにより造粒した粒状菌体を、保存
    して保存菌体としたことを特徴とする廃水処理用保存菌
    体。
  2. 【請求項2】 前記粒状菌体の保存が、凍結乾燥による
    保存であることを特徴とした請求項1記載の廃水処理用
    保存菌体。
  3. 【請求項3】 有機性廃水に、直接空気を吹き込み、且
    つ旋回流を与えることにより造粒した粒状菌体を、保存
    して保存菌体とし、 この保存菌体を用いて有機性廃水の処理を行うことを特
    徴とした保存菌体による廃水処理方法。
JP5214022A 1993-08-30 1993-08-30 廃水処理用保存菌体、及び保存菌体による廃水処理方法 Pending JPH0760276A (ja)

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