JPH075925A - 微動位置決め制御装置 - Google Patents

微動位置決め制御装置

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JPH075925A
JPH075925A JP17094493A JP17094493A JPH075925A JP H075925 A JPH075925 A JP H075925A JP 17094493 A JP17094493 A JP 17094493A JP 17094493 A JP17094493 A JP 17094493A JP H075925 A JPH075925 A JP H075925A
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position sensor
actuator
matrix
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JP17094493A
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Inventor
Shinji Wakui
伸二 涌井
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Canon Inc
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Control Of Position Or Direction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 位置センサとアクチュエータについてのコロ
ケーションの条件を満たすことができないことによる不
都合を解消する。 【構成】 位置決めされる物体1と、少なくともその位
置決めを制御する運動自由度分のアクチュエータ2M,
2R,2Lと、少なくともこの運動自由度分の剛物体の
位置を検出する位置センサ3M,3R,3Lとを備え、
前記位置センサのそれぞれの出力に基くフィードバック
信号をフィードバックして前記アクチュエータを駆動す
る閉ループのフィードバック装置を備えた微動位置決め
制御装置において、フィードバック装置は、前記剛物体
の慣性主軸に関する変位ベクトルから前記位置センサに
よる計測点までの変換行列の逆行列を、前記変位ベクト
ルから前記アクチュエータによる駆動点までの変換行列
の右側に掛けた補正演算行列を求めて出力する演算手段
9を前記位置センサの出力側に備え、この演算手段の出
力を前記フィードバック信号eM ,eR ,eL とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電素子(ピエゾ)あ
るいは電歪素子をアクチュエータとしたサブミクロンオ
ーダの位置決め装置に係り、特に、位置センサとアクチ
ュエータとを等価的に同じ場所に配置して制御性を良好
にした微動位置決め制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、精密加工、組立、調整などにおけ
る微小位置決めに対しては、サブミクロンオーダの位置
決め精度が要求される。特に、微細パターンの露光を目
的とした超精密位置決めステージにおいては高い駆動分
解能と周波数応答の広帯域化を実現すべく、アクチュエ
ータとして圧電素子(ピエゾ)や電歪素子が多用され
る。一例として、鉛直方向1自由度と水平面内の傾きの
2自由度を位置決め制御する微動位置決め制御装置の構
成を図2に示す。
【0003】同図において、1は位置決めする平板状の
基板、2M,2R,2Lは鉛直方向に変位を発生するア
クチュエータであり、圧電素子を駆動素子として変位拡
大機構も含まれる。さらに、印加電圧によって変位を発
生する圧電素子とともに、その駆動位置近傍には基板1
のz軸方向の変位を計測する位置センサ3M,3R,3
Lがあり、これらをもって微動位置決め機構と呼ばれ
る。
【0004】さて、位置センサ3M,3R,3Lによっ
て計測される基板1の鉛直z軸方向の変位は、変位増幅
器4M,4R,4Lによって電気信号に変換する。その
電気信号は、指令電圧入力端子5M,5R,5Lに加え
られる指令電圧と比較されて偏差信号eM ,eR ,eL
となる。この偏差信号は所定の感度を得るために前置増
幅器6M,6R,6Lに導かれ、制御ループの安定化
と、指令電圧に対する偏差信号零への仕様を満たすため
の補償器7M,7R,7Lに導かれる。この補償器の出
力をもって電力増幅器8M,8R,8Lを励磁し、アク
チュエータ2M,2R,2Lの上下動で基板1を上下方
向に並進移動させたり、あるいはz軸に対して傾かせる
駆動を行なう。これらの閉ループはフィードバック装置
と呼ぶことにする。
【0005】なお、上述の説明において、電力増幅器8
M,8R,8Lが電圧入力に対して電圧を出力するタイ
プの場合、補償器7M,7R,7Lは一般的に積分器を
含むもの、例えばPI補償器となる。ここで、Pは比
例、Iは積分動作をそれぞれ意味する。また、電力増幅
器8M,8R,8Lが電圧入力に対して電流を出力する
タイプの場合、補償器7M,7R,7Lには単にP動作
の機能を持たせればよい。なぜならば、アクチュエータ
2M,2R,2Lの構成素子である圧電素子は、電気的
にコンデンサであり、電力増幅器8M,8R,8Lとそ
れらが駆動する各圧電素子とを含めた伝達関数には積分
器が含まれるので、いわゆる制御ループは1型となり、
制御理論の教えるところによれば、定常偏差零が自動的
に保証される。
【0006】なお、微動位置決め機構やその制御に関連
する公知の文献としては以下のものがある。
【0007】谷口ほか:6自由度微動機構による超精密
ウエハ位置決め、精密工学会誌,56,6(1990) 古川ほか:リンク機構を利用した圧電駆動機構のための
拡大機構とその応用、精密工学会誌,57,8(199
1) 辺見ほか:6自由度微動機構の研究(第2報−制御特性
−) 精密工学会誌,58,6(1992) 富田ほか:パラレルリンク式微動ステージの非干渉化設
計 精密工学会誌,57,6(1991) 富田ほか:パラレルリンク式微動ステージの6自由度位
置決め制御 精密工学会誌,58,4(1992) なお、本発明は前記アクチュエータ2M,2R,2Lと
位置センサ3M,3R,3Lの配置が制御性に及ぼす影
響に関するが、上記文献の何れにおいてもこの問題は扱
われていない。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】微動位置決め制御
装置の性能は位置決め時間と位置精度で規定されるが、
これらの仕様は年々きびしくなっている。従って、性能
改善要求に対して迅速に制御系の調整ができなければな
らない。しかも、この調整は安定に行なえる必要があ
る。例えば、前置増幅器6M,6R,6Lのゲインを調
整したとき、ステップ入力に対する応答波形にオーバシ
ュートやアンダシュートが容易に発生しては困るのであ
る。
【0009】さて、基板1が与えられたとき、その周辺
に有限な寸法を有するアクチュエータ2M,2R,2L
と位置センサ3M,3R,3Lとを有するので、アクチ
ュエータと位置センサの配置関係は微妙にずれる。その
ような機構に対して各々独立のフィードバック装置を組
み込んだときの制御特性の調整は、駆動点と位置計測点
の不一致が原因して容易ではない。なんとなれば、アク
チュエータ2M,2R,2Lの駆動点にそれぞれの位置
センサ3M,3R,3Lを配置する、というコロケーシ
ョンの条件が満たされていないからである。制御理論の
教えるところによれば、安定な零点を有するシステムは
制御しやすく、この意味で位置センサとアクチュエータ
を同一位置に配置すること、すなわちコロケーションは
都合のよい零点配置を与えることが知られている。しか
し、微動位置決め機構全体の大きさとコストに対して制
約が課された場合には、有限寸法の位置センサとアクチ
ュエータを同一位置に配置すること、すなわちコロケー
ションの条件を満たすことは不可能である。
【0010】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点に鑑み、微動位置決め制御装置において、位置セン
サとアクチュエータについてのコロケーションの条件を
満たすことができないことによる不都合を解消すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明では、位置決めされる物体と、少なくともその位
置決めを制御する運動自由度分のアクチュエータと、少
なくともこの運動自由度分の前記剛物体の位置を検出す
る位置センサとを備え、前記位置センサのそれぞれの出
力に基くフィードバック信号をフィードバックして前記
アクチュエータを駆動する閉ループのフィードバック装
置を備えた微動位置決め制御装置において、フィードバ
ック装置は、前記剛物体の慣性主軸に関する変位ベクト
ルから前記位置センサによる計測点までの変換行列の逆
行列を、前記変位ベクトルから前記アクチュエータによ
る駆動点までの変換行列の右側に掛けた補正演算行列を
求めて出力する演算手段を前記位置センサの出力側に備
え、この演算手段の出力を前記フィードバック信号とす
るものであることを特徴としている。
【0012】
【作用】一般に、微動位置決め機構全体の寸法とそのコ
ストに制約が課された場合、アクチュエータと同一場所
に位置センサを配置することはできない。同一位置に配
置できないとき、微動位置決め機構を制御対象とした伝
達関数行列の中のある要素には不安定な零点が発生す
る。しかし、例えば図2の従来例における平板状の基板
1に対するアクチュエータ2M,2R,2Lと位置セン
サ3M,3R,3Lの配置は確定的であることに注意し
て、3箇所の位置センサ3M,3R,3Lの出力に対し
て補正行列演算を施すと、位置センサ3M,3R,3L
があたかもアクチュエータ2M,2R,2Lと同じ位置
に配置したとみなすことができ、不安定な零点の発生が
回避される。ここで、確定的であるとは、図3を参照し
て、アクチュエータ2M,2R,2Lを配置する同心円
の半径ld や位置センサ3M,3R,3Lを配置する同
心円の半径lS の寸法公差、およびアクチュエータの配
置角度θd や位置センサの配置角度θS の角度公差は極
めて小さく、相互の配置関係が厳密であることを意味す
る。
【0013】従って、位置センサの出力信号を入力とし
た補正行列演算をフィードバック装置の中に挿入する
と、等価的には、位置センサをアクチュエータと同一場
所に配置した微動位置決め機構に対してフィードバック
装置が組まれたことになる。
【0014】
【実施例】図1は、本発明のに係る微動位置決め制御装
置の一実施例を示すブロック図である。同図に示すよう
に、この装置は、並進1自由度と回転2自由度において
位置決めされる平板状の基板1と、基板1の駆動用で慣
性主軸を中心とした同心円上に配置される3個のアクチ
ュエータ2M,2R,2Lと、これら各アクチュエータ
の近傍で、かつ前記慣性主軸を中心とする同心円上に配
置されて基板1の変位を計測する3個の位置センサ3
M,3R,3Lと、これら位置センサの各出力に基くフ
ィードバック信号を指令電圧5M,5R,5Lと比較し
て偏差信号eM,eR ,eL を得、前置増幅器6M,6
R,6Lと補償器7M,7R,7Lを介して電力増幅器
8M,8R,8Lを励磁してアクチュエータ2M,2
R,2Lを駆動するフィードバック装置とを備えた微動
位置決め制御装置において、フィードバック装置は、基
板1の慣性主軸に関する変位ベクトルから位置センサ3
M,3R,3Lによる計測点までの変換行列の逆行列
を、前記慣性主軸に関する前記変位ベクトルからアクチ
ュエータ2M,2R,2Lによる駆動点までの変換行列
の右側に掛けた補正演算行列を求めて出力する補正演算
行列演算手段9を位置センサ3M,3R,3Lの出力側
に備え、この演算手段9の出力をフィードバック信号Z
SM(CO),ZSR(CO),ZSL(CO)とするものであることを特
徴とする。
【0015】まず、この構成における微動位置決め機構
の運動方程式を導出する。そこで、基板1を上面から図
示した場合の座標を図3に示す。同図に示すように、ア
クチュエータ2M,2R,2Lおよび位置センサ3M,
3R,3Lは、それぞれ図中に記入した座標に配置され
る。また、座標中心と機構の慣性中心は一致しているも
のとし、図示のように(x,y,z)座標を定める。こ
のとき、ラグランジュの方程式を解いて運動方程式は次
の数1式のようになる。
【0016】
【数1】 ただし、使用した記号の意味は以下のとおりである。
【0017】 X=[z, θxy]T :慣性主軸の変位ベクトル Z[m]:基板1の慣性主軸のz軸変位 θx[rad]:基板1のx軸回りの回転角度 θy[rad]:基板1のy軸回りの回転角度 M=diag(m,Jx,Jy) :慣性行列 m[kg]:基板1の質量 Jx[kgm2]:基板1のx軸回りの慣性モーメント Jy[kgm2]:基板1のy軸回りの慣性モーメント k[N/m]:アクチュエータ2M,2R,2Lのバネ定数 d[Nsec/m] :アクチュエータ2M,2R,2Lの粘性摩
擦係数 A=diag(aM,aR,aL)[m/V] :アクチュエータ2M,2R,
2Lの電圧変位変換係数 U=[uM,uR,uL]T[V]:アクチュエータ2M,2R,2Lへ
の印加電圧ベクトル θd[rad]:アクチュエータの配置角度 θx[rad]:位置センサの配置角度 ld[m]:半径 lx[m]:半径 上付添字T:転置行列 (`):時間微分 s:ラプラス演算子 Jxd :数2式で表される、アクチュエータ駆動変位[z
dM,zdR,zdLT から慣性主軸に関する変位ベクトルXまでの変換行列
【0018】
【数2】 D:数3式で表される減衰係数行列
【0019】
【数3】 K:数4式で表される剛性係数行列
【0020】
【数4】 ここで、位置センサ3M,3R,3Lの部位での変位量
[zM ,zR ,zLT は、次の数5式の変換行列Jsx
の右側に慣性主軸の変位ベクトルx=[z,θx ,θ
yT を掛けることによって求められる。
【0021】
【数5】 位置センサをアクチュエータと同一場所に配置したと
き、すなわちコロケーションの場合には、上式において
θs →0、ls →ld とおけばよい。このときのJsx
sx(co)とおけば次の数6式を得る。
【0022】
【数6】 従って、位置センサ3M,3R,3Lの各出力に対して
次の数7式の補正行列演算を施すと、その出力はあたか
も位置センサ3M,3R,3Lがアクチュエータ2M,
2R,2Lの場所に配置され、その部位のz軸方向の変
位を計測したようになる。
【0023】
【数7】 さて、具体的に数7式の要素は数5式の逆行列を計算し
て、それを数6式の右側に掛けることによって数8式の
ように求められる。
【0024】
【数8】 ここで、具体的な数値を入れて数8式を計算すると数9
式を得る。
【0025】
【数9】 図1に示したように、数8式の補正行列演算手段9は変
位増幅器4M,4R,4Lの出力側に挿入される。フィ
ードバック装置はまた、補正行列演算手段9の出力信号
[zSM(CO),zSR(CO),zSL(CO)]Tと指令電圧入力端子5M,
5R,5Lに入力する指令電圧とを比較するように構成
される。
【0026】ここで、補正行列演算9の機能を説明して
おこう。出力信号[zSM(CO),zSR(CO),zSL(CO)]Tは数10
式のように表現できる。
【0027】
【数10】 位置センサ3M,3R,3Lは、対応するそれぞれのア
クチュエータ2M,2R,2Lのごく近傍に配置されて
いる。故に、数9式は対角優勢行列となる。数9式の非
対角項の値は、位置センサ3M,3R,3Lがアクチュ
エータ2M,2R,2Lと同じ場所に配置されているよ
うに見せるための補正項である。
【0028】例えば、zSM(CO)について数10式を展開
したときには数11式となる。
【0029】
【数11】 位置センサ3Mはアクチュエータ2Mと近接しているの
で、アクチュエータ2Mの部位における変位量はほとん
ど位置センサ3Mの計測値で表現できるが、第2項と第
3項は各々位置センサ3R,3Lの計測値を使って位置
センサ3Mがアクチュエータ2Mの場所からずれている
ことによる誤差を修正している。もって、演算出力z
SM(CO)は位置センサ3Mがあたかもアクチュエータ2M
の場所に存在して基板1の変位量を計測しているかの値
となる。他の演算出力zSR(CO),z SL(CO)も同様であ
る。
【0030】従って、図1の本発明に係る微動位置決め
制御装置によれば、変位増幅器4M,4R,4Lの出力
に補正行列演算を施したときの出力信号は、位置センサ
3M,3R,3Lをアクチュエータ2M,2R,2Lと
同じ場所に配置して変位増幅器4M,4R,4Lを通し
た出力と等価になる。もって、位置センサ3M,3R,
3Lとアクチュエータ2M,2R,2Lとを同一場所に
配置して、フィードバック装置を構成することが可能と
なる。この場合には、制御性を損なう不安定な零点は発
生しない。
【0031】なお、圧電素子への印加電圧ベクトルUか
ら位置センサ3M,3R,3Lの部位における変位量X
S =[zM ,zR ,zLT までの関係は次の数12式
で表現できる。
【0032】
【数12】 UからXs までの伝達関数行列をGとおいて、各要素を
次の13式のように定義する。
【0033】
【数13】 この場合、G12,G31,G32の要素に不安定零点が出現
することは容易に確認できる。したがって、位置センサ
3M,3R,3Lに対する変位増幅器4M,4R,4L
の出力をそのままフィードバックしている図2の従来の
微動位置決め制御装置においては、不安定な零点を有す
る微動位置決め機構に対してフィードバック装置が構成
されるので、閉ループ系の調整において制御性が悪いと
いう問題がある。一方、図1の装置の場合には不安定な
零点が発生しないので、制御性は良くなる。
【0034】なお、微動位置決め機構に限らず、宇宙構
造物の制御においてもアクチュエータと位置センサの配
置は重要な課題である。コロケーションの条件で入出力
数が等しいとき、すべての零点が安定(実数が負)にな
ることが知られている。したがって、図2の場合には、
アクチュエータ2M,2R,2Lと位置センサ3M,3
R,3Lが同一位置に配置されてはいないので、すべて
の零点は安定なものとはならないのである。
【0035】さて、フィードバック装置内に補正行列演
算手段9を挿入した図1の微動位置決め制御装置と図2
に示す従来の微動位置決め制御装置の性能を比較するこ
とによって本発明の有効性を示そう。図4は、前置増幅
器6M,6R,6Lのゲインを等しくして順次増加する
ことによりループゲインを上げたときの、ステップ入力
に対する偏差信号eM の様子を図1と図2の微動位置決
め制御装置間で比較したものである。図4(b)に示す
図1の装置の場合、不安定な零点の発生を補正行列演算
手段9のフィードバック装置内への挿入によって回避し
ているのでループゲインの増加に対する応答の振幅は図
4(a)の図2の場合に比較して抑えられている。
【0036】図5は指令電圧入力端子5Mにステップ電
圧を印加したときの偏差信号eR の収束の様子を図1と
図2の微動位置決め制御装置間で比較したものである。
補正行列演算手段9を挿入した図1の場合の偏差信号e
R はグランドに対して対称な応答波形になるが、図2の
装置の場合はグランドに対して偏りがある応答波形とな
る。微妙な差異であるが、零への偏差信号eR の収束は
図1の装置の方が良好である。
【0037】なお、図1の実施例はアナログ演算回路で
制御系を構成しているが、この内の一部もしくは全部を
電子計算機のようなディジタル演算装置で置き換えても
かまわない。
【0038】また、上述実施例では、3つのアクチュエ
ータ2M,2R,2Lが同一平面内に設けられ、それら
の鉛直z軸方向の変位により並進1自由度と回転2自由
度の計3自由度を制御する微動位置決め機構を対象にし
ている。しかし、本発明はこのような3自由度の微動位
置決め機構に限定されるものではなく、より自由度の多
い機構に対しても本発明の主旨を逸脱しない範囲で適用
可能である。すなわち本発明の主旨は、位置決めする基
板1の慣性主軸に関する変位ベクトルXから位置センサ
による計測点までの変換行列JSXの逆行列JSX -1を、慣
性主軸に関する変位ベクトルXからアクチュエータによ
る駆動点までの変換行列JSX(CO)の右側に掛けた行列を
求めておき、補正行列演算JSX(CO)SX -1を位置センサ
出力の出力側に挿入して、演算出力を各駆動軸に対する
指令電圧と比較するように位置決め制御の閉ループを構
成することにある。
【0039】従って、剛物体に対して、少なくとも制御
する運動自由度分のアクチュエータと、少なくとも運動
自由度分の位置センサとを備え、各位置センサの出力を
フィードバックして対応する各アクチュエータを駆動す
るフィードバック装置が組まれた微動位置決め装置にお
いて、剛物体の慣性主軸に関する変位ベクトルから位置
センサによる計測点までの変換行列の逆行列を、慣性主
軸に関する変位ベクトルからアクチュエータによる駆動
点までの変換行列の右側に掛けた行列を求めておき、こ
の補正行列演算による演算を位置センサの出力側に挿入
して、演算出力を駆動軸に対する指令電圧と比較するよ
うにフィードバック装置の閉ループを構成することも本
発明の範囲に含まれる。
【0040】
【発明の効果】経験的にも明らかなように、零点が安定
なシステムは制御が容易に行なえる。この意味で位置セ
ンサとアクチュエータとを同一場所に配置する、という
コロケーションは都合のよい零点配置を与える。つま
り、制御性を損なうような不安定な零点は発生させな
い。しかるに、有限な物理寸法を有する位置センサとア
クチュエータとを機構全体の大きさに制約を設けて同一
位置に配置することは不可能であり、従って、必然的に
不安定な零点を生じさせてしまい制御しにくい機構に対
しフィードバック装置を付加していた。これに対し、位
置センサとアクチュエータの配置の寸法精度や角度精度
が高いときには、本発明におけるように位置センサ3
M,3R,3Lの出力全部を使った補正行列演算9をフ
ィードバック装置内に挿入することによって、あたかも
位置センサ3M,3R,3Lがアクチュエータ2M,2
R,2Lの部位の変位量を測定しているようにできる。
すなわち、コロケーションの状態が創出され、不安定な
零点の発生が回避できる。従って、本願発明によれば、
不安定な零点の存在に原因したオーバシュートやアンダ
シュートの発生がなくなり制御が容易になる、という効
果がある。例えば、ゲイン調整に対する系の応答性は素
直なものになる。
【0041】また、不安定な零点の発生を回避した微動
位置決め機構に対してはアクチュエータ2M,2R,2
Lと位置センサ3M,3R,3Lの空間的配置による干
渉を除去する非干渉化制御則の適用が容易になる、とい
う効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る微動位置決め装置の一実施例を
示すブロック図である。
【図2】 従来の微動位置決め装置を示すブロック図で
ある。
【図3】 アクチュエータと位置センサの配置を示す座
標系である。
【図4】 図1および図2の装置においてループゲイン
を順次上げたときのステップ応答の比較を示すグラフで
ある。
【図5】 図1および図2の装置においてアクチュエー
タ2Mをステップ駆動したときの偏差信号eR の比較を
示すグラフである。
【符号の説明】
1:基板、2M,2R,2L:圧電素子などのアクチュ
エータ、3M,3R,3L:位置センサ、4M,4R,
4L:変位増幅器、5M,5R,5L:指令電圧入力端
子、6M,6R,6L:前置増幅器、7M,7R,7
L:補償器、8M,8R,8L:電力増幅器、9:補正
行列演算手段、eM ,eR ,eL :偏差信号、zSM,z
SR,zSL:変位増幅器4M,4R,4Lの出力、z
SM(CO),zSR(CO),zSL(CO):補正行列演算手段9の出
力。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 並進1自由度と回転2自由度において位
    置決めされる平板状の基板と、 前記基板の駆動用で慣性主軸を中心とした同心円上に配
    置される3個のアクチュエータと、 前記各アクチュエータの近傍で、かつ前記慣性主軸を中
    心とする同心円上に配置されて前記基板の変位を計測す
    る3個の位置センサと、 前記位置センサの各出力に基づくフィードバック信号を
    指令電圧と比較して偏差信号を得、前置増幅器と補償器
    を介して電力増幅器を励磁して前記アクチュエータを駆
    動するフィードバック装置とを備えた微動位置決め制御
    装置において、 フィードバック装置は、前記基板の前記慣性主軸に関す
    る変位ベクトルから前記位置センサによる計測点までの
    変換行列の逆行列を、前記慣性主軸に関する前記変位ベ
    クトルから前記アクチュエータによる駆動点までの変換
    行列の右側に掛けた補正演算行列を求めて出力する演算
    手段を前記位置センサの出力側に備え、この演算手段の
    出力を前記フィードバック信号とするものであることを
    特徴とする微動位置決め制御装置。
  2. 【請求項2】 位置決めされる剛物体と、少なくともそ
    の位置決めを制御する運動自由度分のアクチュエータ
    と、少なくともこの運動自由度分の前記剛物体の位置を
    検出する位置センサとを備え、前記位置センサのそれぞ
    れの出力に基づくフィードバック信号をフィードバック
    して前記アクチュエータを駆動する閉ループのフィード
    バック装置を備えた微動位置決め制御装置において、 フィードバック装置は、前記剛物体の慣性主軸に関する
    変位ベクトルから前記位置センサによる計測点までの変
    換行列の逆行列を、前記変位ベクトルから前記アクチュ
    エータによる駆動点までの変換行列の右側に掛けた補正
    演算行列を求めて出力する演算手段を前記位置センサの
    出力側に備え、この演算手段の出力を前記フィードバッ
    ク信号とするものであることを特徴とした微動位置決め
    制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4060451A1 (en) * 2021-03-15 2022-09-21 SmarAct Holding GmbH Temperature-adjusting positioning device and method

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4060451A1 (en) * 2021-03-15 2022-09-21 SmarAct Holding GmbH Temperature-adjusting positioning device and method

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