JPH0757523B2 - インフレ−シヨンフイルム成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、インフレーシヨン方式により合成樹脂フイ
ルムを製造する装置に関する。

〔従来技術とその問題点〕

この種のインフレーシヨン方式で成形された合成樹脂フ
イルムとしては、その縦、横両方向の抗張力が大きく、
更に両方の抗張力の差が少ないものが要求される。

前記縦、横方向の抗張力は合成樹脂の固化時にどれだけ
その方向に溶融状態でインフレーシヨン方式で成形した
バブル（チユーブ帯）を延伸させることができるかで決
まる。

このフイルムの縦方向、即ちその成形時のバブル流れ方
向の延伸と同程度の延伸を、その横方向即ち、その成形
時のバブル円周方向に与えるためには、相当大きなブロ
ー比をとる必要がある。

この高ブロー比にした上である程度の厚みのフイルム
を、小口径の成形ダイで高押出量のもとで成形すると、
このダイ内の押出圧力が上昇すると共に、樹脂の押出温
度が上昇し、フイルムの成形に悪影響を及ぼす押出圧
力、押出温度の上昇を抑制するために、高ブロー比成形
において止むを得ず樹脂の押出量を少なくしてインフレ
ーシヨンフイルムを成形している。

この結果、フイルムの成形効率が低下し、この点に改良
の余地を残している。

殊に、HDPEフイルムの高ブロー比成形において、バブル
の振れを安定させるためにバブル内部に安定体を配置し
た装置及び方法が、種々公告、公開公報に開示されてい
る（その一例としては、特公昭56−1210号及び特公昭57
−20130号各公報がある）が、この安定体は、成形中の
バブル内面に直接接触するため、インフレーシヨンフイ
ルムの高速成形になるほど、バブルはこのバブル安定体
の周面でバブル流れ方向上流へ強く引き戻され、この結
果、バブルネツクイン装置において樹脂劣化が生じた
り、バブルに縦方向の摺りすじが発生し、成形したフイ
ルムの品質が低下する欠点があると共に、バブル内部に
安定体が配置されているために、殊に高速成形時にバブ
ル内周面を円滑に冷却できない問題点がある。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明は成形ダイの溶融樹脂環状吐出口の近傍外側に
エアリングの環状吹出口が臨在して設けてあるインフレ
ーシヨンフイルム成形装置において、前記エアリングの
ハウジング上面より連なり軸線方向に伸びる短外筒が設
けてあり、この短外筒の下流側には、各々内縁が前記環
状吹出口口縁に近い寸法をもち、かつ下流側方向に傾斜
したテーパ状ドーナツ型ガイドが、数個所定間隔をおい
て、階層的にこの環状吹出口近傍からバブルのネツクイ
ン位置より若干下位にわたり配設されてあり、前記隣接
するガイド間に気流調整室が各々形成されていることを
特徴とするインフレーシヨンフイルム成形装置とするこ
とにより、バルブ安定体に起因する前記問題点を解消
し、バブルの高速成形を可能とし品質のよいインフレー
シヨンフイルムを成形可能とした装置である。

〔実施態様〕

次に、この考案の代表的な実施態様を図に基ずき説明す
る。

第１図において、10は、インフレーシヨン成形装置Ａの
成形ダイであり、この成形ダイ10に形成した溶融樹脂の
環状吐出口11の近傍外側には、冷却装置の一種であるエ
アリング13の環状吹出口14が臨在して設けてある。

15は、背の低い短盲目又は多孔外筒（以下単に短外筒と
云う）であり、環状の上、下リツプ部材16、17からなる
エアリング13における上側リツプ部材16上面に配置さ
れ、この短外筒15は、上側リツプ部材16上面より連な
り、軸線方向に延在しており、その内径は、前記成形ダ
イ10の外形とほゞ等しくしてある。

前記上、下リツプ部材16、17の内縁で、前記環状吹出口
14は形成されている。

前記短外筒15には、必要時に外側へ開く開閉式の窓が取
付けてある。

18は、前記短外筒15の下流側に配置したテーパ状ドーナ
ツ板型ガイド（以下単にガイドと云う）であり、各ガイ
ド18の内縁18aの口径は前記成形ダイ10の環状吐出口11
の口径に近い寸法としてあり、各ガイド18の外形は、積
重ね時に下位のガイド18の内縁18a位置とほゞ一致する
寸法としてある。

前記ガイド18は、内縁18aほどバブルＢの移送方向に対
して下流側方向に傾斜して位置する円錐台形状を呈して
いる。

前記ガイド18が数枚、好ましくは４〜10枚（図示の場合
には５枚）、所定間隔をおいて階層的に、前記短外筒15
の内側で前記エアリング13の上側リツプ部材16上面に同
一円上に配置固定した垂直な支柱19に、各ガイド18の上
流寄りの根元部が止めねじ20で摺動、固定自在に取付け
られ、数個のガイド18によつて構成されたバブル外部安
定体21が、前記環状吹出口11の下流側、即ち、この環状
吹出口11寄りからバブルＢのネツクイン位置より若干下
位に亘り設けられている。

前記のように構成したバブル外部安定体21において、隣
接するガイド18間には、各円錐台状の気流調整室22が、
順次階層的に形成されている。

前記バブル外部安定体21の外周は、必要に応じパンチプ
レート板からなる多孔外筒23により取囲む場合もある。

この際には、前記多孔外筒23の全高さは、全てのガイド
18を覆い、バブルＢのネツクイン位置より若干成形ダイ
10寄りにその上端23aが位置する高さ寸法とし、その内
径は、前記短外筒15の内径とほゞ同一寸法に形成されて
いると共に、この多孔外筒23は、短外筒15の下流側に連
接されている。この状態において、前記数本の支柱19
は、多孔外筒23の内周面に沿い位置することとなる。

これらガイド18の内縁18aの口径は、総て同じでも、下
流側のものほど順次若干大きく形成しても、この発明と
しては同一である。

なお、前記多孔外筒23をガイド18毎に分割し、一つのガ
イド18と分割された短多孔外筒からなる部品を一組とし
て、適宜数組、分解自在に詰み重ね一体化する場合もあ
る。

これらガイド18は、成形ダイ10の軸線Ｏ、即ち成形され
るバブルＢの母線に対して30゜乃至60゜（図示のもので
は45゜）傾斜して配置してある。

〔作 用〕

インフレーシヨンフイルム成形に先立ち、次の調整作業
を行う。

先ず、前記ガイド18を、前記支柱19に沿い止ねじ20の操
作で一斉又は個別に昇降させ、隣接するガイド18間の間
隔を調整し、前記各気流調整室の通路面積を適宜拡大又
は縮小し、気流の吸い込み量を調整する。

次に、前記短外筒15が開閉窓付きとしてある時は成形初
期の段取作業において、この短外筒15の窓を開き、この
開口した部分に手を入れて、成形ダイ10の環状吐出口11
から吐出されたバブルの始端をつかみ立上げる。

次いで、この立上げたバブルＢを、前記環状吐出口11と
同心的に設けたガイド18群の内縁18a部に通して上方の
引取り装置（図示してない。）を経て巻取装置（図示せ
ず）へ導き、再び短外筒15の窓を閉じ、段取作業を終了
する。

次いで、成形ダイ10に連結した押出装置、前記エアリン
グ13、引取り装置、巻取装置を連続運転し、通常のイン
フレーシヨンフイルム成形作業に移行する。

この際、エアリング13から吹出された冷風は、成形ダイ
10の環状吐出口11から押出され引取り装置で上方へ引取
られていくバブルＢの周囲にこの環状吐出口11近傍で吹
付けられ、バブルＢを冷却する。

このバブルＢで暖めらえた空気が、前記バブル外部安定
体21における数枚のガイド18の内縁部18とバブルＢ間の
間隙を通つて上昇する間にこの内縁部18近傍において
は、ベンチユリー効果によりこの通過する空気の速度の
上昇に伴い負圧となり、最下層の気流調整室22内に外気
が吸引され、上昇する空気と吸引した外気の混合流によ
りバブルＢの周面を冷却してゆくと共に、気流調整室22
内に外気を取入れることにより、この室22をエアチエン
バとして機能させ、成形ダイ10よりバブルＢ内に供給さ
れるバブルの内圧と見合う空気流に伴う動圧を、階層的
に設けた前記気流調整室22で形成し、バブルＢを前記バ
ブル外部安定体21により振れなる安定良く保持する。

更に、各ガイド18の内縁部18a近傍における空気流は、
上昇してくる空気の加速化に従つて各気流調整室22の壁
を形成するガイド18面に沿い外気流が、この内縁部18a
に向け層流となり引かれる傾向をとり、この内縁部18a
を通る際に、この冷風と外気流の速度のバブル半径方向
成分により、バブルＢの周面に、バブルＢをガイド18の
内縁部18aから離反させる半径方向内向きの押圧力が作
用し、軟化状態のバブルＢは各ガイド18の内縁18aに付
着しない。

この際冷風の一部はガイド18に沿い外部へ少量流出する
傾向をとる。

このバブル外部安定体21を出たバブルＢは、この位置、
即ちネツクイン位置で一挙にバブル内圧により所望直径
に膨張成形された後、引取り装置に引き取られ、巻取装
置で巻取られていく。

この成形において、ガイド18の間隔を狭くした時には、
外気を気流調整室22へ吸い込み易くなり、広い時には、
バブルで暖められた空気の一部を外部へ抜き易くなる。

更に、前記間隔が狭い時には、バブルＢのネック及びネ
ックライン寸法が細く、また広い時にはこれらの寸法が
太くなる傾向になる。

次にバブルのブロー比を変更する時には、ガイド18の内
縁口径の異なるバブル外部安定体21を用意しておき、適
宜変更すれば良い。

〔効 果〕

前記のように構成し作用する本件発明のインフレーシヨ
ンフイルム成形装置は次の効果を奏する。

前記形状のガイド18を数枚階層的に所定間隔をおいて短
外筒15の下流側に前記のように配置し、隣接したガイド
18間に気流調整室22が各々形成してあるため、成形ダイ
10の環状吐出口11を大径とし、押出量、成形速度を大き
く高ブロー比でインフレーシヨンフイルムを成形して
も、バブルＢ内に封入した静的圧力と、前記数個の気流
調整室22に吸引した空気流に伴う動圧力のバランスによ
りバブル外部安定体21の全長にわたつてバブルＢは支持
され、成形中のバブルＢの揺動をなくし安定良くバブル
Ｂを保持でき、かつ、バブルＢのガイド18の内縁18aへ
の付着を適切に防止し所望肉厚のインフレーシヨンフィ
ルムを高ブロー比で高速（例えば、引き取り速度100m/m
in）成形でき、インフレーシヨンフイルム成形装置の稼
働効率を上げることができる。

ブロー比を変更する場合には、前記内縁18aの口径が異
なるガイド18と交換するだけで良く、成形ダイ10の交換
を伴わずに、ブロー比を容易に変更でき、このブロー比
の変更により、横方向の抗張力が異なるフイルムを、一
つの成形ダイ10で多種類成形加工できる。

〔実施態様特有の効果〕

前記短外筒15が盲目の態様においては、この短外筒15と
最下段のガイド18により、前記エアリング13の吹出し口
14近傍に圧力室を形成することができ、この吹出し口14
から吹出した冷風を外部へ逃がすことなく、バブルＢの
冷却に有効に利用できる。

前記ガイド18の間隔を調整自在とした態様においては、
この間隔の調整により、成形されるバブルＢのネツクイ
ン寸法を変更できると共に、気流調整室22への空気流の
吸排量を大略加減できると共に、加工条件に応じて各気
流調整室22の幅を一斉に、または局部的に変更できる。

前記ガイド18の内縁18aの口径が全て一定の態様におい
ては、このガイド18の製造、組立てが容易となる。

また、これらガイド18の口縁18aの口径が下流側に位置
するものほど順次若干寸法ずつ大きく形成した態様にお
いては、より一層これらの内縁18aとバブルＢ周面との
接触を回避できる。

図示の態様のように、多孔外筒23でバブル外部安定体21
を取り囲む態様においては、気流調整室22への外気の流
入を、その取入口全域で片寄りなく多孔外筒23の小孔群
から取入ることができ、この多孔外筒23を分割式とすれ
ば、バブル成形に適した組だけ短多孔外筒を積重ねるこ
とで、所望高さのバブル外部安定体21を構成できる。

更に、ガイド18の支柱19への取付け枚数を変更したり、
ガイド18間の間隔を変更することにより、前記バブル外
部安定体21の高さを、加工条件に合わせて適宜変更でき
る。

【図面の簡単な説明】

図は、この発明の実施態様を示す概略縦断面図である。 図中の主な記号の説明 18……ガイド、 22……流量調整室。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】成形ダイの溶融樹脂状吐出口の近傍外側に
   エアリングの環状吹出口が臨在して設けてあるインフレ
   ーシヨンフイルム成形装置において、 前記エアリングのハウジング上面より連なり軸線方向に
   伸びる短外筒が設けてあり、この短外筒の下流側には、
   各々内縁が前記環状吹出口口縁に近い寸法をもち、かつ
   下流側方向に傾斜したテーパ状ドーナツ型ガイドが、数
   個所定間隔をおいて階層的にこの環状吹出口近傍からバ
   ブルのネツクイン位置より若干下位にわたり配設されて
   あり、前記隣接するガイド間に気流調整室が各々形成さ
   れていることを特徴とするインフレーシヨンフイルム成
   形装置。
2. 【請求項２】前記テーパ状ドーナツ型ガイドの内縁径は
   総て同一寸法、下流側に位置するものほど順次若干寸法
   ずつ大きく形成してあるものゝうちの一種であることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載のインフレーシヨ
   ンフイルム成形装置。
3. 【請求項３】前記テーパ状ドーナツ型ガイドの間隔は接
   近離反自在に設けてあることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項又は第２項記載のインフレーシヨンフイルム成
   形装置。