JPH0517228Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案はインフレーシヨンフイルム高速成形
装置における風冷装置に関する。

＜従来技術とその問題点＞ この種の風冷装置としては、上向き環状エア吹
き出し口を一個有するものと、数個有するものに
分類されるが、上向き環状エア吹き出し口を一個
有する風冷装置を使用してインフレーシヨンフイ
ルムを高速成形する場合にはエアによる冷却がイ
ンフレーシヨンフイルムの成形速度に追い着かな
い現象が発生し、その結果フロストラインが高く
なり、融軟状態のバブルが吹き出し口からその外
周面に向け吹き付けられるエアによつて振動し易
くなりバブルは不安定と成り均一な肉厚のインフ
レーシヨンフイルムを高速で成形することは容易
ではない。

前記欠点を改良し高速成形に見合つた風量を得
られるようにすることを目的として上向き環状エ
ア吹き出し口を有する風冷装置が種々開発され、
上市されている。その一例として特開昭60−
172522号公報に記載された風冷装置は上下２層の
上向きの環状吹出口を有する風冷リングからなり
成形ダイより押出されたバブルをこの成形ダイの
環状吐出口から出た直後にバブルの押出方向に対
して半径方向上方へ膨張するものであり、所期の
品質のバブルを成形することができるが、上側の
主吹き出し口の吹き出し量が下側の補助吹き出し
口の吹き出し量の４倍乃至６倍としてあるため、
上側の主吹き出し口からの高風量により成形中の
バブルが振動しやすくなり成形したフイルムの肉
厚が偏肉と成り所望寸法のフイルムが成形し難
く、又前記２個の吹き出し口からの吹き出し量の
差によるバブルの振動に伴つてこの融軟状態のバ
ブルが前記リツプ部材に吸着し円滑な成形加工が
出来ない憂いがある。殊にフイルムの高速成形時
にはフイルムの成形速度にこれら吹き出し口から
の冷風による冷却作用が今だ不十分であり、即ち
風量不足を生じバブルを所定高さのフロストライ
ン上で冷却固化出来無くなり、このためバブルの
フロストラインが高くなつてしまいバブルは不安
定な状態で成形されることとなり品質の良いフイ
ルムを成形することが難しく、前記従来技術には
改良の余地が残さている。

＜考案の解決しようとする問題点＞ この考案は前記従来技術の問題点をエアチヤン
バを設置することで改善し高速成形に適したエア
の風量が得られ、安定良くバブル全周を外周面か
ら空気流により所定厚さのインフレーシヨンフイ
ルムを高速で成形しえるようにした風冷装置を提
供することを目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ この考案は風冷リングの内側及び外側リツプ部
材を有する上向き環状エア吹き出し口は、押出成
形ダイの環状樹脂吐出口近傍に設けてあり、この
外側リツプ部材の下流側には環状の整流筒がその
内径を前記外側リツプ部材の内径と同径乃至若干
大きい径として、前記内外リツプ部材とともに環
状樹脂吐出口と同心円上に配置してあり、この整
流筒の下部は、全周において外方に張出した直径
の大きい顎状部としてあり、前記整流筒の底部内
縁部は前記外側リツプ部材の上縁部と連結してあ
り、前記外側リツプ部材の上縁部とこの顎状部に
より、全周が外方に張り出した環状の底付きエア
チヤンバが形成され、またこのエアチヤンバは前
記バブル側において環状に開口しており、前記整
流筒の底部に外気取入れ用の穴が複数個穿設して
あることを特徴とするインフレーシヨンフイルム
高速成形装置における風冷装置とすることにより
問題点を解決した。

＜考案の作用＞ 前記のように構成したこの考案の風冷装置の作
用は次の通りである。

前記押出成形ダイの環状樹脂吐出口より融軟状
態でバブルは上向きに吐出され、この風冷装置の
風冷リングを通り上方の引取ローラにより所定速
度で引き取られていく。

一方、この風冷リングの上向き環状エア吹き出
し口からバブルの引取方向に向けてエア（冷風）
を吹きだして流し、このエアによりバブルを冷却
する。このバブルとの熱交換により自身昇温した
空気流がバブルと前記環状の整流筒の上流縁を通
過する際にこの速度は増大しベンチユリ作用によ
り前記エアチヤンバ内は減圧状態と成る。この減
圧に伴い外気が、このエアチヤンバの底部に複数
個穿設した穴群からエアチヤンバ内に吸引され、
前記環状エア吹き出し口からバブルの引取方向に
向けて外側リツプ部材の上縁部とバブル間を流れ
る空気流の流れに応じてエアチヤンバ内に吸引さ
れたエアは、この環状樹脂吐出口から押し出され
てくるバブルの外周面に対して環状に開口してい
るエアチヤンバの開口部からハブルの周面に向け
流出し、上向き環状エア吹き出し口から吹き出し
上昇してくる冷風と合流し整流筒とバブル間を流
れる。この外気と冷風の合流により増流した空気
流により前記高速で引き取られている融軟状態の
バブルを能率良く冷却すると共にバブルをその外
周面全周から支持し、振動を伴わずに、所望ブロ
ー比で所定厚さのフイルムを高速度でインフレー
シヨンフイルム成形する。

＜考案の効果＞ 前記のように構成し、作用するこの考案の効果
は次のとおりである。

環状の整流筒がその内径を外側リツプ部材の内
径と同径乃至若干大径として、前記内外リツプ部
材と共に環状樹脂吐出口と同心円上に配置してあ
り、この整流筒の下部は全周が外方に張出した大
径の顎状部としてあり、前記外側リツプ部材の上
縁部とこの顎状部により、全周が外方に張り出し
た環状の底付きエアチヤンバが形成され、このエ
アチヤンバは前記バブル側において環状に開口し
ており、前記整流筒の底部に外気取入れ用の穴が
複数個穿設してあるため、空気流がバブルと前記
環状の整流筒の上流縁を通過する際の速度の増大
に伴い生じるベンチユリ作用により前記エアチヤ
ンバ内を減圧状態とすることが出来、この減圧に
より外気をこの整流筒の底部の前記穴群からエア
チヤンバ内に吸引し、前記環状エア吹き出し口か
らバブルの引取方向に向けて、外側リツプ部材の
上縁部とバブル間を流れる空気流の流れに応じ
て、前記エアチヤンバの開口面からバブルの周面
に向け流出させ前記エア吹き出し口から吹き出し
上昇してくる冷風と合流し外側リツプ部材の上縁
部とバブル間を流すことが出来、この外気と冷風
の合流により増流した空気流により前記高速で引
き取られている融軟状態のバブルを能率良く冷却
出来ると共にバブルをその外周面全周から支持
し、振動を伴わずに、所望ブロー比で所定厚さの
フイルムを高速度でインフレーシヨンフイルム成
形する異が出来る。

（実施例） 次に本件考案の代表的な実施例を説明する。図
において、１０は風冷リングであり、風冷リング
１０の上向き環状エア吹き出し口１１は、押出成
形ダイの環状樹脂吐出口１２近傍に位置する内側
リツプ部材１３と外側リツプ部材１４とからな
り、この外側リツプ部材１４の下流側には、環状
の整流筒１５がその内径Ｄを外側リツプ部材１４
の内径ｄと同一として、前記内外リツプ部材１３
とともに環状樹脂吐出口１２と同心円上に配置し
てあり、この整流筒１５の下部は全周外方に張出
した大径の環状の顎状部としてあり、前記外側リ
ツプ部材１４の上縁部１４ａとこの顎状部によ
り、全周外方に張り出した、つまり外側リツプ部
材１３及び整流向筒１５の上部より内径の大きい
内周壁をもつ環状の底付きエアチヤンバ１６が形
成され、このエアチヤンバは前記バブル側におい
て環状に開口した開口部１６ａが形成してあり、
前記整流筒１５の底部１６ｂに外気取入れ用の穴
１７が複数個穿設してあり、前記整流筒１５の底
部内縁は、外側リツプ部材に対して上下方向で位
置調整自在に螺合装備されている。

前述の例においては整流筒１５の内径と外側リ
ツプ部材１３の内径を同一としたものを図示した
が、整流筒１５の寸法は成形条件により外側リツ
プ部材１３の内径より若干大きく成形しておくこ
ともある。

その他、整流筒１５の底部１６ｂの外側下面と
風冷リング１０を構成する上壁面との間隙は、図
示から明らかなように、極く接近可能に装備して
ある。

この実施例の作用は次のとおりである。

前記押出成形ダイの環状樹脂吐出口１２より融
軟状態でバブルＢは上向きに吐出され、この風冷
装置の風冷リング１０を通り上方の引取ローラ
（図示せず）によつて所定速度で引き取られてい
く。

一方、この風冷リング１０の上向き環状エア吹
き出し口１１からバブルの引取方向に向けてエア
（冷風）を吹き出して流し、このエアによりバブ
ルＢを冷却する。このバブルＢとの熱交換により
自身昇温した空気流がバブルＢと前記環状の整流
筒１５の上流縁を通過する際にこの速度は増大し
ベンチユリ作用により前記エアチヤンバ１６内は
減圧状態と成る。この減圧に伴い外気が、このエ
アチヤンバ１６の底部に複数個穿設した穴１７群
からエアチヤンバ１６内に吸引され、前記環状エ
ア吹き出し口１１からバブルＢの引取方向に向け
て外側リツプ部材１４の上縁部１４ａとバブルＢ
間を流れる空気流の流れに応じてエアチヤンバ１
６内に吸引されたエアは、この環状樹脂吐出口１
２から押し出されてくるバブルＢの外周面に対し
て環状に開口しているエアチヤンバ１６の開口部
１６ａからバブルＢの外周面に向け流出し、下流
の上向き環状エア吹き出し口１１から吹き出し上
昇してくる冷風と合流し前記整流筒１５とバブル
Ｂ間を流れる。この外気と冷風の合流により増流
した空気流により前記高速で引き取られている融
軟状態のバブルＢを能率良く冷却すると共にバブ
ルＢをその外周面全周から支持し、振動を伴わず
に、所望ブロー比で所定厚さのフイルムを高速度
でインフレーシヨンフイルム成形する。

（実施例固有の効果） 実施例のものにおいては、この考案の効果の
外、外側リツプ部材１４に対して、整流筒１５を
上下方向に位置調整自在に螺合してあるため、こ
の整流筒１５の位置を上下に変更することによつ
て、前記整流筒底部外面と、外側リツプ１４に連
なる環状風冷リング１０の上壁面との間隙寸法を
変化させて、エアチヤンバ１６中に吸引される空
気量を変化させることができ、フイルムの種類に
よる縦横の延伸率をバランスよく調整すること
が、単一の整流筒で可能となる。

従つて、従来のように、フイルムの種類ごと整
流筒１５を多種類用意する必要がない。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の代表的な実施例を示す半截概略
縦断面図である。 図中、符号、１６……エアチヤンバ、１７……
穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 風冷リングの内側及び外側リツプ部材を有する
   上向き環状エア吹き出し口は、押出成形ダイの環
   状樹脂吐出口近傍に設けてあり、この外側リツプ
   部材の下流側には環状の整流筒がその内径を前記
   外側リツプ部材の内径と同径乃至若干大きい径と
   して、前記内外リツプ部材とともに環状樹脂吐出
   口と同心円上に配置してあり、この整流筒の下部
   は、全周において外方に張出した直径の大きい顎
   状部としてあり、前記整流筒の底部内縁部は前記
   外側リツプ部材の上縁部と連結してあり、前記外
   側リツプ部材の上縁部とこの顎状部により、全周
   が外方に張り出した環状の底付きエアチヤンバが
   形成され、またこのエアチヤンバは前記バブル側
   において環状に開口しており、前記整流筒の底部
   に外気取入れ用の穴が複数個穿設してあることを
   特徴とするインフレーシヨンフイルム高速成形装
   置における風冷装置。