JP3987336B2 - ガラス製品用金型の冷却装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管用パネルなどのようなガラス製品を製造するためのガラス製品用金型に関し、特に、ガラス製品用金型を強制通風式に冷却させるためのガラス製品用金型の冷却装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
カラーテレビやコンピュータのモニターなどの製造に用いられる陰極線管は、基本的に３つの構成要素、すなわち、画像が透視されるパネルと、このパネルの背面に付着されている円錐形のファンネル（Ｆｕｎｎｅｌ）と、ファンネルの頂点に溶着される管状のネック（Ｎｅｃｋ）からなる。陰極線管のパネル、ファンネル及びネックは、全てガラスから製造される。特に、パネルとファンネルは、ゴブ（Ｇｏｂ）と呼ばれる溶融ガラス塊を所望の大きさ及び形状にプレス成形して製造している。
【０００３】
従来技術のガラス製品用成形装置の一例が図１に示されている。このガラス製品用成形装置は、プレス１０のラム１２に設けられているプランジャヘッド１４と、このプランジャヘッド１４の底面に設けられ、上部金型としての機能を持つプランジャ１６を含んでいる。プレス１０のテーブル１８には、プランジャ１６と協動してガラス製品１を成形するための金型２０が設けられており、この金型２０は、下部金型２２の上側に中間金型２４が分離自在に組合せて構成されている。このような金型２０は、一般に円形のテーブル１８に複数配置され、テーブル１８の回転により、例えば、ゴブ供給、成形、冷却、取出などの１１〜１５個の作業地点を順次経る。
【０００４】
一方、金型２０は、強制通風式の冷却装置３０によって冷却される。冷却装置３０は、金型２０の底部に空気を排出するように空気の流路を形成するダクト３２と、複数の通気孔３４ａと空気の流量を制御する流量調節部材３４ｂを備え、ダクト３２の空気排出口３２ａに設けられているバスケット弁３４と、プレス１０のテーブル１８に金型２０の底面を支持するように設けられ、空気の流路を形成するスペーサ３６から構成される。
【０００５】
このような構成を有するガラス製品用金型の冷却装置においては、金型１０の内部に溶融されたゴブを供給し、プランジャ１６の加圧によってガラス製品１を成形した後、ダクト３２とバスケット弁３４を通して金型２０の底部に冷却用空気を供給することにより、ガラス製品１と金型２０を予め定められた温度で冷却させる。
【０００６】
しかし、バスケット弁３４の通気孔３４ａを通過する空気の流動が渦流を発生すると共に金型２０に至るため、金型２０が一様に冷却されないことがあり、製品を成形する都度に冷却の程度が異なる不都合がある。特に、一様に冷却されない場合は、金型２０自体が局部的に過冷または微冷されるだけでなく、各作業の地点別に冷却程度の差異が大きくなることにより、ガラス製品１の品質に致命的な悪影響を与え不良率を大きく増加させる不都合がある。
【０００７】
一方、ガラス製品１の冷却条件によってバスケット弁３４に流入される空気の流量と圧力を制御し、金型２０の冷却条件も変化させる必要がある。しかし、空気の流量と圧力によって空気流動の変化が極めて激しく発生し、金型２０の冷却条件を一定に維持することが難しいため、同一の冷却程度を再現し難い不都合がある。また、所望の金型２０の冷却条件を達成するために、金型２０の底部に溝を形成するが、成形ライン別に溝が形成される位置が異なることになり、これによって金型２０の互換性が極めて低下する不都合があった。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、本発明の主な目的は金型が一様に冷却され、冷却程度の再現性や成形ライン間の金型の互換性を向上させるガラス製品用金型の冷却装置を提供することにある。
【０００９】
本発明の他の目的は、構造が簡単で、且つ簡便に設けられるガラス製品用金型の冷却装置を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、ガラス製品を成形する金型を冷却するための空気を供給するダクトと、複数の通気孔とこの通気孔の開度を調節して流量を制御する流量調節部材を備え、前記ダクトに設けられるバスケット弁と、前記バスケット弁の内側に設けられて空気の流れを一様に誘導する整流管と、前記バスケット弁の通気孔を通過する空気を案内するために、前記通気孔のそれぞれに対応して形成される垂直流路と、前記垂直流路の下側と前記整流管の下側を連通する水平流路と、前記垂直流路を遮断するように、前記整流管の上端に形成される遮断リングとを含むガラス製品用金型の冷却装置が提供される。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるガラス製品用金型の冷却装置に対する好適な実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【００１２】
図２〜図４は、本発明によるガラス製品用金型の冷却装置の一実施の形態を説明するための図で、図１に示されているガラス製品用成形装置を備える冷却装置の基本的な要素は同一符号を付する。
【００１３】
まず、図１及び図２を参照すると、プレス１０のテーブル１８にはプランジャ１６と協力してガラス製品１を成形する金型２０が配置されており、この金型２０は冷却装置３０によって冷却される。冷却装置３０は、金型２０の低部に空気を排出するように空気の流路を形成するダクト３２と、複数の通気孔３４ａを備え、ダクト３２の空気排出口３２ａに設けられて排出される空気の流量を制御するバスケット弁３４を含む。プレス１０のテーブル１８上には、金型２０の底面を支持するように設けられ、空気の流路を形成するスペーサ３６が配置されている。
【００１４】
図２及び図３に示すように、バスケット弁３４は、上端に開口部が形成されており、下方の断面積が漸次狭くなる形をしている。バスケット弁３４の内側には円筒形の整流管４０が垂直に嵌合されている。整流管４０の外面には円周方向に沿って複数の垂直流路４２ａが形成されている。垂直流路４２ａは、バスケット弁３４の通気孔３４ａを通して流入される空気を分配するように、各通気孔３４ａに対応して形成される。垂直流路４２ａの下側は、整流管４０の下側流入口と水平流路４２ｂによって連通される。本実施の形態では、複数の翼４２が整流管４０の外面に放射状に垂設されて垂直流路４２ａを形成する。翼４２の外面は上端から下端に向かって漸次狭くなるように形成されており、これによって垂直流路４２ａは下方に行くほど漸次狭くなる。翼４２の下端は整流管４０の下方に延びるように形成することが望ましい。整流管４０の上端には、垂直流路４２ａを遮断するように、遮断リング４４が整流管４０と一体に形成されており、遮断リング４４はダクトの外側の上面によって支持される。
【００１５】
図４に詳細に示されているように、本発明の好適な実施の形態においてバスケット弁３４の通気孔３４ａは６個が形成されており、翼４２は１２個が形成されている。従って、各通気孔３４ａに対応する垂直流路４２ａは翼４２によって両分されており、各通気孔３４ａに流入された空気が２つに分かれている垂直流路４２ａを通して流れるように配置されている、これらの通気孔３４ａと翼４２の数は適切に変更することが可能である。
【００１６】
このような構成を有する本発明の冷却装置３０においては、プランジャ１６と金型２０の協力によってガラス製品１を成形した後、図示しない送風装置の作動によってダクト３２を通して冷却用空気が供給され、この空気はバスケット弁３４の通気孔３４ａを通過する。
【００１７】
次に、バスケット弁３４の通気孔３４ａを通過した空気は、図４における矢印Ａで示しているように翼４２によって両分され、垂直流路４２ａに流入される。翼４２の垂直流路４２ａに流入された空気は垂直流路４２ａに沿って下側に誘導され、続けて水平流路４２ｂを通して整流管４０の内側に流入される。このとき、水平流路４２ｂを通過した空気は整流管４０の内側で渦流が実質的に発生しない状態で流動し、この結果、整流管４０を通過する空気の流量が整流管の断面に対して一様に配分される。整流管４０を通過する空気の流れは、金型２０の底部に至って金型２０の全体を一様に冷却する。よって、ガラス製品１の不良が防止され、同一の冷却程度の再現性や成形ライン間の金型の互換性を向上させることができる。
【００１８】
上記において、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明の請求範囲を逸脱することなく、当業者は種々の改変をなし得るであろう。
【００１９】
【発明の効果】
従って、本発明によるガラス製品用金型の冷却装置によると、バスケット弁の通気孔を通過する空気を整流管と翼の協力によって分配し、実質的に渦流のない空気の流動を形成することにより、金型を一様に冷却することができるため、ガラス製品の不良が防止され、冷却程度の再現性や成形ラインの金型の互換性を極めて向上させる効果を奏する。さらに、構造が簡単で、バスケット弁の内側に簡便に設けることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来のガラス製品用金型の冷却装置を示す断面図である。
【図２】本発明によるガラス製品用金型の冷却装置を示す断面図である。
【図３】本発明による冷却装置を部分的に分離して示す斜視図である。
【図４】図２のＢ−Ｂ線の断面図である。
【符号の説明】
１ ガラス製品
１０ プレス
１６ プランジャ
１８ テーブル
２０ 金型
３０ 冷却装置
３２ ダクト
３４ バスケット弁
３４ａ 通気孔
４０ 整流管
４２ａ 垂直流路
４２ｂ 水平流路
４４ 遮断リング

Claims (5)

1. ガラス製品を成形する金型を冷却するための空気を供給するダクトと、
   複数の通気孔とこの通気孔の開度を調節して流量を制御する流量調節部材を備え、前記ダクトに設けられるバスケット弁と、
   前記バスケット弁の内側に設けられて空気の流れを一様に誘導する整流管と、
   前記バスケット弁の通気孔を通過する空気を案内するために、前記通気孔のそれぞれに対応して形成される垂直流路と、
   前記垂直流路の下側と前記整流管の下側を連通する水平流路と、
   前記垂直流路を遮断するように、前記整流管の上端に形成される遮断リングとを含むガラス製品用金型の冷却装置。
2. 前記垂直流路は前記整流管の外面に円周方向に沿って配置される複数の翼により形成されることを特徴とする請求項１に記載のガラス製品用金型の冷却装置。
3. さらに前記バスケット弁の各通気孔に対応する垂直流路を両分する翼を含むことを特徴とする請求項２に記載のガラス製品用金型の冷却装置。
4. 前記翼の下端部は整流管の下端部を介して延長されることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載のガラス製品用金型の冷却装置。
5. 前記バスケット弁の通気孔は６個であることを特徴とする請求項１に記載のガラス製品用金型の冷却装置。

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