JPH075725B2 - ポリアリールエーテルケトンの製造方法 - Google Patents

ポリアリールエーテルケトンの製造方法

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JPH075725B2 JP10614789A JP10614789A JPH075725B2 JP H075725 B2 JPH075725 B2 JP H075725B2 JP 10614789 A JP10614789 A JP 10614789A JP 10614789 A JP10614789 A JP 10614789A JP H075725 B2 JPH075725 B2 JP H075725B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はポリアリールエーテルケトンの新規な製造方法
に関する。更に詳しくは、耐熱性,機械特性,化学的安
定性等に優れた芳香族ポリアリールエーテルケトンを安
価な原料を用いて効率的に製造し得る新規な製造方法に
関する。
<従来技術> ポリアリールエーテルケトンは熱可塑性ポリマー中最高
の部類の耐熱性を有し、かつ耐熱性,寸法安定性,機械
的特性に優れており、いわゆるエンプラとしてだけでな
く繊維,フイルムの原料,複合材料マトリックス等とし
て種々検討がなされている。このポリアリールエーテル
ケトンは優れた諸特性を有してはいるが、その原料及び
ポリマーの製造プロセスが複雑で製造コストが高いとい
う問題点がある。
ポリアリールエーテルケトンの製造方法としては、多数
の方法が提案されているが、大別して、求電子反応によ
るもの及び求核反応プロセスによるものとがある。求電
子反応プロセスによるものは、腐食性の大きいプロトン
酸あるいはルイス酸を用いるプロセスである上、反応選
択性が必ずしも十分でなく、いわゆるオルト置換体の生
成により得られるポリマーの熱安定性に問題がある。
また求核反応プロセスによれば、比較的容易に高重合度
のポリマーを得ることができるが、その原料として一般
に高価なフッ素化合物を用いる必要があり、これが、コ
スト高の大きな要因となっている。
<発明の目的> 本発明の目的は、上述のような従来法の欠点を解消し、
安価な塩素化合物を用いて、耐熱性等の諸特性に優れた
高重合度のポリアリールエーテルケトンを安定して再現
性よく製造できる新規なプロセスを提供することにあ
る。
<発明の構成> 本発明の目的は、原料として(a)特定のハロフェノー
ル、(b)特定のビスフェノールとジハロベンゼノイド
化合物との混合物の少くともいずれかを用い、上記
(a)及び/又は(b)を、フェノール性水酸基に対し
て実質的に等当量のアルカリ化合物及び生成するポリア
リールエーテルケトンポリマーに対し0.001〜3重量%
の銅粉の存在下に加熱反応せしめることを特徴とするポ
リアリールエーテルケトンの製造方法により達成するこ
とができる。
以下、本発明の方法につき詳述する。
本発明で用いるハロフェノールは下記一般式(I)で示
される化合物である。
[式(I)において、XはQに対してオルト又はパラの
位置に存在するハロゲン原子であり、Qは−SO2−また
は−CO−基であり、Ar1は2価の芳香族基を表わす。こ
こでQ及びAr1は、少なくともQが−CO−基であるか、
あるいはArが−CO−基を含有するものである。] 上記一般式(I)において、Xで表示されるハロゲンと
しては塩素,フッ素,臭素が挙げられるが、これらのう
ち塩素が好ましい。また、このハロゲンはQに対してパ
ラ位置にあることが好ましい。
一方、Ar1で表示されて芳香族基としてはフェニレン,
ビフェニレン,ターフェニレン,ナフタレン及び下記式
(IV)で示される基を挙げることができる。
−Ar4−Z−Ar5 ……(IV) [式(IV)においてZは−SO2−,−CO−,−O−又は
−S−基であり、またAr4,Ar5はフェニレン,ビフェニ
レン,ナフタレン等の2価の芳香族基を表わし、これら
は夫々同一であっても異っていてもよい。] かかる一般式(I)で示される−CO基−を含むハロフェ
ノールの好適例としては、具体的には、4−(4−クロ
ロベンゾイル)フェノール,4−ヒドロキシ−4′−(4
−クロロベンゾイル)ビフェニル,4−ヒドロキシ−4′
−(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル,2−ヒ
ドロキシ−6−(4−クロロベンゾイル)ナフタレン,4
−ヒドロキシ−4′−(4−クロロベンゾイル)ベンゾ
フェノン等を例示することができる。
上記一般式(I)で示される−CO−基を含有するハロフ
ェノールは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよ
いが、さらに他種のハロフェノールすなわち−CO−基を
含有しないハロフェノールとの混合物として用いること
もできる。該ハロフェノールとしては4−(4−クロロ
フェニルスルホニル)フェノール,4−ヒドロキシ−4′
−(4−クロロフェニルスルホニル)ビフェニル,4−ヒ
ドロキシ−4′−(4−クロロフェニルスルホニル)ジ
フェニルエーテル等を例示することができる。
一方、本発明において用いるビスフェノールは下記一般
式(II)で示される化合物である。
[式(II)において、Yは−O−,−S−,−SO2−も
しくは−CO−基又は直接結合を表わし、またnはO又は
1を表わす。] 上記ビスフェノールとしては、具体的には、ハイドロキ
ノン,ジヒドロキシジフェニル,4,4′−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン,4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン,4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル,4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド等を例示することがで
きる。
また、本発明で用いるジハロベンゼノイド化合物は下記
一般式(III)で示される化合物である。
[上記一般式において、X′及びX″はそれぞれQ′及
びQ″に対してオルトまたはパラの位置に存在するハロ
ゲン原子であり、具体的には、上記一般式(I)におけ
るものと同じである。Ar′は芳香族基であり具体的には
フェニル,ビフェニル,ナフタレンを例示することがで
きる。Q′は、−SO2−又は−CO−基であり、またQ″
は−O−,−S−,−SO2−又は−CO基−である。ここ
でQ′及びQ″の少なくともどちらかは−CO−基である
ものとする。xはyは夫々独立に0または1を表わ
す。] 上記一般式(III)で示されるジハロベンゼノイド化合
物としては、具体的には、4,4′−ジクロロベンゾフェ
ノン,ビス−1,4′−(4−クロロベンゾイル)ベンゼ
ン,ビス−4,4′−(4−クロロベンゾイル)ビフェニ
ル,ビス−2,6′−(4−クロロベンゾイル)ナフタレ
ン,ビス−1,5−(4−クロロベンゾイル)ナフタル
ン,ビス−1,3−(4−クロロベンゾイル)ベンゼン,
ビス−4,4′−(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエ
ーテル,ビス−4,4′−(4−クロロベンゾイル)ジフ
ェニルスルフィド等を例示することができる。
上記式(III)で示される−CO−基を含むジハロベンゼ
ノイド化合物は、他種ジハライドとの混合物として用い
ることもできる。該ジハライドとしては具体的には4,
4′−ジクロロジフェニルスルホン,ビス−4,4′−(4
−クロロフェニルスルホニル)ビフェニル,ビス−2,6
−(4−クロロフェニルスルホニル)ナフタレン等を例
示することができる。
本発明のポリアリールエーテルケトンは、上述のハロフ
ェノール(I)、及び又はビスフェノールとジハロベン
ゼノイル化合物との混合物(II+III)を、アルカリ化
合物及び銅粉の存在下に加熱反応せしめることにより得
られる。
ここでアルカリ化合物としては、具体的には水酸化ナト
リウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物,
炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等の炭酸塩,炭酸水素ナ
トリウム,炭酸水酸カリウム等の重炭酸等のアルカリ金
属の塩類が使用される。アルカリ化合物としてはこれら
のうち炭酸ナトリウム,炭酸カリウムが好ましい。用い
るアルカリ化合物の量は上述の原料化合物中のフェノー
ル性OHに対して実質的に等当量とする。実質的に等当量
とはフェノール性OHの当量に対して、用いるアルカリ化
合物のアルカリ当量が95〜105%程度となる量を意味す
る。
本発明で用いる銅粉は、その平均粒径が20μm以下のも
のが好ましい。平均粒径が20μm以上のものでは重合反
応を促進するために多量の添加が必要となり、得られた
ポリマーの特性に好ましくない影響を及ぼすことがあ
る。この平均粒径は光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡によ
る測定等により容易に求めることができる。銅粉の平均
粒径は好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以
下とする。この銅粉としては特に制限はなく市販のもを
適宜用いてよいが、いわゆる活性銅粉を用いることがよ
り好ましい。銅粉の活性化方法としては従来公知の各種
方法が用い得るが、例えば硫酸銅を亜鉛末で還元して活
性銅粉を得る方法、銅粉をヨウ素及び/または塩酸等で
処理して活性化する方法等を挙げることができる。銅粉
の使用量は生成するポリアリールエーテルケトンポリマ
ーに対し0.001〜3重量%の量である。銅粉の使用量が
0.001重量%より少ないと重合反応の促進効果が十分で
なく、また3重量%より多いと得られるポリマーの特性
に好ましくない影響を及ぼす可能性がある。銅粉の使用
量としては0.005〜2重量%とすることが好ましく、0.0
1〜1重量%とすることが特に好ましい。上記の各成分
を加熱反応させる際の温度は特に制限はないが大略250
〜400℃程度とすることが好ましい。
また、この反応温度は最高反応温度を表わし、より低温
から反応を始めて連続的あるいは段階的に反応温度を上
昇させることも好ましく実施できる。
反応温度は、より好ましくは270〜380℃程度、特に好ま
しくは290〜360℃程度である。
反応は常圧下、加圧下、あるいは減圧下で行うことがで
きる。常圧下、加圧下で行う場合には窒素、アルゴン等
の不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。
反応を実施するに当っては、上記原料だけを無溶媒で加
熱反応せしめてもよいが、反応系を均一に保ち、より低
温で高重合度のポリマーを得るために、溶媒を用いるこ
とも好ましい。かかる溶媒としては反応温度においてそ
れ自身安定で、原料化合物、反応生成物あるいはポリマ
ーと非反応性でかつモノマー及び生成するポリマーと反
応温度において相溶し得る化合物であれば任意に用いる
ことができる。適当な溶媒としてはスルホン系化合物、
アミド系化合物が挙げられる。スルホン系化合物として
は、具体的にはジフェニルスルホン,ジトリルスルホ
ン,スルホラン等が例示でき、アミド系化合物としては
具体的にはN−メチル−2−ピロリドン,N−シクロヘキ
シル−2−ピロリドン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン等が例示できる。これらのうちスルホラン,ジフ
ェニルスルホンが好ましく、特にジフェニルスルホンが
好ましい。溶媒の使用量は特に制限はないが、生成する
ポリマーと溶媒との合計量に対し20〜80重量%程度とす
ることが好ましい。
加熱反応時間は特に制限はなく、ポリマーの重合度が十
分に上昇するに足る時間であればよく、これは用いる原
料の種類、溶媒の量、反応温度によっても異なるが、大
略1〜10時間程度である。
反応終了後、反応により生成した塩及び場合により溶媒
を夫々水及び溶媒は溶解するがポリマーは溶解しない有
機溶媒で処理して除去することにより目的とするポリア
リールエーテルケトンを得ることができる。得られるポ
リアリールエーテルケトンの重合度は、ηinhにして好
ましくは0.4以上、特に好ましくは0.5以上とする。
<発明の効果> 本発明方法によれば、銅粉の使用により、従来反応性が
低く安価ではあるがポリアリールエーテルケトンの重合
原料として用いることが困難であった塩素化合物を用い
て高重合度のポリマーを製造することが可能であり、ま
た、従来原料として使用困難であってハイドロキノンを
使用して高重合度ポリマーを製造することも可能となる
ので、その工業的意義は極めて大きい。
<実施例> 以下実施例を挙げて本発明を詳述する。
実施例中「部」は特にことわらない限り「重量部」を意
味する。ポリマーのηinhは濃硫酸中、ポリマー濃度0.5
g/dl、温度30℃にて測定した。もとポリマーの熱特性は
DSCにより10℃/分の昇温速度にて測定した値である。
また、各実施例において使用した銅粉は、Organic Synt
hesis Collective Volume 446に記載の方法に従い、
硫酸銅と亜鉛末より製造した。電子顕微鏡により平均粒
径を測定したところ約3μmであった。
実施例1 4−(4−クロロベンゾイル)フェノール20部、ジフェ
ニルスルホン25部及び銅粉0.017部を攪拌装置及び窒素
導入口を備えたガラス製反応器に入れ、常圧下窒素気流
中250℃に加熱して均一に溶解させて、次いで炭酸カリ
ウム5.94部を添加した。同温度で1時間保持した後、反
応温度を300℃に昇温し1時間保持した後、更に反応温
度を350℃に昇温した。2時間後、反応物は褐色不透明
で粘稠な溶融物となった。
得られた反応物を取り出し冷却固化させて粉砕し、これ
を還流下のアセトン及び水で各2回処理してジフェニル
スルホン及び塩化カリウムを抽出除去し次いで150℃で
4時間乾燥した。得られた淡黄色ポリマーはηinh1.1
8、融点は361℃であった。このポリマーを高化式フロー
テスターを用いて0.5mmφ×1mmLのノズルより410℃の温
度にて溶融押出したところ、強靭なモノフィラメントが
得られた。
比較例1 実施例1において銅粉を添加しない以外は同条件にて反
応させた。得られたポリマーはηinh=0.48であり、溶
融押出したモノフィラメントは極めて脆かった。
実施例2 ビス−4,4′−(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエ
ーテル50部、ハイドロキノン12.3部、ジフェニルスルホ
ン100部,及び銅粉0.43部を実施例1と同様のガラス器
に入れ、常圧下窒素気流中250℃に加熱して均一に溶解
させ、次いで炭酸カリウム15.4部を添加した。同温度で
1時間保持した後、反応温度を300℃に昇温し1時間保
持した後、更に反応温度を300℃に昇温し、1時間反応
させた後、更に反応温度を330℃に昇温し反応させた。
3時間後反応物は褐色不透明で粘稠な溶融物となった。
得られた反応物を実施例1と同様に粉砕、抽出した。得
られたポリマーは灰色粉末状で、ηinh0.96、融点338℃
であった。
比較例2 銅粉を添加しない以外は実施例2と同様に反応させた。
得られたポリマーはηinh0.33であった。
実施例3 4,4′−ジクロルベンゾフェノン25部、4,4′−ジヒドロ
キシベンゾフェノン21.3部、ジフェニルスルホン78部及
び銅粉0.25部を実施例1と同様のガラス反応器に入れ常
圧下窒素気流中、250℃に加熱溶融し次いで炭酸カリウ
ム13.7部を添加した。250℃で1時間反応後330℃に昇温
し、更に1時間後340℃に昇温し、反応させたところ、
反応物は徐々に粘稠となった。3時間後反応物を取り出
し、実施例1と同様に粉砕、抽出、乾燥した。得られた
ポリマーはηinh0.68、融点369℃であった。
比較例3 銅粉を添加しない以外は実施例3と同様に反応させたと
ころ、得られたポリマーはinh0.27であった。
実施例4 4−ヒドロキシ−4′−(4−クロロベンゾイル)ジフ
ェニルエーテル30部、ジフェニルスルホン48部及び銅粉
0.04部を撹拌装置及び窒素導入口を備えたガラス製反応
器に入れ、常圧下窒素気流中250℃に加熱して均一の溶
解させ、次いで炭酸カリウム6.4部を添加した。同温度
で1時間保持した後、反応温度を300℃に昇温し1時間
保持した後、更に反応温度を320℃に昇温した。4時間
後、反応物は褐色不透明で粘稠な溶融物となった。
得られた反応物を取り出し冷却固化させて粉砕し、これ
を還流下のアセトン及び水で各2回処理してジフェニル
スルホン及び塩化カリウムを抽出除去し、次いで150℃
で4時間乾燥した。得られたポリマーはηinh1.01、融
点は333℃であった。このポリマーを高化式フローテス
ターを用いて、0.5mmφ×1mmLのノズルより380℃の温度
で溶融押出したところ、褐色透明で強靭なモノフィラメ
ントが得られた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるハロフェノー
    ル、及び/又は下記一般式(II)で示されるビスフェノ
    ールと下記一般式(III)で示されるジハロベンゼノイ
    ド化合物との混合物、をフェノール性水酸基に対して実
    質的に等当量のアルカリ化合物及び生成するポリアリー
    ルエーテルケトンポリマーに対し0.001〜3重量%の銅
    粉の存在下に、加熱反応せしめることを特徴とするポリ
    アリールエーテルケトンの製造方法。
  2. 【請求項2】銅粉として、平均粒径2μm以下のものを
    使用する請求項(1)に記載の製造方法。
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