JPH0757100B2 - 高周波高圧電源の制御装置 - Google Patents

高周波高圧電源の制御装置

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JPH0757100B2
JPH0757100B2 JP4309824A JP30982492A JPH0757100B2 JP H0757100 B2 JPH0757100 B2 JP H0757100B2 JP 4309824 A JP4309824 A JP 4309824A JP 30982492 A JP30982492 A JP 30982492A JP H0757100 B2 JPH0757100 B2 JP H0757100B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コロナ放電処理装置等
に使用される高周波高圧電源において、負荷に供給され
る電力を制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、特開平1−218356号
公報に記載されているように、商用交流電源からの電力
を整流回路で整流し、その直流電力をインバータにより
スイッチングして高圧トランスで昇圧する高周波高圧電
源において、インバータと高圧トランスとの間にスイッ
チング半導体素子を接続し、そのスイッチング励振周波
数を変化させることによって高圧トランスからの高周波
出力電力を調整する方法を先に提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高周波高圧
電源からの高圧を放電電極に印加してコロナ放電により
プラスチックフィルム等を表面処理する場合、高周波高
圧電源のインバータから見て、高圧トランスと放電電極
と高圧配線部は直列共振回路を形成し、共振負荷とな
る。そのため、共振電流との間で常に同期をとったその
ゼロ付近でのスイッチング動作を行わないと、スイッチ
ング損失のため、発熱や素子の破壊などを招くが、上記
公開公報は単にスイッチング励振周波数を変化させると
いう概括的な方法を開示しているだけで、このような問
題点につき具体的に考慮されていない。また、出力電力
調整についても具体性に欠け、広範囲にわたる連続的な
調整を具体的に実現できない。
【0004】そこで、本発明の目的は、共振電流との間
で同期をとったそのゼロ付近でのスイッチング動作を行
うことでスイッチング損失をなくすとともに、その同期
動作が不連続とならず、しかも出力電力調整も広範囲に
連続して行えるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、本発明による制御装置は、高周波高圧電源の高
周波インバータと高圧トランスとの間、つまり共振回路
を流れる共振電流を検出する電流検出手段と、該電流検
出手段の検出電流を入力しそれと位相が対応した信号を
出力するPLL(Phase Locked Loo
p)回路と、該PLL回路の出力信号を入力して設定長
さのゼロ電圧出力期間を形成する回路と、そのゼロ電圧
出力期間では共振回路が短絡状態になるように高周波イ
ンバータのスイッチング半導体素子にゲート信号を出力
するゲート信号発生回路とを備えたものである。
【0006】ゼロ電圧出力期間を形成する回路は、パル
ス密度変調(Pulse Density Modul
ation)、つまりHIGHとLOWの比率を変える
パルス密度変調回路(以下、PDM回路と記す)で構成
することができる。また、高周波インバータのスイッチ
ング半導体素子としては、高速スイッチング素子である
絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)が好
ましい。
【0007】
【作用】共振回路の共振電流を電流検出手段で検出し、
PLL回路で共振電流と位相が一致する周波数でロック
して同期のとれたパルスを得る。このパルスに対して設
定長さのゼロ電圧出力期間を形成することで、スイッチ
ング半導体素子のためのゲート信号のパターンを変えて
出力電力調整をする。ゼロ電圧出力期間を形成すると、
その期間では電流検出手段が電流を検出できなくなる
が、この期間に共振回路が短絡状態になるようにスイッ
チング半導体素子を制御することで、PLL回路の動作
は不連続にはならず、同期動作を継続する。PDM回路
はPDM指令値を連続的に変化させることにより、パル
ス密度を連続的に変化させることができるので、出力電
力を連続的に任意に調整できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。高周波高圧電源は、図1に示すように例えば
3相200Vの商用交流電源1からの交流電圧を整流す
るダイオードブリッジ整流回路2と、直流リアクトル3
及びコンデンサ4からなる平滑回路5と、整流された直
流を高周波に変換する高周波インバータ6と、その高周
波電圧を昇圧する高圧トランス7とで構成され、放電電
極8に高周波高電圧を印加する。高周波インバータ6か
ら見て、高圧トランス7から放電電極8までの間は、高
圧トランス7の漏れインダクタンス及び漂遊容量と、放
電電極8の容量及び配線抵抗とによるRCL直列共振回
路を構成しており、外付けのリアクトル及びコンデンサ
は不要となっている。
【0009】高周波インバータ6は、本例ではtwo−
in−oneタイプの絶縁ゲート型バイポーラトランジ
スタモジュールを2個使用し、4個の絶縁ゲート型バイ
ポーラトランジスタ(以下、IGBTと記す)9a・9
b・9c・9dと2個の結合コンデンサ10とによる単
相フルブリッジ構成となっている。各IGBTには、タ
ーンオン時におけるスイッチング損失を防止するための
還流ダイオード11と、ターンオフ時におけるコレクタ
・エミッタ間電圧の上昇を抑制すると同時にコレクタ電
流をバイパスさせてスイッチング損失を低減するための
スナバコンデンサ12が並列接続されている。この例で
は、図3の(1)及び(2)に示すように高周波インバ
ータ6の出力電圧v0 に対して出力電流i0 が位相角β
だけ常に遅れ位相になるように、後述の如く制御する。
【0010】このような高周波高圧電源において、本発
明による制御装置は、高周波インバータ6と高圧トラン
ス7との間に流れる共振電流を電流検出器13で検出
し、その電流を制御回路14に入力して該制御回路14
から共振電流と同期するゲート信号を出力し、該ゲート
信号によってIGBT9a・9b・9c・9dをオン・
オフ制御するとともに、そのゲート信号となるパルスの
密度を任意に変調することにより、高周波高圧電源の電
力制御を行うもので、図2に制御回路14の構成例を示
す。
【0011】制御回路14は大別してPLL回路15と
PDM回路16とからなっている。PLL回路15はゼ
ロクロスコンパレータ17と位相比較器18と低域フィ
ルタ19と三角波発振器(電圧制御発振器)20とコン
パレータ21とで構成されている。ゼロクロスコンパレ
ータ17は、電流検出器13で検出された共振電流を図
3(3)に示すように矩形波に変換するためのもので、
その出力は位相比較器18においてコンパレータ21か
らの図3(4)に示す出力と立ち上がり位相を比較され
る。この位相比較器18の出力は低域フィルタ19を介
して三角波発振器20へ入力され、該三角波発振器20
から図3(5)に示すような三角波信号を出力する。こ
の三角波信号は、図示しない操作部からの位相角指令信
号とコンパレータ21で比較され、該コンパレータ21
から図3(4)に示すように位相角指令信号による位相
角βだけズレたパルスが出力され、該パルスは上記のよ
うに位相比較器18において位相比較される。従って、
PLL回路15はコンパレータ17の出力とコンパレー
タ21の出力の位相が一致する周波数でロックする。
【0012】PDM回路16は、コンパレータ22と論
理積回路23とラッチ回路24とコンパレータ25と積
分器26とデッドタイム回路27とで構成されている。
コンパレータ22は、上記三角波発振器20からの三角
波信号を図3(6)・(7)に示すように2系統の反転
したパルスに変換する。この場合、そのパルスは、PL
L回路15における上記のような動作からコンパレータ
21の出力、すなわち共振電流i0 よりβだけ進み位相
となる。
【0013】コンパレータ22からの一方のパルスは、
図3(8)に示すようにラッチ回路24に基準信号(ク
ロックパルス)として入力される。該ラッチ回路24か
らの図3(9)に示す出力は積分器26に図3(10)
に示すように入力されて積分され、図3(11)に示す
ような波形となる。その積分出力は操作部からのPDM
指令信号とコンパレータ25で比較され、該コンパレー
タ25から図3(12)に示すようにHIGHとLOW
の比率を変えたパルスが出力される。この変調(パルス
密度変調)されたパルスを再びラッチ回路24に入力す
ることで、PDMループが形成される。そして、このル
ープ出力をコンパレータ22の2系統の出力パルス(基
準信号)と論理積回路23で論理積をとることで、共振
電流との同期をとりながらゼロ電圧出力期間を作り出
す。この場合、論理積回路23からのA・B2系統の出
力は、図3(13)・(14)に示すようにAがHIG
Hの後、Bが連続してHIGHとなってそれがPDM指
令で設定した時間間隔で繰り返される。すなわち、コン
パレータ22の2系統の出力パルスのHIGH部分を間
引きするもので、その間引き数はPDM指令により任意
に調整できる。
【0014】論理積回路23からのA・B2系統の出力
は、IGBT9a・9b・9c・9dをオン・オフさせ
るゲート信号発生回路でもあるデッドタイム回路27に
入力され、該デッドタイム回路27から図3(15)・
(16)・(17)・(18)に示すように一定のデッ
ドタイムdだけ遅延した4系統のゲート信号として出力
される。そして、同図(15)の出力は図1中のIGB
T9aに、(16)の出力はIGBT9bに、(17)
の出力はIGBT9cに、(18)の出力はIGBT9
dにそれぞれゲート信号として入力される。すなわち、
Aアーム(図1において左側)は、IGBT9aのため
のゲートパルスを反転したパルスをIGBT9bに、ま
たBアーム(右側)は、IGBT9cのためのゲートパ
ルスを反転したパルスをIGBT9dにそれぞれゲート
パルスとして入力し、IGBT9a・9がオンの後、
ずIGBT9c・9がオンになるようにする。ゼ
電圧出力期間では、A・B共に下側のIGBT9b・9
dが必ずオンになるようにして共振回路を短絡状態とす
る。
【0015】このように、ゼロ電圧出力期間においてI
GBT9b・9dを必ずオンとして負荷の共振回路を短
絡状態とすると、この期間でも上記電流検出器13は電
流を検出できるため、PLL回路15は動作が不連続と
ならず、上述のような同期動作を継続できる。また、P
DM回路18はPDM指令値を連続的に変化させること
ができるため、パルス密度も連続に変化し、ゼロ電圧出
力期間を任意に調整できる。放電電力は電圧の2乗に比
例するため、本装置では電力を100%から1%弱まで
連続的に任意に調整できる。
【0016】上記のような構成に基づいて試作装置を製
作し、試験を行った。使用したIGBTモジュールの最
大定格は、コレクタ・エミッタ間電圧500V、コレク
タ電流50Aで、それによる高周波インバータ6の定常
周波数は30KHz、電力5KWである。また、デッド
タイム回路27におけるデッドタイムdは1.5μse
c、高圧トランス7の巻数比は30:600である。図
4から図10に実験結果を示す。
【0017】図4は高周波インバータ6の最大出力時の
出力電流i0 と出力電圧v0 の波形、図5はそのときの
出力電流i0 とIGBT9b・9dのコレクタ・エミッ
タ間電圧vceの波形で、出力電力は約5.6KWであ
る。図6は33%出力時の出力電流i0 と出力電圧v0
の波形、図7はそのときの出力電流i0 とIGBT9b
・9dのコレクタ・エミッタ間電圧vceの波形である。
このとき、出力電圧は共振電流の2周期の間に1パルス
が出力されており、出力電圧は最大出力時の約1/2
で、出力電力は約1.9KWとなっている。図8は3.
4%出力時の出力電流i0 と出力電圧v0 の波形であ
る。このとき、出力電圧は最大出力時の1/13とな
り、出力電力は約0.2KWとなっている。図9は1
6.66%出力時の高圧トランス7の2次電圧と2次電
流の波形、図10は同じく7.1%出力時の2次電圧と
2次電流の波形である。
【0018】図1に示した実施例では高周波インバータ
6を4個のIGBTによるフルブリッジ構成としたが、
図11に示すように2個のIGBT9a・9bによるハ
ーフブリッジ構成とし、コンデンサ28を介して高圧ト
ランス7と接続してもよい。高周波インバータ6をIG
BTで構成すると、高速動作の確実なインバータとする
ことができるが、FETで構成してもよく、また要求さ
れる周波数がそれほど高周波でない場合には、その他の
一般的なスイッチング半導体素子であっても構わない。
【0019】更に、PDM回路16は上記のようなアナ
ログ回路構成に代えてデジタル回路構成にすることもで
きる。この場合は、PLL回路15からの信号をカウン
タでデジタルデータに変換した後、予め種々のパルスパ
ターンを記憶させてある記憶装置から任意のパターンの
パルスを、カウンタからのデータに従い読み出す。そし
て、その読み出したパルスを、PLL回路からのパルス
と同期させて高周波インバータのためのゲート信号を得
る。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、共振
回路の共振電流を電流検出器で検出し、PLL回路で共
振電流と位相が一致する周波数でロックして同期をと
り、その同期をとったパルスで高周波インバータのスイ
ッチング半導体素子をオン・オフ制御するため、スイッ
チング損失を低減できる。また、PLL回路のパルスに
対して設定長さのゼロ電圧出力期間を形成することで、
スイッチング半導体素子のためのゲート信号のパターン
を変えて出力電力調整をするが、この期間に共振回路が
短絡状態になるようにスイッチング半導体素子を制御す
るため、PLL回路の動作は不連続にはならず、同期動
作を継続させることができる。
【0021】請求項2によれば、PDM回路はPDM指
令値を連続的に変化させることにより、パルス密度を連
続的に変化させることができるので、出力電力を連続的
に任意に調整できる。従って、コロナ放電処理する場
合、弱い処理から強い処理まで広範囲にかつ精密に調整
することができるようになる。また請求項3によれば、
高周波インバータを高速動作の確実なインバータにでき
るため、安定した高周波出力が取り出せる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波高圧電源の一例の電気回路図である。
【図2】同高周波高圧電源を制御する本発明による制御
装置の一例のブロック図である。
【図3】同制御装置の動作タイミングチャートである。
【図4】同制御装置の試作装置による実験結果の最大出
力時の出力電流と出力電圧の波形図である。
【図5】同上における出力電流と絶縁ゲート型バイポー
ラトランジスタ(IGBT)のコレクタ・エミッタ間電
圧の波形図である。
【図6】33%出力時の出力電流と出力電圧の波形図で
ある。
【図7】同上における出力電流とIGBTのコレクタ・
エミッタ間電圧の波形図である。
【図8】3.4%出力時の出力電流と出力電圧の波形図
である。
【図9】16.66%出力時の高圧トランスの2次電圧
と2次電流の波形図である。
【図10】7.1%出力時の高圧トランスの2次電圧と
2次電流の波形図である。
【図11】高周波インバータをIGBT2個によるハー
フブリッジ構成とした高周波高圧電源の電気回路図であ
る。
【符号の説明】
1 商用交流電源 2 平滑回路 6 高周波インバータ 7 高圧トランス 8 放電電極 9a・9b・9c・9d 絶縁ゲート型バイポーラト
ランジスタ 13 電流検出器 14 制御回路 15 PLL回路 16 パルス密度変調回路(PDM回路) 27 デッドタイム回路(ゲート信号発生回路)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】商用交流電源からの交流電圧を整流回路で
    直流に整流し、スイッチング半導体素子をブリッジ接続
    した高周波インバータで高周波に変換した後、高圧トラ
    ンスで昇圧し、高圧トランスから負荷までの間が高周波
    インバータに対して共振回路を形成する高周波高圧電源
    において、前記高周波インバータと前記高圧トランスと
    の間を流れる電流を検出する電流検出手段と、該電流検
    出手段の検出電流を入力しそれと位相が対応した信号を
    出力するPLL回路と、該PLL回路の出力信号を入力
    して設定長さのゼロ電圧出力期間を形成する回路と、そ
    のゼロ電圧出力期間では前記共振回路が短絡状態になる
    ように前記高周波インバータのスイッチング半導体素子
    にゲート信号を出力するゲート信号発生回路とを備えた
    ことを特徴とする高周波高圧電源の制御装置。
  2. 【請求項2】前記ゼロ電圧出力期間を形成する回路がパ
    ルス密度変調回路である請求項1に記載の高周波高圧電
    源の制御装置。
  3. 【請求項3】前記スイッチング半導体素子が絶縁ゲート
    型バイポーラトランジスタである請求項1に記載の高周
    波高圧電源の制御装置。
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