JPH0756144Y2 - レーザ加工用ヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はレーザビームを集光して
切断，溶接，表面改質等のレーザ加工を行うためのレー
ザ加工用ヘッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高出力（１ｋＷ以上）のレーザビームを
照射してレーザ加工を行うレーザ加工用ヘッドにあって
は、レーザビームを集光させるために放物面鏡を用いた
反射型が一般に採用されている例えば図７に示される如
く、加工用ヘッド１０１のハウジング本体１０２一端側
にはビーム導入口１０３が備えられ、ハウジング本体１
０２他端側には集光用凹面鏡としての放物面鏡１０４を
内装状としてミラーホルダ１０５が着脱可能に固定さ
れ、ハウジング本体１０２の周面一側にはノズル１０６
が装着され、ノズル１０６先端部の雄ネジ部１０６ａに
チップ１０７が着脱自在に螺合装着された構造のものが
ある。

【０００３】そして、ビーム導入口１０３から導入され
たレーザビームＬＢは放物面鏡１０４でノズル１０６方
向に反射され、集光されながらノズル１０６内およびチ
ップ１０７内を通過し、チップ先端口１０７ａ側よりワ
ークに照射され、加工処理を行う方式とされている。

【０００４】この際、レーザビームＬＢがチップ先端口
１０７ａの中心を通過するよう予め調整しておく必要が
あり、その調整方法として、チップ先端口１０７ａの略
中心にレーザビームＬＢが位置されるよう放物面鏡１０
４の姿勢を調整した後、ノズル１０６をノズル１０６の
軸心と直交する平面内で移動させる微調整によりチップ
先端口１０７の中心にレーザビームＬＢを合致させる方
法が採用されていた。即ち、図７乃至図９に示される如
く、ミラーホルダ１０５は合計３個所の調整機構１０８
によりハウジング本体１０２に着脱自在に取付け固定さ
れている。そして調整機構１０８はミラーホルダ１０５
に螺挿された押しボルト１０９と、該押しボルト１０９
内を挿通状としてハウジング本体１０２に螺合された締
結ボルト１１０と、ロックナット１１１とからなり、放
物面鏡１０４の姿勢調整は、適宜調整機構１０８を選択
して、ロックナット１１１を緩め、押しボルト１０９お
よび締結ボルト１１０を進退調整した後、ロックナット
１１１を締結することによって行っていた。

【０００５】また図７に示される如く、ノズル１０６の
基端部外周面、即ち上端部側には円形状の支持フランジ
１０６ｂが張出状に設けられており、該支持フランジ１
０６ｂがハウジング本体１０２側に設けられた支持部１
０２ａ内周面に形成された周溝部１０２ｂ内に、ノズル
１０６の軸心、即ち上下方向の軸心と直交する平面内で
移動可能に嵌合されて、ノズル１０６がハウジング本体
１０２側に支持される方式とされている。そして支持部
１０２ａには周方向に等間隔を有して３本の調整ネジ１
１２が周溝部１０２ｂ 内に突出状に螺挿されており、
各調整ネジ１１２を進退調整することによって支持フラ
ンジ１０６ｂが前記軸心と直交する平面内で押動され、
ここにノズル１０６が前記軸心と直交する平面内で微調
整される。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
造によれば、ハウジング本体１０２側に装着されるノズ
ル１０６の基部側で調整を行う方式であり、チップ先端
口１０７ａまでの距離が長いため、基部側の僅かな調整
量がチップ１０７側の変位量に大きく影響し、微調整が
難しい欠点があった。またノズル１０６は単に３本の調
整ネジ１１２の押圧によるバランスによって保持されて
いる構造であり、チップ１０７消耗等によるチップ１０
７交換時にチップ１０７の螺退による取外しが円滑に行
えない場合、例えば加工処理時において、スパッタ等が
ノズル１０６先端部の雄ネジ部１０６ａとチップ１０７
の雌ネジ部１０７ｂとの螺合部に侵入して固着している
場合、ノズル１０６側に大きな負荷が作用し、ノズル１
０６の位置ずれを招き、チップ１０７交換の都度、ノズ
ル１０６側の微調整が必要とされる欠点もあり、チップ
１０７交換作業が面倒な作業となっていた。

【０００７】そこで、本考案は上記問題点に鑑み、レー
ザビームがチップ先端口の中心を通過するための調整が
容易で、チップ交換作業も容易に行えるレーザ加工用ヘ
ッドを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の技術的手段は、一端側にビーム導入口を備え、他端側
にミラー装着口を備えたハウジング本体に、集光用凹面
鏡を備えてなるミラーホルダーが、凹面鏡をミラー装着
口より挿入状として姿勢調整自在に取付けられ、ビーム
導入口から導入されたレーザビームを凹面鏡で反射さ
せ、集光させながらノズル内およびノズル先端部に備え
られたチップ内を通過させてチップ先端口より照射させ
るレーザ加工用ヘッドにおいて、前記ノズル先端部内
に、円筒状チップ受けがノズルの軸心方向と平行な軸心
を有した状態で収容されると共に、ノズル先端部に螺挿
された周方向複数の調整ネジにより径方向に移動調整自
在に支持され、前記チップにはチップ受け内に嵌合され
るはめあい軸部と、該はめあい軸部の一端側に張出状に
設けられたフランジ部が備えられ、チップ受け内にはめ
あい軸部がノズル先端側より嵌合状とされると共に、フ
ランジ部がノズル先端部に螺合装着されたチップ固定キ
ャップとチップ受け端面とで挟持されてなる点にある。

【０００９】

【作用】本考案によれば、レーザビームがチップ先端口
の中心を通過するように調整する場合においては、従来
同様、集光用凹面鏡を姿勢調整して、レーザビームがチ
ップ先端口の略中心を通過するように予め調整する。次
にノズル先端部に螺挿された各調整ネジを進退調整して
チップ受けをノズルの軸心と直交する径方向に移動調整
し、レーザビームがチップ先端口の中心を通過するよう
に微調整する。この際、チップを直接保持するチップ受
けを移動調整する方式であり、チップ先端口までの距離
も短く、チップ受けの調整量が直接、チップの変位量と
なり、微調整が容易に行なえる。

【００１０】チップを交換する場合には、チップ固定キ
ャップをノズル先端部より取外し、その後、チップ受け
からチップを離脱させ、新たなチップのはめあい軸部を
チップ受け内に嵌合し、再度、チップ固定キャップを螺
合装着すればよい。この際、チップ受けに対しては、単
にチップのはめあい軸部を嵌脱操作するだけであり、大
きな負荷が作用せず、位置ずれが有効に防止でき、ここ
にチップを交換した際にもチップ先端口の中心をレーザ
ビームが通過する位置関係が維持され、チップ交換作業
も容易に行なえる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の第１実施例を図面に基づいて
説明すると、図４はレーザ加工用ロボットＲＢの外観斜
視図を示し、１はベースであり、その上部には、中空の
旋回柱２が上下方向の軸心回りに旋回自在に支持されて
いる。

【００１２】旋回柱２には中空の昇降体３が支持されて
おり、昇降体３は旋回柱２の旋回軸心Ｐ上を上下動自在
とされている。

【００１３】昇降体３には中空の水平腕４が支持されて
おり、水平腕４は旋回軸心Ｐと直交する水平軸心Ｑ上を
移動自在とされている。

【００１４】水平腕４一端には水平軸心Ｑ回りに回動自
在に、中空の第１ハウジング５が支持され、この第１ハ
ウジング５には水平軸心Ｑと直交する軸心Ｒ回りに回動
自在に、中空の第２ハウジングとしてのハウジング本体
６が支持されている。またハウジング本体６には回動軸
心Ｒと直交する軸心Ｓ方向に延びるノズル７が取付けら
れており、ハウジング本体６及びノズル７によってレー
ザ加工用ヘッド８が主構成されている。

【００１５】９はＣＯ₂ レーザ発振装置であり、これよ
り出力されたレーザビームは屈折部１０により下向きに
反射され、その反射光の光軸は旋回軸心Ｐに一致されて
いる。

【００１６】図５はレーザ加工用ロボットＲＢにおける
光学系模式図を示し、レーザ発振装置９から射出された
レーザビームＬＢの光軸は屈折部１０内に設けられたミ
ラー１２で旋回軸心Ｐに沿って反射され、その後、昇降
体３内に設けられたミラー１３で水平軸心Ｑに沿って反
射され、さらに第１ハウジング５内に設けられたミラー
１４で軸心Ｒに沿って反射された後、ハウジング本体６
内に設けられた集光用凹面鏡としての放物面鏡１５によ
って集光されながら軸心Ｓに沿って反射され、ワークに
照射される。

【００１７】レーザ加工用ヘッド８は、図１乃至図３に
示される如く、従来と略同様に構成されており、ハウジ
ング本体６の一端側にはビーム導入口２０が備えられ、
他端側にはミラー装着口２１が備えられている。

【００１８】そして、放物面鏡１５が予め取付けられた
ミラーホルダー２３が、放物面鏡１５をミラー装着口２
１より挿入状として、ミラー装着口２１側端面に前述同
様の３個所の調整機構２４により着脱自在に取付け固定
されている。また第２ハウジング６の周面一側にはノズ
ル７の基部７ａが複数のボルト２５により締結されてい
る。

【００１９】ノズル７の先端部７ｂは若干細径に形成さ
れた円筒状に形成されており、先端部７ｂの内周面に
は、ノズル７の軸心方向、即ち軸心Ｓ方向と直交する径
内方向に張出し形成された環状の支持フランジ７ｃが備
えられている。そして先端部７ｂと支持フランジ７ｃと
で構成された凹部７ｄ内に、円筒状チップ受け２７が前
記軸心Ｓ方向と平行な軸心を有した状態で収容されると
共に、ノズル７の先端部７ｂに周方向に略等間隔を有し
て形成された３個所の雌ネジ孔７ｅに螺挿された３本の
調整ネジ２８により固定支持されている。なお、本実施
例では各調整ネジ２８は六角穴付きネジとされている。

【００２０】チップ２９はチップ受け２７の内周面２７
ａに密着状として嵌脱自在に嵌合されるはめあい軸部２
９ａと、該はめあい軸部２９ａの一端側に径方向に張出
状に設けられたフランジ部２９ｂと、該フランジ部２９
ｂの他の一端側に漸次径小となるテーパ状に突設された
円錐部２９ｃとから構成されており、はめあい軸部２９
ａ、フランジ部２９ｂおよび円錐部２９ｃの各中心を通
ってビーム案内孔２９ｄが形成されている。

【００２１】そして、チップ２９のはめあい軸部２９ａ
がチップ受け２７内にノズル７の先端側より嵌合状とさ
れ、ノズル７の先端部７ｂ端縁外周面に形成された雄ネ
ジ部７ｆに螺合装着されたチップ固定キャップ３０の蓋
部３０ａと、チップ受け２７の端面とでチップ２９のフ
ランジ部２９ｂが挟持されて保持される構造とされてい
る。

【００２２】本考案の第１実施例は以上のように構成さ
れており、レーザビームＬＢがチップ先端口２９ｅの中
心を通過するように調整する場合においては、先に従来
同様、調整機構２４を調整操作して、放物面鏡１５を姿
勢調整し、レーザビームＬＢがチップ先端口２９ｅの略
中心を通過するように予め調整する。次にチップ固定キ
ャップ３０の締結状態を若干緩めたチップ受け２７およ
びチップ２９の移動可能状態で、各調整ネジ２８を適宜
進退調整すれば、チップ受け２７は軸心Ｓと直交する径
方向に移動調整自在となり、ここにチップ受け２７を移
動調整すれば、チップ受け２７と一体的にチップ２９が
軸心Ｓと直交する平面内で移動調整され、レーザビーム
ＬＢがチップ先端口２９ｅの中心を通過するように微調
整すればよい。そして、その調整後、チップ固定キャッ
プ３０を締結状態としておけばよい。

【００２３】以上のように、チップ２９を直接支持する
チップ受け２７を移動調整する方式であり、チップ先端
口２９までの距離も短く、チップ受け２７の調整量が直
接、チップ２９の変位量となり、微調整が容易に行なえ
る。また各調整ネジ２８は小形部材としてのチップ受け
２７とチップ２９との径方向の移動を規制するだけでよ
く、従来構造のようにノズル全体の移動を規制する場合
と比較して、部材重量等による負荷が軽減でき、大きな
保持力が必要とされず、構造の簡素化、コンパクト化が
図れる。

【００２４】次にチップ２９を交換する場合において
は、チップ固定キャップ３０をノズル７の先端部７ｂよ
り取外し、その後、チップ受け２７からチップ２９を離
脱させ、新たなチップ２９のはめあい軸部２９ａをチッ
プ受け２７内に嵌合し、再度、チップ固定キャップ３０
を螺合装着すればよい。

【００２５】この際、チップ受け２７に対しては、単に
チップ２９のはめあい軸部２９ａを嵌脱操作するだけで
あり、大きな負荷が作用せず、チップ受け２７の位置ず
れが有効に防止でき、従ってチップ２９を交換した際に
もチップ先端口２９ｅの中心をレーザビームＬＢが通過
する位置関係が維持され、チップ２９の交換作業が容易
となる。

【００２６】また加工処理時にスパッタ等がノズル７の
先端部７ｂとチップ固定キャップ３０との螺合部に侵入
して、チップ固定キャップ３０の取外しが円滑に行なわ
れず、ノズル７側に大きな負荷が作用した場合であって
も、ノズル７は第２ハウジング６側に強固にボルト２５
締結されており、ノズル７の位置ずれが有効に防止で
き、一方、各調整ネジ２８には負荷が何等作用せず、こ
の際においても、レーザビームＬＢの通過位置とチップ
先端口２９ｅとの位置関係が有効に維持できる。

【００２７】図６は第２実施例を示しており、各調整ネ
ジ２８がノズル７の先端部７ｂの雄ネジ部７ｆに位置さ
れ、チップ固定キャップ３０で覆われた構造とされてい
る。従って各調整ネジ２８に対するスパッタ等の付着が
有効に防止できる。

【００２８】

【考案の効果】以上のように本考案のレーザ加工用ヘッ
ドによれば、ノズル先端部内に円筒状のチップ受けが周
方向複数の調整ネジにより径方向に移動調整自在に支持
され、チップ受け内にチップのはめあい部が嵌合状とさ
れて、ノズル先端部に対するチップ固定キャップの螺合
装着によりチップのフランジ部が挟持される方式であ
り、レーザビームがチップ先端口の中心を通過するよう
に調整する際の調整が容易となると共に、チップ交換作
業時においても新たに取付けられるチップ先端口の位置
ずれが有効に防止でき、チップ交換作業も容易に行える
利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す要部断面図である。

【図２】図１のII−II線断面図である。

【図３】レーザ加工用ヘッドの全体側面図である。

【図４】レーザ加工用ロボットの全体外観図である。

【図５】レーザ加工用ロボットの光学系説明図である。

【図６】第２実施例を示す要部断面図である。

【図７】従来例を示す全体側面図である。

【図８】図７のVIII−VIII線矢視図である。

【図９】図８のIX−IX線断面矢視図である。

【符号の説明】

６ ハウジング本体 ７ ノズル ７ｂ 先端部 ８ レーザ加工用ヘッド １５ 放物面鏡 ２０ ビーム導入口 ２１ ミラー装着口 ２３ ミラーホルダー ２４ 調整機構 ２５ ボルト ２７ チップ受け ２８ 調整ネジ ２９ チップ ２９ａ はめあい軸部 ２９ｂ フランジ部 ２９ｅ チップ固定キャップ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小林 正和 兵庫県西宮市田近野町６番107号 新明和 工業株式会社開発技術本部内 (72)考案者 桃崎 潤子 兵庫県西宮市田近野町６番107号 新明和 工業株式会社開発技術本部内 (72)考案者 黒田 俊英 兵庫県西宮市田近野町６番107号 新明和 工業株式会社開発技術本部内 (72)考案者 美藤 龍平 兵庫県宝塚市新明和町１番１号 新明和工 業株式会社産業機械事業部内 (56)参考文献 特開 昭59−24595（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端側にビーム導入口を備え、他端側に
   ミラー装着口を備えたハウジング本体に、集光用凹面鏡
   を備えてなるミラーホルダーが、凹面鏡をミラー装着口
   より挿入状として姿勢調整自在に取付けられ、ビーム導
   入口から導入されたレーザビームを凹面鏡で反射させ、
   集光させながらノズル内およびノズル先端部に備えられ
   たチップ内を通過させてチップ先端口より照射させるレ
   ーザ加工用ヘッドにおいて、 前記ノズル先端部内に、円筒状チップ受けがノズルの軸
   心方向と平行な軸心を有した状態で収容されると共に、
   ノズル先端部に螺挿された周方向複数の調整ネジにより
   径方向に移動調整自在に支持され、 前記チップにはチップ受け内に嵌合されるはめあい軸部
   と、該はめあい軸部の一端側に張出状に設けられたフラ
   ンジ部が備えられ、 チップ受け内にはめあい軸部がノズル先端側より嵌合状
   とされると共に、フランジ部がノズル先端部に螺合装着
   されたチップ固定キャップとチップ受け端面とで挟持さ
   れてなることを特徴とするレーザ加工用ヘッド。