JPH0753629A - 耐候性に優れるマクロモノマーの製造方法 - Google Patents
耐候性に優れるマクロモノマーの製造方法Info
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- JPH0753629A JPH0753629A JP22792993A JP22792993A JPH0753629A JP H0753629 A JPH0753629 A JP H0753629A JP 22792993 A JP22792993 A JP 22792993A JP 22792993 A JP22792993 A JP 22792993A JP H0753629 A JPH0753629 A JP H0753629A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 分子中にチオエーテル結合を有し、かつ分子
の片末端にラジカル重合性基を有する数平均分子量が1,
000〜20,000のマクロモノマーと過酸化物を反応
させ、前記マクロモノマーにおけるチオエーテル結合の
イオウ原子をスルホンに酸化する。 【効果】 従来合成法で工業生産されたチオエーテル結
合をもつマクロモノマーの一部を高耐候性マクロモノマ
ーの転換工程へ容易に適用できるため、従来タイプと高
耐候性のマクロモノマーを並列生産する工程が簡素化さ
れる。本発明による耐候性に優れるマクロモノマーを他
の単量体と共重合して得られるグラフト重合体は、とく
に塗料用として好適である。
の片末端にラジカル重合性基を有する数平均分子量が1,
000〜20,000のマクロモノマーと過酸化物を反応
させ、前記マクロモノマーにおけるチオエーテル結合の
イオウ原子をスルホンに酸化する。 【効果】 従来合成法で工業生産されたチオエーテル結
合をもつマクロモノマーの一部を高耐候性マクロモノマ
ーの転換工程へ容易に適用できるため、従来タイプと高
耐候性のマクロモノマーを並列生産する工程が簡素化さ
れる。本発明による耐候性に優れるマクロモノマーを他
の単量体と共重合して得られるグラフト重合体は、とく
に塗料用として好適である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性に優れるマクロ
モノマーの製造方法に係り、とくに他のビニルモノマー
と共重合させた際、自動車、家電製品、建築、船舶など
の塗装用樹脂として有用なグラフト共重合体を得ること
ができるラジカル重合性マクロモノマーの工業的な製造
方法に関する。
モノマーの製造方法に係り、とくに他のビニルモノマー
と共重合させた際、自動車、家電製品、建築、船舶など
の塗装用樹脂として有用なグラフト共重合体を得ること
ができるラジカル重合性マクロモノマーの工業的な製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】数平均分子量が5,000〜10,000程
度の重合体の片末端に、メタクリロイル基またはスチリ
ル基等のラジカル重合性基を有する高分子量単量体は、
一般的にマクロモノマーと称され、それを他のモノマー
と共重合することにより、枝ポリマーが十分に長く、か
つ幹ポリマー1個当たりの枝ポリマーの個数が目的に応
じて制御された、塗料、接着剤および各種高分子添加剤
等として好適なグラフト共重合体が得られることが知ら
れている。
度の重合体の片末端に、メタクリロイル基またはスチリ
ル基等のラジカル重合性基を有する高分子量単量体は、
一般的にマクロモノマーと称され、それを他のモノマー
と共重合することにより、枝ポリマーが十分に長く、か
つ幹ポリマー1個当たりの枝ポリマーの個数が目的に応
じて制御された、塗料、接着剤および各種高分子添加剤
等として好適なグラフト共重合体が得られることが知ら
れている。
【0003】マクロモノマーの合成方法については、例
えば山下雄也編著の「マクロモノマーの化学と工業」
(株式会社アイピーシー,平成元年9月20日発行)第
39〜77頁に各種の方法が記載されているが、代表的
な方法として、カルボキシル基等の反応性基を有する連
鎖移動剤を使用して分子の片末端に反応性基を有する前
駆重合体を合成し、次いで該重合体の末端にエチレン性
不飽和結合を導入させるという方法がある。この連鎖移
動剤を使用する合成方法は、操作が比較的容易であると
いう理由で工業的に多く実施されている。
えば山下雄也編著の「マクロモノマーの化学と工業」
(株式会社アイピーシー,平成元年9月20日発行)第
39〜77頁に各種の方法が記載されているが、代表的
な方法として、カルボキシル基等の反応性基を有する連
鎖移動剤を使用して分子の片末端に反応性基を有する前
駆重合体を合成し、次いで該重合体の末端にエチレン性
不飽和結合を導入させるという方法がある。この連鎖移
動剤を使用する合成方法は、操作が比較的容易であると
いう理由で工業的に多く実施されている。
【0004】上記の合成方法においては、一般に連鎖移
動剤として連鎖移動定数の大きいメルカプタン系化合物
が使用されているため、マクロモノマーの前駆重合体の
末端にはメルカプタンに由来するチオエーテル結合、す
なわちC−S−C結合が導入されることになる。したが
って、該前駆重合体から得られるマクロモノマーもチオ
エーテル結合を含むが、このチオエーテル結合は紫外線
により劣化し易いために、上記方法によって合成された
マクロモノマーおよび該マクロモノマーを他のモノマー
と共重合してなるグラフト共重合体は、耐候性が必ずし
も十分とはいえず、塗料用樹脂としての使用には制約が
あった。
動剤として連鎖移動定数の大きいメルカプタン系化合物
が使用されているため、マクロモノマーの前駆重合体の
末端にはメルカプタンに由来するチオエーテル結合、す
なわちC−S−C結合が導入されることになる。したが
って、該前駆重合体から得られるマクロモノマーもチオ
エーテル結合を含むが、このチオエーテル結合は紫外線
により劣化し易いために、上記方法によって合成された
マクロモノマーおよび該マクロモノマーを他のモノマー
と共重合してなるグラフト共重合体は、耐候性が必ずし
も十分とはいえず、塗料用樹脂としての使用には制約が
あった。
【0005】本発明者らは、上記課題を解決する手段と
して、マクロモノマーの前駆重合体を過酸化物で酸化さ
せ、該重合体におけるチオエーテル結合のイオウ原子を
紫外線に対する安定性の高いスルホンに転換した後にマ
クロモノマー化反応を行うという方法を創作し、先に特
許出願をしている(特願平4−303825号)。
して、マクロモノマーの前駆重合体を過酸化物で酸化さ
せ、該重合体におけるチオエーテル結合のイオウ原子を
紫外線に対する安定性の高いスルホンに転換した後にマ
クロモノマー化反応を行うという方法を創作し、先に特
許出願をしている(特願平4−303825号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、少量多
品種の化学製品が求められる今日、工業的規模で前駆重
合体を製造すると、1バッチで得られた前駆重合体につ
いてはその一部が高耐候性のマクロモノマーの原料にさ
れ、残余は従来タイプのマクロモノマーの原料に用いら
れることが多い。この場合、酸化処理された前駆重合体
と未処理の前駆重合体のマクロモノマー化を別々に行う
必要があり、生産工程の簡素化が望まれていた。
品種の化学製品が求められる今日、工業的規模で前駆重
合体を製造すると、1バッチで得られた前駆重合体につ
いてはその一部が高耐候性のマクロモノマーの原料にさ
れ、残余は従来タイプのマクロモノマーの原料に用いら
れることが多い。この場合、酸化処理された前駆重合体
と未処理の前駆重合体のマクロモノマー化を別々に行う
必要があり、生産工程の簡素化が望まれていた。
【0007】本発明は、上記課題を解決するため鋭意検
討した結果、ラジカル重合性不飽和結合を有するマクロ
モノマーを過酸化物による酸化の対象物質として用いて
も、マクロモノマー中の上記不飽和結合は何らの化学変
化を受けることなくチオエーテル結合のイオウ原子のみ
が選択的に酸化され、高耐候性のマクロモノマーが得ら
れることを見出して完成されたものである。
討した結果、ラジカル重合性不飽和結合を有するマクロ
モノマーを過酸化物による酸化の対象物質として用いて
も、マクロモノマー中の上記不飽和結合は何らの化学変
化を受けることなくチオエーテル結合のイオウ原子のみ
が選択的に酸化され、高耐候性のマクロモノマーが得ら
れることを見出して完成されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、分
子中にチオエーテル結合を有し、かつ分子の片末端にラ
ジカル重合性基を有する数平均分子量が1,000〜20,
000のマクロモノマーと過酸化物を反応させ、前記マ
クロモノマーにおけるチオエーテル結合のイオウ原子を
スルホンに酸化することを特徴とする、耐候性に優れる
マクロモノマーの製造方法である。以下、本発明につい
てさらに詳しく説明する。
子中にチオエーテル結合を有し、かつ分子の片末端にラ
ジカル重合性基を有する数平均分子量が1,000〜20,
000のマクロモノマーと過酸化物を反応させ、前記マ
クロモノマーにおけるチオエーテル結合のイオウ原子を
スルホンに酸化することを特徴とする、耐候性に優れる
マクロモノマーの製造方法である。以下、本発明につい
てさらに詳しく説明する。
【0009】本発明におけるマクロモノマーは、前記の
とおり分子中にチオエーテル結合を有し、かつ分子の片
末端にラジカル重合性基を有する数平均分子量が1,00
0〜20,000のマクロモノマーであり、より好ましく
は、数平均分子量が1,000〜8,000のマクロモノマ
ーである。マクロモノマーの数平均分子量が8,000を
越えると、酸化反応の速度が遅くなる。なお、本発明に
おける数平均分子量は、ゲルパーミェーションクロマト
グラフィー(以下「GPC」という)によるポリスチレ
ン換算の数平均分子量である。
とおり分子中にチオエーテル結合を有し、かつ分子の片
末端にラジカル重合性基を有する数平均分子量が1,00
0〜20,000のマクロモノマーであり、より好ましく
は、数平均分子量が1,000〜8,000のマクロモノマ
ーである。マクロモノマーの数平均分子量が8,000を
越えると、酸化反応の速度が遅くなる。なお、本発明に
おける数平均分子量は、ゲルパーミェーションクロマト
グラフィー(以下「GPC」という)によるポリスチレ
ン換算の数平均分子量である。
【0010】上記マクロモノマーの合成法を詳しく説明
すると、例えばメルカプト酢酸、β−メルカプトプロピ
オン酸またはβ−メルカプトエタノールのようなカルボ
キシル基または水酸基等の反応性基を有するメルカプタ
ンを連鎖移動剤として適量使用し、ラジカル発生型重合
開始剤を用いて単量体を有機溶剤中で重合することによ
り、分子の片末端にチオエーテル結合を介して前記反応
性基を有する数平均分子量が1,000〜20,000の前
駆重合体を合成する。次いで、上記カルボキシル基また
は水酸基等の反応性基と結合するエポキシ基、アミノ
基、イソシアネート基または酸ハライド基等の官能基お
よびラジカル重合性基を有する単量体(以下「特定単量
体」という)を、前記前駆重合体と反応させることによ
り本発明における酸化の対象となるマクロモノマーが合
成される。
すると、例えばメルカプト酢酸、β−メルカプトプロピ
オン酸またはβ−メルカプトエタノールのようなカルボ
キシル基または水酸基等の反応性基を有するメルカプタ
ンを連鎖移動剤として適量使用し、ラジカル発生型重合
開始剤を用いて単量体を有機溶剤中で重合することによ
り、分子の片末端にチオエーテル結合を介して前記反応
性基を有する数平均分子量が1,000〜20,000の前
駆重合体を合成する。次いで、上記カルボキシル基また
は水酸基等の反応性基と結合するエポキシ基、アミノ
基、イソシアネート基または酸ハライド基等の官能基お
よびラジカル重合性基を有する単量体(以下「特定単量
体」という)を、前記前駆重合体と反応させることによ
り本発明における酸化の対象となるマクロモノマーが合
成される。
【0011】上記特定単量体としては、メタクリル酸グ
リシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸クロリ
ドおよびp−ビニルベンジルクロリド等が挙げられ、そ
れらを前駆重合体と反応させることにより、ラジカル重
合性基としてメタクリロイル基、アクリロイル基または
ビニルベンジル基等を有するマクロモノマーが得られ
る。
リシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸クロリ
ドおよびp−ビニルベンジルクロリド等が挙げられ、そ
れらを前駆重合体と反応させることにより、ラジカル重
合性基としてメタクリロイル基、アクリロイル基または
ビニルベンジル基等を有するマクロモノマーが得られ
る。
【0012】また、マクロモノマーの重合体部分を構成
する単量体としては、種々のラジカル重合性単量体が使
用でき、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよび2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリルおよび
酢酸ビニル等が挙げられる。
する単量体としては、種々のラジカル重合性単量体が使
用でき、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリ
レート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよび2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)ア
クリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリルおよび
酢酸ビニル等が挙げられる。
【0013】本発明においては、上記マクロモノマーと
過酸化物を反応させ、マクロモノマー中のチオエーテル
結合のイオウ原子をスルホンに酸化する。酸化反応は、
有機溶剤溶液中での均一反応によるか、または有機溶剤
溶液と水系溶剤との不均一反応によって行うことが好ま
しく、いずれの場合にも、マクロモノマーは有機溶剤溶
液として反応に供される。有機溶剤としては、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、イソプロパノール、塩化メチレンまたはトル
エン等が好ましい。
過酸化物を反応させ、マクロモノマー中のチオエーテル
結合のイオウ原子をスルホンに酸化する。酸化反応は、
有機溶剤溶液中での均一反応によるか、または有機溶剤
溶液と水系溶剤との不均一反応によって行うことが好ま
しく、いずれの場合にも、マクロモノマーは有機溶剤溶
液として反応に供される。有機溶剤としては、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、イソプロパノール、塩化メチレンまたはトル
エン等が好ましい。
【0014】過酸化物としては、過安息香酸、m−クロ
ロ過安息香酸、過酢酸、過ヘキサン酸等の有機過酸、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド等のハイドロパーオキサイドおよび過酸化水
素、過硫酸カリ、オキソン、マグネシウムモノパーオキ
シフタレート、オゾン等の無機系過酸化物が挙げられ
る。より好ましくは、有機過酸および無機系過酸化物で
あり、特に好ましくは、m−クロロ過安息香酸および過
酸化水素である。
ロ過安息香酸、過酢酸、過ヘキサン酸等の有機過酸、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド等のハイドロパーオキサイドおよび過酸化水
素、過硫酸カリ、オキソン、マグネシウムモノパーオキ
シフタレート、オゾン等の無機系過酸化物が挙げられ
る。より好ましくは、有機過酸および無機系過酸化物で
あり、特に好ましくは、m−クロロ過安息香酸および過
酸化水素である。
【0015】過酸化物の好ましい使用量は、用いるマク
ロモノマーにおけるチオエーテル結合のイオウ原子の2
倍モル以上であり、さらに好ましくは、2.5〜6倍モル
である。この量の過酸化物を使用する理由は、本発明に
おけるマクロモノマーに含まれるチオエーテル結合を形
成するイオウ原子をスルホンに変換するために、理論的
には2個の酸素原子が必要になるからである。すなわ
ち、イオウ原子の酸化反応の機構は、2段に分かれ、第
1段の酸化でスルホキシドに酸化され、引き続く第2段
の酸化によりスルホンに酸化される。従って、過酸化物
の使用量が、マクロモノマーに含まれるチオエーテル結
合のイオウ原子の2倍モル未満であると、チオエーテル
結合中のイオウ原子の一部がスルホキシドに留まり、そ
の量に対応してマクロモノマーの耐候性の改善度が低く
なる。
ロモノマーにおけるチオエーテル結合のイオウ原子の2
倍モル以上であり、さらに好ましくは、2.5〜6倍モル
である。この量の過酸化物を使用する理由は、本発明に
おけるマクロモノマーに含まれるチオエーテル結合を形
成するイオウ原子をスルホンに変換するために、理論的
には2個の酸素原子が必要になるからである。すなわ
ち、イオウ原子の酸化反応の機構は、2段に分かれ、第
1段の酸化でスルホキシドに酸化され、引き続く第2段
の酸化によりスルホンに酸化される。従って、過酸化物
の使用量が、マクロモノマーに含まれるチオエーテル結
合のイオウ原子の2倍モル未満であると、チオエーテル
結合中のイオウ原子の一部がスルホキシドに留まり、そ
の量に対応してマクロモノマーの耐候性の改善度が低く
なる。
【0016】過酸化物として、過酸化水素等の水溶性無
機過酸化物を使用する場合には、過酸化物の水溶液をマ
クロモノマーの有機溶剤溶液に混合し、撹拌等の操作に
より両液を効率良く分散接触させた後、遠心分離機等に
より水層と有機層を分離する方法を採用することが好ま
しい。また、オゾンを使用する場合には、マクロモノマ
ーの有機溶剤溶液中にオゾンを吹き込む方法が適当であ
る。
機過酸化物を使用する場合には、過酸化物の水溶液をマ
クロモノマーの有機溶剤溶液に混合し、撹拌等の操作に
より両液を効率良く分散接触させた後、遠心分離機等に
より水層と有機層を分離する方法を採用することが好ま
しい。また、オゾンを使用する場合には、マクロモノマ
ーの有機溶剤溶液中にオゾンを吹き込む方法が適当であ
る。
【0017】上記過酸化物と共に、酸化触媒を使用する
ことが好ましく、該触媒としては、リンタングテスン
酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸およびケイ
モリブデン酸等のヘテロポリ酸が挙げられる。また、反
応系にヒドロキノンモノメチルエーテル等のラジカル重
合防止剤を添加するか、空気をバブリングしても良い。
ことが好ましく、該触媒としては、リンタングテスン
酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸およびケイ
モリブデン酸等のヘテロポリ酸が挙げられる。また、反
応系にヒドロキノンモノメチルエーテル等のラジカル重
合防止剤を添加するか、空気をバブリングしても良い。
【0018】酸化反応における好ましい温度は、0〜6
0℃であり、さらに好ましくは、0〜40℃である。酸
化温度が60℃を越えると、酸化中にマクロモノマーの
重合が起こり易い。反応時間は、通常1〜15時間程度
である。反応の進行度は、核磁気共鳴(NMR)スペク
トルの測定により、イオウ原子に隣接するCH2 の水素
原子のケミカルシフトから判る。
0℃であり、さらに好ましくは、0〜40℃である。酸
化温度が60℃を越えると、酸化中にマクロモノマーの
重合が起こり易い。反応時間は、通常1〜15時間程度
である。反応の進行度は、核磁気共鳴(NMR)スペク
トルの測定により、イオウ原子に隣接するCH2 の水素
原子のケミカルシフトから判る。
【0019】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例における「部」は「重量部」
を指す。
に説明する。なお、実施例における「部」は「重量部」
を指す。
【0020】実施例 〔マクロモノマーの合成〕連鎖移動剤としてメルカプト
酢酸6部および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニ
トリル2部を使用して、温度80〜85℃でトルエン溶
液中で、2ーヒドロキシエチルメタクリレート10部、
メタクリル酸ブチル45部、スチレン10部およびアク
リル酸エチル30部を共重合することにより、片末端に
カルボキシル基を有する数平均分子量が1,500の前駆
重合体を得た。上記重合体とグリシジルメタクリレート
をほぽ等モルで反応させ、数平均分子量が1,600のマ
クロモノマーを合成した。
酢酸6部および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニ
トリル2部を使用して、温度80〜85℃でトルエン溶
液中で、2ーヒドロキシエチルメタクリレート10部、
メタクリル酸ブチル45部、スチレン10部およびアク
リル酸エチル30部を共重合することにより、片末端に
カルボキシル基を有する数平均分子量が1,500の前駆
重合体を得た。上記重合体とグリシジルメタクリレート
をほぽ等モルで反応させ、数平均分子量が1,600のマ
クロモノマーを合成した。
【0021】〔酸化処理〕上記方法によって合成したマ
クロモノマーを、以下の操作により過酸化物で酸化し
た。撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管
を備えたフラスコに、上記マクロモノマー10部を塩化
メチレン100部に溶解した溶液、H2 O2 水溶液(純
度35重量%)3.6部(37ミリモル;マクロモノマー
中のイオウ原子の5.8倍モル)およびリンタングステン
酸0.4部を仕込み、35℃で10時間反応させた。次い
で、反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液200部
を加えて水洗し、得られた塩化メチレン溶液をメタノー
ル水溶液に投入し、マクロモノマーを分離した。かくし
て得られたマクロモノマーは、40℃で真空乾燥させ
た。
クロモノマーを、以下の操作により過酸化物で酸化し
た。撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管
を備えたフラスコに、上記マクロモノマー10部を塩化
メチレン100部に溶解した溶液、H2 O2 水溶液(純
度35重量%)3.6部(37ミリモル;マクロモノマー
中のイオウ原子の5.8倍モル)およびリンタングステン
酸0.4部を仕込み、35℃で10時間反応させた。次い
で、反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液200部
を加えて水洗し、得られた塩化メチレン溶液をメタノー
ル水溶液に投入し、マクロモノマーを分離した。かくし
て得られたマクロモノマーは、40℃で真空乾燥させ
た。
【0022】〔物性評価〕マクロモノマーの核磁気共鳴
スペクトルを測定した結果、チオエーテル結合のイオウ
原子のα位メチレン基のピーク(σ2.5 〜2.9ppm)が消
失し、その代わりにスルホンのα位のメチレン基のピー
ク(σ3.1 〜3.6ppm)が存在していること、およびオレ
フィン部分の水素原子のピーク(σ5.5 〜6.4 )が酸化
前のマクロモノマーと同様なピーク強度で存在している
ことが確認された。
スペクトルを測定した結果、チオエーテル結合のイオウ
原子のα位メチレン基のピーク(σ2.5 〜2.9ppm)が消
失し、その代わりにスルホンのα位のメチレン基のピー
ク(σ3.1 〜3.6ppm)が存在していること、およびオレ
フィン部分の水素原子のピーク(σ5.5 〜6.4 )が酸化
前のマクロモノマーと同様なピーク強度で存在している
ことが確認された。
【0023】〔応用例〕得られた酸化処理済みのマクロ
モノマー20部、メタクリル酸ブチル80部およびアゾ
ビスイソブチロニトリル2部をトルエン100部に溶解
し、N2 バブリング下に、90℃で3時間重合させた。
その結果、未酸化マクロモノマーと同様に何らの問題も
なく重合でき、得られたグラフト共重合体の分子量は、
GPC法によるポリスチレン換算の値で数平均分子量7,
000、重量平均分子量14,000であった。
モノマー20部、メタクリル酸ブチル80部およびアゾ
ビスイソブチロニトリル2部をトルエン100部に溶解
し、N2 バブリング下に、90℃で3時間重合させた。
その結果、未酸化マクロモノマーと同様に何らの問題も
なく重合でき、得られたグラフト共重合体の分子量は、
GPC法によるポリスチレン換算の値で数平均分子量7,
000、重量平均分子量14,000であった。
【0024】
【発明の効果】本発明の製造方法は、従来の合成法で工
業的に製造されたチオエーテル結合を有するマクロモノ
マーの一部を、高耐候性のマクロモノマーに転換すると
いう生産工程に容易に適用できるため、従来タイプのマ
クロモノマーと高耐候性のマクロモノマーの並列的な生
産工程の簡素化が図られる。また、本発明によって得ら
れる、耐候性に優れるラジカル重合性マクロモノマーを
他の単量体と共重合して得られるグラフト共重合体は、
塗料用に特に好適である。
業的に製造されたチオエーテル結合を有するマクロモノ
マーの一部を、高耐候性のマクロモノマーに転換すると
いう生産工程に容易に適用できるため、従来タイプのマ
クロモノマーと高耐候性のマクロモノマーの並列的な生
産工程の簡素化が図られる。また、本発明によって得ら
れる、耐候性に優れるラジカル重合性マクロモノマーを
他の単量体と共重合して得られるグラフト共重合体は、
塗料用に特に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 由美子 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 日比野 浩 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 児島 史郎 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内 (72)発明者 桑野 一幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 河上 毅 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 杉浦 護 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 分子中にチオエーテル結合を有し、かつ
分子の片末端にラジカル重合性基を有する数平均分子量
が1,000〜20,000のマクロモノマーと過酸化物を
反応させ、前記マクロモノマーにおけるチオエーテル結
合のイオウ原子をスルホンに酸化することを特徴とす
る、耐候性に優れるマクロモノマーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5227929A JP3054518B2 (ja) | 1993-08-19 | 1993-08-19 | 耐候性に優れるマクロモノマーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5227929A JP3054518B2 (ja) | 1993-08-19 | 1993-08-19 | 耐候性に優れるマクロモノマーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0753629A true JPH0753629A (ja) | 1995-02-28 |
JP3054518B2 JP3054518B2 (ja) | 2000-06-19 |
Family
ID=16868507
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5227929A Expired - Lifetime JP3054518B2 (ja) | 1993-08-19 | 1993-08-19 | 耐候性に優れるマクロモノマーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3054518B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016113346A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-23 | 株式会社日本触媒 | 無機粒子添加剤用櫛型ポリマー及びその用途 |
-
1993
- 1993-08-19 JP JP5227929A patent/JP3054518B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016113346A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-23 | 株式会社日本触媒 | 無機粒子添加剤用櫛型ポリマー及びその用途 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3054518B2 (ja) | 2000-06-19 |
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