JPH0752334Y2 - Ｖ型多気筒内燃機関の吸気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.考案の目的 （１）産業上の利用分野 本考案は、Ｖ型多気筒内燃機関において、吸気系内の吸
気圧力変動を制御することにより、前記機関の体積効率
の向上を図るようにした吸気装置の改良に関するもので
ある。

（２）従来の技術 従来、多気筒内燃機関の吸気装置において、機関の運転
状態に応じて吸気系の長さ、容積を可変制御することに
より吸気干渉を生じない気筒間の吸気圧力変動が共振す
る共鳴効果、あるいは各気筒毎において吸気開始時に生
じる負の圧力波が吸気系に設けられる容積拡大分配チャ
ンバで反射されて吸気ポート側に戻されることを利用し
た慣性効果を発揮させ、機関の低速から高速域まで体積
効率を高めるようにした吸気装置が既に種々提案されて
いる（例えば、特開昭61-258922号公報参照）。

上記吸気装置は、Ｖ型多気筒内燃機関のＶ空間に配設し
た一対の共鳴チャンバと該共鳴チャンバの上流側に接続
した一対の共鳴通路を備えており、この共鳴チャンバを
相互に連通する開閉弁を開閉制御することにより共鳴過
給系または慣性過給系のいずれかを構成し、以て機関の
広い回転域で高い体積効率を得るように構成されてい
る。

（３）考案が解決しようとする課題 しかしながら、上記従来の吸気装置は、Ｖ型多気筒内燃
機関のＶ空間に配設した一対の共鳴チャンバと一対の共
鳴通路が前記Ｖ空間の内部で上下に大きく離間している
ので、吸気系の寸法が大型化してそのレイアウトに無理
が生じる問題があった。

本考案はかゝる実情にかんがみてなされたもので、Ｖ型
多気筒内燃機関のＶ空間内に一対の共鳴チャンバと一対
の共鳴通路を合理的に配設することにより吸気系をコン
パクトに構成し、以てエンジンルーム内のスペースの有
効利用が図られるようにし、またそのようにして吸気系
のコンパクト化が図られても吸気特性可変のための開閉
弁の組み込みを容易とした、Ｖ型多気筒内燃機関の吸気
装置を提供することを目的とする。

B.考案の構成 （１）課題を解決するための手段 上記目的を達成するために請求項１の考案によれば、吸
気行程が連続しない第１気筒群に連通する第１共鳴チャ
ンバと、同じく吸気行程が連続しない第２気筒群に連通
する第２共鳴チャンバと、下流側が第１共鳴チャンバに
連通し上流側がスロットル弁を介して大気に連通する第
１共鳴通路と、下流側が第２共鳴チャンバに連通し上流
側がスロットル弁を介して大気に連通する第２共鳴通路
とを備え、前記第１及び第２気筒群を互いにＶ字状に配
置してなる、Ｖ型多気筒内燃機関の吸気装置であって、
第１及び第２気筒群間に形成されるＶ空間内には、両共
鳴チャンバ及び両共鳴通路を有するボックスを下部に、
吸気マニホールドを上部にそれぞれ配備した吸気ユニッ
トが設けられ、前記ボックスは、第１共鳴チャンバの複
数の排出ポート群を第２気筒群寄りに、第２共鳴チャン
バの複数の排出ポート群を第１気筒群群寄りにそれぞれ
有して前記吸気マニホールドの上流端に一体に連設され
る蓋体と、この蓋体を開放上面に着脱可能に被着したボ
ックス本体とより構成され、そのボックス本体には、互
いに連通し且つ隣接する共鳴チャンバ及び共鳴通路間の
隔壁となる第１の仕切り壁と、互いに隣接する両共鳴通
路間の隔壁となる第２の仕切り壁とが形成され、前記吸
気ユニットの吸気特性を可変とすべく前記第２の仕切り
壁には、両共鳴通路相互間を機関の運転状態に応じて連
通・遮断し得る開閉弁が設けられ、前記吸気マニホール
ドは、第１共鳴チャンバの複数の排出ポート群と第１気
筒群間を接続すべく上方に凸に彎曲する第１の分配管群
と、第２共鳴チャンバの複数の排出ポート群と第２気筒
群間を接続すべく上方に凸に彎曲する第２の分配管群と
が、Ｖ空間の側方から見て互いに交差するように配置さ
れる。

また請求項２の考案によれば、前記Ｖ型多気筒内燃機関
の吸気装置であって、第１及び第２気筒群間に形成され
るＶ空間内には、両共鳴チャンバ及び両共鳴通路を有す
るボックスを下部に、吸気マニホールドを上部にそれぞ
れ配備した吸気ユニットが設けられ、前記ボックスは、
第１共鳴チャンバの複数の排出ポート群を第２気筒群寄
りに、第２共鳴チャンバの複数の排出ポート群を第１気
筒群群寄りにそれぞれ有して前記吸気マニホールドの上
流端に一体に連設される蓋体と、この蓋体を開放上面に
着脱可能に被着したボックス本体とより構成され、その
ボックス本体には、互いに連通し且つ隣接する共鳴チャ
ンバ及び共鳴通路間の隔壁となる第１の仕切り壁と、互
いに隣接する両共鳴チャンバ間の隔壁となる第２の仕切
り壁とが形成され、前記吸気ユニットの吸気特性を可変
とすべく前記第２の仕切り壁には、両共鳴チャンバ相互
間を機関の運転状態に応じて連通・遮断し得る開閉弁が
設けられ、前記吸気マニホールドは、第１共鳴チャンバ
の複数の排出ポート群と第１気筒群間を接続すべく上方
に凸に彎曲する第１の分配管群と、第２共鳴チャンバの
複数の排出ポート群と第２気筒群間を接続すべく上方に
凸に彎曲する第２の分配管群とが、Ｖ空間の側方から見
て互いに交差するように配置される。

（２）作用 前記特徴によれば、吸気行程が連続しない気筒群に各別
に連通する一対の共鳴チャンバと、その上流端にそれぞ
れ接続される一対の共鳴通路とにより吸気干渉の生じな
い２系統の共鳴過給系が構成され、これにより機関の体
積効率が高められる。

この場合において、各一対の共鳴チャンバ及び共鳴通路
が、左，右気筒群間に形成されるＶ空間内に配設される
吸気ユニットのボックス内にコンパクトに纏めて並列配
置されるため、各一対の共鳴チャンバ及び共鳴通路を前
記Ｖ空間内に効率よく合理的に収納できる。またこのよ
うに各一対の共鳴チャンバ及び共鳴通路を前記吸気ユニ
ットのボックス内に纏めて並列配置しても、その吸気特
性可変のための開閉弁は、相隣なる共鳴チャンバ相互の
仕切り壁または相隣なる共鳴通路相互の仕切り壁に設け
られる関係で、吸気ユニット内にコンパクトに組み込む
ことができる。しかもその吸気ユニットのボックスを、
上記開閉弁を有して両共鳴チャンバ及び共鳴通路の形成
主体部となるボックス本体と、このボックス本体の開放
上面に被着されて各共鳴チャンバの複数の排出ポート群
を有する蓋体とに分割構成したので、そのボックス本体
内に開閉弁を組み込んで小組立体（サブアッセンブリ）
を構成することが可能となって、その同開閉弁の吸気ユ
ニット内への組み込みを能率よく容易に行い得る。

更に上記ボックスにおいて各共鳴チャンバの排出ポート
群が対応する気筒群より遠ざかる側に偏位しており、し
かも吸気マニホールドにおいて、一方の共鳴チャンバの
排出ポート群及びこれらと対応する気筒群間を連通する
一方の分配管群と、他方の共鳴チャンバの排出ポート群
及びこれらと対応する気筒群間を連通する他方の分配管
群とが各々上方に凸に彎曲形成され、且つＶ空間の側方
から見て互いに交差するように配置されるから、吸気ユ
ニットを構成する吸気マニホールド及び前記ボックスが
Ｖ空間内で上下に並設されるにも拘わらず、吸気マニホ
ールド（従って吸気ユニット）の全高が極力抑えられる
と共に、各分配管の曲率半径が極力大きく形成されて吸
気抵抗の低減が図られる。

（３）実施例 以下、図面により本考案の実施例について説明する。第
１〜５図は本考案の第１実施例を示すもので、第１図は
本考案装置を備えたＶ型６気筒内燃機関の要部縦断正面
図、第２図はそのシリンダブロックの平面図、第３図
は、第１図III-III線に沿う拡大部分平面図、第４図
は、第３図IV-IV線に沿う断面図、第５図は、第３図Ｖ
−Ｖ線に沿う断面図である。

第1,2図において、前記６気筒内燃機関の機関本体Ｅ
は、互いにＶ字型に配設される一対の左，右機関のブロ
ックBl,Brを備えており、左，右機関ブロックBl,Brは、
それぞれシリンダブロック１,1rと、そのデッキ面に
接合されるシリンダヘッド2l,2rとを備えており、左側
シリンダブロック１には３つの左側気筒3lが直列に形
成され、また右側シリンダブロック1rにも、３つの気筒
3rが直列に形成されている。左側の３つの気筒3lは吸気
行程の連続しない、即ち後述の吸気弁10がオーバラップ
しない左側気筒群Clを構成し、また右側の３つの気筒3r
も吸気行程の連続しない、即ち後述の吸気弁10がオーバ
ラップしない右側気筒群Crを構成している。

前記左，右気筒3l,3rには、それぞれ通常のようにピス
トン４が摺動自在に嵌合され、これらのピストン４はコ
ンロッド５を介してクランク軸６に連動される。また前
記左，右シリンダヘッド2l,2rには、それぞれピストン
４に対面する燃焼室７および該燃焼室７に連通する吸，
排気ポート8,9が形成され、各吸気ポート８には、該ポ
ート８が開閉する吸気弁10がそれぞれ設けられ、また各
排気ポート９には、該ポート９を開閉する排気弁11がそ
れぞれ設けられる。そして吸，排気弁10,11は従来公知
の動弁機構12により所定のタイミングを以て開閉作動さ
れる。

前記左，右シリンダヘッド2l,2rの複数の吸気ポート８
には、後に詳述する吸気系Inが接続され、また左，右シ
リンダヘッド2l,2rの複数の排気ポート９には従来公知
の排気系（図示せず）が接続される。

次に第２〜５図を参照して前記吸気系Inの構成を詳細に
説明すると、この吸気系Inは、左，右シリンダブロック
１,1r間のＶ空間Ｃ内に配設され、エアクリーナAc
と、このエアクリーナAcの出口に接続される吸気通路Pi
と、該吸気通路Piの下流端に接続される、左，右一対の
共鳴チャンバCr-l,Cr-rを有する共鳴チャンバ集合ボッ
クスBgと、前記左，右シリンダブロック１,1rの、吸
気ポート８が開口される端面に接合されて前記左，右共
鳴チャンバCr-l,Cr-rと、右，左気筒群Cr,Clとをそれぞ
れ連通する後述の吸気マニホールドMiとよりなる。

前記吸気通路Piは、第３図に示すようにエアクリーナAc
に連なる吸気通路14の下流端にスロットルボディ15が一
体に接続して構成される。吸気通路14はエアクリーナAc
からの吸気を吸入すべく中空筒状に形成され、スロット
ルボディー15も前記吸気通路14と略同直径の中空筒状に
形成されている。そして、このスロットルボディー15の
内部に操作部19により開閉制御されるスロットル弁20が
設けられる。

スロットルボディ15の下流端には共鳴チャンバ集合ボッ
クスBgがボルト16を以て一体に接続される。前記共鳴チ
ャンバ集合ボックスBgは、前記スロットルボディ15に接
続する概略直方体状の上面開放の集合ボックス本体21
と、その開放上面21₁にボルト23を以て気密に被着され
る蓋体22とより構成され、この蓋体22は後述する吸気マ
ニホールドMiの上流端に一体に形成されている。

第3,4図に明瞭に示すように前記共鳴チャンバ集合ボッ
クスBg内は機関のクランク軸６方向、即ち該ボックスBg
内を流れる吸気の流れ方向に沿って延びる共鳴管24によ
って、互いに並列する左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rに
仕切られている。共鳴管24は集合ボックス本体21の前端
壁からスロットルボディ15側に延びる短い突出部24₁を
有するとともに、一対の垂直壁24₂と、一方の垂直壁24₂
の下端と他方の垂直壁24₂の上端を連結する斜めに傾斜
した隔壁24₃とから構成されている。前記隔壁24₃はスロ
ットルボディ15との接続部から集合ボックス本体21の後
端壁まで延びており、垂直壁24₂は集合ボックス本体21
の後端壁の手前で終了している。これにより、集合ボッ
クス本体21の中央部には横断面三角形状の一対の共鳴通
路18l,18rが形成されると共に、この共鳴通路18l,18rは
下流端において左，右の流入ポート33l,33rを介して前
記左，右の共鳴チャンバCr-l,Cr-rに連通する。而して
前記垂直壁24₂は、互いに連通し且つ隣接する共鳴チャ
ンバCr-l（Cr-r）及び共鳴通路18l（18r）間の隔壁とな
る第１の仕切り壁を構成し、また前記隔壁24₃は、互い
に隣接する共鳴通路18l,18r間の隔壁となる第２の仕切
り壁を構成する。

前記共鳴管24には、前記一対の左，右共鳴通路18l,18r
を連通し、あるいはその連通を遮断する開閉弁25が設け
られる。すなわち共鳴管24の隔壁24₃中央部には、前記
開放上面21₁と対面する四角形状の弁口26が開口され、
この弁口26を介して前記左，右共鳴通路18l,18rが連通
される。而してこの弁口26は前記開放上面21₁と対面し
ていることにより、工具等による加工がきわめて容易で
ある。

前記共鳴管24の隔壁24₃中央部には、集合ボックス本体2
1の外側から吸気系Inの長手方向に沿って弁軸27が回転
自在に挿着され、この弁軸27は前記弁口26の中央部を貫
通している。そしてこの弁軸27には、前記弁口26に設け
られる矩形板状の弁体28がビス30を以て固着される。弁
軸27の一端は集合ボックス本体21の後端壁を貫通してそ
の外部に突出しており、その突出端には、従来公知のア
クチュエータ29が連結されている。このアクチュエータ
29は機関の運転状態に応じて作動制御され、前記開閉弁
25を開閉制御するようになっており、たとえば機関の低
速運転時には開閉弁25を閉成し、またその高速運転時に
は開閉弁25を開放制御する。

前記左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rの上壁（即ち前記蓋
体22の各共鳴チャンバ対応部分）には、その長手方向に
沿ってそれぞれ３つの長円形状をなす左，右排出ポート
34l,34rが開口される。そして左側共鳴チャンバCr-lの
３つの排出ポート34lは左気筒群Cl寄りに在って、後述
する吸気マニホールドMiを介して左側共鳴チャンバCr-l
とは反対側に位置する右側シリンダブロック1rの３つの
気筒3r（吸気順序が連続しない）にそれぞれ連通され、
同じく右側共鳴チャンバCr-rの３つの排出ポート34rは
右気筒群Cr寄りに在って、後述する吸気マニホールドMi
を介して右側共鳴チャンバCr-rとは反対側に位置する左
側シリンダブロック１の３つの気筒3l（吸気順序が連
続しない）にそれぞれ連通される。

前記吸気マニホールドMiは第1,5図に示すように上方に
凸に彎曲する６本の第１〜第６分配管35₁〜35₆が左，右
共鳴チャンバCr-l,Cr-rの長手方向と略直交する方向に
一体に並設されて、Ｖ空間Ｃの側方より見て交互に逆方
向に交差して左右にのびており、これらのうち一つ置き
の３つの第2,第４および第６分配管35₂,35₄および35₆の
上流端は左側共鳴チャンバCr-lの３つの排出ポート34l
にそれぞれ連通されたのち前記共鳴チャンバCr-lと反対
側にのびてそれらの下流端が右側シリンダブロック1rの
３つの気筒3rにそれそれ連通され、また残りの、一つ置
きの３つの第1,第３および第５分配管35₁,35₃および35₅
の上流端は右側共鳴チャンバCr-rの３つの排出ポート34
rにそれぞれ連通されたのち前記共鳴チャンバCr-rと反
対側にのび、それらの下流端が左側シリンダブロック１
の３つの気筒3lにそれぞれ連通される。

第１図に示すように第１〜第６分配管35₁〜35₆の下流端
の上壁にはそれぞれ燃料噴射ノズル36が設けられる。

次に本考案の実施例の作用について説明する。

機関の運転状態に応じてアクチュエータ29が作動制御さ
れ、たとえばその低速運転状態では開閉弁25が第３〜５
図実線に示すように閉弁制御されてその弁口26を閉じた
ときは、左，右共鳴通路18l,18rの連通が遮断される。
この状態ではスロットルボディ15との接合部から流入ポ
ート33l,33rへ到る長さL1の共鳴通路18l,18rの全長と、
左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rと、左，右分配管35₁,3
5₃,35₅；35₂,35₄,35₆とからなる２系統の吸気系、すな
わち各３つの気筒3l,3rからスロットルボディ15の出口
に至る吸気干渉の生じない２系統の共鳴過給吸気系が構
成され、しかもこの共鳴過給系はその長さが比較的長
く、その固有振動数は機関の低回転域での各吸気弁10の
開閉周期と略一致させることができ共鳴過給効果を有効
に発揮させて機関の低回転域での体積効率が高められ
る。

一方機関が高速運転状態に至れば、開閉弁25が開弁制御
されて、左，右共鳴通路18l,18rは弁口26を介して相互
に連通され、左，右共鳴通路18l,18rの実質的な長さは
弁口26の下流端から流入ポート33l,33rに到る長さL2に
短縮される。そしてこの状態では、前記２系統の共鳴吸
気系の固有振動数が増加し、吸気圧力周期を機関の高回
転時の吸気弁10の開閉周期に一致させることができ、該
運転域での共鳴過給効果を有効に発揮させ体積効率を高
めることができる。

また左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rは集合ボックス本体2
1内で共鳴通路18l,18rによって仕切られて画成されるの
で、左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rと共鳴通路18l,18rが
Ｖ空間Ｃ内に垂直壁24₂を挟んで並列に配設されること
になる。したがって一対の共鳴通路18l,18rと一対の共
鳴チャンバCr-l,Cr-rが合理的に一体化され、吸気系の
寸法をコンパクトにおさえることができる。

第６図および第７図は本考案の第２実施例を示すもの
で、この実施例において前記第１実施例に対応する部材
に同一の符号が付してある。

この実施例は、共鳴チャンバ集合ボックスBgが、第２の
仕切り壁としての隔壁24₃によって仕切られて形成され
た左右一対の共鳴チャンバCr-l,Cr-rと、これら共鳴チ
ャンバCr-l,Cr-rの外側に第１の仕切り壁としての一対
の垂直壁24₂によって仕切られて前記共鳴チャンバCr-l,
Cr-rと並列に形成された一対の共鳴通路18l,18rとから
構成されている。スロットルボディ15の下流側は二股に
分岐して左右の分岐通路17l,17rを構成しており、その
下流端は前記共鳴通路18l,18rの上流端に連通してい
る。共鳴通路18l,18rの下流端は前記垂直壁24₂の端部に
形成した左右の流入ポート33l,33rを介して前記左，右
共鳴チャンバCr-l,Cr-rに連通している。

左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rを仕切る隔壁24₃の中央部
にはアクチュエータ29によって開閉制御される開閉弁2
5′が設けられており、この開閉弁25′を開弁制御する
ことにより前記左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rが互いに
連通して第６図二点鎖線で示す容積の大きな共通の慣性
過給分配チャンバChが形成される。

この第２実施例によれば、機関の運転状態に応じてアク
チュエータ29が作動制御され、たとえばその低速運転状
態では開閉弁25′が閉弁制御されて左，右共鳴チャンバ
Cr-l,Cr-rの連通が遮断される。この状態ではスロット
ルボディ15の分岐通路17l,17r、左，右共鳴通路18l,18
r、左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-r、および左，右分配管
35₁,35₃,35₅；35₂,35₄,35₆とからなる吸気干渉の生じな
い２系統の共鳴過給吸気系が構成され、しかもこの共鳴
過給系はその長さが比較的長く、その固有振動数は機関
の低回転域での各吸気弁10の開閉周期と略一致させるこ
とができ共鳴過給効果を有効に発揮させて機関の低速運
転域での体積効率が高められる。

一方機関が高速運転状態に至れば、開閉弁25′が開弁制
御されて左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rは相互に連通さ
れ、左，右３つの気筒3l,3rに共通に連通する容積の大
きな共通の慣性過給分配チャンバChが形成される。そし
てこの状態では、前記２系統の共鳴過給系がキャンセル
され、機関の吸気行程で生じる負圧波が前記大容積の慣
性過給分配チャンバChで反射、反転され、正圧波が各気
筒3l,3rの吸気ポート８に伝播される慣性過給系が構成
され、機関の高速運転域における体積効率が向上する。

そして、この実施例においても、一対の共鳴チャンバCr
-l,Cr-rと一対の共鳴通路18l,18rが垂直壁24₂を挟んで
Ｖ空間Ｃ内に並列に配設されることにより、吸気系の寸
法をコンパクト化することができる。

第８図および第９図は前記第２実施例の変形例を示すも
ので、この変形例において前記第２実施例に対応する部
材に同一の符号が付してある。

この変形例は、共鳴チャンバ集合ボックスBgが、開閉弁
25′を備えた第２の仕切り壁としての隔壁24₃によって
仕切られて形成された左右一対の共鳴チャンバCr-l,Cr-
rと、これら共鳴チャンバCr-l,Cr-rの下部に第１の仕切
り壁としての一対の水平壁24₅によって仕切られて前記
共鳴チャンバCr-l,Cr-rと並列に形成された一対の共鳴
通路18l,18rとから構成されている。そして、スロット
ルボディ15の下流端は前記共鳴通路18l,18rの上流端に
連通するとともに、共鳴通路18l,18rの下流端は前記水
平壁24₅の端部に形成した左右の流入ポート33l,33rを介
して前記左，右共鳴チャンバCr-l,Cr-rに連通してい
る。

しかして、この変形例においても前記第２実施例と同一
の作用効果を得ることが可能であり、特に、共鳴チャン
バ集合ボックスBgの左右方向の幅を減少させる必要があ
る場合に有効である。

以上の実施例において、共鳴チャンバ集合ボックスBg及
び吸気マニホールドMiは互いに協働して本考案の吸気ユ
ニットUIを構成する。また右気筒群Crは本考案の第１気
筒群を、また左気筒群Clは本考案の第２気筒群をそれぞ
れ構成する。更に左共鳴チャンバCr-lは本考案の第１共
鳴チャンバを、また右共鳴チャンバCr-rは本考案の第２
共鳴チャンバをそれぞれ構成する。更にまた左共鳴通路
18lは本考案の第１共鳴通路を、また右共鳴通路18rは本
考案の第２共鳴通路をそれぞれ構成する。更にまた分配
管35₂,35₄,35₆は本考案の第１の分配管群を、また分配
管35₁,35₃,35₅は本考案の第２の分配管群をそれぞれ構
成する。

尚、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、実
用新案登録請求の範囲に記載された本考案を逸脱するこ
となく種々の小設計変更を行うことが可能である。

C.考案の効果 以上のように本考案によれば、各一対の共鳴チャンバ及
び共鳴通路を備えて共鳴過給系を構成し得るＶ型多気筒
内燃機関の吸気装置において、それら共鳴チャンバ及び
共鳴通路を、左，右気筒群間に形成されるＶ空間内に配
設される吸気ユニットのボックス内にコンパクトに纏め
て並列配置できるので、各一対の共鳴チャンバ及び共鳴
通路が前記Ｖ空間内に効率よく合理的に収納され、これ
により、吸気系の寸法がコンパクトになってエンジンル
ーム内のスペースの有効利用が可能になる。

またこのように各一対の共鳴チャンバ及び共鳴通路を前
記吸気ユニットのボックス内に纏めて並列配置しても、
その吸気特性可変のための開閉弁を、相隣なる共鳴チャ
ンバ相互の仕切り壁または相隣なる共鳴通路相互の仕切
り壁に設けたので、吸気特性可変手段を吸気ユニット内
にコンパクトに組み込むことが可能となる。しかもその
吸気ユニットのボックスを、上記開閉弁を有して両共鳴
チャンバ及び共鳴通路の形成主体部となるボックス本体
と、このボックス本体の開放上面に被着されて各共鳴チ
ャンバの複数の排出ポート群を有する蓋体とに分割構成
したので、そのボックス本体内に開閉弁を組み込んで小
組立体（サブアッセンブリ）を構成することが可能とな
って、その開閉弁の吸気ユニット内への組み込みを能率
よく容易に行うことができ、しかも吸気マニホールドの
一部（上流端）を上記ボックスの蓋体に兼用し得ること
で、それだけ部品点数が削減されると共に吸気ユニット
の組立性を向上させることができる。

更に上記ボックスにおいて各共鳴チャンバの排出ポート
群を対応する気筒群より遠ざかる側に偏位させ、しかも
吸気マニホールドにおいて、一方の共鳴チャンバの排出
ポート群及びこれらと対応する気筒群間を連通する一方
の分配管群と、他方の共鳴チャンバの排出ポート群及び
これらと対応する気筒群間を連通する他方の分配管群と
を各々上方に凸に彎曲させ、且つＶ空間の側方から見て
互いに交差するように配置したので、吸気ユニットを構
成する吸気マニホールド及び前記ボックスをＶ空間内で
上下に並設したにも拘わらず、吸気マニホールド（従っ
て吸気ユニット）の全高を極力抑えながら、各分配管の
曲率半径を極力大きく形成して吸気抵抗の低減、延いて
は充填効率の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜５図は本考案の第一実施例を示すもので第１図は
本考案装置を備えたＶ型６気筒内燃機関の要部縦断正面
図、第２図はそのシリンダブロックの平面図、第３図は
第１図III-III線に沿う拡大部分平面図、第４図は、第
３図IV-IV線に沿う断面図、第５図は、第３図Ｖ−Ｖ線
に沿う断面図、第6,7図は本考案の第２実施例を示すも
ので、第3,5図と同じ吸気系の断面図、第8,9図は本考案
の第２実施例の変形例を示すもので、第4,5図と同じ吸
気系の断面図である。 Bg……ボックスとしての共鳴チャンバ集合ボックス、Ｃ
……Ｖ空間、Cl……第２気筒群としての左気筒群、Cr…
…第１気筒群としての右気筒群、Cr-l……第１共鳴チャ
ンバとしての左共鳴チャンバ、Cr-r……第２共鳴チャン
バとしての右共鳴チャンバ、IU……吸気ユニット、18l
……第１共鳴通路としての左共鳴通路、18r……第２共
鳴通路としての右共鳴通路、20……スロットル弁、21…
…ボックス本体としての集合ボックス本体、22……ボッ
クスの蓋体、24₂……第１の仕切り壁としての垂直壁、2
4₃……第２の仕切り壁としての隔壁、24₅……第１の仕
切り壁としての水平壁、35₂,35₄,35₆……第１の分配管
群、35₁,35₃,35₅……第２の分配管群

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吸気行程が連続しない第１気筒群（Cr）に
   連通する第１共鳴チャンバ（Cr-l）と、同じく吸気行程
   が連続しない第２気筒群（Cl）に連通する第２共鳴チャ
   ンバ（Cr-r）と、下流側が第１共鳴チャンバ（Cr-l）に
   連通し上流側がスロットル弁（20）を介して大気に連通
   する第１共鳴通路（18l）と、下流側が第２共鳴チャン
   バ（Cr-r）に連通し上流側がスロットル弁（20）を介し
   て大気に連通する第２共鳴通路（18r）とを備え、前記
   第１及び第２気筒群（Cr,Cl）を互いにＶ字状に配置し
   てなる、Ｖ型多気筒内燃機関の吸気装置であって、 第１及び第２気筒群（Cr,Cl）間に形成されるＶ空間
   （Ｃ）内には、両共鳴チャンバ（Cr-l,Cr-r）及び両共
   鳴通路（18l,18r）を有するボックス（Bg）を下部に、
   吸気マニホールド（Mi）を上部にそれぞれ配備した吸気
   ユニット（IU）が設けられ、 前記ボックス（Bg）は、第１共鳴チャンバ（Cr-l）の複
   数の排出ポート（34l）群を第２気筒群（Cl）寄りに、
   第２共鳴チャンバ（Cr-r）の複数の排出ポート（34r）
   群を第１気筒群（Cr）群寄りにそれぞれ有して前記吸気
   マニホールド（Mi）の上流端に一体に連設される蓋体
   （22）と、この蓋体（22）を開放上面（21₁）に着脱可
   能に被着したボックス本体（21）とより構成され、 そのボックス本体（21）には、互いに連通し且つ隣接す
   る共鳴チャンバ（Cr-l,Cr-r）及び共鳴通路（18l,18r）
   間の隔壁となる第１の仕切り壁（24₂,24₂）と、互いに
   隣接する両共鳴通路（18l,18r）間の隔壁となる第２の
   仕切り壁（24₃）とが形成され、 前記吸気ユニット（IU）の吸気特性を可変とすべく前記
   第２の仕切り壁（24₃）には、両共鳴通路（18l,18r）相
   互間を機関の運転状態に応じて連通・遮断し得る開閉弁
   （25）が設けられ、 前記吸気マニホールド（Mi）は、第１共鳴チャンバ（Cr
   -l）の複数の排出ポート（34l）群と第１気筒群（Cr）
   間を接続すべく上方に凸に彎曲する第１の分配管（35₂,
   35₄,35₆）群と、第２共鳴チャンバ（Cr-r）の複数の排
   出ポート（34r）群と第２気筒群（Cl）間を接続すべく
   上方に凸に彎曲する第２の分配管（35₁,35₃,35₅）群と
   が、Ｖ空間（Ｃ）の側方から見て互いに交差するように
   配置されたことを特徴とする、Ｖ型多気筒内燃機関の吸
   気装置。
2. 【請求項２】吸気行程が連続しない第１気筒群（Cr）に
   連通する第１共鳴チャンバ（Cr-l）と、同じく吸気行程
   が連続しない第２気筒群（Cl）に連通する第２共鳴チャ
   ンバ（Cr-r）と、下流側が第１共鳴チャンバ（Cr-l）に
   連通し上流側がスロットル弁（20）を介して大気に連通
   する第１共鳴通路（18l）と、下流側が第２共鳴チャン
   バ（Cr-r）に連通し上流側がスロットル弁（20）を介し
   て大気に連通する第２共鳴通路（18r）とを備え、前記
   第１及び第２気筒群（Cr,Cl）を互いにＶ字状に配置し
   てなる、Ｖ型多気筒内燃機関の吸気装置であって、 第１及び第２気筒群（Cr,Cl）間に形成されるＶ空間
   （Ｃ）内には、両共鳴チャンバ（Cr-l,Cr-r）及び両共
   鳴通路（18l,18r）を有するボックス（Bg）を下部に、
   吸気マニホールド（Mi）を上部にそれぞれ配備した吸気
   ユニット（IU）が設けられ、 前記ボックス（Bg）は、第１共鳴チャンバ（Cr-l）の複
   数の排出ポート（34l）群を第２気筒群（Cl）寄りに、
   第２共鳴チャンバ（Cr-r）の複数の排出ポート（34r）
   群を第１気筒群（Cr）群寄りにそれぞれ有して前記吸気
   マニホールド（Mi）の上流端に一体に連設される蓋体
   （22）と、この蓋体（22）を開放上面（21₁）に着脱可
   能に被着したボックス本体（21）とより構成され、 そのボックス本体（21）には、互いに連通し且つ隣接す
   る共鳴チャンバ（Cr-l,Cr-r）及び共鳴通路（18l,18r）
   間の隔壁となる第１の仕切り壁（24₂,24₂；24₅,24₅）
   と、互いに隣接する両共鳴チャンバ（Cr-l,Cr-r）間の
   隔壁となる第２の仕切り壁（24₃）とが形成され、 前記吸気ユニット（IU）の吸気特性を可変とすべく前記
   第２の仕切り壁（24₃）には、両共鳴チャンバ（Cr-l,Cr
   -r）相互間を機関の運転状態に応じて連通・遮断し得る
   開閉弁（25′）が設けられ、 前記吸気マニホールド（Mi）は、第１共鳴チャンバ（Cr
   -l）の複数の排出ポート（34l）群と第１気筒群（Cr）
   間を接続すべく上方に凸に彎曲する第１の分配管（35₂,
   35₄,35₆）群と、第２共鳴チャンバ（Cr-r）の複数の排
   出ポート（34r）群と第２気筒群（Cl）間を接続すべく
   上方に凸に彎曲する第２の分配管（35₁,35₃,35₅）群と
   が、Ｖ空間（Ｃ）の側方から見て互いに交差するように
   配置されたことを特徴とする、Ｖ型多気筒内燃機関の吸
   気装置。