JPH0752119B2 - 転がり軸受の転動体表面の粗さ推定方法 - Google Patents
転がり軸受の転動体表面の粗さ推定方法Info
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- JPH0752119B2 JPH0752119B2 JP61313564A JP31356486A JPH0752119B2 JP H0752119 B2 JPH0752119 B2 JP H0752119B2 JP 61313564 A JP61313564 A JP 61313564A JP 31356486 A JP31356486 A JP 31356486A JP H0752119 B2 JPH0752119 B2 JP H0752119B2
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、転がり軸受の転動体表面の粗さの度合を観測
振動信号に基づいて推定する方法に関する。
振動信号に基づいて推定する方法に関する。
従来の技術 転がり軸受の製造工程において、内輪・外輪や転動体の
切削加工や研磨の際、転動体表面に傷を付けたり、ある
いは研磨不足のことがある。また、製品に組み込まれて
運転中の転がり軸受でも摩耗等により転動体表面の粗さ
が大になることがある。このような転動体表面の粗さが
大きい転がり軸受を、例えばビデオテープレコーダのヘ
ッドやキャプスタンの軸受に用いた場合には、録画・再
生時に画質の劣化を招き、また、例えば大荷重のかかる
転がり軸受にあっては、異常振動を引き起こしてしま
う。そのため、高い加工精度が要求されるこの種の用途
の転がり軸受に対しては、組立完了後に全品検査が実施
されている。その検査の手法としては、従来から損傷等
の異常に起因して発生する振動を観測、解析する振動法
が広く利用されており、例えば、観測信号のピーク値、
あるいはピーク値を観測振動信号の実効値または平均値
により除した値の時系列変化から異常を判定する方法、
さらには、これらの値を転がり軸受の回転数や軸径に基
づいて正規化し、それに基づいて異常の有無を判定する
方法等が提案されている。
切削加工や研磨の際、転動体表面に傷を付けたり、ある
いは研磨不足のことがある。また、製品に組み込まれて
運転中の転がり軸受でも摩耗等により転動体表面の粗さ
が大になることがある。このような転動体表面の粗さが
大きい転がり軸受を、例えばビデオテープレコーダのヘ
ッドやキャプスタンの軸受に用いた場合には、録画・再
生時に画質の劣化を招き、また、例えば大荷重のかかる
転がり軸受にあっては、異常振動を引き起こしてしま
う。そのため、高い加工精度が要求されるこの種の用途
の転がり軸受に対しては、組立完了後に全品検査が実施
されている。その検査の手法としては、従来から損傷等
の異常に起因して発生する振動を観測、解析する振動法
が広く利用されており、例えば、観測信号のピーク値、
あるいはピーク値を観測振動信号の実効値または平均値
により除した値の時系列変化から異常を判定する方法、
さらには、これらの値を転がり軸受の回転数や軸径に基
づいて正規化し、それに基づいて異常の有無を判定する
方法等が提案されている。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、これらの方法は振動の発生源である転動
体表面と振動観測点間の振動の伝播挙動については一切
考慮をすることなく、観測点での振動信号のみから異常
を推定するものである。したがって、これからは異常の
有無の推定は可能でも、転動体表面上の粗さの程度まで
精度よく推定することは困難であった。このため結局は
合否の判定者に対し長年の検査経験に裏付けされる熟練
が不可欠の能力として要求されることになり、その結
果、検査量が熟練検査者の数により制約を受けてしまう
という問題点があった。尚、これとは別に転がり軸受の
組立前に行なう検査法としては軌道面の表面粗さをスタ
イラスや光学手法により直接走査する方法も実用されて
いる。しかしながら、この手法は運転中の製品には適用
できないこと、転がり軸受の形状、寸法によっては部品
を走査可能な状態に切断することが必要で全品検査でき
ないこと、また判定には多くの時間を要することなどの
問題点がある。
体表面と振動観測点間の振動の伝播挙動については一切
考慮をすることなく、観測点での振動信号のみから異常
を推定するものである。したがって、これからは異常の
有無の推定は可能でも、転動体表面上の粗さの程度まで
精度よく推定することは困難であった。このため結局は
合否の判定者に対し長年の検査経験に裏付けされる熟練
が不可欠の能力として要求されることになり、その結
果、検査量が熟練検査者の数により制約を受けてしまう
という問題点があった。尚、これとは別に転がり軸受の
組立前に行なう検査法としては軌道面の表面粗さをスタ
イラスや光学手法により直接走査する方法も実用されて
いる。しかしながら、この手法は運転中の製品には適用
できないこと、転がり軸受の形状、寸法によっては部品
を走査可能な状態に切断することが必要で全品検査でき
ないこと、また判定には多くの時間を要することなどの
問題点がある。
問題点を解決するための手段 いま、回転する転動体表面に傷があった場合の転動体と
軌道面間の挙動を検討するのに、転動体の傷が内・外輪
軌道面の各々の位置に到達すると、転動体はその傷の一
端を中心に回転し続いて他端が軌道面に衝突し、その衝
突によりインパルスの発生がある。しかしてこの発生す
るインパルスの振幅は、傷の幅の6/5乗に比例すること
が知られている。(例えば、西村、高橋“玉軸受音の研
究”、精密機械30巻6号475−489頁、1964年)とする
と、このインパルスの振幅が求められれば、転動体表面
の傷の幅、すなわち転動体面の粗さの程度が定量的に判
明することになる。しかし、このインパルスを直接測定
することは困難である。そこで、いま観測可能な静止し
た軌道輪上での1点の振動に着目してみると、この振動
は前記転動体の傷の衝突に起因するインパルスによって
回転する軌道輪または静止軌道輪の固有振動の励振があ
り、それが静止した軌道輪の1点に伝播してきたもので
ある。とすると、このインパルスと振動とを関係づけて
いるファクタ、すなわち軌道輪の固有振動のインパルス
応答およびそのインパルス発生位置と振動観測点間の振
動の伝播係数とを予め求めておくことにより振動信号か
らインパルスの大きさを決定できることになる。本発明
の第1の発明は、上記考えに基づいて創案されたもので
あり、転がり軸受の一方の軌道輪を一定角速度で回転さ
せると共に、静止状態に保持した他方の軌道輪上の1点
において半径方向の振動を観測し、次いでその観測振動
信号と予め求めた既知の軌道輪の固有振動数のインパル
ス応答に基づいて算出される実測等価駆動インパルス
と、軌道輪の円周方向の各位置と前記振動の観測点間の
振動の伝播係数と転動体の傷との接触により発生する未
知の回転軌道輪軌道面上のインパルスとから推定される
推定等価駆動インパルスとの関係式に基づいて前記未知
のインパルスを算出し、そのインパルスから転動体表面
の傷の幅を推定しようとするものである。最初に説明を
簡略化するために、第1図にモデル化して示すような玉
数2個の玉軸受を想定し、玉;すなわち転動体ではな
く、軌道面に傷があるとして軌道輪に発生したインパル
スと観測振動信号との関係を説明する。図において、1
0、20、は玉軸受の内、外輪、α、βはその内、外輪に
角度πの間隔を隔てて介入された玉であり、静止状態に
保持された外輪10に対して内輪20が反時計方向に角度ω
Iで駆動されていて、それにより2個の玉α、βは角速
度ωb[=(ωI/2)(1−d/D)・cos γ,ここにd:玉
の径、D:ピッチ径、γ:接触角]で公転を行なってい
る。いま、時刻tがt1のとき、玉α、βが内輪20の軌道
面上のa、b点にそれぞれ位置し、その各a、b点には
幅fa、fbの傷があるとすると、各玉α、βは各対応する
傷の一端を中心に回転し、他端に衝突して傷の幅の6/5
乗に比例した振幅s(a)、s(b)のインパルスをそ
れぞれ発生する。この各インパルスにより軌道輪の固有
振動が励振され、それらの和が外輪10上に伝わり、外輪
10上の1点の観測点11から振動信号y(t1)として観測
される。第2図(イ)は、上記の関係を記号により示し
たものであり、時刻t=t1において発生し、固有振動を
励起させるインパルスはディラックのデルタ関数δ
(t)を用いてs(a)・δ(t−t1),s(b)・δ
(t−t1)と表される。いまh(t)を軌道輪20の固有
振動のインパルス応答、W(θ(a,t1)、W(θ(β,t
1))をそれぞれ軌道輪20上のa、b点をたたいて発生
したインパルスにより駆動された固有振動が外輪10上の
観測点11に伝わる際のいわゆる振動伝播の重みを示す伝
播係数とおくと、これらの間には次の関係が成り立つ。
軌道面間の挙動を検討するのに、転動体の傷が内・外輪
軌道面の各々の位置に到達すると、転動体はその傷の一
端を中心に回転し続いて他端が軌道面に衝突し、その衝
突によりインパルスの発生がある。しかしてこの発生す
るインパルスの振幅は、傷の幅の6/5乗に比例すること
が知られている。(例えば、西村、高橋“玉軸受音の研
究”、精密機械30巻6号475−489頁、1964年)とする
と、このインパルスの振幅が求められれば、転動体表面
の傷の幅、すなわち転動体面の粗さの程度が定量的に判
明することになる。しかし、このインパルスを直接測定
することは困難である。そこで、いま観測可能な静止し
た軌道輪上での1点の振動に着目してみると、この振動
は前記転動体の傷の衝突に起因するインパルスによって
回転する軌道輪または静止軌道輪の固有振動の励振があ
り、それが静止した軌道輪の1点に伝播してきたもので
ある。とすると、このインパルスと振動とを関係づけて
いるファクタ、すなわち軌道輪の固有振動のインパルス
応答およびそのインパルス発生位置と振動観測点間の振
動の伝播係数とを予め求めておくことにより振動信号か
らインパルスの大きさを決定できることになる。本発明
の第1の発明は、上記考えに基づいて創案されたもので
あり、転がり軸受の一方の軌道輪を一定角速度で回転さ
せると共に、静止状態に保持した他方の軌道輪上の1点
において半径方向の振動を観測し、次いでその観測振動
信号と予め求めた既知の軌道輪の固有振動数のインパル
ス応答に基づいて算出される実測等価駆動インパルス
と、軌道輪の円周方向の各位置と前記振動の観測点間の
振動の伝播係数と転動体の傷との接触により発生する未
知の回転軌道輪軌道面上のインパルスとから推定される
推定等価駆動インパルスとの関係式に基づいて前記未知
のインパルスを算出し、そのインパルスから転動体表面
の傷の幅を推定しようとするものである。最初に説明を
簡略化するために、第1図にモデル化して示すような玉
数2個の玉軸受を想定し、玉;すなわち転動体ではな
く、軌道面に傷があるとして軌道輪に発生したインパル
スと観測振動信号との関係を説明する。図において、1
0、20、は玉軸受の内、外輪、α、βはその内、外輪に
角度πの間隔を隔てて介入された玉であり、静止状態に
保持された外輪10に対して内輪20が反時計方向に角度ω
Iで駆動されていて、それにより2個の玉α、βは角速
度ωb[=(ωI/2)(1−d/D)・cos γ,ここにd:玉
の径、D:ピッチ径、γ:接触角]で公転を行なってい
る。いま、時刻tがt1のとき、玉α、βが内輪20の軌道
面上のa、b点にそれぞれ位置し、その各a、b点には
幅fa、fbの傷があるとすると、各玉α、βは各対応する
傷の一端を中心に回転し、他端に衝突して傷の幅の6/5
乗に比例した振幅s(a)、s(b)のインパルスをそ
れぞれ発生する。この各インパルスにより軌道輪の固有
振動が励振され、それらの和が外輪10上に伝わり、外輪
10上の1点の観測点11から振動信号y(t1)として観測
される。第2図(イ)は、上記の関係を記号により示し
たものであり、時刻t=t1において発生し、固有振動を
励起させるインパルスはディラックのデルタ関数δ
(t)を用いてs(a)・δ(t−t1),s(b)・δ
(t−t1)と表される。いまh(t)を軌道輪20の固有
振動のインパルス応答、W(θ(a,t1)、W(θ(β,t
1))をそれぞれ軌道輪20上のa、b点をたたいて発生
したインパルスにより駆動された固有振動が外輪10上の
観測点11に伝わる際のいわゆる振動伝播の重みを示す伝
播係数とおくと、これらの間には次の関係が成り立つ。
y(t1)=W(θ(a、t1))h(t) *s(a)δ(t−t1) +W(θ(β,t1))h(t) *s(b)δ(t−t1) (1) ここに*は畳み込みを表わす 前記第2図(イ)を検討するのに軌道輪20の固有振動の
インパルス応答h(t)の特性は、外輪10の形状と材質
から決定できるものであり、その結果前記インパルスs
(a)・δ(t−t1),s(b)・δ(t−t1)によって
駆動される各固有振動数成分は、その振幅以外は同じ特
性をもつ。したがって、第2図(ロ)に示すように観測
振動信号y(t)は固有振動を駆動する入力z(t)す
なわち等価駆動インパルスとインパルス応答h(t)の
畳み込みの形に整理される。
インパルス応答h(t)の特性は、外輪10の形状と材質
から決定できるものであり、その結果前記インパルスs
(a)・δ(t−t1),s(b)・δ(t−t1)によって
駆動される各固有振動数成分は、その振幅以外は同じ特
性をもつ。したがって、第2図(ロ)に示すように観測
振動信号y(t)は固有振動を駆動する入力z(t)す
なわち等価駆動インパルスとインパルス応答h(t)の
畳み込みの形に整理される。
y(t)=h(t)*z(t) (2) また、前記モデルのインパルスと伝播係数を用いて推定
される推定等価駆動インパルスは、前記(1)式から、
時刻t1においては次のようになる。
される推定等価駆動インパルスは、前記(1)式から、
時刻t1においては次のようになる。
z(t1)=W(θ(α,t1))・s(a) +W(θ(β,t1))・s(b) (3) 再び第1図に戻って、前記(イ)の状態から内輪20がさ
らに回転し、時刻t2において玉αがb点に、玉βがa点
に達した(ロ)の状態をみると、そのときの観測振動信
号y(t)と等価駆動インパルスの間には前記と同様に
して次の関係が成り立つ。
らに回転し、時刻t2において玉αがb点に、玉βがa点
に達した(ロ)の状態をみると、そのときの観測振動信
号y(t)と等価駆動インパルスの間には前記と同様に
して次の関係が成り立つ。
y(t2)=h(t)*z(t2) (4) z(t2)=W(θ(β,t2))s(a) +W(θ(α,t2))s(b) (5) ここに、W(θ(β,t2))、W(θ(α,t2))は時刻
tにおいて玉β,αが軌道輪20上のa、b点をたたいて
発生したインパルスにより駆動された固有振動が外輪10
上の観測点11に伝わる重みを示す伝播係数である。上記
(2)〜(5)式における各項のうち、 伝播係数W(θ(α、t1)),W(θ(β,t)),W(θ
(α,t2)),W(θ(β,t2)),…は予め実測可能であ
る。
tにおいて玉β,αが軌道輪20上のa、b点をたたいて
発生したインパルスにより駆動された固有振動が外輪10
上の観測点11に伝わる重みを示す伝播係数である。上記
(2)〜(5)式における各項のうち、 伝播係数W(θ(α、t1)),W(θ(β,t)),W(θ
(α,t2)),W(θ(β,t2)),…は予め実測可能であ
る。
内輪20の角速度ωI、玉α,βの公転角速度ωb、t
=0のときの玉α,βの位置は予め決定でき、各時刻に
おける玉と軌道輪の各々の公転各速度がわかる。
=0のときの玉α,βの位置は予め決定でき、各時刻に
おける玉と軌道輪の各々の公転各速度がわかる。
固有振動のインパルス応答h(t)は予め予測可能で
あって、その逆特性h-1(t)が決定でき、このh
-1(t)を観測振動信号y(t1)、y(t2)、…に畳み
込みことにより実測値に基づく等価駆動インパルスすな
わち実測等価駆動インパルスz(t1)、z(t2)、…が
得られる。
あって、その逆特性h-1(t)が決定でき、このh
-1(t)を観測振動信号y(t1)、y(t2)、…に畳み
込みことにより実測値に基づく等価駆動インパルスすな
わち実測等価駆動インパルスz(t1)、z(t2)、…が
得られる。
より、未知の項はs(a),s(b)のみとなる。したが
って、(3)、(5)式を連立させて解くことにより、
インパルスs(a),s(b)の厳密解を算出できる。そ
してこのs(a),s(b)から傷の幅を求めることがで
きる。尚、観測振動信号y(t)にランダムノイズが重
畳している場合には前記(3)、(5)式による厳密解
法では精度の高い推定が困難なこともある。このような
場合は玉α,βが軌道輪20上の点a,bと接触する時刻ご
との観測の機会、すなわち測定回数を増やし、各時刻ti
(i=1,2,…P)の関係式に対して最小二乗法を適用す
ることにより精度を高められる。すなわち、前記第2図
(ロ)のモデルにおいてP個の時刻ti(i=1,2,…P)
の推定等価駆動インパルスz(ti)は下記のとおりであ
り、 z(ti)=W(θ(α,ti))・s(a) +W(θ(β,ti))・s(b) …(i 奇数のとき) z(ti)=W(θ(β,ti))・s(a) +W(θ(α,ti))・s(b) …(i 偶数のとき) (6) これと各対応する時刻tにおける観測振動信号y(ti)
を逆フィルタリングした値z(ti)(すなわちインパル
ス応答の逆特性h-1(t)を畳み込んだ値)との差の二
乗を、インパルスs(a)、s(b)に関して最小化さ
せることによりs(a),s(b)の最確値が得られる。
って、(3)、(5)式を連立させて解くことにより、
インパルスs(a),s(b)の厳密解を算出できる。そ
してこのs(a),s(b)から傷の幅を求めることがで
きる。尚、観測振動信号y(t)にランダムノイズが重
畳している場合には前記(3)、(5)式による厳密解
法では精度の高い推定が困難なこともある。このような
場合は玉α,βが軌道輪20上の点a,bと接触する時刻ご
との観測の機会、すなわち測定回数を増やし、各時刻ti
(i=1,2,…P)の関係式に対して最小二乗法を適用す
ることにより精度を高められる。すなわち、前記第2図
(ロ)のモデルにおいてP個の時刻ti(i=1,2,…P)
の推定等価駆動インパルスz(ti)は下記のとおりであ
り、 z(ti)=W(θ(α,ti))・s(a) +W(θ(β,ti))・s(b) …(i 奇数のとき) z(ti)=W(θ(β,ti))・s(a) +W(θ(α,ti))・s(b) …(i 偶数のとき) (6) これと各対応する時刻tにおける観測振動信号y(ti)
を逆フィルタリングした値z(ti)(すなわちインパル
ス応答の逆特性h-1(t)を畳み込んだ値)との差の二
乗を、インパルスs(a)、s(b)に関して最小化さ
せることによりs(a),s(b)の最確値が得られる。
以上は、説明の簡略化のために想定した玉数2個の玉軸
受を例にとり、原理を説明したものであるが、複数Nの
転動体が円周上に等間隔に並んだ転がり軸受においても
全く同様に前記の関係が成り立つ。すなわち第3図
(イ)において、10,20はそれぞれ外、内輪であり、そ
の内外輪間にはN個の転動体0,1,‥,i,‥N−1(図に
は転動体の0および1番目のみの断面図を図示してい
る)が等角度2π/Nで介入され、測定開始時刻t=0に
おける転動体0は観測点11に対して反時計方向にθ0の
初期角度をもつ。そして、各転動体0,1,N−1は内輪20
の回転(角速度ωI)に伴ない角速度ωBにて公転させ
られる。s(x)は内輪20の軌道面上の位置xにおける
インパルスの振幅を示し、図には転動体0,1がそれぞれ
インパルスs(x(0,0:θ0))、s((1,0:θ0))
を発生している状態を示している。尚、上記の記号はx
の位置で生じるインパルスにおいて、そのxが転動体番
号、時刻、初期角度等の関数で表現されることを表わし
ている。次に、第3図(ロ)は時刻t=nTs経過後にお
ける観測点11に対する転動体0,1…,i…N−1および内
輪20の位置関係を示したものであり、これら位置は、い
ずれも時刻tの関数として次のように表されるものであ
る。すなわち、いま、時刻tにおけるi番目の転動体の
観測点11に対する位置をθ(i,t:θ0)とおくと、それ
は θ(i,t:θ0)=ωbt+(2π/N)i+θ0 となり、また、時刻tにおけるi番目の転動体と接触す
る内輪軌道面上の位置をx(i,t:θ0)とおくと、それ
は x(i,t:θ0)=(ωb−ωI)t+(2π/N)i+θ
0 (8) となる。また、前記2個の転動体の転がり軸受の場合と
同様、各時刻ごとに観測振動信号y(t)が取出せ、前
記各位置θ(i,t:θ0)と観測点11間の振動の伝播係数 および固有振動のインパルス応答の逆特性h-1(t)は
予め測定により算出される。したがって、前記と同様に
時刻tにより各転動体に対する伝播係数 が決定でき、かつ観測振動信号y(t)とインパルス応
答の逆特性h-1(t)の畳み込みにより実測等価駆動イ
ンパルスz(t)が決定され、次の関係式が成り立つ。
受を例にとり、原理を説明したものであるが、複数Nの
転動体が円周上に等間隔に並んだ転がり軸受においても
全く同様に前記の関係が成り立つ。すなわち第3図
(イ)において、10,20はそれぞれ外、内輪であり、そ
の内外輪間にはN個の転動体0,1,‥,i,‥N−1(図に
は転動体の0および1番目のみの断面図を図示してい
る)が等角度2π/Nで介入され、測定開始時刻t=0に
おける転動体0は観測点11に対して反時計方向にθ0の
初期角度をもつ。そして、各転動体0,1,N−1は内輪20
の回転(角速度ωI)に伴ない角速度ωBにて公転させ
られる。s(x)は内輪20の軌道面上の位置xにおける
インパルスの振幅を示し、図には転動体0,1がそれぞれ
インパルスs(x(0,0:θ0))、s((1,0:θ0))
を発生している状態を示している。尚、上記の記号はx
の位置で生じるインパルスにおいて、そのxが転動体番
号、時刻、初期角度等の関数で表現されることを表わし
ている。次に、第3図(ロ)は時刻t=nTs経過後にお
ける観測点11に対する転動体0,1…,i…N−1および内
輪20の位置関係を示したものであり、これら位置は、い
ずれも時刻tの関数として次のように表されるものであ
る。すなわち、いま、時刻tにおけるi番目の転動体の
観測点11に対する位置をθ(i,t:θ0)とおくと、それ
は θ(i,t:θ0)=ωbt+(2π/N)i+θ0 となり、また、時刻tにおけるi番目の転動体と接触す
る内輪軌道面上の位置をx(i,t:θ0)とおくと、それ
は x(i,t:θ0)=(ωb−ωI)t+(2π/N)i+θ
0 (8) となる。また、前記2個の転動体の転がり軸受の場合と
同様、各時刻ごとに観測振動信号y(t)が取出せ、前
記各位置θ(i,t:θ0)と観測点11間の振動の伝播係数 および固有振動のインパルス応答の逆特性h-1(t)は
予め測定により算出される。したがって、前記と同様に
時刻tにより各転動体に対する伝播係数 が決定でき、かつ観測振動信号y(t)とインパルス応
答の逆特性h-1(t)の畳み込みにより実測等価駆動イ
ンパルスz(t)が決定され、次の関係式が成り立つ。
ここに、z (t):実測等価駆動インパルス z(t:θ0):推定等価駆動インパルス Δz(t:θ0):実測等価駆動インパルスと推定等価駆
動インパルスの差 (…):…を2πで除した剰余 したがってこのz(t)とz(t:θ0)との誤差の二乗
を最小とする条件からインパルスの最確値が求められ、
それに基づき傷の幅が算出される。
動インパルスの差 (…):…を2πで除した剰余 したがってこのz(t)とz(t:θ0)との誤差の二乗
を最小とする条件からインパルスの最確値が求められ、
それに基づき傷の幅が算出される。
以上は、観測振動信号をアナログ信号y(t)として説
明したが、実際の演算に際しては周期Tsごとにサンプリ
ングし、ディジタル化したサンプリング信号y(n)を
用いて処理する方が好都合である。この場合も同様であ
って、前記(7)〜(9)式において、t=nTs(nは
0,1,…整数L)とおき、これにより記述される推定等価
駆動インパルスをz(n:θ0)とおき、さらに円周2π
上での傷を求める位置の数、すなわち演算点の数をMと
おくことにより次のように表わされる。
明したが、実際の演算に際しては周期Tsごとにサンプリ
ングし、ディジタル化したサンプリング信号y(n)を
用いて処理する方が好都合である。この場合も同様であ
って、前記(7)〜(9)式において、t=nTs(nは
0,1,…整数L)とおき、これにより記述される推定等価
駆動インパルスをz(n:θ0)とおき、さらに円周2π
上での傷を求める位置の数、すなわち演算点の数をMと
おくことにより次のように表わされる。
M′:転動体表面上の角度π間に選んだ傷の演算の点数 θd(i,n:θ0)=ωbnTsM/2π+(M/N)i +θ0M/2π xd(i,n:θ0)=(ωb−ωI)nTsM/2π +(M/N)i+θ0M/2π これらの場合も前記アナログ信号の場合と同様に観測振
動信号y(n)に固有振動のインパルス応答の逆特性h
-1(n)を畳み込んで実測等価駆動インパルスz(n)
を求め、それと上記の推定等価駆動インパルスz(n:θ
0)との差の2乗和α(θ0)、すなわち ここに、 L:誤差を最小にする区間のデータ長 を前記演算点における未知のインパルスs(m)[m=
0,1,2…M−1]に関して最小にする ∂α(θ0)/∂s(m)=0 (12) を計算し、これにより得られる線形連立方程式(正規方
程式)を解くことによりs(m)が求められることにな
る。
動信号y(n)に固有振動のインパルス応答の逆特性h
-1(n)を畳み込んで実測等価駆動インパルスz(n)
を求め、それと上記の推定等価駆動インパルスz(n:θ
0)との差の2乗和α(θ0)、すなわち ここに、 L:誤差を最小にする区間のデータ長 を前記演算点における未知のインパルスs(m)[m=
0,1,2…M−1]に関して最小にする ∂α(θ0)/∂s(m)=0 (12) を計算し、これにより得られる線形連立方程式(正規方
程式)を解くことによりs(m)が求められることにな
る。
尚、上記のインパルス算出はベクトルと行列を用いて次
のように行なっても同様である。すなわち、いま次のよ
うなM,L次元の二つのベクトルZ,Sと一つのL×Mの行列
Wを考え Z=[z(0),z(1),…,z(L−1)]T S=[s(0),s(1),…,s(M−1)]T (13) ここに、Tは行列ベクトルの転置、Wn.mはnTsにおいて
i番目の玉によって発生するインパルスに掛けられる伝
播係数であり に等しい。
のように行なっても同様である。すなわち、いま次のよ
うなM,L次元の二つのベクトルZ,Sと一つのL×Mの行列
Wを考え Z=[z(0),z(1),…,z(L−1)]T S=[s(0),s(1),…,s(M−1)]T (13) ここに、Tは行列ベクトルの転置、Wn.mはnTsにおいて
i番目の玉によって発生するインパルスに掛けられる伝
播係数であり に等しい。
これらベクトルと行列を用いて上記(12)式を書き改め
ると、残差パワーは次のようになり、 α(θ)=(Z−WST)(Z−WS) (14) これと上記(13)式から、次の正規方程式が導かれる。
ると、残差パワーは次のようになり、 α(θ)=(Z−WST)(Z−WS) (14) これと上記(13)式から、次の正規方程式が導かれる。
WTWS=WTZ (15) この場合、内輪軌道面の点が玉と接触する際の公転角は
時間と共に変化(ωI≠ωb)し、伝播係数は角度の非
線形関数である。したがって、少なくとも内輪軌道面上
の点が1回は転動体と接触するのに必要な時間以上の長
い観測時間をとると、Wの列は線形独立となって行列WT
Wの逆行列が存在し、次のようにベクトルと行列を用い
て傷に関する最小二乗解Sの算出を行うことができる。
時間と共に変化(ωI≠ωb)し、伝播係数は角度の非
線形関数である。したがって、少なくとも内輪軌道面上
の点が1回は転動体と接触するのに必要な時間以上の長
い観測時間をとると、Wの列は線形独立となって行列WT
Wの逆行列が存在し、次のようにベクトルと行列を用い
て傷に関する最小二乗解Sの算出を行うことができる。
S=(WTW)-1WTZ (16) ここでは、外輪を静止させ、内輪を回転させた場合を例
として具体的に述べたが、内輪の回転速度は軌道輪間の
相対速度であるから、ここで説明した原理は外輪と内輪
を逆にした場合も同様に成立する。
として具体的に述べたが、内輪の回転速度は軌道輪間の
相対速度であるから、ここで説明した原理は外輪と内輪
を逆にした場合も同様に成立する。
以上は第1発明の理解を容易にするために転動体ではな
く軌道輪自体に傷があるとして原理を説明したものであ
るが、次に、外輪および内輪軌道面が滑らかな場合の転
動体表面の傷を推定する本発明の方法を説明する。
く軌道輪自体に傷があるとして原理を説明したものであ
るが、次に、外輪および内輪軌道面が滑らかな場合の転
動体表面の傷を推定する本発明の方法を説明する。
第4図において、前記第3図と同様に時刻t=0のとき
第0番目の転動体“0"が振動観測点11に対してなす角度
をθ0、内輪20の角速度をωI、転動体“0"、“1"、…
“N−1"の公転角速度、自転角速度をωb、ωB(ωb
≠ωB)とおく。いま、時刻tのときにi番目の転動体
が振動観測点11となす角度をθ(i、t:θ0)とおく
と,それは(ロ)に示すようにωbt+(2π/N)i+θ
0として表され、その状態におけるi番目の転動体のう
ち、内、外輪20、10、の軌道面との接触点は、それぞれ
ωBt、ωBt+πとなる。そして、この内、外輪両方との
接触により各励起された振動の和が振動観測点11に伝わ
る。したがって、この場合の推定駆動インパルスz(t:
θ0)を表わす関係式は前記(9)式のs((x(i,t:
θ0))の代りにsi((ωBt))+ρ・si((ωBt+
π))を用いて次のように表われる。
第0番目の転動体“0"が振動観測点11に対してなす角度
をθ0、内輪20の角速度をωI、転動体“0"、“1"、…
“N−1"の公転角速度、自転角速度をωb、ωB(ωb
≠ωB)とおく。いま、時刻tのときにi番目の転動体
が振動観測点11となす角度をθ(i、t:θ0)とおく
と,それは(ロ)に示すようにωbt+(2π/N)i+θ
0として表され、その状態におけるi番目の転動体のう
ち、内、外輪20、10、の軌道面との接触点は、それぞれ
ωBt、ωBt+πとなる。そして、この内、外輪両方との
接触により各励起された振動の和が振動観測点11に伝わ
る。したがって、この場合の推定駆動インパルスz(t:
θ0)を表わす関係式は前記(9)式のs((x(i,t:
θ0))の代りにsi((ωBt))+ρ・si((ωBt+
π))を用いて次のように表われる。
ここに、 si(…):i番目の転動体の表面上の位置(…)における
表面粗さ関数 ρ:内、外輪のそれぞれと玉の衝突によって励起される
二つのインパルスの振幅比 ところで、実際にはこの振幅比ρを求めることは困難で
あり、かつ両インパルスを区別することも困難である。
表面粗さ関数 ρ:内、外輪のそれぞれと玉の衝突によって励起される
二つのインパルスの振幅比 ところで、実際にはこの振幅比ρを求めることは困難で
あり、かつ両インパルスを区別することも困難である。
そこで、0<x<πにおいて次のように定義した表面関
数si′(x)すなわち を導入する。これにより前記(17)式は次のように表わ
される。
数si′(x)すなわち を導入する。これにより前記(17)式は次のように表わ
される。
以上の処理は、前記の回転軌道輪軌道面上に傷があると
した場合には、転動体の回転軌道輪軌道面のみへの衝突
によるインパルスを考慮していたのに対し、転動体表面
の傷推定においては転動体のπだけ隔てた2位置が内、
外輪の軌道面に同時に衝突し、その際に生じる分離不能
な2つのインパルスは、そのまま和の形のまま取扱おう
とするものであり、この和のインパルスを表面関数とし
て定義する点を除いて、他の処理は両者全く同様であ
る。したがって、前記と同様、観測振動信号y(t)に
固有振動の逆特性h-1(t)を畳み込みことにより実測
等価駆動インパルスz(t)を算出し、それと前記(1
9)式の推定等価駆動インパルスz(t:θ0)との差の
2乗を未知の表面関数si′(x)に対して最小化するこ
とにより転動体表面上の傷の関数であるsi′(x)が算
出される。
した場合には、転動体の回転軌道輪軌道面のみへの衝突
によるインパルスを考慮していたのに対し、転動体表面
の傷推定においては転動体のπだけ隔てた2位置が内、
外輪の軌道面に同時に衝突し、その際に生じる分離不能
な2つのインパルスは、そのまま和の形のまま取扱おう
とするものであり、この和のインパルスを表面関数とし
て定義する点を除いて、他の処理は両者全く同様であ
る。したがって、前記と同様、観測振動信号y(t)に
固有振動の逆特性h-1(t)を畳み込みことにより実測
等価駆動インパルスz(t)を算出し、それと前記(1
9)式の推定等価駆動インパルスz(t:θ0)との差の
2乗を未知の表面関数si′(x)に対して最小化するこ
とにより転動体表面上の傷の関数であるsi′(x)が算
出される。
また、上記は観測振動信号をアナログ信号y(t)とし
た場合であるが、前記の回転軌道輪軌道面に傷があると
して説明した場合と同様に観測振動信号を周期Tsごとの
ディジタルサンプリング信号y(n)とし、転動体表面
上の角度π間における適宜の点数Mについての傷を推定
するようにしてもよい。すなわち、この場合の推定等価
駆動インパルスz(n:θ0)は次のように表され、前記
と同様最小2乗法により各転動体ごとに演算点における
表面関数が算出される。
た場合であるが、前記の回転軌道輪軌道面に傷があると
して説明した場合と同様に観測振動信号を周期Tsごとの
ディジタルサンプリング信号y(n)とし、転動体表面
上の角度π間における適宜の点数Mについての傷を推定
するようにしてもよい。すなわち、この場合の推定等価
駆動インパルスz(n:θ0)は次のように表され、前記
と同様最小2乗法により各転動体ごとに演算点における
表面関数が算出される。
ここで、M′は転動体表面の位置x(0≦x<π)の演
算点の数を表す。
算点の数を表す。
以上、転がり軸受のN個の転動体が常に角度2π/Nの等
間隔を保ちながら公転する場合につき説明したが、不等
間隔の場合、すなわち複数の転動体が軌道面上の一点を
通過する周期にばらつきのある場合は、上記方法では正
確な結果は得られない。したがって、このように各玉間
に周期ずれのある場合には、サンプリング周波数を低減
する必要がある。第2の発明はその低減化を狭帯域信号
のパワー包絡化処理により行なうようにしたものであ
る。すなわち、転がり軸受の一方の軌道輪を一定角速度
で回転させると共に、静止状態に保持した他方の軌道輪
上の1点において半径方向の振動を観測し、その振動信
号y(t)の周期Tsごとのサンプリング信号y(n)に
転がり軸受の固有振動数のインパルス応答の逆特性h-1
(n)を畳み込み、それにより得られた等価駆動インパ
ルスz(n)に狭帯域フィルタリングを施して固有振動
付近の成分zB(n)を抽出し、次いで、それを2乗した
2乗信号|zB(n)|2に低帯域フィルタリングを施して
形成した包絡信号zL(n)と軌道輪の円周方向の各位置
と前記振動の観測点間の振動の伝播係数および未知の転
動体表面の傷に基づく軌道輪上のインパルスとの関係式
に基づいて各々前記未知のインパルスを算出し、そのイ
ンパルスから転がり軸受の回転軌道輪軌道面・転動体表
面の粗さを推定するものである。
間隔を保ちながら公転する場合につき説明したが、不等
間隔の場合、すなわち複数の転動体が軌道面上の一点を
通過する周期にばらつきのある場合は、上記方法では正
確な結果は得られない。したがって、このように各玉間
に周期ずれのある場合には、サンプリング周波数を低減
する必要がある。第2の発明はその低減化を狭帯域信号
のパワー包絡化処理により行なうようにしたものであ
る。すなわち、転がり軸受の一方の軌道輪を一定角速度
で回転させると共に、静止状態に保持した他方の軌道輪
上の1点において半径方向の振動を観測し、その振動信
号y(t)の周期Tsごとのサンプリング信号y(n)に
転がり軸受の固有振動数のインパルス応答の逆特性h-1
(n)を畳み込み、それにより得られた等価駆動インパ
ルスz(n)に狭帯域フィルタリングを施して固有振動
付近の成分zB(n)を抽出し、次いで、それを2乗した
2乗信号|zB(n)|2に低帯域フィルタリングを施して
形成した包絡信号zL(n)と軌道輪の円周方向の各位置
と前記振動の観測点間の振動の伝播係数および未知の転
動体表面の傷に基づく軌道輪上のインパルスとの関係式
に基づいて各々前記未知のインパルスを算出し、そのイ
ンパルスから転がり軸受の回転軌道輪軌道面・転動体表
面の粗さを推定するものである。
以下、第2発明の説明を簡略化するため前記第1発明の
説明の場合と同様に、転動体でなく内輪軌道面の粗さを
推定する場合を先ず例にとり説明する。
説明の場合と同様に、転動体でなく内輪軌道面の粗さを
推定する場合を先ず例にとり説明する。
いま、時刻tにおける前記(11)式の推定等価駆動イン
パルスz(n:θ0)を表すと次のとおりである。
パルスz(n:θ0)を表すと次のとおりである。
この場合、時刻t0においてi番目の転動体と軌道面が接
触することによって発生すべきインパルスにt0からの時
間ずれΔ(i,t0)があるとすると、前記(20)式は次の
ように修正される。
触することによって発生すべきインパルスにt0からの時
間ずれΔ(i,t0)があるとすると、前記(20)式は次の
ように修正される。
次に、上記の推定等価駆動インパルスに対し狭帯域化フ
ィルタリング(中心周波数F0,帯域幅±ΔF)が施され
る。ところで、この帯域通過フィルタのインパルス対応
hB(n)は、下記のように低帯域通過フィルタのインパ
ルス応答hL(nTs)と余弦波cos(2πF0nTs)の積の形
で表されるものである。
ィルタリング(中心周波数F0,帯域幅±ΔF)が施され
る。ところで、この帯域通過フィルタのインパルス対応
hB(n)は、下記のように低帯域通過フィルタのインパ
ルス応答hL(nTs)と余弦波cos(2πF0nTs)の積の形
で表されるものである。
hB(n)=hL(nTs)・cos(2πF0・nTs) (26) したがって、時刻t付近の狭帯域通過信号zB(n)は次
のように表される。
のように表される。
ここに 続いて、上記狭帯域通過信号z(n)の2乗信号|z
B(n)|2が形成された後、ローパスフィルタを介して|
zB(n)|2の低周波成分である包絡信号zL(n)が取出
される。
B(n)|2が形成された後、ローパスフィルタを介して|
zB(n)|2の低周波成分である包絡信号zL(n)が取出
される。
ただし第2項の和はi<jの場合に関してのみ行う。こ
の包絡信号zL(n)において、周期ずれの影響は、低
周波通過フィルタ(nTs)の時間ずれΔ(i,t0)と、
第2項の定数cos{2πF0|Δ(i,t0)−Δ(j,t0)|}
にみられる。しかし、前記については、低周波通過フ
ィルタを介した信号は高周波成分を含まないことから、
この周期ずれΔ(i,t0)による位相回転の影響は無視で
きることがわかる。また、前記について検討するの
に、狭帯域フィルタの中心周波数F0は高いため前記の2
πF0|△(i,t0)−△(j,t0)|は大きい。しかしなが
らその各転動体間の周期ずれは転動体のスリップ等に起
因して生じていることからランダムであって前記Δ(i,
t0)とΔ(j,t0)とは無相関である。その結果、2πF0
|Δ(i,t0)−(j,t0)|は−1〜+1の間でランダム
な値をとることになり、このランダム値が掛けられて得
られる項の和である前記第2項は第1項に比べて十分小
さい。したがってzL(n)は、Δ(i,t0)の消去された
第1項のみにより次のように近似されることになり、こ
れから粗さの関数である|s(xi)|2が求められる。
の包絡信号zL(n)において、周期ずれの影響は、低
周波通過フィルタ(nTs)の時間ずれΔ(i,t0)と、
第2項の定数cos{2πF0|Δ(i,t0)−Δ(j,t0)|}
にみられる。しかし、前記については、低周波通過フ
ィルタを介した信号は高周波成分を含まないことから、
この周期ずれΔ(i,t0)による位相回転の影響は無視で
きることがわかる。また、前記について検討するの
に、狭帯域フィルタの中心周波数F0は高いため前記の2
πF0|△(i,t0)−△(j,t0)|は大きい。しかしなが
らその各転動体間の周期ずれは転動体のスリップ等に起
因して生じていることからランダムであって前記Δ(i,
t0)とΔ(j,t0)とは無相関である。その結果、2πF0
|Δ(i,t0)−(j,t0)|は−1〜+1の間でランダム
な値をとることになり、このランダム値が掛けられて得
られる項の和である前記第2項は第1項に比べて十分小
さい。したがってzL(n)は、Δ(i,t0)の消去された
第1項のみにより次のように近似されることになり、こ
れから粗さの関数である|s(xi)|2が求められる。
ここに、 hL(nTs−t0):低帯域フィルタのインパルス応答(t0
付近のnTsにおける) n:サンプリング番号 i:転がり軸受の転動体番号 (0,1,…N−1) W(θi):内輪軌道面上の角度θiにおける振動のθ
=0位置への伝播係数 s(xi):内輪軌道面上の位置xiにおける表面粗さ関数 尚、上式を前記(11)式と比較してみると、ローパスフ
ィルタの2乗|hL(nTs−t0)|2を有する点を除いて全く
同様であり、結局、前記(11)式の伝播係数 の代りに を、表面粗さ関数s(x)の代りにその2乗値をそれぞ
れ用いていることとなる。したがって、これによれば、
伝播係数の代りにその2乗値を予め求めておけばよく、
このことは伝播係数の符号に関する情報を必要としない
のでその測定はより容易である。また、同時に処理過程
で位相のランダムなノイズ成分が低減化されるので、SN
比を向上できる特徴をもつ。以上は内輪軌道面の粗さを
推定する場合を例にとった説明であるが、前記(29)式
においてインパルス の代わりに転動体表面上の粗さに基づく表面関数 を代入すれば、転動体表面の粗さを推定する関係式とな
る。また、ここでは外輪を静止させ、内輪を回転させた
場合を例として述べたが、内輪の回転速度は軌道輪間の
相対速度に置き換えることができるから、ここで説明し
た原理は、外輪を回転させ、内輪を静止させた場合に
も、同様に成立する。
付近のnTsにおける) n:サンプリング番号 i:転がり軸受の転動体番号 (0,1,…N−1) W(θi):内輪軌道面上の角度θiにおける振動のθ
=0位置への伝播係数 s(xi):内輪軌道面上の位置xiにおける表面粗さ関数 尚、上式を前記(11)式と比較してみると、ローパスフ
ィルタの2乗|hL(nTs−t0)|2を有する点を除いて全く
同様であり、結局、前記(11)式の伝播係数 の代りに を、表面粗さ関数s(x)の代りにその2乗値をそれぞ
れ用いていることとなる。したがって、これによれば、
伝播係数の代りにその2乗値を予め求めておけばよく、
このことは伝播係数の符号に関する情報を必要としない
のでその測定はより容易である。また、同時に処理過程
で位相のランダムなノイズ成分が低減化されるので、SN
比を向上できる特徴をもつ。以上は内輪軌道面の粗さを
推定する場合を例にとった説明であるが、前記(29)式
においてインパルス の代わりに転動体表面上の粗さに基づく表面関数 を代入すれば、転動体表面の粗さを推定する関係式とな
る。また、ここでは外輪を静止させ、内輪を回転させた
場合を例として述べたが、内輪の回転速度は軌道輪間の
相対速度に置き換えることができるから、ここで説明し
た原理は、外輪を回転させ、内輪を静止させた場合に
も、同様に成立する。
実施例 以下実施例に基づき本発明を説明する。
振動信号の観測系を示す第6図において、被推定玉軸受
40の種類は形式JIS696であり、この玉軸受の外輪10にス
ラスト力を加えて静止状態に保持し、内輪を一定回転数
1800rpmで、回転させた。また、観測振動信号y(n)
は、観測点11における振動を振動センサ30により検出し
その電気的出力を増幅器61により増幅後、ハイパスフィ
ルタ62を通過させてその中に含まれている内輪20の回転
の1次成分(30H)を除去し、それを一旦ディジタルオ
ーディオレコーダ62に記憶させた。その後これを試験場
所から信号の処理場所へ持ち帰り、次いでその出力を低
帯域通過フィルタ63、前置増幅器64を介して再現させた
後A/D変換器65に送り、周期Ts=30μsにてサンプリン
グを行なうことにより形成した。
40の種類は形式JIS696であり、この玉軸受の外輪10にス
ラスト力を加えて静止状態に保持し、内輪を一定回転数
1800rpmで、回転させた。また、観測振動信号y(n)
は、観測点11における振動を振動センサ30により検出し
その電気的出力を増幅器61により増幅後、ハイパスフィ
ルタ62を通過させてその中に含まれている内輪20の回転
の1次成分(30H)を除去し、それを一旦ディジタルオ
ーディオレコーダ62に記憶させた。その後これを試験場
所から信号の処理場所へ持ち帰り、次いでその出力を低
帯域通過フィルタ63、前置増幅器64を介して再現させた
後A/D変換器65に送り、周期Ts=30μsにてサンプリン
グを行なうことにより形成した。
次に、内輪20と玉50の接触位置を定める内輪角速度ωI
と玉50の公転角速度ωbは前記内輪20の回転数および玉
軸受40各部寸法、接触角により算出可能であるが、ここ
では、観測振動信号y(n)中に内輪20の角速度ωIと
玉30の自動角速度ωBさらに玉30の公転角速度ωbの玉
数倍の角周波数成分がかなりのパワーをもって含まれて
いる(これは軸受の正常、異常にかかわらず生じる)こ
とに着目し、観測振動信号y(n)を周波数分析してω
I、ωB、ωbを実測した。また、軌道面上の各点と観
測点11間の伝播係数W(θ)の決定にあたっては、静止
状態に保持される外輪10の軌道面の1ケ所に傷を付した
同種の玉軸受を用い、観測点11に対する傷の位置の角度
θを順次変更して固定し、各固定位置ごとにその傷と玉
との接触により発生する振動が観測点に伝わる重み、す
なわち伝播係数W(θ)を測定したが、このようにして
求めた伝播係数を用いても、後記するように良好な粗さ
の推定値が得られる。そこで、ここでは外輪上の傷の位
置k(0,1…M−1)を順次16点にわたって変化させ、
伝播係数の2乗値|W(θ)|2を次のようにして計算し
た。先ず、k=0の点すなわち観測点11とに外輪10の傷
位置を一致させ、サンプリング信号y(n:k=0)を取
出す。続いて、それを狭帯域通過フィルタリング処理を
行なって固有振動成分の抽出を行ない、次いでそれを2
乗した後、低帯域通過フィルタをとおして2乗信号の包
絡信号を形成し、その包絡信号のピーク値のパワースペ
クトラムを演算して求める。以下、傷の位置をそれぞれ
k=1,2…(M−1)の位置に固定した状態(観測点11
からの角度θはk2π/M)において前記と同様にピーク値
P(k)を求め、それらを前記k=0点の値で正規化し
て各点の伝播係数の2乗値、すなわち、 |W(θ)|2=P(k)/P(k=0) を算出する。そしてこの16点の|W(θ)|2の内挿を行な
って64点に対する伝播係数の2乗値を求めた。第7図は
その結果である。また、実測等価駆動インパルス
z(n)の算出に必要な固有振動数のインパルス応答の
逆特性h-1(n)は2パルスモデルを用いて推定した。
尚この2パルスモデルとは、傷によって生じる振動を、
二つのインパルスによって駆動される二つの固有振動の
和により表わしたモデルである。この第1のインパルス
は内輪と玉の傷が接触し、内輪をたたいた際に励起さ
れ、そのとき、この第1のインパルスが玉に反響し、そ
の結果として玉が反対側に位置した外輪をたたく際に第
2のインパルスの励起が行なわれる。したがって、この
モデルの振動信号は前記二つのインパルスによって駆動
される複素指数関数の線形結合として表現できる。そこ
で、種々の遅延に対し、モデルの信号と実測振動信号y
(n)の差を最小にする最小二乗法を適用することによ
り振動の極のパラメータが算定でき、このパラメータか
ら固有振動のインパルス応答の逆特性h-1(n)が求ま
る。次に、粗さをもつ位置を決定するためには、前記各
速度ωI,ωB,ωbと共に測定開始時に観測点に対する第
1番目の玉の位置、すなわち初期角θ0の決定が必要と
なるが、ここでは前記(12)式により定義した残差パワ
ーα(θ0)を最小にする条件からθ0の最確値を求め
ることにした。したがって本実施例においては、初期角
θ0を0≦θ0<2π/Nの範囲で順次変え、その各々に
ついて次のように包絡信号zL(n)およびそれに基づく
表面関数(インパルス)を算出した。すなわち、包絡信
号zL(n)は前記観測振動信号y(n)に対して前記固
有振動のインパルス応答の逆特性h-1(n)を畳み込ん
で実測等価駆動インパルスz(n:θ0)を算出し、次い
で、FIR形フィルタ(16点)を用いて狭帯域フィルタリ
ングを行ない、その固有振動付近の成分zB(n)のみの
抽出を行ない、続いてそれを2乗し、その振幅2乗信号
|zB(n)|2に対してハニングの窓(16点)による移動
平均化処理を行なって高周波成分を除き、その後低いサ
ンプリング周波数によりサンプリングを行なうことによ
り形成した。その後、これら各値を前記(29)式に代入
し、各初期角θ0(0≦θ0<2π/N)における表面関
数の二乗値|s(m)|2(ここに、m=0,1,…63であっ
て、前記 を略記したもの)を算出した。そして最後にこれらの中
から前記(12)式に示すパワーα(θ)を最小にする初
期角θ0の最確値を求めた。
と玉50の公転角速度ωbは前記内輪20の回転数および玉
軸受40各部寸法、接触角により算出可能であるが、ここ
では、観測振動信号y(n)中に内輪20の角速度ωIと
玉30の自動角速度ωBさらに玉30の公転角速度ωbの玉
数倍の角周波数成分がかなりのパワーをもって含まれて
いる(これは軸受の正常、異常にかかわらず生じる)こ
とに着目し、観測振動信号y(n)を周波数分析してω
I、ωB、ωbを実測した。また、軌道面上の各点と観
測点11間の伝播係数W(θ)の決定にあたっては、静止
状態に保持される外輪10の軌道面の1ケ所に傷を付した
同種の玉軸受を用い、観測点11に対する傷の位置の角度
θを順次変更して固定し、各固定位置ごとにその傷と玉
との接触により発生する振動が観測点に伝わる重み、す
なわち伝播係数W(θ)を測定したが、このようにして
求めた伝播係数を用いても、後記するように良好な粗さ
の推定値が得られる。そこで、ここでは外輪上の傷の位
置k(0,1…M−1)を順次16点にわたって変化させ、
伝播係数の2乗値|W(θ)|2を次のようにして計算し
た。先ず、k=0の点すなわち観測点11とに外輪10の傷
位置を一致させ、サンプリング信号y(n:k=0)を取
出す。続いて、それを狭帯域通過フィルタリング処理を
行なって固有振動成分の抽出を行ない、次いでそれを2
乗した後、低帯域通過フィルタをとおして2乗信号の包
絡信号を形成し、その包絡信号のピーク値のパワースペ
クトラムを演算して求める。以下、傷の位置をそれぞれ
k=1,2…(M−1)の位置に固定した状態(観測点11
からの角度θはk2π/M)において前記と同様にピーク値
P(k)を求め、それらを前記k=0点の値で正規化し
て各点の伝播係数の2乗値、すなわち、 |W(θ)|2=P(k)/P(k=0) を算出する。そしてこの16点の|W(θ)|2の内挿を行な
って64点に対する伝播係数の2乗値を求めた。第7図は
その結果である。また、実測等価駆動インパルス
z(n)の算出に必要な固有振動数のインパルス応答の
逆特性h-1(n)は2パルスモデルを用いて推定した。
尚この2パルスモデルとは、傷によって生じる振動を、
二つのインパルスによって駆動される二つの固有振動の
和により表わしたモデルである。この第1のインパルス
は内輪と玉の傷が接触し、内輪をたたいた際に励起さ
れ、そのとき、この第1のインパルスが玉に反響し、そ
の結果として玉が反対側に位置した外輪をたたく際に第
2のインパルスの励起が行なわれる。したがって、この
モデルの振動信号は前記二つのインパルスによって駆動
される複素指数関数の線形結合として表現できる。そこ
で、種々の遅延に対し、モデルの信号と実測振動信号y
(n)の差を最小にする最小二乗法を適用することによ
り振動の極のパラメータが算定でき、このパラメータか
ら固有振動のインパルス応答の逆特性h-1(n)が求ま
る。次に、粗さをもつ位置を決定するためには、前記各
速度ωI,ωB,ωbと共に測定開始時に観測点に対する第
1番目の玉の位置、すなわち初期角θ0の決定が必要と
なるが、ここでは前記(12)式により定義した残差パワ
ーα(θ0)を最小にする条件からθ0の最確値を求め
ることにした。したがって本実施例においては、初期角
θ0を0≦θ0<2π/Nの範囲で順次変え、その各々に
ついて次のように包絡信号zL(n)およびそれに基づく
表面関数(インパルス)を算出した。すなわち、包絡信
号zL(n)は前記観測振動信号y(n)に対して前記固
有振動のインパルス応答の逆特性h-1(n)を畳み込ん
で実測等価駆動インパルスz(n:θ0)を算出し、次い
で、FIR形フィルタ(16点)を用いて狭帯域フィルタリ
ングを行ない、その固有振動付近の成分zB(n)のみの
抽出を行ない、続いてそれを2乗し、その振幅2乗信号
|zB(n)|2に対してハニングの窓(16点)による移動
平均化処理を行なって高周波成分を除き、その後低いサ
ンプリング周波数によりサンプリングを行なうことによ
り形成した。その後、これら各値を前記(29)式に代入
し、各初期角θ0(0≦θ0<2π/N)における表面関
数の二乗値|s(m)|2(ここに、m=0,1,…63であっ
て、前記 を略記したもの)を算出した。そして最後にこれらの中
から前記(12)式に示すパワーα(θ)を最小にする初
期角θ0の最確値を求めた。
第8図(イ)、(ロ)は、正常および玉の一つに傷のあ
る前記の玉軸受において、表面関数の2乗値|s′(x)
|2を包絡信号を形成して推定した結果であり、(ロ)の
結果から第0番目の玉表面に1つの傷(前記した如く推
定結果には傷の位置とπだけずれた位置でも同様の大き
さの表面関数が生じる)があることが推定された。
る前記の玉軸受において、表面関数の2乗値|s′(x)
|2を包絡信号を形成して推定した結果であり、(ロ)の
結果から第0番目の玉表面に1つの傷(前記した如く推
定結果には傷の位置とπだけずれた位置でも同様の大き
さの表面関数が生じる)があることが推定された。
また、訓練を受けた熟練検査員の聴覚検査により分類さ
れた26個の玉軸受(正常15個、玉に傷有11個)につき本
発明方法により算出された表面関数を対比した結果は、
第11図のとおりであり、破線で示した閾値を用いると識
別率は100%であった。
れた26個の玉軸受(正常15個、玉に傷有11個)につき本
発明方法により算出された表面関数を対比した結果は、
第11図のとおりであり、破線で示した閾値を用いると識
別率は100%であった。
発明の効果 以上のとおりであり、本発明は、静止する軌道輪上の1
点の観測振動信号を用いて組立状態の転がり軸受の転動
体表面の粗さを熟練者でなくても簡単にかつ短時間でし
かも高い精度で定量的に推定し得るものであり、検査精
度を損なうことなく検査効率を格段に高めることができ
る。
点の観測振動信号を用いて組立状態の転がり軸受の転動
体表面の粗さを熟練者でなくても簡単にかつ短時間でし
かも高い精度で定量的に推定し得るものであり、検査精
度を損なうことなく検査効率を格段に高めることができ
る。
第1図は本発明の原理を説明するための玉数2個の想定
玉軸受のモデル図、第2図は前記第1図のもののインパ
ルスと観測振動信号の関係を示すモデル図、第3図は複
数個の転動体を有する転動体軸受の内輪回転と転動体の
公転による接触位置変化の関係を示すモデル図、第4図
は複数個の転動体を有する転がり軸受の内、外輪と転動
体表面の接触位置変化の関係を示すモデル図、第5図は
玉間隔が不当間隔の玉軸受を示すモデル図、第6図は本
発明における振動信号の取出しの実施例を示すブロック
線図、第7図は、伝播係数の実測データ例を示す線図、
第8図は玉表面の傷の推定例を示す線図、第9図は本発
明により26個の玉軸受の玉表面の傷を推定した結果を示
す線図である。 10:外輪、20:内輪 30:玉、40:玉軸受 11:観測点、50:振動センサ
玉軸受のモデル図、第2図は前記第1図のもののインパ
ルスと観測振動信号の関係を示すモデル図、第3図は複
数個の転動体を有する転動体軸受の内輪回転と転動体の
公転による接触位置変化の関係を示すモデル図、第4図
は複数個の転動体を有する転がり軸受の内、外輪と転動
体表面の接触位置変化の関係を示すモデル図、第5図は
玉間隔が不当間隔の玉軸受を示すモデル図、第6図は本
発明における振動信号の取出しの実施例を示すブロック
線図、第7図は、伝播係数の実測データ例を示す線図、
第8図は玉表面の傷の推定例を示す線図、第9図は本発
明により26個の玉軸受の玉表面の傷を推定した結果を示
す線図である。 10:外輪、20:内輪 30:玉、40:玉軸受 11:観測点、50:振動センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安倍 正人 宮城県名取市上余田千刈田902−2 コー ポ清明203号 (72)発明者 城戸 健一 宮城県仙台市若葉町12−15 審査官 村田 尚英
Claims (3)
- 【請求項1】転がり軸受の一方の軌道輪を一定角速度で
回転させると共に、静止状態に保持した他方の軌道輪上
の1点において半径方向の振動を観測し、次いで、その
観測振動信号と予め求めた既知の軌道輪の固有振動数の
インパルス応答に基づいて算出される実測等価駆動イン
パルスと、軌道輪の円周方向の各位置と前記振動の観測
点間の振動の伝播係数および転動体の傷との接触により
発生する軌道輪の軌道面上の未知のインパルスとから推
定される推定等価駆動インパルスと、の関係式に基づい
て前記未知のインパルスを算出し、そのインパルスから
転動体表面の傷の幅を推定するところの転がり軸受の転
動体表面の粗さ推定方法。 - 【請求項2】観測振動信号は、振動に対応したアナログ
信号y(t)の周期Tsごとのサンプリング信号y(n)
とし、実測等価駆動インパルスと推定駆動インパルスと
の関係式は、z (n)=y(n)*h-1(n) =z(n:θ0)+△z(n:θ0) ここに、 *:畳み込み演算 n:サンプリング番号(t=nTs)z (n):実測等価駆動インパルス z(n:θ0):推定等価駆動インパルス △z(n:θ0):推定等価駆動インパルスの推定誤差 h-1(n):転がり軸受の固有振動数のインパルス応答
の逆特性 i:転がり軸受の転動体番号(0,1,…,N−1) M:回転軌道輪軌道面上に選んだ伝播係数算出点の数 M′:転動体表面上の角度π間に選んだ傷の演算の点数 […]:実数…に最も近い整数 W(([θd(i,n:θ0)])):角度θの位置におけ
る転動体の振動のθ=0位置までの伝播係数 θd(i,n:θ0):nTsωb/2π+Mi/N +Mθ0/2π ωb:転動体の公転角速度 ωB:転動体の自転角速度 θ0:転動体番号0の転動体のt=0における公転角 としたところの特許請求の範囲第1項に記載の転がり軸
受の転動体表面の粗さ推定方法。 - 【請求項3】転がり軸受の一方の軌道輪を一定角速度で
回転させると共に、静止状態に保持した他方の軌道輪上
の1点において半径方向の振動を観測し、次いで、その
観測振動信号y(t)の周期Tsごとのサンプリング信号
y(n)に転がり軸受の固有振動数のインパルス応答の
逆特性h-1(n)を畳み込み、それにより得られた等価
駆動インパルスz(n)に挟帯域フィルタリングを施し
て固有振動付近の成分zB(n)を抽出し、次いで、それ
を2乗した2乗信号|zB(n)|2に低帯域通過フィルタ
リングを施して形成した包絡信号zL(n)と、軌道輪の
円周方向の各位置と前記振動の観測点間の振動の伝播係
数と未知の転動体表面の傷に基づく軌道輪上のインパル
スと、の関係式に基づいて前記未知のインパルスを算出
し、そのインパルスから転動体表面上の傷の幅を推定す
るところの転がり軸受の転動体表面の粗さ推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61313564A JPH0752119B2 (ja) | 1986-12-24 | 1986-12-24 | 転がり軸受の転動体表面の粗さ推定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61313564A JPH0752119B2 (ja) | 1986-12-24 | 1986-12-24 | 転がり軸受の転動体表面の粗さ推定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63271124A JPS63271124A (ja) | 1988-11-09 |
JPH0752119B2 true JPH0752119B2 (ja) | 1995-06-05 |
Family
ID=18042826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61313564A Expired - Lifetime JPH0752119B2 (ja) | 1986-12-24 | 1986-12-24 | 転がり軸受の転動体表面の粗さ推定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0752119B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005231427A (ja) * | 2004-02-18 | 2005-09-02 | B M C:Kk | 軌道モニタリング装置 |
JP2007101244A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Omron Corp | 検査装置 |
ES2337330B1 (es) * | 2008-09-15 | 2011-02-08 | Consejo Superior De Investigaciones Cientificas (Csic) | Procedimiento y sistema para la estimacion en tiempo real de la rugosidad superficial en procesos de mecanizado de ultra-precision. |
JP2012181168A (ja) * | 2011-03-03 | 2012-09-20 | Ntn Corp | 転動装置の状態監視装置および監視方法 |
WO2012117970A1 (ja) | 2011-03-03 | 2012-09-07 | Ntn株式会社 | 転動装置の状態監視システムおよび状態監視方法 |
JP5661512B2 (ja) * | 2011-03-03 | 2015-01-28 | Ntn株式会社 | 油潤滑方式転動装置およびその潤滑油中の混入水分濃度の異常監視のしきい値設定方法 |
JP2012181169A (ja) * | 2011-03-03 | 2012-09-20 | Ntn Corp | 転動部品の状態監視装置および状態監視方法 |
-
1986
- 1986-12-24 JP JP61313564A patent/JPH0752119B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63271124A (ja) | 1988-11-09 |
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