JPH0751883A - 無鉛はんだ合金 - Google Patents

無鉛はんだ合金

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JPH0751883A
JPH0751883A JP21902093A JP21902093A JPH0751883A JP H0751883 A JPH0751883 A JP H0751883A JP 21902093 A JP21902093 A JP 21902093A JP 21902093 A JP21902093 A JP 21902093A JP H0751883 A JPH0751883 A JP H0751883A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のスズ=鉛はんだにおける鉛の作用を十
分代替できる無鉛はんだ合金を提供する。 【構成】 Bi10〜20重量%、Sb0.1〜5重量
%、Zn4〜6重量%、Ag0.1〜3重量%、残部S
nからなる無鉛はんだ合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無鉛(非Pb)はんだ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、はんだ合金は基材としてスズ
=鉛はんだあるいはスズ=鉛=ビスマスはんだがあり、
鉛は合金組成において不可欠であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし鉛は人体にとっ
て有毒な重金属であり、採鉛や鉛の廃棄による地球環境
の汚染、あるいは人体、生体への悪影響が問題になって
いる。ところが現状としては、電子機器において電子部
品の実装などで鉛はんだ合金が大量に使用されている。
従って、鉛を使用しない無鉛はんだを提供することがで
きれば、工業全体としても鉛害を効果的に抑制すること
ができる。
【0004】ところで、スズ=鉛はんだにおいて鉛はス
ズの融点である232度Cを下げる作用を有しており、
鉛を37重量%合金したはんだは融点183度Cの共晶
はんだとして広く用いられている。即ち、電子部品は熱
に弱いので、はんだ接合時の加熱温度も低温で行う必要
があり、共晶はんだはこれらの要求に適合しているので
ある。しかしはんだの融点が余り低すぎても電子部品の
発熱や太陽熱で影響を受けてしまい、はんだ接合の本来
的な目的から外れてしまうことになる。従って、無鉛は
んだを組成する場合には、はんだ付けが行いやすく、か
つ外部からの熱雰囲気で影響を受けないような接合用合
金を開発する必要がある。共晶はんだに代替できる合金
の条件としては、少なくとも融点が130〜200度C
の範囲でなければならない。さらに好ましくは、従来の
共晶はんだの融点である183度Cに近いことが、現状
のはんだ付けラインを修正する必要なく、そのまま利用
することができる。また、電装部品のはんだ付けに際し
ても、車載部品などのように使用環境が過酷な部分には
耐ヒートサイクル性も確保することが好ましい。
【0005】本発明は鉛害の回避という点に着目し、無
鉛はんだ合金を組成する際に、従来のスズ=鉛はんだに
おける鉛の作用を十分代替できる無鉛はんだ合金を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上述した目
的を達成するために、スズを基材として複数種類の金属
で合金を組成した。即ち、Snを基材として、Bi(ビ
スマス)、Sb(アンチモン)、Zn(亜鉛)、Ag
(銀)をそれぞれ10〜20重量%、0.1〜5重量
%、4〜6重量%、0.1〜3重量%の配分とし、合金
を組成した。
【0007】
【作用】Snそのものは毒性がなく、接合母材に対する
ヌレを得るという作用を行うものであり、はんだ基材と
して必須の金属である。BiはSnと合金を組成するこ
とによってSnの本来の融点である232度Cを大幅に
降下させる機能を持っている。Biの配分を20重量%
にした場合には合金の液相温度は約200度Cまで降下
する。Znの添加は従来のSn−Pb共晶はんだに近似
する固相温度を達成するための作用を行う。Biだけの
添加で液相温度を降下させるとすれば、固相温度は予定
温度以下に低下してしまう。Znの添加は、Biによっ
て固相温度が予定温度以下に降下してしまうのを防止
し、固相温度を維持する。91対9配分のSn−Zn合
金では融点が199度Cの共晶になるが、本発明ではB
iの含有量が多いので、Bi−ZnおよびBi−Snの
反応も考慮される。従って、これら3種類の反応を考慮
して、Znの含有量が決定されることになる。
【0008】SbはSn中に分散することによって、S
nのβ→α変態を防止する。また、Bi自体が脆い素材
であるから、Sn=Bi合金も脆くなるが、Sbを添加
してSn中に分散させることによって粘りを強くし、S
n=Bi合金の脆さを改善するという作用も持ってい
る。なお、SbはBiと完全に混合する性質であるか
ら、Sbの添加による弊害は発生しない。Agは成分中
ではもっとも原子半径が小さく、はんだ溶融中には接合
母材への拡散スピードを早める。これによってヌレ性を
改善してはんだ合金と母材との接合強度を高める。ま
た、Agは合金中に分散し、衝撃強度を増加させる。こ
れらの作用は添加量が0.1重量%から次第に現れ、漸
次大きくなるが、3重量%を越えると合金の融点が上限
期待値よりも高くなってしまうので、これを越えない範
囲とした。
【0009】
【実施例】以下、本発明の目的を実現するための好まし
い実施例を示す。 (実施例1)Bi14重量%、Sb2重量%、Zn5重
量%、Ag0.3重量%、残部Snのはんだ合金を組成
した。 (実施例2)Bi14重量%、Sb2重量%、Zn5重
量%、Ag2重量%、残部Snのはんだ合金を組成し
た。
【0010】実施例1の合金の物理的特性は、融点18
5〜189度C、引張強度7.3kgf/mm2 、伸び率1.
6%、ヤング率9.3×104 kg/cm2であった。銅板上
での接合ヌレ性および接合流動性は何れも良好であっ
た。なお、接合に際してRMAフラックスを使用し、2
40度Cの温度雰囲気で行った。実施例2の合金の物理
的特性は、融点182〜183度C、引張強度6.7kg
f/mm2 、伸び率1.1%、ヤング率9.4×104 kg/c
m2であった。銅板上での接合ヌレ性および接合流動性は
何れも良好であった。なお、接合に際してRMAフラッ
クスを使用し、240度Cの温度雰囲気で行った。
【0011】結果から明らかなように、2つの合金の融
点は共晶はんだの融点である183度Cと非常に近く、
現状で採用しているはんだ付けラインをそのまま転用し
ても問題はないことがわかる。Biだけを14重量%添
加した場合のSn合金の液相温度は約210度C程度で
あり、固相温度が180度Cより低くなってしまうが、
Znを5重量%添加したことが相乗的に作用し、液相温
度を下げながら固相温度の降下を抑制することができ
た。
【0012】上記2つの実施例から明らかなように、本
発明の無鉛はんだ合金は電子部品の実装などに用いる低
温はんだとして従来からあるSn−Pb共晶はんだとほ
ぼ同等の作業温度を達成することが可能であると共に、
他の物理的特性においても良好な数値を示している。実
施例1と実施例2以外の範囲であっても、融点が200
度Cを越えないように、かつ固相温度が低下しないよう
にBiとZnの配分を調整すれば、物理的特性は上記範
囲を大きく外れない良好な値を示すものと推測される。
【0013】
【発明の効果】本発明では上述したように従来の有鉛は
んだ合金とは全くことなり、鉛は一切利用していないの
で、鉛害の問題は完全に回避することができる。しか
も、従来のSn−Pb共晶はんだと同等の温度ではんだ
付け作業を行うことができるので、現状の作業ラインの
環境を全く変更することなく、熱に弱い電子部品の接合
が可能である。また、はんだ合金としての物理的特性も
良好な状態を確保しているので、従来の共晶はんだと同
等の性能を有する代替合金として採用することができ、
用途としては非常に広い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Bi10〜20重量%、Sb0.1〜5重
    量%、Zn4〜6重量%、Ag0.1〜3重量%、残部
    Snからなることを特徴とする無鉛はんだ合金。
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