JPH0751520B2 - ベンジルトルエンと（メチルベンジル）キシレンとを主成分とする誘電体組成物 - Google Patents

ベンジルトルエンと（メチルベンジル）キシレンとを主成分とする誘電体組成物

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JPH0751520B2
JPH0751520B2 JP3055989A JP5598991A JPH0751520B2 JP H0751520 B2 JPH0751520 B2 JP H0751520B2 JP 3055989 A JP3055989 A JP 3055989A JP 5598991 A JP5598991 A JP 5598991A JP H0751520 B2 JPH0751520 B2 JP H0751520B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンジルトルエンと
（メチルベンジル）キシレンとを主成分とする誘電体組
成物に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】ヨーロッパ特許第 136,230号には、主と
してベンジルトルエンおよびジベンジルトルエンの異性
体混合物からなる誘電体が記載されており、この誘電体
はジトリルフェニルメタンを含む場合もある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、これらの
化合物に（メチルベンジル）キシレンまたは（メチルベ
ンジル）キシレンオリゴマーを混合すると、結晶化温度
が特に低い誘電体が得られることを発見した。この特性
は野外に設置される変圧器や高電圧コンデンサで用いら
れる誘電液体では特に重要である。従って、この誘電体
を提供することが本発明の第１の目的である。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明の対象は、少なく
とも１つのベンジルトルエンオリゴマーと、少なくとも
１つの（メチルベンジル）キシレンオリゴマーとで構成
されることを特徴とする新規な組成物にある。
【０００５】「ベンジルトルエンオリゴマー」という用
語は下記〔化５〕で表される異性体または異性体混合物
Ａ１を意味する。
【化５】 （ここでｎ1 とｎ2 は０、１または２であり、ｎ1 ＋ｎ
2 は３以下である）「（メチルベンジル）キシレンオリ
ゴマー」という用語は下記〔化６〕で表される異性体ま
たは異性体混合物Ａ２を意味する。
【化６】 （ここでｑ1 とｑ2 は０、１または２であり、ｑ1 ＋ｑ
2 は３以下である）「ベンジルトルエン」はｎ1 ＋ｎ2
＝０のオリゴマーＡ１であり、「ジベンジルトルエン」
はｎ1 ＋ｎ2 ＝１のオリゴマーＡ１であり、「（メチル
ベンジル）キシレン」はｑ1 ＋ｑ2 ＝０のオリゴマーＡ
２であり、「ジ（メチルべンジル）キシレン」はｑ1 ＋
ｑ2 ＝１のオリゴマーＡ２である。
【０００６】このように、本発明の組成物はベンジルト
ルエンと、ジベンジルトルエンと、ジ（メチルベンジ
ル）キシレンとを含むことができる。本発明の他の組成
物は、少なくとも１つの化合物Ａ１と少なくとも１つの
化合物Ａ２とを含むという条件で、ジ（メチルベンジ
ル）キシレンと、ｎ1 ＋ｎ2 ＝３である化合物Ａ２と、
ベンジルトルエンまたはその他の任意の化合物とを含む
ことができる。
【０００７】本発明の別の実施態様では、オリゴマーＡ
１と下記〔化７〕の異性体または異性体混合物であるオ
リゴマーＢ１とが組み合わせられる：
【化７】 （ここで、n'1, n"1およびn4は０、１または２であり、
n'2, n"2, n3, n'3 および n5 は０または１であり、Ｓ
1nで示される n'1＋n"1 ＋n'2 ＋n"2 ＋ n3 ＋ n'3＋ n
4 ＋ n5 は２以下である）
【０００８】同様に、オリゴマーＡ２と下記〔化８〕の
異性体または異性体混合物であるオリゴマーＢ２とを組
み合わせることができる：
【化８】 （ここで、 q'1, q"1 および q4 は０、１または２であ
り、 q'2, q"2, q3,q'3 および q5 は０または１であ
り、Ｓ2qで表される q'1＋q"1 ＋q'2 ＋q"2 ＋ q3 ＋
q'3＋ q4 ＋ q5 は２以下である）
【０００９】90部の化合物Ａ１に対して化合物Ａ２を10
部以上含む組成物を用いるのが好ましい。Ａ２の量は15
〜90部であるのが好ましく、それに対するＡ１の量は85
〜10部である。本発明の別の好ましい実施態様では、Ａ
１に属する化合物の組成は下記範囲で変えることができ
る： ｎ1 ＋ｎ2 ＝０である異性体Ａ１ 60〜 90 ％ ｎ1 ＋ｎ2 ＝１である異性体Ａ１ 5〜 40 ％ ｎ1 ＋ｎ2 ＝２である異性体Ａ１ 0.5〜8 ％ （ただし、全体で100 ％となる）同様のことは、Ａ２に
属する化合物にも当てはまる。100 部のＡ１に対して化
合物Ｂ１の量を15部以下、好ましくは２〜６部用いるの
が好ましい。Ｂ２とＡ２の比率も同じである。本発明の
組成物はコンデンサまたは変圧器の製造またはケーブル
の絶縁に利用される。
【００１０】異性体Ａ１の混合物はフリーデル・クラフ
ツ(Fridel-Crafts) 触媒の存在下でベンジルクロリドを
トルエンと縮合させることによって製造できる。その後
は、蒸留で分離するだけでよい。異性体Ａ２の混合物は
フリーデル・クラフツ触媒の存在下でメチルベンジルク
ロリドをキシレンと縮合させることによって製造でき
る。その後は、蒸留によって分離するだけでよい。ベン
ジルトルエンオリゴマーＡ１とＢ１はヨーロッパ特許第
136,230号に記載の方法によって製造でき、（メチルベ
ンジル）キシレンオリゴマーＡ２とＢ２はヨーロッパ特
許第 299,867号に記載の方法によって製造できる。その
後はこれらを混合するだけでよい。
【００１１】これらを誘電体として使用できるようにす
るには、誘電液体の分野で公知の方法、例えばフラー土
(terre de foulon) または活性アルミナを単独または混
合したもので処理する方法で、精製するのが好ましい。
また、エポキシドやその他の安定剤、例えばテトラフェ
ニル錫またはアントラキノン化合物を添加するのが好ま
しい。これらの添加剤は一般に塩酸の受容体であり、そ
の量は 0.001〜10％、好ましくは0.01〜0.3 ％の範囲で
変えることができる。これらの処理自体は全て公知であ
る。誘電体スペックによっては、生成物中に含まれる有
機塩素を全て除去して、塩素含有量が低い、すなわち２
〜３ppm 以下の生成物にする必要がある場合もある。こ
の場合には、本出願人のヨーロッパ特許第 306,398号に
記載の方法を使用することができる。本発明の組成物
と、その他の誘電液体、例えばヨーロッパ特許第8,251
号に記載のテトラクロロベンジルトルエンおよびクロロ
ベンゼンまたはクロロトルエンや変圧器で従来から使用
されている鉱油とを混合して使用することも本発明の範
囲に入る。
【００１２】
【実施例】実施例１ 破壊強度の測定 棒電極φ＝0.6mm とロゴスキィ(ROGOWSKI)円盤電極φ＝
40mmとを使用して、室温で、交流50Hzで測定した。 下記の２種類の試験を実施した： (1) 「短」試験： 電圧を1000Ｖ／ｓの勾配で印加す
る。 (2) 「長」試験： 電圧を30秒毎に1000Ｖ増加して段階
状に印加する。 結果は〔表１〕に示してある。
【表１】 （注） (1) 数字は５〜15回の測定の平均である。 (2) 上記表においてｋＶはキロボルトを意味する。 (3) 各組の測定で数値は約10％の誤差で変化することが
あるが、この方法で各種の誘電体を分類することができ
る。 (4) ＰＸＥは本発明の誘電体ではない誘電体で、下記
[化９]の1-フェニル-1- キシリルエタンの異性体混合物
である：
【化９】 (5) ＸＸ０１は前記化合物Ａ２（但し、ｑ1 とｑ2 は０
である）の誘電体（メチルベンジルキシレン）である。 (6) ＢＴ０５は下記の混合物である： ｎ1 ＋ｎ2 ＝０の前記化合物Ａ１ (ベンジルトルエン) 85部 ｎ1 ＋ｎ2 ＝１の前記化合物Ａ１ (ジベンジルトルエン) 11部 Ｓ1n ＝０の前記化合物Ｂ１ ４部 従って、96部のＡ１に対してＢ１の量は４部
である。(7) ＸＸ０５は下記の混合物である： ｑ1 ＋ｑ2 ＝０の前記化合物Ａ２ 85 部 ｑ1 ＋ｑ＝１の前記化合物Ａ２ 11 部 Ｓ2q＝０の前記化合物Ｂ２ ４部 (8) ＢＴ０５／ＸＸ０５ (80／20) は、80部のＢＴ０５
と20部のＸＸ０５との混合物である。従って、本発明の
この混合物は下記を含む： Ａ１ 0.8 × (85＋11) 部 Ａ２ 0.2 × (85＋11) 部 すなわち、76.8部のＡ１と、19.2部のＡ２とを含んでい
る。
【００１３】実施例２ 結晶化試験 試験した液体 (1) ＢＴ０６（ａ） ｎ1 ＋ｎ2 ＝０のＡ１ 79 部 ｎ1 ＋ｎ2 ＝１のＡ１ 16 部 Ｓn のＢ１ 5 部 (2) ＢＴ０１（ｂ） ｎ1 ＋ｎ2 ＝０のＡ１（ベンジル
トルエン） (3) ＸＸ０１（ｃ） ｑ1 ＋ｑ2 ＝０のＡ２ (4) ＸＸ０５（ｄ） (実施例１を参照) (5) 下記の混合物： ＢＴ０１＋ＸＸ０１（ｅ） 25−50−75重量％ ＢＴ０６＋ＸＸ０１（ｆ） 25−50−75重量％ ＢＴ０６＋ＸＸ０５（ｇ） 25−50−75重量％ ＢＴ０５＋ＸＸ０５（ｈ） ＸＸ０５の 5−10−15−20
−25−30重量％ (6) ＳＡＳ−40（ｉ） ＢＴ０１とジフェニルエタン
とを主成分とした日本ペトロケミカル(Nippon Petroche
mical)社の製品。 (7) ＳＣＦ 150 (ｊ） シブロン(Sybron)の製品: ジ
トリルメタン試験手順 １. ｂ、ｃ、ｅ、ｆに対しては−20／−30℃のサイクル
─→変化なし。 ２. −30／−40℃のサイクル ─→ (1) ４日後、ＢＴ０１とＸＸ０１は完全に結晶化し
た。これを他の混合物の種結晶として用いた。 (2) ８日後： (a) ＢＴ０６またはＢＴ０１＋75％のＸＸ０１の混合
物は結晶化。 (b) ＢＴ０６またはＢＴ０１＋50％のＸＸ０１の混合
物には多少の結晶が生じた。 (c) ＢＴ０６またはＢＴ０１＋25％のＸＸ０１の混合
物は変化なし。 ３. −40／−45℃のサイクル ─→ (1) ８日後、ａ、ｇ、ｄ、ｉは種結晶の導入の翌日に結
晶化。 (2) 12日後 (a) ＢＴ０６またはＢＴ０１＋50％のＸＸ０１の混合
物では約３分の１が結晶化した (b) ＢＴ０１＋ＸＸ０１、25％の混合物は、多少の結
晶が生じた。 (c) ＢＴ０６はパイプの約３分の２に多少の結晶が生
じた。 (d) ＢＴ０６＋25％のＸＸ０１の混合物は変化なし。 (e) ＸＸ０５は変化なし。 ─ＢＴ０６＋ＸＸ０５の混合物は、変化なし。 ─ＳＡＳ−40： 変化なし ４. 14日間、−40／−45℃のサイクル ─→ (1) ＢＴ０６はパイプの約３分の２に多少の結晶が生じ
た。 (2) ＢＴ０６またはＢＴ０１＋50％のＸＸ０１の混合物
はパイプ全体に結晶が生じた。 (3) ＢＴ０１＋25％のＸＸ０１の混合物には多少の結晶
が生じた。 (4) ＳＡＳ−４０はわずかに結晶化。 (5) ＢＴ０６＋25％のＸＸ０１の混合物は変化なし。 (6) ＸＸ０５およびＢＴ０６＋ＸＸ０５の混合物は変化
なし。 ５. ６日間、−50／−60℃のサイクル (ｊの導入） (1) ＢＴ０６はパイプ全体に多少の結晶が生じたが、マ
トリックスは液体である。 (2) ＸＸ０１の50％混合物はＢＴ０６と同じ。 (3) ＳＣＦ 150 は完全に結晶化した（一晩後）。 (4) ＳＡＳ−４０はわずかに結晶化。 (5) ＢＴ０６＋25％のＸＸ０１の混合物は変化なし。 (6) ＸＸ０５およびＢＴ０６＋ＸＸ０５の混合物は変化
なし。 ６. −40／−45℃のサイクルに戻し、４日後にｈを導入 (1) ＳＣＦ 150 は完全に結晶化した。 (2) ＢＴ０１、ＸＸ０１およびＢＴ０１またはＢＴ０６
＋75％のＸＸ０１の混合物は結晶化した。 (3) ＢＴ０６およびＢＴ０１またはＢＴ０６＋50％のＸ
Ｘ０１の混合物は結晶の一部分が融解した。 (4) ＳＡＳ−40は多少の結晶化した。 (5) 他の物は結晶化しない。
【００１４】実施例３ 43日間、温度を−50℃に維持して第２シリーズの結晶化
試験を行った。全てのパイプに種結晶としてＢＴ０１の
結晶を「入れた」。 (1) ＳＡＳ−40ではパイプ全体に結晶が生じる。 (2) ＢＴ０６とＸＸ０５の混合物（一部） (a) 100 ／０： パイプの３分の１に結晶が生じる。 (b) 95／５： パイプの３分の１に結晶が生じる。 (c) 90／10： パイプの３分の２に結晶が生じる。 (d) 85／15： パイプの３分の１に結晶が含まれ
る。 (e) 80／20： 結晶はほとんどない。 (3) ＢＴ０５とＸＸ０５の混合物（一部） (a) 95／５： パイプの３分の１に結晶が生じる。 (b) 90／10： パイプの全体に多少の結晶が生じ
る。 (c) 85／15： パイプ底部に結晶が沈澱（容量の約
４分の１) 。 (d) 80／20： パイプ底部に多少の結晶が沈澱。 (e) 75／25： 変化なし。 (f) 70／30： 変化なし。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ピエール ジェイ フランス国 69370 サン−ディディエ オ モン ドール ロカドゥ デ モン ドール 89

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 下記〔化１〕： 【化１】 （ここでｎ1 とｎ2 は０、１または２であり、ｎ1 ＋ｎ
    2 は３以下である）のベンジルトルエンの少なくとも１
    つの異性体または異性体混合物Ａ１と、下記〔化２〕： 【化２】 （ここでｑ1 とｑ2 は０、１または２であり、ｑ1 ＋ｑ
    2 は３以下である）の（メチルベンジル）キシレンの少
    なくとも１つの異性体または異性体混合物Ａ２とで構成
    されることを特徴とする誘電体組成物。
  2. 【請求項２】 上記オリゴマーＡ１に加えて、下記〔化
    ３〕： 【化３】 （ここで、n'1, n"1およびn4は０、１または２であり、
    n'2, n"2, n3, n'3および n5 は０または１であり、Ｓ
    1nで示される n'1＋n"1 ＋n'2 ＋n"2＋ n3 ＋ n'3＋ n
    4 ＋ n5 は２以下である）の異性体または異性体の混合
    物Ｂ１を含む請求項１に記載の誘電体組成物。
  3. 【請求項３】 上記オリゴマーＡ２に加えて、下記 [化
    ４] ： 【化４】 （ここで、 q'1, q"1 および q4 は０、１または２であ
    り、 q'2, q"2, q3,q'3 および q5 は０または１であ
    り、Ｓ2qで表される q'1＋q"1 ＋q'2 ＋q"2 ＋ q3 ＋
    q'3＋ q4 ＋ q5 は２以下である）の異性体または異性
    体混合物Ｂ２を含む請求項１または２に記載の誘電体組
    成物。
  4. 【請求項４】 90部の上記化合物Ａ１に対して、化合物
    Ａ２を少なくとも10部含む請求項１〜３のいずれか一項
    に記載の誘電体組成物。
  5. 【請求項５】 85〜10部の化合物Ａ１に対して化合物Ａ
    ２の量を15〜90部とした請求項４に記載の誘電体組成
    物。
  6. 【請求項６】 ベンジルトルエンオリゴマー（化合物Ａ
    １）が下記重量パーセント組成を有する請求項１〜５の
    いずれか一項に記載の誘電体組成物： ｎ1 ＋ｎ2 ＝０である異性体Ａ１ 60 〜 90 ％ ｎ1 ＋ｎ2 ＝１である異性体Ａ１ 5 〜 40 ％ ｎ1 ＋ｎ2 ＝２である異性体Ａ１ 0.5 〜8 ％ （ただし、全体で100 ％とする）。
  7. 【請求項７】 (メチルベンジル）キシレンオリゴマー
    （化合物Ａ２）が下記重量パーセント組成を有する請求
    項１〜６のいずれか一項に記載の誘電体組成物： ｑ1 ＋ｑ2 ＝０である異性体Ａ２ 60〜 90 ％ ｑ1 ＋ｑ2 ＝１である異性体Ａ２ 5〜 40 ％ ｑ1 ＋ｑ2 ＝２である異性体Ａ２ 0.5〜8 ％ （ただし、全体で100 ％とする）。
  8. 【請求項８】 100 部のＡ１に対して化合物Ｂ１の量を
    15部以下、好ましくは２〜６部とする請求項１〜７のい
    ずれか一項に記載の誘電体組成物。
  9. 【請求項９】 100 部のＡ２に対して化合物Ｂ２の量を
    15部以下、好ましくは２〜６部とする請求項１〜８のい
    ずれか一項に記載の誘電体組成物。
  10. 【請求項１０】 請求項１〜９のいずれか一項に記載の
    誘電体組成物を用いた変圧器、コンデンサおよびケーブ
    ル用の誘電体。
  11. 【請求項１１】 フリーデル・クラフツ触媒の存在下で
    ベンジルクロリドをトルエンと縮合させることを特徴と
    する異性体混合物Ａ１の製造方法。
  12. 【請求項１２】 フリーデル・クラフツ触媒の存在下で
    メチルベンジルクロリドをキシレンと縮合させることを
    特徴とする異性体混合物Ａ２の製造方法。
JP3055989A 1990-02-27 1991-02-27 ベンジルトルエンと（メチルベンジル）キシレンとを主成分とする誘電体組成物 Expired - Fee Related JPH0751520B2 (ja)

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