JPH0750997Y2 - ランバーサポート装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両等の座席に備えられるランバーサポート装
置に関する。

〔従来の技術〕

車両用座席、特に乗用車の運転席においては、着座者が
快適な着座感を得られるように、腰椎部の支持圧を可変
調整するようにしたランバーサポート装置を備えた座席
が広く実施されている。

このランバーサポート装置は、座席のシートバックに腰
椎支持部材を内蔵し、この腰椎支持部材を移動調整機構
によって前後方向に移動させて着座者の腰椎部に対する
支持圧を調整するようにしている。

従来この腰椎支持部材の移動調整機構としては、いわゆ
るウィンドレギュレータ型の摩擦ブレーキ装置即ち操作
軸側からの操作によってのみ駆動軸が回転されるブレー
キ装置を備え、このブレーキ装置の駆動軸の回転をギヤ
機構を介して腰椎支持部材に伝達してこの腰椎支持部材
を移動させ、これによって着座者の腰椎部の支持圧の調
整を行なうようにしている（例えば実公平1-30927号公
報など）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このように腰椎支持部材の移動調整機構
にギヤ機構を用いたランバーサポート装置は、その製作
工程では複数のギヤ部材を噛合わせた状態のものを組付
けるためその作業に手間がかかり、またギヤ機構は構成
が複雑であるため部品点数も多くコスト高になる等の不
具合を有している。

本考案は斯る点に鑑みてなされたもので、構成が簡単で
組付性の良いランバーサポート装置を提供することを目
的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上述の目的を達成するために本考案のランバーサポート
装置は、 シートバックフレームの両側部に前後方向に揺動可能に
枢支される腰椎支持部材と、 シートバックフレームの一側部に固定され、操作軸から
の操作によってのみ駆動軸が回動されるブレーキ装置
と、 このブレーキ装置の駆動軸に直接的に固定され、遊端部
に設けられた係合ピンが腰椎支持部材に形成された長孔
に係合連結されるリンク部材と、 を有して構成されるものである。

〔作用〕

このように構成される本考案のランバーサポート装置
は、ブレーキ装置の操作軸を操作して駆動軸を回転させ
ると、この回転がリンク部材を介して腰椎支持部材に伝
達され、これによって腰椎支持部材が前後方向に揺動し
て着座者の腰椎部に対する支持圧が可変調整される。そ
してこのランバーサポート装置は、腰椎支持部材の移動
調整機構にリンク部材を用いた簡単な構成であるため、
組付が簡単で、しかも部品点数が少なく低コストで製作
できる。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら本考案の実施例について説明
する。

図において（１）は車両用座席のシートバックの内部に
配され、その骨格を成すシートバックフレームを示し、
このシートバックフレーム（１）の両側部には夫々サイ
ドブラケット（２）及び（３）が固着され、この両側の
サイドブラケット（２）と（３）の下部間、即ち着座者
の腰椎部に対応する部位に腰椎支持部材（４）が前後方
向に移動可能に支持されている。

この腰椎支持部材（４）は、両サイドブラケット（２）
及び（３）の内側に夫々左右一対のアーム（５）及び
（６）を、その上端部において枢軸（７）及び（８）を
介して前後方向に回動（揺動）自在に枢支し、この左右
のアーム（５）と（６）の中央部間に連結ロッド（９）
を溶接によって横架して両アーム（５）と（６）を一体
に連結し、さらにこの連結ロッド（９）の下方において
両アーム（５）と（６）間に支持スプリング（10）を張
架して成り、この腰椎支持部材（４）が前後方向に移動
することにより、その前方に配されるシートパッドの押
し出し量が可変され、これによって腰椎部の支持圧が調
整される如く成されている。

そして一方側のサイドブラケット（２）には、この腰椎
支持部材（４）を前後方向に移動させるための移動調整
機構（11）が備えられている。

この移動調整機構（11）は次のように構成される。

サイドブラケット（２）の外側面には腰椎支持部材
（４）に対応してブレーキ装置（12）が固定されてい
る。このブレーキ装置（12）は、現在自動車のウィンド
レギュレータとして採用されている摩擦ブレーキ装置と
同様の構成を有するもので、外方側に操作軸（13）、内
方側に駆動軸（14）が突出されており、駆動軸（14）に
回転力が加わってもこの駆動軸（14）は回転されず、操
作軸（13）を回転操作したときにのみ、これと一体的に
駆動軸（14）が回転駆動される如き構造を有している。

このブレーキ装置（12）のさらに詳細な構成を第４図及
び第５図に示す。即ちこのブレーキ装置（12）は、円形
状外側ケース（15）の内周に両端に係止部（16a）及び
（16b）を形成した捩りコイルスプリング（16）を密着
圧接し、その内側に外周に捩りコイルスプリング（16）
の係止部（16a）及び（16b）と対応する係合縁（17a）
及び（17b）を形成した内側円形ケース（17）を嵌挿
し、この内側ケース（17）の外面側に操作軸（13）を固
定し、外側ケース（15）の軸孔（15a）から外方に突出
させる。このブレーキ機構の内側ケース（17）の両面側
中心部、即ち操作軸（13）の軸方向に一致させて軸（1
8）が固定される。

この軸（18）には、内方側へ突出される駆動軸（14）が
嵌合軸支され、この駆動軸（14）には内側ケース（17）
内において捩りコイルスプリング（16）の係止部（16
a）と（16b）の間に位置するアーム（14a）を設ける。
このように構成されるブレーキ機構は操作軸（13）を、
例えば第５図において矢印方向に回転すると内側ケース
（17）も一体的に回転して係合縁（17a）が捩りコイル
スプリング（16）の係止部（16a）に衝合し、この状態
で操作軸（13）を更に回転することにより捩りコイルス
プリング（16）は収縮されて外側ケース（15）の内周面
から離れる状態となり操作軸（13）は矢印方向に自由に
回転できることになり、この操作軸（13）と内側ケース
（17）及びアーム（14a）を介して連結状態にある駆動
軸（14）は回転される。

このようにして所望の回転位置で操作軸（13）の回転を
停止すると捩りコイルスプリング（16）は内側ケース
（17）による押圧が解除されるので復元して外側ケース
（15）の内周面に再び密着圧接する。この状態で駆動軸
（14）に不測の回転力が加わるとアーム（14a）がその
回転方向に対応する捩りコイルスプリング（16）の係止
部（16a）又は（16b）に当接し、これを押圧し、捩りコ
イルスプリング（16）を押し広げる状態となるため、こ
の捩りコイルスプリング（16）と外側ケース（15）との
摩擦力が更に強められ、そのため駆動軸（14）の回転は
阻止されることになる。

以上の如く構成されるブレーキ装置（12）の操作軸（1
3）にはその先端部に操作レバー（19）が取付けられ、
一方駆動軸（14）はサイドブラケット（２）に穿設され
た通孔（20）を貫通してその内側に突出されている。尚
この通孔（20）は、サイドブラケット（２）の外側面か
らプレスによって凹部（20a）を設け、さらにその一部
を打抜くことによって形成されるもので、この凹部（20
a）の残された部分においてはブレーキ装置（12）の位
置決めがなされる。

そしてこのブレーキ装置（12）の駆動軸（14）の先端部
にはリンク部材（21）が固定されており、さらにこのリ
ンク部材（21）の遊端部は腰椎支持部材（４）に係合連
結されている。即ち、リンク部材（21）の遊端部には係
合ピン（22）が突設され、一方この係合ピン（22）に対
応して腰椎支持部材（４）の一方側のアーム（５）の側
面部には上下方向に長い長孔（23）が穿設されており、
この長孔（23）に係合ピン（22）を挿通係合させてあ
る。

以上のように構成される本例のランバーサポート装置
は、操作レバー（19）によってブレーキ装置（12）の操
作軸（13）を回転操作して駆動軸（14）を回転作動させ
ると、この回転力がリンク部材（21）を介して腰椎支持
部材（４）に伝達される。即ち、駆動軸（14）の回転と
一体にリンク部材（21）が前後方向に回動され、これに
よってリンク部材（21）と係合ピン（22）を介して連結
状態にある腰椎支持部材（４）が枢軸（７）及び（８）
を中心として前後方向に回動し、このため着座者の腰椎
部に対する支持圧が可変調整される。

そしてこの腰椎部の支持圧が所望の強さに調整されたと
ころで操作レバー（19）の操作を停止させることによ
り、前述した如きブレーキ装置（12）の作用によってリ
ンク部材（21）は回動不能にロックされ、このため腰椎
部の支持圧はその強さで固定保持される。

このように本例のランバーサポート装置によれば、操作
レバー（19）を回転操作するだけで腰椎部の支持圧を着
座者の好みに合わて無段階的に調整することができる。

そしてこのランバーサポート装置は、ブレーキ装置（1
2）の駆動軸（14）の回転力を腰椎支持部材（４）に伝
達するための手段としてリンク部材（21）を用いた機構
であるため、従来の如きギヤ機構を用いた装置に比して
構成が大幅に簡素化し、従って製作工程においてその組
付を簡単に行なうことができる。即ち、このランバーサ
ポート装置における移動調整機構部（11）の組付の際に
は、ブレーキ装置（12）をサイドブラケット（２）に固
定すると共に、このブレーキ装置（12）の駆動軸（14）
に予め固定されたリンク部材（21）の係合ピン（22）の
アーム（５）の長孔（23）に挿通係合させるだけで相付
が完了し、このため組付作業性は極めて良好である。

しかもこのランバーサポート装置は部品点数が少なく、
即ち腰椎支持部材（４）の移動調整機構（11）はブレー
キ装置（12）と、このブレーキ装置（12）の駆動軸（1
4）の回転力を腰椎支持部材（４）に伝達するリンク部
材（21）のみによって構成されているため、部品コスト
が低く抑えられ、安価に製造できる。

またこのランバーサポート装置は、ブレーキ装置（12）
の駆動軸（14）の回転力をリンク部材（21）を介して腰
椎支持部材（４）に伝達するようにした構成であるた
め、設計上リンク部材（21）の長さを適宜変更するだけ
でブレーキ装置（12）の配設位置即ち操作部を自由な位
置に設定でき、即ち設計上の自由度を大きくとることが
できる特徴をも有する。

以上、本考案の一実施例について説明したが、本考案は
この実施例の構成に限ることなく種々の変化変更が可能
であり、本実施例が本考案を特定するものではないこと
は勿論である。

〔考案の効果〕

以上の如く本考案のランバーサポート装置は、ブレーキ
装置の駆動軸の回転をリンク部材を介して腰椎支持部材
に伝達するようにした構成であるため、製作工程におけ
る組付が簡単で、しかも部品点数が少ないのでコストを
低く抑えることができる。さらにこのランバーサポート
装置はリンク部材の長さによってブレーキ部材の位置を
自由に設定できるので設計上の自由度が大きく、その結
果操作部を座席周辺の状況に適応しかつ着座者にとって
最も操作し易い位置に配置できる利益がある等、従来に
は無かった種々の実用的効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のランバーサポート装置の実施例を示す
要部の分解斜視図、第２図は同、全体の斜視図、第３図
は同、要部の下方から見た横断面図、第４図はブレーキ
装置の分解斜視図、第５図は同、内側面図である。 図中、（１）はシートバックフレーム、（４）は腰椎支
持部材、（12）はブレーキ装置、（13）はその操作軸、
（14）は駆動軸、（21）はリンク部材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバックフレームの両側部に前後方向
   に揺動可能に枢支される腰椎支持部材と、 上記シートバックフレームの一側部に固定され、操作軸
   側からの操作によってのみ駆動軸が回動されるブレーキ
   装置と、 このブレーキ装置の駆動軸に直接的に固定され、遊端部
   に設けられた係合ピンが上記腰椎支持部材に形成された
   長孔に係合連結されるリンク部材と、 を有して成り、 上記ブレーキ装置の駆動軸の回転によって上記リンク部
   材を介して上記腰椎支持部材が動作されるようにしたこ
   とを特徴とするランバーサポート装置。