【発明の詳細な説明】
ポリエチレングリコールを用いた
実質的に純粋なEGIIIセルラーゼの発明の背景
1、 産業上の利用分野
本発明は実質的に純粋なEGIIIセルラーゼ成分を含有するポリエチレングリ
コール溶液を製造する方法に関するものである。特に本発明の方法の一部は、特
定のポリエチレングリコールを水性混合物に添加してEGIIIが多いポリ−エ
チレングリコール相とEG IIIが少ない水相とからなる2相系を調製してE
GIIIが多いポリエチレングリコール相を分離することにより、EG IIf
含有セルラーゼタンパク質の水性混合物からEGIIIセルラーゼ成分を分離す
る方法に関するものである。本発明はまた一部は、分画により、または上記2つ
の方法の組合せにより、実質的に純粋なEG IIIセルラーゼ成分を調製する
方法に関するものである。本発明はまた一部は、キシラナーゼをも含有するセル
ラーゼタンパク質の水性混合物からキシナーゼ ポリエチレングリコール相を集
積する方法に関するものである。
2、 従来技術
セルラーゼは、セルロース(β−1,4−グルカン結合)を加水分解し、それに
よって、グルコース、セロビオース、セロオリゴ糖等を生成させる酵素として従
来技術において知られている。セルラーゼは、菌類、細菌等内で産生(発現)さ
れるけれども、セルロースの結晶構造を分解することのできる完全セルラーゼ系
が発酵方法により大量に容易に産生されるので、ある菌類、特に菌類網トリコデ
ルマ S 1)I) 、(Trichoderma spp、 ) (特にトリ
コデルマ リーセイ(Trich。
der■a reesei) )により産生されたセルラーゼは最も注目を集め
ている。
上記点に関して、5chulein、“蓋ethods in Enzymol
ogy”、160.25.234頁et seq、 (1988)は、完全菌類
セルラーゼ系が、エキソセロビオヒドロラーゼ(EC3,2,1,91)(rC
BHJ)、zンドグルカナーゼ(EC3,2゜1.4)(rEGJ)、およびβ
−グルコシダーゼ(EC3,2,1,21)(rBGJ)として同定される酵素
を含むいくつかの異なる酵素分類からなることを開示している。CBH,EGお
よびBGの菌類セルラーゼ分類をさらに発展させて、各々の分類内に多数の成分
を含むようにできる。例えば、多数のCBHおよびEGが様々な菌類源から単離
されている。
CBH成分、EG酸成分よびBG酸成分らなる完全セルラーゼ系は、結晶性セル
ロースをグルコースに能率的に転化させるのに必要とされる。いやしくも、結晶
性セルロースを加水分解する際には、単離された成分はほとんど効果的ではない
。さらに、特にセルラーゼ成分が異なる分類のものである場合、セルラーゼ成分
の間で相乗関係が観察される。
一方で、単独または組合せのいずれかにより使用するセルラーゼおよびその成分
は、洗浄剤組成物に有用であることが従来技術において知られている。例えば、
菌類セルラーゼのエンドグルカナーゼ成分は、柔軟剤として使用するための、そ
して綿織物等の感触を改善するのに使用するための、洗浄剤組成物の洗浄力を増
強させる目的に使用されている。しかしながら、洗浄剤組成物中にトリコデルマ
spp、そして特にトリコデルマ リーセイから由来したEG I成分およびE
GII成分を使用するには問題がある。特に、そのような成分は酸性pHで最大
活性を有しているが、はとんどの洗濯洗浄剤組成物は中性またはアルカリ性(p
H>7から約10まで)条件で使用するように配合されている。洗浄剤組成物中
にトリコデルマ リーセイの1種類以上の酸性エンドグルカナーゼ成分を使用す
ると、アルカリ性条件下で使用した場合でさえも、綿含有織物に対する感触、柔
軟性および色の保持と復元を改良できることが米国特許出願第07/668.6
40号に開示されているが、トリコデルマ spp、のEGIII成分は、トリ
コデルマ リーセイのEG I成分およびEGII成分と比較して、洗浄剤組成
物において予期せぬ優れた利点を有することが米国特許出願第07/707.6
47号に開示されている。
特に、EG−IIIセルラーゼ成分は、アルカリ条件下で著しい酵素活性を有す
ることがわかっており、中性またはアルカリ性の洗浄剤洗濯媒質を用いた洗濯条
件に使用するのにも特に適している。
洗濯洗浄剤に使用することに加えて、ここに記載する実質的に純粋なEG II
Iセルラーゼ成分はさらに、1991年5月30日に出願され、ここに引用する
米国特許出願第07/707.647号に記載されているように、色の保持と復
元、柔軟性および感触を望ましく改良する十分な活性がある場合、中間のpHの
適切な溶液中において予洗工程に使用することができる。
また、ここに記載する実質的に純粋なEGIIIセルラーゼ成分は、スポットリ
ムーバーに使用できるだけでなく、また色褪せた織物に対して色を復元するのに
適した孤立組成物(例えば、ここに全てを引用する、米国特許第4.738.6
82号を参照のこと)としての家庭用途に使用することもできると考えられてい
る。
さらに、中性からアルカリ性の条件下でEGIIIセルラーゼ成分の大きい活性
は、線層飼料加工および/または堆肥化加工と同様に、綿含有織物を処理する繊
維加工(ここに全てを引用する米国特許出願第07/677、385号および同
第077678、865号を参照のこと)にも有益であると考えられている。
上述した点は著しく異なって、本発明は、水性酵素混合物から、特に完全菌類セ
ルラーゼ組成物からEGIIIセルラーゼ成分を分離して精製する、特に商業規
模のEGIIIセルラーゼ成分の製造のための能率的な方法に関するものである
。
発明の概要
特に、本発明は、EGIIIセルラーゼ成分を含むセルラーゼタンパク質を含有
する水性混合物から、実質的に純粋なEGIIIセルラーゼ成分を含有するポリ
エチレングリコール溶液を製造する方法に関するものである。したがって、その
方法の一面において、本発明は、EGIIIセルラーゼを含むセルラーゼタンパ
ク質を含有する水性混合物からEGIIIを選択的に回収する方法に関し、その
方法は、無機塩の存在下において効果的な量のポリエチレングリコール(PEG
)の水性混合物を添加する工程を含んでいる。その混合物は、EG IIIが多
いポリエチレングリール相およびEGIIIが少ない水相からなる二相液体混合
物を形成している。この方法において、EG IIIが多い相には他のセルラー
ゼタンパク質は実質的に含まれず、EGIIIが多い相は後に分離される。
本発明の方法はまた一部には、無機塩の存在下において効果的な量のポリエチレ
ングリコールを水性混合物に添加することにより、キシラナーゼも含有するセル
ラーゼタンパク質の水性混合物から実質的に純粋なキシラナーゼを単離する方法
に関するものである。水性混合物がEGIIIも含有する場合には、回収したポ
リエチレングリコール相はEGIIIおよびキシラナーゼの両方を含有している
。
別の方法において、本発明は、EG IIIを含有する水性セルラーゼタンパク
質混合物からEGIIIセルラーゼを選択的に回収する方法に関し、その方法は
、その水性混合物を陰イオン交換カラムにを通すことを含んでいる。陰イオン交
換カラムに結合しなかったタンパク質分画はEGIII成分を含有している。次
いでこの分画を陽イオン交換カラムに通す。この陽イオン交換カラムは、EGI
IIセルラーゼと結合し、後に塩溶液により樹脂から溶離せしめられる。
本発明の3番目の方法は、いずれかの順番で上記した2つの方法の組合せである
。
水性セルラーゼタンパク質混合物は、全細胞抽出物、より好ましくは、野生型ト
リコデルマ spp、菌株、遺伝的に修飾されたトリコデルマ spp、または
本発明の方法に適合しているEGIIIを含むセルラーゼタンパク質を含有する
他の水性混合物からの全セルラーゼ組成物であり得る。
図面の簡単な説明
第1図は、CBHIおよびCBHIIを発現できないように形質転換したトリコ
デルマ リーセイの菌株由来のEGの多い菌類セルラーゼ組成物の40℃での所
定のpH範囲におよぶRBB−CMC活性プロファイル、並びに40℃での所定
のpH範囲におよぶトリコデルマ リーセイ由来のEGIIIの多いセルラーゼ
組成物の活性プロファイルを示すグラフである。
第2図は、レーン1において、野生型トリコデルマ リーセイにより発現された
タンパク質を示し、レーン2において、EG ■およびEGII成分を発現でき
ないように形質転換したトリコデルマ リーセイの菌株により発現されたタンパ
ク質を示し、レーン3において、実施例1の方法により得られたタンパク質と同
一の実質的に純粋なEGIIIセルラーゼ中に発見されるタンパク質を示す等重
点電気泳動ゲルを示すものである。この図の左の余白に、CBHI、CBHTI
、EG I、EG IfSEG IIIおよびキシラナーゼに帰するバンドを同
定できるように印が付けである。
第3図は、EGIIIの2つの断片から得られたアミノ酸配列である。
第4図は、pΔCBHIpyr4の構築を示す概略図である。
第5図は、トリコデルマ リーセイ染色体のうちの1つの染色体上のcbhl座
にpΔCBHIpyr4からのより大きなEcoRI断片を組み込むことよるト
リコデルマ リーセイ遺伝子の欠失を説明する概略図である。
第6図は、プローブとして32pで標識したpΔCBHIpyr4を用いた、サ
ザンプロット分析後のEcoRI切断pΔCBH1pyr4により形質転換した
トリコデルマ リーセイ菌株GC69からのDNAのオートラジオグラフである
。
分子量マーカーの大きさを図面の左側にキロ塩基対で示している。
第7図は、プローブとして32pで標識したplntcBHIを用いた、Ec、
、。
R1切断pΔCBHIpyr4により形質転換したトリコデルマ リーセイ菌株
GC69からのDNAのオートラジオグラフである。分子量マーカーの大きさを
図面の左側にキロ塩基対で示している。
第8図は、野生型のトリコデルマ リーセイにより分泌されたタンパク質および
トリコデルマ リーセイの形質転換菌株により分泌されたタンパク質を示す等電
点電気泳動ゲルである。具体的には第8図において、等電点電気泳動ゲルのレー
ンAは、部分的に精製したトリコデルマ リーセイからのCBHIが作用したも
のである。レーンBは、野生型のトリコデルマ リーセイが作用したものである
。レーンCは、cbhl遺伝子が欠失したトリコデルマ リーセイ菌株からのタ
ンパク質が作用したものである。レーンDは、cbhlおよびcbh2遺伝子が
欠失したトリコデルマ リーセイ菌株からのタンパク質が作用したものである。
第8図において、図面の右側には、1つ以上の分泌タンパク質に発見された単一
タンパク質の座を示すように印付けである。具体的には、BGはβ−グルコシダ
−ゼを意味し、ElはエンドグルカナーゼIを意味し、E2はエンドグルカナー
ゼIIを意味し、E3はエンドグルカナーゼIIIを意味し、clはエキソセロ
ビオヒドロラーゼIを意味し、C2はエキソセロビオヒドロラーゼIIを意味す
るものである。
第9A図は、ゲノムDNA上の4.1kb EcoRI断片としてクローニング
したトリコデルマ リーセイc b h 2座を示す概略図であり、第9B図は
、cbh2遺伝子が欠失したベクターppΔCBHIIを示す概略図である。
第10図は、プローブとして32pで標識したpΔCBHIpyr4を用いた、
サザンプロット分析後のEcoRI切断pΔCBHIIにより形質転換したトリ
コデルマ リーセイ菌株P37PΔCBHIPyr26からのDNAのオートラ
ジオグラフである。分子量マーカーの大きさを図面の左側にキロ塩基対で示して
いる。
第11図は、pΔEGIpyrG−3の構成を示す概略図である。
第12図は、トリコデルマ リーセイ染色体の1つのegll座にpΔEGIp
yrG−3からのHindl I I断片を組み込むことによるegll遺伝子
の欠失を説明する概略図である。
第13図は、pAΔEGII−1の構成を示す概略図である。
発明の詳細な説明
上述したように、本発明は概して、ポリエチレングリコール溶液中において、ま
たは回収したタンパク質として、実質的に純粋なEG IIIセルラーゼ成分を
産生ずる方法に関するものである。
しかしながら、本発明をさらに詳細に説明する前に、以下の用語を最初に定義本
明細書に使用する場合、以下の用語は以下の意味を有するものである。
rEGIIIセルラーゼ」とは、トリコデルマ spp、由来のエンドグルカナ
ーゼ成分、または約5.5から約6.0までの範囲pH最適値、約7.2から約
8゜0までの範囲の等電点(p I) 、および約23キロダルトンから約28
キロダルトンまでの範囲の分子量により特徴付けられる、トリコデルマ spp
、により産生されるEGIIIと同等のタンパク質を産生ずる微生物由来のエン
ドグルカナーゼ成分を意味する。好ましくは、EGIIIセルラーゼは、トリコ
デルマリーセイかまたはトリコデルマ ビリデ(Trichoderma vi
rfde)由来のものである。トリコデルマ リーセイ由来のEGIIIセルラ
ーゼは、約5.5から約6゜0までの範囲のpH最適値、約7.4の等電点(p
l)および約25キロダルトンから約28キロダルトンまでの範囲の分子量を有
する。トリコデルマ ビリデ由来のEGIIIセルラーゼは、約5.5のpH最
適値、約7.7の等電点(pi)および約23.5キロダルトンの分子量を有す
る。さらに、EG IIIセルラーゼのアミノ酸配列が変更されていてもよいと
考えられる。この酵素の活性部位を変更すると、pH最適値、最適温度または基
質に対する親和性のような様々な特性を変化させてしまうかもしれない。
EGIII成分は、pIが高いために、pIの高いキシラナーゼ、およびトリコ
デルマ spp、により発現されるpIの高い他の成分が一般的に発見される等
電点電気泳動ゲルの領域に発見される。実際、第2図にEGIIIとして認識さ
れているバンドはEG IまたはEGIIのうちいずれかの分解生成物であると
、文献に仮定されている。しかしながら、EGIおよびEGIIが欠失したセル
ラーゼ(米国特許出願第07/770.049号および同第07/668.64
0号の方法により調製された)の等電点電気泳動ゲルは、このバンドはEG I
またはEG IIのうちのいずれの分解生成物にも起因するものではないことを
示した(第2図)。
EGIIは以前には、ある著者による専門語のrEG IIIJにより示されて
いたが、現在の専門語では、rEG IIJと称している。いずれにしても、E
GIIタンパク質は、以下に示す実施例2の表2に証拠付けられるように、分子
量、pllおよびpH最適値について、EGIIIタンパク質とは実質的に異な
る。
「実質的に純粋なEGIIIセルラーゼ」とは、セルラーゼタンパク質の総重量
に対して、少なくとも50重量パーセント、より好ましくは少なくとも70重量
パーセント、最も好ましくは少な(とも90重量パーセントのEGIIIセルラ
ーゼ成分を含有するセルラーゼタンパク質の組成物(固体または液体)を意味す
「他の全てのセルラーゼタンパク質を実質的に含まない」とは、EGIII以外
のセルラーゼタンパク質の少なくとも50重量パーセント、より好ましくは60
重量パーセント、そして最も好ましくは少なくとも90重量パーセントが、元の
セルラーゼ酵素の水性混合物から除去されている組成物を意味する。
「キシラナーゼが豊富」とは、少なくとも4倍、より好ましくは10倍、本発明
の方法によってキシラナーゼの濃度が増大した水溶液または組成物、もしくはポ
リエチレングリコール相を意味する。
「セルラーゼタンパク質」とは、野生型菌類源、または野生型菌類源から得られ
るセルラーゼ遺伝子の全てまたは一部を包含し発現させるように遺伝子的に修飾
した微生物由来の、エキソセロビオヒドロラーゼ(CBH)タンパク質、エンド
グルカナーゼ(EG)タンパク質およびβ−グルコシダーゼ(BG)タンパク質
のいずれかまたは全てを含有するセルラーゼタンパク質を意味する。集団的に、
そのようなタンパク質(すなわち、CBH,EGおよびEGタンパク質)の全て
を「セルラーゼタンパク質」と称する。これに反して、セルラーゼタンパク質は
、キシラナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ等を含む、トリコデルマ spp、
により発現される他のタンパク質を含まない。
[エンドグルカナーゼ(EG)成分」とは、トリコデルマ リーセイのEGl、
EGIIおよび/またはEG III成分を含む、トリコデルマ spp。
のEG酸成分意味する。単体または組合せいずれかのトリコデルマ spp、の
エンドグルカナーゼ成分(例えば、トリコデルマ リーセイのEG I、EGI
L EG I I I)は、これらの成分を繊維処理媒質に含有させて、綿含
有織物をこの媒質中で処理する場合には、その織物について、感触、外観、柔軟
性、色、および/またはストーンウォッシュの外観を改良する(処理する前の織
物と比較して)。上記した事項に加え、EG IIIは、多くの洗浄剤組成物が
使用されるアルカリ性のpHで実質的な活性を有する。
「エキソセロビオヒドロラーゼ(CB H)成分」とは、トリコデルマ リーセ
イのCBHIおよびCBHII成分を含む、トリコデルマ spp、のCBH成
分を意味する。トリコデルマ spp、のEG酸成分含まない状態でトリコデル
マ spp、のCBH成分を使用する場合、このCBH成分単体では、処理した
綿含有織物の、色の保持/復元および感触が著しくは改良されない。さらに、そ
のようなEG酸成分組み合わせてトリコデルマ リーセイのCBHI成分を用い
る場合には、綿含有織物の強度損失を高め、洗浄することの利点を高めることが
できる。
[β−グルコシダーゼ(B G)成分jとは、BG活性を示すセルラーゼ成分を
意味する。すなわち、そのような成分は、セロビオースおよび他の溶性セロオリ
ゴ糖(「セロビオース」)の非還元末端から作用しはじめ、唯一の生成物として
グルコースを生成させる。BG酸成分、セロビオース重合体上には吸着されず、
または反応しない。さらに、そのようなりG成分は、グルコースにより競合的に
阻害される(Kiはほぼ1mMである)。厳密に言えば、BG酸成分セルロース
を分解できないので、本当はセルラーゼではないが、これらの酵素は、CBH成
分およびEG酸成分組合せ作用によって生成される阻害セルロース分解生成物(
特にセロビオース)をさらに分解することによりセルロースの全体的な分解を促
進させるので、そのようなりG成分はセルラーゼ系の定義に含まれる。BG酸成
分存在しないと、結晶性セルロースの加水分解はわずかじか、またはほとんど行
なわれない。BG酸成分しばしば、p−ニトロフェノール B−D−グルコシ)
’(PNPG)のようなアリール基質に特徴付けられる。あるアリール−グルコ
シダーゼはセロビオースを加水分解しないという点で、全てのアリール−グルコ
シダーゼがBG酸成分あるわけではないことに注意すべきである。
2、 置床!
A、ポリエチレンゲルコールによるEGIIIの回収本発明は一部は、特定のポ
リエチレングリコールを添加することにより、EGIIIを含有するセルラーゼ
タンパク質の水性混合物から、他のセルラーゼタンパク質を実質的に含まないE
GIIIセルラーゼが得られるという発見に関するものである。驚くべきことに
、これらの条件下において、EGIII以外の実質的に全てのセルラーゼタンパ
ク質が水相に残存するが、EGIIIは実質的に純粋な量でポリエチレングリコ
ール相中に回収される。これらの条件下で、多量のキシラナーゼがポリエチレン
グリコール相中に回収されることも発見され本発明を実施する好ましい方法の1
つにおいて、セルラーゼを含有する水性混合物を濾過して、細胞ブイヨン(ce
ll debris )および他の固体を除去し、セルラーゼタンパク質を含む
タンパク質の混合物を含有する濾液を作成した。より好ましくは、シトラーゼ1
23 (CYTOLASE123 )(カリフォルニア州、サウスサンフランシ
スコのジェネンカー インターナショナル社から市販されている)のような細胞
を含まないセルラーゼタンパク質混合物を使用する。別の方法において、すでに
EG IIIが多い相溶性水性混合物を含む相溶性供給源、より具体的には、「
アルコールを用いた実質的に純粋なEG IIIセルラーゼを産生ずる方法」と
題し、ここに全てを引用する代理人番号010055−107の本出願と同時に
出願された米国特許出願に記載されたEGIII溶液から水性混合物を得ること
ができる。
濾液を濾過段階にて得た後、その濾液をポリエチレンゲルコール(PEG)と接
触させる前に、濾液に無機塩を加えてもよい。ある場合には、無機塩を添加する
と、水相からポリエチレングリコール相中へのEGIIIセルラーゼ成分の分割
を高めることができる。
次いで、有為な量のEGIIIをポリエチレングリコール相に運搬するのに十分
な期間に亘すポリエチレングリコールと水性混合物を混合する。そのような特定
の期間は、添加するポリエチレングリコールの量、添加する塩の量等により変化
する。そのような要件は当業者により容易に確かめられる。しかしながら、好ま
しい実施態様においては、少なくとも約2時間、より好ましくは約4時間、そし
て最も好ましくは約18時間に亘りポリエチレングリコールを水性混合物と混合
する。相が分離するのに十分な期間、好ましくは少なくとも約4時間、より好ま
しくは8時間、最も好ましくは約18時間に亘り、混合後にポリエチレングリコ
ール水性混合物を放置する。2相混合液が形成される。EGIIIセルラーゼ成
分はポリエチレングリコール相に存在している。次いでEGIIIが多いポリエ
チレングリコール相を水性相から分離する。回収したEGIIIが多い溶液は、
これらのタンパク質のうち約50重量パーセントから約90重量パーセントをこ
えるまでの量がEGIIIであるセルラーゼタンパク質の混合物を含有している
。
様々な方法によりポリエチレングリコール相からEGIII成分を精製すること
ができる。好ましい実施態様において、EG IIIセルラーゼ成分を冷たいエ
タノールにより沈殿させ、所望の水溶液中に再懸濁さらられる。適切な緩衝液は
、pH5の50mMの酢酸ナトリウム、またはpH5の10mMのクエン酸リン
酸のような、EGIIIセルラーゼ成分を変性しない従来技術で知られている緩
衝液である。
本発明の本質的な特徴の1・つば、ポリエチレングリコール(PEG)を使用す
ることである。PEGは固有に活性であり、他のセルラーゼタンパク質を含有す
る水性混合物からEGIIIセルラーゼを回収するのに選択性を有することが分
かった。この点に関して、「効果的な量のポリエチレングリコール」とは、有為
な量のEGIII成分を他のセルラーゼタンパク質から分割するのに必要な、水
性混合物の添加される量を意味する。添加するポリエチレングリコールの量は、
好ましくは0.5%(W/ V )から10%(W/V)までの範囲にあり、よ
り好ましくは4%(w/v)である。本発明の方法に使用するPEGの平均分子
量は、約5、000から約10.000までの範囲に亘り、好ましくは約7.0
00から約9.000までの範囲に亘り、そして最も好ましくは約g、 ooo
である。
上述した方法に関して、実質的に約5.000未満の分子量を有するポリエチレ
ングリコールを使用すると、他のセルラーゼ酵素からの分離が好ましくなくなっ
てしまう。一方約10.000より実質的に大きい分子量を有するポリエチレン
グリコールを使用すると、PEG相から捕獲するEGIIIセルラーゼ成分の量
が減少してしまう。好ましい実施態様において、ポリエチレングリコールの分子
量は約s、 oooである。
セルラーゼタンパク質の水性混合物は、EG IIIの百分率と比較して高い百
分率の他のセルラーゼタンパク質を含有しているので、そのような水性混合物か
らEG IIIセルラーゼ成分を分離するのにポリエチレングリコールが特に有
用であることが分かった。シトラーゼ123セルラーゼ系中のセルラーゼタンパ
ク質の標準分布を以下に示す:
CBHl 45−55重量パーセント
CBHII 13−15重量パーセントEG I 11−13重量パーセント
EG II 8−10重量パーセント
EG III 1−4重量パーセント
BG O,5−1重量パーセント
本発明の方法により、有用な量のEGIII成分が得られる。他の方法と比較し
た本発明のPEG抽出方法によるEGIII成分の回収の損失は、EG III
成分の回収速度により補償される。この方法には精製のための大規模な分画工程
は必要ないが、所望であれば、さらなる精製のためにそのような工程を続いて行
なうこともできる。
「無機塩」とは、ポリエチレングリコールとともに使用する場合に、タンパク質
を変性させることなくEG IIIの精製を促進させる硫酸イオンまたはリン酸
イオンを有する相溶性無機塩を意味する。そのような無機塩の例としては、硫酸
ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸
カリウム等が挙げられる。「効果的な量の無機塩」とは、ポリエチレングリコー
ルを含有する水性混合物に添加するときに、EGIII成分をポリエチレングリ
コール相中に優先的に分離し、水相中にEGIII以外のセルラーゼタンパク質
を保持する量を意味する。
無機塩の濃度を変更させて、所望の結果を得ることができる。約4%(W/V)
から約20%(w/v)の濃縮塩溶液、より好ましくは約10%(w/v)から
約14%(W/ V )の濃縮塩溶液の存在下で、EGIIIセルラーゼ成分が
PEG相中で最良に金属イオン封鎖されることが分かった。塩のレベルが約20
%(W/V)より実質的に多い場合には、沈殿を生じてしまい、塩のレベルが約
4%(W/ V )より実質的に少ない場合には、分離が望ましくなくなるか、
または溶液が1つの相のままとなってしまう。
B、 分画によるEGIIIセルラーゼの回収本発明の方法を実施する別の好ま
しい方法において、分画によりシトラーゼ123のような、セルラーゼタンパク
質を含有する濾過した水性混合物からEGIIIを回収する。適切な脱塩樹脂を
用いて適切な段階で水性混合物を脱塩し、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換
樹脂を用いてEGIIIを分離することにより、そのような分画を行なうことが
できる。具体的には、pH6,gの10mMのリン酸ナトリウム緩衝液を用いて
セファデックスG−25ゲル濾過樹脂カラムにより水性混合物を最初に脱塩する
ことによりEGIIIを回収した。次いで脱塩した溶液をQAI−リスアクリル
M陰イオン交換樹脂カラムに充填する。このカラム上に結合しなかった分画はE
GIIIを含有している。この分画を、pH4,5の10mMのクエン酸ナトリ
ウムで平衡状態にしたセファデックスG−25ゲル濾過樹脂カラムを用いて脱塩
する。この溶液をSP)リスアクリルM陽イオン交換樹脂カラムに充填する。2
00 mMの塩化ナトリウムの水溶液によりEGII■セルラーゼ成分を溶離さ
せる。
本発明の方法を実施する別の好ましい方法において、陽イオン交換カラムから得
たEGIII試料をさらに分画することができる。事前にpH4の10mMのク
エン酸ナトリウムにより平衡状態にしたセファデックスG−25カラムによりE
G III試料を脱塩する。モノ−3−HR515カラムにュージャージー州、
ピスキャタウェイのファーマシアLKBバイオテクノロジーから得られる)を用
いて、その溶液をFPLCシステムに供した。次いで、0.5ml/分の速度で
塩化ナトリウム水溶液の0−200mMの勾配によりそのカラムを溶離させる。
EGIIIセルラーゼ成分を回収した。ゲル電気泳動によってこのEGIIIセ
ルラーゼ成分の純度は90%よりも大きいことが分かった。EGIIIのこの純
度は、既知の技術によりN末端アミノ酸配列をめるのに適している。
セファロース樹脂はよく知られた種類の樹脂である。ここに使用している「セフ
ァロース」とは、塩を保持するがEGIIIを排除するのに十分な排除サイズ(
exclusion 5ize)を有する任意のセファロース樹脂を意味する。
ここに使用している「陰イオン交換樹脂」とは、EGIIIのpHより低いpH
において、EGIII以外のセルラーゼタンパク質の少なくともいくらかと結合
するのに十分な電荷密度を供する陽イオン官能基を有する任意の樹脂を意味する
。適切な陰イオン樹脂は、アミノエチル(A E)官能基、ジエチルアミノエチ
ル(DEAE)官能基および第4アミノエチル(QAE)官能基を有する。ここ
に使用している「陽イオン交換樹脂」とは、EG IIIのplより低いpHで
EGII■と結合するのに十分な電荷密度を供する陰イオン官能基を有する任意
の樹脂を意味する。適切な陽イオン樹脂は、スルホプロピル(s p)官能基、
ホスホ(P)官能基およびカルボキシメチル(CM)官能基を有する。
上述したEGIIIセルラーゼ成分をさらに精製することが望ましいと尾燃せれ
る場合もある。例えば、最初のPEG抽出方法から得た物質を2番目の分画方法
に用いることにより、またその逆に2番目の分画方法から得た物質を最初のPE
G抽出方法に用いることにより、上述した方法において単離したEGIIIセル
ラーゼ成分をさらに精製することもぐきる。
代理人番号010055−107として本出願とともに出願し、ここに全てを引
用する、「アルコールを用いた、実質的に純粋なEGIIIセルラーゼを産生ず
る方法」と題する米国特許出願に記載されている方法により、ここに回収したE
GIIKをさらに精製することもできる。
上述した記載は本発明の方法を実施する好ましい方法に関するものであり、本発
明の教示により上述した方法を様々に変更できることが分がるであろう。様々な
方法の条件を変更することができ、使用する試薬を変更して、EG III成分
を含有する任意の適した酵素の水性混合物からEGIIIセルラーゼ成分を回収
する様々な所望のまたは最適な操作条件を供することができる。
当業者には理解されるように、本発明の方法の記載において上述した酸、塩基お
よび塩を変更できるか、または本発明の操作を妨害せずに所望のpHまたは所望
の塩含有量を供するが、EGIIIセルラーゼ成分を変性しない等価の酸、塩基
または塩と置換できる。
さらに、本発明の分画方法の前に本発明の抽出方法を行なうこともできるが、そ
の逆でもよい。本発明の分画方法によってさらに精製して実質的に純粋なEGI
IIセルラーゼを含有する水溶液を供することができる、EGIIIが多いポリ
エチレングリコールの最初の相を提供するように、水性混合物をポリエチレング
リコールにより抽出することができる。
適切な発酵条件下でEGIIIを産生するトリコデルマ spp、の菌株を含む
任意の供給源からEGIIIセルラーゼを精製できる。EGIIIの特定の供給
源は重要ではないが、好ましい供給源は、トリコデルマ リーセイおよびトリコ
デルマ ビリデである。トリコデルマ リーセイからのEGIIIの特に好まし
い供給源は、ジエネンヵー インターナショナル社(94080、カリフォルニ
ア州、サウスサンフランシスコ、18oキンボールウエイ)から市販されてるシ
トラーゼ123である。トリコデルマ spp、由来の完全セルラーゼ系(「全
セルラーゼ」)から実質的に純粋なEGIIIセルラーゼを得る適切な方法とし
ては、以下に述べる実施例に記載された方法が挙げられる。これらの実施例は、
全セルラーゼにPEG抽出および/または異なる分画物質(カラム)を用いた繰
返しの分画工程を行なうことにより1、実質的に純粋なEG!INセルラーゼが
容易に得られることを示している。
EGIIIの単離効率を高めるために、EGIIIを過剰発現(overexp
ress )するように、および/またはEG I成分、EGII成分、CBH
1成分および/またはCBHII酸成分うちの1つ以上を産生できないように、
遺伝子的に修飾した微生物(例えば、トリコデルマ リーセイ)を用いることが
望ましいと思われる。このようにすることにより必ず、例えば、上述したような
分画および/またはPEG抽出によってEGIIIをより能率的に単離すること
ができる。トリコデルマ リーセイのこれらの菌株のうちのいくつかの産生が、
1991年3月13日に出願された米国特許出願第07/668.640号およ
び下記の実施例に開示されている。
さらに、実質的に純粋なEGIIIセルラーゼを産生ずるように微生物を遺伝子
的に修飾することにより、実質的に純粋なEG IIIセルラーゼを調製できる
と考えられる。例えば、下記の実施例に述べる分画方法により調製した実質的に
純粋なEGIIIを使用して、既知の塩基配列決定法を用いてタンパク質の一部
のアミノ酸配列を決定した(実施例4)。EGIIIセルラーゼ成分をコード化
する遺伝子をクローニングするために、この情報を用いて合成りNAプローブを
調製することができる。一度EGIII遺伝子をクローニングしたら、既知の技
術によりEGIII遺伝子を操作し、最終的には様々なトリコデルマspp、菌
株中かまたは他の微生物中に挿入できる。例えば、1990年10月5日に出願
された米国特許出願第071593.919号の一部継続出願である、1991
年10月4日に出願された米国特許出願第07/770.049号、および19
91年3月13日に出願された米国特許出願第07/668.640号を参照の
こと。それらの特許出願には、修飾した微生物が1つ以上のセルラーゼ遺伝子を
発現できず、実際に別のセルラーゼ遺伝子を過剰産生じ得るように、トリコデル
マ リーセイを遺伝子操作する方法が開示されている。1991年10月4日に
出願された米国特許出願第07/770.049号、1990年10月5日に出
願された米国特許出願第071593.919号、および1991年3月13日
に出願された米国特許出願第07/668.640号の開示の全てを引用する。
これらの特許出願に記載された方法を用いて、他のセルラーゼタンパク質ととも
に、またはそれを除いてEGIIIを産生するようにトリコデルマ リーセイを
遺伝子操作することができる。さらに、これらの出願に記載された方法では、ど
のような異種タンパク質をも産生じないトリコデルマ リーセイ菌株を調製して
いる。
さらに、他の微生物中にEGIIIコード化遺伝子を発現することが可能である
。そのような微生物の例としては、以下に限定されるものではないが、サツカロ
ミセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)
、ピチア バストリス(Pichia pastoris ) 、ハンセニュ
ーラ ポリモルフy (Elansenula polymorpha)、クル
イベロミセス ラクチス(Kluyveromyces 1actis) 、ヤ
ロウィア リポリチカ(Yarrowia l1polytica ) 、シャ
ンニオミセス オクシデンタリス(Schanniomyces occide
ntalis)等のような酵母種が挙げられる。例えば、PCT特許出願第to
85104672号を参照のこと。非トリコデルマ宿主であるこれらの代替物
において発現を行なうためには、EGIIIコード化DNA配列をその特定の宿
主からの遺伝子より得られたプロモーター配列およびターミネータ−配列に機能
的に結合させる必要があることもある。また、EGIII分泌信号配列をコード
化するDNA配列の代わりに、代替宿主からの分泌信号配列をコード化するDN
A配列を用いる必要があると思われる。他の生物内でEGIIIを産生および分
泌することにより、実質的に純粋な形態でEGIIIを得ることができる。
上述した実質的に純粋なEGIIIセルラーゼをさらに、液体希釈物、顆粒、エ
マルジョン、ゲル、ペースト等に加工することもできる。そのような形態は当業
者によく知られている。固体の洗浄剤組成物が望ましい場合、セルラーゼ組成物
を好ましくは顆粒として調合する。好ましくは、セルラーゼ保護剤を含有するよ
うに顆粒を調合することができる。例えば、代理人番号第010055−073
号として1991年1月17日に出願された、「酵素および酵素保護剤の両方を
含有する顆粒並びにそのような顆粒を含有する洗浄剤組成物」と題する米国特許
出願第07/642.669号を参照のこと。この出願の全てを引用する。同様
に、顆粒の洗浄媒質中への溶解速度を遅くする物質を含有するようにその顆粒を
調合することもできる。そのような物質と顆粒が、代理人番号第GC3−171
−US1番として1991年1月17日に出願された、「顆粒組成物」と題する
米国特許出願第07/642.596号に開示されており、その出願の全てをこ
こに引用する。次いでEGIIIを含有する顆粒または他の洗浄剤配合物を織物
の洗浄に用いて、柔軟特性を織物等に与えることができる。
以下の実施例は本発明を説明することを意図したものであり、本発明の範囲を制
限するものとして考えるべきではない。
実 施 例
A、 細胞を含まないセルラーゼの濾液100リツトルを約30℃に加熱した。
加熱した物質を、約4%(W/V)カーボワックス(登録商標)PEG8000
(ポリエチレングリコール、約8000の平均分子量)(コネチカット州、ダン
バリー、ユニオンカーバイド)および約10%(W/ V )無水硫酸ナトリウ
ムとして調製した。混合物を2相の液体混合物を形成した。5A−1デイスク
スタック遠心分離機を用いて相を分離した。銀染色(silver stain
ing )等電点電気泳動ゲルを用いて相を分析した。EGIIIおよびキシラ
ナーゼについて分画と集積を行なった。回収した組成物は約20重量パーセント
から約50重量パーセントまでの範囲のEGIIrを含有していた。ポリエチレ
ングリコール相中に回収されたキシラナーゼの量は、少なくとも4倍キシラナー
ゼが豊富であった。
B、 細胞を含まないセルラーゼ濾液100リツトルを、円錐形の底および底の
中心に排出口を有する130 リットルの容器に加えた。出発物質は、EGII
I以外のセルラーゼが欠失したおよび/またはEGIIIが過剰発現された菌株
からのセルラーゼまたは全セルラーゼであってもよい。限外濾過は必要条件では
ないけれども、タンパク質の濃度を約Log/Iから約50g/lまでの範囲に
保持すべきである。
次に、平均分子量8000のポリエチレングリコール4kgと硫酸アンモニウム
10kgをセルラーゼ濾液に加えた。混合物を18時間に亘すオーバーヘッドミ
キサー中で混合した。混合後、18時間におよび相を分離させた。相を分離した
ままにするように底の排出口から底の相を除去した。PEG相を採集し、30分
間に亘り5゜000xgで遠心分離して不溶性物質を除去した。EGIII活性
はポリエチレングリコール溶液中において安定である。
ポリエチレングリコールからのタンパク質の除去は、ポリエチレングリコールは
エタノールに溶性であり、タンパク質は溶性ではないという事実を利用するもの
である。この段階において、ある塩も除去し、タンパク質を濃縮させている。
PEG相のアリコート200 m lおよび冷たい(−20℃)エタノール80
0 m lを1リツトルの遠心分離ボトル中でよく混合し、−20℃で約18時
間に亘り放置した。
混合物を30分間に亘り5.000xgで遠心分離し、溶液にデカンテーション
を行ない、沈殿物を脱イオン水で濯いだ。
沈殿したタンパク質を溶解させる緩衝液の選択は、それに続くクロマトグラフィ
一工程か、または最終工程の場合にはEGIIIが多い溶液を調製する工程に依
存する。一般的に、緩衝液は、陽イオン交換クロマトグラフィーの調製において
、pH5の50mM酢酸塩、またはpH4の10mMクエン酸リン酸のいずれか
である。
PEG抽出物の回収は、RBB−CMC活性に基づいて測定でき、合計容量を以
下に示す。RBB−CMC活性を測定する方法を実施例3に記載する。
表 1
試 料 希釈 0D590 0D、/+1 容量ml 合計OD% 回収ブイヨ
ン 40 .299 12.0 4000 47840 100PEG 100
.193 19.3 510 9843 21抽残液 40 .234 9.
36 3490 32666 68活性の回収はPEG相中への15パーセント
から30パーセントまでの範囲におよぶ。
この工程は、出発物質がEG IおよびIIの欠失したセルラーゼである場合、
合計のエンドグルカナーゼ活性の百分率としての最高損失を示している。各々の
クロマトグラフィーの工程による損失は、各々の工程について比較により約20
%以下、小さくなる傾向にある。
クロマトグラフィー
10mM5pH5のクエン酸/リン酸緩衝液に対してオメガシリーズ接線流動8
゜000限外濾過膜(omega 5eries tangential fl
ow 8.000 ultra filtration me高■
rane) (マサチューセッツ州、ノースボロー、フィルトン テクノロジー
社)を用いて、実施例Iから得たEGIIIが多い溶液であるパート(b)を完
全に濾過した(diafiltered ) o溶液を、平衡状態にある(pH
5,10mM クエン酸/リン酸)SPトリスアクリルカラムに装填し、通過し
た溶液(flow−through)を集積し、0.5Mのクエン酸によりpH
を4に調節した。通過した溶液を平衡状態にある(pH4,10mM クエン酸
/リン酸)SP)リスアクリルカナムに装填した。EG’lll成分を250
mMの塩化ナトリウムにより溶離させた。
野生型トリコデルマ リーセイにより産生される完全菌類セルラーゼ組成物(シ
トラーゼ123、カリフォルニア州、サウスサンフランシスコ、ジェネンカー
インターナショナル社から得られる)を分画することにより、EG IIIの精
製を行なう。具体的には、以下の樹脂:シグマケミカル社(ミズーリ州、セント
ルイス)から得られるセファデックスG−25濾過樹脂、IBFバイオテクニク
ス社(メリーランド州、サベージ)から得られるQAトリスアクリル陰イオン交
換樹脂およびSPトリスアクリル陽イオン交換樹脂を含有するカラムを用いて分
画を行なう。10mM リン酸ナトリウム緩衝液によりpH6,8に緩衝された
3リツトルのセファデックスG−25ゲル濾過樹脂のカラムを用いて0.5gの
シトラーゼ123セルラーゼを脱塩させる。次いで脱塩した溶液を、10mM
リン酸ナトリウム緩衝液によりpHe、sに緩衝された20m1のQAトリスア
クリルM陰イオン交換樹脂のカラムに装填する。このカラムに結合した分画はC
BH1およびEG Iを含有していた。このカラムに結合しなかった分画はCB
H11、EGIIおよびEGIIIを含有している。10mM クエン酸ナトリ
ウムによりpH4,5に緩衝したセファデックスG−25ゲル濾過樹脂のカラム
を用いて、これらの分画を脱塩する。この溶液200 m lを、20m1のS
P)リスアクリルM陽イオン交換樹脂のカラムに装填する。200mM 塩化ナ
トリウムの水溶液100 m lによりEGIIIを溶離させた。
EGIIIをさらに精製する方法の1つは、この実施例2により得られたEG
III試料をさらに分画することにより行なわれる。Mono−8−HR515
カラムにュージャージー州、ピスキャタウエイ、ファーマシア LKBバイオテ
クノロジー社から得られる)を用いてFPLCシステムにより分画を行なった。
FPLCシステムは、液体クロマトグラフィーコントローラ、2つのポンプ、二
重通路モニター、分画コントローラおよびチャートレコーダ(全てニューシャー
シー州、ピスキャタウエイ、ファーマシア LKBバイオテクノロジー社から得
られる)からなる。事前に10mM クエン酸ナトリウムによりpH4に緩衝し
ておいた20m1のセファデックスG−25カラムを用いてこの実施例2で調製
した5mlのEGIII試料を脱塩することにより分画を行なった。事前に10
mM クエン酸ナトリウムでpH4,0に緩衝しておいたMono−3−HR5
15カラムにその溶液を装填し、0.5ml/分の速度で0−200mMのNa
C1の水溶液勾配により溶離させ、1mlの分画に試料を集積した。分画10お
よび11においてEG IIIを回収した。ゲル電気泳動によりこのEGIII
は90%より大きく純粋であることが測定された。この純度のEGIIIは既知
の技術によるN末端アミノ酸配列を決定するのに適している。
実質的に純粋なEGIIIは、トリコデルマ リーセイから単離した他のエンド
グルカナーゼと匹敵する以下の特性を有している。
表 2
分 子 量 pI H最適値I
EG I 〜47−49 kD 4.7 〜5EGII 〜35kD5.5 〜
5
EGIII 〜25−28 kD 7.4 〜5.5−6.01、下記の実施例
3によるRBB−CMC活性によりめられたpH最適値上記表から分かるように
、トリコデルマ リーセイの他のエンドグルカナーゼ成分と比較して、EGII
Iは大きいpH最適値および大きいprの両方を有する。下記の実施例3におい
て、EGIIIはアルカリpHの条件下で相当なRBB−CMC活性を保持する
ことが分かる。
同様に、他の菌株を含む他の供給源から得たEGIIIセルラーゼも上記方法に
より精製することができる。トリコデルマ ビリデ由来のEGIIIセルラーゼ
が、Voragen等のMethods in Enzymology s 1
60:243−249に記載されている。この参考文献は、約23.5キロダル
トンの分子量、5.5のpH最適値、および7.7のplを有するEG III
セルラーゼを記載している。
EGIIIの単離効率を高めるために、EGIIIを過剰発現するようにおよび
/または1つ以上のEG I成分、EGII成分、CBHI成分および/または
CBH−11成分を産生できないように、遺伝子的に修飾したトリコデルマ リ
ーセイを用いることが望ましいと思われる。
同様に、上述したEGIII組成物をさらに精製するすることが望ましいと思わ
れる。例えば、実施例1において単離したEGIITタンパク質を、上述した方
法によりさらに精製することもでき、またはその逆を行なうこともできる。
めた。最初のセルラーゼ組成物は、CBHI成分およびCBHII成分を産生で
きないように、以下に記載する方法と同様な方法で遺伝子的に修飾したトリコデ
ルマ リーセイから調製したCBHIおよび!■の欠失したセルラーゼ組成物で
あった。約58パーセントから約70パーセントまでの範囲のトリコデルマリー
セイ由来のセルラーゼ組成物から一般的になるこのセルラーゼ組成物は、CBH
IおよびCBHIIを含有しないかぎり、このセルラーゼ組成物は必然的にEG
酸成分多く含んでいる。EGIIIはトリコデルマ リーセイのエンドグルカナ
ーゼ成分の最も少ない成分であるので、この組成物においてはEGI成分および
EGII成分が優位を占めている。
第2のセルラーゼ組成物は、実施例2と同様な精製方法によりトリコデルマリー
セイ由来のセルラーゼ組成物から単離したEGIIIの約20−40%の純粋な
分画であった。
これらのセルラーゼ組成物の活性を40℃で測定した。この測定は以下の方法を
用いて行なったものである。
必須の量の酵素を提供するのに十分な濃度の、5μlから20μlまでの範囲の
適切な酵素溶液を最終溶液に加える。pH4,5,5,5,6,6,5,7,7
,5および8で0.05M クエン酸/リン酸緩衝液中に、2重量パーセントの
250μmのRBB−CMC(レマゾル ブリリアント ブルー R−カルボキ
シメチルセルロース;オーストラリア国、2151、N、S、 W、 、ノース
ロック、6アルトナプレース、メガザイムから市販されている)を加える。
ポルテックス混合(vortex) L、30分間に亘り40℃で定温放置する
。水浴中で5分間から10分間までの期間に亘り冷却する。0.3Mの酢酸ナト
リウムおよび0゜02Mの酢酸亜鉛を含有する1000μmのメチルセロソルブ
を加える。ポルテックス混合し、5分間から10分間までの期間に亘り放置する
。遠心分離し、キュベツト中に上澄を注ぎ入れる。
各々のキュベツト中において溶液の光学密度(OD)を590nmで測定するこ
とにより、相対酵素活性をめた。光学濃度が高いほど、酵素活性が高い。
この分析の結果を第1図に示す。この図面は、EGIIIセルラーゼ組成物と比
較したCBH1およびIIが欠失したセルラーゼ組成物の相対活性を示すもので
ある。この図面より、CBHIおよびCBHIIの欠失したセルラーゼ組成物は
、pH5,5付近でRBB−CMCに対して最適セルロース分解活性を有し、ア
ルカリ性のMLすなわち、7を越えて8までのpHにおいである程度活性を有す
ることが分かる。一方で、EG IIIの多いセルラーゼ組成物はほぼpH5,
5−6において最適セルロース分解活性を有し、アルカリ性のpHでも相当な活
性を有している。
この実施例の目的は、異なるEGIIIセルラーゼ組成物の等電点電気泳動ゲル
を説明することにある。具体的には、野生型トリコデルマ リーセイにより産生
されたセルラーゼ、EG IおよびEGIIのセルラーゼタンパク質を発現でき
ないように実施例16および17の方法により形質転換したトリコデルマリーセ
イ菌株由来のセルラーゼ;および実施例1の方法と同様な方法により産生じた実
質的に純粋なEGIIIセルラーゼを等電点電気泳動ゲルを用いて分析した。
製造者の説明にしたがって、ファーマシアIEFシステムにュージャージー州、
ピスキャタウエイ、ファーマシア社、FBE−3000)およびpH3−10プ
レキヤストゲル(ドイツ、カールベルブ、サーバから得られるサーバリド プレ
コテ)を用いて、これらのセルラーゼ試料を等電点電気泳動により分析した。
ゲルをエフオルチック(登録商標)染料(11590ニユーヨーク州、ウェスト
バリー、サーバ ファイン バイオケミカルス社から得られるサーバブルーW)
により染色し、タンパク質のバンドを視覚化した。得られたゲルを第2図に示す
。第2図のレーン1は、野生型トリコデルマ リーセイ菌株由来のセルラーゼの
等電点電気泳動ゲルを示している。レーン2は、EG IおよびIIを発現でき
ないように遺伝子的に修飾したトリコデルマ リーセイ菌株由来のセルラーゼの
等電点電気泳動ゲルを示している。レーン3は、実質的に純粋なEGIIIセル
ラーゼの等電点電気泳動ゲルを示している。この図面において、レーン1に隣接
する縁に、タンパク質を同定するようにセルラーゼタンパク質に対応するバンド
を記載している。
この図面から、EG IIIのplが大きいので、このタンパク質は、plの大
きいキシラナーゼ、pIの大きいβ−グルコシダーゼのような他のpIの大きい
成分と通常関連する領域に見られるのが分かる。さらに、この図面のレーン2に
は、EGIおよびIIのタンパク質は存在しないがEGIIIタンパク質は存在
するので、EGIIIはEG IまたはEGIIのタンパク質のいずれの分解生
成物ではないことがこの図面から分かる。
0.9mlのアセトンを0.1mlのタンパク質溶液(1mg/mlの濃度で)
に加えることによりEG III成分を沈殿させ、−20℃で10分間に亘り定
温放置した。遠心分離によりタンパク質を集積し、集積物を乾燥させてペレット
化し、88%のぎ酸中に溶解させた8M 尿素溶液0.01m1および88%の
ぎ酸中に溶解させた臭化シアン(200m g/m 1 )溶液0.01m1中
に再懸濁させた。混合物を4時間に亘り室温で定温放置した。
個々のペプチドをHPLC(高圧液体クロマトグラフィー)カラムを用いて精製
した。シンクロバックRP−4カラムを、脱イオンしたミリQ水(+oilli
Q)中で0.05%のTEA ()リエチルアミノ)および0.05%のTFA
()リフルオロ酢酸)により平衡状態させた。試料をHPLCカラムに装填し
、100%のアセトニトリルおよび0.05%のTEA並びに0.05%のTF
Aにより、1分当たり1%の勾配で溶離を行なった。単離したペプチドのアミノ
末端領域を、全自動装置を用いたエドマンの方法により配列分析した。EGII
I成分の2つの断片から得られたアミノ酸配列を第3図に示す。
実施例6
トリコデルマ リーセイのp)’ r4−誘導体の選択pYr4遺伝子は、ウリ
ジンの生合成に必要な酵素であるオロチジン−5′−モノホスフェートデカルボ
キシラーゼをコード化する。毒性阻害因子5−フルオロオロチン酸(FOA)を
野生型細胞によりウリジン中に取り込み、細胞を被毒させる。しかしながら、p
yr4遺伝子が欠けた細胞は、この阻害因子に対して抵抗性を有するが、成長の
めたにウリジンを必要としている。したがって、FOAを用いてpyr4誘導体
菌株を選択することが可能である。実際、トリコデルマ リーセイ菌株RL−3
7の芽胞(Sheir−Neiss、 G、およびMontenecourt、
B、 S、、Appl、 Microbiol、 Biotechnol、
20.46−53頁(1984) )を、2mg/mlのウリジンおよび1.2
mg/mlのFOAを含有する凝固培地の表面に広げた。任意のFOA抵抗性コ
ロニーが3日から4日以内に現れ、成長のためにウリジンを必要としたそれらの
FOA抵抗性誘導体を続いて同定することが可能であった。欠損pyr4遺伝子
を有するそれらの誘導体を同定するために、プロトプラストを産生じ、野生型p
yr4遺伝子を含有するプラスミドにより形質転換した(実施例8および9を参
照のこと)。形質転換後、ウリジンを欠いた培地上にプロトプラストを平板固定
(plate ) した。形質転換したコロニーの成長は、プラスミドボーン(
plasmid−borne ) p y r 4遺伝子により欠損pry4遺
伝子の相補性を示した。このようにして、菌株GC69を菌株RL−P37のp
yr4−誘導体として同定した。
実施例7
CBHI欠失ベクターの調製
CBHIタンパク質をコード化するcbhl遺伝子を、既知のプローブ合成方法
(Shoemaker等、1983b )を用いてこの遺伝子の公表されている
配列に基づいて設計したオリゴヌクレオチドプローブによる雑種形成により、ト
リコデルマリーセイ菌株RL−P37のゲノムDNAからクローニングした。c
bhl遺伝子は6.5kbのPstl断片上にあり、Pstlにより切断したp
Uc4Kにュージャージー州、ピスキャタウェイ、ファーマシア社から購入した
)中に挿入し、従来技術で知られている技術を用いてこのベクターのKan’を
置換した。この技術は、)[aniatis等(1989)に述べられており、
ここに引用する。得られたプラスミドpUC4に: : cbhlをHindI
I Iにより切断し、約6kbの大きな断片を単離し、再度連結してpUC4
に: : cbhlΔH/Hを得た(第4図を参照のこと)。この方法により、
金縁cbhl暗号配列および上流の約1.2kbのフランキング配列(flan
king 5equence )ならびに下流の約1.5kbのフランキング配
列を除去した。元のPst、I断片のいずれかの末端からほぼlkbのフランキ
ングDNAが残っている。
11aniatis等(前出)の方法にしたがって、pUc18中のゲノムDN
Aの6,5kb H4ndlll断片としてトリコデルマ リーセイpyr4遺
伝子をクローニングしてI)Tpyr2 (Smith等、1991)を形成し
た。プラスミドpUC4に::cbhlΔH/HをHindl I Iにより切
断し、末端をウシ腸アルカリ性ホスファターゼにより脱リンした。この末端脱リ
ンDNAを、トリコデルマリーセイpyr4遺伝子を含有する6、5kbのHi
ndIII断片と連結し、pΔCBHIpyr4を得た。第4図はこのプラスミ
ドの構築を示している。
約5X10’のトリコデルマ リーセイGC69芽胞(pyr4−誘導体菌株)
を有する500 m lのフラスコ中の100 m lのYEG(0,5%の酵
母抽出物、2%のグルコース)を接種することにより、菌糸を得た。約16時間
に亘り振とうさせながらフラスコを37℃で定温放置した。2.750xgでの
遠心分離により菌糸を収穫した。収穫した菌糸をさらに1.2Mのソルビトール
溶液中で洗浄し、5mg/mlのノボザイム(登録商標)234溶液(コネチカ
ット州、ダンバリー、ノボバイオラボ社から得られる、1.3−アルファーグル
カナーゼ、1.3−ベーターグルカナーゼ、ラミナリナーゼ、キシラナーゼ、キ
チナーゼおよびプロテアーゼを含有する多成分酵素系の商標名である);5rr
Bg/mlのMg5O< パlH2O;0.5 mg/mlのウシ血清アルブミ
ン、1.2Mのソルビトールを含有する40m1の溶液中に再懸濁させた。ミラ
クロス(カリフォルニア州、ラジョラ、カルバイオケム社)を通過させる濾過に
より、細胞ブイヨン(cellular debris )からプロトプラスト
を除去し、2,000xgでの遠心分離により採集した。プロトプラストを1.
2Mのソルビトール中で3回洗浄し、さらにもう一度1.2Mのソルビトール、
50mMのCaCl2中で洗浄し、遠心分離し、1.2Mのソルビトール、50
mMのCaCl2の1ml当たり約2X10’のプロトプラストの密度で再懸濁
実施例8において調製した200μmのプロトプラスト懸濁液を、TE緩衝液(
10mMのトリス、pH7,4; 1mMのEDTA)中のEcoRI切断pΔ
CBHIpyr4 (実施例7で調製した)20μlおよび25%のPEG40
00と、0゜6MのKClと、50mMのCaCl2とを含有するポリエチレン
グリコール(PEG)溶液50μIに加えた。この混合物を20分間に亘り氷上
で定温放置した。この定温放置の後、2.0mlの上述したPEG溶液をそこに
加え、得られた溶液をさらに混合し、5分間に亘り室温で定温放置した。この第
2の定温放置後、1.2Mのソルビトールおよび50mMのCa C12を含有
する溶液4.0mlをその溶液に加え、これにより得られた溶液をさらに混合し
た。そのプロトプラスト溶液を、1%のグルコース、1.2Mのソルビトールお
よび1%のアガロースを含有するボゲルの培地Nの溶融アリコート(1リツトル
当たり、3gのクエン酸ナトリウム、5gのKH2PO,+ 、2gのNH4N
O3,0,2gのMg SO4@7H20,0゜1gのCaCl2 ”7H20
,5μgのα−ビオチン、5mgのクエン酸、5mgのZnSO4” 7H20
,1mgのF e CNH4) 2 ・6 H20,0,25gのCu5o、”
5H20,50%gのMnSO4−4H20)にただちに加えた。プロトプラ
ストと培地の混合物を、上述したボゲルの培地を含有する固体培地上に注いだ。
ウリジンは培地中には存在せず、したがって、pΔCBHIpyr4中の野生型
pyr4遺伝子挿入物による菌株GC69のpyr4突然変異の補完の結果とし
て形質転換コロニーのみが成長できた。これらのコロニーを続いて形質転換し、
添加剤として1%のグルコースを含有する固体のボゲルの培地N上で精製し、安
定な形質転換体をさらなる分析のために選択した。
この段階では、より速い成長速度およびウリジンを欠如した固体培養物上のでこ
ぼこの外形よりもむしろ滑らかな円形コロニーの形成により不安定な形質転換体
とは区別される。ある場合には、固体の非選択性培地(すなわち、ウリジンを含
有している)上で形質転換体を成長させ、続いて発芽してウリジンの欠如した選
択的な培地上に成長するこれらの芽胞の百分率をめた。
実施例9で得られた形質転換体を、1%のグルコースを含有するボゲルの培地N
の液体中で成長させた後、DNAをその形質転換体から単離した。これら形質転
換体のDNA試料をさらにPstI制限酵素により切断し、これにアガロースゲ
ルの電気泳動を行なった。そのゲルをニドラン膜フィルター上にプロットし、3
2p標識pΔCBHIpyr4プローブにより雑種形成させた。プローブを選択
して、6.5kbのPstl断片としての天然cbhl遺伝子、天然pyr4遺
伝子および形質転換DNA断片由来の任意のDNA配列を同定した。
雑種形成からの放射性バンドをオートラジオグラフィーにより視覚化した。オー
トラジオグラフを第6図に示す。5つの試料(すなわち、ASBSC%Dおよび
E)について上述したように実験した。レーンEは非形質転換菌株GC69であ
り、この分析においては対照として用いた。レーンA−Dは、上述した方法によ
り得られた形質転換体を示すものである。オートラジオグラフの左側の数字は、
分子量マーカーの大きさを示すものである。このオートラジオグラフから分かる
ように、レーンDは6.5kbのCBHIバンドを有しておらず、c b h
1遺伝子でのDNA断片の組込みによりこの遺伝子が形質転換体中で全体的に欠
失されたことを示している。cbhl欠失菌株をP37PΔCBHIと称する。
第5図は、トリコデルマ リーセイ染色体のうちの1つのcbhl座でpΔCB
HIpyr4からの大きなEcoRI断片を二重に交差させて組み込んだことに
よるトリコデルマ リーセイcbhl遺伝子の欠失について概略を説明したもの
である。分析した他の形質転換体は、非形質転換対照菌株と同一であるように思
われる。
使用したプローブを32p標識plnt、cBHIプローブに変えたことを除い
ては、実施例10と同様に方法をこの実施例に用いた。このプローブは、pUC
4に: :cbhlΔH/Hが欠失した領域内のcbhl座からの2kbのBg
ll■断片を含有するpUC型のプラスミドである。非形質転換菌株GC69で
ある対照の試料Aおよび形質転換体P37PΔCBHIの試料Bの2つの試料を
この実施例で分析した。第7図から分かるように、6.5kbでのバンドにより
示したとおり、試料Aはcbhl遺伝子を有した。しかしながら、形質転換体で
ある試料Bはこの6.5kbのバンドを有しておらず、したがって、Cbh1遺
伝子を有しておらず、pUCプラスミド由来の配列をなにも有していない。
1%のグルコース、0.14%の(NH4)2 SO4,0,2%のKH2PO
4,0゜03%のMgSO4,0,03%の尿素、0,75%のバクトドリプト
ン(bactotryptone )、0.05%のTween80.0.00
0016%のCu5Oa @5H20,0,001%のFeSO4・7H20,
0,000128%のZn5Oa ’ 7H20,0,0000054%のNa
2 MoQ、−2H20,0,0000007%のMnC1・4H20を含有す
るトリコデルマ基本培地50m1中に産生したP37PΔCBHI菌株からの芽
胞を接種した。
約48時間に亘り250 m lのフラスコ中で振とうさせながら培地を37℃
で定温放置した。ミラクロス(カルバイオケム社)を通過させる濾過により、得
られた菌糸を採集し、1.7mMのリン酸カリウムにより2.3回洗浄した。菌
糸を最終的に1mMのソホロース(sophorose )を含む17mMのリ
ン酸カリウムの溶液中に懸濁させ、さらに振とうさせながら30℃で24時間に
亘り定温放置した。これらの培養液から上澄を採集し、菌糸を捨てた。製造者の
説明にしたがって、ファーマシアファストゲル システムおよびpH3−9プレ
キヤスト ゲルを用いた等電点電気泳動により培養液の上澄の試料を分析した。
ゲルを銀染料で染色し、タンパク質のバンドを視覚化した。第8図に示すように
、cbhlタンパク質に対応するバンドは、菌株P37PΔCBHI由来の試料
には存在しなかった。この等電点電気泳動ゲルは、トリコデルマ リーセイの異
なる上澄培養液中に様々なタンパク質が存在することを示している。レーンAは
部分的に精製したCBHIである。レーンBは非形質転換トリコデルマ リーセ
イの培養液からの上澄である。
レーンCは、本発明の方法により産生じた菌株P37PΔCBHIからの上澄で
ある。様々なセルラーゼ成分の位置を、CBHI、CBI−11I、EGI、E
GI■、およびEGIIIと印付けた。CBHIは全体の細胞外タンパク質の5
0%を構成するので、CBHIは主要な分泌タンパク質であり、ゲル上で最も暗
いバンドである。この等電点電気泳動ゲルは、P37PΔCBHI菌株において
はCBHIタンパク質が除去されているのを示している。
CBHIIタンパク質をコード化するトリコデルマ リーセイのcbh2遺伝子
を、第9A図に示すゲノムDNAの4.1kbのEC0RI断片としてクローニ
ングした(Chen等、1987、Biotechnology s 5:27
4−278 ) oこの4.1.kbの断片をpUC4XLのEcoR1部位の
間に挿入した。後者のプラスミドはpUC誘導体である(ジエネンカー インタ
ーナショナル社のR,M、 Berkaにより構築された)。このpUC誘導体
は、EcoRI、BamHI、5acl、Smal。
Hindl 11、XhoI、Bglll、C1al、BglI L XhoL
Hindl I I、SmaI、5acl、BamHI、EcoRIの順番で
並んだ左右対称の制限エンドヌクレアーゼ部位を有する多数のクローニング部位
を含んでいる。従来技術で知られている方法を用いて、Hindl 11部位(
CBHII翻訳開始部位の74bpの3′)とClal部位(CBHIIの最後
のコドンの265bpの3′)との間のこの遺伝子の1.7kbの中央領域が除
去され、トリコデルマ リーセイpyr4遺伝子を含有する1、6kbのHin
dlll−CIaIDNA断片により置換されたプラスミドpPΔCBHI I
(第9B図)を構築した。
トリコデルマ リーセイpyr4遺伝子を1.6kbのNhe l−3ph I
断片上のpTpyr2 (実施例7参照)から切除し、pUc219の5ph1
部位とXba1部位との間に挿入し、p219Mを産生じた(S+++ith等
、1991、Curr。
Genet 、 1927−33頁)o pUc219の多重クローニング部位
由来の一方の末端で7bpのDNAおよび他方の末端で6bpのDNAを有する
Hindlll−Clal断片としてpyr4遺伝子を除去し、cbh2遺伝子
のHindl I 1部位とClal部位に挿入してプラスミドppΔCBHI
Iを形成した(第9B図参照)。
このプラスミドをEcoRIにより切断することによって、一方の末端において
cbh2座からの0.7kbのフランキングDNA、他方の末端においてcbh
2座からの1.7kbのフランキングDNAおよび中間においてトリコデルマ
リーセイpyr4遺伝子を有する断片が解放される。
実施例14
P37PΔCBHIの 「4−誘導体の産生cbhl遺伝子が欠失した形質転換
体(P37PΔCBHI)の芽胞を、FOAを含有する培地上に広げた。その後
実施例6の方法を用いて、この形質転換体のpyr4−誘導体を得た。このpY
r4−菌株をP37PΔCBHIPyr−26と称した。
実施例15
事前にcbhlが欠失されている菌株中のcbh2遺伝子の欠失実施例8および
9において概説した方法にしたがって、菌株P37PΔCBHIPyr4−26
のプロトプラストを産生し、EcoRI切断ppΔCBHIIにより形質転換し
た。
精製した安定な形質転換体を実施例12のように振とうフラスコ中で培養し、等
電点電気泳動により培養上澄中のタンパク質を調べた。CBHIIタンパク質を
まったく産生じない1つの形質転換体(P37PΔΔCBH67と称する)を同
定した。第8図のレーンDは、本発明の方法にしたがって産生されたcbhl遺
伝子およびcbh2遺伝子の両方が欠失した形質転換体からの上澄を示している
。
DNAを菌株P37PΔΔCBH67から抽出し、抽出したDNAをEcoRI
およびAsp718により切断し、この切断されたDNAについてアガロースゲ
ル電気泳動を行なった。このゲルからのDNAをメンブレンフィルターにプロッ
トし、32p標識pPΔCBHIIにより雑種形成させた(第10図)。第10
図のレーンAは、非形質転換トリコデルマ リーセイ菌株からのDNAについて
観察された雑種形成模様を示している。野生型cbh2遺伝子を含有する4、1
kbのEcoRI断片が観察された。レーンBは、菌株P37PΔΔCBH67
について観察された雑種形成模様を示している。単一の4.1kbバンドがなく
なり、約0.9kbおよび約3.1kbの2つのバンドに置き換えられている。
これは、pPΔCBHIIからのEcoRI断片の単一のコピーがcbh2座で
正確に組み込まれた場合に予期される模様である。
同一のDNA試料をEcoRIにより切断し、サザーンプロット分析を上述した
ように行なった。この実施例においては、プローブには12p[識plntcB
HIIを用いた。このプラスミドは、プラスミドpPΔCBHIIにおいて欠失
されたcbh2遺伝子のセグメント内からのcbh2遺伝子暗号配列の部分を含
有している。菌株P37PΔΔCBH67からのDNAについては8M形成は見
られず、このことは、cbh2遺伝子は欠失され、pUCプラスミド由来の配列
はこの菌株内には存在しなかったことを示してる。
実施例16
トリコデルマ リーセイの r4欠失菌株の形質転換体およびpΔEGIpr−
3の構築
EGIをコード化するトリコデルマ リーセイegl 1遺伝子を、公表されて
いる配列にしたがって合成したオリゴヌクレオチドによる雑種形成により、菌株
RL−P37からのゲノムDNAの4.2kbのHindl I I断片として
クローニングした(Pentilla等、1986、Genes 45:253
−263 ; van Ar5del1等、1987、Bio/Technol
ogys 5:60−64 )。
このDNA断片をpUclo、0のHindl11部位で挿入した。EGI暗号
配列の中間に近い位置から暗号配列の3′末端を越えた位置まで延長した内部の
lkbのEcoRV断片を酵素切断により除去し、クローニングされた黒色アス
ペルギルスpyrG遺伝子を含有する2、2kbのBamHI−H4nd I
I I断片による連結によッ装置き換えて(filson等、1988、Nuc
l、 Ac1ds Res、 162339頁)pΔEGIpyrG−3を得た
(第11図)。実施例8および9に述べた方法によるトリコデルマ リーセイの
pyr4欠失菌株(菌株GC69)をHindlllにより切断し、いずれかの
末端でegllからのフランキング領域を備えたpyrG遺伝子を含有する断片
を解放した後、その菌株をpΔEGII)3’r−3により形質転換して、第1
2図に概説した機構によりゲノムegll遺伝子が分断された形質転換体が得ら
れた。DNAを形質転換体から抽出し、抽出したDNAをHindlllにより
切断し、この切断したDNAについてアガロースゲル電気泳動を行ない、メンブ
レンフィルター上にプロットした。そのフィルターを放射線標mpΔEGIpy
r−3により雑種形成した。トリコデルマ リーセイの非形質転換菌株において
、eg11遺伝子がDNAの4.2kbのHind■!■断片上に存在した。し
かしながら、pΔEGIpyr−3からの所望の断片の取込みによるegll遺
伝子の欠失後、この4.2kbのHindI I I断片は消失し、約1.2k
b大きなり1ndlII断片により置き換えられた。この模様は1つの形質転換
体について観察された。この形質転換体をΔEG I−3と称した。
実施例17
PAΔEGII−1の構築およびEGII遺伝子の欠失公表された配列にしたが
って合成したオリゴヌクレオチドによる雑種形成によって、EGII(文献には
、EGIIIとも称されている)をコード化するegf3遺伝子を、4kbのP
stlゲノムDNA断片としてトリコデルマ リーセイ菌株RL−P37からク
ローニングした(Sa loheimo等、1988、Gene 63:11−
21 )。このDNA断片をpLIClBのPst1部位に挿入した。このプラ
スミドpEG11をEcoRVにより切断し、EGII暗号領域の5′末端の約
180bpの位置から暗号領域の末端を数百塩基対越えた位置まで延長した約2
kbのセグメント上の金縁EGII暗号領域を除去した。このセグメントを、a
mdS遺伝子を含有するアスペルギルス ニジュランス(Aspergillu
s n1dulans)ゲノムDNAのSsp I断片により置き換え(Cor
rick等、1987、Gene 53+63−71)、プラスミドPAΔEG
II−1を産生じた(第13図参照)。
トリコデルマ リーセイの野生型菌株は、唯一のニトロゲン供給源としてのアセ
トアミド上では成長できない。amds遺伝子により形質転換を行なうと、この
アセトアミド上で成長する能力が与えられ、このことがこの遺伝子を含有する形
質転換体の選択システムの基礎となっている。
実施例10および11において記載した方法により、菌株へEGI−3のプロト
プラストを、Hindl I IとEcoRlにより切断したpAΔEGII−
1により形質転換し、アセトアミド上で成長できる形質転換体を選択した。その
後、DNAを安定な形質転換体から抽出し、抽出したDNAをPstlにより切
断し、切断したDNAについてアガロースゲル電気泳動を行ないメンブレンフィ
ルター上にプロットした。そのフィルターを放射線標識pAΔEGII−1によ
り雑種形成した。eg13フランキング領域およびamdsを含有した、pAΔ
EG11−1からのHindI I I−EcoRI断片の、形質転換体中のゲ
ノムeg13座で同種組込みを行なうと、eg13遺伝子を含有する4kbのゲ
ノムPstl断片が、長さで約1.0kbおよび約2.8kbである2つの遺伝
子を含有する小さなPstl断片により置き換えられることになる。雑種形成の
この模様は、菌株ΔΔEG−1と称する1つの形質転換体に観察された。この菌
株は、EGIおよびEGIIコード化遺伝子の両方が欠失しており、結果として
これらのタンパク質のいずれも産生できない。
実施例7−17および1991年10月4日に出願された米国特許第07/77
0.049号(ここに全てを引用する)に記載された方法を用いて、以下のセル
ラーゼ成分(すなわち、EG 1、EG II、CBHIおよびCBHII)お
よびキシナラーゼ成分のいくつかまたは全てを産生できないトリコデルマ リー
セイの形質転換体を得てもよい。さらに、それらの記載された方法を用いて、E
GIIIセルラーゼ成分を過剰に産生ずるトリコデルマ リーセイ形質転換体を
得てもよい。
本発明を様々な好ましい実施態様に関して記載したが、本発明の精神と範囲から
逸脱せずに、様々な変更、置換等を行ってもよいことが当業者に理解されよう。
したがって、本発明の範囲は以下の請求の範囲のみにより制限される。
OVlo 17’) Otl’) OIfl 。
臂 置 9 別 輿 −−〇
0 0 0 0 0 c; 6 6
FIG、 2
1) IWLGKYGDGPIGss(X;XV)JVGGQ2) PnASW
SYSGSNIRANVAYDLFTAANFIG、 3
rΔε(IryA−3171*’に’;x (りFIG、 11
1イiλYプ;ダビ須)ミ
■〒阿画Iコ
ロG、12
rA八へ’tll−1ey+才%−I
FIG、 13
フロントページの続き
(51) Int、 CI、 ’ 識別記号 、庁内整理番号C12N 1/2
1 8828−48
15109 ZNA
(C12N 9/42
C12R1:885)
(CI 2 N 1/21
C12R1:885)
(72)発明者 クラークソン、キャスリーン エイアメリカ合衆国 カリフォ
ルニア州
94110 サン フランシスコ トウエンティエイス ストリート53
(72)発明者 レアナス、ニドマント エイアメリカ合衆国 カリフォルニア
州
94038 モス ビーチ ネヴアダ 301I
(72)発明者 バウアー、ベンジャミン ニスアメリカ合衆国 カリフォルニ
ア州
94118 サン フランシスコ ナンバー5レイク ストリート830
(72)発明者 ワイス、ジェフリー エルアメリカ合衆国 カリフォルニア州
94117 サン フランシスコ ブエナ ヴイスタ 457