JPH075022B2 - 自動車の窓ガラス用周縁モール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、自動車の窓ガラスの周縁部に沿って装着され
る周縁モールに関する。

［従来の技術］ 自動車のボディに開設される窓開口部に嵌め殺しに収め
られる窓ガラスには窓開口部との間に出来る間隙を被い
隠し、併せて縁飾るための周縁モールが装着されるが、
本発明はこの周縁モールの改良に関するものである。

一般に周縁モールは熱可塑性の合成樹脂を素材にして押
出成形されたものとなっているが、これには窓開口部に
嵌め入れる前の窓ガラス周縁部に取付けて窓ガラスと共
に嵌め付ける先付けタイプのものと、窓ガラスを予じめ
窓開口部に嵌め入れたのち、この窓ガラス周縁部と窓開
口部との間に出来る間隙を通して押し入れ窓ガラスの周
縁に沿って装着する後付けのタイプのものとがある。本
発明はこの後者の所謂後付けタイプの周縁モールの改良
に関するものである。

上記後付けタイプの周縁モールは帯板状をなした主体の
下面から長さの全長に亘って垂設した同じく帯板状をな
した脚部を窓開口部と窓ガラス周縁部との間に出来る間
隙を通して差し入れ、この脚部の脚端を窓ガラスを固着
するため塗布するシーラント中に突き入れるものとなっ
ているが、同時に脚端の一側方に突設した係止片を上記
窓ガラスの周縁部に、また他側方に突設した押圧係止片
を窓開口部に沿って設ける装着窪みの起立壁に当接して
上記係止片の係止状態を確保するものとなっている。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記周縁モールは上記押圧係止片の起立壁に対する当接
によってこれを支えとする一方、多少の撓みを付与する
ことで反発力を生み、脚部を窓ガラス側に押圧して係止
片の係止状態をより確実なものとし、装着後の浮き上り
等装着不良を解消するものとしてあるが、窓開口部、特
にこの開口部に沿って形成する窓ガラスを嵌め入れるた
めの装着窪みの起立壁と窓ガラス周縁部との間に出来る
間隙はその開口幅が常に一定でないため前記脚部を押し
入れたときこの脚部を定位置に確保できるとは限らず、
これが原因して装着不良を起す問題があった。

本発明は、この間隙幅の不均一による装着不良を改善す
るため発明されたもので、従来の周縁モールと同様の押
込み作業によって間隙幅の不揃いに影響されることなく
安定した装着が期待できる自動車の窓ガラス用周縁モー
ルを提供せんとするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は上述した問題点を解決するためなされたもの
で、窓ガラスとこの窓ガラスを収める装着窪みの起立壁
との間に出来る間隙の不均一に対応させて脚部に設ける
押圧係止片の起立壁に対する当接状態を常に良好なもの
にして脚部を窓ガラス側に押圧し、同じく脚部に備える
係止片を窓ガラス周縁部に確実に係止するようにしたも
のである。

これを更に詳しく説明すると、帯状板をなす周縁モール
主体の下面から同じく帯板状の脚部を全長に亘り垂設す
ると共に、この脚部の下端から窓ガラス側に向けて係止
片を延設し、他方装着窪みの起立壁側に向けて押圧係止
片を延設してなる合成樹脂製の自動車の窓ガラス用周縁
モールにおいて、前記押圧係止片には長さ方向に沿って
適宜間隔をおいて先端縁から切込みを設けて多数の小片
を連設し、且つ該小片を１つ若しくは複数個おきに長さ
の途中を切除して突き出し長さを異にした複数種の小片
を設けると共に、これら小片を適宜間隔でその基端部か
ら切除し小片間に適宜間隔で切除空部を設けたことにあ
る。

上記小片の種類は２〜４種類あればよく、通常は小片の
撓みが間隙の変化を或る程度吸収するので、２種類程度
で所望の効果を期待することができる。

また、この小片は長さを揃えた同種のものを他種のもの
の間に均一に分散配置するようにして周縁モールの全長
に亘って均一に点在させると有効である。

更に押圧係止片を切断する切込みは各小片に独立した反
発力を付与するためで、基端部に向けて途中まで切込ま
れるものであってもよいが、基端部に達する深さに切断
すると個々の小片が完全に独立するので好都合である。

なお、この小片の形成に当って適宜間隔をおいて基端部
で切除し、小片を外してここに切除空部を形成し、シー
ラントの抜け路を設けるとよい。

以下、本発明を図示する実施例につき説明し、その構成
並びに作用、効率を具体的に説明する。

［実施例］ 第１図は本発明に係る周縁モールの斜視図であり、第２
図並びに第３図は使用状態を説明する縦断側面図であ
る。

本発明周縁モール１はポリ塩化ビニルの如く適度の弾性
と剛性を有した熱可塑性の合成樹脂を素材にして押出成
形されるもので、図示するように帯板状をなす主体1a
と、この主体の下面から長さの全長に亘り垂設される同
じく帯板状をなす脚部1bと、脚部下端よりその一面に沿
って上記主体の下面に向けて折り返すように延設される
係止片1cと、この係止片とは逆の方向に脚部下端から略
直角状に延設される押圧係止片1dから構成される。

ここに示した周縁モール１は主体1aを中央部を長さ方向
に沿って肉厚に形成し、窓ガラスに臨む一側縁は肉厚の
まゝに、自動車のボディ側に臨む他側縁は肉薄にして柔
軟性をもたせてある。そして脚部1bはこの肉厚な中央部
から垂下させてあり、窓ガラスに臨む一側面には前記係
止片1cの後退を許す凹部1eを設けてある。

係止片1cは脚部下端の一側面から肉薄にしたヒンジ部1f
を介して延設し、その自由端には窓ガラスの縁部を受け
る係止部1gを設けてある。

この係止片1cとは逆向きに延設される押圧係止片1dは脚
部1bの肉厚より薄くして柔軟性をもたせてあり、周縁モ
ールの長さ方向に沿って適宜の間隔をおいてその先端縁
から直角に切り込み２を入れ複数の小片に切離すと共
に、ここでは元の長さのまゝの小片3aの隣りの小片3bを
長さの途中で切除し中間片とし、更にこの小片3bと次の
小片3aとの間の小片部分を基端部近くで切除して切除空
部４としてこれを順次長さ方向に繰返すことによって２
種の小片3a群と3b群を形成し、これらの間に切除空部４
を設けるものとしてある。

この切込み２と中間片となる小片3b及び切除空部４は周
縁モールとして主体1a、脚部1b、係止片1c、押圧係止片
1dを一体に押出成形したのち別途の加工工程を通して形
成されるもので、切込み２の間隔の選択に併せて小片の
数，種類の押出成形後使用に合せて選択される。

この様に係止片を切込みによって複数種の小片に切断形
成した本発明周縁モールはこの種従来の後付けタイプの
モールと同様の作業を通して窓ガラス周縁部に沿って装
着されることになる。

第２図，第３図は装着作業を通して異なる条件の下に使
用されている状態を示す説明図であって、第２図は自動
車のボディ５に開設する窓開口部６に沿って装着窪み７
を設け、この装着窪み７の起立壁８とこの装着窪み７の
周縁部を嵌め入れ収められる窓ガラス９との間に出来る
間隙10が比較的広い場合であり、第３図は上記間隙10が
狭い場合を示している。

上記した様に窓ガラス周縁部に沿って出来る間隙10が広
い場合にはこの間隙に脚部1bが挿入されたとき、その脚
端から延設する押圧係止片1bは伸び切った状態で収ま
り、この片の最も長い小片3aが伸長した姿のまゝ起立壁
８に対して直角状に当接することになる。これがため、
これを支えにして脚部1bが窓ガラス９側に押圧され、係
止片1cの係止部1gを窓ガラスの下方からその周縁部下面
に係合させることになる。このとき、他の短尺な小片3b
群は起立壁８に達せず自由な状態におかれ、切除空部４
を通すのと同様に下から盛り上るシーラント11を浮き上
らせて長尺な小片3aをこのシーラント中に埋入させるこ
とになる。

一方、上記間隙10が第３図に示した如く狭い場合には長
尺は小片3aは起立壁８に沿って弧状に撓み、このとき短
尺な小片3bがその先端を起立壁８に突き立て脚部1bを有
効に押圧して係止片1cを正常な姿で窓ガラス９に係合さ
せることになる。

勿論、この場合に弧状に撓んだ長尺な小片3aと切除空部
４を通して押圧係止片の上面にシーラント11が浮き上
り、上記短尺な小片3bをシーラント中に埋設することに
なる。

［発明の効果］ 以上の様に、本発明周縁モールは装着窪みの起立壁との
間に出来る間隙に通す脚部を窓ガラスの周縁部側に押圧
し、この脚部から延設する係止片の係合を確保する押圧
係止片につき、前述した様に切込みによって複数の小片
に分断し、且つこれら小片の長さを複数種類に違えた窓
ガラスと装着窪みの起立壁との間隙幅の変化に応じてそ
のいずれかの小片を起立壁に対して直角に近い形で当接
させ、有効な押圧力を発揮できるようにしたことから常
に係止片を窓ガラスに対して適切に作用させることがで
きるものとなっている。従って本発明によれば間隙幅の
変化に影響されることなく通常の押込み作業によつて周
縁モールを確実に装着することができると共に、窓ガラ
スの周縁部に沿って全長に亘る係止化を掛止めることか
ら均一に装着できる効果がある。

そして、本発明においては上記小片間に切除空部を適宜
配置して小片下方からシーラントを浮き上げられるよう
にしてシーラントの押付けによる反発を解消することか
ら起立壁に対する直角的な当接が妨げられないと同時
に、小片の上方にシーラントを誘導することによって埋
入を円滑に行うことができることから正常な装着状態を
迅速に得ることができる利点がある。

また、この作業性並びに確実性に加え本発明のモールは
全長に亘る押圧係止片の有効な押圧によって脚部が窓ガ
ラスの周縁部に当接することから主体の窓ガラスに対す
る密着性に優れ、周縁部を均一に被覆して美麗に縁飾る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る周縁モールの斜視図、第２図は窓
ガラスと装着窪みの起立壁との間隙幅が大な部分に対す
る装着状態を説明する縦断側面図、第３図は同じく間隙
幅が小さな部分に対する装着状態を説明する縦断側面図
である。 １……周縁モール、1a……主体 1b……脚部、1c……係止片 1d……押圧係止片、２……切込み 3a,3b……小片、４……切除空部 ５……自動車のボディ、６……窓開口部 ７……装着窪み、８……起立壁 ９……窓ガラス、10……間隙

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】帯板状の主体の下面から長さの全長に亘っ
   て帯板状の脚部を垂設し、この脚部の一面側から窓ガラ
   スの周縁部に係止する係止片を、他面側から自動車ボデ
   ィの窓開口部に沿って設けられる装着窪みの起立壁に押
   圧する押圧係止片を、それぞれ長さ方向に沿って延設し
   てなる合成樹脂製の自動車の窓ガラス用周縁モールにお
   いて、 前記押圧係止片には長さ方向に沿って適宜間隔をおいて
   先端縁から切込みを設けて多数の小片を連設し、且つ該
   小片を１つ若しくは複数個おきに長さの途中を切除して
   突き出し長さを異にした複数種の小片を設けると共に、
   これら小片の中から適宜の間隔で該小片の基端部を切除
   して小片間に切除空部を適宜間隔で設けたことを特徴と
   する自動車の窓ガラス用周縁モール。