JPH074933B2 - 印刷機械のインキ装置用インキ練りローラを駆動するための方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、軸受けに回転不能に支承されたローラ軸と、
このローラ軸に回転可能に支承されて軸方向に往復駆動
されるローラ套壁と、回転するローラ套壁をこのように
軸方向に往復運動させる、ローラ套壁内部の駆動手段と
を備えた、印刷機械のインキ装置用インキ練りローラを
駆動するための方法及びこの方法を実施するための装置
に関する。

〔従来の技術〕

DE−OS第22 38 481号明細書には、印刷機械においてイ
ンキ練りローラのローラ套壁を回転運動と同時に往復運
動させるための駆動装置が示されている。この場合、駆
動手段として遊星歯車装置が使用されており、この遊星
歯車装置は、カムと結合してローラ套壁を軸方向に往復
運動させる。さらに、上記明細書に示された減速歯車装
置による最大減速比は1:4である。従つて、インキ練り
ローラが４回転すると、ローラ套壁は例えば15mmの行程
を行う。しかし、効率の大きな印刷機械、例えば版胴が
１時間につき40000回転するような印刷機械では、イン
キ装置内のインキ練りローラは１分間につき1850回転す
る。即ち、ローラ套壁は１分間につき460mm、もしくは
一秒間につき約7.5mmの往復運動を行わなければならな
い。ローラ套壁の運動量がこのように大きくなると、駆
動手段が著しく摩耗されるようになり、印刷結果に不利
な作用を及ぼす振動が、印刷機械内に付加的に生ぜしめ
られる。その結果、上記ローラ套壁がある程度の質量を
与えられている場合には、印刷機械の側方フレームが極
めて大きな振動負荷を受けることとなる。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の課題は、はじめに述べた形式のインキ練りロー
ラのための、極めて大きな減速比が得られるような駆動
手段を提供し、その結果、回転数の極めて多いインキ練
りローラにおいても、ローラ套壁の軸方向往復運動によ
つて振動の大きな運動を生ぜしめないようにすると共
に、ローラ套壁の軸方向運動を著しく減速させることに
ある。

〔課題を解決するための手段〕 上記課題は、本発明によればはじめに述べた形式のイン
キ練りローラを駆動するための方法において、ローラ套
壁を軸方向に往復運動させるために、ローラ軸に対して
偏心的にローラ套壁に形成されかつローラ套壁と共に回
転する転動面から、ローラ軸に支承された揺動体へ、ロ
ーラの長手方向軸線に対して横方向の揺動運動を伝達
し、この揺動運動を回転運動としてフリーホイールへさ
らに伝達し、フリーホイールによつてカムを駆動し、こ
のカムによつて、回転運動するローラ套壁を単位時間当
りの運動回数が少ないように軸方向に往復運動させるこ
とによつて解決されている。

さらに上記課題は、本発明によればはじめに述べた形式
のインキ練りローラを駆動するための装置において、揺
動体が支承ピンに揺動可能に支承されており、支承ピン
が、ローラ軸に回転不能に固定された軸受け体内に配置
されており、揺動体が、直径方向に対向して位置する２
つの玉軸受けを支持しており、両玉軸受けの軸線がロー
ラ軸に対して平行に延びており、両玉軸受けが転動面に
接しており、転動面が、ローラ軸に対して偏心的にロー
ラ套壁に形成されており、かつローラ套壁と共に回転さ
せられており、揺動運動が上記玉軸受けによつて、転動
面から揺動体へ伝達されており、さらにこの揺動運動が
揺動体８から結合ピンを介して、ローラ軸に回転可能に
支承された回転体へ伝達されており、回転体がフリーホ
イールと協働しており、ローラ軸に回転不能に支承され
たカム体が、回転体の、一回転方向に生じる断続的な回
転運動によつて駆動されており、カムローラがカム体内
に配置されており、カム軌道の行程がカムローラによつ
て、軸受け体及び玉軸受けを介してローラ套壁に伝達さ
れることによつて解決されている。

〔作用及び効果〕

ローラ套壁を軸方向に運動させるための上記駆動手段に
よれば、例えばローラが31.4回転するとローラ套壁が１
回の往復運動を行うような減速が可能である。この場
合、一時間につき40000回転する版胴においては、一秒
間につき約１回のインキ練り運動が行われる。従つて、
駆動力が極めて小さくなり、印刷機の摩耗が著しく減少
される。それによつて、どのような振動も印刷機械の支
持部分へ伝達されることはなくなる。さらに上記の手段
によれば、頑丈な構成部材が使用可能となる。その結
果、ローラの支障ない運転が保証され、ローラの振動の
ない運動によつては、印刷過程の精密度が高められる。

〔実施例〕

次に図示の実施例につき本発明を説明する。

第１図に示されたインキ練りローラ１は、ローラ軸２上
に支承されており、ローラ軸２は軸受け３に回転不能に
固定されている。軸受け３は、例えば図示されていない
印刷機械側方フレームに設置されている。インキ練りロ
ーラ１のローラ套壁４が、支承担体5,6及びニードルこ
ろ軸受け７を介して回転可能かつ長手方向移動可能にロ
ーラ軸２上に支承されている。図示の実施例において、
ローラ套壁４は隣接するローラ又は胴との摩擦によつて
駆動される。

揺動体８が、ローラ套壁４を軸方向に往復運動させるた
めの駆動手段としてローラ套壁４内に配置されており、
かつ支承ピン９上に揺動可能に支承されている。支承ピ
ン９は、ローラ軸２上に回転不能に固定された軸受け体
10内に配置されており、軸受け体10は例えばローラ軸２
に締付け固定されてもよい。図示の実施例において、揺
動体８がニードルころ軸受け11を介して支承ピン９上に
支承されている。揺動体８において、直径方向に対向し
て位置する２つの玉軸受け12が、ピン13に支承されてい
る。両玉軸受け12の軸線はローラ軸12に対して平行に延
びている。両玉軸受け12は偏心リング14内を転動してお
り、偏心リング14は、ローラ軸２に対して偏心的な転動
面15を有している。図示の実施例では、転動面15が一方
の支承担体５のブシユ状の延長部16に形成されている。
延長部16はローラ套壁４と共に回転する。転動面15の偏
心率ｅが例えば1mmの場合には、揺動体８の揺動運動の
行程は2mmになる。両玉軸受け12はほぼ遊びなく転動面1
5上を転動し、それにより、揺動体８を支承ピン９を中
心として揺動的に往復運動させる。

結合ピン17が支承ピン９に対して揺動体８内に固定され
ており、かつローラ軸２上に回転可能に支承された回転
体18内に係合している。回転体18はニードルころ軸受け
19を介して回転可能に支承されており、かつ軸方向運動
を阻止されている。スリーブ状フリーホイールとして形
成されたフリーホイール20が、回転体18に設けられてお
り、かつ両側にころがり軸受け20aを有している。揺動
体８から回転体18へ伝達された回転運動が、上記フリー
ホイール20を介して一回転方向で断続的にカム体21へ伝
達される。カム体21はフリーホイール20を取囲んでお
り、かつニードルころ軸受け22を介してローラ軸２上に
回転可能に支承されており、かつ安全リング23によつ
て、回転体18と共に軸方向では固定されている。カム体
21のカム軌道24は、例えば15mmの行程の正弦曲線として
形成されていてもよい。２つのカムローラ25がカム軌道
24上を運動し、カム軌道24の形状によつて軸方向の運動
を伝達していく。

両カムローラ25は軸受け体27のアーム26に固定されてお
り、軸受け体27が、ブシユ28を介してローラ軸２上に長
手方向移動可能に支承されている。玉軸受け29が軸受け
体27とローラ套壁４との間に配置されており、かつ軸受
け体27の往復運動をローラ套壁４へ伝達している。この
場合、分岐片30はローラ軸２に対して軸受け体27の回転
を阻止しているが、軸受け体27の長手方向移動は許して
いる。

転動面15が偏心的に形成されていることによつて、揺動
体８が行程約2mmの揺動運動を行う。その結果、揺動体
８から回転体18へ伝達される回転運動は極めて緩慢で振
動のないものとなる。カム軌道24が正弦曲線状に形成さ
れていることによつて、上記運動は回転体18からさらに
ローラ套壁４へ完全に振動なく伝達される。その結果、
ローラ套壁４は極めて緩やかな往復運動を行う。当然な
がら、転動面15の偏心率及びカム軌道24の行程は、あら
ゆる必要性に適合され得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明によるインキ練りローラの一実施例を示す
もので、 第１図はインキ練りローラの長手方向断面図、第２図は
第１図による線分２−２に沿つたインキ練りローラの横
断面図である。 １……インキ練りローラ、２……ローラ軸、３……軸受
け、４……ローラ套壁、5,6……支承担体、７……ニー
ドルころ軸受け、６……揺動体、９……支承ピン、100
……軸受け体、11……ニードルころ軸受け、12……玉軸
受け、13……ピン、14……偏心リング、15……転動面、
16……延長部、17……結合ピン、18……回転体、19……
ニードルころ軸受け、20……フリーホイール、20a……
ころがり軸受け、21……カム体、22……ニードルころ軸
受け、23……安全リング、24……カム軌道、25……カム
ローラ、26……アーム、27……軸受け体、28……ブシ
ユ、29……玉軸受け、30……分岐片

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸受けに回転不能に支承されたローラ軸
   と、このローラ軸に回転可能に支承されて軸方向に往復
   駆動されるローラ套壁と、回転するローラ套壁をこのよ
   うに軸方向に往復駆動させる、ローラ套壁内部の駆動手
   段とを備えた、印刷機械のインキ装置用インキ練りロー
   ラを駆動するための方法であって、ローラ套壁（４）を
   軸方向に往復運動させるために、ローラ軸（２）に対し
   て偏心的にローラ套壁（４）に形成されかつローラ套壁
   （４）と共に回転する転動面（15）から、ローラ軸
   （２）に支承された揺動体（８）へ、ローラの長手方向
   軸線に対して横方向の揺動運動を伝達し、この揺動運動
   を回転運動としてフリーホイール（20）へさらに伝達
   し、フリーホイール（20）によってカムを駆動し、この
   カムによって、回転運動するローラ套壁（４）を単位時
   間当りの運動回数が少ないように軸方向に往復運動させ
   ることを特徴とする、印刷機械のインキ装置用インキ練
   りローラを駆動するための方法。
2. 【請求項２】請求項１記載の方法を実施するための装置
   であって、揺動体（８）が支承ピン（９）に揺動可能に
   支承されており、支承ピン（９）が、ローラ軸（２）に
   回転不能に固定された軸受け体（10）内に配置されてお
   り、揺動体（８）が、直径方向に対向して位置する２つ
   の玉軸受け（12）を支持しており、両玉軸受け（12）の
   軸線がローラ軸（２）に対して平行に延びており、両玉
   軸受け（12）が転動面（15）に接しており、転動面（1
   5）が、ローラ軸（２）に対して偏心的にローラ套壁
   （４）に形成されており、かつローラ套壁（４）と共に
   回転させられており、揺動運動が上記玉軸受け（12）に
   よって、転動面（15）から揺動体（８）へ伝達されてお
   り、さらにこの揺動運動が揺動体（８）から結合ピン
   （17）を介して、ローラ軸（２）に回転可能に支承され
   た回転体（18）へ伝達されており、回転体（18）がフリ
   ーホイール（20）と協働しており、ローラ軸（２）に回
   転不能に支承されたカム体（21）が、回転体（８）の、
   一回転方向に生じる断続的な回転運動によって駆動され
   ており、カムローラ（25）がカム体（21）内に配置され
   ており、カム軌道（24）の行程がカムローラ（25）によ
   って、軸受け体（27）及び玉軸受け（29）を介してロー
   ラ套壁（４）に伝達されることを特徴とする、印刷機械
   のインキ装置用インキ練りローラを駆動するための装
   置。