JPH0749238B2 - マーキングシートの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明はマーキングシートの製造方法に関し、更に詳し
くは看板基体表面に接着して商号等を表示するマーキン
グシートの製造方法に関する。

＜従来技術＞ 街頭に設けられる看板は、従来、看板基体にペンキ等を
用いて商号や業務を記載し、ビルの２階等の外壁に取り
つけるのが、通常であった。

しかしながら、ペンキ等を用いて記載した場合には剥落
が生じたり、古くなった場合等、表示を改めたい場合に
極めて取扱いが不便であった。

そこで、近年、耐候性や強度に優れた編織布を内蔵した
プラスチックシートに、表示したい内容そのものの形状
（例えば文字の形状）をした着色シートを貼り合わせて
マーキングシートとし、このマーキングシートの上記看
板基体に貼り合わせて看板を構成する方法が提案され、
実施されている。表示を改める場合には、このマーキン
グシートを看板基体から剥離して新たにマーキングシー
トを貼り合せるのである。

＜発明が解決しようとする課題＞ ところで、編織布を内蔵したプラスチックシートは、そ
の表面に編織布の凹凸が存在することから両者の間に空
気が残留しやすく、またシートそれ自体の厚みさ弾性の
ため、端部から剥離し易いという問題を有していた。

＜課題を解決するための手段＞ この課題を解決するため、本発明は、剥離性シート上に
接着性絵柄層を形成して成る転写シートと、編織布を内
蔵したプラスチックシートを減圧下に重ねて上記接着性
絵柄層を転写することを特徴とすするマーキングシート
の製造方法を提供する。

＜実施例＞ 本発明に係わる転写シート（１）は剥離性シート（11）
と接着性絵柄層（12）とから成る。

剥離性シート（11）は接着性絵柄（12）を剥離容易に支
持するもので、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィ
ルム、ポリエステルフィルム、あるいは紙等の支持体上
にポリプロピレン樹脂やシリコーン樹脂層を積層したシ
ート等が使用できる。

接着性絵柄層（12）は看板の表示を構成するもので例え
ば文字等の形状に形成する。

接着性絵柄層（12）は、熱接着性樹脂バインダーと着色
剤を混合したインキから成る単一のインキ層から成って
いても良いが、機能に合わせた多層構造から成るものが
好ましい。すなわち、第１図に示すように、剥離性シー
ト（11）側から、保護層（12a）、着色層（12b）、接着
層（12c）を積層した構造である。

保護層（12a）は剥離性シート（11）から剥離すると共
に、転写後、風雨等から着側層（12b）を保護するもの
で、耐候性の優れた透明樹脂から成ることが望ましい。
例えば、アクリル樹脂、あるいはポリ塩化ビニルとアク
リル樹脂の混合物、アクリル樹脂と変性アクリル樹脂等
である。

着色層（12b）は接着性絵柄層（12）を可視化するもの
で、着色剤を含むインキが望ましい。インキのバインダ
ーとしては、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル（可塑剤を
含む）等が使用できる。

接着層（12c）は着色層（12b）を強固に被転写体に密集
するもので、熱により溶融軟化して接着力を発揮する樹
脂が望ましい。例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、特殊塩ビ、セルロース樹脂である。

接着性絵柄層（12）は、各層（12a）（12b）（12c）を
所定の形状に印刷しても良いが、全面ベタに印刷積層し
た後、刃物やレーザーを用いて接着性絵柄層（12）を切
り抜き、不要部分の除去する方が簡便であり、小ロット
の要望に対応し易い。

被複写体は、編織布を内蔵したプラスチックシート
（２）である。

編織布（21）は、プラスチックシート（２）の強度を向
上するためのもので、ポリアミドヤーン（ナイロン）、
ポリエステルヤーン等の強度の大きい繊維を編んだネッ
ト又は織物が望ましい。

編織布（21）を内蔵したプラスチックシート（21）を製
造するには、この編織布の両面にプラスチックシート
（22）を載置し、熱圧してこの編織布（21）の内部まで
プラスチックシート（22）を浸透させることにより可能
である。プラスチックシート（22）としては、軟質のポ
リ塩化ビニルシートが使用できる。この際、編織布（2
1）により凹凸がプラスチックシート（２）表面に現れ
る。

転写は、転写シート（１）と編織布を内蔵したプラスチ
ックシート（２）から成る被転写体を減圧下で重ね、加
熱加圧することにより行うことができる。

減圧は、転写シート（１）と被転写体の間の空気が除去
されれば十分であり、両者の密着を強固にするが、転写
装置全体を減圧室内に設置しても良い。減圧は、圧力50
torr以下であれば良いが、20torr以下であることが望ま
しい。接着性絵柄層（12）と被転写体が密着して、被転
写体表面の凹凸の凹部と接着性絵柄層（12）の間に空気
が残存しないからである。

転写後、剥離性シート（11）のみを剥離除去する。

第３図は、転写方法を説明するための説明図である。装
置全体は20torr以下の減圧室内に設けられている。

第３図において、まず、編織布を内蔵するプラスチック
シート（２）は巻取りから引出され、バックシート
（３）を介して予熱ロール（４）上重ね、次いで転写シ
ート（１）を介してプラスチックシート（２）、バック
シート（３）の順に加熱ロール（５）上に重ねて、転写
される。バックシート（３）は、転写シート（１）の余
白の部分に残存する接着性絵柄層（12）を接着して、ロ
ール等の汚染を防止するためである。次いで、剥離性シ
ート（11）、転写されたプラスチックシート（２）、バ
ックシート（３）をそれぞれ剥離して別個に巻き取る。

なお、第３図は転写シート（１）もプラスチックシート
（２）も長尺のものである場合の例であり、枚葉状の場
合には、基盤上に両者を重ねて加熱すれば良い。加熱は
熱盤や赤外線で可能である。

＜試験例１＞ 紙にポリプロピレンを積層したシートを剥離性シートと
し、このポリプロピレン面に、ポリ塩化ビニルとアクリ
ル樹脂の混合物を保護層として全面に塗布し、次いでポ
リ塩化ビニルとアクリル樹脂をバインダーとする黒色イ
ンキを全面に６回繰り返して塗布し、更にアクリル系接
着剤を全面に塗布した。なお、保護層、着色層、接着層
はいずれもグラビア印刷機により塗布した。次いでカッ
ティング機で保護層、着色層、接着層を文字型に切断
し、不要部分を除去して転写シートとした。

ポリエステルヤーンのネットの両側に軟質ポリ塩化ビニ
ルシートを重ね、熱圧して全体を一体化して被転写体と
した。

10torrの減圧室内で、第３図に示すように転写シートと
被転写体を重ね、130℃、２分の条件で転写して剥離シ
ートを除去した。被転写体には、接着性絵柄層が密着
し、被転写体と接着性絵柄層の間に空気の残留もなく、
また、容易に剥がれ難いものであった。

＜試験例２＞ 紙の両面にポリエステルフィルムを張り合わせたシート
を剥離性シートとした。

この片面に、マイクログラビア印刷機を用いて、保護
層、着色層、接着層を順次全面に塗布した。

保護層はアクリル系の樹脂、着色層はポリ塩化ビニルと
アクリル樹脂をバインダーとする赤色インキ、接着層は
アクリルとポリ塩化ビニルの混合物である。

次いで、コンピュータカッティング機で文字型に保護
層、着色層、接着層を切り抜き、不要部分を除去して転
写シートとした。

被転写体は試験例１と同じものを使用した。

この両者を、10torrの減圧室内で、基台上に重ね、遠赤
外線で130℃、４分の条件で加熱し、常温まで冷却して
から剥離性シートを除去した。被転写体上には接着性絵
柄層が密着し、被転写体と接着性絵柄層の間に空気の残
留もなく、容易に剥がれ難かった。

＜効果＞ 以上のように、本発明によれば、編織布を内蔵するプラ
スチックシート表面に剥離し難く絵柄が形成でき、看板
用マーキングシートとして最適である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は転写シートの断
面図、第２図は編織布を内蔵したプラスチックシートの
断面図、第３図は転写方法を説明する説明図。 （１）……転写シート、（11）……剥離性シート （12）……接着性絵柄層、（12a）……保護層 （12b）……着色層、（12c）……接着層 （２）……編織布を内蔵したプラスチックシート （21）……編織布、（22）……プラスチックシート （３）……バックシート、（４）……予熱ロール （５）……加熱ロール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】剥離性シート上に接着性絵柄層を形成して
   成る転写シートと、編織布を内蔵したプラスチックシー
   トを減圧下に重ねて上記接着性絵柄層を転写することを
   特徴とするマーキングシートの製造方法。