JPH0748013Y2 - 田植機の植付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は左右に往復動させる苗載台と、その苗載台から
一株分の苗を取出して植付ける植付爪とを備え、連続的
に田植作業を行う田植機の植付装置に関する。

「従来の技術」 従来、特開昭60-66907号公報に示す如く、一方向に等速
回転させるロータリケースを備え、このロータリケース
の回転軸芯を中心に対称に１条分２本の植付爪を配設す
る技術が開発された。

「考案が解決しようとする課題」 前記従来技術は、植付け条数を変更するにはロータリケ
ースの取付数を増減させる必要があり、製造コストの低
減並びに加工組立または運搬など取扱い操作性の向上な
どを容易に図り得ない等の問題があった。

「課題を解決するための手段」 然るに、本考案は、一方向に等速回転させるロータリケ
ースを植付ケースに設けると共に、植付爪を爪ケースに
設け、該爪ケースをロータリケースに爪ケース軸を介し
て取付ける田植機の植付装置において、植付け条間と略
同長の爪ケース軸を設け、互いに着脱自在とされた爪ケ
ースと爪ケース軸を交互に複数連結させ略直線上に所望
数設置して偶数条または奇数条の多条植付ユニットを形
成したことを特徴とする。

「作用」 従って、植付け条間と略同長の爪ケース軸を用いて爪ケ
ース取付数を増減させることによって植付け条数を変更
するから、従来のようにロータリケース取付数を増減さ
せて植付け条数を変更する必要がなく、多条植付部構造
の簡略化並びに製造コストの低減などを容易に行い得る
と共に、２条以上の奇数または偶数条数分の植付爪に対
してロータリケースを共用して加工組立作業の簡略化並
びに運搬など取扱い操作性の向上を容易に図り得るもの
である。

「実施例」 以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述する。第１図
は植付部の平面図、第２図は乗用田植機の側面図、第３
図は同平面図を示し、図中（１）は作業者が搭乗する走
行車であり、エンジン（２）を搭載する車体フレーム
（３）後端をミッションケース（４）に連設させ、前記
ミッションケース（４）の前部両側にフロントアクスル
ケース（５）を介して水田走行用前輪（６）を支持させ
ると共に、前記ミッションケース（４）の後部両側に車
軸ケースである伝動ケース（７）を連設し、前記伝動ケ
ース（７）後端部に水田走行用後輪（７）を支持させ
る。そして前記エンジン（２）を覆うボンネット（９）
両側外方に予備苗載台（10）を取付けると共に、ステッ
プ（11）を形成する車体カバー（12）によって前記伝動
ケース（７）等を覆い、前記車体カバー（12）上部に運
転席（13）を取付け、其の運転席（13）の前方で前記ボ
ンネット（９）後部に操向ハンドル（14）を設ける。

更に図中（15）は多条植え用の苗載台（16）並びに複数
の植付爪（17）…などを具備する植付部であり、前高後
低の後傾式の苗載台（16）を案内レール（18）及びガイ
ドレール（19）を介して植付ケース（20）に左右往復摺
動自在に支持させると共に、第４図にも示す如く、一方
向に等速回転させるロータリケース（21）を前記植付ケ
ース（20）に、また前記ロータリケース（21）にこの回
転軸芯を中心に対称位置に爪ケース（22）（22）を配設
し、その爪ケース（22）に植付爪（17）を取付ける。ま
た前記植付ケース（20）の前側にセンターピン（23）を
介して支持フレーム（24）を設け、トップリンク（25）
及びロワーリンク（26）を含む三点リンク機構（27）を
介して走行車（１）後側に支持フレーム（24）を連結さ
せ、前記リンク機構（27）を介して植付部（15）を昇降
させる昇降シリンダ（28）を備え、上記前後輪（６）
（８）を走行駆動して略定速で移動すると同時に、左右
に往復摺動させる苗載台（16）から一株分の苗を植付爪
（17）によって取出し、連続的に田植え作業を行うよう
に構成する。

また、図中（29）は走行変速レバー、（30）は植付昇降
レバー、（31）は植付け感度調節レバー、（32）は走行
クラッチペダル、（33）（33）は左右ブレーキペダル、
（34）…は田面均平用フロートであり、植付深さ調節リ
ンク（35）などを介して植付ケース（20）下側に前記フ
ロート（34）…を支持している。

さらに第１図に示す如く、苗載台（16）下端に設ける苗
取出板（36）の苗取出口（37）に対し、爪ケース（22）
（22）を介してロータリケース（21）に設けた２本の植
付爪（17）（17）を交互に移動させ、ロータリケース
（21）の１回転で２本の植付爪（17）（17）により２株
の苗を植付けるように構成している。

次いで、第５図及び第６図に示す如く、前記植付ケース
（20）後端に植付爪駆動軸（38）を回転自在に軸支し、
その駆動軸（38）両端にロータリケース（21）（21）を
対称に固定させると共に、植付爪駆動チェン（39）を懸
架させるスプロケット（40）を駆動軸（38）中間に遊転
軸支し、ユニットクラッチ（42）を介して前記スプロケ
ット（40）を駆動軸（38）に連動連結している。

また前記植付爪駆動軸（38）にサンギヤ（46）を遊嵌さ
せ、位相調節レバー（47）を介して前記サンギヤ（46）
を植付ケース（20）に位相調節自在に固定させると共
に、前記サンギヤ（46）と同一歯数のアイドルギヤ（4
8）及びプラネタリギヤ（49）を備える。そして中間軸
（50）を介してアイドルギヤ（48）を、また爪ケース
（22）に固定した爪ケース軸（51）を介してプラネタリ
ギヤ（49）を、前記ロータリケース（21）内部に軸支さ
せると共に、前記各ギヤ（46）（48）（49）を前記各軸
（38）（50）（51）に偏心させて軸支し、またサンギヤ
（46）にアイドルギヤ（48）（48）を介してプラネタリ
ギヤ（49）（49）を常時噛合させるもので、植付ケース
（20）にサンギヤ（46）を固定支持し、植付爪駆動軸
（38）を介してロータリケース（21）を等速回転させ、
ロータリケース（21）両端の植付爪（17）（17）を交互
に苗載台（16）傾斜下端の苗取出口（37）に移動させる
と共に、前記ロータリケース（21）の回転と連動させて
前記各ギヤ（46）（48）（49）を介して爪ケース軸（5
1）を不等速回転させ、苗載台（16）の苗切取り後から
図面に至る間でロータリケース（21）の回転よりも爪ケ
ース軸（51）の回転を遅くし、田面に苗植付け後から苗
取出口（37）に至る間でロータリケース（21）の回転よ
りも爪ケース軸（51）の回転を早くし、苗取出口（37）
付近並びに田面植付部付近でロータリケース（21）の回
転と爪ケース軸（51）の回転を略等しくし、植付爪（1
7）の植付軌跡で形成する側面視円形内部にロータリケ
ース（21）中心の駆動軸（38）が位置するように構成し
ている。

また前記ロータリケース（21）の位置調節レバー（52）
を介してカム軸（53）の一端を回転調節自在に固定し、
遊嵌される爪ケース軸（51）にカム軸（53）中間を貫通
させ、強制植付用押出爪（17a）に連結したプッシュロ
ッド（54）にプッシュアーム（55）を介して前記カム軸
（53）を連結させ、植付爪（17）が田面に突入したとき
にカム軸（53）及びプッシュアーム（55）を介してプッ
シュロッド（54）を進出させ、押出爪（17a）により植
付爪（17）に挾んだ苗を土中に押出すように構成してい
る。

さらに第１図に示す如く、前記ロータリケース（21）を
装設する植付ケース（20）を平面視門形に形成し、植付
爪入力チェン（56）を分岐ユニットクラッチ（57）（5
7）を介して植付爪入力軸（58）に連結させ、また植付
爪駆動チェン（39）を張架させるスプロケット（59）を
安全クラッチ（60）により前記入力軸（58）に連結させ
ると共に、複数のユニットクラッチ（42）（42）（57）
（57）により駆動及び停止操作する８条分の植付爪（1
7）…をロータリケース（21）…を介して植付ケース（2
0）延長後部の左右及び中央に配設し、各２条分の左右
ユニット（61）（62）と４条分の中央ユニット（63）と
を構成している。また前記植付ケース（20）は左右に１
条幅だけ伸縮可能に補助ケース（20a）を備えると共
に、入力軸（58）を１条幅だけ伸縮可能に補助シャフト
（58a）と軸継手（58b）（58b）により連結している。
なお、３条の中央ユニット（63）を製造する場合、補助
ケース（20a）及び補助シャフト（58a）を省いて植付ケ
ース（20）を３条用の幅に形成すると共に、１条分の爪
ケース（22）と爪ケース軸（51）も省き、後述する第８
図のように中央ユニット（63）を３条の構成に組立て
る。そして前記の１条分の爪ケース軸（51）を省いたと
き、前記カム軸（53）も３条用の短いものを用いるもの
で、第６図からも明らかなように、ロータリケース（2
1）とカム軸（53）をボルト止め固定させ、爪ケース（2
2）と爪ケース軸（51）をボルト止め固定させるもので
あるから、製造時、組立作業前に中央ユニット（63）を
４条にするか３条にするかいずれかの構造を選択して前
記ケース（21）（22）及び軸（51）（53）を組付けるこ
とができる。

なお、一枚の苗載台（16）を設けて多条植え作業を行う
構造であり、多条植え用の複数組の植付爪（17）…及び
爪ケース（22）…はいずれも同一構造及び形状に構成す
ると共に、植付け条数が異なることにより、苗載台の大
きさ並びにフロート取付け数が相違するから、植付け条
数の設定は、メーカの工場で製品として組立てるときだ
け行われるものであり、植付け条数の異なる機種に対
し、共通部品を多く使用することにより、工場における
コスト低下及び加工組立性向上を図るものである。

そして前記植付ケース（20）の左右外側方に左右植付フ
レーム（64）（64）を延設させ、植付ケース（20）両外
側に配置させたロータリケース（21）（21）に軸受ケー
ス（65）（65）を対設させ、その軸受ケース（65）中間
を支軸（66）により植付フレーム（64）に支持させると
共に、ロータリケース（21）と軸受ケース（65）間に爪
ケース軸（51）を架設し、同一爪ケース軸（51）芯上に
２個の爪ケース（22）（22）を設け、多連型に複数の植
付爪（17）…を並設し、１個のロータリケース（21）に
対し２本１組の２条分４本の植付爪（17）…を取付け、
前記の左右ユニット（61）（62）を構成する一方、前記
植付ケース（20）の後方延長端内側にロータリケース
（21）（21）を対設させ、各ケース（21）（21）間で同
一爪ケース軸（51）芯上に４個の爪ケース（22）…を等
間隔に設け、２本１組の４条分８本の植付爪（17）…を
多連型に取付け、前記の中央ユニット（63）を構成して
いる。

また第６図のように、前記ユニットクラッチ（42）は左
右に分割した植付爪駆動軸（38）（38）にスプライン
（67）（67）嵌合していると共に、そのユニットクラッ
チ（42）にスプロケット（40）をスプライン（68）嵌合
させ、また前記ユニットクラッチ（42）のクラッチ切換
アーム（69）を係合連結させ、左右の駆動軸（38）（3
8）に対し左右同時に又は左右いずれか一方だけに３者
択一的にユニットクラッチ（42）を係合連結させる。

また第７図のように、前記植付爪入力チェン（56）をス
プロケット（70）に張架させ、そのスプロケット（70）
を遊転軸（71）に固定すると共に、前記植付爪入力軸
（58）と遊転軸（71）とに分岐ユニットクラッチ（57）
をスプライン（72）（73）嵌合させ、また前記クラッチ
（57）を左右の入力軸（58）（58）に対称に設け、前記
の各クラッチ（57）（57）にクラッチ切換アーム（74）
（74）を夫々係合連結させ、左右の入力軸（58）（58）
に対し左右同時に又は左右いずれか一方だけ切換又は継
続可能に各軸（58）（71）間にユニットクラッチ（57）
を連結させる。

上記の構成から明らかなように、植付爪駆動軸（38）に
よりこれを中心に機体前後方向にロータリケース（21）
を一方向に連続して等速回転させることにより、各ギヤ
（46）（48）（49）を介して爪ケース軸（51）が不等速
回転し、苗取出口（37）の手前で植付爪（17）を苗切取
り姿勢に、また田面に突入状態で植付爪（17）を植付け
姿勢に夫々移行させ、ロータリケース（21）の半回転で
１株の苗を植付けるもので、畦際での田植時、畦際に一
行程分の未植地を残すように、クラッチ切換アーム（6
9）（74）操作により、植付部（15）一側の左ユニット
（61）又は右ユニット（62）を停止させ、６条田植作業
を行う一方、中央ユニット（63）も停止させることによ
り２条田植作業を行えると共に、中央ユニット（63）だ
けを駆動して４条田植作業を行え、また過負荷により安
全クラッチ（60）が切れて左又は右ユニット（61）（6
2）並びに全てのユニット（61）（62）（63）を停止さ
せ、植付爪（17）などの損傷を防ぐものである。

また第８図のように、補助ケース（20a）及び補助軸（5
8a）を取外して植付ケース（20）の左右幅を１条分縮小
すると共に、左右及び中央のユニット（61）（62）（6
3）から１条分の植付爪（17）（17）及び爪ケース（2
2）（22）を取外すことにより、入力軸（58）を短尺に
するだけで５条植え用植付爪（17）…配置構造が得られ
るもので、著しく設計変更することなく５条以上の植付
爪（17）配置を任意に構成し得、構成部品を共用して植
付爪（17）の取付数を変更した植付部（15）を構成でき
るものである。

上記の第１図、第６図、第８図などの記載から明らかな
ように、一方向に等速回転させるロータリケース（21）
を植付ケース（20）に設けると共に、植付爪（17）を爪
ケース（22）に設け、該爪ケース（22）をロータリケー
ス（21）に爪ケース軸（51）を介して取付ける田植機の
植付装置において、植付け条間と略同長の爪ケース軸
（51）を設け、互いに着脱自在とされた爪ケース（22）
と爪ケース軸（51）を交互に複数連結させ略直線上に所
望数設置して偶数条または奇数条の多条植付ユニットで
ある中央ユニット（63）を形成するもので、第１図の４
条中央ユニット（63）または第８図の３条中央ユニット
（63）を製造する場合、第６図からも明らかなように、
４条または３条用のカム軸（53）と、条間長さの爪ケー
ス軸（51）を用い、爪ケース軸（51）にカム軸（53）を
挿入させ、爪ケース軸（51）端部にカム軸（53）をベア
リング軸受する。また爪ケース軸（51）端部に爪ケース
（22）一側面をボルト止め固定させ、カム軸（53）にカ
ムを挿通させて爪ケース（22）に内設させ、キー嵌合に
よって位置合せしたカムをカム軸（53）に溶接させる。
さらに爪ケース（22）他側に突出したカム軸（53）に別
の爪ケース軸（51）を挿通させてベアリング軸受させ、
該爪ケース軸（51）を爪ケース（22）他側面にボルト止
め固定させる。このように、カム軸（53）上に、複数の
爪ケース（22）…と爪ケース軸（51）を交互に連結さ
せ、４条または３条分の植付爪（17）を配設させる。

「考案の効果」 以上実施例から明らかなように本考案は、一方向に等速
回転させるロータリケース（21）を植付ケース（20）に
設けると共に、植付爪（17）を爪ケース（22）に設け、
該爪ケース（22）をロータリケース（21）に爪ケース軸
（51）を介して取付ける田植機の植付装置において、植
付け条間と略同長の爪ケース軸（51）を設け、互いに着
脱自在とされた爪ケース（22）と爪ケース軸（51）を交
互に複数連結させ略直線上に所望数設置して偶数条また
は奇数条の多条植付ユニット（63）を形成したもので、
植付け条間と略同長の爪ケース軸（51）を用いて爪ケー
ス（22）取付数を増減させることによって植付け条数を
変更するから、従来のようにロータリケース（21）取付
数を増減させて植付け条数を変更する必要がなく、多条
植付部（15）構造の簡略化並びに製造コストの低減など
を容易に行うことができると共に、２条以上の奇数また
は偶数条数分の植付爪（17）に対してロータリケース
（21）を共用して加工組立作業の簡略化並びに運搬など
取扱い操作性の向上を容易に図ることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す植付部の平面図、第２
図は全体の側面図、第３図は同平面図、第４図は植付部
の側面図、第５図は同部分側面図、第６図は断面平面
図、第７図は部分正面図、第８図は植付条数を減少した
植付部の平面図である。 （17）…植付爪 （20）…植付ケース （21）…ロータリケース （22）…爪ケース （51）…爪ケース軸 （63）…中央ユニット（多条植付ユニット）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一方向に等速回転させるロータリケース
   （21）を植付ケース（20）に設けると共に、植付爪（1
   7）を爪ケース（22）に設け、該爪ケース（22）をロー
   タリケース（21）に爪ケース軸（51）を介して取付ける
   田植機の植付装置において、植付け条間と略同長の爪ケ
   ース軸（51）を設け、互いに着脱自在とされた爪ケース
   （22）と爪ケース軸（51）を交互に複数連結させ略直線
   上に所望数設置して偶数条または奇数条の多条植付ユニ
   ット（63）を形成したことを特徴とする田植機の植付装
   置。