JPH0747508Y2

JPH0747508Y2 - コンクリートセグメントの継手部におけるボルト結合用凹所の閉塞構造

Info

Publication number: JPH0747508Y2
Application number: JP14947489U
Authority: JP
Inventors: 洋樹染谷; 康郎岡
Original assignee: 石川島建材工業株式会社
Priority date: 1989-12-26
Filing date: 1989-12-26
Publication date: 1995-11-01
Anticipated expiration: 2004-12-26
Also published as: JPH0389796U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」本考案は、たとえばシールド工法によってトンネルを構
築する際に掘削穴の内周面に相互にボルト結合によって
連結されるコンクリートセグメント等の、相互の継手部
近傍に設けられたボルト結合用凹所を閉塞する構造に関
するものである。

「従来の技術」鉄道用トンネル等のトンネルを構築するためのシールド
工法は、シールド機によって地山を掘削した断面略円形
の周壁に、多数の円弧版状セグメントを周方向に組み付
けて互いに連結し、その周壁を覆工してこれを一次覆工
とし、さらにその内面にコンクリートによる二次巻き等
を行って二次覆工を施すものである。

前記セグメントはRC（鉄筋コンクリート）製あるいはス
チール製等があるが、第４図および第５図は従来用いら
れている一般的なRC製のセグメントを示している。

このセグメント１は、円弧版状のセグメント本体1Aの軸
方向および周方向に沿ったそれぞれの接合端面1a、1bの
近傍である継手部2A、2Bの内面に、等間隔にボルト結合
用凹所（以下単に凹所と略称）３が複数設けられ、これ
ら凹所３と各接合端面1a、1b間にわたってボルト挿通孔
４があけられ、さらに、このボルト挿通孔４の内部方向
の延長上に凹所３に臨むボルト逃げ穴５が形成されてい
る。

そして、接合端面1aどうし、1bどうしを合わせると同時
にボルト挿通孔４どうしを一致させ、丸棒状のボルト６
を、一方のセグメント１の凹所３より、一旦ボルト逃げ
穴５に挿入してから、双方のセグメント１の凹所３の接
合端面1a（1b）側の内面に当てた支圧板７および一致し
たボルト挿通孔４に貫通させ、次いで、ボルト６両端の
ねじ部にナット８をそれぞれ捩込んで締結することによ
り、セグメント１どうしの連結を行うようになってい
る。

ところで、シールド工法は、一次覆工の後にコンクリー
トによる二次巻き等を行って二次覆工を施すと前述した
が、近来では、耐食性が良好なRCセグメントの出現や、
経済性の向上等を鑑みて、特に二次覆工を施すことなく
一次覆工のみでトンネル周壁の覆工構造とすることが望
まれてきている。

このように一次覆工のみとする場合、第４図および第５
図に示したセグメント１においては、種々のトンネル内
空間の利用や、ボルト６、支圧板７およびナット８の防
錆、さらにはコンクリートセグメント１自体の強度の向
上を目的として、凹所３の内部（ボルト逃げ穴５を含
む）をモルタル等の充填材で埋め、その表面をセグメン
ト本体1Aの内面1Bと面一とすることが行われる。そし
て、凹所３の内部にモルタル等の充填材を埋めるにあた
って、現在では、板等で凹所３を塞いだ後、この板にあ
けた注入口から充填剤を注入・充填し、硬化後に板を除
去するといった方法が考えられている。

「考案が解決しようとする課題」ところが、このような方法は煩雑であり、特に、トンネ
ルの水平直径よりも上に位置して下方に開口する凹所３
の内部に充填材を埋める場合には、作業員が上向きの姿
勢となり、かつ充填材は流動性があるから、きわめてや
りずらいといった不具合が想定される。また、長期間経
過した後、充填材が凹所から落下するおそれも懸念され
る。

「課題を解決するための手段」本考案は上記課題を解決するためになされたものであっ
て、ボルト結合用凹所の開口周縁に、コンクリートセグ
メント内面に沿って前記凹所の内側に延びる係止部を設
けるとともに、この係止部に、一旦前記凹所内に挿入し
た閉塞蓋の周縁部を載置することにより閉塞蓋を係止
し、その係止状態で、閉塞蓋の表面を前記内面と略面一
として前記凹所の開口を閉塞することを特徴としてい
る。

「作用」本考案のコンクリートセグメントの継手部におけるボル
ト結合用凹所の閉塞構造によれば、閉塞蓋を一旦凹所内
に挿入した後、この閉塞蓋の周縁部を係止部に載置して
係止するだけで、閉塞蓋の表面とコンクリートセグメン
トの内面は面一になるから、容易にかつ短時間で凹所を
コンクリートセグメントの内面に沿って平坦に閉塞する
ことができ、また、従来のように充填材が凹所から落下
するおそれがない。

「実施例」以下、本考案の一実施例を第１図ないし第３図を参照し
て説明する。図中第４図および第５図と同一構成要素に
は同一符号を付しその説明を省略する。

第１図および第２図に示すように、セグメント本体1Aに
形成された凹所３における開口の四辺からなる周縁のう
ち、接合端面1a（1b）側の周縁、およびこれに対向する
側の周縁には、これら周縁に沿った長方形状の浅い座10
が形成されており。これら２つの座10には、座10の深さ
と同じ厚さを有し、その長さが座10のそれと同じく、そ
の幅が座10のそれよりもやや大きい係止板11がそれぞれ
固着されている。これら係止板11は、その表面がセグメ
ント本体1Aの内面1Bに沿っており、その幅が座10の幅よ
りもやや大きいことから、セグメント本体1Aの内面1Bに
沿って凹所３の内側にとび出て延びる部分があり、ここ
が係止部11aとなっている。

図中12は閉塞蓋であり、この閉塞蓋12は、凹所３の開口
周縁に沿ったテーパ状の周縁を有する平面視正方形状の
もので、面積が大きい側の面が表面12aとされている。
この表面12aの対向する一対の周縁には、前記各係止板1
1の係止部11aに嵌まる切欠き13が形成され、この切欠き
13によって、裏面12b側には鍔（周縁部）14が形成され
ている。

そして、この閉塞蓋12は、両端の鍔14が各係止板11の係
止部11aに載置されることにより係止されており、その
係止状態で、表面12aがセグメント本体1Aの内面1Bと略
面一となっている。これによって、凹所３の開口はセグ
メント本体1Aの内面1Bに沿って平坦に閉塞されている。

なお、閉塞蓋12の中央には充填材注入口15が穿設されて
おり、ここから凹所３およびボルト逃げ穴５の内部に充
填材15が充填され、さらに充填材注入口15は、プラグ17
によって閉塞蓋12の表面12aと面一に閉塞されている。

上記のようにして凹所３を閉塞するには、第３図に示す
ように、まず、あらかじめセグメント１を成形する段階
で凹所３の開口周縁に座10を形成するとともにこの座10
に係止板11を固着しておく。

次いで、ボルト６、支圧板７およびナット８によってセ
グメント１どうしを連結した後、閉塞蓋12を、前記係止
板11に鍔14が重なる姿勢から、一方の鍔14が形成された
側より凹所３の内部に斜めに挿入し、他方の鍔14が凹所
３の内部に入ったら、この鍔14を一方の係止板11の係止
部11aに引っ掛け、次に閉塞蓋11を下ろしていって先に
凹所３の内部に挿入した側の鍔14を他方の係止板11の係
止部11aに載せる。

これによって、閉塞蓋12は両方の鍔14が各係止板11の係
止部11aに載置されることにより係止され、閉塞蓋12の
表面12aはセグメント本体1Aの内面1Bと面一となる。す
なわち、凹所３は閉塞蓋12によりセグメント本体1Aの内
面1Bに沿って平坦に閉塞される。

このように閉塞蓋12がセットされたら、充填材15から充
填材16を注入・充填して凹所３およびボルト逃げ穴５の
内部を充填材16によって埋め、次いでプラグ17を充填材
注入口15に埋め込む。

なお、閉塞蓋12を上記のようにセットする際、必要に応
じて閉塞蓋12とセグメント本体1Aとが接触する面にモル
タルあるいは接着剤等を塗布しておく。また、充填材16
は速硬性のものが好ましい。

本実施例の凹所３を閉塞する構造によれば、閉塞蓋12を
一旦凹所３内に挿入した後、閉塞蓋12の鍔14を係止板11
の係止部11aに載置して係止するといったきわめて簡単
かつ短い作業時間で凹所３をセグメント本体1Aの内面1B
に沿って平坦に閉塞することができる。また、この閉塞
蓋12は、鍔14が係止部11aに係止されていて外れないか
ら、凹所３の内部に充填材16を注入・充填する作業も煩
雑さから解放され、しかも長期間経過した後でも、外れ
ない閉塞蓋12に阻止されて充填材16が凹所３から落下す
るおそれもない。

なお、上記実施例のセグメント１はボルト逃げ穴５を有
しているが、その必要がないセグメントにも本考案は適
用可能である。

「考案の効果」本考案のコンクリートセグメントの継手部におけるボル
ト結合用凹所の閉塞構造によれば、下方に開口するボル
ト結合用凹所の開口周縁に、コンクリートセグメント内
面に沿って前記凹所の内側に延びる係止部を設けるとと
もに、この係止部に、一旦前記凹所内に挿入した閉塞蓋
の周縁部を載置することにより閉塞蓋を係止し、その係
止状態で、閉塞蓋の表面を前記内面と略面一として前記
凹所の開口を閉塞することを特徴とするもので、閉塞蓋
を一旦凹所内に挿入した後、この閉塞蓋の周縁部を係止
部に載置して係止するだけで、閉塞蓋の表面はコンクリ
ートセグメントの内面と面一になり、したがって容易に
かつ短時間で凹所をコンクリートセグメントの内面に沿
って平坦に閉塞することができるとともに、従来のよう
に充填材が凹所から落下するおそれがないといった効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す図であっ
て、第１図はその断面図、第２図は第１図のII方向矢視
図、第３図は分解図、第４図はRC製セグメントの斜視
図、第５図は継手部の断面図である。１……セグメント、1B……セグメントの内面、2A、2B…
…継手部、３……ボルト結合用凹所、11a……係止部、1
2……閉塞蓋、12a……閉塞蓋の表面、14……鍔（閉塞蓋
の周縁部）。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】互いに連結されるコンクリートセグメント
の継手部の内面に設けられ下方に開口するボルト結合用
凹所を、前記内面に沿って略平坦に閉塞する構造であっ
て、前記凹所の開口周縁に、前記内面に沿って凹所の内側に
延びる係止部が設けられるとともに、この係止部に、一
旦前記凹所内に挿入された閉塞蓋の周縁部が載置される
ことによりこの閉塞蓋が係止され、その係止状態で、閉
塞蓋の表面が前記内面と略面一となって前記凹所の開口
が閉塞されてなることを特徴とするコンクリートセグメ
ントの継手部におけるボルト結合用凹所の閉塞構造。