JPH0746968B2 - 液状油脂組成物 - Google Patents

液状油脂組成物

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JPH0746968B2
JPH0746968B2 JP62178100A JP17810087A JPH0746968B2 JP H0746968 B2 JPH0746968 B2 JP H0746968B2 JP 62178100 A JP62178100 A JP 62178100A JP 17810087 A JP17810087 A JP 17810087A JP H0746968 B2 JPH0746968 B2 JP H0746968B2
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拓次 安川
大介 保村
公子 山澤
幸隆 田中
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は低温下でも低粘度、均一性を維持することので
きるスプレー用に適した液状油脂組成物に関する。
〔従来の技術及びその問題点〕
本発明の液状油脂組成物の重要な用途の1つであるスプ
レー用油脂は、油脂を細かい粒子あるいは液滴として噴
霧することにより、均一な表面塗布をワンタッチで行う
ことを目的とするもので、業務用では製菓、製パン用離
型油、家庭用では焼物、いため物料理用としてエアゾー
ル型、あるいはポンプ式スプレー油などが使用されてい
る。
またこれらの用途に用いる場合は、離型性やスパッタリ
ング防止の目的で油脂にレシチンを添加することが通常
行われる。
従来、スプレー油に用いる液状の油脂としては大豆油、
ナタネ油、サフラワー油、コーン油等のいわゆるサラダ
油に相当する物が使用されてきた。これらの液状油は10
℃以下の温度でも油脂が結晶化することなく均一な液状
状態にあるためスプレーノズルの詰まりが無く、連続作
業が可能と考えられていた。しかしながら実際にこれら
の油脂をスプレー用油脂として使用する場合、低温使
用、あるいは長期保存により以下の及びに示す問題
が発生する。
油脂の粘性が高く、特に10℃以下の低温下では70cp以
上の高粘度となり、スプレー性がきわめて不良で均一な
表面塗布ができなくなる。
の問題点を解決する、すなわち油脂の粘性低下の目
的でエチルアルコールなどの減粘剤を添加する(特開昭
54−132252、特開昭54−45310号公報)際に、これらの
溶解度が低く(常温で10重量%未満)、低温下でも良好
なスプレー性を得るに十分な量の減粘剤(エチルアルコ
ール)を均一に溶解し得ない。
上記欠点を改良する目的でこれらの液状油に炭素数6〜
10の中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下MCTと略)を添加
する、あるいはこれらの液状油とMCTとのエステル交換
生成物を用いることが提案されているが(特開昭56−72
651号公報)、前者は加熱焼成過程で著しい発煙を生ず
るという別の欠点が発生し、また後者は前者の発煙に関
する欠点は改良されるものの、目的のスプレー用油脂を
得るのにきわめて煩雑な工程を有するばかりか、得られ
た油脂を食した際に、口腔中に存在するリパーゼにより
中鎖脂肪酸グリセリンエステルが容易に加水分解を受
け、遊離した中鎖脂肪酸によって不快な石鹸臭が生ずる
という風味上の欠点を有するものであった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは天然液状油脂では得られない特性、すなわ
ち10℃以下の低温下でも40cp以下の低粘度を有し、従っ
て例えばスプレー油脂に用いた際のスプレー性が良好で
あり、また長期保存によっても均一性を失なうことがな
く(2層分離、白濁、沈澱等を生じない)、なおかつ加
熱時の発煙、風味上の欠点等の無い液状油脂組成物を得
るべく鋭意検討を行なった。その結果、食用に適する天
然油脂に後述する種々の処理を施すことにより全油脂量
中のジクリセライドの量を増加させたところ、減粘剤と
してのエチルアルコールの溶解性が著しく増大するこ
と、さらに全油脂量中のトリグリセライド、ジグリセラ
イド、モノグリセライドを特定範囲内に規定することに
より、加熱焼成時の発煙は通常のサラダ油等と同等で、
なおかつ風味も良好な液状油脂組成物が得られることを
見い出し本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、 (A)モノグリセライド0〜10重量%、ジクリセライド
10〜65重量%、残余トリグリセライドから成り、かつ各
構成グリセライドの脂肪酸残基の炭素数が8〜24である
グリセライド混合物50〜90重量%、及び (B)エチルアルコール10〜50重量% を含有することを特徴とする液状油脂組成物を提供する
ものである。
本発明に用いる成分(A)のグリセライド混合物とは、
モノグリセライド0〜10重量%、ジグリセライド10〜65
重量%、残余トリグリセライドから成るグリセライド混
合物であって、各構成グリセライドの脂肪酸残基の炭素
数が8〜24のものをいう。
ジグリセライドの含有量はグリセライド混合物中で10〜
65重量%であり、ジクリセライドの量が10重量%より少
ない場合はエチルアルコールの溶解性において十分な性
能が得られず、65重量%よりジグリセライド量が多くな
ると加熱時に発煙を生ずるといった欠点を生ずる。モノ
グリセライドはジグリセライド同様エチルアルコール溶
解性増大に著しい効果をもたらすが、ジグリセライドと
違って油相成分中の含有量が少量でも(10重量%を越え
ると)加熱時に著しい発煙を生ずるようになる。したが
ってモノグリセライドの油相成分中の含有量は10重量%
以下に抑える必要がある。
本発明のグリセライド混合物の構成脂肪酸残基の炭素数
は8〜24である。特に炭素数16〜22の不飽和脂肪酸の含
量が高く、10℃で液状のグリセライドが風味、低粘度を
保つ上で好ましい。このためにはナタネ油、コーン油、
大豆油等の不飽和脂肪酸含量の高い油脂を出発原料とす
るのが好ましい。
本発明に用いるグリセライド混合物は不飽和脂肪酸残基
のレベルが高い油脂、例えばサフラワー油、オリーブ
油、綿実油、ナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、
米油、ひまわり油、ごま油、更に、ラード、牛脂、魚
油、バター脂、あるいはそれらの分別油、ランダム化
油、硬化油、エステル交換油から選ばれた1種または2
種以上の油脂とグリセリンの混合物をエステル交換反応
するか、又はこれら油脂由来の不飽和脂肪酸レベルの高
い脂肪酸組成物とグリセリンの混合物をエステル化反応
することにより得られる。
生成グリセライド混合物中に形成された過剰モノグリセ
ライドは分子蒸留法またはクロマトグラフィ法によって
除去することができる。前述した如くモノグリセライド
の多量混在は本発明油脂組成物の加熱時の発煙原因にな
るだけでなく、保存安定性、風味の悪化にもつながる。
このようにして得られたグリセライド混合物のトリグリ
セライド、ジグリセライド含量、及びモノグリセライド
含量が本発明の規定範囲内にある場合はそのまま、ある
いは範囲内を外れない程度で天然食用油脂を混合して本
発明油脂組成物の油相部として用いることができる。本
発明の規定範囲からはずれる場合(例えばジグリセライ
ドが65重量%を越える場合)には範囲内に入るように天
然食用油脂を混合して使用できる。この際、用いる天然
食用油脂としては不飽和脂肪酸残基のレベルが高い油
脂、例えばサフラワー油、オリーブ部、綿実油、ナタネ
油、コーン油、大豆油、パーム油、米油、ひまわり油、
ごま油、更に、ラード、牛脂、魚油、バター油、あるい
はそれらの分別油、ランダム化油、硬化油、エステル交
換油から選ばれた1種または2種以上の油脂が適当であ
る。
グリセライド混合物中のジクリセライド含量を高くする
別の方法として天然食用油脂の分別油の利用があげられ
る。この方法は前述の天然油脂の内、比較的飽和脂肪酸
含有量の高い油脂に好適で、分別により低融点画分を分
取することにより、冷却耐性が向上すると同時に、該油
脂中のジグリセライド含量を増大させ本発明に用いるこ
とが可能となる。
このようにして得られたグリセライド混合物とエチルア
ルコールを混合、均一化することにより本発明の液状油
脂組成物が得られる。
エチルアルコールの添加量を変えることにより、得られ
る油脂組成物の粘度が任意に調節可能となる。エチルア
ルコールが10重量%未満であると粘度が高すぎ、50重量
%を越えると十分な性能が得られない。
本発明油脂組成物中に全油脂量を基準にして0.1〜10重
量%、好ましくは0.2〜5重量%のリン脂質を添加、溶
解することにより、離型性、スパッタリング防止効果が
高く、なおかつ保存安定性が良好な油脂組成物が得られ
る。
ここでリン脂質とはフォスファチジルコリン、フォスフ
ァチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールア
ミン、フォスファチジン酸等よりなるリン脂質あるいは
その混合物であって、大豆あるいは卵黄等から得られる
レシチンと称されるフォスファチジルコリンを主成分と
するリン脂質、又は(及び)それらを加水分解、水素添
加、エステル交換、溶剤分画、精製処理したリン脂質中
から任意に選択できる。リン脂質の添加量は上記範囲よ
り少ないと離型性、スパッタリング防止効果が十分でな
く、逆に過剰の場合、風味の悪化、着色等の問題が生ず
るため、上記範囲内で使用するのが好ましい。
〔実施例〕
以下に実施例、比較例を示すことにより、本発明による
液状油脂組成物の特徴を更に詳細に説明する。
実施例1 (1)ジグリセライド含量の高いグリセライド混合物(ジ
クリセライド混合物)の製造 第1表に示すグリセライド混合物1〜3を次の様にして
調製した。
即ち、天然油脂起源の油脂75部(部は重量部;以下同
じ)及びグリセリン25部を混合し、水酸化カルシウム0.
1部を加えてエステル交換反応を行った後、分子蒸留法
によりモノグリセライドをできるだけ除去し、グリセラ
イド混合物1〜3を得た。
またグリセライド混合物4は、大豆油100部とグリセリ
ン1.2部を減圧脱水し、触媒としてナトリウムメチラー
ト0.15部を加えてエステル交換反応を行った後、脱臭、
精製して得た。
(2)スプレー油の製造 (1)で得られたグリセライド混合物1〜4を用い、下記
組成のスプレー油を製造した。
このスプレー油に用いたグリセライド混合物の組成はガ
スクロマトグラフィーによる分析で第2表に示すとおり
である。
このスプレー油を10℃、1週間保存した時の状態、及び
粘度を測定し、さらにこれらをポンプ式スプレーに充填
し、10℃でスプレーした時の噴霧性、フライパンに噴霧
して卵焼きを調理した時の発煙、風味の評価を行ったと
ころ、第3表の結果を得た。
即ち、本発明品1〜6の試料はいずれも均一、良好な保
存状態で10℃で32〜40cpの低粘度を示し、噴霧性も良好
で、加熱時の発煙にも問題無く、風味も良好であったの
に対し、比較品1の試料は保存後、エチルアルコールの
分離を生じ、粘度が高く、従って噴霧性は不良(水鉄砲
状)であった。また比較品2は保存後の状態、噴霧性は
良好なものの加熱時発煙が見られた。
実施例2 第4表に示すスプレー油組成物を調製し、実施例1と同
様にして性能を評価した。
結果を第4表に示す。
〔発明の効果〕 前述の内容で理解される如く、本発明の油脂組成物は減
粘剤としてのエチルアルコールの溶解性に優れ、比較的
低温でもスプレー性が良好で、またスプレー油脂として
の機能が常に一定して得られる(保存により沈澱生成、
目詰まり等の発生が無い)といった点で従来の油脂の欠
点を著しく改良するものであると同時に、加熱時の発煙
にも問題が無く、風味も良好であることから例えばスプ
レー用油脂としてきわめて有用なものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)モノグリセライド0〜10重量%、ジ
    グリセライド10〜65重量%、残余トリグリセライドから
    成り、かつ各構成グリセライドの脂肪酸残基の炭素数が
    8〜24であるグリセライド混合物50〜90重量%、及び (B)エチルアルコール10〜50重量% を含有することを特徴とする液状油脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS51133459A (en) * 1975-05-13 1976-11-19 Asahi Denka Kogyo Kk Method of producing spray oil
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JPS61219338A (ja) * 1985-03-25 1986-09-29 Kao Corp カカオバタ−代用組成物

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