JPH0746673Y2 - 建屋の外壁作業用ゴンドラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、建屋外壁での諸作業、例えば壁面やカラス窓
のクリーニング作業や部分補修作業などに用いられる建
屋の外壁作業用ゴンドラに関するものである。

〔従来の技術〕 例えば、各種博覧会の会場に設置されるパビリオン（簡
易建屋）として、鉄骨構造体にカーテンウォールを張り
巡らせた所謂総ガラス張り構造のものがある。かかるパ
ビリオンにおいては、デザイン性が重視される傾向にあ
って、例えば第３図に示すように、平面視において、大
きな外壁面S₁,S₁の角部に、奥行き寸法が小さいながら
も奥まった外壁面S₂,S₂を形成した複雑な屈折形状を呈
するものがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

このようなパビリオンの外壁S₁,S₂に対する作業用のゴ
ンドラとして、従来一般の建屋で使用されている汎用タ
イプのゴンドラを設置するには、次のような問題があ
る。

即ち、上記汎用タイプのゴンドラは、一般に、屋上外縁
部に沿って敷設されたレール上を走行する台車に、電動
モータと減速機から成る走行駆動装置を搭載すると共
に、ワイヤーを介して作業用かご足場を連結するための
支持アームを、屋上外部に突出させる状態と屋上内部に
引退させる状態とに駆動切り換え自在に前記台車に設
け、更に、前記かご足場を昇降させるための電動式昇降
装置を前記台車に設けて成るもので、全体が大型で且つ
かなりの重量があり、これを上記パビリオンの屋上に設
置すると、支持強度の面で問題が生じると共に、各種電
気系の配備が必要でコスト的に高く付き、しかも、奥ま
った外壁面S₂,S₂を作業対象と成し得るようにする上
で、前記支持アームを旋回可能に構成する必要があるこ
とから、一層のコストアップを伴うという問題がある。

本考案は、上記の不都合を一挙に解消した建屋の外壁作
業用ゴンドラを提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段
は、次の通りである。即ち、本発明による建屋の外壁作
業用ゴンドラは、屋上外縁部の歩行用足場に沿わせて屋
上のコーナー部にまで敷設された直線レール上を走行さ
せるものであって、手動操作式の走行駆動装置によって
前記直線レール上を走行する台車の横一側部に、レール
側部の屋上外縁から外方に突出する状態と屋上内部に引
退する状態とに伸縮自在に第１支持アームを設けると共
に、更にこの台車に、コーナー部近傍への台車の走行移
動に伴って、レール端部側の屋上外縁から外方に突出す
る第２支持アームを設け、かつ、作業用かご足場が備え
る手動操作式の自己昇降装置に連繋された昇降用ワイヤ
ーを、前記第１支持アームと第２支持アームとに選択的
に連結可能に構成した点に特徴がある。

〔作用〕

上記の特徴構成によれば、台車の走行ならびに作業用か
ご足場の昇降を手動操作式としたことで、作業用ゴンド
ラ全体の軽量化が達成され、かつ、電気系の配備が不要
となる。

そして、台車の横一側部に設けた第１支持アームをレー
ル側部の屋上外縁から外方に突出させて、これに作業用
かご足場を吊り下げることで、レール側部の建屋外壁面
に対する諸作業を行うことができ、或いは、第２支持ア
ームを選択して、これに上記の作業用かご足場を吊り下
げることで、例えば小さい奥行き寸法で屈折するレール
端部側の建屋外壁面に対する諸作業を行うことができ
る。

また、台車をコーナー部から遠ざけるように移動させ、
かつ、第１支持アームと第２支持アームの伸縮アームと
を屋上内部側に引退させると、建屋近くの地上からは、
台車はもとより第１及び第２の支持アームが見えなくな
るので、地上から見上げた建屋の見栄えを損なうことが
ない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図乃至第３図は本考案に係る外壁作業用ゴンドラＡ
の設置対象の一例である建屋Ｂを示し、この建屋Ｂは、
鉄骨構造体にカーテンウォールを張り巡らせた所謂総ガ
ラス張りのものであって、４個の建屋構造体B₁を点対称
に集合させて成り、かつ、建屋構造体B₁のそれぞれは、
平面視において隣る二辺に大きな外壁面S₁,S₁を有する
と共に、一方の外壁面S₁の両側には、小さい奥行き寸法
で奥まった外壁面S₂,S₂が形成されている。

そして、前記建屋構造体B₁の隣る二辺の外壁面S₁,S₁に
わたる屋上は、その隣る外壁面S₁,S₁のコーナー部に向
かうほどやゝ上方に傾斜しており、かつ、この屋上の外
縁部に沿っては、歩行用足場１を兼ねる雨樋が設けられ
ていて、この歩行用足場１の近傍に沿わせて屋上のコー
ナー部にまで、それぞれ２本の直線レール2,2が敷設さ
れている。

本考案の一実施例に係る建屋の外壁作業用ゴンドラＡ
は、第４図乃至第８図に示すように、前記直線レール2,
2上を走行する台車３と、それぞれ伸縮自在に台車３に
設けられた第１及び第２の支持アーム4,4、5,5と、ワイ
ヤー６を介して第１支持アーム4,4と第２支持アーム５
とに選択的に吊り下げ連結される作業用かご足場７とに
よって構成されている。

詳しくは、前記台車３は、直線レール2,2の長手方向に
沿う２本の長尺部材8,8の長手中間部にわたって、前記
直線レール2,2の敷設間隔よりもやゝ長い２本の筒部材
9,9を連結すると共に、この長尺部材8,8のそれぞれに、
直線レール2,2上を転動する各２個の走行用車輪11,11を
設け、更に、一方の歩行用足場１側の長尺部材８に、レ
ール２の縦リブ2aを挟持して台車３の振れ止めを司る輪
体12を設けると共に、他方の長尺部材８には、レール２
のフランジ2b下面側に当接して台車３の浮き上がりを防
止する輪体13を設けて成る。

そして、前記歩行用足場１側のレール２の縦リブ2aに、
このレール２の長手方向に沿うラック14を設ける一方、
前記台車３には、ウォーム減速機構による手動操作式の
駆動装置16を搭載し、かつ、この駆動装置16の出力軸
に、前記ラック14に噛合するピニオン15を設けて、前記
台車３を手動操作によって直線レール2,2上を走行させ
るようにしている。

上記の第１支持アーム4,4は、前記台車３の横一側部に
設けられており、前記台車３の前後中間部に設けられた
台車幅方向の筒部材9,9に対して伸縮自在に保持されて
いる。そして、筒部材9,9に対する伸縮により、第１支
持アーム4,4の先端部が、レール側部の屋上外縁E₁から
外方に突出する状態Ｘと屋上内部に引退する状態Ｙとに
切り換えられるように構成されている。各第１支持アー
ム４の先端部には、ワイヤー連結部材17と台車３側に屈
折した部材19とが設けられており、この屈折部材19にわ
たって安全用の手摺20が設けられている。また、各第１
支持アーム４の後端には、抜け止め用のストッパーを兼
用する伸縮操作具18が設けられている。

一方、第２支持アーム5,5は、前記台車３のコーナー部
近傍への走行に伴ってレール端部側の屋上外縁E₂の外方
に突出するように、前記台車３の走行方向の前後両側に
設けられており、具体的には、前記台車３の前後方向両
側の長尺部材8,8にわたって、台車幅方向の固定筒部材5
aを設けると共に、この固定筒部材5aに対して台車３の
横一側方に張り出させる状態で伸縮自在に伸縮アーム5b
を保持させて、台車３の走行方向視において、伸縮アー
ム5bの先端を、レール側部の屋上外縁E₁から外方に突出
する状態Ｘと屋上内部に引退する状態Ｙとに切り換え可
能と成し、そして、この伸縮アーム5bの先端と固定筒部
材5aの後端とにワイヤー連結部材17.21を設けているの
である。

尚、前記伸縮アーム5bを突出状態Ｘに切り換えた状態
で、この伸縮アーム5b先端のワイヤー連結部材17と固定
筒部材5a後端のワイヤー連結部材21との間隔が、前記２
本の支持アーム4,4のワイヤー連結部材17,17間の間隔と
ほゞ等しくなるように設定してある。

前記作業用かご足場７は、移動用車輪22を備えた底板部
23に保護枠24と保護網25を設けて成るもので、手動操作
式の自己昇降装置（例えばウォーム減速機とワイヤー巻
き取りドラム及び該ドラムに巻回されたワイヤーから成
る）26を備えている。

上記の構成によれば、第６図に示すように、第１支持ア
ーム4,4を台車３の横一側部から屋上外部に突出させた
状態Ｘで、この支持アーム4,4先端のワイヤー連結部材1
7,17に自己昇降装置26のワイヤー６を吊り下げ連結し、
かつ、作業用かご足場７に作業者が搭乗する一方、前記
台車３の走行制御を行う作業者が歩行用足場１に位置し
て、夫々作業者が分担して自己昇降装置26と走行駆動装
置16を手動操作することで、作業用かご足場７を外壁面
S₁の全面にわたって移動させることができる。

一方、前記奥まった外壁面S₂に対する諸作業を行うに際
しては、台車３をコーナー部近傍にまで移動させて、前
記第２支持アーム５をレール端部側の屋上外縁E₂から外
方に突出させると共に、伸縮アーム5bを延ばして突出状
態Ｘを現出させ、かつ、作業用かご足場７を一旦地上に
降ろして、前記第１支持アーム4,4のワイヤー連結部材1
7,17に対するワイヤー６の連結を解除する。

そして、作業用かご足場７を奥まった外壁面S₂の部位に
手押し移動させて、上記の連結を解除したワイヤー６を
第１支持アーム５のワイヤー連結部材17,21に繋ぎ代え
る（第５図に仮想線で示す状態）のである。

この状態で、前記作業用かご足場７に装備の自己昇降装
置26を手動操作して、この作業用かご足場７を奥まった
外壁面S₂に沿わせて昇降させることで、奥まった外壁面
S₂に対する諸作業を行うことができる。

外壁面S₁,S₂に対する諸作業を終えたならば、ワイヤー
連結部材17,21に対するワイヤー６の連結を解除して、
作業用かご足場７を適宜格納庫などに格納する一方、第
１支持アーム4,4ならびに第２支持アーム５の伸縮アー
ム5bを引退状態（第７図参照）Ｙに切り換え、かつ、台
車３をコーナー部から遠ざけるように移動させるのであ
り、これによって、建屋近くの地上からは台車３が見え
なくなることで、地上から見上げた建屋の見栄えを損な
うことはない。

尚、他方の奥まった外壁面S₂に対しても同様の手段で諸
作業を行うことができることは言うまでもなく、そして
上記の実施例では、両側に奥まった外壁面S₂,S₂が形成
された外壁面S₁を作業対象にした台車３について説明し
たので、前記台車３の走行方向両側に第２支持アーム5,
5を設けているが、奥まった外壁面S₂が一側に形成され
た外壁面S₁を作業対象にする台車３については、奥まっ
た外壁面S₂側にのみ対応させて第２支持アーム５を台車
３に設ければよいのである。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案による建屋の外壁作業用ゴ
ンドラによれば、台車の走行ならびに作業用かご足場の
昇降を手動操作式としたことで、作業用ゴンドラ全体の
軽量化が達成され、而して、支持強度の弱い建屋の外壁
作業に適したゴンドラをコスト的に安価に得ることがで
きる。

しかも、全体を手動操作の形態に構成しているので、当
然ながら電気系の配備が不要になる上、第１と第２の支
持アームを選択して作業用かご足場を連結することで、
異なる二面の外壁に対する作業を行えることから、ゴン
ド吊り下げ用の支持アームを旋回させる必要もなく、こ
れらの点においてもコストダウンを達成できるもので、
全体として、簡単で且つ合理的な改良技術によって、設
置対象建屋の制限を受け難い簡易な外壁作業用ゴンドラ
をコスト的に安価に提供できるに至ったのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による外壁作業用ゴンドラの設置対象と
する建屋の全体斜視図、第２図は建屋の一部の拡大斜視
図、第３図は建屋の平面図である。 第４図乃至第８図は本考案の一実施例にかゝる外壁作業
用ゴンドラの一例を示し、第４図は平面図、第５図は正
面図、第６図は支持アームを突出させた状態の側面図、
第７図は支持アームを引退させた状態の側面図、第８図
は台車の縦断面図である。 １……歩行用足場、２……直線レール、３……台車、４
……第１支持アーム、５……第２支持アーム、5a……固
定筒部材、5b……伸縮アーム、６……昇降用ワイヤー、
７……作業用かご足場、16……手動操作式の走行駆動装
置、26……手動操作式の自己昇降装置、E₁……レール側
部の屋上外縁、E₂……レール端部側の屋上外縁、Ｘ……
支持アーム突出状態、Ｙ……支持アーム引退状態。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 杉本 平 大阪府大阪市東区本町４丁目27番地 株式 会社竹中工務店大阪本店内 (72)考案者 堀 善征 大阪府大阪市淀川区宮原４丁目１番45号 サンセイ株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】屋上外縁部の歩行用足場に沿わせて屋上の
   コーナー部にまで敷設された直線レール上を走行する建
   屋の外壁作業用ゴンドラであって、手動操作式の走行駆
   動装置によって前記直線レール上を走行する台車の横一
   側部に、レール側部の屋上外縁から外方に突出する状態
   と屋上内部に引退する状態とに伸縮自在に第１支持アー
   ムを設けると共に、更にこの台車に、コーナー部近傍へ
   の台車の走行移動に伴って、レール端部側の屋上外縁か
   ら外方に突出する第２支持アームを設け、かつ、作業用
   かご足場が備える手動操作式の自己昇降装置に連繋され
   た昇降用ワイヤーを、前記第１支持アームと第２支持ア
   ームとに選択的に連結可能に構成してあることを特徴と
   する建屋の外壁作業用ゴンドラ。
2. 【請求項２】前記第１支持アームが、前記台車の前後に
   設けられた台車幅方向の筒部材に対して伸縮自在に保持
   され、前記第２支持アームが、前記台車の走行方向の端
   部側に連設された台車幅方向の固定筒部材と、この固定
   筒部材に対して前記台車の横一側方に張り出す状態で伸
   縮自在に保持された伸縮アームとから成り、かつ、台車
   の走行方向視において、伸縮アームの先端を、レール側
   部の屋上外縁から外方に突出する状態と屋上内部に引退
   する状態とに切り換え可能に構成してある請求項（１）
   に記載された建屋の外壁作業用ゴンドラ。