JPH0746609B2 - 二次電池 - Google Patents

二次電池

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JPH0746609B2
JPH0746609B2 JP61069879A JP6987986A JPH0746609B2 JP H0746609 B2 JPH0746609 B2 JP H0746609B2 JP 61069879 A JP61069879 A JP 61069879A JP 6987986 A JP6987986 A JP 6987986A JP H0746609 B2 JPH0746609 B2 JP H0746609B2
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organic semiconductor
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哲身 鈴木
和美 長谷川
修弘 古川
晃治 西尾
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Mitsubishi Chemical Corp
Sanyo Electric Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Sanyo Electric Co Ltd
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    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/60Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of organic compounds
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は二次電池に関し、詳しくは、有機材料よりな
る導電体を電極材料として用いた非水系の二次電池に関
するものである。
〈従来の技術〉 近年、各種有機材料からなる導電性ポリマーを電極材料
とした二次電池が提案されている。
この種の二次電池の電極材料となる導電性ポリマーは、
通常は導電性はわずかであるが、各種アニオンやカチオ
ンの如きドーパントをドーピング並びにアンドーピング
処理することが可能であり、ドーピングにより導電性が
飛躍的に上昇する。そして、アニオンがドーピングされ
る導電性ポリマーを正極材料として、またカチオンがド
ーピングされる導電性ポリマーを負極材料として各々使
用すると共に上記ドーパントを含有する溶液を電解液と
して用い、ドーピング及びアンドーピングを電気化学的
に可逆的に行なうことにより充放電可能な電池が構成さ
れる。
このような導電性ポリマーとしては従来よりポリアセチ
レン,ポリチオフェン,ポリピロールなどが知られてお
り、ポリアセチレンを例に採れば、ポリアセチレンを正
極または負極の少なくとも一方の電極材料として用い、
BF4 -、ClO4 -、SbF6 -、PF6 -等のアニオン、またはLi+、N
a+、R4-N+(Rはアルキル基を表わす)等のカチオンを
電気化学的に可逆的にドーピング,アンドーピングする
構成が採られている。
〈発明が解決しようとする問題点〉 しかしながら、この種の導電性ポリマーのうち、例えば
ポリアセチレンは、ドーピング時あるいはアンドーピン
グ状態において空気中の酸素によって非常にたやすく酸
化され易いという欠点をもつ。このため、電極作製環境
の管理が重大となり、電極作製作業が困難且つ煩雑化す
るのみならず、作製後の酸化による材質劣化により電極
性能が著しく低下するので電極自身の保存性が悪い等と
いう問題がある。これに加えて、電池内に組込んだ場
合、微量の酸素や水分が存在するだけで変成あるいは分
解を起こして電池特性劣化を引き起す他、過充電を行な
うとポリマーが変成,分解する可能性がある等の欠点が
あり、充電電圧の急上昇、充放電効率の低下やサイクル
寿命の減少等を招くことから、電極用材料としては甚だ
問題が多い。
一方、ポリチオフェンやポリピロールなどの導電性ポリ
マーはポリアセチレンに較べて空気中の酸素によって酸
化されにくいことから上述の欠点や問題の程度は少な
い。しかしながら、これらは一般に電気化学的酸化重合
法によって電解電極(陽極)表面に析出させて製造され
るので、その寸法が電解電極の大きさにより規制されて
電池品種に応じた自由な寸法に成形するのが難しいとと
もに、製造法が煩雑で電池コスト高の原因となる等の欠
点がある。
また、ポリチオフェンは、例えば公知のグリニヤール法
によってチオフェンから合成したポリチェニレンとし
て、化学的重合法によって得ることができる。しかしな
がら、このポリチェニレンは、耐酸化性は優秀なもの
の、その電気伝導度が非常に小さいという欠点がある。
よって、これを電極材料として二次電池を作製した場
合、電池の内部抵抗が増大すると共に充放電反応が電極
各部で不均一となってしまうことから、充放電サイクル
を繰返すと充電電圧が上昇し易く、充電電圧の上昇に伴
って電解液の分解が起こって電池特性の著しい劣化を招
き易いという問題がある。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明者は、上記の導電性ポリマーに代えて上述の如き
欠点のない有機導電体を電極材料として用いることで上
記問題点を解決せんと研究した所、以下に示す如き、ビ
チオフェン化合物と酸化剤とを反応させて得られる有機
半導体を用いた場合には所期の目的を達成できることを
知得してこの発明を完成した。
即ち、この発明の二次電池は、 一般式 (式中R1〜R6は水素原子,アルキル基,アルコキシ基,
アリール基,アリロキシ基,アルキルチオ基,アミノ
基,ハロゲン原子,シアノ基、またはニトロ基を表わ
す。) で示されるビチオフェン化合物と酸化剤とを反応させる
ことにより得られる有機半導体を正極または負極の少な
くとも一方の電極として用いることを要旨とする。
本発明の有機半導体は単一または異なる二種類以上の混
合したビオチオフェン化合物を出発物質に用い、これと
単一または異なる二種類以上の酸化剤とを反応させて得
ることができる。
一般式(1)で示される縮合したビチオフェン化合物と
してR1〜R6は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n
−ブトキシ基、フエニル基、トルイル基、ナフチル基、
フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ナフトキシ基、メ
チルチオ基、エチルチオ基、アミノ基、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、沃素原子、シアノ基、ニトロ基を表
わす。
具体的には2,2′−ビチオフェン、3−メチル−2,2′−
ビチオフェン、3,3′−ジメチル−2,2′−ビチオフェ
ン、3,4−ジメチル−2,2′−ビチオフェン、3,4−ジメ
チル−3′,4′−ジメチル−2,2′−ビチオフェン、3
−メトキシ−2,2′−ビチオフェン、3,3′−ジメトキシ
−2,2′−ビチオフェン、3−フェニル−2,2′−ビチオ
フェン、3−トルイル−2,2′−ビチオフェン、3−フ
ェノキシ−2,2′−ビチオフェン、3−フェノキシ−
4′−フェニル−2,2′−ビチオフェン、3−メチルフ
ェノキシ−2,2′−ビチオフェン、3−ナフトキシ−2,
2′−ビチオフェン、3−メテルチオ−2,2′−ビチオフ
ェン、3−エチルチオ−2,2′−ビチオフェン、3−ア
ミノ−2,2′−ビチオフェン、3−ブロム−2,2′−ビチ
オフェン、3,3′−ジブロム−2,2′−ビチオフェン、3
−クロル−2,2′−ビチオフェン、3−シアノ−2,2′−
ビチオフェン、3−ニトロ−2,2′−ビチオフェンなど
が挙げられる。
本発明に使用される酸化剤はビチオフェン化合物に対し
て化学的酸化重合活性を有する化合物であり、単独又は
2種類以上組合せて使用される。このような酸化剤とし
ては、通常、強酸残基やハロゲン,シアンを有する金属
塩,過酸化物,窒素酸化物等が使用され、具体的にはFe
(ClO4)3、Fe(PF6)3、Fe(BF4)3、Fe2(SiF6)3、Cu(Cl
O4)2、Cu(BF4)2、Cu(PF6)2,CuSiF6、FeCl3、CuCl2、K3
〔Fe(CN)6、RuCl3、MoCl5、WCl6、(NH4)2S2O8、K2S
2O8、Na2S2O8、NaBO3、H2O2、NOBF4、NO2BF4、NOPF6、N
OClO4、NOAsF6、NOPF6などである。
一般式(1)で示されるビチオフェン化合物に対する酸
化剤の使用割合は酸化重合体の生成量と関連するが、通
常0.001〜10,000モル倍であり、好ましくは0.005〜5,00
0倍モルである。
一般式(1)で示されるビチオフェン化合物と酸化剤と
の反応は固相、液相、気相の任意の相で実施するこどで
きるが、少なくとも一方が溶解する任意の溶媒の存在
下、液相で反応するのが好ましい。
溶媒としては、一般式(1)で示される化合物及び酸化
剤がその溶媒と直接反応しないものなら適宜選択するこ
とができる。また、少なくとも一方を溶解する溶媒とし
て、具体的には、アセトニトリル、トルエン,ジオキサ
ン、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、ジオキソ
ラン、水、メタノールなどが挙げられる。
反応温度は−50℃〜150℃であり、好ましくは−20℃〜1
00℃である。反応時間は反応温度と関連するが、通常0.
5〜200時間、好ましくは1〜100時間である。
反応生成物は暗褐色〜黒色の粉末状物質であり、溶媒存
在下での反応では反応終了後、溶媒を通常の方法で除去
するか、水又はアルコール中などに移し、生成物を取
することができる。
この反応生成物は実施例において述べる如く導電性を有
する。本発明では、かかる反応生成物を加圧成形の如き
公知の方法で所要形状に成形加工し、二次電池の電極と
して使用する。この際、かかる反応生成物を単独で使用
することも可能であるが、電極の機械的強度を高めると
共に、導電性を上昇させて電池特性向上を図るために熱
可塑性樹脂や適宜な導電性部材等を添加するのが好まし
い。このような熱可塑性樹脂としては、電池の電解液に
対して実質的に不溶のものであれば特に制限なく用いる
ことができる。通常、分子量1万以上のものが用いら
れ、具体例としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,
エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−テトラフル
オロエチレン共重合体,ポリテトラフルオロエチレン,
ポリトリフルオロエチレン,ポリジフルオロエチレン,
四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体,四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共
重合体,ポリ三フッ化塩化エチレン,ポリフッ化ビニリ
デン,四フッ化エチレン−エチレン共重合体,クロロト
リフルオロエチレン−エチレン共重合体,ポリアミド,
ポリエステル,ポリカーボネート、及び、変成ポリオレ
フィン等が挙げられる。
また、導電性部材としては充放電を繰り返しても溶解し
ない材質のもの、例えばステンレス鋼,金,白金、ニッ
ケル,銅,モリブデン,チタン等の金属、カーボン,炭
素繊維等の部材からなるものならば特に制限はないが、
特に、軽量且つ高導電性のものが好ましい。具体的に
は、そのような金属からできた金属網、あるいは、金属
メッキ繊維,金属蒸着繊維,金属含有合成繊維、更には
炭素繊維,炭素複合繊維等からなる網や織布および不織
布が挙げられる。
このような熱可塑性樹脂及び導電性部材の添加量は反応
生成物(有機半導体)100重量部に対して熱可塑性樹脂
0.02〜1000重量部、導電性部材2〜100重量部使用する
ことが好ましい。
本発明の二次電池には、かかる反応生成物を電極材料と
して用いてなる電極を正負両極に使用する場合と、一方
の電極のみにこの電極を使用し、他の電極には、金属や
金属酸化物あるいは他の無機化合物更には本発明の反応
生成物以外の公知の導電性重合体や有機化合物および有
機金属化合物等を電極材料として使用する場合とがあ
る。正極にのみこの反応生成物を用いた電極を使用し、
負極の電極材料として金属を使用する場合を例にとれ
ば、負極を構成する金属として電気陰性度が1.6以下の
ものを用いるのが好ましく、このような金属の例として
はLi,Na,K,Mg,Alあるいはそれらの合金等が挙げられ、
特に、LiおよびLi合金が好ましい。
一方、本発明の二次電池に用いられる電解液としては電
解質を有機溶剤に溶解した溶液が使用される。かかる電
解質としては、電気陰性度が1.6以下の金属の陽イオン
や有機カチオン等の陽イオン及び陰イオンとの塩を挙げ
ることができる。オニウムイオンの例として、4級アン
モニウムイオン、カルボニウムイオン、オキソニウムイ
オン等が挙げられる。また、陰イオンとしては、BF4 -
ClO4 -、PF6 -、AsF6 -、CF3SO3 -、I-、Br-、Cl-、F-等が
挙げられる。そして、このような電解質の具体例として
は、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素
酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム
(LiPF6)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlC
l4)、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム
(Et4NBF4)、過塩素酸テトラn−ブチルアンモニウム
(nBu4NClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウ
ム(LiCF3SO3)、ヨウ化リチウム(LiI)、臭化リチウ
ム(LiBr)等が挙げることができるが、これらに限定さ
れるものではない。そして、正負両極に本発明の有機半
導体を用い、LiBF4を電解質として溶解してなる電解液
を用いて構成される電池を例にとれば、充電時には、正
極内の有機半導体に電解液中のBF4 -が、また負極内の有
機半導体には電解液中のLi+が夫々ドーピングされる。
一方、放電時には、正,負極にドーピングされたBF4 -
Li+が夫々電解液中に放出される。
また、電解質を溶解する有機溶剤としては、高誘電率で
非プロトン性のものが好ましく、ニトリル、カーボネー
ト、エーテル、ニトロ化合物、アミド、含硫黄化合物、
塩素化炭化水素、ケトン、エステル等を用いることがで
きる。また、このような溶剤は二種以上を混合して用い
ることもできる。これらの代表例として、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリ
ル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
テトラヒドロフラン、ジオキソラン、1,4−ジオキサ
ン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、スルホラン、1,2−ジクロロエタ
ン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、リ
ン酸メチル、リン酸エチル等を挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
そして、本発明の電解液の濃度は、通常0.001〜10モル/
lで用いられ、好ましくは0.1〜3モル/lで用いられる。
このような電解液は注液の他、予め本発明の有機半導体
を用いた電極に含液させて用いることもできる。
また、以上では有機半導体にドーピング処理をすること
なくそのまま電極に成形加工する方法について説明した
が、ドーピングを予め有機半導体にドーピングせしめ、
しかる後、単独あるいはこれと上記した如き導電性材料
及び又は熱可塑性樹脂を用いて、電極に成形加工して使
用することもできる。
更に、本発明に於て、電解質中で電極を固定するため
に、スノコ状または孔を有するガラス、テフロン、ポリ
エチレン、板等を用いて電極を被覆する構成としてもよ
い。
また、本発明の電池においては、ガラスフィルター濾
紙、テフロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン等の多孔質膜をセパレータとして用いてもよい。
〈作用〉 上記の有機半導体は、耐酸化性が優秀であることは勿
論、化学重合法により得られるものなのでその寸法が制
限されることもなく、製造容易で、また電気伝導度が大
きい。よって、この有機半導体を電極材料として用いた
場合、電極作製環境の管理が非常に容易化するのみなら
ず電極自身の保存性が向上し且つ電池内部の酸素や水分
の存在あるいは過放電などによって変成や分解を起こす
ことがない。また、電池品種に応じて自由な寸法の電極
が成形できることは勿論、電池コスト高を招くこともな
い。更に、電極の電気伝導度が大きいので、電極各部の
充放電反応の不均一などに起因する電池の特性劣化も非
常に小さい。
〈実施例〉 有機半導体の製造例1 500mlの丸底フラスコに38.87g(0.078モル)のFe(ClO4)
3・8H2Oとアセトニトリル200mlを採り、攪拌して均一な
溶液とした後、それに窒素気流下で温度25℃で、アセト
ニトリル50mlに溶解した2,2′−ビチオフェン4.99g(0.
030モル)を12分間で滴下した。次いで2時間攪拌を継
続した後過し、残をアセトニトリル200mlで4回、
メタノール200mlで2回、トルエン200mlで5回、メタノ
ール200mlで2回ずつ順次洗浄した後に60℃減圧下で乾
燥すると、黒色粉末3.6gが得られた。この黒色物はトル
エン,アセトニトリル,テトラヒドロフラン,クロルベ
ンゼン,プロピレンカーボネートなどの通常の有機系溶
媒には全く溶解しなかった。得られた黒色物の元素分析
をした所、C 51.51%、H 3.30%、S 34.51%、Cl 3.80
%であり、炭素を8とするとC8.00H6.10S2.01Cl0.200
相当するものを得た。これは2,2′−ビチオフェンに対
してClの量が増加していることから、酸化剤のFe(ClO4)
3が反応に関与した反応生成物であることを示してい
る。
この黒色物について2端子法による電気伝導度の測定を
行なった結果8.9×10-5Scm-1を得、半導体領域の導電性
をもった有機半導体であることがわかった。
尚、上記電気伝導度の測定は次のように行なった。ま
ず、上記処理により得た黒色粉末を乳鉢で十分細かく粉
砕した後、直径10mmのディスク状に加圧成形(5トン/
cm2)した。次いでこのディスクサンプルに同一大のス
テンレス製ディスクを両側から夫々挟み、テフロン製の
ボルト,ナットの間におき、締付けることによってこれ
らのディスクを十分に圧着固定した後、ドライボックス
中に保存し、エレクトロメータ(タケダ理研TR-8651)
を使用してディスクサンプルの電気伝導度を測定した。
有機半導体の製造例2 モレキュラーシーブ4Aで脱水処理したジオキサン50mlを
使用し、また2,2′−ビチオフェンの代りに3,4−ジメチ
ル−2,2′−ビチオフェン18.8g(0.10モル)を使用した
ほかは製造例1の場合と同様にしてNOBF4と3,4−ジメチ
ル−2,2′−ビチオフェンとの反応を行なった。反応後
は製造例1の場合と同じ方法で生成物を洗浄,乾燥する
と暗褐色の粉末12.1gが得られた。
この暗褐色粉末を元素分析した所、C 53.32%、H 4.41
%、N 1.56%、S 29.29%、F 8.44%であり、炭素を10
とするとC10.00、H9.85、S2.06、N0.25、F1.00に相当す
るものを得た。これは3,4−ジメチル−2,2′−ビチオフ
ェンに較べてN,Fの量が増加しているから、3,4−ジメチ
ル−2,2′−ビチオフェンと窒素酸化物NOBF4とが反応し
たものであることを示している。
この暗褐色物について上記と同様に電気伝導度を測定し
た所2.6×10-5Scm-1であり、半導体領域の導電性をもっ
た有機半導体であった。
有機半導体の製造例3〜9 各種ビチオフェン化合物と各種酸化剤を使用し、上記製
造例1と同様に反応を行ない、得られた暗褐色へ黒色粉
末の検討結果を第1表に示した。
上記製造例1で得た有機半導体を正極材料として用い、
これとアセチレンブラック(導電剤)、並びにポリテト
ラフルオロエチレン(結着剤)とを重量比85:10:5の割
合で混合した後、ディスク状に加圧成形したものを正極
とした。また、リチウムを所定寸法に打ち抜いたものを
負極とした。
次いで、第1図に示すように、上記の負極2を負極集電
体8を介して負極缶7の底面に圧着させてなる負極部分
と、上記の正極1を正極集電体6を介して正極缶5の底
面に密着させてなる正極部分とを、ポリプロピレン不織
布からできたセパレータ3を介して組合せ、また、4フ
ッ化ホウ酸リチウム(電解質)を1モル/lとなるように
プロピレンカーボネート(溶媒)に溶解してなる電解液
を用いて、本発明に係る電池(本発明品A)を作製し
た。尚、第1図において4は絶縁ガスケットである。そ
して、以上の操作は全てアルゴン雰囲気のドライボック
ス中で行なった。
また、上記製造例2で得た有機半導体を正極材料として
用い、これとアセチレンブラック、並びにポリテトラフ
ルオロエチレンとを重量比85:10::5の割合で混合しディ
スク状に加圧成形したものを正極とした他は本発明品A
と同様にして、本発明に係る電池(本発明品B)を作製
した。
一方、正極材料としてポリアセチレン粉末を用い、これ
とアセチレンブラック、並びにポリテトラフルオロエチ
レンとを重量比85:10:5の割合で混合しディスク状に加
圧成形したものを正極とし、他は本発明品Aと同様にし
て比較用の電池(比較品C)を作製した。
更に、公知のグリニヤール法によってチオフェンからポ
リチエニレンを合成した。この物質について2端子法に
よる電気伝導度の測定を行なった結果、10-10S/cmであ
った。このポリエチレンを正極材料として用い、これと
アセチレンブラック、並びにポリテトラフルオロエチレ
ンとを重量比85:10:5の割合で混合し、ディスク状に加
圧成形したものを正極として、他は本発明品Aと同様に
して、比較用の電池(比較品D)を作製した。
以上の4つの電池について、1mAの電流で5時間充電し
た後、1mAの電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電する
という一連の充放電サイクルを繰り返し行なった時の充
放電効率(%)のサイクル変化を調べた。結果は第2図
に示す通りである。
同図より、比較品Cは40サイクルをすぎるあたりから充
放電効率の急激な低下がみられ、また比較品Dも60サイ
クルをすぎるあたりから効率低下がみられるのに対し、
本発明品A,Bでは、全サイクルを通じて比較品Cおよび
Dより高い充放電効率を示すのみならず、80サイクルを
すぎても90%以上の高い充放電効率を維持し続けている
ことがわかる。尚、第80サイクル目における本発明品A,
Bの充放電効率は夫々96%,94%であるのに対し、比較品
Dにおいては70%であり、比較品Cの場合は僅かに25%
であった。
比較品Cのサイクル特性がこのように劣悪であるのは、
ポリアセチレン粉末に完全に除去されずに吸着あるいは
付着していた水や酸素並びに電解液中の溶存酸素や微量
水分によって正極材料であるポリアセチレン粉末が材質
劣化し、このため充電容量並びに放電容量低下の度合が
大きいことに依るものと思われる。そして、本発明品A,
Bの場合は、正極材料である有機半導体が優れた耐酸化
性をもつことから電解液中の溶存酸素や微量水分などに
よる材質劣化がなく、結果的にサイクル特性が良いもの
と思われる。
一方、比較品Dに用いたポリチエニレンは、耐酸化性の
点ではある程度良好なものの電気伝導度が低いため、こ
れを電極材料とした場合、電池の内部抵抗が大きくなる
とともに充放電反応が不均一になりやすいという欠点が
あり、充放電サイクルを繰り返した場合には充電電圧の
上昇及びそれに伴う電解液中の溶質や電解質の分解等が
起こり、この結果特性が劣化するものと考えられる。こ
れに対し本発明品A,Bで用いた有機半導体は電気伝導度
が充分に高く、充放電サイクルを繰り返しても上記のよ
うな充電電圧の上昇などの程度が極く僅かであるので比
較品Dに較べて電池特性が安定しているものと考えられ
る。
また、第80サイクル目における充電及び放電時の夫々の
電池電圧の経時変化を第3図に示す。尚、同図において
実線は充電時の、点線は放電時の電圧変化である。第3
図より、本発明品A,Bは充電時における電圧の急激な立
ち上がりもなく、また比較品CおよびDに較べて放電電
圧の平坦性が非常に良く放電電圧が安定していることが
わかる。
尚、以上は正極材料にのみ有機半導体を用いたものにつ
いて説明したが、負極材料、あるいは正負極材料に有機
半導体を用いた場合も同様の効果が得られることは明ら
かである。
〈発明の効果〉 以上のように構成されるこの発明の二次電池によれば、
耐酸化性が非常に優れ且つ自由な寸法に成形できると共
に製造容易で電気伝導度の高い等の特長のある有機半導
体を電極材料として用いたことから、電極作製環境が容
易化し電極自身の保存性がよい、電池品種に応じた自由
な寸法の電極が成形できる、電池コスト高を招くことが
ない等の他、電極の電気伝導度が大きく、電極各部の充
放電反応の不均一などに起因する電池特性劣化が僅か
で、充放電効率やサイクル寿命などの特性の向上が図れ
るといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例等の電池構造を示した断面図、
第2図は本発明品及び比較品のサイクル特性を示したグ
ラフ、第3図は同じく充放電における電池電圧の経時変
化を示したグラフである。 1……正極、2……負極、3……セパレータ、5……正
極缶、7……負極缶。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 修弘 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三洋 電機株式会社内 (72)発明者 西尾 晃治 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三洋 電機株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中R1〜R6は水素原子,アルキル基,アルコキシ基,
    アリール基,アリロキシ基,アルキルチオ基,アミノ
    基,ハロゲン原子,シアノ基、またはニトロ基を表わ
    す。) で示されるビチオフェン化合物と酸化剤とを反応させる
    ことにより得られる有機半導体を正極または負極の少な
    くとも一方の電極として用いることを特徴とする二次電
    池。
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