JPH0746047Y2 - 車両用座席のパワーユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、自動車の座席装置におけるパワーユニット
に関する。

［従来の技術］ 近時、自動車の高級化に伴い、座席装置におけるリクラ
イニング装置、シートリフター装置及びシートスライド
装置等の調整を電動化したアジャスターが増えてきた。
このアジャスターは、複数の電動モーターが用いられ、
電動モーターはモーターハウジングがギヤケースに一体
的に連結されてなり、ギヤケースには減速歯車が収納さ
れ、その出力軸が上記装置の作動部と連結される。例え
ば、シートリフター装置はシートクッションの前後部を
それぞれ独立して昇降させるために、一対の電動モータ
ーがシートフレーム内に固定され、そのギヤケースの出
力軸はシートリフター装置のリンクを回動させるシャフ
トに連結するのであるが、その場合、一対の電動モータ
ーはそれぞれ分離独立した状態で適宜の取付金具等を介
してシートフレームに固定される。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記のように複数の電動モーターを別個
独立してシートフレームに取付けるのは、同じ作業の繰
り返しを要して作業工数が多くなるのは勿論、電動モー
ターの大きさがシートフレーム内のスペースを制約する
から、低ヒップポイント化を阻止する。そこで、複数の
電動モーターを適宜の基板等に固定してあらかじめモー
ターユニットを作成し、これを上記装置等に取り付ける
ようにしているが、その場合、電動モーターのハウジン
グは基板から浮かせてギヤケースのみを基板に固定して
いるから、作業時に振動が生じ、それが異音発生の原因
となる等の不都合があった。しかし、そのためにモータ
ーハウジングを基板に固定すると、ギヤケースとともに
モーターハウジングの位置を基板上で微調整できるよう
にすることが必要であり、また微調整が必要になれば、
作業工数は従来と同じかそれ以上となって甚だ不便であ
る。

そこで、この考案は上記不便・不都合を解決することを
目的としてなされたものである。

［課題を解決するための手段］ この考案は上記課題の解決を図るため、出力軸を互いに
逆方向へ突出させて並列した一対の電動モーターを収納
して基板に固定可能なモーターケースと、該モーターケ
ースの前記出力軸をそれぞれ係合する入力軸部を備えて
基板に固定可能な一対のギヤケースと、前記モーターケ
ースを挟んで一対のギヤケースを固定する基板とからな
る車両用座席のパワーユニットを構成した。

［作用］ 上記構成に係るこの考案によれば、基板にモーターケー
スを固定したのち、その両側にそれぞれギヤケースを固
定すれば、微調整の必要なく簡便迅速かつ容易に車両用
座席のパワーユニットを完成できる。

［実施例］ 次に、この考案の実施例を図面に基づき説明する。第１
図はパワーユニットの組立平面図、第２図はその分解平
面図であり、図において、1,1はそれぞれギヤケース、
２はモーターケース、３は基板である。ギヤケース１は
基板３にボルトを挿通して固定するための長孔4,5を有
し、内部にウオームホイール６とウオーム７を収納した
略偏平な箱状体であって、ウオームホイール６の中心部
に出力軸８が設けられ、出力軸８はギヤケース１の背面
の透孔から外方へ突出し、また、ウオーム７には後記の
出力軸15を嵌合する入力軸部９が形成され、入力軸部９
はギヤケース１の側面に穿設した透孔10に面している。
さらに、ギヤケース１の側面に位置決め用のボス11が突
設される（第４図参照）。そして、このボス11と前記透
孔10は、一対のギヤケース1,1においてそれぞれ逆配置
状態で、すなわち、同じ構成のギヤケースを180度回転
させた点対称形にモーターケース２を挟んで配置される
のである。モーターケース２は、一対の電動モーター1
2,12を互いに逆位で並列させて収納する略楕円形断面の
筒体で、その内側面にナット13,13を固定した透孔14,14
にボルトを挿通して基板３に固定する。なお、電動モー
ター12,12から外方へ突出形成された出力軸15,15は、ギ
ヤケース1,1の透孔10,10に挿入でき、入力軸部9,9と係
合し、ウオーム7,7を回転させることができるように断
面が欠円形をしている。ウオーム７は適宜の軸受でギヤ
ケース１に回転可能に軸支される。また、電動モーター
12,12のハウジングには、ボス11が嵌合するボス係合穴1
6が形成されている（第３図参照）。なお、モーターケ
ース２は断面四角の箱形であっても良く、ボス係合穴16
はその側壁に形成してもよい。そして、基板３はギヤケ
ース1,1とモーターケース２を固定するため、長孔4,5と
透孔14と合致する透孔が左右点対称配置でそれぞれ穿設
された面を有するコ字形断面に曲げ形成したプレートで
あって、その両端部に、基板３自体をシートフレーム等
に固定するボルトを挿通するための透孔17,17が穿設さ
れている。

そこで、第２図に示したパワーユニットの分解状態から
第１図に示した組立状態とする場合、初めに、基板３に
モーターケース２を固定する。すなわち、ボルトを透孔
14,14に挿入してナット13,13に螺入して連結する。つい
で、モーターケース２の出力軸15,15にギヤケース1,1の
透孔10,10を、またボス係合穴16,16にボス11,11をそれ
ぞれ合致させ、長孔4,5をそれぞれ対応する基板３の透
孔にそれぞれ合致させ、それらの透孔にボルトを挿通し
てギヤケース1,1を基板３に固定するのである。したが
って、ギヤケース1,1とモーターケース２との間に隙間
が形成されることはあっても、出力軸15,15と入力軸部
9,9は正常に係合する。すなわち、シートリフター側の
シャフトの位置が構造上の誤差により多少ずれた場合で
も、ギヤケース1,1の長孔4,5により調整でき、このと
き、ギヤケース1,1とモーターケース２間に隙間が形成
される場合もあるが、この場合でもギヤケース1,1とモ
ーター12は正常に係合し駆動力を伝達することができ
る。さらに、モーターケース２は基板３にボルトを介し
て固定したから、振動・異音の発生原因となるのを防止
できた。

［考案の効果］ 以上説明したこの考案によれば、出力軸を互いに逆方向
へ突出させて並列した一対の電動モーターを収納して基
板に固定可能なモーターケースと、該モーターケースの
前記出力軸をそれぞれ係合する入力軸部を備えて基板に
固定可能な一対のギヤケースと、前記モーターケースを
挟んで一対のギヤケースを固定する基板とからなる車両
用座席のパワーユニットであるから、モーターケースは
基板に確実に固定するから、振動・異音が発生する原因
となることはなく、また、基板に固定したモーターケー
スを挟んでギヤケースを基板に固定すれば、両者間の微
調整が不要で組付けが容易となり、さらに、基板に左右
対称型で密接して組付け構成できるから小型・コンパク
トで軽量なパワーユニットを得ることができる。したが
って、車両用座席装置のシートリフター装置及びシート
スライド装置のアジャスターに最適である、等の効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す車両用座席のパワー
ユニットの一部断面組立平面図、第２図はその分解平面
図、第３図はギヤケースの結合側における側面図、第４
図はモーターケースの結合側における側面図である。 １…ギヤケース、２…モーターケース、３…基板、4,5
て長孔、10,14,17…透孔、8,15…出力軸部、９…入力軸
部、11…ボス、12…電動モーター、16…ボス係合穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】出力軸を互いに逆方向へ突出させて並列し
   た一対の電動モーターを収納して基板に固定可能なモー
   ターケースと、該モーターケースの前記出力軸をそれぞ
   れ係合する入力軸部を備えて基板に固定可能な一対のギ
   ヤケースと、前記モーターケースを挟んで一対のギヤケ
   ースを固定する基板とからなることを特徴とする車両用
   座席のパワーユニット。