JP2000142427A - ステアリングシャフトの支持機構 - Google Patents

ステアリングシャフトの支持機構

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JP2000142427A
JP2000142427A JP31293298A JP31293298A JP2000142427A JP 2000142427 A JP2000142427 A JP 2000142427A JP 31293298 A JP31293298 A JP 31293298A JP 31293298 A JP31293298 A JP 31293298A JP 2000142427 A JP2000142427 A JP 2000142427A
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JP
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slide
steering shaft
flange
vehicle body
support bracket
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JP31293298A
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English (en)
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Masanori Nakayama
昌則 中山
Yoshihiko Yamato
義彦 大和
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Kuroishi Iron Works Co Ltd
Original Assignee
Kuroishi Iron Works Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数が少なく且つ構造の簡単なステア
リングシャフトの支持機構を提供する。 【解決手段】 ステアリングシャフト1を支持する支持
ブラケット5のフランジ部5bにおける切欠溝穴9に対
応する部位に、対向する一対のスライドピース21,2
2を備えたスライド部材20を、突出部29が設けられ
た側のスライドピース21又は22を上記フランジ部5
bの反車体側部材8側の側面5b2側に位置させた状態
で装着するとともに、上記フランジ部5bと上記スライ
ド部材20の各スライドピース21,22とを、上記切
欠溝穴9を通して且つ上記スライド部材20に設けられ
たスペーサ26にその軸力がかかるようにして配置され
る取付ボルト10により上記車体側部材8側に締着す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、ステアリングシ
ャフトの支持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車のステアリング装置に
おいては、自動車の衝突に伴う二次衝突時(即ち、車体
の潰れ変形が起こる一次衝突の反動を受けて乗員が前方
へ移動してステアリングホィールに衝突する状態時)
に、この二次衝突エネルギーを効果的に吸収して乗員を
保護するという観点から、ステアリングシャフトの車体
側への支持状態を解除してその車体前方側への移動を可
能とすべく、上記ステアリングシャフトの車体側への支
持機構を離脱可能な構造としている。
【0003】図8には、離脱可能な構造をもつ従来のス
テアリングシャフト支持機構の一例を示している。同図
において、符号41はその一端41aにステアリングホ
ィール43が取り付けられたステアリングシャフト、4
2は上記ステアリングシャフト41を内挿支持するステ
アリングコラム、44は上記ステアリングコラム42に
設けられたコラムブラケットである。また、符号45
は、チィルトブラケットであって、該チィルトブラケッ
ト45には上記コラムブラケット44がチィルトボルト
47によって締結固定されるとともに、上記ステアリン
グシャフト41の上方位置に配置された車体側部材(図
示省略)に対してチィルトブラケット45により締結固
定されるものであり、従って上記ステアリングシャフト
41はこのチィルトブラケット45を介して上記車体側
部材に支持されることになる。そして、このチィルトブ
ラケット45と車体側部材との連結部分に次述の離脱可
能な支持機構が設けられている。
【0004】即ち、上記チィルトブラケット45は、車
体側部材への取付部となる左右一対のフランジ部45
a,45aを備えている。このフランジ部45aには、
車体後方側に開口して車体前後方向に延びる切欠溝穴4
8が形成されている。従って、この切欠溝穴48部分に
上記取付ボルト49を挿通しこれを上記車体側部材側に
設けたナット部材(図示省略)に螺合させることで、上
記チィルトブラケット45が上記車体側部材に締着固定
され、結果的に上記ステアリングシャフト41が車体側
部材に支持されることになる。
【0005】一方、自動車の衝突に伴う二次衝突によ
り、上記ステアリングシャフト41にこれを前方へ押圧
するような荷重が入力された場合には、本来的には、車
体側部材側に上記取付ボルト49を残した状態で、上記
チィルトブラケット45が車体前方側へ移動し上記切欠
溝穴48から上記取付ボルト49が外れることで上記ス
テアリングシャフト41が上記車体側部材から離脱しそ
の前方側への移動が許容されるが、実際上は、上記取付
ボルト49の締付力が直接的に上記チィルトブラケット
45のフランジ部45aと上記車体側部材との間に作用
する構造であるため、該取付ボルト49の締付トルクの
適否が上記ステアリングシャフト41の離脱荷重(即
ち、該ステアリングシャフト41を離脱させるに必要な
荷重)に直接的に影響し、離脱性能の信頼性が確保しに
くいという問題があった。
【0006】このため、上記チィルトブラケット45の
上記フランジ部45aの上記切欠溝穴48に対応する部
位に、その表面にテフロン等の滑性材をコーティングし
た板材を二つ折りするとともにその折曲側端部に開口す
る切欠溝穴53を設けた第1スライド部材51と、同じ
く滑性材をその表面にコーティングした板材を二つ折り
するとともにその中央部分に長穴54を設けた第2スラ
イド部材52とを、それぞれ上記フランジ部45aを上
下方向に挟み込むようにして積層状態で装着し、これら
一対のスライド部材51,52を介在させた状態で、上
記チィルトブラケット45のフランジ部45aを上記取
付ボルト49によって上記車体側部材に締着固定する構
造とすることで、上記取付ボルト49により締め付けら
れる衝合部分の摩擦係数を低減させ、上記取付ボルト4
9の締付トルクの適否が上記離脱荷重に与える影響を可
及的に排除し、もって該離脱荷重の安定化を図るように
している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
滑性材をコーティングした一対のスライド部材51,5
2を上記チィルトブラケット45のフランジ部45aと
車体側部材との間に介在させて締着固定する構造のステ
アリングシャフト支持機構においては、部品点数が多く
その組付作業が煩雑であるとともに、滑性材そのものが
高価であること等から、製造コストが高くつくという問
題があった。
【0008】そこで本願発明では、部品点数が少なく且
つ構造が簡単で、しかも安価な素材の使用により、製造
コストの大幅な低減を可能としたステアリングシャフト
の支持機構を提供することを目的としてなされたもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題
を解決するための具体的手段として次のような構成を採
用している。本願の第1の発明にかかるステアリングシ
ャフトの支持機構では、ステアリングシャフト1をこれ
に取り付けられた支持ブラケット5を介して車体側部材
8に支持するものにおいて、上記支持ブラケット5の上
記車体側部材8への固定部となるフランジ部5bに車体
後方側へ開口する切欠溝穴9を設けるとともに該支持ブ
ラケット5をそのフランジ部5bの両側面5b1,5b2
のうちの一方の側面5b1を上記車体側部材8に向けた
状態で配置する一方、上記支持ブラケット5の上記フラ
ンジ部5bにおける上記切欠溝穴9に対応する部位に、
所定間隔をもって対向する一対のスライドピース21,
22を備えるとともに該一対のスライドピース21,2
2のいずれか一方にはこれら両者の対向間隔を上記フラ
ンジ部5bの厚さ寸法より所定寸法だけ大きい値に保持
するスペーサ26を設けるとともに他方にはその表面か
ら対向間隔内に上記所定寸法以上に突出する突出部29
を設け、又は該一対のスライドピース21,22のいず
れか一方に上記スペーサ26と突出部29とを共に設け
てなるスライド部材20を、上記突出部29が設けられ
た側のスライドピース21又は22を上記フランジ部5
bの他方の側面5b2側に位置させた状態で該フランジ
部5bを上記一対のスライドピース21,22により挟
むようにして装着するとともに、上記支持ブラケット5
のフランジ部5bと該フランジ部5bに装着された上記
スライド部材20とを、上記切欠溝穴9を通して且つ上
記スペーサ26にその軸力がかかるようにして配置され
る取付ボルト10により上記車体側部材8側に一体的に
締着固定したことを特徴としている。
【0010】本願の第2の発明では、上記第1の発明に
かかるステアリングシャフトの支持機構において、上記
スライド部材20の上記スペーサ26と突出部29との
中間部位に、上記突出部29とこれが当接する上記支持
ブラケット5のフランジ部5bとの間に作用する押圧力
を調整する押圧力調整部28を設けたことを特徴として
いる。
【0011】
【発明の効果】本願発明にかかるステアリングシャフト
の支持機構によれば次のような効果が得られる。
【0012】 本願の第1の発明にかかるステアリン
グシャフトの支持機構によれば、上記支持ブラケット5
の上記フランジ部5bにおける上記切欠溝穴9に対応す
る部位に、上記スライド部材20を、上記突出部29が
設けられた側のスライドピース21又は22を上記フラ
ンジ部5bの他方の側面5b2側に位置させた状態で該
フランジ部5bを挟むようにして装着するとともに、上
記支持ブラケット5のフランジ部5bと上記スライド部
材20の各スライドピース21,22とを、上記切欠溝
穴9を通して且つ上記スペーサ26にその軸力がかかる
ようにして配置される取付ボルト10により上記車体側
部材8側に締着するようにしているので、上記スライド
部材20の各スライドピース21,22は、上記スペー
サ26によってその対向間隔が上記支持ブラケット5の
フランジ部5bの厚さ寸法より大きな値に保持されたま
ま上記取付ボルト10の締付力によって上記車体側部材
8側に締着固定される。
【0013】一方、上記支持ブラケット5のフランジ部
5bは、上記スライド部材20の上記各スライドピース
21,22のうちのいずれか一方のスライドピース21
又は22に設けられた上記突出部29と、該突出部29
が設けられていない側のスライドピース22又は21の
上記対向間隔に臨む面との間で挟持される。この場合、
上記各スライドピース21,22の対向間隔が、上記フ
ランジ部5bの厚さ寸法と上記突出部29の突出寸法と
の和よりも小さな寸法に設定されているので、上記突出
部29が設けられた側のスライドピース21又は22は
これに対向する他方のスライドピース22又は21から
離間する方向に撓曲変形し、その弾性復元力は上記突出
部29と他方のスライドピース22又は21との間にお
ける上記支持ブラケット5のフランジ部5bに対する挟
着力として作用し、上記フランジ部5bはこの挟着力に
よって上記車体側部材8側に支持される。
【0014】従って、二次衝突時における上記支持ブラ
ケット5の離脱荷重は、上記突出部29が設けられた側
のスライドピース22又は22の撓曲変形に起因する挟
着力により支配され、上記取付ボルト10の締付力の影
響を受けないので、二次衝突時における上記支持ブラケ
ット5の離脱性能、即ち、上記ステアリングシャフト1
の離脱性能が適正に且つ安定して得られ、それだけ支持
機構としての作動上の信頼性が高められるものである。
【0015】また、上記の如き信頼性の高い離脱性能を
上記スライド部材20の付設のみによって実現すること
ができ、且つその構造も簡単であり、しかも上記取付ボ
ルト10の締付力が離脱荷重に及ぼす影響をその構造的
に排除していることで従来のような滑性材をコーティン
グした素材を使用することなく安価な素材でこれを構成
することができる、等のことから、ステアリングシャフ
トの支持機構をより安価に提供できるものである。
【0016】 本願の第2の発明にかかるステアリン
グシャフトの支持機構によれば、上記スライド部材20
の上記スペーサ26と突出部29との中間部位に、上記
突出部29とこれが当接する上記支持ブラケット5のフ
ランジ部5bとの間に作用する押圧力を調整する押圧力
調整部28を設けているので、この押圧力調整部28に
よって上記押圧力を調整することで、上記突出部29が
設けられた側のスライドピース22又は22の撓曲変形
に起因する上記挟着力、即ち、上記ステアリングシャフ
ト1の離脱荷重を支配する挟着力を、上記スペーサ26
あるいは上記突出部29の形状寸法を変更することなく
容易に且つ任意に変更設定することができ、この結果、
離脱性能のより緻密な調整によってその信頼性をさらに
高めることができるとともに、対象車種毎に異なる離脱
性能が要求される場合にも容易にこれに対応することが
できその適用範囲の拡大が図れるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本願発明にかかるステアリ
ングシャフトの支持機構を好適な実施形態に基づいて具
体的に説明する。
【0018】図1には、本願発明の実施形態にかかるス
テアリングシャフト支持機構を備えた自動車のステアリ
ング装置の要部を示している(尚、ここでは、上記支持
機構に加えて、チィルト機能を備えたものを一例として
示している)。
【0019】図1において、符号1はその一端1aにス
テアリングホィール3が取り付けられるとともにその他
端側を中心として上下方向に揺動可能とされたステアリ
ングシャフトであって、該ステアリングシャフト1は筒
状のステアリングコラム2内に内挿状態で支持されてい
る。また、このステアリングコラム2には、略コ字状の
断面形状をもつ折曲板体でなるコラムブラケット4が固
着されている。
【0020】上記コラムブラケット4は、上記ステアリ
ングシャフト1の上方側に配置された車体側部材8(図
2を参照)に締着固定されるチィルトブラケット5(特
許請求の範囲中の「支持ブラケット5」に該当する)に
対してチィルトボルト7により連結固定されている。
尚、上記コラムブラケット4は、上記チィルトボルト7
をこれに取り付けられたチィルトレバー6を回動操作し
て緩めることで上記チィルトブラケット5に対して上下
方向に移動可能とされ、且つ所定の回動位置において再
度上記チィルトレバー6の回動操作により上記チィルト
ボルト7を締め込むことでその位置で位置保持されるも
のであり、かかる作動の実現により上記ステアリングシ
ャフト1のチィルト機能が達成される。
【0021】ところで、上記チィルトブラケット5は、
上述のように上記車体側部材8に対して取付ボルト10
により締着固定されて、通常時(即ち、自動車の非衝突
時)は上記ステアリングホィール3の操作を可能とする
一方、自動車の衝突に伴う二次衝突時には上記車体側部
材8側から離脱して上記ステアリングシャフト1の車体
前方側への移動を許容して衝突エネルギーの吸収を行う
ように機能することが要求される。かかる二次衝突時の
離脱機能と通常時のステアリング操作機能とを両立させ
るために、この実施形態のものにおいては、以下に述べ
るような特有の構成が採用されている。
【0022】即ち、上記チィルトブラケット5は、上記
コラムブラケット4をその両側方から挟持する左右一対
の側壁5a,5aと、上記車体側部材8への取付部とな
る左右一対のフランジ部5b,5bとを備えている。ま
た、このフランジ部5b,5bは、上記側壁5a,5a
の上端に連続してこれからそれぞれ側方へ延出する所定
厚さの板状体で構成されるものであって、該各フランジ
部5b,5bにはその車体後方側の端縁に開口し且つ車
体前後方向に延びる切欠溝穴9がそれぞれ形成されてい
る。そして、この各フランジ部5b,5bの上記切欠溝
穴9に対応する部位には、それぞれ次述するスライド部
材20が装着され、該各フランジ部5b,5bはここに
装着された該スライド部材20,20を介在させた状態
で、上記取付ボルト10,10により上記車体側部材8
側に固定支持される。
【0023】上記スライド部材20は、図3〜図6に示
すように、所定間隔をもって対向する矩形板材でなる第
1スライドピース21と第2スライドピース22とを、
これらそれぞれの一端縁において弧状形態をもつ連結部
23により一体的に連結して構成されており、該各スラ
イドピース21,22は、上記連結部23の弾性によっ
て、その接離方向に所定の弾性力を保有した状態でその
対向姿勢が保持されている(尚、実際のスライド部材2
0の製作に際しては、通常、板材に打ち抜き加工を施し
て上記第1スライドピース21と第2スライドピース2
2とにそれぞれ対応する部分とこれら両者を連続させる
帯板状部分とを備えた一次成形品を製作し、この一次成
形品を上記帯板状部分において二つ折り状に折曲させて
形成することになる)。
【0024】上記第1スライドピース21には、その平
面方向略中央部にその板材の一部を裏面側(上記第2ス
ライドピース22に対向する側)にそれぞれ切り起こ
し、その切り起こし跡を略矩形の開口25とするととも
に、該開口25の左右両縁に位置する一対の切り起こし
片をそれぞれスペーサ26,26としている。尚、この
各スペーサ26,26の先端は、上記スライド部材20
の自由状態において、それぞれ上記第2スライドピース
22の表面に当接し、該第1スライドピース21と第2
スライドピース22との間隔を該スペーサ26の高さ寸
法に相当する寸法に規定し且つ保持する如く機能してい
る。
【0025】一方、上記第2スライドピース22は、図
5に示すように、上記第1スライドピース21よりも所
定寸法だけ幅広の平面形態をもっている。そして、この
第2スライドピース22は、図3及び図6に示すよう
に、上記第1スライドピース21の開口25に対応する
位置に長穴状の開口27を設けるとともに、該開口27
の短軸方向の側縁寄りで且つ上記第1スライドピース2
1との対向方向において該第1スライドピース21の側
縁近傍に対応する位置(図5参照)を該第2スライドピ
ース22の表面側(即ち、上記第1スライドピース21
に対向する面の反対側面)から小半球状に膨出変形させ
てその裏面側(即ち、上記第1スライドピース21に対
向する面側)に突出する突出部29をそれぞれ形成して
いる。さらに、この左右一対の突出部29,29と上記
開口27との中間位置には、該開口27の長軸方向に延
びるスリット28,28をそれぞれ形成している(この
実施形態においては、このスリット28が特許請求の範
囲中の「押圧力調整部」に該当する)。尚、このスリッ
ト28と上記開口27との中間部分は、上記第1スライ
ドピース21側の上記スペーサ26の当接部となる。
【0026】ここで、上記突出部29の上記第2スライ
ドピース22の裏面からの突出高さは、上記スペーサ2
6によって規定される上記第1スライドピース21と第
2スライドピース22の対向間隔と、上記チィルトブラ
ケット5のフランジ部5bの厚さとに対応して相対的に
設定されるものであって、具体的には、上記対向間隔寸
法と上記フランジ部5bの厚さ寸法との差分よりも所定
寸法だけ大きな寸法に設定される。
【0027】続いて、このように構成された上記スライ
ド部材20の使用形態及びこれを用いて上記チィルトブ
ラケット5を上記車体側部材8側に固定支持した場合の
作用効果等について説明する。
【0028】ステアリング装置の搬送時 ステアリング装置は、図1に実線図示するように、上記
ステアリングシャフト1を内挿支持したステアリングコ
ラム2を、上記チィルトボルト7により上記チィルトブ
ラケット5を締着固定するとともに、上記チィルトブラ
ケット5のフランジ部5b,5bにそれぞれ上記スライ
ド部材20,20を弾圧嵌装したアセンブリ状態で搬送
される。従って、この搬送状態においては、上記スライ
ド部材20は、図2に実線図示するように、上記チィル
トブラケット5のフランジ部5bを上記第1スライドピ
ース21の裏面と上記第2スライドピース22側の上記
突出部29の先端部分との間で挟着した状態で保持さ
れ、その挟着力は上記連結部23の弾性力に依存してい
る。この場合、この実施形態においては、上記取付ボル
ト10により上記スライド部材20を上記車体側部材8
側に締着する場合において、上記連結部23の弾性が上
記取付ボルト10の締結作用に及ぼす影響を可及的に少
ならしめるべく該連結部23は幅寸法を小さくしてその
弾性力を小さく設定しているが、上記アセンブリ状態で
の搬送時の揺れ等によって上記スライド部材20が上記
チィルトブラケット5のフランジ部5bから離脱するこ
とが懸念されるような場合には、例えば図6に鎖線図示
するように、上記連結部23の幅寸法を適宜拡大させて
その弾性力の増大を図ることは可能である。
【0029】車体側への取付状態 上記ステアリング装置を上記車体側部材8に取り付ける
場合には、先ず、上記スライド部材20が上記チィルト
ブラケット5のフランジ部5bに対して所定状態で取り
付けられていることを確認する。即ち、図2に示すよう
に、上記スライド部材20の第1スライドピース21が
上記フランジ部5bの上面側(即ち、上記車体側部材8
への締着面側)に位置しているかどうかを確認する。ま
た、この際、上記スライド部材20の第1スライドピー
ス21側に設けた上記各スペーサ26,26が上記フラ
ンジ部5b側の上記切欠溝穴9内に嵌入し、該切欠溝穴
9が上記スライド部材20側の各開口25及び開口27
と重合していることも確認する。
【0030】しかる後、上記チィルトブラケット5の各
フランジ部5b,5bを、それぞれ上記スライド部材2
0,20を介在させた状態で上記車体側部材8に衝合配
置し、且つ上記フランジ部5b,5bの下面側から上記
スライド部材20の各開口25,27を通して取付ボル
ト10を嵌挿しこれを上記車体側部材8側のナット11
に螺合させ、該取付ボルト10を締め込む。
【0031】この場合、上記チィルトブラケット5のフ
ランジ部5bは上記取付ボルト10によって直接締め付
けられることはなく、該取付ボルト10の締付力は、上
記スペーサ26,26によってその対向間隔が一定に保
持されている上記第1スライドピース21,22を上記
車体側部材8側に締着する締着力としてのみ作用する。
一方、上記チィルトブラケット5のフランジ部5b
は、その上面側が上記スライド部材20の第1スライド
ピース21を介して上記車体側部材8側に対向されると
ともに、その下面側には上記第2スライドピース22に
設けた上記突出部29の先端部分が当接している。しか
も、この第1スライドピース21は、その開口27の口
縁部分が上記取付ボルト10によって固定保持される一
方、上記突出部29側の部分は非拘束状態となり且つ上
記開口27の口縁近傍と上記突出部29の近傍との間に
おいて撓曲変形可能とされている。さらに、上記スペー
サ26により規定される上記第1スライドピース21と
第2スライドピース22の間隔は、上記フランジ部5b
の厚さ寸法と上記突出部29の突出寸法との和よりも小
さな寸法に設定されている。従って、これらの相乗作用
として、上記チィルトブラケット5のフランジ部5b
は、上記スライド部材20の第1スライドピース21と
上記第2スライドピース22の突出部29との間におい
て、該第2スライドピース22の撓曲変形に基づく弾性
復元力によって弾性的に支持されることになる。
【0032】このように、上記チィルトブラケット5の
フランジ部5b,5bを上記スライド部材20を介して
上記車体側部材8側に弾性的に支持する構造によれば、
通常時(非衝突時)においては上記チィルトブラケット
5は上記車体側部材8側に上記スライド部材20を介し
て支持されることで上記ステアリングホィール3による
ステアリング操作が可能とされる。
【0033】これに対して、自動車の衝突に伴う二次衝
突時には、上記チィルトブラケット5に対してこれを車
体前方へ移動させる方向の荷重が入力される。すると、
上記チィルトブラケット5のフランジ部5bは上記スラ
イド部材20の第2スライドピース22の弾性復元力に
よる挟着力によって上記車体側部材8側に支持されてい
るので、該フランジ部5bは上記スライド部材20の第
1スライドピース21と第2スライドピース22の突出
部29の間を滑って容易に前方へ移動し、上記車体側部
材8から迅速に離脱されることになる。この上記チィル
トブラケット5の上記車体側部材8からの迅速な離脱に
よって、二次衝突エネルギーの吸収作用が的確に行わ
れ、乗員の保護が図られるものである。
【0034】以上に述べたように、この実施形態のステ
アリングシャフトの支持機構によれば、二次衝突時にお
ける上記チィルトブラケット5の離脱荷重は、上記突出
部29が設けられた上記第2スライドピース22の撓曲
変形に起因する挟着力により支配され、上記取付ボルト
10の締付力の影響を受けないので、二次衝突時におけ
る上記チィルトブラケット5の離脱性能、即ち、上記ス
テアリングシャフト1の離脱性能が適正に且つ安定して
得られ、それだけ支持機構としての作動上の信頼性が高
められるものである。
【0035】また、上記の如き信頼性の高い離脱性能を
上記スライド部材20の付設のみによって実現すること
ができ、且つその構造も簡単であり、しかも上記取付ボ
ルト10の締付力が離脱荷重に及ぼす影響を構造的に排
除していることで、従来のような滑性材をコーティング
した素材を使用することなく安価な素材でこれを構成す
ることができる、等のことから、ステアリングシャフト
の支持機構をより安価に提供できるものである。
【0036】さらに、上記チィルトブラケット5の離脱
荷重を支配する上記第2スライドピース22の撓曲変形
に伴う弾性復元力による挟着力は、該第2スライドピー
ス22に設けられる上記スリット28の大きさ・形状等
を適宜変更設定することで、上記スペーサ26あるいは
上記突出部29の形状寸法を変更することなく、容易に
且つ任意に変更設定することができる。この結果、離脱
性能のより緻密な調整によってステアリングシャフト支
持機構の信頼性をさらに高めることができるとともに、
対象車種毎に異なる離脱性能が要求される場合にも容易
にこれに対応することができ、その適用範囲の拡大が図
れるものである。
【0037】その他 (1)図7には、上記実施形態にかかるスライド部材2
0の変形構造例を示している。即ち、この構造例におい
ては、上記実施形態においては上記突出部29を半球状
の突起で構成していたのに対して、上記第2スライドピ
ース22の一部を山形に折曲させてこれを上記突出部2
9として利用するようにしたものである。かかる構成に
よっても上記実施形態の場合と同様の作用効果が得られ
ることは勿論である。
【0038】(2)上記実施形態及び上記変形構造例に
おいては、共に、上記スペーサ26を上記第1スライド
ピース21側に、上記突出部29を上記第2スライドピ
ース22側に、それぞれ別個に設けるようにしている
が、本願発明はかかる分散配置構成に限定されるもので
はなく、例えば上記スペーサ26と突出部29を共に上
記第2スライドピース22側に設ける構成とすることも
できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施形態にかかるステアリングシャ
フトの支持機構の具体的構造を示す一部分解斜視図であ
る。
【図2】図1のII−II拡大断面図である。
【図3】図1に示したスライド部材の拡大斜視図であ
る。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】図3のV−V矢視図である。
【図6】図4のVI−VI矢視図である。
【図7】図3に示したスライド部材の他の構造例を示す
斜視図である。
【図8】従来のステアリングシャフトの支持機構の具体
的構造を示す一部分解斜視図である。
【符号の説明】 1はステアリングシャフト、2はステアリングコラム、
3はステアリングホィール、4はコラムブラケット、5
はチィルトブラケット、6はチィルトレバー、7はチィ
ルトボルト、8は車体側部材、9は切欠溝穴、10は取
付ボルト、20はスライド部材、21は第1スライドピ
ース、22は第2スライドピース、23は連結部、25
は開口、26はスペーサ、27は開口、28はスリッ
ト、29は突出部である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングシャフト(1)をこれに取
    り付けられた支持ブラケット(5)を介して車体側部材
    (8)に支持するステアリングシャフトの支持機構であ
    って、 上記支持ブラケット(5)は、上記車体側部材(8)へ
    の固定部となるフランジ部(5b)に車体後方側へ開口
    する切欠溝穴(9)が設けられるとともに該フランジ部
    (5b)の両側面(5b1),(5b2)のうちの一方の
    側面(5b1)を上記車体側部材(8)に向けた状態で
    配置される一方、 上記支持ブラケット(5)の上記フランジ部(5b)に
    おける上記切欠溝穴(9)に対応する部位には、所定間
    隔をもって対向する一対のスライドピース(21),
    (22)を備えるとともに該一対のスライドピース(2
    1),(22)のいずれか一方にはこれら両者の対向間
    隔を上記フランジ部(5b)の厚さ寸法より所定寸法だ
    け大きい値に保持するスペーサ(26)が設けられると
    ともに他方にはその表面から対向間隔内に上記所定寸法
    以上に突出する突出部(29)が設けられ、又は該一対
    のスライドピース(21),(22)のいずれか一方に
    上記スペーサ(26)と突出部(29)とが共に設けら
    れてなるスライド部材(20)が、上記突出部(29)
    が設けられた側のスライドピース(21又は22)を上
    記フランジ部(5b)の他方の側面(5b2)側に位置
    させた状態で該フランジ部(5b)を上記一対のスライ
    ドピース(21),(22)により挟むようにして装着
    されるとともに、 上記支持ブラケット(5)のフランジ部(5b)と該フ
    ランジ部(5b)に装着された上記スライド部材(2
    0)とが、上記切欠溝穴(9)を通して且つ上記スペー
    サ(26)にその軸力がかかるようにして配置される取
    付ボルト(10)により上記車体側部材(8)側に一体
    的に締着固定されていることを特徴とするステアリング
    シャフトの支持機構。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記スライド部材(20)の上記スペーサ(26)と突
    出部(29)との中間部位に、上記突出部(29)とこ
    れが当接する上記支持ブラケット(5)のフランジ部
    (5b)との間に作用する押圧力を調整する押圧力調整
    部(28)が設けられていることを特徴とするステアリ
    ングシャフトの支持機構。
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