JPH0745586B2 - 撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法 - Google Patents

撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法

Info

Publication number
JPH0745586B2
JPH0745586B2 JP61282096A JP28209686A JPH0745586B2 JP H0745586 B2 JPH0745586 B2 JP H0745586B2 JP 61282096 A JP61282096 A JP 61282096A JP 28209686 A JP28209686 A JP 28209686A JP H0745586 B2 JPH0745586 B2 JP H0745586B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
organosilane compound
protective layer
water
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP61282096A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63135435A (ja
Inventor
秀一 岡本
健 森脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP61282096A priority Critical patent/JPH0745586B2/ja
Publication of JPS63135435A publication Critical patent/JPS63135435A/ja
Publication of JPH0745586B2 publication Critical patent/JPH0745586B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、被覆層の形成されてなるプラスチック成形体
の製造方法に関し、特に被覆剤の特性にもとづく優れた
特性を有する撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法
に関するものである。
[従来の技術] プラスチック成形体は、プラスチック自身の有する特性
を活かして各種分野に広く使用されている。例えば、プ
ラスチックの透明性を活かして各種窓ガラス代替品、屋
根材、透明防音壁、屋外灯保護材、車輌用照明灯・風防
などに使用されている。
しかしながら、プラスチック成形体はその有用な特性を
有する一方で傷がつき易く、これによって透明性が低下
するという耐擦傷性に劣るという欠点を有している。さ
らに、吸湿性を有することから、空気中の湿分や雨滴な
どによって変質、劣化が進行し、光沢や透明性が低下す
るという耐湿性に劣るという欠点をも有していて用途面
が制約されることもある。
上記のような欠点に対する手段として従来より、例えば
オルガノポリシロキサンを主成分とする被覆剤をプラス
チック成形体の表面に塗装して加熱硬化させることによ
って耐擦傷性被覆層を形成させる方法(米国特許第4210
699号、同第4224378号、同第423720号)が知られてい
る。また、耐湿性を向上せしめるために、プラスチック
表面に例えば、フッ素系、シリコン系、ジルコニア系な
ど種々の撥水撥油性を処理して撥水撥油性を有する被膜
を形成させる方法が知られている。かかる撥水撥油剤に
おいて、フッ素系によって形成される被膜は表面自由エ
ネルギーが低いことから、撥水撥油性に最も優れてい
て、しかも化学的に安定であり、耐薬品にも優れてい
る。
[発明の解決しようとする問題点] 前記の如きオルガノポリシロキサンを主成分とする耐擦
傷性被覆層は加熱硬化されて形成されるが、加熱硬化後
においても被覆層の表面には未反応のシラノール基が残
存していて、これが徐々に縮合反応を起こし、この進行
に伴いクラックが発生したり、また、シラノール基と結
合し得る水垢、埃などが付着し、それが汚染の原因とな
り、しかも結合が強固であって、汚染を除去し難くする
という問題がある。さらに、吸湿することによってシリ
カ成分の溶出、被覆層の付着性の低下を招き易いという
問題点を有している。
一方、従来の撥水撥油剤による処理は、撥水撥油剤をプ
ラスチック成形体の表面に直接塗布あるいは撥水撥油剤
中にプラスチック成形体を浸漬することによって被膜を
形成させる方法よりなるが、一般に撥水撥油剤は表面自
由エネルギーが低いために、上記の如き処理方法では塗
布ムラや被膜の不均質化を生じ易い。また、プラスチッ
クに対する接着力が弱いために被膜の耐久性に難点があ
った。したがって、撥水撥油処理に際し、プラスチック
表面を例えばプラズマ処理する方法、プラスチックに含
まれる活性水素やプラスチック表面に存在する水分との
化学的反応を利用する方法(特開昭57−151628号公
報)、プラスチック表面に予め塗布するシランカップリ
ング剤に含まれるシラノール基と撥水撥油剤に含まれる
シラノール基との縮合反応を利用する方法(特開昭60−
40254号公報)が開示されている。しかるに、上記のプ
ラスチックに含まれる活性水素やプラスチック表面に存
在する水分との化学的反応を利用する方法ではプラスチ
ック表面の活性点と処理剤の反応性に難点があり、初期
特性や効果の持続性が予期されるほどのものではない。
また、シラノール基相互の縮合反応を利用する方法で
は、プラスチック表面に予め塗布するシランカップリン
グ剤の被膜を半硬化の状態に保って撥水撥油剤を塗布
し、加熱することによって縮合反応により硬化させ被膜
を形成させるために工程が煩雑となるという問題点もあ
る。
[問題点を解決するための手段] 本発明の目的は、前述の問題点を解消し、被覆層の形成
されてなるプラスチック成形体において、被覆剤の特性
にもとづく優れた性能を有する撥水撥油性プラスチック
成形体の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、プラスチック成形体表面に加水分解性
オルガノシラン化合物の加水分解物あるいはそれを含む
保護層を形成し、次いで該保護層の表面に気体状のポリ
フルオロアルキル基含有オルガノシラン化合物を接触反
応させることを特徴とする撥水撥油性プラスチック成形
体の製造方法である。
本発明におけるプラスチック成形体は、例えばポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、
ポリオールポリアリルカーボネートなどの透明性材料か
らなる成形体であるのが好適である。かかる成形体にお
いて、表面に例えば、アクリル系樹脂材料、その他の熱
可塑性樹脂系材料などによる硬化層の設けられた成形
体、あるいはその他の材料からなる成形体・積層体な
ど、それらの表面に被覆層の下層である保護層が形成さ
れうる材料からなる成形体であれば特に限定されない。
本発明における保護層は、加水分解性オルガノシラン化
合物の加水分解物を含有することが必要である。この保
護層は表面にシラノール基が存在すると考えられ、これ
によって後述のポリフルオロアルキル基含有オルガノシ
ラン化合物が保護表面に接触した際シロキサン結合が生
じてポリフルオロアルキル基含有オルガノシラン化合物
の残基が保護層表面に結合するものと考えられる。保護
層は加水分解性オルガノシラン化合物やその部分加水分
解物、またはそれらとバインダー成分などの添加成分を
含む組成物を塗布硬化することによって形成される。保
護層形成用の材料としては、従来ハードコート用塗料あ
るいはシランカップリング剤と呼ばれているものが適当
である。特に、加熱縮合硬化型のオルガノシラン化合物
あるいはその部分加水分解物の溶液、シランカップリン
グ剤溶液、加水分解性基含有シリル基を側鎖に有する重
合体の溶液などが好ましい。
加水分解性オルガノシラン化合物は、ケイ素原子に結合
したアルコキシ基などの加水分解性基を少なくとも1個
有する化合物であり、好ましくは、さらにケイ素原子に
結合した炭素原子を含む有機基を少なくとも1個有する
化合物である。加水分解性オルガノシラン化合物は、一
般に下記式で表わさる化合物である。
A1〜A4の少なくとも2つは、アルコキシ基などの加水分
解可能な基である。また、好ましくは少なくとも1つが
上記有機基(重合体の残基を含む)である。最も好まし
くは、A1〜A4の1つが上記有機基であり、他の3つが加
水分解可能な基である。有機基が少なくとも1個の官能
性基(エポキシ基、アミノ基、α,β−不飽和基、メル
カプト基、イソシアネート基、塩素原子、水酸基など)
を有するオルガノシラン化合物を本発明ではシランカッ
プリング剤と呼ぶ。官能性基を有しない有機基(アルキ
ル基など)を有するかあるいは有しないオルガノシラン
化合物を本発明では加熱縮合硬化型のオルガノシラン化
合物という。また、重合体鎖を有するオルガノシラン化
合物を加水分解性シリル基含有重合体という。加水分解
性基としては、アルコキシ基が最も好ましいが、これに
限られずアルカノール以外のアルコールからその水酸基
の水素原子を除いた基、種々のアシルオキシ基、アルケ
ニルオキシ基、アミノオキシ基、オキシム基などであっ
てもよい。アルコキシ基としては炭素数8以下のアルコ
キシ基、特に炭素数4以下の低級アルコキシ基が好まし
く、メトキシ基が最も好ましい。以下、代表的な加水分
解性オルガノシラン化合物についてさらに説明する。
加熱縮合硬化型のオルガノシラン化合物は一般式 R1 aSi(OR24-a (式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8
のアルケニル基、フエニル基、アルコキシ基;R2は炭素
数1〜8のアルキル基;aは0〜3の整数) で表わされるアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮
合物が好ましく、これは一般的に容易に入手しうるもの
である。上記の加熱縮合硬化型のオルガノシラン化合物
には接着性、耐久性などの特性を向上させる目的で他の
添加物、例えば、微粒子状のシリカゾルなどを添加して
もよい。
次にシランカップリング剤としては、例えば NH2(CH22NH(CH22Si(OCH3、 NH2(CH23Si(OCH3、CH2=CHSi(OCH3 CH2=CHSi(OC2H5HS(CH23Si(OCH3、OCN(CH23Si(OCH3 Cl(CH23Si(OCH3 などに代表されるトリアルコキシシラン化合物が好まし
い。かかるシランカップリング剤は2種以上を併用、あ
るいは、接着性、耐久性などの特性を向上させる目的で
他の添加剤を添加してもよい。
さらに、加水分解性シリル基含有重合体としては、例え
ば、 などのα、β−不飽和基を有するシランカップリング剤
とそれと共重合しうるアルキルメタクリレートなどの他
のモノマーとを共重合させて得られる共重合体が好適に
使用しうる。ここで、アルキルメタクリレートとして
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート
などが好適であり、これらを2種以上併用して共重合さ
せたものでもよい。共重合体中に含まれるシランカップ
リング剤の量は1〜90重量%であるのが望ましく、量が
少ないと、上層に形成されるポリフルオロアルキル基含
有シリル化合物の薄膜との密着性が低下し、一方、多量
にすぎると共重合体としてのガラス転移温度が低くなり
所要の硬度は得られず、上層にポリフルオロアルキル基
含有シリル化合物の薄膜の形成処理に際し、クラックを
生ずるという問題がある。よって、シランカップリング
剤の量は5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%で
ある。
上記の如き加水分解性オルガノシラン化合物あるいはそ
の部分加水分解物はプラスチック成形体の表面に直接、
あるいは予め形成されてなる硬化層上への処理におい
て、処理を容易とするために適当な溶剤によって希釈さ
れる。溶剤の量は、処理の難易性と形成される保護層と
しての被覆層の厚さとの関係において適宜決定される。
保護層の上に形成される最上層のポリフルオロアルキル
基含有オルガノシラン化合物薄膜層はポリフルオロアル
キル基含有ハロシラン化合物を処理することによって形
成される。かかるポリフルオロアルキル基含有ハロシラ
ン化合物としては、一般式 Rf(CH22SiX3 (式中、Rfは炭素数4〜16のポリフルオロアルキル基、
Xはハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基であり、Xの
少なくとも1つはハロゲンである) で表わされる化合物が好ましい。Rfとしては、特にパー
フルオロアルキル基が好ましい。上記式の化合物におい
てXで表わされるハロゲンとしてはClであるのが好適で
ある。上記式に従ったポリフルオロアルキル基含有ハロ
シラン化合物は2種以上を併用してもよい。
本発明の撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法にお
いて、保護層の形成方法は加水分解性オルガノシラン化
合物あるいはその部分加水分解物またはその溶剤希釈液
をプラスチック成形体の表面に直接または、成形体に予
め形成されている硬化層上に通常行なわれる塗布方法、
例えば刷毛塗り、ロール塗り、吹付け及び浸漬法などに
よって塗布し、しかる後、室温で乾燥することによって
行なわれる。保護層の厚さは0.5μ以上であるのが好ま
しいが、必要以上に厚くする必要はなく、10μ位までで
あれば充分である。一方、極端に薄いと膜強度が維持さ
れず、特性の優れた保護層を得ることが困難となる。
最上層としてのポリフルオロアルキル基含有オルガノシ
ラン化合物の薄膜の形成方法は、保護層表面とポリフル
オアルキル基含有オルガノシラン化合物との固体気相反
応によって行なわれる。固体気相応は具体的には、例え
ば保護層の形成された成形体を密閉容器に入れ、容器内
温度を60℃以上、好ましくは80℃以上に加温し、保護層
の表面にポリフルオロアルキル基含有オルガノシラン化
合物の蒸気を接触させる。この場合の接触状態に保持す
る時間、即ち、反応時間は5分以上、好ましくは10分以
上である。而して、反応温度と反応時間は用いられるポ
リフレオロアルキル基含有オルガノシラン化合物の種類
と形成される薄膜の所望の厚さによって適宜決定され
る。薄膜層厚さは経済的評価との関係で決定され必要以
上に厚くなると耐擦傷性に優れた保護層の特性を損なう
傾向があり、また経済的にも不利となる。実用上におい
て最上層の薄膜層の厚さは0.1μ以下であっても充分な
撥水撥油性が得られる。
かくして、本発明の製造方法にしたがえば、撥水撥油性
はもとより、耐擦傷性、摺動性、その他の特性に優れた
プラスチック成形体を得ることができる。
[作用] 本発明の撥水撥油性プラスチック成形体において、撥水
撥油性、その他の特性が付与される作用機構は必ずしも
明確ではないが、保護層が耐擦傷性を有し、また最上層
の薄膜層がポリフルオロアルキル基含有オルガノシラン
化合物よりなることにより撥水撥油性が付与され、特に
特性の持続性、耐久性などが良好なのは保護層の表面に
存在する活性部位としてのシラノール基とその上に処理
されるポリフルオロアルキル基含有オルガノシラン化合
物とが化学的に反応して結合することによるものと考え
られる。
[実施例] 合成例1 RfCH=CH2(但し、RfはCnF2n+1、nは6,8,10,12の混合
物で平均値9)49.6g(0.1モル)、HSiCl315.9g(0.16
モル)、H2PtCl6・6H2Oの50%イソプロパノール溶液0.2
gを内容積200mlのオートクレーブ中に入れ、撹拌しなが
ら、85℃で20時間反応させた。反応終了後、減圧蒸留に
よって60〜70℃/1〜2mmHgの留分を反応生成物として得
た。この反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析し
た結果Rf(CH22SiCl3であることが確認され、収率は9
5%であった。
合成例2〜3 合成例1におけるHSiCl3に代えてHSiCH3Cl2及びHSi(CH
32Clを用いた他は合成例1と同様に反応させて、反応
生成物としてRf(CH22SiCH3Cl2及びRf(CH22Si(CH
32Clを得た。
合成例4〜6 合成例1〜3におけるRfCH=CH2(但し、RfはCnF2n+1
nは6,8,10,12の混合物で平均値9)に代えてC4F9CH=C
H2を用いた他は合成例1〜3と同様に反応させて反応生
成物として、C4F9(CH22SiCl3,C4F9(CH22SiCH3Cl2
及びC4F9(CH22Si(CH32Clを得た。
合成例1〜6において得られた生成物と収率をまとめて
第1表に示す。
実施例1 メチルメタクリレート25部(重量部、以下同じ)とシラ
ンカップリング剤として 75部とをメチルエチルケトンに40重量%となるように加
え、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として70℃に
て8時間反応させて、共重合物を得た。この共重合物30
部にsec−ブチルアルコール70部を加えて保護層用被覆
剤を調製した。
別に、予め用意されたポリカーボネート板(“レキサン
9034":旭硝子社製品)を上記の被覆剤に浸漬した後引上
げて120℃にて乾燥し、保護層を形成した。このように
して保護層の形成されたポリカーボネート板を密閉容器
に入れ、120℃に加熱して、合成例1で得たポリフルオ
ロアルキル基を有するクロロシラン化合物の蒸気に120
分間接触させて、最上層の薄膜層を形成させて、被覆層
の設けられたポリカーボネート板を得た。
このポリカーボネート板について次のように特性を測定
を行なった。
撥水撥油性:水及びn−ヘキサデカンの接触角の測
定。
撥水撥油性の耐久性: a) イオン交換水中で2時間煮沸後のn−ヘキサデカ
ンの接触角の測定。
b) キシレン含浸脱脂綿を1kg荷重下に200回のラビン
グを行なった後のn−ヘキサデカンの接触角の測定。
耐擦傷性:ASTM CS−10における摩耗輪を用いて500g荷
重下に500回のテーバー試験を行ない、前後のヘーズ値
を測定。
硬度:JIS K−5400に従い1000g荷重下の鉛筆硬度を測
定。
汚れ性:カーボンブラック粉末の0.1%懸濁水を調製
し、試料にスプレーした後、60℃で20分間乾燥すること
を2回繰返し、水道水でシャワーすることを1サイクル
として6サイクル後のヘーズ値を測定。
上記の特性測定結果を第2表に示す。
実施例2 実施例1における最上層の薄膜層を合成例5で得たクロ
ロシラン化合物に代えて、その蒸気に80℃にて10分間接
触させた他は、実施例1と同様にして被覆層の形成され
たポリカーボネート板を得た。
このポリカーボネート板の特性を実施例1と同様に測定
した。その結果を第2表に示す。
実施例3〜4 ポリカーボネート板(“レキサン9034"旭硝子社製品)
の表面に市販のアクリル系塗料(“PH91":東芝シリコン
社製品)をプライマーとして塗布し、室温にて乾燥して
プライマー層を形成した。次にこのプライマー層上に市
販の加水分解性オルガノシラン化合物を用いた被覆剤
(“トスガード510":東芝シリコン社製品)を塗布して1
20℃に60分間保持して硬化させ、保護層を形成した。こ
のようにして保護層の形成されたポリカーボネート板を
密閉容器に入れ、80℃に加温して、合成例2または合成
例5のクロロシラン化合物の蒸気に10分間接触させて最
上層の薄膜層を形成し、被覆層の設けられたポリカーボ
ネート板を得た。
このポリカーボネート板の特性を実施例1と同様に測定
した。その結果を第2表に示す。
実施例5〜8 実施例3と同様にして下層膜の形成されたポリカーボネ
ート板を用いて、合成例3,4,5及び6のクロロシラン化
合物を用いて、第2表に示す処理条件にしたがって最上
層の薄膜層を形成させて、被覆層の設けられたポリカー
ボネート板を得た。
このポリカーボネート板の特性を実施例1と同様に測定
した。その結果を第2表に示す。
実施例9〜10 ポリメチルメタクリレート板の表面に市販の加水分解性
オルガノシラン化合物を用いた被覆剤(“トスガード52
0"東芝シリコン社製品)を塗布して、120℃に60分間保
持して硬化させ保護層を形成した。このようにして保護
層の形成されたポリメチルメタクリレート板を実施例3
または7と同様にしてクロロシラン蒸気に接触させて最
上層の薄膜層を形成し、被覆層の設けられたポリメチル
メタクリレート板を得た。
このポリメチルメタクリレート板の特性を実施例1と同
様に測定した。その結果を第2表に示す。
比較例1 ポリカーボネート板の表面を全く処理することなく、被
覆層の設けられていない状態における特性を実施例1と
同様に測定した。その結果を第2表に示す。
比較例2 ポリカーボネート板を密閉容器内に入れ、120℃に加熱
して合成例5のクロロシラン化合物の蒸気に120分間接
触させてポリカーボネート板の表面に直接薄膜層を形成
させた。
このポリカーボネート板について特性を実施例1と同様
に測定した。その結果を第2表に示す。
比較例3 ポリカーボネート板の表面に市販のアクリル系塗料
(“PH91":東芝シリコン社製品)をプライマーとして塗
布し、室温にて乾燥してプライマー層を形成した。次に
このプライマー層上に市販の前記被覆剤(“トスガード
510":東芝シリコン社製品)を塗布して120℃に60分間保
持して被覆を形成した。
このポリカーボネート板の特性を実施例1と同様に測定
した。その結果を第2表に示す。
実施例11、比較例4 実施例7及び比較例2で得られた被覆層の設けられたポ
リカーボネート板について、さらに次の特性を測定し
た。
すべり性:表面のすべり性をASTM D−1894の平面圧子
を用いて、ワイパー紙(“JKワイパー":十条キンバリ社
製品)との間の動摩擦抵抗及び静摩擦抵抗をHEIDON試験
装置(新東科学社製)にて50g荷重下で測定。
耐湿性:温度50℃、湿度98%条件下におけるn−ヘキ
サデカンの接触角の経時変化を測定。
それらの結果を第3表に示す。
[発明の効果] 本発明の撥水撥油性プラスチック成形体は、特性として
の撥水撥油性に関して、水の接触角、n−ヘキサデカン
の接触角の測定結果からも明らかなように極めて優れて
いる。したがって表面に汚れが付着し難く、一方付着し
た汚れは容易に除去することができる。しかも、撥水撥
油性は種々の過酷な条件を経た後においても劣化は全く
認められず、優れた耐久性を有している。
特に、従来より撥水撥油性と他の特性、例えば、耐擦傷
性、硬度、すべり性などを調和させて向上させることは
困難であるとされているが、本願発明の撥水撥油性プラ
スチック成形体は、これら特性の向上をも達成される。
さらに被覆層の形成された撥水撥油性プラスチック成形
体の製造方法として、薄膜層の形成には処理剤の蒸気を
応用することから、極めて均質な被覆層が形成されると
いう特徴を有していて、工程も簡略化されるという効果
も認められる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック成形体表面に加水分解性オル
    ガノシラン化合物の加水分解物あるいはそれを含む保護
    層を形成し、次いで該保護層の表面に気体状のポリフル
    オロアルキル基含有オルガノシラン化合物を接触反応さ
    せることを特徴とする被覆層を有する撥水撥油性プラス
    チック成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリフルオロアルキル基含有オルガノシラ
    ン化合物がポリフルオロアルキル基を有するハロシラン
    である特許請求の範囲第1項記載のプラスチック成形体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】加水分解性オルガノシラン化合物がアルコ
    キシシリル基を有する化合物である特許請求の範囲第1
    項記載のプラスチック成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】保護層が加水分解性オルガノシラン化合物
    あるいはその部分加水分解物を含む塗料組成物をプラス
    チック成形体表面に塗布硬化して形成された層である特
    許請求の範囲第1項記載のプラスチック成形体の製造方
    法。
JP61282096A 1986-11-28 1986-11-28 撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法 Expired - Fee Related JPH0745586B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61282096A JPH0745586B2 (ja) 1986-11-28 1986-11-28 撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61282096A JPH0745586B2 (ja) 1986-11-28 1986-11-28 撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63135435A JPS63135435A (ja) 1988-06-07
JPH0745586B2 true JPH0745586B2 (ja) 1995-05-17

Family

ID=17648069

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61282096A Expired - Fee Related JPH0745586B2 (ja) 1986-11-28 1986-11-28 撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0745586B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0784084A1 (en) 1995-11-28 1997-07-16 Dow Corning Toray Silicone Company Ltd. Oil- and water-repellent coating composition

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02139726U (ja) * 1989-04-26 1990-11-21
JP2500824B2 (ja) * 1990-10-25 1996-05-29 松下電器産業株式会社 フロロカ―ボン系コ―ティング膜及びその製造方法
JP2622316B2 (ja) * 1991-06-04 1997-06-18 松下電器産業株式会社 撥水撥油性フィルム及びその製造方法
EP0864622A3 (en) * 1991-01-23 2000-04-26 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd Water- and oil- repellant article
WO2010000331A1 (en) * 2008-07-04 2010-01-07 Abb Research Ltd Apparatus for electrostatically coating a workpiece and method of reducing contamination thereof
JP5630985B2 (ja) * 2009-10-27 2014-11-26 信越化学工業株式会社 防汚基材の製造方法及び防汚性物品
JP2014198376A (ja) * 2011-08-02 2014-10-23 コニカミノルタ株式会社 機能性フィルム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59115840A (ja) * 1982-12-24 1984-07-04 旭硝子株式会社 低反射率塗膜

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0784084A1 (en) 1995-11-28 1997-07-16 Dow Corning Toray Silicone Company Ltd. Oil- and water-repellent coating composition

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63135435A (ja) 1988-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10196483B2 (en) Fluoropolyether-containing polymer-modified silane, surface treating agent, and article
US6528672B2 (en) Perfluoropolyether-modified aminosilane, surface treating agent and coated article
US6200684B1 (en) Perfluoropolyether-modified aminosilane, surface treating agent, and aminosilane-coated article
KR102089108B1 (ko) 퍼플루오로폴리에테르 변성 폴리실라잔 및 그의 제조 방법, 표면 처리제, 및 상기 표면 처리제로 처리된 물품
KR101546091B1 (ko) 퍼플루오로폴리에테르-폴리오르가노실록산 블록 공중합체 및 그것을 포함하는 표면 처리제
KR101183178B1 (ko) 실리콘 고무 재료용 경화제
JP3622830B2 (ja) コーティング剤組成物及びそのコーティング被膜を有する物品
JP2010043251A (ja) パーフルオロポリエーテル変性ポリシラザン及びそれを用いる表面処理剤
JP6154829B2 (ja) 疎油性コーティング
JP2003113244A (ja) パーフルオロポリエーテル変性シクロポリシロキサン及び表面処理剤並びに硬化被膜を形成した物品
JP4041659B2 (ja) パーフルオロポリエーテル変性シラン及びそれを利用する表面処理剤
CN114561004A (zh) 含氟醚化合物的制造方法
JP3232004B2 (ja) コーティング材組成物
EP4071197A1 (en) Fluoropolyether group-containing polymer, surface treatment agent, and article
JP6011364B2 (ja) 撥水膜付き基体および輸送機器用物品
JP2004225009A (ja) ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルおよびその用途
JPH0745586B2 (ja) 撥水撥油性プラスチック成形体の製造方法
KR20180081052A (ko) 플루오로폴리에터기 함유 폴리머 변성 유기 규소 화합물, 표면 처리제 및 물품
JP2014234506A (ja) 新規化合物、撥水膜形成用組成物、撥水膜付き基体および輸送機器用物品
KR20140045885A (ko) 표면 처리 방법 및 표면 처리된 물품
JP6036132B2 (ja) 撥水膜付き基体および輸送機器用物品
CN109563338B (zh) 组合物
JPH0959605A (ja) 撥水処理剤
WO2021070563A1 (ja) 含フッ素シラン化合物、表面処理剤、及び該表面処理剤を用いた物品
JP3269314B2 (ja) 撥水処理剤

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees