JPH0744951B2 - 抗凝血性医用材料 - Google Patents

抗凝血性医用材料

Info

Publication number
JPH0744951B2
JPH0744951B2 JP61232832A JP23283286A JPH0744951B2 JP H0744951 B2 JPH0744951 B2 JP H0744951B2 JP 61232832 A JP61232832 A JP 61232832A JP 23283286 A JP23283286 A JP 23283286A JP H0744951 B2 JPH0744951 B2 JP H0744951B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
tube
medical material
trna synthetase
anticoagulant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61232832A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6384556A (ja
Inventor
中島  宏
宗彦 鈍寳
千嗣 北畠
功 富岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP61232832A priority Critical patent/JPH0744951B2/ja
Publication of JPS6384556A publication Critical patent/JPS6384556A/ja
Publication of JPH0744951B2 publication Critical patent/JPH0744951B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,抗凝血性医用材料に関するものである。
(従来の技術) 従来から,人口臓器,人口血管,カテーテル,輸血装置
等,直接血液に接触して使用される医用器材の材料とし
て,抗凝血性の材料が求められている。このような材料
を得るためにすでに種々の提案がなされ,一部実用にも
供されている。例えば,フツ素樹脂やシリコーン樹脂等
の疎水性表面のポリマー(外科治療29巻,585頁,1973
年),カルボキシセルロース,クロルスルホン化ポリエ
チレン等の負電荷を有するポリマー〔マクロモレキユラ
ー・ケミストリー(Marcromol.Chem.)179巻,1121頁,19
78年〕,ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート等
の親水性のポリマー〔ネイチヤー(Nature)185巻,117
頁,1960年〕,親水性のポリウレタンと疎水性のポリジ
メチルシロキサンのコポリマーのようなミクロドメイン
構造を有するポリマー(人工臓器,10巻,1066頁,1981
年)等,材質そのものの特性を利用したものが知られて
いる。
しかし,これらの材料においては,抗凝血性が不十分で
あったり,まるいは材質の表面構造がミクロドメイン化
等のように複雑であるため,製造が困難であったりして
いた。これら欠点を改良する試みとして,血液凝固阻害
剤であるヘパリンを固定化した材料〔トランスアクシヨ
ンズ・アメリカン・ソサイアテイー・アーテイフイシヤ
ル・インターナル・オルガンズ(Trans.Amer.Soc.Arti
f.Int.Organs)21巻,436頁,1975年〕,線溶活性物質で
あるウロキナーゼ,ストレプトキナーゼを固定化した材
料(特開昭54−26394号公報)等が提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかし,これらの薬剤は生体高分子であることから,安
定性に乏しく,充分満足できるものではなかった。しか
も,優れた抗凝血性の材料を得るためには,大量の薬剤
を付着する必要があり,そのため,出血過多を生ずる恐
れがある等,完全に満足できるものではなく,改良が望
まれていた。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは,このような問題点を解決するために鋭意
検討の結果,抗凝血性材料にジアデノシン四リン酸が利
用できることを見い出し,本発明を完成した。
すなわち,本発明は,種々の形状を有する構造物からな
る医用材料におて,該構造物にジアデノシン四リン酸が
固定化されていることを特徴とする抗凝血性医用材料を
要旨とするものである。
本発明における医用材料とは,綿,紙,布,不織布,織
物,編物等の繊維集合体,パイプ,チユーブ,フイル
ム,モノフイラメント,スポンジ,粉末,マイクロカプ
セル等種々の形状を有する構造物及びこれらの構造物を
複合した構造物からなる公知の材料をいう。それらの構
造物を構成する素材としては,例えば,セルロース,再
生セルロース,セルロースアセテート等のセルロース誘
導体,絹,コラーゲン,カゼイン,ゼラチン等の蛋白
質,ポリエステル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリア
クリロニトリル,ポリアクリルアミド,ポリアクリル酸
エステル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビ
ニル,シリコーン,ポリビニルアルコール,ポリヒドロ
キシエチルメタクリレート,ポリビニルピロリドン,ポ
リカーボネート,ポリアルキルシロキサン,スルホン化
ポリスチエン等の合成高分子ならびにこれらの共重合
体,ガラス,アスベスト,雲母,活性炭,ポリフオスフ
アゼン等の無機物質等があげられる。
本発明に用いられるジアデノシン四リン酸(以下Ap4Aを
略記する。)としては,ジアデノシン−5′,5−
P′,P4−テトラホスフエート又はこのものの塩があげ
られる。このAp4A又はその塩には,血栓形成を防ぐ作用
はまったく知られていない。このAp4Aは,アデノシン−
5′−二リン酸(以下ADPと略記する。)の二量体構造
を有しており,アデノシン−5′−リン酸モルホリデー
トとアデノシン−5′−三リン酸(以下ATPと略記す
る。)との反応により化学合成された例が報告されてい
る〔レイス,モフアツト(Reiss,Moffatt)ジヤーナル
・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)30巻,33
81頁,1965年〕。また,Ap4Aの酵素法による合成法とし
ては,例えば,アミノアシル−tRNA合成酵素を用いた方
法が報告されている〔ジヤクボフスキー(Jakubowski)
アクタ・ビオキミカ・ポロニカ(Acta Biochimica Polo
nica)30巻,50頁,1983年〕。
本発明において,上記の製造法によってもAp4Aを得るこ
とができるが,高純度のAp4Aを得るためには,ADPをATP
に変換する酵素の存在下に,アミノアシル−tRNA合成酵
素の触媒作用により,ATPとアミノ酸とを反応させてAp4A
を製造するのが望ましい。特に,アデノシン−5′−一
リン酸(以下AMPと略記する。)をADPに変換する酵素
と,ADPをATPに変換する酵素の存在下で行うことが好ま
しい。
また,アミノアシル−tRNA合成酵素としては,Ap4Aを合
成する能力を有するものであればいかなるものでもよい
が,エシエリキタ・コリ由来のリジル−tRNA合成酵素,
ヒスチジル−tRNA合成酵素,フエニルアラニル−tRNA合
成酵素,酵母由来のリジル−tRNA合成酵素,フエニルア
ラニル−tRNA合成酵素,フザリウム由来のフエニルアラ
ニル−tRNA合成酵素,バチルス・ステアロサーモフイル
ス等の耐熱性細菌由来のロイシル−tRNA合成酵素,羊肝
細胞由来のフエニルアラニル−tRNA合成酵素等が具体例
としてあげることができる。
また,アミノ酸としては,例えば,チロシン,アラニ
ン,ロイシン,イソロイシン,フエニルアラニン,メチ
オニン,リジン,セリン,バリン,アスパラギン,アス
パラギン酸,グリシン,グルタミン,グルタミン酸,シ
ステイン,トレオニン,トリプトフアン,ヒスチジン,
プロリン,アルギニン等のα−アミノ酸があげられ,L
体,D体のいずれでもよい。
このとき,アミノアシル−tRNA合成酵素は,アミノ酸に
特異性のあるものが用いられ,例えば,ロイシンに特異
性のあるものとしては,ロイシル−tRNA合成酵素が用い
られる。
さらに,AMPをADPに変換する酵素としては,例えば,ア
デニル酸キナーゼが使用され,この際,AMPへのリン酸供
与体としては,ATPが使用される。また,ADPをATPに変換
する酵素としては,酢酸キナーゼ,カルバミン酸キナー
ゼ,クレアチンキナーゼ,3−ホスホグリセリン酸キナー
ゼ,ピルビン酸キナーゼ,ポリリン酸キナーゼ等,多く
のものが使用できるが,酵素の入手の容易さ等を勘案す
ると,酢酸キナーゼを使用するのが最も有利であり,こ
の際,リン酸供与体としては,アセチルリン酸が使用さ
れる。アセチルリン酸は,アンモニウム塩,カリウム・
リチウム塩,ナトリウム塩等の塩として使用することが
できるが,入手のしやすさから二ナトリウム塩を用いる
ことが好ましい。
このように,アデニル酸キナーゼと酢酸キナーゼを使用
するに際して,各酵素のリン酸供与体としては,ATPとア
セチルリン酸を使用することになるが,リン酸供与体と
してのATPは,最終変換物であるATPを循環使用すること
ができるので,結局リン酸供与体としてはアセチルリン
酸だけを供給すればよいことになる。
本発明において,Ap4Aと医用材料とを固定化させるに
は,種々の方法で行うことができる。例えば,構造物が
カルボキシル基,アミノ基,クロロホルミル基,クロル
トリアジニル基,アジド基,ジアゾニウム基の塩,エポ
キシ基,ホルミル基,酸無水物基,ブロモアセチル基,
イソシアナート基,イミノカーボネート基等の共有結合
を形成しうる反応性官能基,あるいはアミノ基,アンモ
ニウム基,カルボキシル基,カルボキシレート基,スル
ホキシル基,スルホネート基,ホスホニウム基,スルホ
ニウム基等のイオン交換基を有する場合は,Ap4Aを含む
溶液にて構造物を処理することにより,Ap4Aを構造物に
共有結合させるか,あるいはイオン結合させることがで
きる。また,構造物が共有結合を形成しうる官能基及び
イオン交換基を有しない場合は,予め構造物にそれらの
基を高分子反応により導入した後,Ap4Aをその構造物に
結合させることができる。
種々の構造物にAp4Aを結合させる例を以下に列記する。
(1)絹,コラーゲン,カゼイン,ゼラチン等の蛋白質
は,共有結合を形成しうる官能基でもあり,かつイオン
交換基でもあるアミノ基及びカルボキシル基を有するも
ので,蛋白質を素材とする構造物の場合には,前処理を
しなくてもAp4Aを共有結合させるか,あるいはイオン結
合させることができる。共有結合させる場合は,ジシク
ロヘキシルカルボジイミド,1−シクロヘキシル−3−
(2−モルホリニノエチル)−カルボジイミド−メト−
P−トルエンスルホネート等の脱水縮合剤を用いるのが
好ましい。
(2)木綿,再生セルロース,セルロースアセテート等
のセルロースあるいはセルロース誘導体,あるいはポリ
ビニルアルコールを素材とする構造物の場合は,それら
の構造物をグルタルアルデヒド,ジアルデヒドでんぷん
等のポリアルデヒドにより処理して構造物にホルミル基
を導入し,しかる後ホルミル基が導入された構造物をAp
4Aにより処理することにより,Ap4Aを共有結合させるこ
とができる。ポリアルデヒドの代わりに,ブロムシアン
によりイミノカーボネート基,ブロモアセチルブロミド
によりブロモアセチル基,無水マレイン酸共重合体等の
ポリ無水マレイン酸により酸無水物基,トルエンジイソ
シアナート,ヘキサメチレンジイソシアナート等のポリ
イソシアナートによりイソシアナート基,エチレングリ
コール,テトラメチレングリコール,グリセリン等のポ
リグルシジル誘導体によりエポキシ基,塩化シアヌルに
よりクロルトリアジニル基を構造物に導入することがで
きるので,これらの共有結合を形成しうる官能基を用い
てAp4Aを結合させることもできる。ホルミル基,イミノ
カーボネート基,ブロモアセチル基,酸無水物基,イソ
シアナート基,エポキシ基,クロルトリアジニル基が導
入された構造物は,ポリエチレンイミン等のポリアミン
により処理することによりアミノ化される。イオン交換
基であるアミノ基を有する構造物には,Ap4Aをイオン結
合させることができる。
(3)ポリアミドやポリエステルのように,末端カルボ
キシル基を有する高分子物質を素材とする構造物の場合
は,それらの構造物を脱水縮合剤存在下にポリエチレン
イミンで処理し,引き続き無水マレイン酸共重合体で処
理することにより,構造物に酸無水物基が導入される。
酸無水物基が導入された構造物は,Ap4Aにより処理する
ことにより,Ap4Aを共有結合させることができる。ポリ
エチレンイミンにより処理して得られたアミノ化構造
物,あるいはそのアミノ化構造物を臭化エチル,エチレ
ンブロムヒドリン等により4級塩化したものには,Ap4A
をイオン結合させることができる。
(4)カルボキシル基,アミノ基,クロロホルミル基,
クロロトリアジニル基,アジド基,ジアゾニウム基,エ
ポキシ基,ホルミル基,酸無水物基,ブロモアセチル
基,イソシアナート基,イミノカーボネート基などの共
有結合を形成しうる反応性官能基,あるいはアミノ基,
アンモニウム基,カルボキシル基,カルボキシレート
基,スルホキシル基,スルホネート基,ホスホニウム
基,スルホニウム基等のイオン交換基を有する場合は,
Ap4Aを含む溶液にて構造物を処理することにより,Ap4A
を構造物に共有結合させるか,あるいはイオン結合させ
ることができる。
また,本発明の抗凝血性医用材料は,次のようにして構
造物にAp4Aを吸着させることによっても製造することが
できる。
すなわち,構造物を湿潤しうるか,あるいは溶解しうる
溶媒に膨潤し,あるいは溶解し,かつAp4Aを溶解しうる
溶媒にAp4Aを溶解し,この溶液により構造物を処理する
ことにより,構造物にAp4Aを吸着させた抗凝血性医用材
料を製造することができる。この場合,溶媒としては,
例えば,水あるいはメタノール,エタノール,アセト
ン,ジオキサン,テトラヒドロフラン等の一般有機溶媒
が用いられるが,必要ならばこれらは2種以上混合して
用いても差し支えない。さらに,酸,アルカリ,塩等を
添加し,構造物の湿潤性,膨潤性,溶解性,あるいはAp
4Aの溶解性等を調節することができる。吸着させる場合
も,数種類のAp4Aを溶解した混合溶液にして構造物を処
理することができる。処理温度は,溶媒の融点以上で,
かつ溶媒の沸点以下であればよいが,0〜100℃の範囲が
特に望ましい。また,処理に際しては,構造物表面を更
新しながら行うことが望ましい。
また,本発明の抗凝血性医用材料は,スポンジ等のゲル
の微細な格子の中にAp4Aを包み込んだり,ポリマーのゾ
ルにAp4Aを加えて混合した後,マイクロカプセル,フイ
ルム,板,チユーブ等の構造物に成形加工する混入法に
よっても製造することができる。
また,本発明においては,Ap4Aと共に線溶活性酵素又は
血液凝固系阻害因子を構造物に結合するか,吸着する
か,混入するかすることができる。ここに用いられる線
溶活性酵素とは,フイブリンの溶解に寄与する酵素をい
い,例えば,プラスミン,プリノラーゼ,ウロキナー
ゼ,ストレプトキナーゼ等があげられる。血液凝固系阻
害因子とは,フイブリンの凝固に関与する因子を阻害す
る物質をいい,例えば,ヘパリン等があげられる。
(実施例) 次に,本発明を実施例により具体的に説明する。
なお,抗血栓性の評価は,R.I.Lee及びP.D.Whiteによっ
て提案された方法(Am.J.Med.Sci.,145巻,495頁,1918
年)に基づいて行うか,あるいは以下のように変法とし
て行った。
すなわち,材料を小片にして,内径10mmの試験管内に入
れ,これにヒトクエン酸血1mlを加え,試験管を1分毎
に傾けて,血液の凝固時間を測定した。また,材料がチ
ューブ形状の場合には,Chandlerの回転チューブ法(A.
B.Chandler,Laboratory Investigation,7巻,110頁,1958
年)により,ヒトクエン酸血をチユーブ内に注入し,Ca
++を添加した後の血栓形成時間を用いて血栓形成時間を
測定することにより行った。
実施例1 内径3mm,外径5mmのナイロン6チユーブの内部に,3N塩酸
を100ml/minの速度で10分間循環した後,イオン交換水
で塩酸を置換洗浄した。この塩酸処理後,チユーブ内を
50ml/minの速度で10%ポリエチレンイミン水溶液100ml
とメタノール500mlとからなる混合液で30℃で1時間循
環した。
次に,ジシクロヘキシルカルボジイミドの5wt%メタノ
ール溶液200mlを添加して,引き続き50ml/minの流速で
6時間循環した。チユーブ内より処理液を流し出した
後,メタノールを循環して洗浄した。チユーブを減圧乾
燥することにより,ポリエチレンイミン処理ナイロンチ
ユーブを得た。
上記のポリエチレンイミン処理ナイロンチユーブに,Ap
4Aアンモニウム塩(シグマ社製)50mg及び1−(3−ジ
メチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩
酸塩200mgを5mlのイオン交換水に溶かした溶液を,30℃
で50ml/minの速度で6時間循環して処理した。処理後の
チユーブを水洗し,減圧乾燥した。
このようにして得たAp4A結合ナイロンチユーブを,Chand
ler法で血栓形成時間を測定したところ,40分であった。
比較のため,同一内径の未処理ナイロン6チユーブ及び
医用シリコーンチユーブの血栓形成時間を測定したとこ
ろ,それぞれ10分及び20分であった。
実施例2 内径3mm,外径4mmのポリエチレンテレフタレートチユー
ブの内部に,4wt%の水酸化ナトリウム水溶液を90℃で1
時間循環した。水酸化ナトリウム溶液を取り出した後,
0.1N塩酸を同様90℃で1時間循環した。水洗後,実施例
1と同様にして,10%ポリエチレンイミンとジシクロヘ
キシルカルボジイミド処理より,ポリエチレンイミン処
理したポリエチレンテレフタレートチユーブを得た。こ
のチユーブを実施例1と同様にしてAp4A結合チユーブを
得た。
次いで,Chandlerの回転チユーブ法に従って血栓形成時
間を求めた。
その結果,血栓形成時間は45分以上であった。
実施例3 バチルス・ステアロサーモフイルスより調製したロイシ
ル−tRNA合成酵素及びバチルス・ステアロサーモフイル
ス由来の酢酸キナーゼとアデニル酸キナーゼ(生化学工
業社製)を用いて,バツチ法でAp4Aの合成を行った。
このとき,ATP12.7mM,ロイシン10mM,塩化マグネシウム6
水和物20mM,ピロホスフアターゼ(ベーリンガーマンハ
イム社製)2ユニツト/ml,酢酸キナーゼ30ユニツト/ml,
アデニル酸キナーゼ46ユニツト/ml,ロイシン−tRNA合成
酵素0.25ユニツト/ml,ヘペス緩衝液(pH7.5)100mMから
なる反応溶液に,アセチルリン酸を反応スタート時に1
当り14m mol添加し,40℃で2時間反応させた後,1当
り4.6m molを追加し,2時間反応させた後,さらに1当
り4.6m molを加えた後,5時間反応させた。
得られた反応生成物を,カスタムパツクカートリツジC
18−300Å(ウオーターズ社製)カラムを用いて高速液
体クロマトグラフイーで分離し,5mM(収率約80%)のAp
4Aを得た。リン核磁気共鳴スペクトルで分析したとこ
ろ,得られたAp4A中にはジアデノシン−三リン酸,AMP,A
DPは検出されなかった。
このようにして得たAp4A20mgを用いて,実施例1と同様
にしてポリエチレンイミン処理ナイロン6チユーブにAp
4Aを結合した。このチユーブは,Chandler法で血栓形成
時間を測定したところ,45分以上であった。
実施例4 バチルス・ステアロサーモフイルス由来の酢酸キナーゼ
とアデニル酸キナーゼ(生化学工業社製),ロイシル−
tRNA合成酵素及びピロホスフアターゼ(ベーリンガーマ
ンハイム社製)を,それぞれCN−Br−活性化セフアロー
ス4B(フアルマシア社製)に固定化した。固定化酢酸キ
ナーゼ300ユニツト,固定化アデニル酸キナーゼ400ユニ
ツト,固定化ロイシル−tRNA合成酵素10ユニツト及び固
定化ピロホスフアターゼ20ユニツトを1つのカラム(カ
ラム容量5ml)に充填した。
次に,10mMの塩化マグネシウムを含む100mMヘペス緩衝液
(pH7.0)に,溶解した10mMのATP,5mMのアセチルリン
酸,10μMのロイシンからなる原料を,固定化酵素充填
カラムの上端から1ml/hrの流速で供給し,カラムの下端
から反応生成物を連続的に抜き取った。
得られた反応生成物を実施例3と同じ方法により分離
し,4mM(収率約80%)のAp4Aを得た。
一方,70%ジメチルシラン−30%ヒドロキシプロピルメ
チルシランコポリマーとメチルトリアセトキシシランを
100:5(重量比)の割合でジオキサン5倍容量に混合し
て得た溶液に,ナイロン66製タフタをジオキサンで洗浄
した後,浸漬した。次いで,30分間風乾した後,100℃で1
0分間加熱してシリコーンコートされたナイロンタフタ
を得た。このタフタを5wt%ブロムシアン溶液(pH11)
に浸漬し,pHを11に保ちながら5分間攪拌した。0.1Mの
重炭酸ソーダで洗浄することにより,ブロムシアン活性
化タフタを得た。
次いで,5wt%のヘキサメチレンジアミン水溶液に,上記
のようにして得た活性化タフタを浸漬し,5時間振盪攪拌
した後,イオン交換水で洗浄した。
上記のようにして得たタフタに,5wt%のジシクロヘキシ
ルカルボジイミドのメタノール溶液を加え,30分後にメ
タノール溶液を除き,さらに上記で得た1wt%Ap4A水溶
液をタフタに加え,浸漬し,4℃で1夜振盪攪拌した後,
イオン交換水で洗浄した。
得られたタフタを小片に切断し,試験管に入れ,ヒトク
エン酸血を用いて,血液凝固時間をLeeとWhiteの方法で
測定した結果,80分であった。
なお,比較のため,Ap4Aを含まない液で同様のタフタを
浸漬したものでは,凝固時間は20分であった。
実施例5 実施例1で得られたポリエチレンイミン処理ナイロンチ
ユーブを,臭化エチルを3wt%含有する含水エタノール
溶液(エタノール:水=1:1重量比)によりチユーブ内
を満たして,3日間放置した後,処理水を流し出し,エタ
ノールで洗浄した。次に,0.05N水酸化ナトリウムにより
チユーブ内を満たして,2時間室温で放置した後,イオン
交換水で洗浄した。
上記のようにして得た4級化処理ナイロンチユーブに,
実施例3で得た5wt%のAp4Aと,ウロキナーゼ(ミドリ
十字社製)500単位/mlを含む溶液を循環した。室温で5
時間処理した後,水洗して,Ap4Aとウロキナーゼを共に
固定化したナイロンチユーブを得た。
得られたチユーブを長さ10cmに切り,一方をクリップで
閉じ,ヒトクエン酸血1mlを加え,LeeとWhiteの方法に従
って血液凝固時間を測定したところ,90分であった。
実施例6 ポリヒドロキシエチルメタアクリレートを0.1M炭酸ソー
ダ中に浸し,1N水酸化ナトリウムでpHを11に調製しなが
ら,7wt%のブロムシアン水溶液を加え,4℃で2時間反応
させた。反応後,ポリマーを濾別し,0.1Nの重炭酸ソー
ダで洗浄後,水洗し,活性化ポリマーを得た。これに5w
t%のヘキサメチレンジアミン水溶液を加え,4℃で5時
間反応させた。水洗後,5wt%の1−シクロヘキシル−3
−(2−モルホリニノエチル)−カルボジイミド−メト
−P−トルエンスルホネートと,5wt%のAp4Aアンモニウ
ム塩水溶液を加え,10℃で3時間反応させた。反応後,
ポリマーを濾別した後,水洗し,Ap4A固定化ポリマーを
得た。
得られたポリマーを試験管に入れ,LeeとWhiteの方法に
準じて血液凝固時間を測定したところ,87分であった。
(発明の効果) 本発明の抗凝血性医用材料は,生体高分子を使用しない
ため,非常に安定であり,しかも優れた抗血栓性を有
し,また,その効果が長時間持続する特徴を有するの
で,血液接触医療材料,例えば,人工血管,カテーテ
ル,人工弁,人工心臓,人工肺,人工腎臓,血管縫合糸
等として有用である。
さらに,本発明の抗凝血性医用材料は,それを製造する
操作が非常に簡便であり,かつ原料も安価であるので,
コスト的にも極めて有利なものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】種々の形状を有する構造物からなる医用材
    料において,該構造物にジアデノシン四リン酸が固定化
    されていることを特徴とする抗凝血性医用材料。
JP61232832A 1986-09-29 1986-09-29 抗凝血性医用材料 Expired - Lifetime JPH0744951B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61232832A JPH0744951B2 (ja) 1986-09-29 1986-09-29 抗凝血性医用材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61232832A JPH0744951B2 (ja) 1986-09-29 1986-09-29 抗凝血性医用材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6384556A JPS6384556A (ja) 1988-04-15
JPH0744951B2 true JPH0744951B2 (ja) 1995-05-17

Family

ID=16945486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61232832A Expired - Lifetime JPH0744951B2 (ja) 1986-09-29 1986-09-29 抗凝血性医用材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0744951B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1989004321A1 (en) * 1987-11-05 1989-05-18 The Worcester Foundation For Experimental Biology Diadenosine 5', 5'''-p1, p4-tetraphosphate and analogs thereof as antithrombotic agents
US8771310B2 (en) 2007-05-31 2014-07-08 Adenopaint, Llc Anti-no-reflow guide wire for vascular interventional procedures

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6384556A (ja) 1988-04-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU622699B2 (en) Biodegradable hydrogel matrices for the controlled release of pharmacologically active agents
JP4335316B2 (ja) アルギネートまたは修飾アルギネートのようなポリサッカライドを含むポリマー
US5041292A (en) Biodegradable hydrogel matrices for the controlled release of pharmacologically active agents
EP1403304B1 (en) Crosslinked elastin and processes for its production
US6509104B2 (en) Antithrombogenic polymer coating
JP6316795B2 (ja) 新規なコラーゲン材料およびそれを得る方法
JP2565363B2 (ja) トロンボゲンを形成しない基質の製造方法
EA016085B1 (ru) Медицинский искусственный трансплантат ствола нерва, содержащий фиброин шелка, и способ его изготовления
ES2351047T3 (es) Injerto covalente de sustancias hidrófobas sobre el colágeno.
JPS6226068A (ja) 抗血栓性材料の製造方法
EP0061312B1 (en) Alkyl-substituted polymers having enhanced albumin affinity
JPH02145600A (ja) ヒアルロン酸固定化蛋白質及びその製造方法
JPH0744951B2 (ja) 抗凝血性医用材料
JP2955653B2 (ja) 絹蛋白質/コラーゲン複合体およびその製造方法
CN110066418B (zh) 一种活性丝素多孔材料或活性丝素膜及其制备方法
SU1128601A1 (ru) Урокиназа,иммобилизированна на фибриногене
JP2972877B1 (ja) 高分子素材のドープ、高分子素材からなるマイクロビーズおよびそのビーズの製造方法
JP2905797B2 (ja) ヒトトロンボモジュリンを固定化した抗血栓性材料
WO1989004339A1 (en) Fibroin moldings, process for their preparation, heparin-immobilizing carrier, and process for its preparation
KR101282394B1 (ko) 콜라겐에 대한 소수성 물질의 공유 그래프팅법
JP2853452B2 (ja) 生理活性物質固定化成形品の製造方法
JP2018143767A (ja) コラーゲン−チタン複合体
JPH04364200A (ja) 細胞接着性アルブミン
JPS6092762A (ja) 抗血栓性高分子材料
JP4694114B2 (ja) 抗血栓性に優れたl−リジン残基を有する両性高分子物質、該高分子物質からなる抗血栓剤、及び該抗血栓剤を固定した医療用器具