JP2018143767A - コラーゲン−チタン複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤(ただし、接着剤として作用するコラーゲン糊を除く)を用いることなく、コラーゲンとチタン又はチタン合金を少なくとも外表面に有する基材とが結合した新規な材料の開発を課題とする。【解決手段】コラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着したコラーゲン−チタン複合体であって、上記コラーゲン−チタン複合体は、20℃の純水中に3時間完全に浸漬した後においても、上記接着が保持されたものである、コラーゲン−チタン複合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、コラーゲン−チタン複合体に関し、とりわけコラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着することによって複合体化した材料に関する。
生体用金属材料として、ステンレス鋼、Co-Cr合金、チタン、チタン合金等が主に使用されている。これらのうち、チタンとチタン合金が生体親和性に優れていると言われている。
チタンやチタン合金表面の生体適合性を高めるために、生体系材料でコーティングする技術が種々開発されてきた。主要なものは、生体系材料をチタンやチタン合金の表面に塗布したり、チタンやチタン合金を生体系材料の液に浸漬するといった技術である。生体系材料の1つとして、コラーゲンが用いられることもある。
特許文献1には、メタンスルフォン酸を触媒としてリン酸化したコラーゲンとチタンとの親和性について開示されている。
特開2017−36369号公報
従来の知見では、コラーゲンとチタン又はチタン合金とは実質的には接着しないため、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが結合した複合材料を得ることは困難であるとされていた。
本発明は、接着剤(ただし、接着剤として作用するコラーゲン糊を除く)を用いることなく、コラーゲンとチタン又はチタン合金を少なくとも外表面に有する基材とが結合した新規な材料の開発を課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、全くの意外なことに、コラーゲンとチタン又はチタン合金とを直接接触させた状態において水性溶媒の存在下で照射架橋することによって、上記課題を解決する新規な材料であるコラーゲン−チタン複合体が得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させたものである。本発明のコラーゲン−チタン複合体は、従来にない画期的な材料である。
本発明は以下のとおりである。
[1]コラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着したコラーゲン−チタン複合体であって、上記コラーゲン−チタン複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても、上記接着が保持されたものである、コラーゲン−チタン複合体。
[2]前記コラーゲン−チタン複合体において、少なくともコラーゲンとチタン又はチタン合金との接着部が、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種による架橋処理を施されたものである、上記[1]記載のコラーゲン−チタン複合体。
[3]以下の振とう試験の後においても、前記接着が保持されている、上記[1]又は[2]記載のコラーゲン−チタン複合体。
振とう試験:少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させたコラーゲン−チタン複合体を、20℃のリン酸緩衝生理食塩水を収容した容器内に設置し、当該リン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させた状態とした後、当該容器に対し振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行う。
[4]前記コラーゲンのうち、少なくとも一部分が、コラーゲンで構成され所定の形状を有するコラーゲン成形体である、上記[1]〜[3]のいずれか1項記載のコラーゲン−チタン複合体。
[5]以下の引張せん断接着強度試験による引張せん断接着強度が1kPa以上である、上記[4]記載のコラーゲン−チタン複合体。
引張せん断接着強度試験:まず、少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させたコラーゲン−チタン複合体を、リン酸緩衝生理食塩水から取り出して20分以内に、湿潤状態を保持させたままで、垂直方向に上部クランプが作動して引張せん断接着強度を測定できる装置において、下部クランプでチタン系基材を固定し、上部クランプでコラーゲン成形体を固定した後、上部クランプを上向きに0.1mm/秒の速度で引張り、引張最大荷重を測定する。引張せん断接着強度を、引張せん断接着強度(kPa)=引張最大荷重(N)/接着部の面積(mm2)×1000の式から計算する。上記式において、接着部の面積は、引張せん断接着強度試験供試前において、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが接着した部分の面積である。
[6]以下の振とう試験の後に実施する以下の引張せん断接着強度試験による引張せん断接着強度が1kPa以上である、上記[4]又は[5]記載のコラーゲン−チタン複合体。
振とう試験:少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させたコラーゲン−チタン複合体を、20℃のリン酸緩衝生理食塩水を収容した容器内に設置し、当該リン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させた状態とした後、当該容器に対し振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行う。
引張せん断接着強度試験:まず、上記振とう試験後のコラーゲン−チタン複合体を、リン酸緩衝生理食塩水から取り出して20分以内に、湿潤状態を保持させたままで、垂直方向に上部クランプが作動して引張せん断接着強度を測定できる装置において、下部クランプでチタン系基材を固定し、上部クランプでコラーゲン成形体を固定した後、上部クランプを上向きに0.1mm/秒の速度で引張り、引張最大荷重を測定する。引張せん断接着強度を、引張せん断接着強度(kPa)=引張最大荷重(N)/接着部の面積(mm2)×1000の式から計算する。上記式において、接着部の面積は、引張せん断接着強度試験供試前において、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが接着した部分の面積である。
[7]以下の工程を含む、コラーゲン−チタン複合体の製造方法。
コラーゲン材料のうちの少なくとも一部分と、チタン又はチタン合金を少なくとも外表面に有する基材においてチタン又はチタン合金を外表面に備えた部分のうちの少なくとも一部分と、を直接接触させた状態とする接触部を設ける第1工程。
少なくとも接触部に対し、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種の架橋処理を施して、接触部におけるコラーゲンとチタン又はチタン合金とを接着させる第2工程。
[8]第1工程のコラーゲン材料が、可溶化コラーゲン水溶液及びコラーゲンで構成され所定の形状を有するコラーゲン成形体のうちのいずれか一方又は双方である、上記[7]記載のコラーゲン−チタン複合体の製造方法。
[9]上記[1]〜[6]のいずれか1項記載のコラーゲン−チタン複合体を用いた医用材料。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
なお、本発明において、数値範囲に関する「数値1〜数値2」という表記は、数値1を下限値とし数値2を上限値とする、両端の数値1及び数値2を含む数値範囲を意味し、「数値1以上数値2以下」と同義である。
(コラーゲン−チタン複合体)
本発明のコラーゲン−チタン複合体(以下「本発明の複合体」という)は、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着したものであって、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても、上記接着が保持されたものである。以下、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着した部分を「接着部」と称する。
本発明の複合体を構成するコラーゲンの形態は、線維化コラーゲンであってもよいし、非線維化コラーゲンであってもよい。ここで、線維化コラーゲンは、生体のコラーゲン組織から取得した可溶化コラーゲン水溶液を適度なイオン強度及びpHに調整することにより線維化させることによって得られるゲル状のもの(以下「線維化コラーゲンゲル」という)であり、コラーゲン分子の会合によって形成されるものである。線維化コラーゲンは、D周期(約67nm)を有することがその特徴として知られている。ただし、D周期を有することの確認は一般に走査電子顕微鏡では容易とは言えないが、線維化コラーゲンの一部分にでもD周期が確認されれば、線維化コラーゲン全体がD周期を有すると判断しても概ね差し支えない。
本発明の複合体を構成するコラーゲンの形状は、特に限定はされるものではなく、例えば、定形状、不定形状等が挙げられる。
定形状は、所定の形状を有するものであるが、その形状は特に制限されることはなく、例えば、膜形状(シート状、フィルム状等の形状を含む)、板形状、糸形状、ひも形状、布形状(織物状、不織布状、編物状、組物状、レース状、ネット状等の形状を含む)、棒形状、球形状、楕円球形状、立方体形状、直方体形状等が挙げられる。また、内部構造は、多孔質であってもよいし、緻密質であってもよい。
定形状は、コラーゲンで構成され所定の形状を有するコラーゲン成形体(以下「コラーゲン成形体」という)に由来したものであってもよいし、所定の形状となるように形成された線維化コラーゲンゲル又は可溶化コラーゲン水溶液に由来したものであってもよい。コラーゲン成形体を構成するコラーゲンの形態は、線維化コラーゲンと非線維化コラーゲンのいずれであってもよい。
不定形状は、所定の形状を有さないものである。例えば、空隙や孔に充填されたものが挙げられる。不定形状には、線維化コラーゲンゲル又は非線維化コラーゲンゲルが適している。
本発明の複合体を構成するコラーゲン中には、コラーゲンとチタン又はチタン合金との接着が阻害されない限度において、コラーゲン以外の成分が含有されていても構わないが、コラーゲンのみで構成されていることが好ましい。
チタンとしては、純チタンの他に、CPチタンと呼ばれる工業用純チタンが挙げられる。チタン合金としては、チタン系合金であれば特に限定されることはなく、例えば、α型チタン合金、(α+β)型チタン合金、β型チタン合金等が挙げられる。α型チタン合金の一例は、Ti-5Al-2.5Snである。生体適合性の観点から好ましいチタン合金は、(α+β)型チタン合金又はβ型チタン合金であり、(α+β)型チタン合金の例としてTi-6Al-4V合金、Ti-6Al-7Nb合金、Ti-5Al-2.5Fe合金、Ti-15Sn-4Nb-2Ta-0.2Pd合金、Ti-15Zr-4Nb-2Ta-0.2Pd合金等が挙げられ、β型チタン合金の例としてTi-13Nb-13Zr合金、Ti-12Mo-6Zr-2Fe合金、Ti-15Mo合金、Ti-15Mo-5Zr-3Al合金、Ti-35Nb-7Zr-5Ta合金、Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金等が挙げられる。
本発明の複合体は、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着したもの、即ち、接着剤(ただし、接着剤として作用するコラーゲン糊を除く)が介在することなく、前者と後者とが直接結合したものである。ここで、チタン又はチタン合金を少なくとも外表面に有する基材を「チタン系基材」と称する。コラーゲンとチタン系基材との結合形態は、コラーゲンのうちの少なくとも一部分とチタン系基材のチタン又はチタン合金を外表面に備えた部分のうちの少なくとも一部分とが結合していればよく、特に限定されるものではない。なお、以下において、特に言及しなくとも、コラーゲンと結合するチタン系基材の場所は、外表面にチタン又はチタン合金を備えた部分とする。
チタン系基材の例として、チタン又はチタン合金だけで構成されたもの、チタン又はチタン合金によって外表面が被覆されたもの等が挙げられる。チタン又はチタン合金によって外表面が被覆されている基材において、チタン又はチタン合金の被覆部位は、外表面の一部であってもよいし、全体であってもよい。要は、チタン系基材上において、コラーゲンと結合する場所にチタン又はチタン合金が存在していればよい。また、チタン又はチタン合金によって外表面が被覆されている基材において、チタン又はチタン合金が被覆している部材は、チタン又はチタン合金で被覆可能である限りにおいてその材質は特に限定されることはなく、用途に応じて適宜選択することが好ましい。
チタン系基材の形状については特に限定はなく、例えば、膜形状(シート状、フィルム状等の形状を含む)、板形状、糸形状、ひも形状、布形状(織物状、不織布状、編物状、組物状、レース状、ネット状等の形状を含む)、棒形状、球形状、楕円球形状、立方体形状、直方体形状、管形状、ネジ、ボルト、ナット、ピン、バネ等が挙げられるが、これら以外の各種形状であってもよい。また、粉状、粒状等であってもよい。また、所定の位置に所定の大きさを有した突起、凹部、凸部、空隙、孔等を有していてもよい。
本発明の複合体は、コラーゲンとチタン系基材の双方が備え得る多様な形状により多種多様な形状を備えることができるものである。以下にその具体例を列挙するが、これらに限定されるものではない。なお、具体例において、コラーゲンとチタン又はチタン合金とは直接接着していることが前提であるため、それについては言及しない。
具体例は、(1)フィルム状のチタン系基材とシート形状のコラーゲン成形体が結合したもの、(2)板形状のチタン系基材とシート形状のコラーゲン成形体が結合したもの、(3)板形状のチタン系基材と棒形状のコラーゲン成形体が結合したもの、(4)ひも形状のチタン系基材の表面が線維化コラーゲンゲルによって覆われたもの、(5)不織布状のチタン系基材の表面が線維化コラーゲンゲルによって覆われたもの、(6)棒形状のチタン系基材にシート形状のコラーゲン成形体が巻きつけられたもの、(7)ボルト形状のチタン系基材のネジ部が線維化コラーゲンゲルによって覆われたもの、(8)管形状のチタン系基材の管内部が非線維化コラーゲンで充填されたもの等である。
結合形態に関して板形状のチタン系基材とシート形状のコラーゲン成形体が結合したものを例にとって説明すると、コラーゲン成形体の一部がチタン系基材の一部と結合した形態、コラーゲン成形体の任意の面全体がチタン系基材の一部と結合した形態、コラーゲン成形体の一部がチタン系基材の任意の面全体と結合した形態、コラーゲン成形体とチタン系基材の任意の面同士がはみ出し部分なく結合した形態等が挙げられる。
結合に関与するコラーゲンとチタン系基材の個数はそれぞれ1個に限定されるものではなく、複数個であっても構わない。例えば、1枚のシート状コラーゲン成形体の上下面それぞれにチタン系基材が1個ずつ結合した形態、1個のチタン系基材に複数個のコラーゲン成形体が結合した形態、複数個のコラーゲン成形体と複数個のチタン系基材とが結合した形態等が挙げられる。また、線維化コラーゲンゲルとチタン系基材とが結合しており、さらにその線維化コラーゲンゲルとコラーゲン成形体が結合した形態、コラーゲン成形体とチタン系基材とが結合しており、さらにそのコラーゲン成形体と線維化コラーゲンゲルが結合した形態等が挙げられる。
本発明の複合体は、3時間の期間中20℃の純水中に完全に浸漬した後においても、コラーゲンとチタン又はチタン合金との接着が保持されるものである。静置状態で浸漬すればよいが、必要に応じて気泡除去のための操作等を行ってもよい。本発明の複合体が純水以外の溶媒中で保管されていれば、取り出して、3時間の期間中において20℃の純水中に完全に浸漬させる。また、本発明の複合体が純水中で冷蔵保管されていれば、取り出して、3時間の期間中において20℃の純水中に完全に浸漬させる。本発明の複合体の形状により、本発明の複合体全体を純水中に完全に浸漬させることが困難な場合は、少なくともコラーゲンと接着部とを完全に浸漬した状態とする。当該状態が確保されていれば、本発明の複合体を20℃の純水中に完全に浸漬させた状態、に含まれるものとする。
本発明の複合体を3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後において、コラーゲンとチタン系基材とが分離していなければ、接着が保持されたと判断する。より確実に接着の保持を判断したいときは、本発明の複合体を揺り動かしたり、本発明の複合体を純水から取り出して確認すればよい。
(振とう試験)
接着の別の確認方法は、下記に示す振とう試験である。振とう試験は、振とうにより発生する水力にも耐えられる接着力の有無を評価するものである。本発明の複合体の好適な一形態は、振とう試験の後においてもコラーゲンとチタン又はチタン合金との接着が保持されているものであり、よって、コラーゲンとチタン系基材との結合が保持されているものである。
振とう試験は、少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に完全に浸漬させた本発明の複合体を20℃のPBSを収容した容器内に設置し、当該PBS中に本発明の複合体を完全に浸漬させた状態とした後、当該容器に対し振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行うものである。
振とう試験にあたり、本発明の複合体が乾燥状態であれば、全体にPBSが行き渡るように少なくとも1日間20℃のPBSに浸漬させる。浸漬期間は、1日以上の期間において適宜設定すればよい。また、静置状態で浸漬すればよいが、必要に応じて気泡除去のための操作等を行ってもよい。一方、本発明の複合体が予めPBS中で保管されていれば、そのまま振とう試験に供すればよい。ただし、試験に供する前の1日間はPBSの液温を20℃とする。また、PBS以外の溶媒中で保管されていれば、溶媒をPBSに置換した上で少なくとも1日間20℃のPBS中に完全に浸漬させる。本発明の複合体の形状により、本発明の複合体全体をPBS中に完全に浸漬させることが困難な場合は、少なくともコラーゲンと接着部とを完全に浸漬した状態とする。当該状態が確保されていれば、本発明の複合体を20℃のPBS中に完全に浸漬させた状態、に含まれるものとする。
次に、少なくとも1日間20℃のPBSに完全に浸漬させた本発明の複合体を20℃のPBSを収容した容器内に設置する。このとき、本発明の複合体はPBS中に完全に浸漬させた状態とする。本発明の複合体の形状により、本発明の複合体全体をPBS中に完全に浸漬させることが困難な場合は、少なくともコラーゲンと接着部とを完全に浸漬させた状態とする。容器内への設置において、本発明の複合体を容器内で載置すればよく固定する必要はない。ただし、振とう時に本発明の複合体が容器との摩擦によって損壊するときは、本発明の複合体を容器に固定しても構わない。
振とう後において、コラーゲンとチタン系基材とが分離していなければ、接着が保持されたと判断する。
振とうには、タイテック株式会社製の中型振とう機 トリプルシェーカー NR-80を用いることが好ましいが、これと同等の振とうが得られる機器を用いても構わない。
(引張せん断接着強度試験)
本発明の複合体の接着強度は、目的とする用途に応じた所定の強度を有すれば特に制限はない。ここで、コラーゲンのうち少なくとも一部分がコラーゲン成形体である本発明の複合体について、その接着強度を評価するための一方法である引張せん断接着強度試験について説明する。
引張せん断接着強度試験は、供試する本発明の複合体の前処理条件の違いによって、引張せん断接着強度試験1と引張せん断接着強度試験2に分ける。
引張せん断接着強度試験1の前処理では、上記振とう試験に供していない本発明の複合体を少なくとも1日間20℃のPBS中に完全に浸漬させる。この浸漬のさせ方の詳細は、上記振とう試験における、振とうに供する前の少なくとも1日間20℃のPBS中に完全に浸漬させることに関する説明のとおりである。
引張せん断接着強度試験2の前処理では、本発明の複合体を上記と同じ振とう試験、即ち、少なくとも1日間20℃のPBS中に完全に浸漬させた本発明の複合体を20℃のPBSを収容した容器内に設置し、当該PBS中に本発明の複合体を完全に浸漬させた状態とした後、当該容器に対し振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行う試験に供する。
引張せん断接着強度試験1又は2において前処理された本発明の複合体につき、これを前処理におけるPBSから取り出した後、試験が終了するまでの時間は、湿潤状態を保持させたままで試験を行うために、20分以内とする。
前処理におけるPBSから取り出した本発明の複合体は、垂直方向に上部クランプが作動して引張せん断接着強度を測定できる装置において、下部クランプでチタン系基材を固定し、上部クランプでコラーゲン成形体を固定する。なお、当然ながら、接着部はクランプ固定の対象外とする。また、湿潤状態を保持させるのは、特にコラーゲンの部分である。
次に、上部クランプを上向きに0.1mm/秒の速度で引張り、引張最大荷重を測定する。
引張せん断接着強度を、引張せん断接着強度(kPa)=引張最大荷重(N)/接着部の面積(mm2)×1000の式から計算する。
上記式において、「接着部の面積」は、引張せん断接着強度試験の供試前において、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが接着した部分の面積である。
ところで、クランプが水平方向に作動する装置においても上記試験と同様の引張せん断接着強度値が得られるのであれば、本試験に適用可能である。また、コラーゲン成形体とチタン系基材との結合形態によってはクランプによる固定が困難な場合もあるが、そのときはチタン系基材が多少損傷したとしてもコラーゲン成形体が損傷しないようにして所定の長さだけ剥離させて測定に供してもよい。
本発明の複合体の好適な一形態は、引張せん断接着強度試験1において、引張せん断接着強度が1kPa以上を示すものである。当該引張せん断接着強度は、3kPa以上であることがより好ましく、さらに好ましくは5kPa以上であり、さらにより好ましくは7kPa以上である。
また、本発明の複合体のさらに好適な一形態は、引張せん断接着強度試験2において、引張せん断接着強度が1kPa以上を示すものである。当該引張せん断接着強度は、2kPa以上であることがより好ましく、さらに好ましくは3kPa以上であり、さらにより好ましくは5kPa以上である。
(架橋処理された形態)
本発明の複合体の好適な一形態は、少なくとも接着部が、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種による架橋処理を施された形態である。以下、当該形態を「架橋形態」という。また、上記各種照射による架橋を総称するときは「照射架橋」という。
架橋形態においては、接着部に加えてコラーゲンも架橋処理を施されたものであってもよい。さらには、チタン系基材も架橋処理の対象とされたものであってもよく、よって本発明の複合体全体に対して架橋処理が施されたものであってもよい。接着部以外の部分に施された架橋処理は、水性溶媒の存在下での照射架橋であることが好ましいが、以下に示すような照射架橋以外の架橋法によって架橋されたものであっても構わない。
ここで、架橋形態において照射架橋の規定を設けた理由を説明する。コラーゲンの架橋法として、物理的架橋法と化学的架橋法が知られている。物理的架橋法の代表例として、照射架橋と熱脱水架橋があり、化学的架橋法の代表例として、水溶性化学架橋剤又は気化能を有する化学架橋剤による架橋がある。以下、架橋法を問わず、架橋されたコラーゲンを「架橋体」と称する。
まず、物理的架橋法について、照射架橋によって得られた架橋体と、熱脱水架橋によって得られた架橋体とは、架橋体同士を見比べても外観的な違いを見出すことは極めて困難であり、また、分析によってもいずれの架橋法によって架橋されたものかを区別することは極めて困難である。
次に、照射架橋によって得られた架橋体と、化学的架橋法によって得られた架橋体とは、架橋体同士を見比べても外観的な違いを見出すことは極めて困難である。化学的架橋法のうち、化学的架橋剤として、例えば、グルタルアルデヒドやポリエポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)を用いた場合は、化学的架橋剤がコラーゲンと結合して架橋反応が起きるために、化学的架橋剤を検出できれば、両者の判別は可能である。しかし、化学的架橋剤として1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩等のコラーゲンと結合しないタイプのものを用いたときには、架橋体を分析しても化学的架橋剤の痕跡を見出すことはほぼ不可能である。
また、架橋されていないコラーゲン(以下「未架橋体」と称する)と架橋体との区別も極めて困難である。例えば、分析によって未架橋体と架橋体の違いを見出すことは、特に照射架橋体においては架橋点の多寡の違いしかないため、極めて困難である。未架橋体は架橋体よりも一般に強度的に弱く、水中保存安定性も低い傾向があるが、それら物理的傾向の違いが架橋処理の有無に起因したものであることを立証することも極めて困難である。
以上の区別の困難性から、架橋形態では照射架橋によって架橋処理を施されたものであることを発明特定事項としたのである。
ところで、水性溶媒の存在下で照射架橋された架橋体の一特性は、例えば、特許第5633880号公報に記載されているように、細胞培養環境や生体内環境において分解し難いというものである。例えば、この架橋体をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)中に37℃で5日間浸漬した場合の溶解率が10質量%以下であるとき、この架橋体が上記特性を有するといえる。尚、溶解率とは、D-PBS中への架橋体からの溶出成分の質量の、浸漬前の架橋体の質量に対する割合(%)である。溶解率は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPS)によってD-PBS中の溶出成分の分子量分布を測定する方法、又はD-PBS中の溶出成分の質量を測定する方法によって評価できる。少なくとも接着部とコラーゲンとが水性溶媒の存在下で照射架橋された本発明の複合体の溶解率も10質量%以下である。
水性溶媒の種類は特に限定されるものではないが、架橋対象物と照射架橋法等の架橋条件に応じて適宜選択することが好ましい。具体例は、水、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水、酸性塩水溶液、中性塩水溶液、アルカリ性塩水溶液等であり、また、これらに有機溶媒を添加した混合溶媒でもよい。緩衝液の例は、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液である。緩衝生理食塩水の例は、PBS、D-PBS、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等である。
架橋処理前のコラーゲンが線維化コラーゲンで構成されたものであり、架橋処理中も線維化コラーゲンとしての形態を保持させるのであれば、線維化コラーゲンの形態保持に適した適度なイオン強度及びpHを具備した水性溶媒を用いることが好ましい。好例は、可溶化コラーゲン水溶液から線維化コラーゲンを得るために用いた水溶液と同様の水溶液を水性溶媒として選択することである。当該水溶液のpHについては、例えば3〜10の範囲内でコラーゲンの種類(酸可溶化コラーゲン、酵素可溶化コラーゲン、アルカリ可溶化コラーゲン等)に応じて適宜設定することが好ましい。一例として、酵素可溶化コラーゲンについては、pH6〜8の範囲の緩衝液、緩衝生理食塩水、中性塩水溶液等を用いることが好ましい。なお、線維化コラーゲンを比較的溶解し易い水性溶媒であっても、この水性溶媒への浸漬及び架橋処理を短時間でおこなう場合には使用可能である。また、架橋処理前のコラーゲンが非線維化コラーゲンで構成されたものであり、架橋処理のために浸漬する水性溶媒中で線維化させたいときは、線維化に適した適度なイオン強度及びpHを具備した水性溶媒を用いることが好ましい。
照射架橋は、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち1種だけを実施してもよいし、2種以上を組み合わせて実施してもよい。また、1種の照射架橋を2回以上実施してもよい。照射架橋を例えば2回実施するときは、1回目で低架橋度、2回目で高架橋度が得られるように設定することが好ましい。また、2種以上を組み合わせて実施するときは、基本的には架橋度が低い照射法の後に架橋度が高い照射法を実施することが好ましく、例えば、UV照射後にγ線照射する組合せである。好適には、透過力が高く、均一に架橋させることができるγ線照射によって照射架橋を1回で行う方法である。特に、γ線照射による架橋処理では、照射線量を適宜設定することによって、高強度なコラーゲンとともに高い接着強度を得ることもできる。γ線照射では、線量率が固定の線源を用い、照射時間等の条件を適宜設定することにより、所定の照射線量を簡便に得ることができる。例えば、コバルト60線源を用いる場合、照射線量5〜75kGyで架橋処理を行うことができる。照射線量として、好ましくは5〜50kGyであり、より好ましくは10〜50kGyであり、さらに好ましくは15〜30kGyである。さらに、照射条件を適宜設定すれば架橋処理と同時に滅菌処理を行うことができる。そのため、架橋処理中及び架橋処理後の密封状態を保つようにすることで、滅菌済み製品として、そのまま市場に流通させることも可能である。
(用途)
チタン又はチタン合金は医用材料として広く用いられており、例えば、整形外科、循環器外科、歯科等の分野が挙げられる。上記各分野における用途の例は、整形外科分野では人工股関節のステム、骨固定材、脊椎固定器具等、循環器外科分野ではガイドワイヤ、自己拡張型ステント等、歯科分野では歯科用インプラントの歯根部分等である。本発明の複合体も医用材料としてチタン又はチタン合金が用いられる用途に適用可能である。
(接着のメカニズム)
チタンは酸素や窒素との化学的親和力が大きく、常温では表面に薄い酸化膜を形成しており、その酸化膜には水酸基が多く含有されていることが知られている。一方、コラーゲンはアミノ酸で構成されており、アミノ酸1分子中にカルボキシル基を2個有するアスパラギン酸とグルタミン酸を比較的多く含む。非特許文献である「表面科学」第20巻 第9号p.22(1999)には、「コラーゲンは3個のタンパク分子が水素結合によって3重ラセン構造を形成している。それぞれのタンパク分子のアミノ酸残基はおよそ1,000個であり、そのおよそ15-20%が側鎖にカルボキシル基(-COOH)やアミノ基(-NH2)を持っていて、それが3重ラセンの外側を向いている。」と記載されている。これらのことより、コラーゲンとチタン又はチタン合金との接着部における接着のメカニズムについて、定かなことは不明であるが、チタンの水酸基とコラーゲンのカルボキシル基との結合反応が接着に寄与しているものと推測される。この推測に基づけば、とりわけ架橋形態においては、チタンの水酸基とコラーゲンのカルボキシル基との反応が生じるような架橋処理を行うことが好ましい。また、水性溶媒の存在下であるため、チタンの水酸基とコラーゲンのカルボキシル基との反応の開始及び進行には、照射(γ線等)により発生した水のラジカルが大きく関与している可能性が考えられる。
(製造方法)
本発明の複合体の製造方法の好適な一形態は、以下の工程を含むものである。即ち、コラーゲン材料のうちの少なくとも一部分と、チタン系基材においてチタン又はチタン合金を外表面に備えた部分のうちの少なくとも一部分と、を直接接触させた状態とする接触部を設ける第1工程、次に、少なくとも接触部に対し、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種の架橋処理を施して、接触部におけるコラーゲンとチタン又はチタン合金とを接着させる第2工程、である。
なお、以下の説明において、前述と重複する事項については説明を省略する。
第1工程のコラーゲン材料は、可溶化コラーゲン水溶液及びコラーゲン成形体のうちのいずれか一方又は双方であることが好ましい。
第1工程のコラーゲン材料を構成するコラーゲンの型は、生体内での存在量が多いI型コラーゲンが好ましい。また、抗原決定基であるテロペプタイドが除去されたアテロコラーゲンがより好ましい。さらに、コラーゲンの由来は、哺乳類、魚介類、鳥類、爬虫類等であることが好ましく、特にヒトとの共通のウイルスを有しない魚介類由来のコラーゲンが好ましい。
可溶化コラーゲン水溶液は、一般に、コラーゲン濃度が低い場合は粘性が低く、濃度が高くなるにつれて粘性が高くなる。可溶化コラーゲン水溶液の粘性が高いときは、特別な措置を施さなくとも、第2工程の水性溶媒中において可溶化コラーゲン水溶液とチタン系基材の接触状態を維持できる場合がある。一方、左記接触状態の維持が困難な場合や可溶化コラーゲン水溶液の粘性が低いときは、第2工程の水性溶媒中において可溶化コラーゲン水溶液の流出・流亡を防ぐ措置を講じることが望ましい。このような措置として、適当な部材を用いて可溶化コラーゲン水溶液を覆う方法が一例であり、当該方法ではチタン系基材の窪みや空隙に可溶化コラーゲン水溶液を配置することがより望ましい。また、第2工程の水性溶媒として、可溶化コラーゲン水溶液中のコラーゲンを線維化させるものを用いることも好ましい選択肢の1つである。なお、粘性を有する所定濃度の可溶化コラーゲン水溶液は、コラーゲン糊として一般に使用されることもある。
コラーゲン成形体は、例えば、公知の製造方法に基づいて製造したものであってもよいし、市販品を用いてもよい。公知の製造方法は多種多様である。コラーゲン成形体の一例は、線維化コラーゲンゲルである。線維化コラーゲンゲルは、常法に従って得ることができるものであり、例えば、所定の容器内に入れた可溶化コラーゲン水溶液のイオン強度及びpHを線維化に適した範囲に設定することによって得ることができる。また、線維化コラーゲンゲルを乾燥したものであってもよい。また、コラーゲン成形体の別の一例は、非線維化コラーゲンからなるコラーゲン成形体である。当該コラーゲン成形体は、可溶化コラーゲン水溶液を所定の容器に入れ、乾燥することによって得られる。ここで、コラーゲン成形体に関する文献を例示すると、膜形状の線維化コラーゲン:特許第5870398号公報、膜形状の非線維化コラーゲン:特許第5991624号公報、ファイバー形状の線維化コラーゲン:特開2016−69783号公報、多孔質の立体形状の線維化コラーゲン:特開2015−213676号公報等が挙げられ、これらは本発明のコラーゲン成形体の範囲に含まれるものである。以上例示したもの以外であっても、本発明に好適に使用できるものであれば、本発明のコラーゲン成形体の範囲に含まれる。
コラーゲン材料として、水性溶媒中で製造されたコラーゲン成形体を用いるときは、乾燥処理を行うことなく、そのまま水性溶媒存在下、即ち、水性溶媒中又はコラーゲン成形体の湿潤状態が保持された状態で、コラーゲン成形体とチタン系基材とを接触させた状態とすることが好ましい。また、乾燥状態のコラーゲン成形体を用いるときは、コラーゲン成形体とチタン系基材とを接触状態とした後に、第2工程に供するために水性溶媒に浸漬させることが好ましい。
可溶化コラーゲン水溶液をコラーゲン糊として用いて、コラーゲン成形体とチタン系基材とを接着させてもよい。このとき、チタン系基材においてチタン又はチタン合金を外表面に備えた部分のうちの少なくとも一部分と可溶化コラーゲン水溶液とが直接接触し、さらに、可溶化コラーゲン水溶液とコラーゲン成形体のうちの少なくとも一部分とが直接接触することとなる。コラーゲン糊による糊着後、コラーゲン糊を乾燥させる工程を設けてもよい。乾燥により、接着強度の高い本発明の複合体を得ることも可能である。
コラーゲンとチタン又はチタン合金との接着において高い接着強度を得る観点から、コラーゲン材料は未架橋のものであることが好ましい。また、架橋処理が施されたコラーゲン材料であっても構わないが、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが接着できるように架橋の程度はできるだけ低いものであることが望ましい。
ここで、接触部とは、コラーゲン材料のうちの少なくとも一部分と、チタン系基材においてチタン又はチタン合金を外表面に備えた部分のうちの少なくとも一部分と、を直接接触させた状態とした部分を指す。接触部における接触状態は、好ましくはしっかりと接触した状態であり、好例は密着状態である。また、接触状態には糊着状態も含まれる。
第2工程は、第1工程で設けた直接接触させた状態を維持したままで実施する。第2工程において、とりわけ水性溶媒の存在によって接触部における接触状態を維持することが困難な場合は、適当な部材を用いて接触状態を維持させることが好ましい。例えば、コラーゲン材料とチタン系基材とをそれぞれの外側から接触部の方向に向かって押圧させるための部材(以下「押圧部材」という)を用いて押圧することである。また、水性溶媒を溜めるための所定の容器の底部とチタン系基材が接するときは、容器底部を押圧部材の1つとして利用してもよい。
押圧部材として、非通水性の部材を用いてもよいが、得られる本発明の複合体の架橋度を高めたいときは、通水性の部材を用いることが好ましい。通水性押圧部材の一例は、多孔質部材である。多孔質の孔構成は規則的であっても不規則であってもよい。また、接触部に接する部分以外は非通水性であり、接触部に接する部分のみが通水性を有する押圧部材であってもよい。
押圧部材の材質は、コラーゲンとの相性や架橋方法を勘案して選択すればよい。例えば、コラーゲンが付着し難い材質や照射架橋に対する耐久性の高い材質を選択することも好ましい態様である。材質の具体例として、熱可塑性樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、スチロール樹脂等が挙げられ、また、熱硬化性樹脂、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、熱硬化性樹脂であるウレタン樹脂、シリコーン樹脂等がより好ましく、特に好ましくはウレタン樹脂である。
特に好適な一形態は、照射架橋処理中に、押圧部材と接触している部分のコラーゲン成形体には水性溶媒が少なくとも分子レベルで流通又は浸潤している状態とすることである。これによって、水分子の流動とともに、新たに発生した水のラジカルが順次コラーゲンの未架橋部分に作用して架橋反応を進行させ、より高い架橋度を得ることも可能になると考えられる。このように、本発明の好適な一形態においては、たとえ撹拌等による外力が作用しなくても、水分子のレベルで押圧部材と接触している部分のコラーゲン成形体の内部から外部へ、またその逆方向への動きが確保されている状態とすることが特に好ましい。
本製造方法において、使用する水性溶媒の量は、特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも接触部のコラーゲン材料の表面全体が水性溶媒で覆われる状態が好ましい。接触部が水性溶媒に完全に浸漬していない状態、例えば、接触部の一部が水性溶媒に浸漬していない場合であっても、当該部分における浸潤性が確保できていれば、水性溶媒に浸漬した状態と言える。本願明細書では、以上例示したような接触部に対する水性溶媒の状態を含めて、「水性溶媒の存在下」と称するものである。より好ましくは、接触部も含めてコラーゲン材料全体が水性溶媒に完全に浸漬した状態である。チタン系基材は、接触部を除いた部分が水性溶媒に浸漬していない状態であっても構わないが、好適な態様はチタン系基材も水性溶媒に浸漬した状態である。水性溶媒の量は、コラーゲン材料とチタン系基材の形状、及びこれらを収容する容器の大きさを勘案して適宜設定すればよいが、例えば、コラーゲン材料とチタン系基材の合計容量に対して2倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましく、10倍以上がさらに好ましい。
本製造方法においては、接触部のみ又は接触部とその周辺部分を水性溶媒の存在下で照射架橋し、その後にコラーゲン材料を照射架橋以外の架橋法、例えば、熱脱水架橋、化学的架橋法によって架橋してもよい。このコラーゲン材料の架橋処理においては、すでに照射架橋された部分も架橋対象としても構わない。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(可溶化コラーゲン水溶液の調製)
ティラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「セルキャンパス FD-08G」(凍結乾燥品)をpH3のHCl溶液に溶解し、コラーゲン濃度1.1質量%の無色透明な可溶化コラーゲン水溶液を調製した。以下、当該可溶化コラーゲン水溶液を「可溶化コラーゲン水溶液A」と称する。
上記と同様にして、コラーゲン濃度7質量%の可溶化コラーゲン水溶液を調製した。以下、当該可溶化コラーゲン水溶液を「可溶化コラーゲン水溶液B」と称する。
(コラーゲン成形体の作製)
可溶化コラーゲン水溶液Aの9容量部と10倍濃い濃度に作製したD-PBSの1容量部とを混合した。この混合液をシリコン製の成形器に注入し、水分の蒸発を防ぐためにスライドグラスで上面を覆い、25℃・12時間保持して線維化コラーゲンゲルを得た。当該線維化コラーゲンゲルを、エタノール/水の容量比が50/50の混合液(以下、50/50のように表記する)、70/30、90/10、100/0に順次浸漬して脱塩・脱水した後、膜の上下面をポリスチレン板で覆い、側面のみから脱媒させることにより乾燥させて、線維化コラーゲンからなる膜形状のコラーゲン成形体(長さ10mm×40mm、厚さ0.05mm)を得た。以下、当該コラーゲン成形体を「コラーゲン成形体A」と称する。
(チタン系基材)
チタン系基材として、以下のものを用いた。
・チタン系基材A:板形状の純チタン(長さ60mm×80mm、厚さ0.3mm)
・チタン系基材B:板形状のTi-6Al-4V合金(64チタン)(長さ60mm×80mm、厚さ0.3mm)
・チタン系基材C:チタン系基材Aの中央部に曲げ加工を施し、ドーム形状の窪み(直径15mm、最深部の深さ5mm)を形成させたもの
〔実施例1〕
コラーゲン成形体Aをチタン系基材Aの板面上に載置した。このとき、コラーゲン成形体Aの半分(一方の短辺から長辺の中間までの部分)をチタン系基材Aと接触させ(接触面積200mm2)、残り半分はフリー状態とした。接触部に対し、生理食塩水に浸漬した2枚のポリウレタンスポンジを用いてコラーゲン成形体Aとチタン系基材Aの各外側から押圧した。
この状態で生理食塩水中に完全に浸漬させ、25kGyのγ線照射による架橋処理を行い、複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においてもコラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、接触部においてコラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとが接着によって結合した本発明のコラーゲン−チタン複合体であった。
〔実施例2〕
チタン系基材Aの代わりにチタン系基材Bを用いた以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においてもコラーゲン成形体Aとチタン系基材Bとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、接触部においてコラーゲン成形体Aとチタン系基材Bとが接着によって結合した本発明のコラーゲン−チタン複合体であった。
〔実施例3〕
実施例1における2枚のポリウレタンスポンジを浸漬する液及び25kGyのγ線照射による架橋処理を行うときの液として、生理食塩水の代わりにPBSを用いた以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においてもコラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、接触部においてコラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとが接着によって結合した本発明のコラーゲン−チタン複合体であった。
〔実施例4〕
チタン系基材Aの板面上に可溶化コラーゲン水溶液Aを塗布した後、コラーゲン成形体Aを載置して接着させた(可溶化コラーゲン水溶液Aはコラーゲン糊の役割)。このとき、コラーゲン成形体Aの半分(一方の短辺から長辺の中間までの部分)がチタン系基材Aと接着し(接着面積200mm2)、残り半分がフリー状態となるようにした。なお、可溶化コラーゲン水溶液Aの塗布は、上記接着部の範囲よりも広範囲に行った。
次に、可溶化コラーゲン水溶液Aの乾燥工程として、上記接着させたものをクリーンベンチのエアーカーテンに2時間当てた。2時間後には可溶化コラーゲン水溶液Aは乾燥し、コラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとは軽度の接着状態となっていた。
次いで、これをPBS中に完全に浸漬させ、25kGyのγ線照射による架橋処理を行い、複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても、可溶化コラーゲン水溶液Aに由来したコラーゲンとチタン系基材Aとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、本発明のコラーゲン−チタン複合体であり、さらに可溶化コラーゲン水溶液Aに由来したコラーゲンとコラーゲン成形体Aとの接着も同様に保持されたものであった。なお、接着部において、コラーゲン成形体Aと可溶化コラーゲン水溶液Aに由来するコラーゲンとを区別することができた。
〔実施例5〕
可溶化コラーゲン水溶液Aの乾燥工程を設ける代わりにコラーゲン成形体Aの載置後10分間の静置時間を設けた以外は、実施例4と同様にして複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても、可溶化コラーゲン水溶液Aに由来したコラーゲンとチタン系基材Aとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、本発明のコラーゲン−チタン複合体であり、さらに可溶化コラーゲン水溶液Aに由来したコラーゲンとコラーゲン成形体Aとの接着も同様に保持されたものであった。なお、接着部において、コラーゲン成形体Aと可溶化コラーゲン水溶液Aに由来するコラーゲンとを区別することができた。
〔実施例6〕
チタン系基材Cの窪み部に可溶化コラーゲン水溶液Bを充填した後、純水に浸した板状のポリウレタンスポンジで窪み部全体を覆った。この状態で純水中に完全に浸漬させ、25kGyのγ線照射による架橋処理を行い、複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても非線維化コラーゲンゲルとチタン系基材Cとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、非線維化コラーゲンゲルとチタン系基材Cが接着によって結合した本発明のコラーゲン−チタン複合体であった。
〔実施例7〕
実施例6におけるポリウレタンスポンジを浸漬する液及び25kGyのγ線照射による架橋処理を行うときの液として、純水の代わりにPBSを用いて、可溶化コラーゲン水溶液A中のコラーゲンを線維化させた以外は、実施例6と同様にして複合体を得た。
当該複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても線維化コラーゲンゲルとチタン系基材Cとの接着が保持されたものであった。よって、当該複合体は、線維化コラーゲンゲルとチタン系基材Cが接着によって結合した本発明のコラーゲン−チタン複合体であった。
〔比較例1〕
チタン系基材Cの窪み部に可溶化コラーゲン水溶液Bを充填した後、PBSに浸した板状のポリウレタンスポンジで窪み部全体を覆った。この状態でPBS中に完全に浸漬させ、可溶化コラーゲン水溶液B中のコラーゲンを線維化させて複合体を得た。
当該複合体を3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後、接着度合いを確認したところ、線維化コラーゲンゲルとチタン系基材Cとは接着していなかった。
〔比較例2〕
チタン系基材Aの板面上に可溶化コラーゲン水溶液Aを塗布した後、コラーゲン成形体Aを載置して接着させた(可溶化コラーゲン水溶液Aはコラーゲン糊の役割)。このとき、コラーゲン成形体Aの半分(一方の短辺から長辺の中間までの部分)がチタン系基材Aと接着し(接着面積200mm2)、残り半分がフリー状態となるようにした。なお、可溶化コラーゲン水溶液Aの塗布は、上記接着部の範囲よりも広範囲に行った。
次に、可溶化コラーゲン水溶液Aの乾燥工程として、上記接着させたものをクリーンベンチのエアーカーテンに2時間当てた。2時間後には可溶化コラーゲン水溶液Aは乾燥し、複合体を得た。なお、コラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとは軽度の接着状態となっていた。
当該複合体を3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後、接着度合いを確認したところ、可溶化コラーゲン水溶液Aはチタン系基材Aにほとんど付着しておらず、よってコラーゲン成形体Aとチタン系基材Aとは分離しており、接着状態を維持していなかった。
(試験に供試するまでの保管)
実施例1と2で得られた各コラーゲン−チタン複合体は生理食塩水中に完全に浸漬させた状態で冷蔵保管した。また、実施例3、4、5及び7で得られた各コラーゲン−チタン複合体は、PBS中に完全に浸漬させた状態で冷蔵保管した。実施例6で得られたコラーゲン−チタン複合体は純水中に完全に浸漬させた状態で冷蔵保管した。
(振とう試験)
実施例1〜7で得られた各コラーゲン−チタン複合体を試験1日前に各浸漬液から取り出し、それぞれ20℃のPBS中に完全に浸漬させた。次に、各コラーゲン−チタン複合体を20℃のPBSを収容した容器内にそれぞれ設置し、PBS中に完全に浸漬させた状態とした後、当該容器をタイテック株式会社製の中型振とう機 トリプルシェーカー NR-80に設置し、振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行った。振とう後にコラーゲン−チタン複合体を取り出し、接着の保持の有無を確認した。
その結果、いずれのコラーゲン−チタン複合体においても接着が保持されていた。接着の程度は、手による感触では、振とうの前後でほとんど差はなかった。
(引張せん断接着強度試験1)
実施例1〜5で得られた各コラーゲン−チタン複合体を試験1日前に各浸漬液から取り出し、それぞれ20℃のPBS中に完全に浸漬させた。次に、各コラーゲン−チタン複合体を上記PBSから取り出して10分以内に、湿潤状態を保持させたままで、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製TA.XT.Plus Texture Analyser、クランプ:Mini Tensile Grips A/MTG)の下部クランプでチタン系基材を固定し、上部クランプでコラーゲン成形体のフリー端から約10mm内側部分を固定した後、0.1mm/秒の速度で上部クランプを鉛直上向きに引張り、引張最大荷重を測定した。引張せん断接着強度を、引張せん断接着強度(kPa)=引張最大荷重(N)/接着部の面積(mm2)×1000の式から計算した。この測定はn数5で実施し、平均値と標準偏差を求めた。結果を表1に示した。
Figure 2018143767
表1の結果より、コラーゲン成形体とチタン系基材が所定の強度で結合していることが確認された。
(引張せん断接着強度試験2)
前記振とう試験を実施した後の実施例1〜5の各コラーゲン−チタン複合体について、前記引張せん断接着強度試験1の方法により引張最大荷重を測定し、引張せん断接着強度を計算した。この測定はn数3で実施し、平均値と標準偏差を求めた。結果を表2に示した。
Figure 2018143767
表2の結果より、振とう試験後の引張せん断接着強度試験においても、コラーゲン成形体とチタン系基材が所定の強度で結合していることが確認された。

Claims (9)

  1. コラーゲンとチタン又はチタン合金とが直接接着したコラーゲン−チタン複合体であって、
    上記コラーゲン−チタン複合体は、3時間20℃の純水中に完全に浸漬した後においても、上記接着が保持されたものである、
    コラーゲン−チタン複合体。
  2. 前記コラーゲン−チタン複合体において、少なくともコラーゲンとチタン又はチタン合金との接着部が、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種による架橋処理を施されたものである、請求項1記載のコラーゲン−チタン複合体。
  3. 以下の振とう試験の後においても、前記接着が保持されている、請求項1又は2記載のコラーゲン−チタン複合体。
    振とう試験:少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させたコラーゲン−チタン複合体を、20℃のリン酸緩衝生理食塩水を収容した容器内に設置し、当該リン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させた状態とした後、当該容器に対し振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行う。
  4. 前記コラーゲンのうち、少なくとも一部分が、コラーゲンで構成され所定の形状を有するコラーゲン成形体である、請求項1〜3のいずれか1項記載のコラーゲン−チタン複合体。
  5. 以下の引張せん断接着強度試験による引張せん断接着強度が1kPa以上である、請求項4記載のコラーゲン−チタン複合体。
    引張せん断接着強度試験:まず、少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させたコラーゲン−チタン複合体を、リン酸緩衝生理食塩水から取り出して20分以内に、湿潤状態を保持させたままで、垂直方向に上部クランプが作動して引張せん断接着強度を測定できる装置において、下部クランプでチタン系基材を固定し、上部クランプでコラーゲン成形体を固定した後、上部クランプを上向きに0.1mm/秒の速度で引張り、引張最大荷重を測定する。引張せん断接着強度を、引張せん断接着強度(kPa)=引張最大荷重(N)/接着部の面積(mm2)×1000の式から計算する。上記式において、接着部の面積は、引張せん断接着強度試験供試前において、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが接着した部分の面積である。
  6. 以下の振とう試験の後に実施する以下の引張せん断接着強度試験による引張せん断接着強度が1kPa以上である、請求項4又は5記載のコラーゲン−チタン複合体。
    振とう試験:少なくとも1日間20℃のリン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させたコラーゲン−チタン複合体を、20℃のリン酸緩衝生理食塩水を収容した容器内に設置し、当該リン酸緩衝生理食塩水中に完全に浸漬させた状態とした後、当該容器に対し振とう速度120rpm、振幅30mmの往復振とうを3時間行う。
    引張せん断接着強度試験:まず、上記振とう試験後のコラーゲン−チタン複合体を、リン酸緩衝生理食塩水から取り出して20分以内に、湿潤状態を保持させたままで、垂直方向に上部クランプが作動して引張せん断接着強度を測定できる装置において、下部クランプでチタン系基材を固定し、上部クランプでコラーゲン成形体を固定した後、上部クランプを上向きに0.1mm/秒の速度で引張り、引張最大荷重を測定する。引張せん断接着強度を、引張せん断接着強度(kPa)=引張最大荷重(N)/接着部の面積(mm2)×1000の式から計算する。上記式において、接着部の面積は、引張せん断接着強度試験供試前において、コラーゲンとチタン又はチタン合金とが接着した部分の面積である。
  7. 以下の工程を含む、コラーゲン−チタン複合体の製造方法。
    コラーゲン材料のうちの少なくとも一部分と、チタン又はチタン合金を少なくとも外表面に有する基材においてチタン又はチタン合金を外表面に備えた部分のうちの少なくとも一部分と、を直接接触させた状態とする接触部を設ける第1工程。
    少なくとも接触部に対し、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種の架橋処理を施して、接触部におけるコラーゲンとチタン又はチタン合金とを接着させる第2工程。
  8. 第1工程のコラーゲン材料が、可溶化コラーゲン水溶液及びコラーゲンで構成され所定の形状を有するコラーゲン成形体のうちのいずれか一方又は双方である、請求項7記載のコラーゲン−チタン複合体の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項記載のコラーゲン−チタン複合体を用いた医用材料。
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