JP7320796B2 - 血管内皮系細胞に特異的に結合するペプチドの使用、及びペプチド - Google Patents

血管内皮系細胞に特異的に結合するペプチドの使用、及びペプチド Download PDF

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本発明は、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理における、血管内皮系細胞に特異的に結合するペプチドの使用と、前述の表面処理において好適に使用されるペプチドと、前述のペプチドで表面処理された、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の製造方法と、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理用の、前述のペプチドを含む表面処理剤とに関する。
従来より、血液と接触して用いられる、人工血管、人工弁、ステント等の埋植医療機器について、抗血栓性や生体適合性の向上が望まれている。
例えば、埋植医療機器の表面に、血管内皮系細胞結合性のタンパクやペプチドを固定化して、種々の材料の表面の抗血栓性を向上させることが試みられている。
具体的には、生体由来の細胞外マトリックスを人工血管の材料として用い、当該人工血管の内腔に、REDV配列を含む、特定の配列を有する血管内皮系細胞接着性ペプチドを固定化することによって、血栓の形成を抑制する方法が提案されている(特許文献1)。
また、フィブロネクチン、ビロトネクチン、ラミニン、エラスチン、フィブリノゲン、コラーゲン等の細胞接着性タンパク質の結合ドメインに由来する、RGD配列や、YIGSR配列を含むペプチドによる被覆によって、血管ステント等の医療機器の表面の血管内皮化を、当該医療機器が血管内に留置された後に促進させる方法が提案されている(特許文献2)。
国際公開2014/065017号 特表2010-502363号公報
特許文献1及び2に記載の発明において利用される、REDV配列やRGD配列は、代表的な細胞接着分子であるフィブロネクチンから見出された細胞接着性ペプチド配列であって、YIGSR配列は細胞接着性分子ラミニンから見出された細胞接着性ペプチド配列である。
このため、REDV配列、RGD配列、YIGSR配列等は、様々な接着性細胞と親和性を有し、血管内皮系細胞に対する選択性が必ずしも高くない。
このため、血液と接触して用いられる医療機器や、医療用材料の表面において、高い血管内皮化の効率を達成できる表面処理方法の提供が望まれている。
本発明は、血管内皮系細胞に特異的に結合するペプチドを用いることによって、高い血管内皮化の効率を達成できる医療機器又は医療用材料を得ることができる、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理におけるペプチドの使用と、前述の表面処理において好適に使用されるペプチドと、前述のペプチドで表面処理された、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の製造方法と、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理用の、前述のペプチドを含む表面処理剤とを提供することを目的とする。
本発明者らは、血管内皮前駆細胞の表面に特異的に結合する特定の10種類のアミノ酸配列のいずれか1つを含むペプチドを用いて、医療機器又は医療用材料の表面処理を行うことによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、血管内皮系細胞に特異的に結合するペプチドを用いることによって、高い血管内皮化の効率を達成できる医療機器又は医療用材料を得ることができる、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理におけるペプチドの使用と、前述の表面処理において好適に使用されるペプチドと、前述のペプチドで表面処理された、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の製造方法と、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理用の、前述のペプチドを含む表面処理剤とを提供することができる。
[第1の態様]
本発明の第1の態様は、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理におけるペプチドの使用であって、当該ペプチドが、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ペプチドの使用に関する。
なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、特段の説明なく「ペプチド」と記載される場合、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチドを意味する。
配列番号1~10のアミノ酸配列は、以下に記す通りである。
GQSEKHL(配列番号1)
HGGVRLY(配列番号2)
SFKIPYHYDSGQ(配列番号3)
SLSKWSF(配列番号4)
KIAVIST(配列番号5)
TDNTKPK(配列番号6)
TNWRTIN(配列番号7)
VSRDTPQ(配列番号8)
TIPRAPSPANTY(配列番号9)
NRPDSAQFWLHH(配列番号10)
配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を有するペプチドは、血管内皮前駆細胞(EPC)及び、類似の性質を持つ血中循環細胞に特異的に結合する一方で、血栓形成の原因となる血小板とは結合しにくい。
このため、配列番号1~10のいずれか1つを含むアミノ酸配列を有するペプチドも、血管内皮前駆細胞及び、類似の性質を持つ血中循環細胞に特異的に結合する一方で、血栓形成の原因となる血小板とは結合しにくい。
以下、ペプチド中の配列番号1~10のいずれか1つを含むアミノ酸配列を有する部位を、EPC結合部位とも記す。
以下、第1の態様について詳細に説明する。
<医療機器又は医療用材料>
前述の特定のペプチドを用いて、医療機器又は医療用材料の表面処理が行われる。当該医療機器又は当該医療用材料は血液と接触して使用される機器又は材料が使用される。
血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料を、後述するペプチドを用いて表面処理することにより、高い血管内皮化の効率を達成できる医療機器又は医療用材料を得ることができる。
医療機器又は医療用材料としては、使用時に血液と接触する部位を含む機器又は材料であれば特に限定されない。
医療機器の好適な具体例としては、人工血管、ステント、人工弁、カテーテル、バルーン、人工心臓ポンプ、及び人工肺からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
2種以上の医療機器を組み合わせて備える医療機器としては、人工弁を備える人工血管や、ステントを備える人工血管(グラフト)であるステントグラフト等が挙げられる。
これらの医療機器における表面処理される部分の材質は特に限定されず、従来から、上記の医療機器において汎用されている材料であればよい。
医療用材料の好適な具体例としては、繊維、フィルム、シート、バッグ、チューブ、織布、不織布、成形体、及び生体由来組織、並びにこれらの材料のうちの2種以上を含む複合材料からなる群より選択される1種が挙げられる。
これらの医療機器又は医療用材料の表面処理される表面を構成する材質は、有機材料であっても無機材料であってもよく、樹脂等に代表される合成物であってもよく、動物又は植物に由来する天然物であってもよい。また、これらの材質は、天然物が化学的に変性又は改質された材質であってもよい。
医療機器又は医療用材料の表面処理される表面を構成する材質の具体例としては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、アルギン酸、セルロース及びキチン等の天然高分子;ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、及びこれらの共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン等の合成樹脂;アルミナ、ジルコニア、アパタイト等のセラミック;ステンレス、コバルト合金、チタン、チタン合金等の金属材料;炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の無機材料が挙げられる。
医療用材料について、繊維や、織布又は不織布を構成する繊維は、撚糸であっても不撚糸であってもよく、また、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよい。
また、フィルム、シート、バッグ、チューブや、その他の種々の成形体は、多孔質材料や、積層材料を用いて形成されていてもよい。
生体由来組織としては、角膜、心臓弁、血管、皮膚、軟骨、骨、腱、筋肉、膀胱、小腸、心臓、肝臓、肺、気管、食道、水晶体、硝子体、網膜、神経、脂肪組織、脳、硬膜、胸膜、横隔膜、尿管、腎臓、膵臓、胆のう、歯肉、歯根膜、歯、胎盤、及び生殖器等の組織が挙げられる。
生体由来組織の中では、血液との接触量が多いこと等から、心臓弁、血管、心臓等が好ましく、血管がより好ましい。これらの生体由来組織は、通常、脱細胞化され、細胞を含まない細胞外マトリックからなる状態で使用される。
生体由来組織から脱細胞する方法は特に限定されず、周知の方法に従って行われる。
例えば、このような細胞外マトリックスを用いて作製される人工血管は、基本的に、生体適合性が高く拒絶反応が低い人工血管となり得る。
生体由来組織の供給源である生体は特に限定されないが、例えば、非ヒト動物(例えば、走鳥類、鳥類、又は哺乳類等)を挙げることができる。
哺乳類としては特に限定されないが、例えば、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、サル等を挙げることができる。
走鳥類としは特に限定されないが、例えば、エミュー、キーウィ、ダチョウ、ヒクイドリ、又はレア等を挙げることができる。走鳥類の首は一般的に長く、当該首に存在する頚動脈等の血管は、細く、長く、且つ、分岐が少ない。このため、走鳥類の血管を用いて人工血管を作製すれば、内腔の断面がより小さく、より長く、且つ、より分岐の少ない人工血管を実現することができる。このような人工血管は、臨床の現場において、極めて有用であるといえる。また、走鳥類等は飼育が容易であるために、多量の血管組織を安定的に供給することもできる。
種々の形状への加工が容易であり、生体や血液への望ましくない影響が無いか少なく、生体内で安定であること等から、医療機器又は医療用材料の表面の材質は、例えば、フッ素樹脂であるのも好ましい。
フッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレンと1-パーフルオロアルコキシ-1,2,2-トリフルオロエチレンとの共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂)、及びPVdF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)等が挙げられる。
これらのフッ素樹脂の中では、加工性、及び化学的安定性等から、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)が好ましい。
<ペプチド>
上記の医療機器又は医療用材料の表面処理に用いられるペプチドは、前述の通り、その配列中に、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。
かかる配列を有するペプチドは、血管内皮前駆細胞に特異的に結合する一方で、血栓形成の原因となる血小板とは結合しにくい。
このため、上記のペプチドにより表面処理された医療機器又は医療用材料の表面では、血栓の発生を抑制しつつ、高い血管内皮下の効率を達成しやすい。
ペプチドの配列における、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列の位置は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
立体障害が小さく、ヒト血管内皮前駆細胞とペプチドとが良好に結合しやすいことから、ペプチドの配列において、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列は、医療機器又は医療用材料の表面とペプチドとの結合部位からより遠いほうの末端である非結合末端付近に存在するのが好ましい。
非結合末端は、ペプチドのC末端であっても、N末端であってもよい。
具体的には、ペプチドの非結合末端と、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を有する部位の非結合末端側の末端との間に存在するアミノ酸残基数が0以上5以下の整数であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
ペプチドの全長は、表面処理による所望する効果を得られる限り特に限定されない。ペプチドの全長は、80アミノ酸残基以下が好ましく、50アミノ酸残基以下がより好ましく、30アミノ酸残基以下がさらに好ましく、20アミノ酸残基以下がさらにより好ましく、15アミノ酸残基以下が特に好ましい。
また、ペプチドの調整が容易であり、且つ、所望する表面処理効果を得やすいことから、ペプチドの配列が、配列番号1~10の配列以外の配列を含まないのも好ましい。
つまり、ペプチドは、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。
ペプチドは、医療機器又は医療用材料の表面に対する接着性を有する接着部位を含んでいてもよい。
ペプチドがかかる接着性部位を含む場合、ペプチドと、医療機器又は医療用材料の表面とを接触させることで、医療機器又は医療用材料の表面にペプチドを容易に担持させることができる。
接着性部位としては、2,3-ジヒドロキシフェニル基又は3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸の残基からなる接着部位が挙げられる。
2,3-ジヒドロキシフェニル基又は3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸の残基からなる接着性部位は、2つの水酸基が隣接するジヒドロキシフェニル基を有するため、医療機器又は医療用材料の表面と結合できる。
医療機器又は医療用材料が金属材料からなる場合、表面に存在する金属原子とジヒドロキシフェニル基とのキレーションによって、ペプチドが接着性部位を介して表面に結合する。
医療機器又は医療用材料が、水酸基やアミノ基のような活性水素を含む官能基を有する有機高分子やセラミック等の材料からなる場合、ジヒドロキシフェニル基が酸化されて生成するキノンと、水酸基やアミノ基のような活性水素を含む官能基とが反応することで、接着性ペプチドが接着性部位を介して医療機器又は医療用材料の表面に結合する。
2,3-ジヒドロキシフェニル基及び3,4-ジヒドロキシフェニル基とでは、医療機器又は医療用材料の表面との反応しやすさから3,4-ジヒドロキシフェニル基が好ましい。3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸の具体例としては、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-L-アラニン(L-ドーパ)、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-メチル-L-アラニン(メチルドーパ)、及び(3R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-L-セリン(DOPS)等が挙げられる。これらの中では、実際に、ペプチドを調製する際に入手が容易であること等から、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-L-アラニン(L-ドーパ)が好ましい。
2,3-ジヒドロキシフェニル基又は3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸の残基からなる接着部位は、ペプチド中の非結合末端とは反対の末端から10アミノ酸残基以内に存在するのが好ましく、5アミノ酸残基以内に存在するのがより好ましい。
また、医療機器、又は医療用材料の表面が前述の生体由来組織からなる場合、接着性部位は(POG)nで表されるアミノ酸の繰り返し配列を有する部位であるのも好ましい。
ここで、Pはプロリンであり、Oはヒドロキシプロリンであり、Gはグリシンであり、nは括弧内のアミノ酸配列の繰り返し数である。
nの数は特に限定されないが、1以上20以下の整数であってよく、2以上20以下の整数であってよく、3以上20以下の整数であってよく、4以上20以下の整数であってよく、5以上20以下の整数であってよく、6以上20以下の整数であってよく、7以上20以下の整数であってよく、8以上20以下の整数であってよく、9以上20以下の整数であってよく、10以上20以下の整数であってよい。
(POG)nで表されるアミノ酸の繰り返し配列を有する接着性部位は、ペプチド中の非結合末端とは反対の末端付近に存在するのが好ましい。
具体的には、ペプチド中の非結合末端とは反対の末端と、(POG)nで表されるアミノ酸の繰り返し配列を有する部位における、ペプチド中の非結合末端とは反対の末端に近い末端との間に存在するアミノ酸残基の数が、0以上5以下の整数であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
ペプチドが上記の接着性部位を有する場合、ペプチドは、接着性部位と、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を有する部位との間に、任意のアミノ酸配列を有するスペーサー部位を有していてもよい。
当該スペーサー部位のアミノ酸配列は、配列番号1~10のアミノ酸配列を有する部位の立体構造に与える影響が小さいことから、サイズが大きかったり、極性が高かったりする側鎖を有さないグリシンやアラニンのようなアミノ酸の残基を多く含むのが好ましい。
以上説明したペプチドは、設計されたアミノ酸配列に従って、公知の手法により取得することができる。好適な方法としてはFmoc法やBoc法のような固相合成方法が挙げられる。このような固相合成方法で得られる粗製のペプチドは、必要に応じて逆相HPLC等の方法を用いて精製することができる。取得されるペプチドが所望の配列であるか否かは、公知の手段で確認することができる。このような手段としては、MALDI-TOF/MSで測定されるペプチドの分子量と、アミノ酸配列から算出されるペプチドの理論上の分子量とを比較する方法が挙げられる。
<表面処理方法>
医療機器、又は医療用材料の表面処理は、ペプチドを、医療機器、又は医療用材料の表面に担持できる方法であれば特に限定されない。
典型的には、医療機器、又は医療用材料の表面にペプチドを結合又は付着させることにより、ペプチドによる表面処理が行われる。
医療機器又は医療用材料の表面へのペプチドの担持は、例えば、分子間の相互作用による弱い結合による担持であってもよく、表面とペプチドとの間に共有結合を形成させる担持であってもよい。
表面とペプチドとの間に共有結合を形成させる方法は特に限定されない。典型的な方法としては、表面に存在する、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性の官能基を、ペプチドが有する、カルボキシ基、アミノ基、水酸基等の官能基と縮合させる方法が挙げられる。縮合によりペプチドを表面に結合させる場合、公知の縮合剤を用いて、表面と、ペプチドとの縮合を行うのが好ましい。縮合剤の種類は、縮合剤がペプチドや医療機器又は医療材料に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されず、縮合反応に関与する官能基の種類によって適宜選択される。
また、医療機器、又は医療用材料における表面処理される表面は、特段前処理されていなくてもよく前処理されていてもよい。
ペプチドは、医療機器又は医療用材料の表面に直接担持されてもよい。
また、医療機器又は医療用材料の表面にリンカー化合物を担持させてリンカー部位を形成した後、当該リンカー部位を介在させて、医療機器又は医療用材料の表面にペプチドを担持させてもよい。
医療機器又は医療用材料の表面へのペプチドの担持は、医療機器又は医療用材料の表面とペプチドとを接触させることにより行われる。
医療機器又は医療用材料の表面とペプチドとを接触させる方法は特に限定されない。医療機器又は医療用材料の表面とペプチドとを接触させる際、医療機器又は医療用材料の表面とペプチドとの均一な接触が容易であることから、通常、ペプチドは溶液の形態で使用される。
ペプチドの溶液を医療機器又は医療用材料の表面に接触させる方法としては、塗布、噴霧、及び浸漬のようは方法が挙げられる。これらの方法の中では浸漬が好ましい。医療機器又は医療用材料の表面が多孔質材料からなる場合もあるが、浸漬によれば、多孔質材料が有する細孔の内部表面にもペプチドを接触させることができる。
浸漬により、医療機器又は医療用材料の表面にペプチドを接触させる際の温度や時間は、ペプチドの医療機器又は医療用材料の表面への結合又は付着が良好に進行する限り特に限定されない。典型的には、浸漬は、5~90℃、好ましくは20~70℃で行われる。また、浸漬時間は、0.1~48時間が好ましく、1~24時間がより好ましい。
医療機器又は医療用材料の表面にペプチドを接触させる際のペプチドの使用量は、医療機器又は医療用材料の被処理面の面積に対して、0.1~50mg/mが好ましく、5.0~20mg/mがより好ましい。
表面処理時に用いるペプチドの溶液の濃度は特に限定されない。典型的には、ペプチドの溶液の濃度は、0.01~10mg/mLが好ましく、0.02~5mg/mLがより好ましい。
ペプチドにリンカー化合物を結合させて、当該リンカー化合物に由来するリンカー部位を形成した後、当該リンカー部位を介して、ペプチドを医療機器、又は医療用材料の表面に担持させてもよい。
具体的には、リンカー化合物を用いて医療機器又は医療用材料の表面処理を行う場合、以下のI)、及びII):
I)医療機器又は医療用材料の表面にリンカー部位を結合させることと、
II)リンカー部位に、ペプチドを結合させることと、
を任意の順序で行うことを含む、方法により表面処理を行うのが好ましい。
つまり、上記のI)に次いでII)を行ってもよく、II)に次いでI)を行ってもよい。
前述の表面の前処理の典型例としては、以下の1)、2)又は3)の処理が挙げられる。
1)プラズマ処理、グロー放電処理、又はコロナ放電処理のような処理
2)化学的処理
3)リンカー化合物による処理。
1)の処理によれば、前処理が施された表面に、水酸基、パーオキサイド基、あるいは、フリーラジカル等が生成する。このため、静電気的な親和力や、水素結合等により、ペプチドが前処理された表面に吸着されやすい。
また、前処理により表面に水酸基が生成している場合は、ペプチドのC末端(カルボキシ基)と水酸基との反応によりエステル化を行い、ペプチドを化学的に表面に固定してもよい。
エステル化の方法は特に限定されないが、縮合剤を用いる方法が挙げられる。縮合剤としては、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド、2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物等が挙げられる。
また、4-ジメチルアミノピリジン等の塩基性触媒の存在下に、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドや1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドのようなカルボジイミド化合物を縮合剤として用いてエステル化を行うこともできる。
さらに、表面に水酸基を生成させることができる前処理は、リンカー化合物を用いる前処理を行うためのさらなる前処理としても有用である。表面に反応性に富む水酸基が存在することにより、リンカー化合物を表面に結合させやすい。
2)の処理は、医療機器又は医療用材料の表面に、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の反応性の官能基を化学的処理により導入する方法である。
かかる処理によれば、ペプチドとの反応性を有する官能基や、後述するリンカー化合物が有する反応性基と反応し得る官能基を、医療機器又は医療用材料の表面に導入することができる。
例えば、医療機器又は医療用材料の表面に、アルキル基やアルデヒド基が存在する場合、これらの基を常法に従って酸化することにより、カルボキシ基を生成させることができる。
また、医療機器又は医療用材料の表面に芳香環が存在する場合、常法によるニトロ化と、ニトロ基の還元とを行うことにより、医療機器又は医療用材料の表面にアミノ基を導入することができる。
さらに、フッ素樹脂等の材料については、ボラン(BH)での処理の後、NaOH等の塩基の存在下に、H等の酸化剤を用いて処理することで、当該材料の表面に水酸基を導入することができる。
なお、医療機器又は医療用材料の表面への化学的な処理方法は、表面に所望する官能基を導入可能な方法であればよく、上記の具体的な処理方法には限定されない。
3)の処理によれば、ペプチドと化学的に結合可能な官能基を有し、且つ、医療機器又は医療用材料の表面に対して接着性を有するか、又は化学的に結合可能なリンカー化合物を用いて、医療機器又は医療用材料の表面が前処理される。
リンカー化合物が、医療機器又は医療用材料の表面に対して化学的に結合可能な化合物である場合、リンカー化合物は、医療機器又は医療用材料の表面に存在する官能基と反応して共有結合を形成する反応性基を有する。
リンカー化合物が有する反応性基の種類は、医療機器又は医療用材料の表面に存在する官能基の種類に応じて適宜選択される。
例えば、医療機器又は医療用材料の表面に水酸基が存在する場合、リンカー化合物が有する反応性基の好適な例としては、カルボキシ基、アルコキシシリル基(例えば、トリメトキシシリル基、トリトキシシリル基)、ハロシリル基(例えば、トリクロロシリル基)、ハロカルボニル基(例えば、クロロカルボニル基)、イソシアネート基、及びイソチオシアネート基等が挙げられる。
医療機器又は医療用材料の表面にアミノ基(-NH)が存在する場合、リンカー化合物が有する反応性基の好適な例としては、カルボキシ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル基(NHSエステル基)、ニトロフェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル基(HOBtエステル基)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールエステル基(HOAtエステル基)、及びエポキシ基等が挙げられる。
表面にメルカプト基(-SH)が存在する場合、リンカー化合物が有する反応性基としては、メルカプト基、及びN-置換マレイミド基等が挙げられる。
リンカー化合物の一例としては、ペプチドとの反応性を有する官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。
このようなシランカップリング剤の好適な例としては、3-アミノプロピリルトリエトキシシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランカップリング剤;3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなエポキシシランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランのようなメルカプトシランカップリング剤が挙げられる。
アミノシランカップリング剤を用いる場合、例えば、ペプチドのC末端とアミノ基とを反応させることにより、リンカーであるシランカップリング剤にペプチドを結合させることができる。
エポキシ基は、アミノ基、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の種々の官能基と反応し得る。このため、エポキシシランカップリング剤を用いる場合、ペプチド中のエポキシ基と反応し得る官能基と、エポキシ基との反応により、リンカーであるシランカップリング剤にペプチドを結合させることができる。
メルカプト基は、メルカプト基同士の反応によりジスルフィド結合を形成させる。このため、メルカプトシランカップリング剤を用いる場合、ペプチド中のメルカプト基と、シランカップリング剤由来のメルカプト基との反応により、リンカーであるシランカップリング剤にペプチドを結合させることができる。
また、リンカー化合物の他の好適な例としては、3-マレイミドプロピオン酸、3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジル、4-マレイミドブタン酸、4-マレイミドブタン酸N-スクシンイミジル、6-マレイミドヘキサン酸、及び6-マレイミドヘキサン酸N-スクシンイミジル等のN-置換マレイミド基を有する化合物が挙げられる。
これらの化合物は、カルボキシ基又はN-ヒドロキシコハク酸イミドエステル基(NHSエステル基)により医療機器又は医療用材料の表面の水酸基やアミノ基と結合し、N-置換マレイミド基によりペプチド中のメルカプト基と結合する。
反応性が高く、医療機器又は医療用材料の表面に良好にペプチドを結合させやすい点からは、ペプチドとしてメルカプト基を含むペプチドを用い、末端にN-置換マレイミド基を有するリンカー化合物を用いてリンカー部位を形成するのが好ましい。
この場合、ペプチドが有するメルカプト基と、リンカー部位の末端のN-置換マレイミド基とが反応し、ペプチドがスルフィド結合(-S-)を介してリンカー部位に結合する。
ペプチドにメルカプト基を導入する方法は特に限定されないが、ペプチドにシステイン残基を導入する方法が好ましい。
また、医療機器又は医療用材料の表面に対する接着性を有する接着性ペプチド断片と、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を有するペプチド断片とを含む、少なくとも2以上のペプチド断片を結合させて、ペプチドを生成させることができる。
この場合、接着性ペプチド断片を、上記のリンカー化合物と同様に用いることができる。接着性ペプチド断片の全長は特に限定されない。接着性ペプチド断片は、前述の好適なアミノ酸残基数の範囲内である全長を有するペプチドを生成させることが可能な全長を有するのが好ましい。
接着性ペプチド断片としては、2,3-ジヒドロキシフェニル基又は3,4-ジヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸の残基からなる接着部位を有するペプチドが挙げられる。接着部位については、ペプチドにおいて接着部位を設ける場合について前述した通りである。
また、医療機器、又は医療用材料の表面が前述の生体由来組織からなる場合、接着性ペプチド断片中の接着性部位は(POG)nで表されるアミノ酸の繰り返し配列を有する部位であるのも好ましい。
(POG)nで表されるアミノ酸の繰り返し配列を有する接着部位については、ペプチドにおいて接着部位を設ける場合について前述した通りである。
上記の方法に従って、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理を行い、当該表面処理において、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチドを使用することによって、高い血管内皮化の効率を達成できる医療機器又は医療用材料を得ることができる、
[第2の態様]
本発明の第2の態様は、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ペプチドに関する。
当該ペプチドは、第1の態様において説明したペプチドと同様である。
[第3の態様]
本発明の第3の態様は、血液と接触して使用される、表面処理された医療機器又は医療用材料の製造方法であって、
医療機器又は医療用材料の表面にペプチドを結合又は付着させることを含み、
ペプチドが、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、製造方法に関する。
第3の態様にかかる製造方法によって製造される医療機器又は医療用材料は、第1の態様において説明した医療機器又は医療用材料と同様である。
また、第3の態様にかかる製造方法において使用されるペプチドは、第1の態様において説明したペプチドと同様である。
さらに、医療機器又は医療用材料の表面にペプチドを結合又は付着させることは、第1の態様について説明した表面処理方法と同様にして行われる。
上記の製造方法によれば、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチドを用いて表面処理を行うことによって、高い血管内皮化の効率を達成できる、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料を得ることができる。
[第4の態様]
本発明の第4の態様は、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理用の表面処理剤であって、
表面処理剤がペプチドを含み、
ペプチドが、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、表面処理剤に関する。
第4の態様にかかる表面処理剤による表面処理対象である医療機器又は医療用材料は、第1の態様において説明した医療機器又は医療用材料と同様である。
また、第4の態様にかかる表面処理剤に含まれるペプチドは、第1の態様において説明したペプチドと同様である。
第4の態様の表面処理剤は、固体状であっても液体状であってもよく、医療機器又は医療用材料の表面に、所望する量のペプチドを均一に接触させやすいことから液体状であるのが好ましい。つまり、表面処理剤は表面処理液であるのが好ましい。
表面処理液に含まれる溶媒の種類は、ペプチドを溶解させることができれば、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ペプチドの溶解性や、医療機器又は医療用材料の表面に対する悪影響がないこと等から、通常、表面処理液に含まれる溶媒としては水が使用される。
表面処理液の調製方法は特に限定されない。ペプチドが溶液の状態である場合、ペプチドを含む溶液を、ペプチドの濃度が所望する濃度となるように、希釈又は濃縮することで表面処理液が得られる。ペプチドがフリーズドライ等の方法で粉末化されている場合、ペプチドの粉末と水等の溶媒とを所定の比率で混合して、ペプチドを溶媒に溶解させることで表面処理液が得られる。
表面処理液中のペプチドの濃度は、特に限定されない。表面処理液中のペプチドの好ましい濃度は、第1の態様において説明したペプチドの溶液と同様である。
表面処理剤が表面処理液である場合、当該表面処理液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ペプチド中の、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列からなる部位や、接着性部位に結合しない種々の添加剤を含んでいてもよい。表面処理液に配合され得る添加剤としては、pH調整剤、浸透圧調整剤、界面活性剤、粘度調整剤、安定剤、着色剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、及び紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの添加剤は、通常、これらの添加剤が種々の薬液に対して配合される量に従って、表面処理液に添加される。
[第5の態様]
本発明の第5の態様は、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理用の表面処理剤のセットであって、
セットが、ペプチドを含む第1剤と、医療機器又は医療用材料の表面に結合可能な官能基と、ペプチドと結合可能な官能基とを有するリンカー化合物を含む第2剤とを含み、
ペプチドが、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、表面処理剤のセットに関する。
第5の態様にかかる表面処理剤のセットによる表面処理対象である医療機器又は医療用材料は、第1の態様において説明した医療機器又は医療用材料と同様である。
また、第5の態様にかかる表面処理剤のセットにおいて用いるペプチドは、第1の態様において説明したペプチドと同様である。
さらに、第5の態様にかかる表面処理剤のセットにおいて用いるリンカー化合物は、第1の態様において説明したリンカー化合物と同様である。
第5の態様の表面処理剤のセットについて、第1剤と、第2剤とは、それぞれ固体状であっても液体状であってもよく、医療機器又は医療用材料の表面に、所望する量のペプチド又はリンカー化合物を均一に接触させやすいことから液体状であるのが好ましい。つまり、第1剤、及び第2剤は、それぞれ液状の製剤であるのが好ましい。
ペプチドを含む第1剤が液状の製剤である場合、当該液状の製剤としては、第4の態様に置いて説明したペプチドを含む表面処理液と同様の液を用いることができる。
リンカー化合物を含む第2剤が液状の製剤である場合、当該液状の製剤に含まれる溶媒の種類は、リンカー化合物を溶解させることができれば、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。溶媒は、水であっても、有機溶剤であっても、有機溶剤の水溶液であってもよい。
また、MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)バッファのような、グッド緩衝液(Good’s緩衝液)を溶媒として用いることもできる。
第2剤が液状の製剤である場合、当該液状の製剤におけるリンカー化合物の濃度は特に限定されない。
医療機器又は医療用材料の表面とリンカー化合物との間、又はリンカー化合物とペプチドとの間で縮合反応が生じる場合、表面処理剤のセットにかかる縮合反応を促進させる縮合剤を含ませてもよい。
縮合剤の種類は、縮合剤がペプチドや医療機器又は医療材料に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されず、縮合反応に関与する官能基の種類によって適宜選択される。縮合剤としては、例えば、第1の態様について前述した縮合剤を用いることができる。
縮合剤は、第1剤、第2剤、又は第1剤と第2剤との双方に加えてもよく、縮合剤を含む第3剤として表面処理剤のセットにおいて用いられてもよい。
第3剤として縮合剤を用いる場合、縮合剤を溶解させる溶媒の種類は、溶媒がペプチドや医療機器又は医療材料に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されず、縮合剤の種類に応じて適宜選択される。
[第6の態様]
本発明の第6の態様は、血液と接触して使用される医療機器又は医療用材料の表面処理用の表面処理剤のセットであって、
セットが、ペプチドを含む第1剤と、医療機器又は医療用材料の表面に存在する官能基と、ペプチドが有する官能基とを縮合させる縮合剤を含む第2剤とを含み、
ペプチドが、配列番号1~10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、表面処理剤のセットに関する。
第6の態様にかかる表面処理剤のセットによる表面処理対象である医療機器又は医療用材料は、第1の態様において説明した医療機器又は医療用材料と同様である。
また、第6の態様にかかる表面処理剤のセットにおいて用いるペプチドは、第1の態様において説明したペプチドと同様である。
さらに、第6の態様にかかる表面処理剤のセットにおいて用いる縮合剤は、第1の態様において説明した縮合剤と同様である。
第6の態様の表面処理剤のセットについて、第1剤と、第2剤とは、それぞれ固体状であっても液体状であってもよく、医療機器又は医療用材料の表面に、所望する量のペプチド又はリンカー化合物を均一に接触させやすいことから液体状であるのが好ましい。つまり、第1剤、及び第2剤は、それぞれ液状の製剤であるのが好ましい。
ペプチドを含む第1剤が液状の製剤である場合、当該液状の製剤としては、第4の態様に置いて説明したペプチドを含む表面処理液と同様の液を用いることができる。
縮合剤を含む第2剤が液状の製剤である場合、当該液状の製剤に含まれる溶媒の種類は、縮合剤を溶解させることができれば、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。溶媒は、水であっても、有機溶剤であっても、有機溶剤の水溶液であってもよい。
また、MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)バッファのような、グッド緩衝液(Good’s緩衝液)を溶媒として用いることもできる。
第2剤が液状の製剤である場合、当該液状の製剤における縮合剤の濃度は特に限定されない。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~10]
Fmoc固相合成方法により、以下に示す配列番号11~20のアミノ酸配列からなるペプチド1~10をそれぞれ合成した。ペプチド1~10は、それぞれ配列番号1~10のアミノ酸配列を含む。得られたペプチド1~10を、それぞれePTFE(延伸多孔質PTFE)表面への固定化反応に供した。
GQSEKHLGGGC(配列番号11)
HGGVRLYGGGC(配列番号12)
SFKIPYHYDSGQGGGC(配列番号13)
SLSKWSFGGGC(配列番号14)
KIAVISTGGGC(配列番号15)
TDNTKPKGGGC(配列番号16)
TNWRTINGGGC(配列番号17)
VSRDTPQGGGC(配列番号18)
TIPRAPSPANTYGGGC(配列番号19)
NRPDSAQFWLHHGGGC(配列番号20)
まず、ePTFEディスク(直径12mm)をメタノールにより洗浄した後、乾燥した。乾燥されたディスクをBHのテトラヒドロフラン(THF)溶液(1M)中に1時間浸漬した。次いで、ディスクの表面をH/NaOH(2gのNaOHを14mLの純水に溶解し、使用直前に30%H溶液と混合して使用)と1時間反応させて、ディスクの表面に水酸基を導入した。
水酸基を表面に導入されたディスクに対して、6-マレイミドヘキサン酸のMES(2-モルホリノエタンスルホン酸)バッファ溶液(pH6、濃度1mg/mL)と、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドのMESバッファ溶液(pH6、濃度2mg/mL)とを1時間反応させて、ディスク表面の水酸基と、6-マレイミドヘキサン酸とのエステル化反応を行った。
前述のペプチド1~10をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に濃度1.5mg/mLで溶解させたペプチド溶液と、N置換マレイミド基を表面に有するディスクとを1時間反応させて、ディスク表面にペプチド1~10を結合させた。
メルカプト基を有するペプチド(Peptide-SH)を上記方法に従ってPTFE表面に結合させる際の反応スキームを、以下に示す。
Figure 0007320796000001
[比較例1及び2]
表面未修飾のePTFEディスクを、比較例1のディスクとして用いた。また、実施例1~10の方法に従って、表面に水酸基が導入されたePTFEディスクを、比較例2のディスクとして用いた。
<細胞接着性評価>
ペプチド1~10により表面修飾された実施例1~10のディスクと、表面未修飾の比較例1のディスクと、表面に水酸基が導入された比較例2のディスクとに、それぞれ、2×10のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を播種し、4時間、又は48時間培養した後の細胞数を、Cell Counting Kit-8を用いて計数した。
具体的には、ペプチドで表面修飾されたディスクを、24穴プレートのウェル内に入れ、ステンレス製リングにより底面に固定して試験を行った。
HUVEC細胞はBioChain Institute Inc.,より購入した。
培養は、血管内皮細胞基礎培地(EBM-2)(Clonetics,San Diego,CA)にEGM-2添加物質(Catalogue #CC4176,Lonza)を添加した培地中で、37℃、5%CO環境下、4、及び48時間行った。
細胞数の計数は、非接着細胞を除去した後に、行った。
細胞数の計数結果を表1に記す。
また、実施例2、実施例4、実施例5、実施例10、比較例1、及び比較例2については、4時間後の、ディスク表面の細胞の形態を、SEM(走査型電子顕微鏡)と共焦点顕微鏡とで観察した。
その結果、実施例2、実施例4、実施例5、及び実施例10では、細胞の良好な伸展が確認され、糸状仮足(philipodia)の伸長が認められた。
他方、比較例1及び比較例2では、細胞の顕著な増殖亢進が認められなかった。
さらに、実施例2、実施例5、比較例1、及び比較例2については、48時間後の、ディスク表面の細胞の形態を、SEM(走査型電子顕微鏡)と共焦点顕微鏡とで観察した。
その結果、実施例2、及び実施例5では、顕著な細胞増殖と糸状仮足(philipodia)の伸長とが認められた。
他方、比較例1及び比較例2では、細胞の顕著な増殖亢進が認められなかった。
Figure 0007320796000002
表1の結果によれば、配列番号1~10のアミノ酸配列をそれぞれ含む、配列番号11~20のアミノ酸配列を有するペプチド1~10を用いる表面処理には、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の接着を促進させる作用があると認められる。
[実施例11~20]
表2に記載のペプチド(ペプチド1~ペプチド10)を用いて、実施例1~10と同様にして、ePTFE縫合糸(ゴアテックス(登録商標)繊維)の表面に、ペプチドを結合させる処理を行った。
[比較例3]
表面未修飾のePTFE縫合糸を、比較例3の縫合糸として用いた。
<in vivoでの全血接触試験>
内径10mm、全長65mmのチューブ型のコネクターのチューブ内壁付近に、血流方向と平行に配向されるように、実施例11~20、及び比較例3のePTFE縫合糸を配置した。
次いで、内径6mm、外径10mmのポリプロピレン製のチューブ2本を、それぞれ、上記のコネクターの両端に深さ5mmずつはめ込んで、ePTFE縫合糸をコネクター内に固定した。
このようにして準備した、ePTFE縫合糸を内部に備えるチューブ型のカートリッジを、エチレンオキシドガスで滅菌した後、in vivoでの試験に用いた。
試験用の動物としては、ミニブタ(ゲッチンゲン、雄、25~30kg)を用いた。当該ミニブタを用いて、上行大動脈へ送血カニューレ、右心耳から脱血カニューレを挿入して人工心肺回路を構築した。
人工心肺回路には、脱血カニューレ/試験用カートリッジ/静脈血リザーバー/血液輸送ポンプ/人口肺/送血カニューレの順で、これらの装置を連結した。
上記の構成の人工心肺回路を用いて、活性化全血凝固時間(ACT)が400以上となるようにヘパリンを投与された血液を、1時間通液した。
<細胞接着の確認>
実施例11、実施例12、及び実施例20のePTFE縫合糸について、以下の方法に従って、細胞接着の確認を行った。
1時間の血液通液後、カートリッジを回収し、カートリッジ内のePTFE縫合糸を生理食塩水により洗浄した。次いで、4%グルタルアルデヒドを用いて、ePTFE縫合糸に対して固定化処理を行った。
次いで、実施例11、実施例12、及び実施例20のePTFE縫合糸に接着している細胞の表面マーカーを、蛍光免疫染色により評価した。
核は、DAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)のPBS溶液(10μg/mL)を用いて染色した。
蛍光免疫染色に用いた抗体は、PE(フィコエリスリン)で標識されたCD34、CD105、及びFlk-1抗体である。血管内皮前駆細胞は、CD34、CD105、及びFlk-1抗体を発現している。
実施例11、実施例12、及び実施例20のePTFE縫合糸に対して固定化処理を行った後、100倍に希釈された抗体溶液を添加して、室温で1時間インキュベートした後に、共焦点レーザー顕微鏡によりePTFE縫合糸表面の細胞を観察した。
その結果、実施例11、実施例12、及び実施例20のいずれのePTFE縫合糸でも、CD34、CD105、及びFlk-1抗体で染色された細胞が観察された。
つまり、実施例11、実施例12、及び実施例20のePTFE縫合糸の表面に接着する細胞は、血管内皮前駆細胞であると考えられる。
<血小板粘着性評価>
実施例11~20、及び比較例3のePTFE縫合糸について、以下の方法に従って、血小板粘着面積と、水接触角とを評価した。これらの評価結果を表2に記す。
(血小板粘着面積測定)
ミニブタから採血したクエン酸血を用いて、富血小板血漿を以下の要領で作成した。
まず、採取した血液を600Gで4分間遠心した後、上清を採取して、上清中の血小板数をZ2コールターカウンターで計測した。
また、採取した血液を1300Gで120分間遠心して、貧血小板血漿を作成した。
両者を用いて、2×10血小板/mLの富血小板血漿を調製した。
各サンプルを、この血小板懸濁液と37℃で1時間接触させた後、PBSでの洗浄3回と、フォルムアルデヒドのPBS溶液(3.7v/v%)での10分間の処理により固定化とを行った。次いで、Triton X-100(0.1v/v%)で3分間処理した後、Rhodamine-Phalloidin染色液で30分間染色処理を行った。
洗浄後、PBSにより3回洗浄を行った後、サンプルの表面を蛍光顕微鏡(Olympus IX80(Olympus Hamburg, Germany))を用いて撮像し、サンプルの表面の血小板で覆われている面積の割合をImage Jソフトウェアにて計測した。
(水接触角測定)
静的接触角測定は接触角測定装置CA-X(共和界面科学社)により液滴法で測定した。純水液滴を摘果して1分後に液滴像を撮像して接触角を計測した。
Figure 0007320796000003
表2の結果によれば、配列番号1~10のアミノ酸配列をそれぞれ含む、配列番号11~20のアミノ酸配列を有するペプチド1~10を用いる表面処理には、血小板の粘着を抑制する作用があると認められる。
[実施例21~30]
表3に記載のペプチド(ペプチド1~ペプチド10)を用いて、実施例1~10と同様にして、ePTFEディスク(直径12mm)の表面に、ペプチドを結合させる処理を行った。
[比較例4及び5]
表面未修飾のePTFEのディスクを、比較例4の試験片として用いた。また、実施例1~10と同様の方法で表面に水酸基が導入されたePTFEのディスクを、比較例5の試験片として用いた。
<EPC(ヒト血管内皮前駆細胞)接着性評価>
実施例21~30のペプチドで表面処理されたePTFEの試験片と、ペプチドにより表面処理が施されていない比較例4及び5の試験片とを用いて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を2×10(細胞数/ウェル)の密度で播種することに変えて、EPCを1.5×10(細胞数/ウェル)の密度で播種することと、培養時間を、4時間、及び48時間から、4時間のみに変更することとの他は、実施例1~10、比較例1、及び比較例2での細胞接着性評価と同様の方法で、EPC(ヒト血管内皮前駆細胞)の接着性評価を行った。
Figure 0007320796000004
表3の結果によれば、配列番号1~10のアミノ酸配列をそれぞれ含む、配列番号11~20のアミノ酸配列を有するペプチド1~10を用いる表面処理には、4時間程度の短時間の培養でもEPC(ヒト血管内皮前駆細胞)の接着を促進させる作用があると認められる。

Claims (1)

  1. アミノ酸配列が、配列番号11、12、15、又は20のアミノ酸配列である、ペプチド。
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