JPH0744874U - 電動発電機に於ける軸受保持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電動発電機の軸受装置の自動的心決めと潤滑
性能の改良。 【構成】 軸受（Ｂ）を保持するリテーナ（３）が複数
個のフィンガ（２１ａ〜２１ｄ）を有し、これらのフィ
ンガの間の開いた領域がフィンガ自身が占める領域より
も大きい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電動発電機に係り、更に詳細には電動発電機のハウジングの端壁に 隣接した所定の位置にシャフト軸受を保持するよう構成された電動発電機に係る 。本明細書に於ては本考案を特にかかる用途について詳細に説明するが、本考案 は広範囲の用途に適用されてよいものである。

【０００２】

【従来の技術】

電気モータの如き電動発電機に於ては、製品の有用な寿命基準を満す点に於て 二つの重要な事項は、ロータシャフトを支承する軸受をそれらの適正な位置に保 持すること、及び軸受の適正な潤滑を確保することである。軸受がそれらの適正 な位置に留まることを確保するためには、部品点数が少なくてよくまた他のモー タ構成要素と容易に組立られる軸受リテーナ装置が必要である。軸受リテーナ装 置は、それが軸受とシャフトの一部との間にて潤滑剤リザーバ内に嵌込まれるこ とから、軸受の周りに潤滑剤が流れることを阻害する障壁として作用することが あるので、潤滑剤がモータのこれらの部材へ流れることを許すことが重要である 。モータのシャフトへ流動した潤滑剤は潤滑剤リザーバへ戻されなければならず 、さもなくば軸受の寿命が大きく悪化する。

【０００３】 自己整合型の軸受及びこれらの軸受リテーナは当技術分野に於てよく知られて いる。本考案の軸受装置は、（１）リテーナが特殊な追加の固定構造体を使用す ることなく自己固定機能を使用してその位置を維持するよう構成されており、（ ２）リテーナが潤滑剤の自由な流れを許すよう構成されており、（３）軸受組立 体それ自身が軸受組立体より潤滑剤が流れることを阻止するよう構成されている ので、従来の軸受装置とは異る。

【０００４】

【考案の概要】

本考案の目的は、モータの端壁、即ちエンドシールドに隣接した所定の位置に 軸受を保持するよう構成された電動発電機を提供すること、組立時にモータに容 易に組込まれ得る自己固定型のリテーナを含む電動発電機を提供すること、組込 まれる際に軸受と自己整合するリテーナを含む電動発電機を提供すること、電動 発電機のための長い軸受寿命性能が確保されるよう潤滑剤を注入することができ 、またリテーナの両側に潤滑剤が流動することを許すリテーナを含む電動発電機 を提供することである。

【０００５】 本考案によれば、概説すれば、電動発電機は回転可能に支承されたシャフトを 有している。後に説明する実施例に於ては、電動発電機はモータであり、内部に シャフトが配置されたハウジングを含んでいる。モータは少なくとも一つの軸受 組立体を含み、該軸受組立体内にシャフトが支承されている。軸受組立体はモー タのための端壁、即ちエンドシールドに隣接して組込まれている。本考案に於け る改善点は軸受組立体の軸受を所定の位置に保持する軸受リテーナを含んでいる 。リテーナは軸受上に嵌合し、モータのエンドシールドの内方部分に接触して軸 受を所定の位置に保持するようになっている。またリテーナは軸受と自己整合し 、またエンドシールドに対し自己固定する作用を有している。更にリテーナは軸 受組立体の周りに潤滑剤を注入し或いは軸受組立体の周りに潤滑剤が流動するこ とを許すよう構成されている。

【０００６】 以下に添付の図を参照しつつ、本考案を実施例について詳細に説明する。

【０００７】

【実施例】

図１及び図２に於て、符号１００は誘導モータＭの形態をなす電動発電機の一 つの例示的実施例を示している。モータＭはハウジングＨを含み、その一部が図 １に図示されている。ハウジング内には少なくとも一部が端壁、即ちエンドシー ルドＷに形成された孔Ｏを貫通して突出するよう回転可能なシャフトＳが配置さ れている。シャフトＳはその両端に於て軸受組立体ＢＡにより支承されており、 軸受組立体の一方が図２に示されている。軸受組立体ＢＡはその軸受Ｂが各エン ドシールドＷの内面に隣接して位置決めされるようエンドシールド内に組込まれ ている。本考案の一部を構成しない図１に示された他の種々の構造的特徴が本願 出願人と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第 号及び同第 号に記載されている。

【０００８】 図示の特定の実施例に於て、モータＭの構成要素がシェル、即ちハウジングＨ 内に配置されている。ハウジングＨは一体的に形成されたエンドシールドＷ１を 有している。またハウジングはエンドシールドＷ２により閉じられている。本明 細書に於ては本考案を図示の特定の実施例について説明するが、本考案は他の種 々のモータ構造に適用され得るものである。

【０００９】 本考案の改良点は軸受Ｂを所定の位置に保持する軸受保持装置１を含んでいる 。軸受保持装置１は軸受Ｂ上に設置可能なリテーナ３を含んでいる。リテーナ３ は軸受上に嵌合し、軸受を所定の位置に保持すべく例えばエンドシールドＷ１に 接触するようになっている。リテーナは各エンドシールドに使用されるが、一方 の軸受組立体についてのみ詳細に説明する。図２に示されている如く、エンドシ ールドＷ１は内方へ延在する突起５を有し、該突起は孔Ｏの中心線及びシャフト Ｓの長手方向軸線に対応する中心軸線を有している。リテーナ３は該リテーナが 軸受Ｂ上に配置されると、突起５の内壁面７と締りばめ状態になるよう突起５の 内径に対応する外径を有している。エンドシールドＷ１は更に半径方向内方へ延 在する肩部９を有し、該肩部は内壁面７の周りに部分的に延在している。即ち肩 部９は使用状態に於て該肩部が実際には複数個の突起となるよう不連続に形成さ れていてよい。何れにせよ内壁面７の肩部９はリテーナ３及び軸受Ｂのためのス トッパを構成している。

【００１０】 リテーナ３は三つの部分、即ち軸受Ｂに当接する内方部１１と、内壁面７に当 接する外方部１３と、中間部１５とよりなるよう形成されており、中間部１５の 円弧状の部分は肩部９に当接している。リテーナの外方部１３は内壁面７まで外 方へ傾斜したテーパ状をなすアウタリムを有する実質的にディスク形に形成され ている。内方部１１は複数個のフィンガ９０により郭定されており、各フィンガ の形状及び機能については後に詳細に説明する。中間部１５は内方部と外方部と の間の遷移領域を形成しており、該領域はリテーナの配置に際しストッパとして 作用する。

【００１１】 軸受Ｂは全長に亙り一定の直径を有する長手方向通路を有している。この通路 の直径はシャフトが軸受Ｂ内に支承され得るようシャフトＳの直径にほぼ対応し ている。軸受Ｂの外径ＢＯＤは軸受の両端より中央へ向うにつれて次第に増大し ている。

【００１２】 リテーナ３は該リテーナを軸受と自己整合させ、また軸受をエンドシールドＷ と自己整合させる自己整合装置１７を有している。この自己整合装置は少なくと も二つ、好ましくは四つの互いに対向するフィンガ２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２ １ｄを含んでいる。各フィンガは孔１９の周囲より内方へ傾斜したテーパ状をな しており、各フィンガのテーパ角度は各フィンガの内端部２３が軸受の中央と端 部との間の中間点に於て軸受の外面に接触するような角度である。図示の実施例 に於ては、フィンガは中央孔１９の周りに均等に互いに隔置されており、互いに 隣接するフィンガの間には比較的大きい空間が存在している。

【００１３】 軸受Ｂが潤滑されることはモータＭの適正な作動にとって重要である。かかる 目的で、適当な潤滑剤にて飽和された繊維質物質が軸受組立体ＢＡ内に注入され るようになっており、リテーナ３はリテーナの両側の間に於て繊維質物質及び潤 滑剤が流動することを許すようになっている。図２に示されている如く、軸受キ ャップ２５が突起５のアウタ肩部２７上に嵌合するよう形成されている。また各 エンドシールドは軸受Ｂの外側であってエンドシールドに形成された孔Ｏの内側 に室１０１を郭定している。室１０１は本考案の特定の一部を構成する訳ではな いが、本願出願人と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第 号 に記載されている如き軸受組立体ＢＡの作動にとって重要である。軸受キャップ ２５、軸受、突起５、室１０１は互いに共働して周方向に延在する潤滑剤リザー バ２８を郭定している。リテーナ３が組込まれると、該リテーナはリザーバを内 方部と外方部とに分割し、これら二つの部分の間に潤滑剤が流動することを阻止 する障壁として作用する虞れがある。

【００１４】 本考案に於ては、モータの製造段階に於て潤滑剤を容易に注入することができ 、また潤滑剤が使用中に流動し得るよう、リテーナのフィンガは繊維質物質及び 潤滑剤がエンドシールドＷ１に隣接するモータの全ての部材に到達することを可 能にする幅の広い通路を郭定している。即ち図３に最もよく示されている如く、 フィンガの領域は各フィンガの間の開いた領域よりも実質的に小さい。各フィン ガ２１ａ〜２１ｄの間の空間は繊維質物質及び潤滑剤がリテーナの両側の間に流 動することを許す主要な流路を構成している。

【００１５】 リテーナ３の中間部１５はリテーナの装着後には実質的に平坦な環状をなすよ うになっている。リテーナは適当なばね鋼にて形成されていることが好ましい。 従ってリテーナはそれが配置されると外方部１３に対しばね力を及ぼし、外方部 １３を内壁面７に対し押圧して軸受を密に締りばめ嵌合した状態に保持する。

【００１６】 潤滑剤の注入工程に於ては潤滑剤は軸受内へ向けて導かれ、リザーバを充填し つつ軸受を潤滑剤に良好に接触した状態に維持する。軸受が潤滑剤に十分に接触 した状態を確保するためにはリザーバを潤滑剤にて完全に充填する必要はない。 本考案のリテーナによれば、繊維質物質及び潤滑剤は自由に流動することができ るので、モータの製造工程に於てリザーバが完全に充填されなくても十分な軸受 の寿命を確保することができる。

【００１７】 以上に於ては本考案を特定の実施例について詳細に説明したが、本考案はかか るる実施例に限定されるものではなく、本考案の範囲内にて他の種々の実施例が 可能であることは当業者にとって明らかであろう。例えばもし必要ならばフィン ガ２１ａ〜２１ｄの周方向の寸法が増大されてもよい。また追加の潤滑剤の流れ が必要である場合には、そのことはリテーナの中間部１５の近傍に於てフィンガ に追加の第二の孔を設けることにより達成されてよい。ハウジングＨはプラスチ ックにて形成されることが好ましいが、必要ならば他の物質が使用されてもよい 。本考案の他の実施例に於てはハウジングが省略されてよい。即ち本考案のリテ ーナ及び軸受組立体はスケルトン構造のエンドシールドが例えばステータ組立体 のコアに直接装着された構造を含む多数のモータ構造に適用されてよい。尚上述 の種々の修正例は例示に過ぎない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案が組込まれた電動発電機の一つの例示的
実施例を示す分解断面図である。

【図２】図１に示されたモータ用の軸受組立体を示す拡
大部分断面図であり、モータシャフト、シャフト軸受、
リテーナ、及び潤滑剤を示している。

【図３】リテーナ及び軸受の拡大正面図である。

【図４】図３の線４−４に沿う断面図である。

【図５】リテーナの斜視図である。

【符号の説明】

Ｍ…モータ Ｈ…ハウジング Ｓ…シャフト Ｗ…エンドシールド Ｂ…軸受 ＢＡ…軸受組立体 １…軸受保持装置 ３…リテーナ ５…突起 ７…内壁面 ９…肩部 １１…内方部 １３…外方部 １５…中間部 １７…自己整合装置 １９…孔 ２１ａ〜２１ｄ…フィンガ ２３…内端部 ２５…軸受キャップ ２７…肩部 ２８…リザーバ １０１…室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング（Ｈ）と、前記ハウジング内に
   配置された回転可能なシャフト（Ｓ）と、前記ハウジン
   グの端壁（Ｗ₁ 、Ｗ₂ ）に隣接して前記ハウジング内に
   配置され前記シャフトを支承する少なくとも一つの軸受
   （Ｂ）とを含む電動発電機に於ける、前記軸受を所定の
   位置に保持する軸受保持装置にして、前記軸受保持装置
   は前記軸受（Ｂ）上に嵌合し前記ハウジング（Ｈ）の前
   記端壁（Ｗ₁ 、Ｗ₂ ）に接触して前記軸受（Ｂ）を所定
   の位置に保持するリテーナ（３）を含み、前記リテーナ
   （３）は前記シャフト（Ｓ）に対し前記軸受（Ｂ）を自
   己整合させる自己整合装置（１７）を含み、前記自己整
   合装置（１７）は前記軸受（Ｂ）を保持する複数個のフ
   ィンガ（２１ａ−２１ｄ）を含み、前記フィンガ（２１
   ａ−２１ｄ）は潤滑剤が自由に流動することを可能にす
   る通路をそれらの間に郭定しており、前記通路の領域は
   前記フィンガの領域よりも実質的に大きいことを特徴と
   する軸受保持装置。