JPH074466B2 - 洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、洗濯水面上に浮かび上がった洗濯衣類にも洗
濯液を充分にいきわたらせることで、洗浄むらをなく
し、洗浄効果を向上させる洗濯機に関するものである。

従来の技術 従来から洗濯槽の底部に回転翼または攪拌翼を設け、こ
の攪拌翼を回転または反転させて洗濯する洗濯機が主流
をなしている。

第４図に従来例の代表的な洗濯機の構成を示す。第４図
において、１は回転翼で、洗濯槽２の内底部に回転自在
に配されている。このような洗濯機は、給水装置３から
洗濯槽２内に給水を開始し、その水位が圧力スイッチな
どで設定された水位に達すると給水を停止し、洗濯を開
始する。図中の４は高水位、５は中水位、６は低水位で
あるが、それらのいずれに設定してもその水位で洗濯が
始まり、洗濯終了までその水位で運転される。すなわ
ち、洗濯行程中は一定の水位で運転されるから、洗濯中
の洗剤濃度は一定である。

次に他の従来例として洗濯行程中に水位が変化するもの
が提案されている。たとえば特開昭60-75089号公報がそ
の例で、洗濯行程の前半は定格規定水位（標準水位）よ
りも低い水位で洗濯し、洗濯行程の後半は定格規定水位
（標準水位）で洗濯するものである。

そして、通常、洗濯に先立って洗剤を洗濯槽内に投入す
るので、洗濯行程前半は洗剤濃度は標準濃度より濃い状
態で洗濯され、洗濯行程後半は標準濃度で洗濯されるこ
とになる。

この提案を図示化すると第５図のようになると考えられ
る。この場合、たとえば、洗濯行程前半を低水位６で洗
濯するとすれば洗濯衣類７はかなりの部分が水面より上
に出た状態で撹拌される。仮りに中水位５で洗濯すると
しても、洗濯衣類の上部分はやはり水面より上に出た状
態で撹拌される。

なお、従来例のほとんどの洗濯機は洗濯行程中に水位が
変らないものであるが、このものにおいても程度の差は
少なくても、水面の上に衣類が出た状態で洗濯される状
態がみられる。

発明が解決しようとする問題点 このように従来例においては、洗濯衣類７の上部分が水
面より上に出た状態で洗濯されるから、その部分は洗剤
液の入れかわりが少なく、水面下にある部分より洗浄効
果が悪く、洗いむらが発生するという問題点を有してい
た。

本発明は、このような問題点を解決するもので、水面よ
り上にでた洗濯衣類にも、洗濯液を充分にいきわたらせ
ることで、洗浄むらを無くし、洗濯衣類全体の洗浄効果
を向上するものである。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明は、水受槽内に収納
した洗濯槽と、この洗濯槽の内底部に回転自在に配した
回転翼と、この回転翼の裏面に設けられ水受槽内の洗濯
液を吐出路に導き出す裏羽根と、吐出路からの洗濯液を
吐出する吐出口とを備え、この吐出口は、バランスリン
グ近傍に配設され、かつ、略水平方向に開口し、回転翼
の回転とともに洗濯液を洗濯槽中央部に吐出する構成と
したものであり、この回転翼は、回転・停止を繰り返し
ている。さらに洗浄効果を向上するため、洗濯槽内の洗
濯物を標準水位より低い水位で撹拌し、高濃度洗浄を行
うこともできる。

作用 この構成により、水面より上にでた洗濯衣類にも、上方
から洗濯液を強制的にかけることができ、洗濯液を洗濯
衣類に充分にいきわたらせることができるので、洗浄む
らを無くし、洗濯衣類全体の洗浄効果を向上するもので
ある。さらに、標準水位より低い水位で運転すると、洗
剤濃度は標準濃度より濃い濃度で洗濯されることより、
より洗浄効果が向上するものである。

実施例 以下、本発明の第１の実施例を第１図により説明する。
第１図において、８は洗濯兼脱水槽（以下洗濯槽とい
う）で、この洗濯槽８底部に回転翼９を回転自在に設け
ている。10は洗濯槽８を収納する水受槽である。11はモ
ータで、この回転力はプーリ12,ベルト13,プーリ14を介
し減速機構部15に伝達され、この減速機構部15は減速し
た回転力を前記回転翼９に伝える。16は洗濯槽８の内壁
の一部分に沿って設けた吐出カバーで、17はこの吐出カ
バー16と洗濯槽８との間に形成した吐出路で、上方先端
部には洗濯槽中央部に向って開口する吐出口18を設けて
いる。また回転翼９の裏面には羽根19を放射状に設けて
あり、回転翼９が回転すると、そのポンプ作用で洗濯液
は前記吐出路17を通って吐出口18から矢印20に示すよう
に吐出され、洗濯物21の上方にふりかけられる。

なお、22は洗濯槽８内に給水を行う電磁給水弁、23はス
イッチ等の操作部、24は標準水量に相当する水位、25は
中水位、26は低水位、27は水圧により洗濯槽８内の水位
を検知する圧力センサーである。

以上の構成においてその動作を説明する。洗濯にあたっ
て、まず洗濯物21と洗剤を投入する。洗剤量は通常の洗
濯水量に対して一定比率で投入する。たとえば、洗濯水
量が40lで、洗濯衣類が乾燥状態で3.6kgであれば、洗濯
の標準水量40lの水位は第１図の24に示した水位であ
り、これが通常の定格衣類に対する標準水量であって、
この標準水量の0.133％の濃度に相当する洗剤量53gを投
入する。これが標準水量に対する標準濃度である。

そしてスイッチ23を操作すれば、電磁給水弁22が作動し
て給水を開始する。給水された水位が標準水量に相当す
る水位24より２段低い低水位26になると、圧力センサー
27が働いて電磁給水弁22への通電を断ち、同時にモータ
11に通電して回転翼９が回転し洗濯開始する。回転翼９
はたとえば、２秒回転,1秒休止で左右交互に反転する。

このときの洗剤濃度は標準濃度0.133％より濃い状態で
あり、たとえば、低水位での水量が30lであれば、この
洗濯水量に対する洗剤濃度は0.133％×40/30＝0.177％
である。

そして、回転翼９が回転すると、回転翼９の裏面に設け
た羽根19のポンプ作用により、洗濯液は吐出路17を通っ
て吐出口18から洗濯物21の上方中央部にふりかけられ
る。

このようにして、洗剤濃度は標準濃度より濃い状態で洗
濯され、しかも洗濯衣類の上方に濃度の濃い洗濯液をか
けながら洗濯を行うものであって、洗濯衣類のまわりの
洗剤液の入れ替わりを促進させるとともに、洗濯水面よ
り上方に浮かび上った衣類に対しても、濃度の濃い洗剤
液をかけることにより有効な洗浄効果をもたらすもので
ある。

一般に、洗剤は標準濃度に相当する量を入れて洗濯をす
るのが通例である。しかし、実生活において汚れは多種
類あり、これらが混在し、また汚れの程度もひどい汚れ
から軽い汚れまで様々である。普通の汚れの洗濯には、
洗剤濃度は標準濃度でよいが、ひどい汚れの場合には洗
剤を多く入れて標準濃度より濃い濃度で洗濯するのが効
果的である。

ところで、洗濯の洗浄効果は洗剤による洗浄効果と回転
翼による機械的な洗浄効果とに分けられる。そこで、あ
る一定の機械力を有する洗浄系においては、洗剤の濃度
が濃い方が洗浄力が高くなる。これは実際の洗濯におい
て汚れがひどいものに対してより有効な効果を発揮する
ものである。そして、洗剤により洗浄効果が上った場合
は洗濯衣類のいたみは増加しない。

一方、回転翼９の攪拌効果を上げて洗浄力を上げる場合
は洗濯衣類のいたみが増加し好ましくない。

そこで、回転翼９の攪拌効果は一定におさえ、洗剤を標
準濃度より濃くし、さらに洗濯槽上方より高濃度の洗剤
液をかけて洗剤液の入れ替わりを充分に行って、洗濯衣
類のいたみを低くおさえながら洗浄効果を上げるもので
ある。

なお、標準水位で洗剤を標準濃度より濃くする方法も考
えられるが、この場合は本発明に対し洗濯水量と洗剤量
が多く必要になる。本発明は特に汚れのひどい場合効果
的で、汚れの少ない衣類をゆったりと洗いたい場合は標
準水位で洗濯すればよい。

以上のような実施例により、第１表のような効果が得ら
れた。

こゝで、洗濯時間は10分，洗浄効果は電気洗濯機JIS−
Ｃ−9606に規定された洗濯方法による洗浄度で表わし、
洗浄むらは４回洗浄テストを行って40枚の洗浄度の標準
偏差で示し、衣類のいたみはタオル類を20回洗濯したと
きの重量減（％）で示したものである。

なお、第２図，第３図は本発明の他の実施例を示したも
ので、第２図は吐出路17から多数の吐出孔29を有する環
状パイプ28を洗濯槽８の上部に配し、上記吐出孔29から
洗濯槽８上方に循環させた洗剤液をかけるものである。
この実施例によれば、より効果的に洗濯物の上方に洗剤
液をかけることができ、より一層の洗浄効果の向上が期
待できる。

また、第３図にポンプ30を設けた例を示し、このポンプ
30は排水管31に接続し、吐出管32を経て吐出口33より同
様に洗濯槽上方に洗剤液をかけるものであり、これらは
いずれも適切な構成をとることにより前述のような効果
を奏する。

なお、本発明は全自動洗濯機に限らず、二槽式洗濯機に
おいても有効なものである。

発明の効果 以上のように本発明によれば、回転翼の回転・停止に連
動して、吐出口から洗濯液から吐出するため、回転開始
直後は吐出力が弱く吐出口近傍に洗濯液が落下するが、
その後すぐに洗濯層中央部に吐出位置が移動する。停止
の場合はその逆に移動し、回転翼の回転・停止によりこ
れを繰り返す。したがって、上方から強制的に吐出する
洗濯液は洗濯水面をまんべんなく移動し、洗濯水面より
上にでた洗濯衣類にも、洗濯液を洗濯衣類に充分にいき
わたらせることができるので、洗浄むらを無くし、洗濯
衣類全体の洗浄効果を向上するものである。さらに、標
準水位より低い水位で運転すると、洗剤濃度は標準濃度
より濃い濃度で洗濯されることより、より洗浄効果が向
上するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の全自動洗濯機の断面図、第２
図，第３図は本発明の他の実施例を示す全自動洗濯機の
断面図、第４図は従来の全自動洗濯機の断面図、第５図
は従来の他の例を示す全自動洗濯機の断面図である。 ８……洗濯槽、９……回転翼、17……吐出路、18……吐
出口、24……高水位、25……中水位、26……低水位、28
……環状パイプ、29……吐出孔。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水受槽内に収納した洗濯槽と、この洗濯槽
   の内底部に回転自在に配した回転翼と、この回転翼の裏
   面に設けられ水受槽内の洗濯液を吐出路に導き出す裏羽
   根と、吐出路からの洗濯液を吐出す吐出口とを備え、前
   記吐出口は、バランスリング近傍に配設され、かつ、略
   水平方向に開口し、回転翼の回転とともに洗濯液を洗濯
   槽中央部に吐出する構成とし、前記回転翼は、回転・停
   止を繰り返す洗濯機。
2. 【請求項２】洗濯槽内の洗濯物を標準水位より低い水位
   で撹拌する特許請求の範囲第１記載の洗濯機。