JPH0744015B2

JPH0744015B2 - インライン型電子銃

Info

Publication number: JPH0744015B2
Application number: JP61232033A
Authority: JP
Inventors: 直久吉田
Original assignee: Mitsubishi Electric Corp
Current assignee: Mitsubishi Electric Corp
Priority date: 1986-09-29
Filing date: 1986-09-29
Publication date: 1995-05-15
Anticipated expiration: 2010-05-15
Also published as: JPS6386224A

Description

【発明の詳細な説明】〔発明の利用分野〕この発明はフオーカス特性の改良を図つたインライン型
電子銃に関する。

〔従来の技術〕

一般にカラー陰極線管用電子銃は、フオーカス特性に関
する限り、最終的実効レンズ口径を可能な限り大きくす
るのが望ましく、組立工程における電極の変形を避けう
るだけの機械的強度を持ち、量産時における部品のロツ
ト変動に伴うフオーカス特性の変化がより少ない構成が
理想的と言える。

第５図は従来一般に用いられているバイポテンシヤル型
インライン型電子銃(10)の縦断面図である。同図におい
て、(1)はカソード、(2)は制御電極である第１グリツ
ド、(3)は加速電極である第２グリツド、(4)加速電極で
ある第３グリツド、(5)は最終加速電位が印加される陽
極、(6)，(7)は電子銃(10)を、図示していないガラスチ
ユーブ内壁に固定するバネ固定電極とバネである。

第３グリツド(4)および陽極(5)の対向部には、電子ビー
ムR,G,Bが通る３組の円筒形の電子ビーム通過孔（8R）
と（9R），（8G）と（9G），（8B）と（9B）がそれぞれ
対向して形成されており、これらの部分で電子ビームR,
G,Bに収束作用を与える主レンズが形成される。

この従来の電子銃では、陽極(5)に形成されている両側
の電子ビーム通過孔（9R），（9B）は、第３グリツド
(4)に形成されている電子ビーム通過孔（8R），（8B）
の中心軸より外側に少し偏心させた位置に形成し、電子
ビームR,Bを画面中心で電子ビームＧに集中（STC）する
ように構成されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このように構成された従来の電子銃では、ガラスチユー
ブの内径寸法に限度（例えば23.9mm）があるため、３本
の電子ビームのピツチｓを6.6mmとした場合、各電子ビ
ーム通過孔(8)，(9)の直径は、加工上の制約等から5.5
〜6.2mmにするのが限度であり、電子ビームのピツチｓ
よりも、最終的実効レンズの口径を大きくすることがで
きなかつた。さらに、第５図に示した従来の電子銃で
は、STCを行なうためには、第３グリツド(4)と陽極(5)
の形状を、異なる形状に構成する必要があり、必然的に
違つた金型で電極部品を製作せざるを得ないのでコスト
高となる。さらに、主レンズの作用を細かく分類して考
察すると、良く知られている様に、低電位側の電子ビー
ム通過孔(8)に形成される電子レンズは、電子ビームに
収差作用を与え、高電位側の電子ビーム通過孔(9)に形
成される電子レンズは、発散作用を与える。

このため、第３グリツド(4)または陽極(5)の一方の、形
状や寸法に変動が生じた場合よりも、両者同時に、同じ
変動が生じた場合の方が、互いにその作用が相殺される
ので、フオーカス特性に与える影響が小さくなる。しか
し、両者を別の金型で製造したのでは、同時に同じ変動
をもつ電極部品を組合せて電子銃に組立てるということ
は不可能であつた。

このように、従来のインライン型電子銃は、最終的実効
レンズの口径を電子ビームのピツチｓよりは大きく出来
ないという制約があり、さらに電極部品の製造時のロツ
ト変動により、フオーカス特性およびSTC特性が損なわ
れる度合が大きいので、電極部品に高精度が要求される
という問題点があつた。

この発明は、上記のような問題点を解消を目的としてな
されたもので、最終的実効レンズの口径を電子ビームの
ピツチｓより大きくすることができ、かつ、電極部品に
高精度を要求することなく安定なフオーカス特性とSTC
特性とを有するインライン型電子銃を得ることを目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係るインライン型電子銃は、主レンズを形成
する低電位側と高電位側の電極を、長円形の筒状電極
と、３つの電子ビーム通過孔がインラインに形成されて
いる平板電極とでそれぞれ構成するとともに、上記３つ
の電子ビーム通過孔のうち、両側の２つの電子ビーム通
過孔の形状を、外側は上記筒状電極の両側の円弧の中心
点よりも外側に中心点をもつ半円弧に、内側は当該半円
弧の直径を長軸とするたて長のだ円弧の透孔に、また、
中央の電子ビーム通過孔は、上記だ円弧の長軸および短
軸をそれぞれ越えない大きさのたて長のだ円形の透孔に
形成したものである。

〔作用〕

両側の電子ビーム通過孔の形状を円弧とだ円弧とで形成
し、かつ、筒状電極の両側の円弧面の中心点よりも上記
両側の電子ビーム通過孔の外側の円弧の中心点が外側に
位置するように構成したので、電子ビーム通過孔大形化
が実現でき、最終的実効レンズの口径の大径化が図れ
た。

〔発明の実施例〕

第１図はこの発明の一実施例の縦断面図で、第５図と同
一符号を付した部分は、それぞれ同一または相当部分を
示している。

この実施例では、第３グリツド(4)および陽極(5)を、そ
れぞれ３個の電極部品で構成しており、このうち、主レ
ンズを形成する２つの電極部品(11)，(12)は、それぞれ
同一形状である。

第２図は長円形の筒状電極(11)と平板電極(12)の構成を
示す図で、陽極(5)を示しており、同図(a)は同図(b)の
ａ−ａ線矢視断面図、同図(b)は同図(a)のｂ−ｂ線矢視
断面図である。筒状電極(11)は、電子ビームR,G,Bの配
列線（以下「Ｘ軸」という。）を長軸とし、両側が半径
r₂の円弧面に形成されている長円形の筒状体で、開口端
となる一方の開口部は、補強のための直径3mm程度のカ
ール部（11a）が形成されており、長さｌは５〜6mmであ
る。

また、平板電極(12)は、外形が筒状電極(11)と同形で３
つの電子ビーム通過孔（9R），（9G），（9B）はＸ軸上
に形成されており、両側の電子ビーム通過孔（9R），
（9B）は、外側が上記筒状電極(11)の両側の円弧面の中
心点よりも外側に中心点をもつ半径r₁の半円弧、内側が
２r₁を長径とするたて長のだ円弧の透孔に、また、中央
の電子ビーム通過孔（9G）は、電子ビーム通過孔（9
R），（9B）の内側のだ円弧の長軸および短軸をそれぞ
れ越えない大きさのたて長のだ円形の透孔に形成されて
いる。

筒状電極(11)および平板電極(12)の外形は、Ｘ軸方向の
寸法Ｗおよび中心軸０を通りＸ軸に垂直なＹ軸方向の寸
法Ｈが大きいほど、また、筒状電極(11)の長さｌが大き
いほど主レンズの口径を大きくできるが、ガラスチユー
ブの内径（この例では23.9mmφ）の制約をうけるので、
22mmφの寸法内に収めなければならない。さらに、電極
支持体であるマルチフオームガラスの存在および加工性
を考慮するとともに、第３図に示したように、マルチフ
オームガラス(21)に、筒状電極(11)のカール部（11a）
との接触を回避するための溝（21a）を形成して大形化
を図ると、Ｗ＝19mm、Ｈ＝10mmの大きさにすることがで
き、円弧面の半径r₂＝5mm、中心軸０からr₂の中心点ま
での距離ｐ＝4.5mmとなる。他方、中心軸Ｏから半円弧r
₁の中心点までの距離ｓは、5.08〜6.6mmに設定されるか
ら、ｐ＜ｓとなり、電子ビーム通過孔（9R），（9G），
（9B）の大形化が可能となる。

以上のように構成すると、最終的実効主レンズの口径
は、約10mmとなり、従来の電子銃の最終的実効レンズの
口径が5.5〜6.2mmであつたのに比べて、大幅な大口径化
が実現できる。

つぎに、長円形の筒状電極(11)と平板電極(12)とを、第
３グリツド(4)と陽極(5)に共用したことによる効果を説
明する。

第４図は、筒状電極(11)の幅Ｗの寸法を、△Ｗずつ（約
0.1mmずつ）変えたものを、第３グリツド(4)のみに適用
した場合、陽極(5)のみに適用した場合、両電極に変形
部分を同じ側にして適用した場合の電子ビームのＸ軸方
向成分の収束距離（第３グリツド(4)と陽極(5)のギヤツ
プの中心から、各電子ビームが中心軸Ｏと交わる点まで
の距離）ｆの逆数（レンズ力を示す）の変化を示す特性
図で、特性曲線Ａは第３グリツド(4)のみの場合、特性
曲線Ｂは陽極(5)のみの場合、特性曲線Ｃは両電極(4)，
(5)の場合をそれぞれ示している。

この特性図から明らかなように、両電極(4)，(5)の筒状
電極(11)に、同じ変形をもつものを、同じ向きでもつて
使用すれば、一方の電極のみに使用した場合に比べて収
束距離ｆの変動は約1/2に減少し、フオーカス特性の安
定化が実現できる。

以上は、筒状電極(11)について説明したが、平板電極(1
2)においても同様である。

なお、上記実施例は、バイポテンシヤル形電子銃を例に
説明したが、他のユニポテンシヤル形、多段形などの電
子銃についても同様の効果が得られる。

〔発明の効果〕

この発明は主レンズを形成する電極部品を、長円形の筒
状電極と、これにつづいて配設される３つの電子ビーム
通過孔がインラインに形成されている平板電極とで構成
するとともに、上記３の電子ビーム通過孔のうち両側の
電子ビーム通過孔の形状を、外側が上記筒状電極の両側
の円弧面の中心点より外側に中心点をもつ円弧に、内側
は該円弧の直径を長軸とするたて長のだ円弧に、また中
央の電子ビーム通過孔は上記だ円弧の長軸および短軸を
越えない大きさのたて長のだ円形に形成したので、従来
の円形の電子ビーム通過孔をもつ電子銃より電子ビーム
通過孔の大形化が図れ、最終的実効レンズの口径を大幅
に大きくできるのでフオーカス特性の向上したインライ
ン型電子銃が得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の縦断面図、第２図はこの
実施例の主レンズを形成する電極部品の構成を示す図、
第３図はこの実施例の一部拡大図、第４図は電極部品の
寸法変化にともなう電子ビームのフオーカス点の変動を
示す特性図、第５図は従来のインライン型電子銃の縦断
面図である。 (4)……第３グリツド、(5)……陽極、（8R），（8G），
（8B），（9R），（9G），（9B）……電子ビーム通過
孔、(10)……インライン型電子銃、(11)……長円形の筒
状電極、(12)……平板電極。なお、各図中、同一符号はそれぞれ同一、または相当部
分を示す。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】主レンズを形成する低電位側および高電位
側の電極が、３本の電子ビームの配列線を長軸とする長
円形の筒状電極と、上記電子ビームの３つの通過孔が上
記配列線上に形成されかつ上記筒状電極につづいて配設
されている平板電極とでそれぞれ構成されるとともに、
上記３つの電子ビーム通過孔のうち両側の２つは、外側
が上記筒状電極の両側の円弧面の中心点よりも外側に中
心点をもつ円弧で、内側が当該円弧の直径を長軸とする
たて長のだ円弧の透孔に、また、中央の１つは、上記だ
円弧の長軸および短軸をそれぞれ越えない大きさのたて
長のだ円形の透孔にそれぞれ形成されているインライン
型電子銃。
【請求項２】主レンズを形成する一対の長円形の筒状電
極と平板電極とは、それぞれ同一ロツトで製造されたも
のであり、かつ、製造時と同じ向きでもつてそれぞれが
対向するように配設されて低電位側電極と高電位側電極
とが構成されている特許請求の範囲第１項記載のインラ
イン型電子銃。