JPH0743739A - 光書き込み型空間光変調器 - Google Patents

光書き込み型空間光変調器

Info

Publication number
JPH0743739A
JPH0743739A JP20587393A JP20587393A JPH0743739A JP H0743739 A JPH0743739 A JP H0743739A JP 20587393 A JP20587393 A JP 20587393A JP 20587393 A JP20587393 A JP 20587393A JP H0743739 A JPH0743739 A JP H0743739A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light modulator
spatial light
liquid crystal
layer
optical writing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20587393A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Imashiro
信彦 今城
Yoshiharu Oi
好晴 大井
Yoshinori Hirai
良典 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP20587393A priority Critical patent/JPH0743739A/ja
Publication of JPH0743739A publication Critical patent/JPH0743739A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】大面積で明るく高コントラスト表示が可能な空
間光変調器を得る。 【構成】2枚の透明絶縁性の基板1a、1b間に、Ga
ドープ酸化亜鉛膜2を用いた第1の透明導電膜と、書き
込み光の潜像が形成される非結晶質シリコン系合金層を
用いた光導電層5と、読み出し光を全反射させる光反射
層と、液晶固化物複合体3と、第2の透明導電膜と、第
1と第2の透明導電膜に接続された駆動電源7が配置さ
れてなる光書き込み型空間光変調器であって、書き込み
光8によって光導電層の抵抗が変化し、光導電層と液晶
固化物複合体との電圧比が変わり、ネマティック液晶の
配列方向が電界に沿って整列され、読み出し光9Aは、
整列したネマティック液晶の部分では散乱せずに透過
し、光反射層で全反射し、再び液晶固化物複合体層を逆
方向に透過し、外部に出射し表示光9Bとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気信号を光に変換す
る技術分野のものであり、特に書き込み光を用いて画像
やデータパターンのような2次元情報を入力し、読み出
し光を用いてこの情報を2次元的に表示する機能を有す
る光書き込み型空間光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光書き込み型空間光変調器につい
て多くの報告がなされているが、その中で光導電層とし
て非結晶質シリコン合金層を用いた系に注目すると、以
下に示すような素子(a)、(b)、(c)がある。
【0003】(A)文献1(P.R.Ashley e
t al:Applied Optics,Vol.2
7,No.9,(1988)p.1797〜1802)
には、図4に示すように、90度ツイストのネマティッ
ク液晶31と第3の電極としてのアルミニウム電極32
と非晶質シリコン層からなる光導電層5とを積層し、そ
の両端面に透明電極6を積層した素子(a)が示されて
いる。
【0004】(B)文献2(G.Moddel et
al:SPIE,Vol.754Optical an
d Digital Pattern Recogni
tion(1987)p207〜213)には、図5に
示すように、強誘電性液晶41と全反射用の誘電体多層
膜4と非晶質シリコン層からなる光導電層5とを積層
し、その両端面に透明電極6を積層した素子(b)が示
されている。
【0005】(C)文献3(特開平3−221924)
には、図6に示すように、高分子液晶複合体層51と誘
電体多層膜4と非晶質シリコンカーバイド層と非晶質シ
リコン層の2層もしくは3層の積層構造の光導電層5と
を積層し、その両側にITO等からなる透明電極6を積
層した素子(c)が示されている。これらの図中、基板
1は透明であり、書き込み光8、読み出し光9A、表示
光9Bは共通である。
【0006】そして、これらの光書き込み型光空間変調
器に用いられる透明導電性薄膜に関しては、汎用の液晶
表示素子における技術がほぼ用いられている。その概要
を下記に示す。
【0007】従来、透明導電性薄膜としては、アンチモ
ンやフッ素をドーパントとして含有する酸化錫(SnO
2 )や錫をドーパントとして含有する酸化インジウム
(In23 )等が知られている。特に、錫を添加した
酸化インジウム膜(以下、ITO膜と呼ぶ)は、低抵抗
膜が容易に得られることから、主として液晶等の表示素
子用電極として広く用いられている。現在、ガラス等の
透明絶縁性基板上にITO膜を形成する一般的な製造方
法は、真空蒸着法、またはスパッタリング法である。
【0008】また、これらの膜以外に、最近酸化亜鉛
(以下、ZnOと呼ぶ)膜が注目されている。このZn
O膜は、ITO膜と比較して生産性がよく低コストでで
きること、Al等の不純物をドープし低抵抗膜を形成す
ることが可能であることが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】光書き込み型空間光変
調器として評価すると、上記の素子(a)〜(c)に
は、以下のような問題点があった。
【0010】まず、素子(a)では、TN液晶を用いて
いるために、偏光板を必要とする。そのために透過光量
が制限され画像が暗くなる。そして、動作速度が遅いた
めに残像が発生しやすいといった問題点があると同時
に、第3の電極を用いていることおよび液晶を配向させ
るための配向膜を真空法により形成しているといったこ
とのために製造工程が複雑になってしまうという問題点
があった。
【0011】次に、素子(b)では、液晶に強誘電性液
晶を用いているため素子(a)のような動作速度が遅い
という問題点はないが、素子(a)の場合と同様に、画
像の暗さに関する問題がある。さらに、その上、この強
誘電性液晶固有の問題として、液晶が双安定状態を示す
ために任意のレベルの画像表示ができない。さらに、液
晶層を非常に薄い厚み(1μm程度)に制御しなければ
ならないために素子を大型化することが非常に困難であ
るという問題点があった。このため光導電層に大面積化
が容易な非晶質シリコンを用いている特徴をいかしきれ
なかった。
【0012】以上の2つの素子に関しては、光導電層と
して非晶質シリコンのp−i−n層を用いている。しか
し、このような構成で光導電層を作成した場合には、光
変調体と接する側に形成される、高濃度に不純物原子が
ドーピングされた高導電層部分で、不必要な電荷の逃げ
が起こってしまうために画像がぼけやすいという問題点
もあった。
【0013】最後に、素子(c)では、文献3での例示
中に、光変調体層として高分子をマトリクスとした液晶
固化物複合体を使用していることから、前述した光変調
体層に関する問題点は発生しにくいものと考えられる。
一方、光導電層に関しても、素子(a)と素子(b)の
場合と異なり、水素化アモルファスシリコンカーバイド
層と水素化アモルファスシリコン層の2層構造、または
水素化アモルファスシリコンカーバイド層と水素化アモ
ルファスシリコン層と第2の水素化アモルファスシリコ
ンカーバイド層の3層構造を用いることが示されてい
る。
【0014】この構造の場合、選択的に光吸収を2層も
しくは3層に分離することにより、この文献3で指摘さ
れた「焼付き」現象が防止できる可能性が考えられる。
しかし、水素化アモルファスシリコンカーバイド層を光
導電層の一部として用いる場合には、その書き込み光に
対する光電変換効率および光電変換後のキャリヤーの輸
送特性が水素化アモルファスシリコン層の特性より劣る
ために水素化アモルファスシリコン層のみを用いる場合
よりも、光導電層としての特性が劣るという問題点があ
った。
【0015】このような素子の構造に起因する問題点と
は別に、透明導電膜に関する問題点を以下に列挙する。
【0016】光導電層たる非晶質シリコン層に接する透
明導電膜として、素子(a)では、酸化錫膜が、素子
(b)および素子(c)では、ITO膜が用いられてい
る。酸化錫膜の場合には、低温で低抵抗の薄膜を形成す
ることが困難であり、例えば透明絶縁性基板としてファ
イバーアレープレート等の上に直接低抵抗薄膜を形成す
ることが困難であるという問題があった。
【0017】また、ITO膜の場合には、低温で低抵抗
の薄膜を形成することは前述したように容易であるが、
非晶質シリコン層を形成する際の還元性プラズマ雰囲気
にさらされた場合に、薄膜自体が還元劣化してしまうと
いう問題点があった。
【0018】透明導電膜としては、従来例に示された以
外にZnO膜がある。しかしこの系の薄膜の場合には、
低抵抗化膜を得るために、外部磁場の印加を行うための
装置が必要であり、製造工程および製造装置についての
工夫が必要とされることが知られている。
【0019】また、低抵抗化のためには、成膜後の非酸
化性雰囲気での熱処理が必要とされた。さらに、このよ
うな低抵抗化膜の成膜速度は、0.5nm/秒程度以下
と極めて小さいために、望ましい最低限の生産性も得ら
れないために大きな障害となっていた。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、2枚の透明絶縁性の基
板間に、第1の透明導電膜と、書き込み光に対する像を
形成する光導電層と、読み出し光を反射させる光反射層
と、光変調体たる液晶固化物複合体と、第2の透明導電
膜とが配置された光書き込み型空間光変調器において、
第1の透明導電膜がGaドープ酸化亜鉛膜から形成さ
れ、光導電層が非結晶質シリコン系合金層から形成され
ていることを特徴とする光書き込み型空間光変調器
(1)を提供する。
【0021】また、この光書き込み型空間光変調器
(1)において、Gaドープ酸化亜鉛膜のGa含有量が
亜鉛に対して、0.5原子%以上12原子%以下の範囲
にあることを特徴とする光書き込み型空間光変調器
(2)を提供する。また、光書き込み型空間光変調器
(1)または(2)において、非結晶質シリコン系合金
層が、第1の透明導電膜側から周期律表第3族の元素を
ドープしたp型の非結晶質シリコン系合金層と、おおよ
そi型の非結晶質シリコン合金層とから構成されてなる
ことを特徴とする光書き込み型空間光変調器(3)を提
供する。
【0022】また、光書き込み型空間光変調器(1)ま
たは(2)において、非結晶質シリコン系合金層が、第
1の透明導電膜側から周期律表第5族の元素をドープし
たn型の非結晶質シリコン系合金層と、おおよそi型の
非結晶質シリコン合金層とから構成されてなることを特
徴とする光書き込み型空間光変調器(4)を提供する。
【0023】また、光書き込み型空間光変調器(3)ま
たは(4)において、非結晶質シリコン系合金層の内
で、第1の透明導電膜と接する価電子制御されている層
の光学的バンドギャップが、おおよそi型の非結晶質シ
リコン合金層の光学的バンドギャップよりも大きいこと
を特徴とする光書き込み型空間光変調器(5)を提供す
る。
【0024】また、光書き込み型空間光変調器(3)〜
(5)のいずれか1つにおいて、非結晶質シリコン系合
金層の内で、第1の透明導電膜と接する価電子制御され
た層のネットワーク構成元素が、シリコンと、水素と、
少なくとも酸素、窒素、炭素の内から選ばれた1つの元
素とからなることを特徴とする光書き込み型空間光変調
器(6)を提供する。
【0025】また、光書き込み型空間光変調器(3)〜
(6)のいずれか1つにおいて、非結晶質シリコン系合
金層の内で、第1の透明導電膜と接する価電子制御され
た層の膜厚が3nm〜20nmの範囲にあることを特徴
とする光書き込み型空間光変調器(7)を提供する。
【0026】また、光書き込み型空間光変調器(1)〜
(7)のいずれか1つにおいて、読み出し光を反射させ
る光反射層が、誘電体多層膜から構成されてなることを
特徴とする光書き込み型空間光変調器(8)を提供す
る。また、光書き込み型空間光変調器(1)〜(8)の
いずれか1つにおいて、液晶固化物複合体は、誘電異方
性が正のネマティック液晶が固化物マトリクスに分散・
保持され、固化物マトリクスの屈折率が液晶の常光屈折
率とほぼ等しくせしめられてなることを特徴とする光書
き込み型空間光変調器(9)を提供する。
【0027】また、光書き込み型空間光変調器(9)に
おいて、液晶固化物複合体のネマティック液晶分子の長
軸を印加電界方向とほぼ一致する方向に配列させるため
に必要な電圧値よりも大きな電圧値で駆動することを特
徴とする光書き込み型空間光変調器(10)を提供す
る。
【0028】なお、第1と第2の透明導電膜とは、光変
調体等を挟持し、実際には電圧が印加され、両者の間に
電界が発生する透明導電性の薄膜のことである。
【0029】本発明の光書き込み型空間光変調器は、ネ
マティック液晶と、このネマティック液晶の常光屈折率
か異常光屈折率、またはネマティック液晶がランダムに
配向した際の屈折率のいずれかと同等の屈折率を有する
樹脂マトリクスとからなる液晶固化物複合体と、全反射
用誘電体多層膜と、光導電層とを積層して、その両端面
の少なくとも光導電層と接する側の透明導電性薄膜とし
て、Gaドープ酸化亜鉛膜から形成された構成をとるこ
とにより、従来例に示した素子の持つ、前記諸問題を解
決し、高品質で明るい画像やデータパターンの表示、イ
ンコヒーレント光画像のコヒーレント画像への変換、波
長変換等を高速度で行う。
【0030】積層構造について概説すると、第1の基板
(ガラス等)/第1の透明導電膜(例えば、Gaドープ
酸化亜鉛膜)/光導電層(非結晶質シリコン系合金層、
例えばα−Si:H)/光反射層(誘電体多層膜)/光
変調体(液晶固化物複合体)/第2の透明導電膜(IT
O等)/第2の基板(ガラス等)という配置構成をと
る。
【0031】次に幾つかの特徴を述べる。まず、光変調
体たる液晶固化物複合体の動作速度は、数msec〜十
数msec程度であり、ツイストネマティック(TN)
液晶等に比較し高速であるので、従来のこの型の液晶を
用いた素子よりも速い応答速度を有する。また本発明の
素子は、偏光板および検光板を用いずに画像表示できる
ため、従来のものと比較して明るい画像を表示すること
が可能になる。さらに、本発明による液晶固化物複合体
の透過率対印加電圧特性は、TN液晶等と比較して小さ
なγ特性を有していることから、アナログ画像表示に適
している。
【0032】さらに本発明の液晶固化物複合体は、従来
のTN液晶では光変調体である液晶層に不可欠であった
液晶配向層を必要としないことや、大型化しても液体の
液晶層を基板間に挟持する構成を取らないために、素子
製作が容易になる。さらに、このような特徴のために容
易に大型化することが可能であるという特徴を有してい
る。
【0033】本発明で用いる液晶固化物複合体として
は、細かな孔の多数形成された固化物とその孔の部分に
充填されたネマティック液晶とからなる液晶固化物複合
体を用いる。液晶固化物複合体に電圧を印加しないとき
に、固化物の屈折率と液晶の屈折率とが不一致状態にな
り、散乱状態となる。逆に、しきい値電圧よりも十分に
高い電圧を印加したときに、固化物の屈折率と液晶の屈
折率とが一致状態になり、透過状態になる。
【0034】なお、ここでいう固化物の屈折率とは、固
化物が液晶で膨潤しているときには、その膨潤した状態
での屈折率をいう。
【0035】この細かな孔の多数形成された固化物とそ
の孔の部分に充填された液晶とからなる液晶固化物複合
体はマイクロカプセルのような液泡内に液晶が封じ込め
られたような構造であるが、個々のマイクロカプセルが
完全に独立していなくてもよく、多孔質体のように個々
の液晶の液泡が細隙を介して連通していてもよい。
【0036】液晶固化物複合体は、孔の開いた固化物に
ネマティック液晶を含浸させて製造してもよいが、生産
性、均一性、散乱性等の点からみて、ネマティック液晶
と固化物として硬化性化合物の混合物を原料として用
い、硬化性化合物の硬化時にネマティック液晶を分離さ
せる製法により製造されることが望ましい。
【0037】具体的には、ネマティック液晶と硬化性化
合物との均一溶液を用い、硬化性化合物が硬化する際
に、相分離を起こしてネマティック液晶が固化物マトリ
クス中に分散された液晶固化物複合体を形成するような
製法が望ましい。この製法によれば、均一な液晶固化物
複合体を生産性よく製造できる。なおここでいう固化物
を形成する硬化とは、モノマーやオリゴマーが高分子化
する硬化、架橋による硬化、熱による溶融状態からの冷
却による固化を含む。
【0038】また硬化性化合物とネマティック液晶によ
るエマルジョンを形成し、あらかじめネマティック液晶
と硬化性化合物とを細かな分散状態に分離させておき、
硬化性化合物を硬化させて、その分散を固定する製法も
可能である。
【0039】特に、本発明ではネマティック液晶と硬化
性化合物との均一溶液から相分離により製造する方法が
好ましい。このため、硬化性化合物として光硬化性化合
物を用いることが生産性からみて好ましい。すなわち、
溶媒の除去を必要としないため、密閉系内で硬化でき、
従来のTN液晶表示素子のようにセル内に注入する方法
が利用できるため、生産性が良い。また光照射により硬
化できるので、硬化工程が短くてすむと同時に、液晶の
粒径制御が容易になり好ましい。
【0040】この場合、光硬化性ビニル系化合物の使用
が好ましい。具体的には、光硬化性アクリル系化合物が
例示され、特に光照射によって重合硬化するアクリルオ
リゴマーを含有するものが好ましい。
【0041】本発明で使用されるネマティック液晶は、
固化物の屈折率が、電圧印加時または非印加時のいずれ
かにおいて、その液晶の屈折率と一致するような液晶で
あり、単独で用いても組成物を用いてもよいが、動作温
度範囲、動作電圧等の要求性能を満たすには組成物を用
いた方が有利といえる。特に、正の誘電異方性を有し、
固化物の屈折率が、液晶の常光屈折率と一致するような
液晶の使用が好ましい。
【0042】また、液晶固化物複合体に使用される液晶
は、光硬化性化合物を用いた場合には、光硬化性化合物
を均一に溶解することが好ましく、光露光後の硬化物は
溶解しないか、もしくは溶解困難なものとされ、組成物
を用いる場合には、個々の液晶の溶解度ができるだけ近
いものが望ましい。
【0043】液晶固化物複合体を製造する場合には、従
来の通常の液晶光学素子のように、一対の電極付きの基
板を電極面は相対向するように配置して、周辺をシール
剤でシールして、注入口から未硬化の液晶固化物複合体
用の混合液を注入して、注入口を封止してもよいし、一
方の基板上に硬化性化合物と液晶との未硬化混合物を供
給し、他方の基板を電極面が相対向するように重ね合わ
せるようにして製造してもよい。
【0044】本発明の液晶固化物複合体の液晶中に2色
性色素や単なる色素、顔料を添加したり、硬化性化合物
として着色したものを用いたりしてもよい。この他、粘
度調整剤、電極間間隙を調整するためのスペーサー、非
液晶の添加剤等を添加してもよい。
【0045】本発明によれば、液晶固化物複合体として
液晶を溶媒として使用し、光露光により光硬化性化合物
を硬化させることにより、硬化時に不要となる単なる溶
媒や水分を蒸発させる必要がない。このため、密閉系で
硬化できるため、従来のセルへの注入という製造法がそ
のまま採用でき、信頼性が高くできる。さらに光硬化性
化合物で2枚の基板を接着する硬化も有するため、素子
としての信頼性を向上させることができる。
【0046】また、光導電層たる非結晶質シリコン合金
層と接する第1の透明導電膜として、Gaドープ酸化亜
鉛膜(ガリウムを亜鉛に対して0.5原子%以上12原
子%以下含む)を用いることにより、従来例に示された
透明導電膜を用いた場合よりも、非結晶質シリコン合金
層成膜時の還元劣化に伴う透明導電膜の劣化を防止する
ことが可能になり、素子の表示特性を改善することが可
能になる。
【0047】また、本発明による酸化亜鉛膜の形成方法
は、特に限定されるものではなく、スパッタリング法、
真空蒸着法等の物理蒸着法やCVD法等の化学蒸着法が
用いられるが、より低い基板温度で良好な導電性薄膜を
形成できる物理蒸着法が望ましい。
【0048】また、本発明による酸化亜鉛膜の場合に
は、例えばマグネトロン直流スパッタ法を用いて作成し
た場合には、5nm/秒までの高速で成膜された場合で
も、低抵抗性かつ大気中での高耐熱性が確保されるため
に、実用的な成膜速度で薄膜を形成できるという特徴を
有している。
【0049】
【実施例】以下に、本発明の実施例について、図面を参
照して説明する。本発明による光書き込み型空間光変調
器の模式図を図1に示す。
【0050】本実施例では、2枚のガラス等の透明絶縁
性の第1の基板1aと第2の基板1b間に、第1の透明
導電膜であるGaドープ酸化亜鉛膜2、非晶質シリコン
合金層からなる光導電層5、光を全反射せしめる誘電体
多層膜4、液晶固化物複合体3および第2の透明導電膜
である透明電極6が挟持された構成である。
【0051】2つの透明導電膜は、交流電源7に接続さ
れる。この交流電源から供給される交流電圧は、液晶固
化物複合体3中のネマティック液晶分子の長軸を印加電
圧により生成される電界の方向とほぼ一致させるのに必
要な交流電圧の実効値よりも大きな実効値を持てばよ
い。具体的には、5〜100V程度とされる。
【0052】また、本実施例の構成は、反射型の光書き
込み型空間光変調器であるので、書き込み光8は、透明
絶縁性の第1の基板1aおよびGaドープ酸化亜鉛膜2
を透過して光導電層5に入射する。また読み出し光9A
は、透明絶縁性の第2の基板1bおよび透明電極6を透
過して入射し、誘電体多層膜4において全反射され表示
光9Bとなり、第2の基板1b側に出射される。次に、
製造方法について簡単に説明する。
【0053】第1の透明導電膜であるGaドープ酸化亜
鉛膜2は、ガラス基板上に、マグネトロン直流スパッタ
リング法により形成した。この時の基板温度は室温と
し、出発原料として、酸化亜鉛中に酸化ガリウムを6w
t%添加したターゲットを用いた。このとき、成膜速度
としては4nm/秒が得られた。この膜は、可視光透過
率が83%以上、抵抗率が3×10-4Ωcmの特性を有
するものである。なおこの素子作成に用いた膜厚は、3
00nmとした。
【0054】本実施例に用いた非結晶質シリコン系合金
層としては、第1の透明導電膜側から周期律表第3族の
元素として、ホウ素をドープしたp型の水素化非晶質炭
化シリコン層と、おおよそi型の水素化非晶質シリコン
層から構成してある。このとき、この第1の透明導電膜
に接するp型水素化非晶質炭化シリコン層の膜厚は5n
mとし、おおよそi型の水素化非晶質シリコン層の膜厚
は8μmとした。
【0055】これらの薄膜のうち、p型の水素化非晶質
炭化シリコン層は、シランガス、メタンガス、ジボラン
ガスを出発原料ガスとし、また、i型の水素化非晶質シ
リコン層は、シランガスを出発原料ガスとして、通常の
p−CVD法により形成した。
【0056】従来例3に示した構成の素子の場合には、
特定の波長のみを選択吸収させて、「焼付き」効果を防
止する構成とすることが前述した文献3中に記載されて
いるが、この場合にはそのような構成は用いずに、むし
ろp型水素化非晶質炭化シリコン層は、透明導電膜との
電気的接触を良好にすることを主な目的として形成して
いる。
【0057】さらに前述したような理由のために、この
層における光吸収をできるだけ防ぐように、光学的バン
ドギャップを広げ、できるだけ多くの入射光を主として
光電変換に寄与する非晶質シリコン層に導くことが可能
なような構成にした。
【0058】実施例においては、p型水素化非晶質炭化
シリコン層/i型水素化非晶質シリコン層の構成を例示
したが、特にこの構成に限定されるわけではない。
【0059】例えば、第1の透明導電膜(Gaドープ酸
化亜鉛膜2)に接する側に、p型微結晶炭化シリコン
層、p型水素化非晶質酸化シリコン層、p型微結晶酸化
シリコン層、p型水素化非晶質シリコン層やp型のこれ
らの複合合金層を用いることも、また反対導電型を有す
るn型の上記非結晶質シリコン合金層を用いることが可
能である。
【0060】以下に、光変調体として液晶固化物複合体
を用いた、本発明による空間光変調器の動作を説明す
る。書き込み光がない場合には、大部分の電圧は光導電
層に印加され、液晶固化物複合体の印加電圧(分圧バラ
ンス)は小さい。従って、ネマティック液晶分子は、固
化物マトリクスの壁面に応じて、ランダムな方向を向
く。このとき、ネマティック液晶は、ネマティック液晶
を囲む固化物マトリクスの屈折率と異なる屈折率を有す
る。
【0061】従って、読み出し光は液晶固化物複合体中
で散乱され、素子透過後の読み出し光の出力光強度は最
小となる。このような状態を図2に示す。
【0062】次に、書き込み光強度が十分に大きい場
合、液晶分子の長軸は、電界の方向を向き、液晶固化物
複合体に垂直に入射した読み出し光は、ネマティック液
晶の常光屈折率を感じる。このときの屈折率の値は、固
化物マトリクスの屈折率に極めて近い値を取る。そし
て、読み出し光は、散乱せずに透過し、素子透過後の読
み出し光、すなわち表示光の強度は最大になる。
【0063】上記のように構成された光導電層たる非晶
質シリコン合金層を形成した基板と、対向電極として反
射防止処理を施したITO付き基板を、直径7μmの球
形スペーサーを散布した後、重ね合わせ、セルを形成し
た。屈折率異方性Δnが0.246であるネマティック
液晶(メルク社、BL002)と、2官能ウレタンアク
リレートオリゴマー、アクリレートモノマー、光反応開
始剤を均一に混合し、溶液状態とした。この溶液を、上
記セルの注入口から注入した後、紫外線を照射し重合硬
化し、液晶が硬化物マトリクスに分散保持された液晶固
化物複合体を作成した。
【0064】このようにして形成された空間変調素子
と、書き込み光学系、投射光学系とを組み合わせて、投
射型表示装置を構成した。書き込み素子としては、CR
Tを用いて書き込んだところ、品位の高い動画表示が得
られた。
【0065】なお、この場合、変調機能層間には10V
の交流電圧が印加され、応答時間は、立ち上がり、立ち
下がりとも、約10msであった。投射スクリーン上で
の、明/暗の光量比は、約50:1であり、光の利用効
率(投射光量と素子に入射される光量の比)は、同様に
作成したTN液晶を用いた素子の場合の約2. 4倍であ
った。
【0066】
【発明の効果】本発明の光書き込み型空間光変調器は、
以下のような特徴を有する。まず、偏光子および検光子
が不要のため、表示画像が2倍程度明るくできる。ま
た、偏光子および検光子の透過特性の波長依存性に基づ
く、色バランスの不良がない。
【0067】また、配向処理や、基板間隔の厳密な制御
が必要ない。さらに、大面積化の容易な非結晶質シリコ
ン合金層を光電変換層たる光導電層に用いていること等
により大面積化が容易であるといった特徴を有する。
【0068】また表示素子の観点でみると、TN液晶等
と比較して応答速度が早いこと、アナログ光変調に適し
た入出力特性を有すること、コントラスト比が高いとい
うこと等の特徴を有する。
【0069】本発明は、その効果を損しない範囲で、計
測や画像表示やデータ変換、データ記憶等に関する数々
の電子光学装置に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光書き込み型空間光変調器の模式図。
【図2】印加電圧オフ状態の光書き込み型空間光変調器
を示す模式図。
【図3】印加電圧オン状態の光書き込み型空間光変調器
を示す模式図。
【図4】従来例1の断面図。
【図5】従来例2の断面図。
【図6】従来例3の断面図。
【符号の説明】
1a:第1の基板 1b:第2の基板 2:Gaドープ酸化亜鉛膜 3:液晶固化物複合体 4:誘電体多層膜 5:光導電層 6:透明電極 7:駆動電源 8:書き込み光 9A:読み出し光 9B:表示光

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚の透明絶縁性の基板間に、第1の透明
    導電膜と、書き込み光に対する像を形成する光導電層
    と、読み出し光を反射させる光反射層と、光変調体たる
    液晶固化物複合体と、第2の透明導電膜とが配置された
    光書き込み型空間光変調器において、第1の透明導電膜
    がGaドープ酸化亜鉛膜から形成され、光導電層が非結
    晶質シリコン系合金層から形成されていることを特徴と
    する光書き込み型空間光変調器。
  2. 【請求項2】請求項1の光書き込み型空間光変調器にお
    いて、Gaドープ酸化亜鉛膜のGa含有量が亜鉛に対し
    て、0.5原子%以上12原子%以下の範囲にあること
    を特徴とする光書き込み型空間光変調器。
  3. 【請求項3】請求項1または2の光書き込み型空間光変
    調器において、非結晶質シリコン系合金層が、第1の透
    明導電膜側から周期律表第3族の元素をドープしたp型
    の非結晶質シリコン系合金層と、おおよそi型の非結晶
    質シリコン合金層とから構成されてなることを特徴とす
    る光書き込み型空間光変調器。
  4. 【請求項4】請求項1または2の光書き込み型空間光変
    調器において、非結晶質シリコン系合金層が、第1の透
    明導電膜側から周期律表第5族の元素をドープしたn型
    の非結晶質シリコン系合金層と、おおよそi型の非結晶
    質シリコン合金層とから構成されてなることを特徴とす
    る光書き込み型空間光変調器。
  5. 【請求項5】請求項3または4の光書き込み型空間光変
    調器において、非結晶質シリコン系合金層の内で、第1
    の透明導電膜と接する価電子制御されている層の光学的
    バンドギャップが、おおよそi型の非結晶質シリコン合
    金層の光学的バンドギャップよりも大きいことを特徴と
    する光書き込み型空間光変調器。
  6. 【請求項6】請求項3〜5のいずれか1項の光書き込み
    型空間光変調器において、非結晶質シリコン系合金層の
    内で、第1の透明導電膜と接する価電子制御された層の
    ネットワーク構成元素が、シリコンと、水素と、少なく
    とも酸素、窒素、炭素の内から選ばれた1つの元素とか
    らなることを特徴とする光書き込み型空間光変調器。
  7. 【請求項7】請求項3〜6のいずれか1項の光書き込み
    型空間光変調器において、非結晶質シリコン系合金層の
    内で、第1の透明導電膜と接する価電子制御された層の
    膜厚が、3nm〜20nmの範囲にあることを特徴とす
    る光書き込み型空間光変調器。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項の光書き込み
    型空間光変調器において、読み出し光を反射させる光反
    射層が、誘電体多層膜から構成されてなることを特徴と
    する光書き込み型空間光変調器。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項の光書き込み
    型空間光変調器において、液晶固化物複合体は、誘電異
    方性が正のネマティック液晶が固化物マトリクスに分散
    ・保持され、固化物マトリクスの屈折率が液晶の常光屈
    折率とほぼ等しくせしめられてなることを特徴とする光
    書き込み型空間光変調器。
  10. 【請求項10】請求項9の光書き込み型空間光変調器に
    おいて、液晶固化物複合体のネマティック液晶分子の長
    軸を印加電界方向とほぼ一致する方向に配列させるため
    に必要な電圧値よりも大きな電圧値で駆動することを特
    徴とする光書き込み型空間光変調器。
JP20587393A 1993-07-28 1993-07-28 光書き込み型空間光変調器 Pending JPH0743739A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20587393A JPH0743739A (ja) 1993-07-28 1993-07-28 光書き込み型空間光変調器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20587393A JPH0743739A (ja) 1993-07-28 1993-07-28 光書き込み型空間光変調器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0743739A true JPH0743739A (ja) 1995-02-14

Family

ID=16514146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20587393A Pending JPH0743739A (ja) 1993-07-28 1993-07-28 光書き込み型空間光変調器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0743739A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9256113B2 (en) 2012-02-22 2016-02-09 Samsung Electronics Co., Ltd. Plasmonic modulator and optical apparatus including the same

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9256113B2 (en) 2012-02-22 2016-02-09 Samsung Electronics Co., Ltd. Plasmonic modulator and optical apparatus including the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3060656B2 (ja) 液晶表示素子
JP3651004B2 (ja) 液晶表示素子およびその製造方法、並びに電子機器
JP2775769B2 (ja) 投射型アクティブマトリクス液晶表示装置及びその製造方法
US5142391A (en) Liquid-crystal display device of optical writing type having a light absorbing layer composed of a carbon-dispersed system coating
JPH0743739A (ja) 光書き込み型空間光変調器
JPH07248489A (ja) 液晶光変調器
JP3225932B2 (ja) 液晶表示素子の製造方法
JP2870826B2 (ja) アクティブマトリクス液晶表示素子及び投射型アクティブマトリクス液晶表示装置
JP3313936B2 (ja) 光書込み型空間光変調素子および投写表示装置
JP2800422B2 (ja) 液晶表示素子とその製造方法
US5619354A (en) Dispersion type electro-optical device and method for forming the same
JPH07134310A (ja) 光書き込み型電気光学装置
JP3241118B2 (ja) 液晶表示素子及びそれを用いた液晶表示装置
JP2503830B2 (ja) 液晶表示素子
JP2616169B2 (ja) 空間光変調素子
JP2796912B2 (ja) 液晶電気光学装置
JP3345181B2 (ja) 液晶表示素子及び液晶表示装置
JP2798865B2 (ja) 空間光変調素子の製造方法
JPH05196925A (ja) 投射型液晶表示装置
JPH0933942A (ja) 空間光変調素子およびその製造方法
JP2558949B2 (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JP2500566B2 (ja) 液晶光学素子及び液晶表示素子
JPH05224180A (ja) 表示素子
JPH0829757A (ja) 表示素子
JPH03192324A (ja) ポリマー分散型液晶表示装置