JP3313936B2 - 光書込み型空間光変調素子および投写表示装置 - Google Patents

光書込み型空間光変調素子および投写表示装置

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JP3313936B2 JP11446395A JP11446395A JP3313936B2 JP 3313936 B2 JP3313936 B2 JP 3313936B2 JP 11446395 A JP11446395 A JP 11446395A JP 11446395 A JP11446395 A JP 11446395A JP 3313936 B2 JP3313936 B2 JP 3313936B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、書込み光を用いて画像
やデータパターンのような2次元光情報を入力し、読出
し光により表示する機能を持つ光書込み型空間光変調素
子および投写表示装置に関する。
【0002】[発明の概要]本発明は、画像などの2次
元光情報を並列的に書込み、読出すことのできる光書込
み型空間光変調素子に関するもので、光導電層の熱膨脹
係数に近似した透明基板(両者の熱膨張係数の差が50
×10-7/℃以下)を用いることにより、優れた耐光
性、耐熱性および面内一様性を得ることを可能としたも
のである。
【0003】
【従来の技術】従来、偏光板を必要とせず光透過率が高
い光散乱性液晶層と光導電層を用いた光書込み型空間光
変調素子の1つとして、図7に示す光書込み型空間光変
調素子が知られている(文献:K.Takizawa, H.Kikuchi,
H.Fujikake, Society forInformation Displays (SID)
International Symposium Digest of TechnicalPapers
Vol.22, p.250-p.253, 1991 )。
【0004】この図に示す光書込み型空間光変調素子
は、板状に形成されるガラス基板(透明基板)101
と、In2 3 :Sn等によって構成され透明基板10
1に積層される第1透明電極102と、この透明電極1
02に積層される液晶・樹脂複合体103と、この液晶
・樹脂複合体103に積層される誘電体多層膜104
と、この誘電体多層膜104に積層される光吸収層10
5と、Bi12SiO20等によって構成され光吸収層10
5に積層される光導電層106と、In2 3 :Sn等
によって構成され光導電層106に積層される第2透明
電極107とを備えている。
【0005】液晶・樹脂複合体103は、エポキシ樹脂
等によって構成される透明樹脂108と、ネマティック
液晶等の液晶によって構成され透明樹脂108内に小滴
状に分散配置される液晶小滴109とを備えている。
【0006】第1透明電極102と第2透明電極107
との間には、リード線110を介して駆動用交流電源1
11が接続されており、この駆動用交流電源111から
交流電圧が印加された状態で、図7の左側から書込み光
112が入射すると、その光強度に応じて液晶・樹脂複
合体103が駆動される。このとき、図7の右側から読
出し光113が照射されると、書込まれた光画像が表示
光(反射光)114として出射される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の光書込み型空間光変調素子においては、特に透
明基板101に関して次に述べるような問題があった。
【0008】すなわち、液晶・樹脂複合体103の形成
時の加熱処理では、光導電層106と透明基板101と
が膨脹したままで固定化される。この状態で室温に戻さ
れると、光導電層106と透明基板101との熱膨脹係
数の違いから、液晶・樹脂複合体103に応力が加わ
り、局部的な特性変化や剥離を生じてしまう。
【0009】また、強力な読出し光113が入射された
場合、光吸収により素子全体が発熱してしまい、熱膨張
係数の大きな光導電層106がより大きく膨脹するた
め、液晶・樹脂複合体103に局部的な特性変化や、誘
電体多層膜104あるいは第1透明電極102からの液
晶・樹脂複合体103の剥離が生じ、その結果、表示の
一様性が著しく損なわれる。そのため、強い読出し光1
13が使用できず、高輝度な投写画像が得られないとい
う問題があった。
【0010】さらに、周囲の環境温度の上昇により、素
子が加熱された場合にも、同様に、液晶・樹脂複合体1
03が局部的に劣化するため、高い耐熱性を確保するこ
とができない。
【0011】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、耐光性、耐熱性、及び面内一様性
に優れた光書込み型空間光変調素子および投写表示装置
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに請求項1の発明は、第1透明基板と、この第1透明
基板に積層される第1透明電極と、この第1透明電極に
積層され、予め設定されている屈折率を持つ透明樹脂に
この透明樹脂と同等な常光屈折率を有するネマティック
液晶、コレステリック液晶、スメクティック液晶のいず
れか、またはこれら液晶の混合液晶が分散された液晶・
樹脂複合体と、この液晶・樹脂複合体に積層され、入射
光の強さに応じてインピーダンスが変化する光導電層
と、この光導電層に積層される第2透明電極と、この第
2透明電極に積層される第2透明基板とを備え、前記第
1透明電極と第2透明電極との間に印加された交流電圧
によって駆動される光書込み型空間光変調素子であっ
て、前記第1透明基板と前記光導電層との熱膨脹係数の
差が、50×10-7/℃以下、かつ第2透明基板と前記
第1透明基板との熱膨張係数の差が、50×10-7/℃
以下に形成され、前記液晶・樹脂複合体に歪みを生じさ
せることなく、表示ムラを抑制するようにしたことを特
徴とする光書込み型空間光変調素子である。
【0013】請求項2の発明は、請求項1に記載の光書
込み型空間光変調素子において、前記光導電層と第2透
明電極との間に、両者を接着する接着層が積層されて成
ることを特徴としている。
【0014】請求項3の発明は、請求項1または1に記
載の光書込み型空間光変調素子において、前記接着層と
光導電層との間に透明電極が積層されて成ることを特徴
としている。
【0015】請求項4の発明は、請求項1、2または3
のいずれかに記載の光書込み型空間光変調素子におい
て、前記光導電層と前記液晶・樹脂複合体との間に光を
反射する誘電体多層膜が積層されて成ることを特徴とし
ている。
【0016】請求項5の発明は、請求項1、2または3
のいずれかに記載の光書込み型空間光変調素子におい
て、前記光導電層と誘電体多層膜との間に光吸収層が積
層されて成ることを特徴としている。
【0017】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5
のいずれかに記載の光書込み型空間光変調素子を備えた
ことを特徴とする投写表示装置である。
【0018】
【作用】請求項1の構成によれば、光導電層と第1透明
電極との熱膨張係数の差が50×10-7/℃以下、か
つ、第2透明基板と第1透明基板との熱膨張係数の差
が、50×10-7/℃以下であるため、液晶・樹脂複合
体に加わる局部的な応力が軽減され、読出し光や環境温
度による加熱時や、液晶・樹脂複合体の製作時に、液晶
・樹脂複合体の局部的な特性変化や剥離を防止できる。
このため、面内一様性の高い光書込み型空間光変調素子
を実現でき、また強い読出し光を用いた高温環境でも長
時間安定に動作させることができる。
【0019】請求項2の構成によれば、前記光導電層と
第2透明電極とは、接着層により接着されているので、
光導電層が薄くて機械強度が小さい場合にも、光導電層
に対する変形や割れの発生を防止できる。
【0020】請求項3の構成によれば、接着層と光導電
層との間に、透明電極が積層されているので、接着層の
厚みの不均一性が、素子の面内一様性に影響しないよう
にすることができる。
【0021】請求項4の構成によれば、前記光導電層と
前記液晶・樹脂複合体との間に光を反射する誘電体多層
膜が積層されているので、光導電層が感度を持たない波
長の光を読出し光として使用する場合において、読出し
光と書込み光とを分離することができ、素子の読出し光
の利用率が向上する。
【0022】請求項5の構成によれば、前記光導電層と
誘電体多層膜との間に光吸収層が積層されているので、
読出し光と書込み光とを分離することができ、素子の読
出し光の利用率を向上させ、さらに任意の波長で読出す
ことができる。
【0023】請求項6の構成によれば、面内一様性の高
い光書込み型空間光変調素子を用いることにより、強い
読出し光を用いた高温環境でも長時間安定に動作させる
ことができる高輝度な投写表示装置を構成することがで
きる。
【0024】
【実施例】
《全体構造》図1は本発明に係る光書込み型空間光変調
素子の一実施例を示す構成図である。
【0025】この図に示す光書込み型空間光変調素子
は、第1透明基板1と、第1透明電極2と、液晶・樹脂
複合体3と、光導電層4と、第2透明電極5とを備えて
おり、リード線6を介して駆動用交流電源7から交流電
圧が印加されている状態で、図1の左側から光導電層4
の光導電効果を誘起する書込み光8が入射したとき、こ
の書込み光8の光強度に応じて液晶・樹脂複合体3が駆
動される一方、図1の左側から光導電層4での吸収が少
なく、感度が低い波長を有する読出し光9が入射された
とき、読出し光9の一部を散乱光10として出射すると
ともに、書込まれた光画像を表示光(直進光)11とし
て出射する。
【0026】第1透明基板1は、この光書込み型空間光
変調素子の基板となる部分であり、透明度が高く、かつ
平坦性に優れたガラスや、アクリル等の合成樹脂により
形成されている。その一面側には第1透明電極2が積層
されている。
【0027】第1透明電極2は、蒸着等の手法によって
第1透明基板1の一面に密着されたIn2 3 :Snな
どの薄膜であり、前記リード線6を介して駆動用交流電
源7の一方の電圧出力端子に接続されている。
【0028】光導電層4は、書込み光8の入射に対して
電気的インピーダンスが減少するBi12SiO20、Bi
12GeO20、CdS、Se、アモルファスSe、Si、
アモルファスSi、アモルファスSiC、SeTe、ア
モルファスSeTe、SeAs、アモルファスSeA
s、GaAsやGaPなどの材料によって構成される層
であり、その一面側が液晶・樹脂複合体3に密着され、
他面側が透明電極5に密着されている。
【0029】ここで、本実施例においては、前述したよ
うに第1透明基板1には、透明度が高く、かつ平坦性に
優れたガラスやアクリル等の合成樹脂が用いられてい
る。光導電層4の熱膨張係数をαp (/℃)とすれば、
第1透明基板1の熱膨張係数αg (/℃)は、次の
(1)式の関係を満足するものが好適である。この第1
透明基板1の熱膨張係数αg (/℃)は、光導電層4の
熱膨張係数αp に近似するほど良い。
【0030】|αg −αp |<50×10-7/℃ 特に、光導電層4として、Bi12SiO20、Bi12Ge
20などのように熱膨脹係数αp が大きいものを使用し
た場合には、第1透明基板1との熱膨脹係数の差は、5
0×10-7/℃以下であることは勿論のこと、光導電層
4の熱膨張係数αp を可能な限り第1透明基板1の熱膨
張係数αg に近似させることが必要である。
【0031】第2透明電極5は、蒸着等の手法によって
光導電層4の一面に密着されたIn2 3 :Snなどの
薄膜であり、リード線6を介して駆動用交流電源7の他
方の電圧出力端子に接続される。
【0032】また、液晶・樹脂複合体3は、板状に形成
される透明樹脂12と、この透明樹脂12内にほぼ均一
に分散される液晶小滴13とを備えており、この光書込
み型空間光変調素子の光変調層として機能する。
【0033】液晶小滴13を構成する液晶としては、常
光屈折率no が透明樹脂12の屈折率np と同等の値の
もので、屈折率異方性Δn(=ne −no )が可能な限
り大きいものが望ましい。
【0034】このような条件を満たす液晶としては、屈
折率異方性Δnの大きなネマティック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクティック液晶、またはこれら液晶の混
合液晶が用いられる。ただし、高速性を得るには、低粘
性かつ高弾性のネマティック液晶が適している。その中
でも特に、屈折率異方性Δnの大きなビフェニル系、タ
ーフェニル系、ピリジン系、ピリミジン系およびトラン
系のネマティック液晶が最適である。
【0035】また、透明樹脂12としては、屈折率np
が1.50〜1.53程度のアクリル樹脂、メタクリル
樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポ
リビニールアルコール、またはこれらの共重合体(例え
ばアクリル・ウレタン共重合体)などが好適である。
【0036】《液晶・樹脂複合体3の形成方法》次に、
液晶・樹脂複合体3の作製手順について説明する。
【0037】まず、液晶小滴13および透明樹脂12の
構成材料を混ぜ合わせて均質溶液にした後、この均質溶
液を、予め第1透明基板1に付着しておいた透明電極2
と光導伝層4との間に流し込む。
【0038】さらに、光硬化、熱硬化および反応硬化等
の方法を用いて、透明樹脂12の成分を硬化させること
により、液晶成分を急速に不溶化・折出(相分離)させ
る。または、他の方法として、液晶小滴13を構成する
液晶と透明樹脂12とを共通の溶媒に溶解し、その均一
溶液を光導電層4(あるいは第1透明電極2)上に付着
させた後、溶媒成分を揮発させ、最後に第1透明電極2
(あるいは光導電層4)を圧着するようにしても、上記
構造の液晶・樹脂複合体3を製造することができる。
【0039】様々な波長の読出し光9を散乱させるに
は、液晶小滴13の粒径を1μm以上に形成する必要が
ある。その反面、粒径が大きすぎると散乱量が減少す
る。そのため、液晶小滴13の粒径は1〜10μm程度
が好適である。
【0040】本実施例における液晶・樹脂複合体3の製
作方法において、上記のミクロンオーダーの微細な液晶
小滴13を形成するには、透明樹脂12の材料の硬化速
度や溶媒の蒸発速度を高める必要がある。これらの速度
の制御には、加熱処理が有用であり、温度を上げること
により容易に形成反応を促進させることができる。その
際、本素子によれば、光導電層4と第1透明基板1の熱
膨張係数の差が、“50×10-7/℃以下”と小さいの
で、光導電層4と第1透明基板1が同等に伸縮するため
に、加熱処理後、室温に戻した時に液晶・樹脂複合体3
に加わる局部的な応力が少なく、液晶・樹脂複合体3の
特性変化や剥離の発生を防止できる。
【0041】なお、液晶・樹脂複合体3の作製時に、透
明樹脂12に対して液晶小滴13を構成する液晶の構成
比が大きい場合には、液晶小滴13は互いに連結してし
まい、透明樹脂12の形状が海綿体状または3次元の網
目構造を成すこともある。また、液晶が分散された液晶
・樹脂複合体3の多くは自己支持性であるため、膜厚の
制御が容易であり、大面積化することも可能である。た
だし、透明樹脂12が軟質の場合には、液晶・樹脂複合
体3を支えるために、第1透明電極2と光導電層4との
間に球状またはファイバ状のスペーサを全面または側面
に配設することもある。また、液晶・樹脂複合体3の膜
厚は、十分な光散乱を得るために5μm以上が好まし
い。実用的には、5〜20μm程度が適当である。
【0042】《実験例》一例として試作した図1に示す
本実施例の光書込み型空間光変調素子では、光導電層4
として、第2透明電極5(In2 3 :Snから成る)
を付着させたBi12SiO20光導電性結晶(熱膨脹係数
160×10-7/℃、大きさ35mm×35mm,厚さ
500μm)と、第1透明基板1として、通常の青板ガ
ラス(ソーダガラス、熱膨張係数70〜80×10-7
℃)に比べて高い熱膨張係数を持つガラス基板1(オハ
ラ社FK−01、熱膨脹係数127×10-7/℃、大き
さ40mm×50mm、厚さ4mm)に付着された第1
透明電極2(In2 3 :Snから成る)との間に、加
熱処理を含む以下の工程により、液晶・樹脂複合体3を
形成した。
【0043】屈折率異方性の大きなネマティック液晶
(メルクジャパン社BL−008、no =1.527、
e =1.807)および光硬化性アクリルウレタン樹
脂(ノーランドプロダクツ社NOA−65、no =1.
524)を1:1の重量比で混合し、10μm径の球状
スペーサを0.1w%添加した後、これをBi12SiO
20光導電性結晶(光導電層4)と、第1透明電極2付き
の高膨脹係数のガラス基板1との間に挟み込む。これら
を60℃に加熱しながら、高膨脹係数のガラス基板1側
から紫外線(波長365nm、強度40mW/cm2
を照射することにより、粒径が1〜2μmの液晶小滴1
3を持つ均一な液晶・樹脂複合体(10μm厚)3を形
成し、その後、これを室温に戻した。
【0044】この時、液晶・樹脂複合体3に剥離は生じ
なかった。これは、高膨脹係数のガラス基板1と光導電
層4との熱膨張係数の差が33×10-7/℃であり、5
0×10-7/℃以下であるためである。
【0045】<比較例>一方、熱膨脹係数の高いガラス
基板1の代わりに熱膨張係数の小さなガラス基板(コー
ニング社7059、熱膨張係数50×10-7/℃、大き
さ40mm×50mm、厚さ4mm)を用いる以外は、
全て同じ条件で試作した従来方式の素子(例えば、上述
した文献の図7参照)を比較例として試作した、この比
較例では、ガラス基板1と光導電層4との熱膨張係数の
差が、110×10-7/℃であり、50×10-7/℃よ
りも大きくなったため、強い張力が生じる液晶・樹脂複
合体3の外周部に剥離が生じ、面内一様性が著しく低下
するのが確認された。
【0046】<変形例1>なお、図1の構成において、
光導電層4が薄くて機械強度が小さい場合には、図2に
示すように、光導電層4に接する第2透明電極5を
(1)式を満たすような熱膨張係数を持つ第2透明基板
14に付着して、光導電層4に接着層15(エポシキな
どの熱硬化性、光硬化性または反応硬化性の合成樹脂)
を介して密着しても良い。この時、第1透明基板1と第
2透明基板14との熱膨張係数の差は、50×10-7
℃以下でなければならない。
【0047】一例として試作した図2に示す本実施例の
光書込み型空間光変調素子では、薄いBi12SiO20
導電性結晶(熱膨脹係数160×10-7/℃、面積30
mm×40mm、厚さ500μm)から構成された光導
電層4が、エポキシで構成された数μm厚の接着層15
を介して第2透明電極5が付着された高膨脹係数のガラ
ス基板14(オハラ社FK−01、熱膨張係数127×
10-7/℃)に張り合わされ、それらと、第1透明電極
2が付着された高膨脹係数のガラス基板1(オハラ社F
K−01、熱膨張係数127×10-7/℃、大きさ40
mm×50mm、厚さ4mm)との間に、液晶・樹脂複
合体3を形成した。
【0048】このようにして試作された光書込み型空間
光変調素子は、比較的大きな動作面積にもかかわらず、
高膨脹係数の第1ガラス基板1および第2ガラス基板1
4と、光導電層4との熱膨張係数の差は33×10-7
℃であり、50×10-7/℃以下であったため、熱応力
による液晶・樹脂複合体の剥離は見られなかった。
【0049】<変形例2>なお、図示は省略されている
が、光導電層4上に新たに透明電極を付着させ、この透
明電極を図2の光導電層4と接着層15との間に積層す
る構成を採ることによって、接着層15の厚みの不均一
性が、素子の面内一様性に影響しないようにすることも
可能である。
【0050】<変形例3>また、光導電層4が蒸着や塗
布などの方法により、図2の第2透明基板14の第2透
明電極5上に薄膜として形成できる場合には、図3に示
すように第2透明電極5と光導電層4との間の接着層1
5は不要となる。
【0051】一例として試作した図3に示す本実施例の
光書込み型空間光変調素子では、アモルファスSi膜を
化学的気相成長法により、熱膨張係数の小さなガラス
(コーニング社7059、熱膨張係数50×10-7
℃、大きさ20mm×20mm、厚さ2mm)から成る
第2ガラス基板14上に成膜して光導電層4を形成し、
それと透明電極2付きのガラス基板1(コーニング社7
059、熱膨張係数50×10-7/℃、大きさ20mm
>×20mm、厚さ2mm)との間に液晶・樹脂複合体
3を形成した。この場合、第1ガラス基板1および第2
ガラス基板14とアモルファスSi膜(光導電層4)と
の熱膨張係数の差が、約10×10-7/℃よりも小さ
く、しかも第1ガラス基板1と第2ガラス基板14との
熱膨脹係数には差が無かったため、液晶・樹脂複合体3
には剥離が生じなかった。
【0052】アモルファスSi膜などの光導電層4に近
似した熱膨張係数を持つ透明基板を用いることは、液晶
・樹脂複合体3の剥離を防止するとともに、薄膜状の光
導電層4の透明電極5からの剥離も防止する効果があ
る。
【0053】《実施例の動作》次に、図1に示す本実施
例の動作を図4と図5を用いて説明する。
【0054】まず、図4に示すように、書込み光8が入
射しない場合、液晶・樹脂複合体3よりも電気的インピ
ーダンスが高い光導電層4側に、駆動電圧の大半が印加
される。このため、液晶・樹脂複合体3の液晶分子の配
列方向(配向)は樹脂界面の規制力を受け液晶小滴13
毎に不規則になる。
【0055】その結果、光導電層4を透過してきた読出
し光9は、液晶小滴13と透明樹脂12の屈折率の不整
合により、反射や屈折を繰り返し、強く散乱されて散乱
光10となる。
【0056】一方、図5に示すように、書込み光8が入
射した場合、光導電層4の電気的インピーダンスが低下
するため、光導電層4に配分されていた電圧の一部が液
晶・樹脂複合体3側に移る。
【0057】このとき、各液晶小滴13内の液晶分子
(正の誘電率異方性)の配向が、一度に電界方向に揃
う。このため、液晶小滴13の屈折率は常光屈折率no
に近づき、透明樹脂12の屈折率np と同等となる。こ
れによって、屈折率の不整合が解消し、入射した読出し
光9がそのまま液晶・樹脂複合体3を透過する。
【0058】ここで、直進光(表示光)11のみを光学
系により取り出せば、書込み光8によって変調された表
示光の光画像を得ることができ、光画像における強度お
よび波長の変換が可能になる。
【0059】その際、強い読出し光9により、素子は加
熱されることになるが、光導電層4と第1透明基板1の
熱による膨脹が同程度であるため、液晶・樹脂複合体3
に局部的に応力が加わらず、液晶・樹脂複合体3の劣化
を防止することができる。従って、本素子を用いて光画
像における強度変換が可能となり、投写型ディスプレイ
への応用が可能となる。
【0060】<変形例4>一方、素子の読出し光9の利
用率(表示光11の最大強度/読出し光の強度)を向上
させ、さらに任意の波長で読出せるようにするには、図
6に示す如く液晶・樹脂複合体3と光導電層4との間
に、読出し光9を反射する誘電体多層膜16と、漏れて
きた読出し光を吸収する光吸収層17とを順次積層し、
これによって読出し光9と書込み光8とを分離すれば良
い。
【0061】この場合、書込み光8は光導電層4側か
ら、また読出し光9は液晶・樹脂複合体3側からそれぞ
れ入射され、書込み光8の強度に応じて、読出し光9の
反射光(表示光)が強度変調される。
【0062】<他の変形例>なお、光導電層4が感度を
持たない波長の光を読出し光9として使用する場合に
は、光吸収層17は不要となる。また、誘電体多層膜1
6の代わりに、微細に分割されたアルミニウム、クロム
などの金属膜を用いることも可能である。
【0063】また、本発明の光書込み型空間光変調素子
は、光強度変換機能を用いた投写型画像表示素子、光画
像の波長変換素子およびインコヒーレント光・コヒーレ
ント光変換素子などに用いることも可能である。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、光導電層と第1透明電極との熱膨張係数の差が5
0×10-7/℃以下、かつ、第2透明基板と第1透明基
板との熱膨張係数の差が、50×10-7/℃以下である
ため、液晶・樹脂複合体に加わる局部的な応力が軽減さ
れ、読出し光や環境温度による加熱時や、液晶・樹脂複
合体の製作時に、液晶・樹脂複合体の局部的な特性変化
や剥離を防止できる。このため、面内一様性の高い光書
込み型空間光変調素子を実現でき、また強い読出し光を
用いた高温環境でも長時間安定に動作させることができ
る。
【0065】請求項2の発明によれば、前記光導電層と
第2透明電極とは、接着層により接着されているので、
光導電層が薄くて機械強度が小さい場合にも、光導電層
に対する変形や割れの発生を防止できる。
【0066】請求項3の発明によれば、接着層と光導電
層との間に、透明電極が積層されているので、接着層の
厚みの不均一性が、素子の面内一様性に影響しないよう
にすることができる。
【0067】請求項4の発明によれば、前記光導電層と
前記液晶・樹脂複合体との間に光を反射する誘電体多層
膜が積層されているので、光導電層が感度を持たない波
長の光を読出し光として使用する場合において、読出し
光と書込み光とを分離することができ、素子の読出し光
の利用率が向上する。
【0068】請求項5の発明によれば、前記光導電層と
誘電体多層膜との間に光吸収層が積層されているので、
読出し光と書込み光とを分離することができ、素子の読
出し光の利用率を向上させ、さらに任意の波長で読出す
ことができる。
【0069】請求項6の発明によれば、面内一様性の高
い光書込み型空間光変調素子を用いることにより、強い
読出し光を用いた高温環境でも長時間安定に動作させる
ことができる高輝度な投写表示装置を構成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の一実
施例を示す構成図である。
【図2】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の変形
例を示す構成図である。
【図3】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の変形
例の示す構成図である。
【図4】図1に示す光書込み型空間光変調素子の動作例
を示す説明図である。
【図5】図1に示す光書込み型空間光変調素子の動作例
を示す説明図である。
【図6】本発明に係る光書込み型空間光変調素子の変形
例を示す構成図である。
【図7】従来から知られている光書込み型空間光変調素
子の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 第1透明基板 2 第1透明電極 3 液晶・樹脂複合体 4 光導電層 5 第2透明電極 6 リード線 7 駆動用交流電源 8 書込み光 9 読出し光 10 散乱光 11 表示光 12 透明樹脂 13 液晶小滴 14 第2透明基板 15 接着層 16 誘電体多層膜 17 光吸収層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−265051(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/135 G02F 1/1334

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1透明基板と、 この第1透明基板に積層される第1透明電極と、 この第1透明電極に積層され、予め設定されている屈折
    率を持つ透明樹脂にこの透明樹脂と同等な常光屈折率を
    有するネマティック液晶、コレステリック液晶、スメク
    ティック液晶のいずれか、またはこれら液晶の混合液晶
    が分散された液晶・樹脂複合体と、 この液晶・樹脂複合体に積層され、入射光の強さに応じ
    てインピーダンスが変化する光導電層と、 この光導電層に積層される第2透明電極と、 この第2透明電極に積層される第2透明基板とを備え、 前記第1透明電極と第2透明電極との間に印加された交
    流電圧によって駆動される光書込み型空間光変調素子で
    あって、 前記第1透明基板と前記光導電層との熱膨脹係数の差
    が、50×10-7/℃以下、かつ第2透明基板と前記第
    1透明基板との熱膨張係数の差が、50×10-7/℃以
    下に形成され、 前記液晶・樹脂複合体に歪みを生じさせることなく、表
    示ムラを抑制するようにしたことを特徴とする光書込み
    型空間光変調素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光書込み型空間光変調
    素子において、 前記光導電層と第2透明電極との間に、両者を接着する
    接着層が積層されて成ることを特徴とする光書込み型空
    間光変調素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の光書込み型空
    間光変調素子において、 前記接着層と光導電層との間に透明電極が積層されて成
    ることを特徴とする光書込み型空間光変調素子。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3のいずれかに記載
    の光書込み型空間光変調素子において、 前記光導電層と前記液晶・樹脂複合体との間に光を反射
    する誘電体多層膜が積層されて成ることを特徴とする光
    書込み型空間光変調素子。
  5. 【請求項5】 請求項1、2または3のいずれかに記載
    の光書込み型空間光変調素子において、 前記光導電層と誘電体多層膜との間に光吸収層が積層さ
    れて成ることを特徴とする光書込み型空間光変調素子。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
    の光書込み型空間光変調素子を備えたことを特徴とする
    投写表示装置。
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