JPH0742784Y2 - リングバインダー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、書類等に突設された綴穴に挿通させる綴込リ
ングを有して該綴込リングを開閉することにより書類等
の抜き差しを行なうリングバインダーに関する。

（従来の技術） 従来、表紙に固着される固定基板に対し回転基板を止着
し、固定基板及び回転基板にそれぞれの先端部を互に係
止することにより綴込リングを形成する一対の略円弧状
のリング片を突設して成る樹脂製のリングバインダーが
公知である。そして、かかるリングバインダーは、固定
基板と回転基板の側縁部にそれぞれヒンジリングを設け
てそのヒンジリングに芯軸を挿通させることにより、固
定基板に対し回転基板を回動自在に取付けていた。とこ
ろで、このような構造の固定基板と回転基板を金型によ
り成形しようとする場合、芯軸を挿通させるヒンジリン
グの孔が金型の抜方向に対して垂直となるので、この孔
を形成するために金型のサイド方向にスライドするアン
ギュラーピンなどを金型に設ける必要があつて、金型構
造が複雑化すると共に成形時間も長くなつてコスト高と
なる問題があつた。

そこで本出願人は、リングバインダー成形用の金型の構
造も簡素化して、コスト低減及び生産性の向上を図るた
めに、先の出願（実願昭62-150031号）によつて、前記
ヒンジリングにおける金型の抜方向の側面を開放した構
造のリングバインダーを提案した。しかしながら、この
先願のリングバインダーも、ヒンジリングに対して芯軸
を挿通させなければならないので組立が面倒な問題が残
つている。一方、ヒンジリングに芯軸を挿通させるよう
な作業を必要とせず組立を容易化するために、一方の基
板にＵ字溝を設けると共に他方の基板にそのＵ字溝に嵌
着する円筒軸を設けた構造のバインダーが、実公昭3506
8号公報によつて公知となつている。しかしながら、か
かる構造のパインダーは芯軸を使用せずその代わりの円
筒軸は両端支持構造なのでスプリングを取付けることが
できず、前記先願例のように芯軸にスプリングを取付け
てそのバネ力により回転基板を回転させて綴込リングを
自動的に開かせるようなことができないので使用上不便
であつた。

（考案が解決しようとする課題） そこで本考案は、まず固定基板や回転基板を成形する金
型を簡素化できる構造を有し、次にヒンジリングに芯軸
を挿通させるような面倒な作業を必要とせず組立を容易
化できる構造を有し、さらに綴込リングを自動的に開か
せて使用の便を向上させるために回転基板を回転させる
ためのバネを取付けられる構造を有し、しかもそのバネ
を取付けるための部材が両端を支持されて強度が十分な
構造を有するリングバインダーの提供を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案のリングバインダー
は、表紙に固着される固定基板（１）に対し回動自在に
回転基板（13）を止着して固定基板（１）及び回転基板
（13）にそれぞれその先端部を互いに係止することによ
り綴込リングを形成するリング片（３）（３）′を突設
してなる樹脂製のリングバインダーにおいて、固定基板
（１）又は回転基板（13）の一方の基板の側縁部にＵ字
溝（５）を下面に開設したヒンジ軸受部（６）を設け、
又他方の基板の側縁部にはヒンジ軸受部（６）と対応し
て切欠部（15）を設けると共に該切欠部（15）内には前
記Ｕ字溝（５）に回転可能に嵌入する支持軸（16）を架
設し、さらに固定基板（１）又は回転基板（13）の一方
の基板の側縁部に回転基板（13）を付勢するばねを取付
けるための片持ピン（９）を突設し、又他方の基板の側
縁部には片持ピン（９）の先端部位を嵌入させるピン受
Ｕ字溝（18）を設けたことを特徴として構成されるもの
である。

（実施例） 以下、図面に基づき本考案の一実施例について説明す
る。

まず、表紙に固着される固定基板（１）は、第３図に示
すように、長手方向の両端近傍の上面に係止孔（２）を
上端に有する略円弧状のリング片（３）を一体的に突設
し、また一方の長手辺に沿つて上面に窪み部（４）を設
けて該窪み部（４）の側縁における中央部に近い２箇所
に上面側が膨出して下面側にはＵ字溝（５）を有するヒ
ンジ軸受部（６）を突設すると共に両方のヒンジ軸受部
（６）の略中央部にやはり上面側に膨出した突部（７）
を設けて該突部（７）の一方の側面に基端が固定されて
先端は自由な片持はり構造のねじりコイルばね（８）取
付用の片持ピン（９）を突設し、該片持ピン（９）の側
方の窪み部（４）にねじりコイルばね（８）の一端を掛
止する凹溝（10）を設け、また窪み部（４）を有する側
の長手辺の両端に抱持腕部（11）を突設して該抱持腕部
（11）の下面側に前記のヒンジ軸受部（６）と同様にＵ
字溝（５）′を設けてなる構造を有して、ガラス入りナ
イロン等の樹脂を材料として金型により成形されてい
る。尚、図中（12）は表紙にリベツト等で固着するため
の取付孔である。この固定基板（１）を金型により成形
する場合、金型の抜き方向を上下方向にすればヒンジ軸
受部（６）を形成するためにアンギュラーピンなどを使
用する必要がない。次に、回転基板（13）は、第２図に
示すように、長手方向の両端近傍の上面に前記固定基板
（１）のリング片（３）の係止孔（２）に係合する係止
爪（14）を上端に有する略円弧状のリング片（３）′を
一体的に突設し、一方の長手辺の側縁における中央部に
近い２個所に切欠部（15）を設けて該切欠部（15）内に
両端支持の支軸（16）を架設し、両方の切欠部（15）の
略中央部の下面部に凹み部（17）を設け、該凹み部（1
7）の長手方向の隣接箇所の下面部にピン受Ｕ字溝（1
8）を設けると共に凹み部（17）の側方の下面部には凹
溝（10）′を設け、また長手方向の両端面に支持ピン
（19）を突設してなる構造を有して、ガラス入りナイロ
ン等の樹脂を材料として金型により成形されている。
尚、この回転基板（13）は固定基板（１）の窪み部
（４）の上に配されることになるが、その状態で、固定
基板（１）のヒンジ軸受部（６）、ヒンジ軸受部のＵ字
溝（５）、突部（７）、及び抱持腕部（11）のＵ字溝
（５）′がそれぞれ回転基板（13）における切欠部（1
5）、支軸（16）、凹み部（17）、及び支持ピン（19）
とそれぞれ対応して位置し、また固定基板（１）の片持
ピン（９）における基端から先端近傍までの範囲にわた
る箇所が回転基板（13）の凹み部（17）に対応すると共
に片持ピン（９）の先端部位が回転基板（13）のピン受
Ｕ字溝（18）と対応して位置するように寸法が設定され
ている。尚、回転基板（13）を固定基板（１）に組み付
ける場合は、まず第３図のように固定基板（１）の片持
ピン（９）にねじりコイルばね（８）を取付けてねじり
コイルばね（８）の一端を凹溝（10）に掛止し、次に回
転基板（13）を上下裏返しにした状態で固定基板（１）
の下面側から回転基板（13）の支軸（16）及び支持ピン
（19）をそえぞれ固定基板（１）のヒンジ軸受部（６）
のＵ字溝（５）及び抱持腕部（11）のＵ字溝（５）′に
嵌入させると共に、回転基板（13）の凹み部（17）及び
ピン受Ｕ字溝（18）にそれぞれ固定基板（１）の突部
（７）及び片持ピン（９）の先端部位を嵌入させ、更に
ねじりコイルばね（８）の他端を回転基板（13）の凹溝
（10）′に掛止させてから、回転基板（13）を略180°
回転させて固定基板（１）の上面側へひつくり返すこと
により完成する。この状態で固定基板（１）をリベツト
等により表紙に固定すれば、回転基板（13）も表紙に阻
まれてその回転を一定範囲に規制されるので、回転基板
（13）の支軸（16）及び支持ピン（19）が固定基板
（１）のＵ字溝（５）（５）′から抜出不能となり、ま
た固定基板（１）の片持ピン（９）の先端部位が回転基
板（13）のピン受Ｕ字溝（18）から抜出不能となるの
で、固定基板（１）と回転基板（13）の分解が阻止され
る。

（作用効果） 本考案のリングバインダーは前記の如く構成されてお
り、まず固定基板（１）又は回転基板（13）の側縁部に
設けるヒンジ軸受部（６）はＵ字溝（５）を下面に開設
した構造となつているので金型により成形する場合に金
型の抜方向を上下方向にすればヒンジ軸受部（６）を形
成するためにアンギュラーピンなどを金型に設ける必要
がなく金型構造が簡素化してコストダウンが可能とな
り、次に固定基板（１）に回転基板（13）を組み付ける
場合はヒンジ軸受部（６）のＵ字溝（５）にその下方か
ら支軸（16）を嵌入させればよいので従来のようにヒン
ジリングに芯軸を挿通させる作業に比べて組立が極めて
簡便化し、さらに一方の基板に片持ピン（９）を設けた
ので回転基板（13）を付勢するばねの取付けが可能とな
つて綴込リングを自動的に開かせることができるので使
い勝手が向上し、また片持ピン（９）の先端部位を嵌入
させるピン受Ｕ字溝（18）を設けたので片持ピン（９）
の先端部位が回転基板（13）の回転時にピン受Ｕ字溝
（18）の内壁によつて支持されることになり片持ピン
（９）を折れにくくする等の作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示したもので、第１図は全体の
平面図、第２図は回転基板の平面図、第３図は固定基板
の平面図、第４図は第１図A-A線の端面図、第５図は第
１図B-B線の端面図、第６図は第１図C-C線の端面図、第
７図は全体の側面図、第８図は第１図D-D線の位置にお
いて綴込リングが開離した状態を示す断面図である。 （１）……固定基板、（３）（３）′……リング片、
（５）（５）′……Ｕ字溝、（６）……ヒンジ軸受部、
（７）……突部、（８）……ねじりコイルばね、（９）
……片持ピン、（10）（10）′……凹溝、（13）……回
転基板、（15）……切欠部、（16）……支軸、（17）…
…凹み部、（18）……ピン受Ｕ字溝、（19）……支持ピ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表紙に固着される固定基板（１）に対し回
   動自在に回転基板（13）を止着して固定基板（１）及び
   回転基板（13）にそれぞれその先端部を互いに係止する
   ことにより綴込リングを形成するリング片（３）
   （３）′を突設してなる樹脂製のリングバインダーにお
   いて、固定基板（１）又は回転基板（13）の一方の基板
   の側縁部にＵ字溝（５）を下面に開設したヒンジ軸受部
   （６）を設け、又他方の基板の側縁部にはヒンジ軸受部
   （６）と対応して切欠部（15）を設けると共に該切欠部
   （15）内には前記Ｕ字溝（５）に回転可能に嵌入する支
   軸（16）を架設し、さらに固定基板（１）又は回転基板
   （13）の一方の基板の側縁部に回転基板（13）を付勢す
   るばねを取付けるための片持ピン（９）を突設し、又他
   方の基板の側縁部には片持ピン（９）の先端部位を嵌入
   させるピン受Ｕ字溝（18）を設けたことを特徴とするリ
   ングバインダー。