JPH074243B2 - 再分散性生理活性物質固定化用担体粒子 - Google Patents

再分散性生理活性物質固定化用担体粒子

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JPH074243B2
JPH074243B2 JP26319486A JP26319486A JPH074243B2 JP H074243 B2 JPH074243 B2 JP H074243B2 JP 26319486 A JP26319486 A JP 26319486A JP 26319486 A JP26319486 A JP 26319486A JP H074243 B2 JPH074243 B2 JP H074243B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、再分散性生理活性物質固定化用担体粒子に関
し、詳しくは、酵素、抗体等のような生理活性物質を共
有結合にて固定化するための再分散性担体粒子に関す
る。
従来の技術 生理活性物質、例えば、酵素を水不溶性のラテツクス粒
子に固定化してなる固定化酵素は、その回収が容易であ
ると共に、酵素の変性や失活が起こり難いために、近
年、工業的な酵素反応に広く用いられている。また、生
理活性物質としてレクチンをラテツクス粒子に固定化し
たものは、レクチンの糖類との結合能力を利用して、糖
類の分離や精製に用いられる。更に、生理活性物質とし
て抗原若しくはハプテン、又は抗体をラテツクス粒子に
結合したものは、対応する抗体、又は抗原若しくはハプ
テンをラテツクス凝集反応として検出するための免疫学
的診断試薬として広く実用化されている。
このように、生理活性物質をラテツクス粒子に結合する
ための方法として、従来、代表的には、ポリスチレンラ
テクス粒子の表面に生理活性物質を物理吸着させる方法
と、カルボキシル基を有する重合体粒子の水性分散液、
即ち、カルボキシル化ラテツクスを構成する粒子に生理
活性物質を共有結合にて結合させる方法とが知られてい
る。上記物理吸着法は、操作が簡単であり、特別な試薬
を必要とせず、更に、固定化に際しても、生理活性物質
の活性の低下が殆ど生じない利点を有するところから、
従来、広く用いられている。
しかし、物理吸着法においては、生理活性物質は単にラ
テツクス粒子の表面に吸着されているのみであるので、
生理活性物質がラテツクス粒子から容易に解離し、例え
ば、前記した免疫学的診断試薬として用いた場合に、ラ
テツクス凝集反応を阻害し、或いは自然凝集を生じたり
して、診断の精度を低下させる問題がある。また、生理
活性物質によつては、ラテツクス粒子に吸着せず、或い
は吸着量が少なく、所要の活性を有するラテツクス粒子
を得ることができない場合もあり、更に、pH等の環境条
件に敏感である等の問題もある。
他方、共有結合法によれば、生理活性物質はラテツクス
粒子に強固に結合されているので、容易に解離すること
はないが、反面、固定化操作が煩瑣であり、且つ、高度
の技術を必要とし、更に、生理活性物質が結合されたラ
テツクス粒子は、一般には、分散性がよくない。特に、
共有結合法にてカルボキシル化ラテツクス粒子に生理活
性物質を結合する際に、水溶性縮合脱水剤としてのカル
ボジイミドにて活性化したラテツクス粒子は、水性媒体
中での保存性に劣るために、生理活性物質の固定化操作
の都度、ラテツクス粒子の活性化を行な必要があるの
で、再現性よく生理活性物質を固定化することが困難で
ある。
カルボキシル化ラテツクス粒子をN−ヒドロキシスクシ
ンイミドにて活性化する方法も知られている。この方法
による活性化ラテツクス粒子は、上記カルボジイミドに
よる活性化ラテツクス粒子に比べて、その水性媒体中で
の分散性は幾分は改善されているものの、長期の保存に
耐えるほどの安定性をもつには至らない。
そこで、活性基が乾燥状態において保存安定性が高いこ
とを利用して、例えば、アガロースゲルを活性化し、乾
燥し、粒子状とした活性化担体粒子、例えば、アガロー
スゲルの水酸基を臭化シアンにて活性化したCNBr−活性
化セフアロース4B、各種の官能基を付与した活性化CH−
セフアロース4Bやエポキシ活性化セフアロース6B(いず
れもフアーマシア・フアイン・ケミカルズ社製)等が既
に知られている。
しかし、これら活性化担体粒子は、45〜200μmの粒径
を有し、主としてアフイニテイ・クロマトグラフイー用
の充填剤として用いられるものであつて、元来、分散性
はもたないので、水性媒体中での分散安定性が要求され
る用途には用いることができない。かかる分散安定性が
要求され用途として、例えば、前記したような免疫学的
診断試薬や、或いは担体粒子に酵素を固定化し、水性媒
体中に分散させて、基質と反応させる酵素反応等を挙げ
ることができる。
このような分散安定性が要求される用途には、従来、一
般に粒径0.03〜3μmの微細なラテツクス粒子が用いら
れている。しかし、これらラテツクス粒子は、乾燥すれ
ば、相互に融着凝集するので、水性媒体中に再分散させ
ても、当初の微細な粒子としては分散しない。
発明が解決しようとする問題点 そこで、生理活性物質を結合したラテツクスに乳糖のよ
うな分散剤を加え、これを凍結乾燥して、再分散性を有
する粉末物質を得る方法が特開昭52−117420号公報に記
載されている。また、特開昭58−123459号公報には、生
理活性物質を固定化したラテツクスを保護剤としてのグ
リセリンの水溶液で処理した後に、自然乾燥又は通気乾
燥して、保存性にすぐれる乾燥粒子を製造する方法が記
載されている。
しかし、従来、生理活性物質を固定化すべき担体粒子自
体を水性媒体中で再分散性を有する乾燥担体粒子とする
方法が知られておらず、他方、乾燥担体粒子と共に分散
剤や保護剤が存在するときは、乾燥担体粒子を水性媒体
中に再分散させ、生理活性物質を固定化する際にその固
定化を妨げ、或いは固定化された生理活性物質の活性を
低下させることがあるので、分散剤や保護剤を用いる前
記方法は、再分散性を有する乾燥担体粒子を得る場合に
は適用し得ない。
本発明は、生理活性物質を固定化すべきラテツクス担体
粒子を乾燥するに際して、上記のような分散剤や保護剤
のような薬剤を用いることなくして、保存性、水性媒体
中での再分散性及び生理活性物質の固定化時の再現性に
すぐれる生理活性物質固定化用担体粒子を提供すること
を目的とする。
問題点を解決するための手段 本発明による再分散性生理活性物質固定化用担体粒子の
第1は、カルボキシル基を有する重合体粒子を含むラテ
ツクスを一般式 Ra-N=C=N−Rb (式中、Ra及びRbはそれぞれ独立に炭素数5又は6のシ
クロアルキル基、炭素数2〜12のアルキル基、モノアリ
ール基、モノアリール置換低級アルキル基、モルホリノ
基、ピペリジル基、低級アルキル置換モルホリニル基、
低級アルキル置換ピペリジル基、ジ低級アルキルアミノ
低級アルキル基又は低級アルキル置換ピリジル基を示
す。) で表わされる水溶性カルボジイミドで活性化した後、凍
結乾燥してなることを特徴とする。
また、本発明による再分散性生理活性物質固定化用粒子
担体の第2は、カルボキシル基を有する重合体粒子を含
むラテツクスをN−ヒドロキシスクシンイミドで活性化
した後、凍結乾燥してなることを特徴とする。
本発明において、生理活性物質とは、前述した酵素、補
酵素や、抗体もしくはパプテン、抗原、ホルモン等のよ
うに、生物学的又は生化学的な反応活性を有する有機物
質、通常、高分子量タンパク質を意味する。
本発明において活性化剤として用いる水溶性カルボジイ
ミドは前記一般式で表わされ、また、これらの酸付加塩
や第4級アミンも用いることができる。前記一般式にお
いて、シクロアルキル基としては例えばシクロヘキシル
基を、アルキル基としては例えばエチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、sec-ブチル、イソブチ
ル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オク
チル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等を、モ
ノアリール基として例えばフエニル基を、モノアリール
置換低級アルキルとして例えばベンジル基を、低級アル
キル置換モルホニリル基として例えばエチルモルホリニ
ル基を、低級アルキル置換ペピリジル基としては例えば
エチルピペリジル基を、低級アルキル置換ピリジル基と
して例えばα,β又はγ−メチル又はエチルピリジル基
をそれぞれ挙げることができる。尚、上記において、低
級アルキル基とは、炭素数1〜4のアルキル基を意味す
るものとする。
本発明による担体粒子を製造するための重合体粒子は、
水分散型高分子重合体粒子であつて、カルボキシル基を
有することが必要であり、特に、水溶性カルボジイミド
又はN−ヒドロキシスクシンイミドで活性化し、凍結乾
燥してなる粉末を水性媒体中に再分散させたときにすぐ
れた分散性を有するように、重合体粒子は、当初、即
ち、活性化前は、その表面に0.1〜60μmol/m2のカルボ
キシル基数を有することが好ましい。特に好ましくは0.
7〜30μmol/m2の範囲である。重合体粒子の有するカル
ボキシル基数が余りに少ないときは、凍結乾燥した粉末
が水性媒体中での再分散性に劣り、水性媒体中に再分散
させてときに凝集を起こすと共に、十分な量のカルボジ
イミドやN−ヒドロキシスクシンイミドを結合させるこ
とができず、延いては、得られる活性化担体粒子に十分
な量の生理活性物質を固定化することができない。他
方、重合体粒子の有するカルボキシル基数が余りに多い
ときも、再分散させたときに水性媒体中にて凝集するこ
とがあり、或いは生理活性物質を固定化するときに、そ
の生化学的反応を阻害するおそれがある。
尚、後述するように、重合体粒子は好ましくは遊離カル
ボキシル基を有する所謂スペーサ基が結合されるが、重
合体粒子表面のカルボキシル基とは、重合体粒子がこの
ようにスペーサ基が結合されているときは、重合体粒子
が本来有するカルボキシル基とスペーサの有するカルボ
キシル基との合計量を意味するものとする。
重合体粒子上のカルボキシル基量は、後述するように、
乳化共重合における所定の単量体組成のうち、アクリル
酸誘導体の使用量によつて任意に調整することができ
る。
本発明において、重合体粒子は、その平均粒径が0.03〜
3μm、好ましくは0.05〜1.5μmである。粒径が小さ
すぎると、例えば、これを担体とする固定化酵素を水中
に分散させて酵素反応を行なわせた後の回収が困難とな
り、一方、粒径が大きすぎると、単位体積当りの粒子表
面積が小さくなり、例えば、酵素の固定化量が少なくな
ると共に、水分に分散させるのが困難となるので好まし
くない。
また、重合体粒子の比重は0.9〜1.5の範囲にあることが
好ましい。比重が0.9よりも小さいときは、例えば、酵
素反応において、粒子が水性媒体の表層に浮遊し、分散
安定性に劣るようになり、また、酵素活性も低下し、一
方、1.5よりも大きいときは、粒子が水性媒体中に沈
降、凝集し、粒子の自由度が失われて、例えば、酵素活
性が低下するからである。
生理活性物質は、本発明による再分散性活性化担体粒子
に共有結合にて結合されるが、特に、生理活性物質は、
担体粒子に共有結合にてスペーサ基を介して固定化され
ることが好ましい。このように、担体粒子に共有結合に
よつてスペーサ基が結合され、このスペーサ基に共有結
合によつて生理活性物質が固定化されることにより、固
定化された生理活性物質の担体粒子上での自由度が高め
られるからである。換言すれば、本発明による再分散性
生理活性物質固定化用担体粒子は、重合体粒子に遊離カ
ルボキシル基を有するスペーサ基が共有結合にて結合さ
れ、このスペーサ基の有する上記カルボキシル基がカル
ボジイミド又はN−ヒドロキシスクシンイミドにて活性
化されていることが好ましい。
上記スペーサ基として用い得る化合物は、アミノ基とカ
ルボキシル基とを有する少なくとも二官能性の有機化合
物であり、多官能性の重合体を排除するものではない
が、特に、炭素数1〜12の炭素鎖基を有し、アミノ基と
カルボキシル基とを有する二官能性の有機化合物が好ま
しい。このようなスペーサ着として機能する化合物の具
体例として、例えば、グリシン、β−アミノプロピオン
酸、γ−アミノ酪酸、ε−アミノカプロン酸、ε−アミ
ノカプリル酸等のアミノアルキルカルボン酸、リジン、
グルタミン酸、β−アラニン、アルギニン、グリシルグ
リシルグリシン等のアミノ酸類等が好ましく用いられる
が、これらに限定されるものではない。
カルボキシル基を有する重合体粒子に前記したスペーサ
基を結合させるには、水溶性カルボジイミドの存在下に
重合体粒子にスペーサ基のための化合物を反応させ、重
合体粒子の有するカルボキシル基とスペーサの有するア
ミノ基との間にアミド結合を形成させればよい。このよ
うに、カルボキシル基にアミノ基を反応させて、スペー
サ基を結合させる方法は、既によく知られている。
カルボキシル基を有する重合体粒子又は前述したような
スペーサ基が結合された重合体粒子(遊離カルボキシル
基を有する。)を水溶性カルボジイミドにて活性化する
には、例えば、千畑一郎ほか著「実験と応用アフイニテ
イ・クロマトグラフイー」(1976講談社発行)に記載さ
れているように、一般に、カルボキシル基をカルボジイ
ミドにて活性化する通常の方法及び条件によればよい。
例えば、カルボキシル基を有する重合体粒子又はスペー
サ基が結合された重合体粒子を含むラテツクスに適宜
量、例えば、ラテツクスの単位容量当りに0.01〜10mg/m
lとなるように水溶性カルボジイミドを添加し、通常の
条件、例えばpHを4〜9に保持して、5〜60℃程度の温
度で数分乃至数十時間、通常、1〜5時間程度反応させ
ればよい。特に、得られる活性化担体粒子が凍結乾燥後
にすぐれた再分散を有するためには、用いるカルボジイ
ミドの量をラテツクスの単位容量当りに1〜10mg/mlと
し、pH7〜9、温度5〜20℃で数時間反応させるのが好
適である。
また、カルボキシル基を有する重合体粒子又は遊離カル
ボキシル基を有するスペーサ基が結合された重合体粒子
をN−ヒドロキシスクシンイミドで活性化するには、適
宜の水溶性脱水縮合剤の存在下にN−ヒドロキシスクシ
ンイミドを反応させ、上記カルボキシル基との間にエス
テル結合を形成させればよい。上記水溶性脱水縮合剤と
しては、通常、水溶性カルボジイミドが好適であり、例
えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩、1−シクロヘキシル−3−
(2−モノホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−
トルエンスルホネート等が用いられる。
このように、カルボキシル基を有する重合体粒子又はス
ペーサ基を結合された重合体粒子にN−ヒドロキシスク
シンイミドを結合させる場合にも、前記文献に記載され
ているように、通常の方法及び条件によることができ、
通常は、カルボキシル基を有する重合体粒子又はスペー
サ基が結合された重合体粒子をカルボジイミドで活性化
する場合と同じ条件によればよい。
このようにして重合体粒子又はスペーサ基を結合された
重合体粒子をカルボジイミド又はN−ヒドロキシスクシ
ンイミドにて活性化した後、遠心分離、透析又は濾過等
の適宜の方法によつて、活性化重合体粒子から未反応の
活性化剤や縮合剤、副生物等を除去することが好まし
い。これらが残存するときは、活性化ラテツクス粒子の
凍結乾燥品が水性媒体中での再分散性に劣ることとなる
からである。
本発明において、ラテツクスの凍結乾燥方法は、特に、
限定されるものではないが、通常は、ラテツクスを−70
℃から−80℃の温度で凍結乾燥させる。この後、減圧下
に水分を除去することによつて、本発明による再分散性
にすぐれる活性化担体粒子を得ることができる。かかる
本発明による活性化担体粒子は、これを水性媒体中に再
分散させ、生理活性物質を反応させることによつて、直
ちに且つ容易にこれを固定化することができる。
本発明においては、重合体粒子は、前述した条件を満た
すものであれば、特に限定されるものではないが、しか
し、以下に述べるように、特に、アクリル酸誘導体とア
クリ酸フルオロアルキルエステル誘導体とを含む単量体
混合物を乳化共重合して得られる重合体粒子が好ましく
用いられる。
かかる重合体粒子は、 (a)一般式 R1CH=CR2COOH (但し、R1は水素、低級アルキル基又はカルボキシル基
を示し、R2は水素又は低級アルキル基を示し、R1が水素
又は低級アルキル基のときは、R2はカルボ低級アルコキ
シ基であつてもよい。) で表わされるアクリル酸誘導体0.1〜20重量%、及び (b)一般式 CH2=CR3COOR4(CF2)nCFA2 (但し、R3は水素又は低級アルキル基を示し、R4は −(CH2)m−又は (但し、mは0〜12の整数を示し、x+y=m−1であ
り、R5は水素又はアセチル基を示す。)を示し、Aはそ
れぞれ独立に水素、フツ素又はCF3を示し、nは0〜12
の整数を示す。) で表わされるアクリル酸フルオロアルキルエステル誘導
体と、上記アクリル酸誘導体を除くラジカル共重合性ビ
ニル単量体との混合物であつて、この混合物に基づいて
上記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体が1〜
100重量%である混合物99.9〜80重量% からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
得ることができる。
上記アクリル酸誘導体としては、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキルフマ
ル酸、モノアルキルイタコン酸等を好ましい例として挙
げることができるが、特に、アクリル酸、メタクリル酸
及びイタコン酸の1種又は2種以上の混合物が好ましく
用いられる。
また、上記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体
は、好ましくは、一般式 CH2=CR3COO(CH2)m(CF2)nCF3 (1) CH2=CR3COO(CH2)m(CF2)nCF3H (2) CH2=CR3COO(CH2)m(CF2)nCF(CF3 (3) (但し、R3、R5、m及びnは前記と同じである。)で表
わされ、従つて、特に、好ましく用いることができるア
クリル酸フルオロアルキルエステル誘導体の具体例とし
て、例えば、 CH2=C(CH3)COOCH2CF3 (5) CH2=C(CH3)COOCH2(CF22H (6) CH2=C(CH3)COOCH2(CF24H (7) CH2=C(CH3)COO(CH2(CF28F (8) 等を例示することができる。
前記アクリル酸誘導体は、乳化共重合時の重合安定性に
すぐれ、また、水性媒体中での分散安定性にすぐれる水
分散型高分子重合体粒子を得るためのみならず、得られ
る重合体粒子を前記したようにカルボジイミドやN−ヒ
ドロキシスクシンイミドにて活性化し、或いはスペーサ
基を結合するためのカルボキシル基を重合体粒子に付与
するために必要な単量体であり、単量体組成において、
少なくとも0.1重量%を必要とする。しかし、過多に共
重合単量体成分として用いるときは、却つて重合安定性
と、得られる重合体粒子の分散安定性を損なうので、20
重量%以下の範囲で用いられる。特に好ましい範囲は、
0.5〜10重量%である。
また、前記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体
は、得られる重合体粒子の活性化時や、或いは活性化担
体粒子への生理活性物質の固定化時の水性分散系におい
て、粒子に水性媒体中で安定な分散性を保たしめる効果
を有する。特に、重合体粒子において、アクリル酸フル
オロアルキルエステル誘導体単量体成分は、塩や有機質
物質を含む水溶液中において、例えば、重合体粒子への
有害物質の吸着や被覆を防止する効果を有する。このよ
うな効果を有効に得るためには、アクリル酸フルオロア
ルキルエステル誘導体は、単量体組成において99.9〜80
重量%、好ましくは99.5〜90重量%の範囲で用いられ
る。
しかも、かかる単量体成分の所定の割合の混合物を用い
るこにより、特に乳化剤を用いることなく、凝集物の発
生なしに安定に乳化共重合させ得て、粒径が均一であ
り、且つ、水性媒体中で分散状態が安定に保持される水
分散型高分子重合体粒子を得ることができる。
前記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体の一部
は、前記アクリル酸誘導体を除くラジカル共重合性ビニ
ル単量体に置換されてもよい。
かかるラジカル共重合性ビニル単量体としては、例え
ば、それ自体の単独重合体が水不溶性である疎水性単量
体を挙げることができる、具体例として、エチレン、プ
ロピレン、塩化ビニル等のα−オレフイン又はそのハロ
ゲン置換体、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロロスチレン等のアルケニルベ
ンゼン、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフイ
ン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル等を挙げることができる。上記したラジカル共重合
性ビニル単量体のうちでは、特に、メタクリル酸メチル
やメタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸エス
テルが好ましく用いられる。このような単量体は、得ら
れる重合体粒子の比重を調整し、又は前記したアクリル
酸誘導体とアクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体
との共重合反応性を調整するために好適に用いられる。
また、必要に応じて、それ自体の単独重合体が水溶性又
は水膨潤性である親水性単量体も用いることができる。
かかる単量体の具体例として、例えば、ヒドロキシメチ
ル(メタ)アクリレート、ヒドロエチル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙
げることができる。
しかし、上記したラジカル共重合性ビニル単量体は、余
りに多量に使用すると、重合安定性を損じるのみなら
ず、得られる重合体粒子が水分散安定性に劣るようにな
るので、本発明においては、アクリル酸フルオロアルキ
ルエステル誘導体と上記ラジカル共重合性ビニル単量体
との混合物において、アクリル酸フルオロアルキルエス
テル誘導体を少なくとも1重量%用いることが必要であ
る。
即ち、本発明においては、上記ラジカル共重合性ビニル
単量体は、このラジカル共重合性ビニル単量体とアクリ
ル酸フルオロアルキルエステル誘導体との混合物の重量
に基づいて、99重量%以下、好ましくは97重量%以下の
範囲で用いられる。有効量の下限には特に制限されず、
目的に応じて適宜に選ばれるが、通常、アクリル酸フロ
オロアルキルエステル誘導体とこのアクリル酸アルキル
エステル誘導体の混合物の重量に基づいて1重量%以上
である。
更に、重合体粒子の製造において、単量体成分として、
内部架橋用官能性単量体を用いることができる。この内
部架橋用多官能性単量体は、重合体に架橋構造を導入す
るので、存在する場合には好ましくない水溶性重合体の
生成を抑制すると共に、得られる重合体粒子のガラス転
移温度を高めることができる。更に、内部架橋剤は、重
合体粒子を非膨潤化して、重合体粒子の水性媒体中での
分散安定性を高めるのに効果がある。
かかる多官能性内部架橋用単量体としては、例えば、脂
肪族多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが好ま
しく用いられる。具体例として、例えば、エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,3-ブ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テト
メチロールメタンテトラアクリレート等が好ましく用い
られる。また、ジビニルベンゼンや、N,N′‐メチレン
ビスアクリルアミド等も多官能性内部架橋用単量体とし
て用いることができる。
内部架橋用多官能性単量体は、必要な場合は、通常、単
量体組成において、0.1重量%以上が用いられるが、し
かし、過多に使用するときは、却つて重合安定性と得ら
れる重合体粒子の水性媒体中での分散安定性を損なうの
で好ましくなく、通常、20重量%以下の範囲で用いられ
る。好ましくは0.2〜10重量%の範囲である。
また、個々の単量体の具体的な種類は、得られる共重合
体のガラス転移点が0℃以上、好ましくは室温以上とな
るように選ばれる。重合体粒子のガラス転移点が0℃よ
りも低いときは、重合体粒子の相互の融着や凝集が生じ
やすく、分散液の分散安定性が低下する傾向があるから
である。
以上のような各単量体を水性媒体中にて、水溶性のラジ
カル重合開始剤を用いて、通常の方法にて乳化共重合さ
せることにより、水不溶性共重合体からなる水性分散
液、即ち、ラテツクスを得ることができるが、得られる
ラテツクス中に乳化剤が遊離の状態で、或いは重合体粒
子に吸着された状態にて存在するとき、前述したよう
に、特に、その使用に際して種々の有害な影響が現れる
ことがあるので、乳化共重合に際しては乳化剤を用いな
いのが好ましい。前記単量体組成によれば、乳化剤を要
せずして安定に共重合させることができると共に、得ら
れるラテツクス粒子の分散状態が安定に保持される。し
かし、前述したように、重合体粒子を緩衝液や生理食塩
水に分散させた場合にも、重合体粒子の凝集や沈降が起
こらず、更には、固定化された生理活性物質の生化学的
反応が妨害されない範囲において、乳化剤を用いること
は何ら妨げられず、また、乳化剤が有害な影響を与えな
い場合には、必要に応じて、乳化剤を用いてもよい。
上記のような乳化共重合において、単量体成分混合物の
水性媒体中での濃度は、得られるラテツクスにおける重
合体粒子の平均粒径とも関連するが、通常、1〜40重量
%の範囲である。
重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤が用い
られる。通常、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過
硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、これら過硫酸塩とチ
オ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸水素ナ
トリウム等のようなチオ硫酸塩、又は亜硫酸ナトリウ
ム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等のような
亜硫酸塩とのレドツクス系重合開始剤が好ましく用いら
れるが、これらに限定されるものではない。これら重合
開始剤の使用量は、単量体混合物に対し0.01〜1重量%
の範囲が好適である。重合の雰囲気も、特に制限されな
いが、好ましくは酸素を除いた不活性ガス雰囲気が用い
られる。また、重合温度は、特に制限されないが、通
常、20〜100℃、好ましくは40〜90℃の範囲である。
発明の効果 以上のように、本発明によれば、何ら特別な薬剤を用い
ることなくして、活性化された担体粒子を含むラテツク
スを凍結乾燥して、保存性、分散性、再現性にすぐれる
再分散性生理活性物質固定化用担体粒子を得ることがで
き、しかも、かかる担体粒子は、それ自体既に活性化さ
れているので、水性媒体に再分散させて、直ちに生理活
性物質を固定化することができると共に、活性化担体粒
子は、単位重量当たり非常に大きい表面積を有するの
で、高活性の固定化生理活性物質を得ることができる。
また、粒子担体を構成するための重合体粒子として、前
述したようなアクリル酸誘導体とアクリル酸フルオロア
ルキルエステル誘導体とからなる共重合体を用いると
き、得られる担体粒子がその粒径分布において狭く、均
一であり、且つ、水性媒体中での分散性に著しくすぐれ
るので、生理活性物質を固定化するに際して、高い活性
収率を得ることができる。
実施例 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこ
れら実施例によつて何ら制限されるものではない。
活性化剤としてカルボジイミドを用いる実施例 実施例1〜8及び比較例1〜4 第1表に示す組成の単量体混合物90gを蒸留水350gに加
え、次いで、これを過硫酸アンモニウム0.36gを蒸留水1
0gに溶解させた水溶液を70℃の温度で窒素気流下に加え
た後、250rpmにて撹拌しつつ、7時間重合させて、カル
ボキシル化ラテツクスを得た。重合状態、重合率、得ら
れたラテツクス粒子の平均粒径及び粒子表面のカルボキ
シル基量を第1表に示す。
次に、上記実施例1及び2において得たラテツクス(固
形分5重量%)50mlに1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド200mgを蒸留水10mlに
溶解させた水溶液を加え、室温にて1時間反応させた
後、スペーサ基としてのε−アミノカプロン酸の水溶液
(0.03mol/)50mlを加え、更に、室温にて5時間反応
させた。この後、反応混合物を遠心分離洗浄して、 未反応のε−アミノカプロン酸を除去し、スペーサ化ラ
テツク粒子を得た。
上記スペーサ化反応によつて得られたスペーサ化ラテツ
クス粒子は、いずれも分散状態が安定であつた。また、
実施例1のラテツクス粒子からのスペーサ化ラテツクス
粒子(これを実施例3とする。)の表面のカルボキシル
基量は1.9μmol/m2であり、実施例2のラテツクス粒子
からのスペーサ化ラテツクス粒子(これを実施例4とす
る。)の表面のカルボキシル基量は6.8μmol/m2であつ
た。
次に、以上のようにして得た実施例1〜4及び比較例1
及び2のラテツクス(固形分5重量%)10mlに1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カリボジイミ
ド10mgをホウ酸緩衝液(0.1mol/、pH8.0)1mlに溶解
させた水溶液を加え、10℃にて1時間撹拌して反応させ
た。この後、得られた活性化ラテツクスを遠心分離し、
上記と同じホウ酸緩衝液にて2回洗浄し、上記と同じホ
ウ酸緩衝液に固形分2.5重量%となるように再分散させ
た。また、このようにして得たそれぞれのラテツクスを
−70℃に凍結し、減圧下に乾燥した。
これらラテツクスの凍結乾燥品と当初のままのラテツク
スについて、所要期間保存した後、その保存安定性を以
下のようにして評価した。即ち、ウシ血清アルブミン
(アーマー社製)40mgをホウ酸緩衝液(0.1mol/、pH
8.0)10mlに溶解した水溶液を当初のままのラテツクス
又は凍結乾燥品に蒸留水を加えて当初の固形分濃度に戻
したラテツクスに加え、4℃にて一晩放置した後、遠心
分離にて未反応ウシ血清アルブミンを除去し、ラテツク
ス粒子へのウシ血清アルブミンの固定化量にて、それぞ
れの保存安定性を評価した。結果を第2表及び第1図か
ら第5図に示す。尚、第2表は、活性化ラテツクスの調
製直後の分散状態及びウシ血清アルブミンの固定化量と
共に、これら活性化ラテツクスの調製直後にその凍結乾
燥品を調製し、これを水性媒体中に再分散させたときの
分散状態及びウシ血清アルブミンの固定化量を示 し、他方、第1図から第5図は、活性化ラテツクス及び
その凍結乾燥品について、所定期間保存後に上記と同様
にして調べた分散状態及びウシ血清アルブミンの固定化
量を示す。
これらの結果から、本発明にもる活性化ラテツクス粒子
の凍結乾燥品は、3か月後も、これを水性媒体中に再分
散させたとき、当初とほぼ同じ固定化量を示し、保存安
定性にすぐれることが示される。
実施例9 実施例4として得たラテツクス(固形分5重量%)10ml
に1−シクロヘキシル−3−(2−モノホリノエチル)
カルボジイミド−メト−p−トルエンスルホネート10mg
をホウ酸緩衝液(0.1mol/、pH8.0)1mlに溶解した溶
液を加え、10℃にて1時間、撹拌下に反応させた。この
後、得られた活性化ラテツクスを遠心分離し、上記と同
じ緩衝液にて2回洗浄し、上記と同じ緩衝液に固形分2.
5重量%となるように再分散させた。これを−70℃に凍
結し、減圧下に乾燥した。
この凍結乾燥品を蒸留水にて当初の固形分濃度に戻し、
これにペルオキシダーゼ(シグマ社製Typy IV)40mgを
ホウ酸緩衝液(0.1mol/、pH8.0)10mlに溶解させた溶
液を加え、4℃にて一晩放置した後、遠心分離にて未反
応のペルオキシダーゼを除去した。
このようにして得たラテツクス粒子にはペルオキシダー
ゼ7mgが固定化されていた。このラテツクスを光学顕微
鏡(200倍)にて観察したところ、均一であつて、凝集
は全く認められなかつた。また、このラテツクスは、フ
エニレンジアミン(5mmol/)と過酸化水素(1.5mmol/
)の混合水溶液にて発色し、酵素活性が保持されてい
ることが確認された。
実施例10 実施例7として得たラテツクス凍結乾燥品に蒸留水を加
えて当初の固形分濃度とし、これに抗ヒトIgG(Dako社
製、4mg/ml)10mlを加え、4℃で一晩放置した。遠心分
離によつて未反応抗ヒトIgGを除去し、洗浄した後、0.0
1mol/ホウ酸緩衝液(pH8.0)にて固形分1重量%にな
るように希釈した。このラテツクスには抗ヒトIgG8mgが
結合されており、これを光学顕微鏡にて観察したが、完
全に均一であつて、凝集は全く認められなかつた。
上記ラテツクスとヒトIgG溶液(シグマ社製の凍結乾燥
品を0.01mol/ホウ酸緩衝液(pH8.0)で希釈したも
の)を等量混合したところ、ヒトIgG0.1μg/mlまで、ラ
テツクスの凝集が認められた。
活性化剤としてN−ヒドロキシスクシンイミドを用いる
実施例 実施例11〜14及び比較例5〜6 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミド10mg及びN−ヒドロキシスクシンイミド10mg
をホウ酸緩衝液(0.1mol/、pH8.0)1mlに溶解させた
水溶液を前述した実施例1〜4及び比較例1及び2のそ
れぞれのラテツクス(固形分5重量%)10mlに加え、10
℃にて1時間撹拌して反応させた。この後、得られた活
性化ラテツクスを遠心分離し、上記と同じホウ酸緩衝液
にて2回洗浄し、上記と同じホウ酸緩衝液に固形分2.5
重量%となるように再分散させた。またこのようにして
得たそれぞれのラテツクスを−70℃に凍結し、減圧下に
乾燥した。
これらラテツクスの凍結乾燥品と当初のままのラテツク
スについて、その保存安定性を分散状態とウシ血清アル
ブミンの固定化量にて評価する前述した方法によつて調
べた。結果を第3表及び第6図から第10図に示す。尚、
第3表は、活性化ラテツクスの調製直後の分散状態及び
ウシ血清アルブミンの固定化量と共に、これら活性化ラ
テツクスの調製直後にその凍結乾燥品を調製し、これを
水性媒体中に再分散させたときの分散状態及びウシ血清
アルブミンの固定化量を示し、他方、第6図から第10図
は、活性化ラテツクス及びその凍結乾燥品について、所
定期間保存後に上記と同様にして調べた分散状態及びウ
シ血清アルブミンの固定化量を示す。
本発明による活性化ラテツクスの凍結乾燥品は、 3か月後に水性媒体中に再分散させたときも、当初とほ
ぼ同じ分散状態及び固定化量を示し、保存安定性にすぐ
れることが示される。
実施例15 実施例4として得たラテツクス(固形分5重量%)10ml
に1−シクロヘキシル−3−(モルホリノエチル)カル
ボジイミド−メト−p−トリエンスルホネート10mg及び
N−ヒドロキシスクシンイミド10mgをホウ酸緩衝液(0.
1mol/l、pH8.0)1mlに溶解した溶液を加え、10℃にて1
時間、撹拌下に反応させた。この後、得られた活性化ラ
テツクスを遠心分離し、上記と同じ緩衝液にて2回洗浄
し、上記と同じ緩衝液に固形分2.5重量%となるように
再分散させた。これを−70℃に凍結し、減圧下に乾燥し
た。
このラテツクスの凍結乾燥品を蒸留水にて当初の固形分
濃度に戻し、これにペルオキシダーゼ(シグマ社製Type
IV)40mgをホウ酸緩衝液(0.1mol/、pH8.0)10mlに
溶解させた溶液を加え、4℃にて一晩放置した後、遠心
分離にて未反応のペルオキシダーゼを除去した。
このようにして得たラテツクス粒子にはペルオキシダー
ゼ9mgが固定化されていた。このラテツクスを光学顕微
鏡(200倍)に観察したところ、均一であつて、凝集は
全く認められなかつた。また、このラテツクスは、フエ
ニレンジアミン(5mmol/)と過酸化水素(1.5mmol/
)の混合水溶液にて発色し、酵素活性が保持されてい
ることが確認された。
実施例16 実施例13として得たラテツクス凍結乾燥品に蒸留水を加
えて当初の固形分濃度とし、これに抗ヒトIgG(Dako社
製、4mg/ml)10mlを加え、4℃で一晩放置した。遠心分
離によつて未反応抗ヒトIgGを除去し、洗浄した後、ホ
ウ酸緩衝液(0.01mol/、pH8.0)にて固形分1重量%
になるように希釈した。このラテツクスには抗ヒトIgG1
1mgが結合されており、これを光学顕微鏡にて観察した
が、完全に均一であつて、凝集は全く認められなかつ
た。
上記ラテツクスとヒトIgG溶液(シグマ社製の凍結乾燥
品をホウ酸緩衝液(0.01mol/、pH7.0)で希釈したも
の)を等量混合したところ、ヒトIgG0.1μg/mlまで、ラ
テツクスの凝集が認められた。
【図面の簡単な説明】
第1図から第5図は、活性化剤としてカルボジイミドを
用いて得た本発明による担体粒子と比較例としての担体
粒子の保存期間とウシ血清アルブミンの固定化量との関
係を示すグラフ、第6図から第10図は、活性化剤として
N−ヒドロキシスクシンイミドを用いて得た本発明によ
る担体粒子と比較例としての担体粒子の保存期間とウシ
血清アルブミンの固定化量との関係を示すグラフであ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基を有する重合体粒子を含む
    ラテツクスを一般式 Ra−N=C=N−Rb (式中、Ra及びRbはそれぞれ独立に炭素数5又は6のシ
    クロアルキル基、炭素数2〜12のアルキル基、モノアリ
    ール基、モノアリール置換低級アルキル基、モルホリノ
    基、ピペリジル基、低級アルキル置換モルホリニル基、
    低級アルキル置換ピペリジル基、ジ低級アルキルアミノ
    低級アルキル基又は低級アルキル置換ピリジル基を示
    す。) で表わされる水溶性カルボジイミドで活性化した後、凍
    結乾燥してなることを特徴とする再分散性生理活性物質
    固定化用担体粒子。
  2. 【請求項2】重合体粒子が0.1〜60μmol/m2のカルボキ
    シル基を有することを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の再分散性生理活性物質固定化用担体粒子。
  3. 【請求項3】重合体粒子が平均粒子径0.03〜3μmを有
    することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の再分
    散性生理活性物質固定化用担体粒子。
  4. 【請求項4】重合体粒子が (a)一般式 R1CH=CR2COOH (但し、R1は水素、低級アルキル基又はカルボキシル基
    を示し、R2は水素又は低級アルキル基を示し、R1が水素
    又は低級アルキル基のときは、R2はカルボ低級アルコキ
    シ基であつてもよい。) で表わされるアクリル酸誘導体0.1〜20重量%、及び (b)一般式 CH2=CR3COOR4(CF2)nCFA2 (但し、R3は水素又は低級アルキル基を示し、R4は −(CH2)m−又は (但し、mは0〜12の整数を示し、x+y=m−1であ
    り、R5は水素又はアセチル基を示す。)を示し、Aはそ
    れぞれ独立に水素、フツ素又はCF3を示し、nは0〜12
    の整数を示す。) で表わされるアクリル酸フルオロアルキルエステル誘導
    体と、上記アクリル酸誘導体を除くラジカル共重合性ビ
    ニル単量体との混合物であつて、この混合物に基づいて
    上記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体が1〜
    100重量%である混合物99.9〜80重量% からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
    なる水分散型高分子重合体粒子であることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の再分散性生理活性物質固定
    化用担体粒子。
  5. 【請求項5】カルボキシル基を有する重合体粒子を含む
    ラテツクスをN−ヒドロキシスクシンイミドで活性化し
    た後、凍結乾燥してなることを特徴とする再分散性生理
    活性物質固定化用担体粒子。
  6. 【請求項6】重合体粒子が0.1〜60μモル/m2のカルボキ
    シル基を有することを特徴とする特許請求の範囲第5項
    記載の再分散性生理活性物質固定化用担体粒子。
  7. 【請求項7】重合体粒子が平均粒子径0.03〜3μmを有
    することを特徴とする特許請求の範囲第5項記載の再分
    散性生理活性物質固定化用担体粒子。
  8. 【請求項8】重合体粒子が (a)一般式 R1CH=CR2COOH (但し、R1は水素、低級アルキル基又はカルボキシル基
    を示し、R2は水素又は低級アルキル基を示し、R1が水素
    又は低級アルキル基のときは、R2はカルボ低級アルコキ
    シ基であつてもよい。) で表わされるアクリル酸誘導体0.1〜20重量%、及び (b)一般式 CH2=CR3COOR4(CF2)nCFA2 (但し、R3は水素又は低級アルキル基を示し、R4は −(CH2)m−又は (但し、mは0〜12の整数を示し、x+y=m−1であ
    り、R5は水素又はアセチル基を示す。)を示し、Aはそ
    れぞれ独立に水素、フツ素又はCF3を示し、nは0〜12
    の整数を示す。) で表わされるアクリル酸フルオロアルキルエステル誘導
    体と、上記アクリル酸誘導体を除くラジカル共重合性ビ
    ニル単量体との混合物であつて、この混合物に基づいて
    上記アクリル酸フルオロアルキルエステル誘導体が1〜
    100重量%である混合物99.9〜80重量% からなる単量体混合物を水性媒体中で乳化共重合させて
    なる水分散型高分子重合体粒子であることを特徴とする
    特許請求の範囲第5項記載の再分散性生理活性物質固定
    化用担体粒子。
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